JP2016056467A - 空調服用腰ベルト - Google Patents

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【課題】空調服(ファン付きジャケット,扇風機付き作業服)を着用してファンを作動させたときに、上半身だけでなく下半身も涼しくなるためのベルトを提供すること。【解決手段】長手方向を横方向、短手方向を縦方向とするベルト基体20を有し、ベルト基体20には、面ファスナーのような横方向の一端には一のジョイント30Aを、他端には他のジョイント30Bを具備し、一のジョイントと他のジョイントとが互いに係止されることにより脱着自在である空調服用腰ベルト10であって、ベルト基体20には、可撓性材料製である円筒状の管40または円柱状の棒が縦方向に伸びるように複数本(図では18本)具備されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、特に空調服とともに使用する際に有用な空調服用腰ベルト関する。
近年、モーターの小型化と、電池の長寿命化の技術が発展してきたことに伴い、作業服の上着(ブルゾンなど上半身の外側に着衣する服)自体に小型ファン(送風機)を組み込んだ空調服(ファン付きジャケット,扇風機付き作業服などとも呼ばれている。)が普及し始めてきた(例えば、特許文献1)。
このような空調服を着用すると、たとえば炎天下のもとでの作業でも涼しく作業できるので、作業者は快適に作業がはかどるとともに、熱中症の予防など安全面からも有用である。室内の作業においても、近年のエコ意識の高まりにより、室内の空調を高めに設定している仕事場も多いが、特に暑さに弱い人にとって、このような空調服を着用して作業すれば、そのような環境においても作業効率を高めるのに役立っている。
ただし空調服の小型ファンはジャケットなど上半身の衣服に組み込まれているので、ファンを作用させると、上半身は涼しいが下半身は外気温と同じで暑いまま、という状態である。これでは体感の涼しさも半減する。加えて上半身のみを冷却すると上半身と下半身との温度差が大きくなるので、体内リズムが狂って疲れやすくなるという問題もあった。
そこで、作業用ズボンといった下半身において外側に着衣する服にも同様に小型ファンを組み込んだ空調ズボンの技術も現れてきた(特許文献2など)。このように空調服とともに空調ズボンを着衣して両方のファンを作用させれば、全身に涼しさを感じることができ、また上半身と下半身の温度差もほぼなくなることで体調の改善にもつながっている。
特開2005-315085号公報
特開2007−16335号公報
しかしながら、上記のような空調ズボンを利用するとなると、ファン運転のランニングコストが2倍近く高くなるだけでなく、歩いたり座ったりして下半身の姿勢が変わる際にズボンに組み込んだ小型ファンが邪魔になり、かえって作業効率を損なうという問題があった。
そこで本発明では、ズボンに小型ファンを組み込んだ空調ズボンを用いなくても、上半身のみならず下半身も涼しい簡便な手段を提供することを提供することを課題とする。
本発明者は、空調服からの小型ファンから発生する風を、下半身側にも流れ込ませることのできる衣類があれば、空調ズボンを用いなくても下半身も涼しい環境におけるのではないかということを着想し、鋭意検討の結果、本発明に至った。
すなわち本発明では、長手方向を横方向、短手方向を縦方向とするベルト基体を有し、前記ベルト基体の横方向の一端には一のジョイントを、他端には他のジョイントを具備し、前記一のジョイントと前記他のジョイントとが互いに係止されることにより脱着自在である空調服用腰ベルトであって、
前記ベルト基体には、可撓性材料製である円筒状の管または円柱状の棒が縦方向に伸びるように複数具備されていることをを最も主要な特徴とする。
本発明の空調服用腰ベルトによれば、空調服とともに用いるだけで、空調ズボンを用いなくても、上半身のみならず下半身も涼しい環境にすることができるので、特に屋外での作業などで快適な環境が提供できる。また空調ズボンのように、作業用ズボンに余分なものを取り付ける必要がないので、作業上の支障がほとんどない。
本発明の空調服用腰ベルトによる下半身の冷却においては、腰に直接風が当たらないように工夫しているので、腰が冷えて腰痛になるようなことがない。むしろ、本発明の空調服用腰ベルトの副次的作用として、背中を丸める姿勢が多いような作業においては、本発明の空調服用腰ベルトの着用で、腰を伸ばした姿勢を維持できるので、腰痛の予防にも効果がある。
本発明の空調服用腰ベルトの外観概要を示した斜視図である。 本発明の空調服用腰ベルトの使用状態を示した説明図である。 図2におけるA−A線断面図である。 本発明の空調服用腰ベルトの構成要素分解図である。
以下、図面を用いて詳細に説明するが、本発明は図面で示された様態のみに限られるものではない。
(空調服用腰ベルトの概要)
本発明の空調服用腰ベルト10(以下、単に「空調服用腰ベルト10」ということがある。)は、図1に示したとおり布帛製の横長のベルト基体20に、可撓性材料製である円筒状の管40または円柱状の棒が複数本、すなわち2本以上、縦方向に伸びるように具備されているものである。なお図面では円筒状の管40の場合を示している。ベルト基体20の横方向両端は互いに係止できるジョイントが設けられている。つまりこの空調服用腰ベルト10の使用状態を示した図2から分かるとおり、作業者60の腰付近でこの空調服用腰ベルト10を巻いてジョイントで係止させれば、空調服用腰ベルト10は図3のA−A線断面図に示したような円環形状になって腰に巻き付けることができる。またこの空調服用腰ベルト10はジョイントの係止を外すことで簡単に取り外すことができるので、脱着自在である。
(空調服用腰ベルトの使用方法)
本発明の空調服用腰ベルト10の通常の使用方法としては、作業者60が、下着の上から空調服用腰ベルト10を腰に巻き、その上から空調服50を着て作業用ズボンを穿く。さらにその上から作業用ズボンのベルト通しを通して通常の腰ベルトを締めてもよい。この状態で空調服50のファン52を作動させると、図2に示したとおり、ファン52から発生して上半身を冷却した風は、空調服用腰ベルト10を通じて下半身へ向かい、下半身を冷却する。図2で複数の矢印で示されているのは、作業服内側における風の流れである。
最近、新しい空調服として、ツナギ服にファン52を組み込んだものも現れてきた。このような空調服であってもその上から通常のベルトを締めてしまうと、やはり下半身には風が通り抜けない。このような場合でも本発明の空調服用腰ベルト10を用いれば、下半身への風通しが確保される。
(ベルト基体)
ベルト基体20は、布帛など着衣に心地よい素材で作製されていることが好ましい。ベルト基体20の布帛の例としては、たとえばポリエステルなどの合成繊維、綿などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維およびこれらの混合繊維などを挙げることができる。また布帛生地としてはメッシュ生地も好適に使用できる。
ベルト基体20に用いる布帛は、一枚生地でもよいし、二枚重ね生地であってもよい。二枚重ね生地の場合、図4の分解図のように、二枚の布帛22の間に柔軟性を有する合成樹脂板が補助板24として挟まれていることが好ましい。このような補助板24を設けることにより、取り付けられる管40が安定するとともに、作業において作業者60の姿勢保持にも役立つ。またこのような補助板24を設けると、腰部に直接風が当たらなくなるので、腰部の冷えが軽減される。柔軟性を有する合成樹脂板の代表的な具体例としては、軟質塩化ビニール板やポリエチレン板を挙げることができる。
(ジョイント)
ベルト基体20の横方向両端に設けられる互いに係止できる一のジョイント30Aと他のジョイント30Bの例としては、面ファスナーのフック面とループ面,スナップボタンの凸ボタンと凹ボタン,かぎフックのかぎ部とループ部,ボタンとボタン穴などを挙げることができる。ジョイントがこのようなものであれば、本発明の空調服用腰ベルト10としても、脱着自在になり得る。なかでもジョイントが面ファスナーであれば、着衣者の胴回りの大きさに合わせて柔軟に対応しやすい点で好ましい。図示した例はジョイントが面ファスナーの場合である。
本発明の空調服用腰ベルト10では、図1に示したようにベルト基体20の横方向両端の縦方向長さは、横方向中央の縦方向長さよりも短いことが好ましい。これは、本発明の空調服用腰ベルト10を着用する際には、図2,図3に示したように、ベルト基体20の中央が背中の背骨のあたり、ベルト基体20の両端は、腹の臍のあたりでジョイント同士が係止することを想定しているためである。腹側の縦方向長さが長いと、作業における前屈姿勢などが取りにくくなり、作業効率が落ちてしまう。このため、ベルト基体20の腹側の縦方向長さは、少なくとも背中側の縦方向長さよりも短くすることが好ましい。具体的な長さの例示としては、ベルト基体20の中央の縦方向長さが200〜300mm程度,横方向両端の縦方向長さが30〜70mm程度にすることが好ましい。
(円筒状の管,円柱状の棒)
本発明でいう円筒状の管40とは、その内部に空洞があり、両端が開口している円筒形状のものをいう。一方、円柱状の棒とは、管のような内部に空洞がない円柱状のものをいう。円筒,円柱の円形状は真円であるのが一般的であるが、楕円であっても差し支えない。本発明における円筒状の管40は、ファン52によって上半身の作業着の内側で発生した風の流れを、下半身側も流れるような風通しを確保することにある。円筒状の管40の場合、風は管の内部空洞を通って下半身側に流れるのと同時に、一の円筒状の管40と隣接する他の円筒状の管40との間を通っても下半身側に流れる。円柱状の棒の場合でも、一の円柱状の棒と隣接する他の円柱状の棒の間を通って風が下半身側に流すことは可能である。また一つの空調服用腰ベルト10に、円筒状の管40と円柱状の棒とが混在していてもよい。ただし、下半身に風を流すチャネルが多い分、本発明では円柱状の棒よりも円筒状の管40のほうが好ましい。(以下、円筒状の管40と円柱状の棒をまとめて「円筒状の管等40」と表記することがある。
円筒状の管等40の長さは特に制限されないが、通常のベルトを締めたときに、通風の出入り口をふさいでしまわないように、通常のベルト幅である20mm以上であることが好ましく、またベルト基体20を超え円筒状の管等40が伸びると先端折れなどの不都合が起こる可能性があるので、取り付けるベルト基体20の縦方向長さよりも短く、具体的には300mm以下であることが好ましい。さらには図1,図2に示したように、上半身風の流れをスムーズに下半身に送るためには、円筒状の管等40の上方に、ベルト基体20のみが存在するスペースを縦方向50mm程度設けた方が好ましい。従って円筒状の管等40の縦方向長さを250mm以下にして、その上方にベルト基体20だけのスペースを50mm程度設けた様態が、より好ましい。
なお、円筒状の管等40の直径はいずれのものも同じにすることが一般的であり、図示したのもそのような例であるが、異なる直径の円筒状の管等40を用いても本発明の作用に変わるところはない。また、円筒状の管等40の長さは、ベルト基体20の横方向両端の縦方向長さが横方向中央の縦方向長さよりも短くなるのに対応して、中央付近のの円筒状の管等40の長さよりも、両端側の円筒状の管等40の長さを短くすることが好ましい。
円筒状の管等40の直径も特に制限されないが、下半身に一様に風が送り込まれること、作業着の上から通常のベルトを締めても、押しつぶれにくいことなどを勘案すれば、直径3〜15mmであることが好ましい。円筒状の管等40の本数も複数、つまり2本以上であれば上限は特に制限されないが、あまり多く設けてもコストがかかるだけで本来の効果の差はほとんど認められないので、30本以下とすることが好ましい。なお図面では、円筒状の管40を18本設けた様態を図示している。
一の円筒状の管等40から、隣接する他の円筒状の管等40までの横方向距離も特に制限されないが、管の空洞からだけでなく、隣接する管や棒の間からの風が通りやすさを考えると、隣接する円筒状の管等40までの横方向距離が、円筒状の管等40の直径に対して1.5〜3.5倍であることが好ましい。なお、隣接する円筒状の管等40までの距離が円筒状の管等40の直径に対して1.0倍というのは、隣接する円筒状の管等40同士が接触している状態を意味する。したがって、仮に円筒状の管等40の直径が10mmの場合、好ましい円筒状の管等40の間隔は15〜35mmおきである。また隣接する円筒状の管40の直径が異なる場合は、両方の円筒状の管40の平均の直径について同様に考えることができる。
円筒状の管等40は、可撓性材料を用いて形成される。円筒状の管等40が可撓性を有していれば、ズボンの上から通常のベルトを締めても、円筒状の管等40の復元力が働き、風の通り道を維持できる。一方、円筒状の管等40の影響で本発明の空調服用腰ベルト10が全く縦方向に曲がらないのは作業において重大な支障が生じる。具体的には、円筒状の管等40の材料として外力を加えた場合に、形状復元力をほぼ全く発揮しない布帛による管や、反対に外力を加えても容易には曲がらない鉄管,土管,硬質塩化ビニール管などは可撓性がなく不適である。
可撓性を有する材料として具体的には、軟質塩化ビニール,ポリエチレン,ゴム,エラストマー材料を挙げることができる。なお、可撓性を有する材料と、ベルト基体20の補助板24に用いられる柔軟性を有する合成樹脂との違いは、柔軟性を有する合成樹脂には外力が加えられた場合の形状復元力は求められないのに対して、可撓性を有する材料には、外力が加えられた場合、ある程度の形状復元力が求められる点である。
(その他の構成要素)
本発明の空調服用腰ベルト10には、本発明の作用である、上半身に発生した風の流れを下半身側にも流すという基本的作用を阻害しない範囲で、その他の要素を付加してもよい。例えば、図4の構成要素分解図で図示したように、ベルト基体20における縁からのほつれ防止のために縁取り26を設けてもよい。また図示していないが、見栄えのために一の円筒状の管等40の外側から布帛のカバーを取り付けてもよいし、着心地向上のために、ベルト基体20の内側に、ウレタンフォームのチップなどを取り付けてもよい。
本発明の空調服用腰ベルトは空調服とセットで使用すると、上半身だけなく下半身も涼しく作業できるので、空調服の補完用品として大きな産業上の利用可能性がある。
10 空調服用腰ベルト
20 ベルト基体
22 ベルト基体を構成する布帛
24 ベルト基体を構成する補助板(柔軟性を有する合成樹脂板)
26 ベルト基体を構成する縁取り
30A 一のジョイント
30B 他のジョイント
40 円筒状の管
50 空調服
52 空調服に組み込まれた小型ファン
60 作業者
すなわち本発明では、長手方向を横方向、短手方向を縦方向とするベルト基体を有し、前記ベルト基体の横方向の一端には一のジョイントを、他端には他のジョイントを具備し、前記一のジョイントと前記他のジョイントとが互いに係止されることにより脱着自在である空調服用腰ベルトであって、
前記ベルト基体の構成要素として、柔軟性を有する合成樹脂板が含まれており、
前記ベルト基体には、可撓性材料製である円筒状の管または円柱状の棒が縦方向に伸びるように複数具備されていることをを最も主要な特徴とする。
なお、円筒状の管等40の直径はいずれのものも同じにすることが一般的であり、図示したのもそのような例であるが、異なる直径の円筒状の管等40を用いても本発明の作用に変わるところはない。また、円筒状の管等40の長さは、ベルト基体20の横方向両端の縦方向長さが横方向中央の縦方向長さよりも短くなるのに対応して、中央付近の円筒状の管等40の長さよりも、両端側の円筒状の管等40の長さを短くすることが好ましい。
すなわち本発明では、長手方向を横方向、短手方向を縦方向とする布帛のベルト基体を有し、前記ベルト基体の横方向の一端には一のジョイントを、他端には他のジョイントを具備し、前記一のジョイントと前記他のジョイントとが互いに係止されることにより脱着自在である空調服用腰ベルトであって、
前記ベルト基体の構成要素として、柔軟性を有する合成樹脂板が含まれており、
前記ベルト基体には、可撓性材料製である円筒状の管または円柱状の棒が縦方向に伸びるように複数具備されており、
前記ベルト基体の中央の縦方向長さが200〜300mmであり、かつ横方向両端の縦方向長さが30〜70mmであることをを最も主要な特徴とする。

Claims (8)

  1. 長手方向を横方向、短手方向を縦方向とするベルト基体を有し、
    前記ベルト基体の横方向の一端には一のジョイントを、他端には他のジョイントを具備し、前記一のジョイントと前記他のジョイントとが互いに係止されることにより脱着自在である空調服用腰ベルトであって、
    前記ベルト基体には、可撓性材料製である円筒状の管または円柱状の棒が縦方向に伸びるように複数具備されていることを特徴とする空調服用腰ベルト。
  2. 前記円筒状の管または円柱状の棒が円筒状の管である、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  3. 前記可撓性材料が、軟質塩化ビニール,ポリエチレン,ゴムまたはエラストマー材料である、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  4. 前記ジョイントが、面ファスナーである、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  5. 前記ベルト基体に、柔軟性を有する合成樹脂板が構成要素として含まれている、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  6. 前記ベルト基体の横方向両端の縦方向長さが、横方向中央の縦方向長さよりも短いものである、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  7. 前記円筒状の管または円柱状の棒の外径がいずれも3〜15mmである、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
  8. 隣り合う前記円筒状の管または円柱状の棒同士の横方向距離が、いずれも隣り合う管の外径の平均値の1.5〜3.5倍である、請求項1記載の空調服用腰ベルト。
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