JP2016056708A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】「A/Fシフト」やO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上する内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。【解決手段】三元触媒の下流に設けたO2センサの出力によって「A/Fシフト」或いはO2センサの出力異常を検出し、これに基づいて三元触媒の排気浄化性能が悪化しない方向に、パータベーション制御による空燃比の振幅或いは周期、或いは周期と振幅を変更する。これによれば、空燃比シフトやO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上することができる。【選択図】図8A

Description

本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関し、特に内燃機関の排気系に配された三元触媒の浄化率を向上するように内燃機関に供給される混合気の空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する。
自動車用の内燃機関においては、排気系に排気ガス浄化用の三元触媒を配置して排気ガスの浄化を行う排気浄化システムが実用化されている。この排気ガス浄化システムは三元触媒を充填した触媒コンバータの上流に酸素濃度を測定する空燃比センサ(空燃比に対して比例した出力電圧を発生する)、或いはO2センサ(理論空燃比でスイッチ的に出力信号を発生する)を設け、排気ガス中の酸素濃度が所定値に収束するように燃料供給量をフィードバック制御している。このように三元触媒が高い効率で機能するように排気ガスの酸素濃度を制御することで排気ガス中の有害成分を低減することが可能となる。
ところで、このような排気ガス浄化システムにおいては燃料供給系の劣化、空燃比センサの劣化、燃料供給部から空燃比センサまでの時間的な輸送遅れ等の原因によって三元触媒の触媒能力が充分に発揮されないという問題があった。このような問題を対策する方法として、内燃機関に供給される混合気の空燃比を強制振動させることにより三元触媒の浄化率を向上することが行われている。この方法はパータベーション制御と呼ばれ、触媒コンバータの下流側に理論空燃比でスイッチ的に出力が変化するO2センサを設け、供給される混合気の空燃比を強制的に振動させた場合に、その時のO2センサの出力によって空燃比振動(例えば、平均空燃比)による空燃比の強制変動状態を補正して、三元触媒の浄化効率が高くなるように空燃比を補正するものである。(以下この制御をパータベーション制御という。)
このような空燃比を強制的に振動させるパータベーション制御を実行する空燃比制御装置としては、例えば、特開平07−151002号公報(特許文献1)が知られている。三元触媒の浄化率は排気ガス量に代表される内燃機関の運転状態や三元触媒の温度、劣化状態などによって変化するにも拘らず、取り得る強制振動の周波数、振動の組み合わせにおける比例項ゲイン、リーンリッチ反転ディレイ時間等の組み合わせが固定されているために、内燃機関の運転状態や触媒コンバータの状態が変更されたときに、必ずしも高い浄化率を維持するように制御することができないといった問題があった。そこで、特許文献1においては、内燃機関の運転状態や触媒コンバータの状態に応じたパータベーション制御を行なうことにより、常に三元触媒の浄化率を高い浄化率付近に確保して排気ガスのエミッション特性を向上することができる内燃機関の空燃比制御装置を提案している。詳細は特許文献1を参照されたい。
特開平07−151002号公報
特許文献1において、例えば三元触媒の劣化時に触媒内の酸素蓄積量が所定範囲外になるのでパータベーション制御の振幅と周波数を変更することが有利である。通常の運転状態であれば、パータベーション制御を用いることで排気ガス中の有害成分の低減効果が期待できるので、可能な限りパータベーション制御を実行させておくことが有効である。一方、パータベーション制御は三元触媒内に流入する空燃比(燃料濃度)を強制的に変更するので、λ=1(理論空燃比)近傍の目標空燃比を中心としてパータベーション制御を実行させることが望ましい。
ところが、燃料噴射弁の劣化や空燃比センサの劣化によって、空燃比センサの出力がリッチ側、或いはリーン側にシフトする所謂「A/Fシフト」が生じたり、三元触媒の下流側に配置したO2センサに異常が生じて異常な出力信号が発生する。そして、この「A/Fシフト」やO2センサの異常な出力信号がパータベーション制御に反映されると、制御空燃比が目標空燃比の中心に対して「ずれ」を生じることになる。
そして、混合気の空燃比に「A/Fシフト」が発生した場合は、目標空燃比からずれたところでパータベーション制御行われるので、排気ガス浄化性能が大幅に悪化するようになる。また、特許文献1にある制御を行うとパータベーション制御の周期も長くなるので1サイクル当たりの空燃比変動が大きく、最悪の場合は失火を引き起こす恐れがある。また、三元触媒の下流にあるO2センサを用いて、「A/Fシフト」を正確に学習するにしても以下に述べるような課題が発生する。
第1に、O2センサの反転周期が長い場合は、学習頻度が低下するので「A/Fシフト」に対する学習に時間を要するという課題がある。第2に、パータベーション制御を停止しないで学習した場合は、正確な「A/Fシフト」を検知しにくいという課題がある。第3に、三元触媒の劣化が小さく、大幅な「A/Fシフト」が生じていない状態で、特許文献1のようなパータベーション制御を実行すると、空燃比の振幅が大きく周期も長くしてしまうので、空燃比センサの学習に時間を要すると共に、正確な「A/Fシフト」を検知しにくいという課題がある。また、工場出荷後の車両等では空燃比センサの学習が未実行の状態が多く、この場合は三元触媒も新品状態なので上述した項目に全て該当して空燃比センサの学習が進行しづらいという課題がある。更に、仮に学習制御によって「A/Fシフト」を吸収できるようになっても、それまでの間は上記した問題は依然として継続されている。
また、特許文献1においては、三元触媒の下流にあるO2センサの出力異常に対しては検知できない構成なので、誤推定した三元触媒内の酸素蓄積量を用いてパータベーション制御による空燃比振動の周期と振幅の制御を行ってしまう。特許文献1にある制御を行うとパータベーション制御による空燃比は自動的に振幅が小さく、周期が短い(周波数が高い)方向に制御される。しかしながら、触媒コンバータの下流のO2センサによるO2フィードバック制御で空燃比センサの誤学習が進行すると、逆に空燃比がずれた状態となってパータベーション制御による振幅を大きくしてしまい、排気ガス浄化性能の悪化を引き起こすことになる。
したがって、「A/Fシフト」が生じたり、O2センサの出力異常が生じた場合であっても、三元触媒の浄化性能の限界を超えてしまうような空燃比の絶対値を与えず、三元触媒の酸化と還元反応を確実に実行できる周期又は振幅、或いは周期と振幅でパータベーション制御を実行させたり、或いはパータベーション制御自身を停止させる必要がある。
本発明の目的は、「A/Fシフト」やO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上する内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、三元触媒コンバータの下流に設けたO2センサの出力によって「A/Fシフト」、或いはO2センサの出力異常を検出し、これに基づいて三元触媒の排気浄化性能が悪化しない方向に、パータベーション制御による空燃比振動の振幅、或いは周期、或いは周期と振幅を変更するところにある。
本発明によれば、「A/Fシフト」、或いはO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上することができる。
本発明が適用される内燃機関の排気浄化システムの構成を示す構成図である。 本発明が適用されるパータベーション制御の制御フローを示す制御フローチャート図である。 図2に示すパータベーション制御の振幅と周波数を説明する説明図である。 パータベーション制御の振幅と周波数を変更する制御フローを示す説明する制御フローチャート図である。 パータベーション制御の振幅と周波数、及びその影響度の相関を説明する説明図である。 O2センサの出力信号と故障の関係を説明する説明図である。 空燃比がリッチシフトした時のO2センサの出力信号を説明する説明図である。 空燃比がリーンシフトした時のO2センサの出力信号を説明する説明図である。 本発明の一実施例になる空燃比制御装置の制御フローの前半部を示す制御フローチャート図である。 本発明の一実施例になる空燃比制御装置の制御フローの中間部を示す制御フローチャート図である。 本発明の一実施例になる空燃比制御装置の制御フローの中間部を示す制御フローチャート図である。 本発明の一実施例になる空燃比制御装置の制御フローの後半部を示す制御フローチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は本発明が適用される内燃機関の制御システムを示している。多気筒(ここでは4気筒)で構成される内燃機関1において、外部からの空気はエアクリーナ2を通過し、吸気管3、コレクタ4を経てシリンダー内に流入する。流入空気量はスロットル弁5により調節され、この調節された流入空気量が流量センサ6において検出される。また、図示しない吸気温センサで吸気温が検出される。スロットル弁5は電動機で駆動される電子スロットル弁でも良いものであり、最近ではこの電子スロットル弁が主流である。
クランク角センサ7ではリングギア8によってクランク軸の所定回転角、例えば10゜毎の信号と燃焼周期毎の信号が出力される。水温センサ30は内燃機関の冷却水温度を検出し、また、図示しないアクセル踏み込み量センサはアクセルの踏み込み量を検出し、それによって運転者の要求トルクを検出する。このアクセル踏み込み量センサの出力は制御装置18によって電子スロットル弁5の開度に変換され、これに基づいて電子スロットル弁5が制御される。
本実施例ではアクセル踏み込み量センサの信号を用いて加速運転の判断を行なうように構成されている。アクセル踏み込み量センサは運転者の運転操作の意図を最も早く反映させることができるので、加速運転の判断に用いるのが望ましいものである。
燃料タンク9内の燃料は、燃料ポンプ10によって、吸引、加圧された後、プレッシャーレギュレータ11を備えた燃料配管12を通って燃料噴射弁13の燃料入口に導かれると共に、余分な燃料は燃料タンク9に戻される。
内燃機関の燃焼状態を直接或いは間接的に把握(これは検知する概念も含む)するため、内燃機関の機械的振動を計測する振動検出型のノックセンサ14が内燃機関1の適宜位置(通常はシリンダブロック)に備えられている。このノックセンサ14は非共振型のノックセンサであり、広い周波数帯域にわたって振動を検出することができるものである。
排気系には三元触媒コンバータ15が取り付けられており、排気ガスは三元触媒コンバータ15で浄化された後に大気に排出される。三元触媒コンバータ15の上流には上流側空燃比センサ16が設けられており、本実施例では上流側空燃比センサ16として空燃比に応じて連続的な検出信号を出力する空燃比センザ16が使用されている。また、三元触媒コンバータ15の下流には下流側空燃比センサ17が設けられており、本実施例では下流側空燃比センサ17として理論空燃比近傍でスイッチ的な検出信号を出力するO2センサ17が設けられている。
スロットル弁5に取り付けられたスロットル開度センサ、流量センサ6、クランク角センサ7、アクセル踏み込み量センサ、吸気温センサ、水温センサ30、ノックセンサ14、空燃比センサ16、O2センサ17等のそれぞれの信号は後述の制御装置18に送られ、これらセンサ出力から内燃機関の運転状態を検出し、空気量、燃料噴射量、点火時期等の内燃機関の主要な操作量が適切に演算されるものである。
制御装置18内で演算された目標空気量は、目標スロットル開度から電子スロットル駆動信号に変換され、スロットル弁5を駆動する電動機に送られる。また、制御装置18内で演算された燃料噴射量は、開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁(インジェクタ)13に送られる。更に、制御装置18で演算された点火時期は、通電開始角と通電角に変換された点火信号として点火コイル19に送られ点火プラグ20で発火される。
そして、燃料噴射弁13から噴射された燃料は吸気マニホールドからの空気と混合され内燃機関1のシリンダー内に流入して混合気を形成する。混合気は点火プラグ20によって所定の点火時期で発生される火花により燃焼、爆発し、その燃焼圧によりピストンを押し下げて内燃機関の動力となる。爆発後の排気ガスは排気管21を経て三元触媒が充填された三元触媒コンバータ15に送り込まれる。
三元触媒コンバータ15の上流に設けた空燃比センサ16は触媒に流入する前の排気ガスの空燃比を検出し、三元触媒コンバータ15の下流に設けたO2センサ17は三元触媒で浄化された後の排気ガスの空燃比を検出するものである。空燃比センサ16によって検出された空燃比は燃料噴射弁13から噴射される燃料の量を補正するのに使用され、いわゆる空燃比フィードバック制御が実行される。ここで、O2センサ17は三元触媒コンバータ15内の三元触媒の酸素蓄積量を求めるために使用されるもので、酸素蓄積量を適切に制御することで三元触媒の浄化率を効率の良い状態に制御するものである。
制御装置18には、空気流量センサ6、三元触媒コンバータ15の上流側の空燃比センサ16及び下流側のO2センサ17、アクセル踏み込み量センサ、水温センサ30、スロットル開度センサ、吸気温センサ、ノックセンサ14等の各センサ出力値がアナログ入力部22に入力されている。また、クランク角センサ7の角度信号等のディスクリート信号はデジタル入力部23に入力されている。
アナログ入力部22に入力されたセンサ信号はノイズ除去等の信号処理を行った後、A/D変換器24でA/D変換されてRAM25に保管される。同様にデジタル入力部23に入力された角度信号は入出力ポート26を介してこれもRAM25に保管される。RAM25に保管された検出信号はMPU27内で演算処理される。MPU27は各種の制御信号を生成するための演算を実行するものである。
演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM28に予め書き込まれており、制御プログラムに従ってMPU27で演算された各アクチュエータの作動量を表す制御値はRAM25に保管された後、入出力ポート26に送られる。
点火プラグ20の作動信号は出力回路29内の点火制御部に送られ、一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON-OFF信号がセットされる。点火制御部にセットされた点火信号は点火コイル19で点火プラグ20を発火させるのに必要なエネルギーに増幅され点火プラグ20に供給される。
また、燃料噴射弁13の駆動信号は出力回路29内の燃料制御部に送られ、開弁時ON、閉弁時OFFとなるON-OFF信号がセットされる。燃料制御部にセットされた噴射信号は燃料噴射弁13に送られる。その他の制御機器も同様にして駆動される。
以上のような制御システムは基本的には良く知られているシステムであるのでこれ以上の説明は省略する。但し、図1で示した制御装置18が実行する制御機能の内で、燃料制御機能として、混合気の空燃比を強制振動(パータベーション制御)させることにより触媒コンバータの浄化率を向上する機能が組み込まれている。パータベーション制御についての詳細は特許文献1に記載されているが、以下簡単に説明する。
酸素利用率を用いた空燃比(A/F)の強制振動(パータベーション)処理について説明する。(尚、酸素利用率については特許文献1に詳細に説明されているので参照されたい。)図2はパータベーション制御の処理を示すフローチャートであり、図3は空燃比の強制振動の振幅、周期を示すタイミングチャートである。ここで、パータベーション制御は、基本的には燃料噴射時間T(OUT)のパータベーション係数Kp値の振幅、周期を変更して行うことができる。燃料噴射時間T(OUT)は、基本噴射時間Tp、或いは最終燃料噴射時間Tiにパータベーション係数Kpを反映して求められる。そして、このパータベーション係数KPが周期的に増減され、これによって燃料噴射量は周期的に増減されることになる。
まず、図2のステップS50で空燃比をリッチからリーンに切り替えるためのダウンタイマtPRの値が「0」になったかどうかを判別し、値「0」になっていなければ本ルーチンを終了する。次に値「0」になっているときには、ステップS51でリーンからリッチに切り替えるためのダウンタイマtPLの値が「0」になったかどうかを判別し、値「0」になっていなければ本ルーチンを終了する。
値「0」になっていれば、ステップS52でフラグFpertが値「0」であるかどうかを判別する。フラグFpertが値「0」であるときには、ステップS53で周期tpertRをダウンタイマtPRにセットし、ステップS54でパータベーション係数Kpに値「1+Kpert」を設定して空燃比をリッチ側に振動させる。そして、ステップ55でフラグFpertを値「1」にセットして本ルーチンを終了する。
一方、ステップS52においてフラグFpertが値「1」であるときは、ステップS56で周期tpertLをダウンカウンタtPLにセットし、ステップS57でパータベーション係数Kpに値「1−Kpert」を設定して空燃比をリーン側に振動させる。そして、ステップS58でフラグFpertを値「0」にリセットして本ルーチンを終了する。したがって、本ルーチンの実行によりパータベーション係数Kpは図3にある通り、値「1.0」を中心に振幅Kpert、周期tpertR+tpertLで振動する波形となる
次にパータベーション制御で用いられる振幅Kpert、周期tpertR、tpertLを酸素利用率で変更する処理について説明する。図4は振幅Kpert、周期tpertR、tpertLの変更ルーチンを示すフローチャートである。まず、ステップ60で吸気管圧力Pb、エンジン回転数Ne、車速Vなどが安定し、パータベーション制御を実行する運転領域にあるかどうかを判別する。この運転領域にないときは、ステップ61でそのときの振幅Kpert、周期tpertR、tpertLを学習値として記憶して本ルーチンを終了する。
ステップS60でパータベーション制御を実行する運転領域にあるときには、ステップS62で三元触媒コンバータ15の下流側にあるO2センサ17による空燃比フィードバック制御(O2フィードバック)を実行中であるかどうかを判別する。空燃比フィードバック制御を実行していないときには前述のステップS61で振幅Kpert、周期tpertR、tpertLを学習値として記憶して本ルーチンを終了する。
空燃比フィードバック制御を実行しているときには、ステップS63で酸素利用率O2USERの変化量ΔO2USERの値が「0」より大きいかどうか、即ち酸素利用率O2USERが増加方向にあるかあるいは減少方向にあるか否かを判別する。酸素利用率O2USERの値が増加方向にあるときには、ステップS64、S65で周期tpertR、tpertLをそれぞれ△tPR、△tPLだけ増加し、ステップS66で振幅Kpertを△Kpだけ増加する。
また、ステップS63において酸素利用率O2USERの値が減少方向にあるときには、ステップS67、S68で周期tpertR、tpertLをそれぞれ△tPR、△tPLだけ減少させ、ステップS69で振幅Kpertを△Kpだけ減少させる。次に、増減された振幅Kpert及び周期tpertR、tpertLがそれぞれのリミット値を越えたかどうかを判別し、越えている場合にはステップS70でリミット処理を行い、更にステップS71で振幅Kpertおよび周期tpertR、tpertLを学習して記憶して本ルーチンを終了する。
以上のような制御を実行するパータベーション制御においては、上述したように、(1)空燃比に「A/Fシフト」が発生した場合は、目標空燃比からずれたところでパータベーション制御行われるので、排気ガス浄化能が大幅に悪化するようになる。また、パータベーション制御の周期も長くなるので1サイクル当たりの空燃比変動が大きく、最悪の場合は失火を引き起こす恐れがある。また、(2)三元触媒コンバータ15の下流にあるO2センサに出力異常が生じると、誤推定した三元触媒内の酸素蓄積量を用いてパータベーション制御による空燃比振動の周期と振幅の制御を行ってしまい、排気ガス浄化性能の悪化を引き起こすことになる。
そこで本実施例では、三元触媒コンバータ15の下流に設けたO2センサ17の出力によって「A/Fシフト」、或いはO2センサ17の出力異常を検出し、これに基づいて三元触媒の排気浄化性能が悪化しない方向に、パータベーション制御による空燃比振動の振幅或いは周期、或いは周期と振幅を変更することで、「A/Fシフト」やO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上することができるようにしている。以下、本実施例を詳細に説明する。
上述したようにパータベーション制御による空燃比の強制振動においては、空燃比振動の振幅と周期は図5に示すような特性を備えている。図5に示すように、パータベーション制御による空燃比振動の振幅が大きいとパータベーション作用が大きくなって三元触媒の浄化率に与える影響は大きくなり、逆に空燃比振動の振幅が小さいとパータベーション作用が小さくなって三元触媒の浄化率に与える影響は小さくなる。
また、図5に示すように、パータベーション制御による空燃比振動の周期が短い(=周波数が高い)とパータベーション作用が小さくなって三元触媒の浄化率に与える影響は小さくなり、逆に空燃比振動の周期が長い(=周波数が低い)とパータベーション作用が大きくなって三元触媒の浄化率に与える影響は大きくなる。
したがって、図4に示したフローチャートにあるように、振幅Kpert及び周期tpertR、tpertLを適切に変更することで、制御空燃比を目標空燃比範囲に制御することができる。そして、本実施例においては、O2センサ17の出力によって「A/Fシフト」やO2センサ17の出力異常を検出し、検出された異常の種類やその異常の進行度合に基づいて、図5にある特性を利用してパータベーション制御の振幅Kpert及び周期tpertR、tpertLを変更することで、三元触媒の排気ガス浄化性能が悪化しないように空燃比を制御している。
次に三元触媒コンバータ15の下流に設けたO2センサ17によって、「A/Fシフト」やO2センサ17の出力異常を検出する方法について説明する。
図6はO2センサ17の出力信号を用いて、「A/Fシフト」やO2センサ17自身の出力異常を検出する方法を示している。空燃比制御装置を含む排気浄化システムが正常な状態においては、O2センサ17の正常出力信号Nは理論空燃比に対応した理論空燃比電圧を中心にしてリッチ状態、或いはリーン状態を検出して所定の最大出力電圧(リッチピーク)と最小出力電圧(リーンピーク)を取りながら周期的に変動している。そして、正常な状態でのO2センサの平均電圧(少なくとも1サイクル以上の出力電圧を平均化した電圧)は所定の許容上限電圧λ-Uと所定の許容下限電圧λ-Dの間で変化している。
そして、O2センサ17自身に故障が生じると出力信号は或る決められた出力を発生する。例えば、O2センサ17の電気的な故障で断線状態になると、O2センサ17の断線出力信号Oは例えば350mV程度の固定出力に遷移され、短絡状態になるとO2センサ17の短絡出力信号Sは例えば1.2V程度の固定出力に遷移される。この場合は、パータベーション制御自体が困難となるので、異常レベルAの異常と判断される。この場合の異常判断は、O2センサ17の出力信号の反転回数が所定回数以下、或いは出力信号の振幅が所定振幅以下であるかを比較することによって判断できる。つまり、両異常ともO2センサ17の出力信号O、Sは固定出力となるので、信号反転がなく、しかもその振幅も生じない。これによって、O2センサ17自身の故障を検出することができる。このようなO2センサの断線、短絡の検出には振幅、或いは反転回数のどちらか一方、あるいは両方を用いて判断することが可能である。
また、O2センサ17の出力信号は周期性を有して発生しているが、最大電圧λ-Maxと最小電圧λ−Minを越えないで出力信号ANのように出力される場合がある。この状態はO2センサ17の異常の恐れがあるので異常レベルBの異常として判断される。また、O2センサの出力信号が最大電圧λ-Maxと最小電圧λ−Minのどちらか一方を越えない場合も異常と判断され、異常レベルBの異常として判断される。本実施例では、O2センサの出力信号が最大電圧λ-Maxと最小電圧λ−Minの両方を越えた時を正常状態と判断している。更に、O2センサの出力信号がリッチ側に遷移していくとリッチシフトとなり、リーン側にシフトしていくとリーンシフトとなる。この「A/Fシフト」については図7A、図7Bで説明する。
ここで、O2センサ17自身の断線や短絡等の故障は異常レベルAと判断し、O2センサの出力信号が最大電圧λ-Maxと最小電圧λ−Minの両方を越えないで出力されると異常レベルB判断している。この異常レベル分けは、異常状態の重要度によって位置付けされており、異常レベルがA,B、C…と低くなるにつれて異常状態の重要度も低くなるものである。そして、このような基準に基づいて異常状態のレベルが判断できるので、図5に示すようなパータベーション制御による空燃比振動の振幅や周波数を適切に選択することで、三元触媒の浄化性能を悪化させないパータベーション制御を実行することが可能となる。このパータベーション制御の振幅や周波数の設定方法は後述する。
一方、上述したようにO2センサ17の出力によって「A/Fシフト」の度合いを検出することができる。例えば、最大電圧λ-Maxを大きく越えてO2センサ17の最大出力電圧が発生すると、リッチ側の出力異常(リッチシフト)が発生していると判断できる。更に出力信号がリッチ側にシフトしていくと、出力信号の最小出力電圧が最大電圧λ-Maxを越えるまでシフトする。もちろん平均電圧もこれにしたがって高い方に遷移することになる。また、最小電圧λ-Minを大きく越えてO2センサ17の最小出力電圧が発生すると、リーン側の出力異常(リーンシフト)が発生していると判断できる。更に出力信号がリーン側にシフトしていくと、出力信号の最大出力電圧が最小電圧λ-Minを越えるまでシフトする。もちろん平均電圧もこれにしたがって低い方に遷移することになる。これらの最大電圧λ-Max、最小電圧λ-Min、許容上限電圧λ-U、許容下限電圧λ-Dと、O2センサ17の出力信号を比較することによって、「A/Fシフト」の度合いを検出することができる。以下図7A、図7Bを用いてこれを説明する。
図7A及び図7Bは、空燃比の「A/Fシフト」をO2センサ17の出力信号によって検出する方法を示している。一般に「A/Fシフト」が生じていない場合は、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。そして、その平均電圧は所定の許容上限電圧λ-Uと所定の許容下限電圧λ-Dの間で変化している。尚、平均電圧は少なくともリッチ状態とリーン状態の変化の1サイクル以上の出力を平均化したものである。そして、平均電圧がリッチ側に遷移していくのをリッチシフト、平均電圧がリーン側に遷移していくのをリーンシフトと呼んでいる。したがって、平均電圧が許容上限電圧λ−Uを越えると無視できないリッチシフトが発生していると判断できる。また、平均電圧が許容下限電圧λ−Dを越えるとこれも無視できないリーンシフトが発生していると判断できる。
図7Aはリッチシフトが発生している状態を示しており、正常な状態の正常平均電圧に対して許容できないリッチシフトを発生した時の平均電圧は、許容上限電圧λ-Uより大きくなっている。ここで、リッチシフトした時の形態は2つあり、1つは理論空燃比電圧を横切らない出力信号が発生している異常レベルAの状態である。特に異常レベルAでは、大幅なリッチシフトが発生している状態であり、最大電圧λ−Maxより高い電圧で出力信号が発生しており、場合によっては出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない(周期性が検出できない)状態である。もう1つは周期的な出力信号、例えば、最大電圧λ-Maxと理論空燃比電圧を周期的に横切る出力信号が発生している異常レベルCの状態であり、これは小程度〜中程度のリッチシフトが発生しているものである。
そして、異常レベルAの状態を検出する場合は、所定期間(少なくとも1サイクル以上)の出力信号の最小出力電圧が最大電圧λ-Maxより高く、しかも最大出力電圧と最小出力電圧の振幅が所定値以下、或いは出力信号の反転回数が所定回数以下であれば、大幅なリッチシフトが発生している異常レベルAであると判断できる。また、小程度〜中程度のリッチシフトが発生している異常レベルCの状態を検出する場合は、所定期間の出力信号が周期性を有し、しかもその平均電圧が許容上限電圧λ−Uより大きいか、或いは出力信号の最大出力電圧と最小出力電圧の振幅が所定値以以上であれば、小程度〜中程度のリッチシフトが発生している異常レベルCであると判断できる。本実施例では平均電圧が許容上限電圧λ−Uより大きいと、小程度〜中程度のリッチシフトが発生している異常レベルCと判断している。
一方、図7Bはリーンシフトが発生している状態を示しており、正常な状態の正常平均電圧に対して許容できないリーンシフトを発生した時の平均電圧は、許容下限電圧λ-Dより小さくなっていっている。ここで、リーンシフトした時の形態は2つあり、1つは理論空燃比電圧を横切らない出力信号が発生している異常レベルAの状態である。特に異常レベルAでは、大幅なリーンシフトが発生している状態であり、最小電圧λ−Minより低い電圧で出力信号が発生しており、場合によっては出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない(周期性が検出できない)状態である。もう1つは周期的な出力信号、例えば、最小電圧λ−Minと理論空燃比電圧を周期的に横切る出力信号が発生している異常レベルCの状態であり、これは小程度〜中程度のリーンシフトが発生しているものである。
そして、異常レベルAの状態を検出する場合は、所定期間(少なくとも1サイクル以上)の出力信号の最大出力が最小電圧λ-Minより低く、しかも最大出力電圧と最小出力電圧の振幅が所定値以下、或いは出力信号の反転回数が所定回数以下であれば、大幅なリーンシフトが発生している異常レベルAであると判断できる。また、異常レベルCの状態を検出する場合は、所定期間の出力信号が周期性を有し、しかもその平均電圧(少なくとも1サイクル以上)が許容下限電圧λ-Dより小さいか、或いは最大出力電圧と最小出力電圧の振幅が所定値以以上であれば、小程度〜中程度のリーンシフトが発生している異常レベルCであると判断できる。本実施例では平均電圧が許容下限電圧λ−Dより小さいと、小程度〜中程度のリーンシフトが発生している異常レベルCと判断している。
そして、図6、図7A及び図7Bで説明したような判断に基づいて、異常状態の種別、或いは異常の度合いによって異常レベルが判断できる。これによって、図5に示すようなパータベーション制御による空燃比振動の振幅や周波数を適切に選択することで、三元触媒の浄化性能を悪化させないパータベーション制御を実行することが可能となる。このパータベーション制御の振幅や周波数の設定方法は後述する。
次に、上述したレベル分けされた異常状態を検出するための検出方法について簡単に説明する。
(1)異常レベルAに関する異常検出では、振幅判定或いは反転回数判定、あるいは両方の判定とで検出することができる。振幅判定では、O2センサの出力信号の最大出力電圧(リッチピーク)の発生区間、或いは最小出力電圧(リーンピーク)の発生区間、或いはO2センサの活性後からの所定区間、或いは燃料カットリカバー後からの所定区間で、O2センサの出力信号の振幅を測定して所定の判定基準振幅と比較して判定することができる。また、反転回数判定では、O2センサの活性後からの所定区間、或いは燃料カットリカバー後からの所定区間で、O2センサの出力信号の反転回数を測定して所定の判定基準反転回数と比較して判定することができる。また、振幅判定と反転回数判定の両方を組み合せて判定することもできる。
(2)異常レベルBに関する異常検出では、O2センサの活性後からの少なくとも1サイクル以上のO2センサ17の出力信号と最大電圧λ−Maxと最小電圧λ-Minを比較してO2センサの出力信号の異常判定ができる。本実施例では、O2センサ17の出力信号が最大電圧λ−Maxと最小電圧λ-Minの両方を越えて出力信号が出力されないと出力異常が生じていると判定することができる。
(3)異常レベルCに関する異常検出では、O2センサの活性後からの少なくとも1サイクル以上のO2センサ17の出力信号の平均電圧と許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dを比較して、平均電圧が許容上限電圧λ−Uと1許容下限圧λ-Dの範囲から外れたかどうかでリッチシフト、或いはリーンシフトが生じていると判定することができる。
尚、以上に説明した異常状態は代表的な例であり、この他にも多くの異常状態があるので、これに対応して異常レベルを設定することが可能である。要は、異常種別、或いは異常の度合いに対応して異常レベルA、B、Cを設定してやれば良いものである。
上記した方法でO2センサ17の異常検出が行われて異常レベルが決定されると、これに対応したパータベーション制御の変更が実行される。
(1)異常レベルAでは、そもそもパータベーション制御を実行する意味がなくなるのでパータベーション制御を停止して通常の制御に戻す制御を実行する。尚、O2センサ17が断線、短絡している場合はO2センサ17によるフィードバック制御も停止して空燃比学習を停止させるが、A/Fシフトが大きい場合はO2センサ17によるフィードバック制御を継続して空燃比学習を継続させることも可能である。
(2)異常レベルBでは、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を小さく、かつ周波数を高くして、図5にあるようにパータベーション制御による影響度がより小さくなるように制御する。
(3)異常レベルCでは、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を小さくするか、或いは周波数を高くして、図5にあるようにパータベーション制御による影響度が小さくなるように制御する。この場合、異常レベルBに比べてパータベーション制御による浄化率の影響度は大きいものとなる。ここで、本実施例では空燃比振動の振幅を小さくする制御を実行するようにしているが、周期を短くして対応することも可能である。
次に、上述したO2センサ17の出力信号によって異常状態とその異常レベルを判定し、この異常レベルに対応したパータベーション制御の具体的な制御フローを図8A乃至図8Dに基づき説明する。
今、運転者によって内燃機関が始動されると以下に示す制御フローが実行される。この場合の制御フローはフリーランタイマのコンペアマッチ割り込みによって一定時間毎に起動され、例えば10ms毎の時間割り込みで実行される。
≪ステップS10≫
図8Aにおいて、ステップS10では、特許文献1に示されるような一般的なパータベーション制御が実行されている。パータベーション制御は、触媒コンバータの下流側に理論空燃比でスイッチング的に出力が変化するO2センサを設け、空燃比を強制的に振動させた場合に、その時のO2センサの出力によって空燃比振動(例えば、平均空燃比)による空燃比の強制変動状態を補正して、三元触媒の浄化効率が高くなるように空燃比を補正するものである。
≪ステップS11≫
内燃機関が始動されて排気ガスが排気管を通して三元触媒コンバータ15に流入し、三元触媒コンバータ15を暖機して大気に放出される。このとき、空燃比センサ16やO2センサ17も暖機されて出力信号が立ち上っていく。O2センサ17の出力信号の平均電圧が所定の電圧に達するとO2センサ17が活性化したと判断して次のステップに進む。O2センサ17が暖機されていない場合は暖機されるまで次のステップには進まない。
≪ステップS12≫
O2センサ17が暖機されると、ステップS12でO2センサ17の出力信号を取り込み出力信号の変化状態の監視を開始する。この出力信号の変化状態の監視が開始されると以下の制御ステップが実行され、異常レベル毎のパータベーション制御を実行することになる。
≪ステップS13≫
まず、ステップS13ではO2センサが活性化して所定時間が経過したか、或いは燃焼サイクルが所定サイクル数だけ実行されたか、或いはO2センサ17の出力信号の変動サイクルが所定サイクル数だけ出力されたか等の比較を行って、所定区間の経過が判断される。以上の所定時間や所定サイクルをまとめて所定区間と定義する。本実施例ではO2センサが活性化してから所定時間を経過したかどうかを判断している。所定時間を経過していない場合は再びステップS13に戻り時間の経過を監視する。所定時間が経過するとステップS14に移行する。
≪ステップS14≫
ステップS14では、所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以上に亘って発生したかどうかが判断されている。この判断を行うのはO2センサ17の断線や短絡を検出するためである。図6にある通り、O2センサ17の電気的な故障で断線状態になると、O2センサ17の断線出力信号Oは例えば350mV程度の固定出力に維持され、短絡状態になるとO2センサ17の短絡出力信号Sは例えば1.2V程度の固定出力に維持される。したがって、O2センサ17の出力信号は実質的に固定出力となるので信号反転がなく、O2センサ17の出力信号の反転回数が所定回数以下となってO2センサ17の断線や短絡を検出することができる。尚、大幅な「A/Fシフト」状態になると出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない固定出力(周期性が検出できない)に近い状態となるので、このステップS14でも、大幅な「A/Fシフト」を検出することが可能である。
ステップS14で、所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以上であるとO2センサ自身の故障は発生していないと判断してステップS15に移行し、所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以下であるとO2センサ自身の故障が発生していると判断してステップS16に移行する。この場合、異常レベルは上述した通り、O2センサ17によるパータベーション制御ができない状態なので異常レベルAと判断されている。
≪ステップS15≫
ステップS14でO2センサ17自身の故障がないと判断されると、ステップS15では大幅な「A/Fシフト」が発生しているかどうかが判断される。一般に「A/Fシフト」が生じていない場合は、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。図7A、図7Bにある通り、平均電圧が許容上限電圧λ−Uを越えると無視できないリッチシフトが発生していると判断でき、平均電圧が許容下限電圧λ−Dを越えるとこれも無視できないリーンシフトが発生していると判断できる。そして、大幅なリッチシフトやリーンシフトが発生すると、最大電圧λ−Maxや最小電圧λ−Minを越えて出力信号が発生しており、出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない状態となる。そこで、この大幅な「A/Fシフト」を検出するために、ステップS15ではO2センサ17の出力信号の最大出力と最小出力の振幅を求め、この振幅が判定基準値を越えているかどうかが判断される。振幅が判定基準値より小さいと大幅な「A/Fシフト」が発生しているとしてステップS16に移行する。また、振幅が判定基準値より大きいと大幅な「A/Fシフト」が発生していないとしてステップS17に移行する。このステップS15で大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、空燃比制御装置を含む排気浄化システムに異常が発生しているとして異常レベルAと判断される。尚、O2センサ17の断線や短絡でも信号反転が認められない固定出力(周期性が検出できない)の状態となるので、このステップS15でも、O2センサ17の断線や短絡を検出することが可能である。
≪ステップS16≫
ステップS14、ステップS15で、O2センサ17自身に断線、短絡を発生している、或いは大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、これらの判断は最もレベルが高い異常レベルAと判断されている。したがって、ステップS16では、この異常レベルAに対応してパータベーション制御の変更モードAを実行する。O2センサ17の断線、短絡、或いは大幅な「A/Fシフト」によるO2センサ17の異常出力信号に基づいてパータベーション制御を実行すると、空燃比の強制振動は三元触媒の浄化率を悪化させる方向に制御されることになる。このため、この変更モードAではパータベーション制御自体を停止して、通常の制御を実行するようにしている。したがって、パータベーション制御による強制的な空燃比の振動が起こらないので、三元触媒の浄化効率を悪化させる方向に移行することがないものである。
以上に説明したステップS13〜ステップS16までが、O2センサ17が活性化した直後に実行される、異常レベルAに対応したパータベーション制御であり、その特徴はパータベーション制御を停止して三元触媒の浄化効率を悪化させないところである。ステップA16でパータベーション制御が停止されると、図8Dに示す制御フローの「A」に進み、その後、以下に説明するステップS17に戻るものである。
≪ステップS17≫
図8Bにおいて、ステップS13〜ステップS16までの制御ステップで、O2センサ17が活性化して所定区間経過した時点で、O2センサ17に断線や短絡の異常、及び大幅な「A/Fシフト」が生じていないと判断されると、現時点では異常レベルAに対応した異常が生じていないとしてステップS17を実行する。
ステップS17では、減速時の燃料カット状態から燃料の噴射を再開する燃料カットリカバリー制御中かどうかを判断している。燃料カット中は燃料が供給されていないので三元触媒の酸素蓄積量は多量である。その状態から燃料カットリカバリー制御が行われるのでO2センサ17の出力信号がリーン状態からリッチ状態に明確に立ち上がることになる。これを利用して、内燃機関が運転されている状態で、再度異常レベルAの判定を実行するものである。したがって、ステップS17で燃料カットリカバリー制御中であると判断されるとステップS18に進み、ステップS17で燃料カットリカバリー制御中でないと判断されるとステップS22に進むものである。
≪ステップS18≫
ステップS18では燃料カットリカバリー後から所定時間を含む所定区間を経過したかどうかが判断される。所定区間が経過していないと判断されると再びステップS18に戻って同様の判断を継続するものである。一方、燃料カットリカバリー後から所定区間を経過したと判断されると、ステップS19に移行することになる。ここで、本実施例では所定区間として所定時間が使用されている。
≪ステップS19≫
ステップS19、ステップS20はステップS14、ステップS15と同じ判断であるが、ステップS19、ステップS20はステップS14、ステップS15の後の通常の運転状態で新たに異常が発生していないかどうかを検出するためのものである。
ステップS19では、ステップS14と同様に所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以上に亘って発生したかどうかが判断されている。この判断を行うのはO2センサ17の断線や短絡を検出するためである。O2センサ17の電気的な故障で断線状態になると、O2センサ17の断線出力信号Oは例えば350mV程度の固定出力に維持され、短絡状態になるとO2センサ17の短絡出力信号Sは例えば1.2V程度の固定出力に維持される。したがって、O2センサ17の出力信号は固定出力となるので、信号反転がなく、O2センサ17の出力信号の反転回数が所定回数以下となってO2センサ17の断線や短絡を検出することができる。
ステップS19で、所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以上であるとO2センサ自身の故障は発生していないと判断してステップS20に移行し、所定時間内にO2センサの出力信号の反転回数が所定回数以下であるとO2センサ自身の故障が発生していると判断してステップS21に移行する。この場合、異常レベルは上述した通り、O2センサ17によるパータベーション制御ができない状態なので異常レベルAと判断されている。
≪ステップS20≫
ステップS19でO2センサ17自身の故障がないと判断されると、ステップS20では大幅な「A/Fシフト」が発生しているかどうかが判断される。一般に「A/Fシフト」が生じていない場合は、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。図7A、図7Bにある通り、平均電圧が許容上限電圧λ−Uを越えると無視できないリッチシフトが発生していると判断でき、平均電圧が許容下限電圧λ−Dを越えるとこれも無視できないリーンシフトが発生していると判断できる。そして、大幅なリッチシフトやリーンシフトが発生すると、最大電圧λ−Maxや最小電圧λ−Minを越えて出力信号が発生しており、出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない状態となる。そこで、この大幅な「A/Fシフト」を検出するために、ステップS20ではO2センサ17の出力信号の最大出力と最小出力の振幅を求め、この振幅が判定基準値を越えているかどうかが判断される。振幅が判定基準値より小さいと大幅な「A/Fシフト」が発生しているとしてステップS16に移行する。また、振幅が判定基準値より大きいと大幅な「A/Fシフト」が発生していないとしてステップS17に移行する。このステップS15で大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、空燃比制御装置を含む排気浄化システムに異常が発生しているとして異常レベルAと判断される。
≪ステップS21≫
ステップ19、ステップ20で、O2センサ17自身に断線、短絡を発生している、或いは大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、これらの判断は最もレベルが高い異常レベルAと判断されている。したがって、ステップS21では、この異常レベルAに対応してパータベーション制御の変更モードAを実行する。O2センサ17の断線、短絡、或いは大幅な「A/Fシフト」によるO2センサ17の異常出力信号に基づいてパータベーション制御を実行すると、空燃比の強制振動は三元触媒の浄化率を悪化させる方向に制御されることになる。このため、この変更モードAではパータベーション制御自体を停止して、通常の制御を実行するようにしている。したがって、パータベーション制御による強制的な空燃比の振動が起こらないので、三元触媒の浄化効率を悪化させる方向に移行することがないものである。ステップA21でパータベーション制御が停止されると、図8Dに示す制御フローの「A」に進み、その後、ステップA17に戻るものである。
以上に説明したステップS17〜ステップS21までが、通常運転中の減速リカバリ―後の異常レベルAに対応したパータベーション制御であり、その特徴はパータベーション制御を停止して三元触媒の浄化効率を悪化させないところである。
また、本実施例ではステップS14、S15とステップS19、S20で2回同じ判断を行うことで、異常の検出精度を上げることができる。
≪ステップS22≫
図8Cにおいて、ステップS17で燃料カットリカバリー制御中でなく、通常の運転状態であると判断された場合と、O2センサ17に断線や短絡、或いは大幅な「A/Fシフと」がない場合はステップS22が実行される。このステップS22ではO2センサ17の出力信号にリーンピーク、或いはリッチピークが発生しているかどうかを判定している。リッチピーク、或いはリーンピークが発生していないと判断されるとステップS17に戻り、上述の制御ステップを繰り返すことになる。一方、このステップで、O2センサ17の出力信号にリーンピーク、或いはリッチピークが発生していると判断されると、ステップS23に移行することになる。
≪ステップS23≫
ステップ22でO2センサ17の出力信号にリーンピーク、或いはリッチピークが発生していると判定されているので、ステップS23ではリーンピーク、或いはリッチピークの発生回数が2回以上継続して発生しているかどうかを判定している。リッチピーク、或いはリーンピークが2回以上発生していないと判断されるとステップS17に戻り、上述の制御ステップを繰り返すことになる。一方、このステップで、O2センサ17の出力信号にリーンピーク、或いはリッチピークが2回以上発生していると判断されると、ステップS24に移行することになる。尚、このリーンピーク、リッチピークの回数は2回でなくても良く、適用システムに適切な回数を設定すれば良いものである。
≪ステップS24≫
ステップS24では、ステップS15と同様に、大幅な「A/Fシフト」が発生しているかどうかが判断される。一般に「A/Fシフト」が生じていない場合は、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。図7A、図7Bにある通り、平均電圧が許容上限電圧λ−Uを越えると無視できないリッチシフトが発生していると判断でき、平均電圧が許容下限電圧λ−Dを越えるとこれも無視できないリーンシフトが発生していると判断できる。そして、大幅なリッチシフトやリーンシフトが発生すると、最大電圧λ−Maxや最小電圧λ−Minを越えて出力信号が発生しており、出力信号の振幅が極めて小さく信号反転が認められない状態となる。そこで、この大幅な「A/Fシフト」を検出するために、ステップS24ではO2センサ17の出力信号の最大出力と最小出力の振幅を求め、この振幅が判定基準値を越えているかどうかが判断される。振幅が判定基準値より小さいと大幅な「A/Fシフト」が発生しているとしてステップS16に移行する。また、振幅が判定基準値より大きいと大幅な「A/Fシフト」が発生していないとしてステップS26に移行する。このステップS24で大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、空燃比制御装置を含む排気浄化システムに異常が発生しているとして異常レベルAと判断される。もちろん、この場合でもO2センサ17の断線、短絡を検出するようにしても良いことは言うまでもない。
≪ステップS25≫
ステップS24で、大幅な「A/Fシフト」が発生していると判断されると、この判断は最もレベルが高い異常レベルAと判断されている。したがって、ステップS25では、この異常レベルAに対応してパータベーション制御の変更モードAを実行する。大幅な「A/Fシフト」によるO2センサ17の異常出力信号に基づいてパータベーション制御を実行すると、空燃比の強制振動は三元触媒の浄化率を悪化させる方向に制御されることになる。このため、この変更モードAではパータベーション制御自体を停止して、通常の制御を実行するようにしている。したがって、パータベーション制御による強制的な空燃比の振動が起こらないので、三元触媒の浄化効率を悪化させる方向に移行することがないものである。
ステップS22乃至ステップS25は、ステップS17で減速状態にないと判断された後にO2センサ17の断線、短絡、大幅な「A/Fシフト」を検出しているので、更に検出精度を高めることができる。
≪ステップS26≫
ステップS24でO2センサの断線、や短絡、或いは大幅な「A/Fシフト」が発生していないと判断されると、ステップS26で現在の時間でパータベーション制御が停止されているかどうかを判断する。パータベーション制御が停止されていると通常の空燃比制御が実行されているため、一般的にO2センサの断線や短絡、或いは大幅な「A/Fシフト」が生じていない場合では、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。したがって、ステップS24の判断で、O2センサ17の出力信号が振幅を持った信号であれば、パータベーション制御を実行しても良い環境にあると推定している。したがって、パータベーション制御が停止中でなければステップS28に進んで次の判断を待つことになる。一方、パータベーション制御が停止中であればステップS27に移行することになる。
≪ステップS27≫
ステップS26でパータベーション制御が停止中と判断されていると、空燃比は通常状態で制御されているので、O2センサ出力は理論空燃比に対応する理論空燃比電圧を中心に所定の振幅を有してリッチ状態、或いはリーン状態を検出している。したがって、この状態でO2センサ17の出力信号が振幅を持った信号であれば、パータベーション制御を実行しても良いと判断して、パータベーション制御の再開を実行する。この時のパータベーション制御による空燃比振動の振幅、周波数は、停止前のパータベーション制御での振幅、周波数を用いている。
≪ステップS28≫
ステップS26でパータベーション制御が停止されていない(パータベーション制御が継続して実行中)と判断された場合、或いはステップS27でパータベーション制御が再開されると、ステップS28でO2センサ17の出力信号が、O2センサの活性後からの少なくとも1サイクル以上のO2センサ17の出力信号と最大電圧λ−Maxと最小電圧λ-Minを比較して、出力信号が最大電圧λ−Maxと最小電圧λ-Maxの両方を横切ったどうかでO2センサの出力信号の異常判定を行っている。本実施例では、O2センサ17の最大出力電圧が最大電圧λ−Maxより大きく、最小電圧λ-Minより小さければ、O2センサ17の出力が正常と判断してステップS31に進む。一方、O2センサ17の最大出力電圧が最大電圧λ−Maxより小さいか、或いは最小電圧λ-Minより大きいか、或いはO2センサ17の出力電圧が最大電圧λ−Maxより小さく、かつ最小電圧λ-Minより大きいと、O2センサ17の出力が異常と判断してステップS29に進むものである。この場合、図6にある通り異常レベルBと判断される。
≪ステップS29≫
ステップ28でO2センサ17の出力が異常と判断されると、触媒コンバータ15の下流に設けたO2センサ17の出力信号に基づく空燃比フィードバック(O2フィードバック)と、O2センサ17の出力信号に基づく空燃比学習(O2学習)を停止する。また、この後に異常レベルBに対応してパータベーション制御の振幅と周波数が変更されることになる。
≪ステップS30≫
ステップ30では、パータベーション制御による三元触媒の浄化率への影響を低減するため、パータベーション制御における空燃比振動の振幅と周期を変更するべく、変更モードBを実行する。この変更モードBの場合は、ステップS28の判断時点より前の空燃比振動の振幅に対して、変更後の振幅を小さくする。また同様に、判断時点より前の空燃比振動の周期に対して、変更後の周期を短くする(周波数を高くする)。この場合、空燃比振動の振幅及び周期については、リッチ側とリーン側で同じ振幅と周期を与える構成としている。図5にある通り、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を小さくすれば、パータベーション作用の影響度は小さくなり、また、空燃比振動の周期を短くすれば、パータベーション作用の影響度は小さくなる。この2つのパラメータを同時に影響度が小さくなる方向に制御することで、異常レベルBに対応したパータベーション制御を実行できる。これによって、三元触媒の浄化効率を悪化させる方向に移行することがないものである。この制御ステップを終了すると再びステップS17に戻って同じ制御ステップを実行する。
≪ステップS31≫
ステップS28では、O2センサ17の最大出力電圧が最大電圧λ−Maxより大きく、最小出力電圧が最小電圧λ-Minより小さければ、O2センサ17の出力が正常と判断される。したがって、ステップS31では、現在の空燃比制御状態がO2フィードバックとO2学習が停止されている状態かどうかが判断される。このステップS31では、パータベーション制御の変更モードBの実行によってO2センサ17の出力信号が正常状態になったことで、ステップS29でO2フィードバックとO2学習が停止された状態からの復帰を実行するものである。したがって、ステップS31でO2フィードバック及びO2学習が停止状態にあるかどうかを判断している。O2フィードバックおよびO2学習が停止状態にあるとステップS32に移行する。尚、ステップS31でO2フィードバック及びO2学習が停止状態にないという判断がなされると、異常レベルBに対応するO2センサ17の出力異常がないことを意味しているのでステップS34に移行するものである。
≪ステップS32≫
ステップS31でO2フィードバックとO2学習が停止されている状態と判断されると、ステップS32ではO2フィードバックとO2学習の再開が実行される。これによって空燃比が補正され、更に学習されることになる。
≪ステップS33≫
ステップ33では、ステップS30によって実行されているパータベーション制御の変更モードBを解除する。この変更モードBの解除は、変更モードBにおける空燃比振動の振幅に対して、解除後の振幅を大きくする。また同様に、変更モードBにおける空燃比振動の周期に対して、解除後の周期を長くする(周波数を低くする)。この場合、空燃比振動の振幅及び周期については、リッチ側とリーン側で同じ振幅と周期を与える構成としている。図5にある通り、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を変更モードBに対して大きくすれば、パータベーション作用の影響度は大きくなり、また、空燃比振動の周期を長くすれば、パータベーション作用の影響度は大きくなる。この2つのパラメータを同時に影響度が大きくなる方向に制御することで、三元触媒の浄化率を高めることができるようになる。
≪ステップS34≫
ステップS31でO2フィードバックとO2学習が停止されていない(O2フィードバックとO2学習が継続して実行中)と判断された場合、或いはステップS33でパータベーション制御の変更モードBが解除されると、O2センサの活性後からの少なくとも1サイクル以上のO2センサ17の出力信号の平均電圧と許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dを比較して、出力信号の平均電圧が許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dを越えているかどうかで、小程度〜中程度のリッチシフト、或いはリーンシフトが発生しているかどうかを判断できる。したがって、O2センサ17の出力信号の平均電圧が許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dを越えていると、小程度〜中程度のリッチシフト、或いはリーンシフトが発生しているとしてステップS35に移行する。この場合、図7A、図7Bにある通り、この異常に関するレベルは異常レベルCと判断される。一方、小程度〜中程度のリッチシフト、或いはリーンシフトが発生していないと判断されるとステップS36に移行することなる。
≪ステップS35≫
ステップ35では、パータベーション制御による影響を低減するため、パータベーション制御における空燃比振動の振幅を変更するべく、変更モードCを実行する。この変更モードCの場合は、ステップS34の判断時点より前の空燃比振動の振幅に対して、変更後の振幅を小さくするが、空燃比振動の周期は変更されていない。逆に周期を短くして振幅を変えなくても対応することは可能である。ただ、振幅を変更した方がパータベーション制御の効果が大きいので、本実施例では振幅を小さくする方向で制御している。この場合、空燃比振動の振幅については、リッチ側とリーン側で同じ振幅を与える構成としている。
図5にある通り、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を小さくすれば、パータベーション作用の影響度は小さくなり、異常レベルCに対応したパータベーション制御を実行できる。これによって、三元触媒の浄化効率を悪化させる方向に移行することがないものである。この制御ステップを終了すると再びステップS17に戻って同じ制御ステップを実行する。
≪ステップS36≫
ステップS34では、O2センサ17の出力信号の平均電圧と許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dを比較して、出力信号の平均電圧が許容上限電圧λ−Uと許容下限電圧λ-Dの範囲内にあれば、O2センサ17の出力が正常と判断される。したがって、ステップS36では、現在の状態がパータベーション制御の変更モードCの状態かどうかが判断される。このステップS36では、パータベーション制御の変更モードCの実行によってO2センサ17の出力信号が正常状態になったことで、ステップS35で変更モードCの状態からの復帰を実行するものである。したがって、ステップS36で変更モードCの状態にあるかどうかを判断しており、変更モードCの状態にあるとステップS37に移行する。尚、ステップS36で変更モードCの状態にないという判断がなされると、異常レベルCに対応するO2センサ17の出力異常がないことを意味しているので、再びステップS17に戻って同じ制御ステップを実行する。この場合は、O2センサ17がいずれの異常出力を検出せず、排気ガス浄化システムが正常であることを示しており、パータベーション制御が通常通り実行されるものである。
≪ステップS37≫
ステップS36で変更モードCが実行されている状態と判断されると、ステップ37では、ステップS35によって実行されているパータベーション制御の変更モードCを解除する。この変更モードCの解除は、変更モードCにおける空燃比振動の振幅に対して、解除後の振幅を大きくする。この場合、空燃比振動の振幅については、リッチ側とリーン側で同じ振幅を与える構成としている。図5にある通り、パータベーション制御による空燃比振動の振幅を変更モードBに対して大きくすれば、パータベーション作用の影響度は大きくなる。したがって、パータベーション作用の影響度が大きくなる方向に空燃比振動の振幅の制御することで、三元触媒の浄化率を高めることができるようになる。
以上述べた通り、本発明によれば、三元触媒の下流に設けたO2センサの出力によって空燃比の「A/Fシフト」或いはO2センサの出力異常を検出し、これに基づいて三元触媒の排気浄化性能が悪化しない方向に、パータベーション制御による空燃比の振幅或いは周期、或いは周期と振幅を変更する構成としている。これによれば、空燃比の「A/Fシフト」やO2センサの出力異常が生じた場合に、適切なパータベーション制御を実行して、三元触媒の排気ガス浄化性能を向上することができる。
2…エアクリーナ、5…スロットル弁、6…流量検出装置、7…回転数検出手段、8…プレートまたはリングギア、9…燃料タンク、10…燃料ポンプ、11…プレッシャーレギュレータ、12…燃料管、13…燃料噴射装置、15…三元触媒、16…空燃比センサ、17…O2センサ、18…内燃機関の制御装置、19…点火装置。

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気系に設けた三元触媒コンバータの下流に配置されたO2センサの出力によって燃料供給手段から供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、前記燃料供給手段から供給される混合気の空燃比を所定の周期及び振幅で振動させる空燃比振動手段を備えてなる内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記O2センサの出力信号によって検出される異常状態をその重要度に応じてレベル分けし、レベル分けされた異常状態に対応して前記空燃比振動手段による空燃比振動の振幅或いは周期、或いは周期と振幅を変更することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記異常状態は少なくとも異常レベルA、異常レベルB及び異常レベルCにレベル分けされており、異常レベルAでは前記空燃比振動手段による空燃比振動を停止する変更モードAを実行し、異常レベルBでは前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期を短くすると共に振幅を小さくする変更モードBを実行し、異常レベルCでは前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期を短くするか、或いは空燃比振動の振幅を小さくする変更モードCを実行することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記異常レベルAは前記O2センサの断線、短絡及び大幅な「A/Fシフト」が生じる異常であり、前記異常レベルBは前記O2センサの出力信号が所定の最大電圧と最少電圧を共に越えて変化しない出力異常であり、前記異常レベルCは前記O2センサの出力信号の平均電圧が所定の電圧範囲から外れて空燃比がシフトされた異常であることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記O2センサの出力信号の振幅が所定の判定基準値と比較して小さい場合、或いは前記O2センサの出力信号の反転回数が所定の判定反転回数と比較して小さい場合に、前記O2センサの断線、短絡及び大幅な「A/Fシフト」が発生したと判断することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記異常レベルAは、前記O2センサが活性化した後の所定区間の間に判断され、更に減速カットリカバリー後の所定区間の間に判断されることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記変更モードBに変更する場合は、前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期をリッチ側とリーン側で同じ量だけ短くすると共に空燃比振動の振幅をリッチ側とリッチ側で同じ量だけ小さくし、前記変更モードCに変更する場合は、前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期をリッチ側とリーン側で同じ量だけ前記変更モードBの場合より長くするか、或いは空燃比振動の振幅をリッチ側とリーン側で同じ量だけ前記変更モードBの場合より大きくすることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記変更モードBを解除する場合は、前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期を前記変更モードBの場合より長くすると共に空燃比振動の振幅を前記変更モードBの場合より大きくし、前記変更モードCを解除する場合は、前記空燃比振動手段による空燃比振動の周期を前記変更モードCの場合より長くするか、或いは空燃比振動の振幅を前記変更モードCの場合より大きくすることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
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