JP2016056451A - 軟窒化用鋼および部品ならびにこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
要があるという問題があった。
そこで、軟窒化処理材の疲労強度を高めるため、通常、軟窒化処理前に焼入・焼戻し処理を行い、芯部硬度を上昇させているが、得られる疲労強度は十分とは言い難く、また、製造コストが上昇し、さらに機械加工性の低下も避けられなかった。
すなわち、この鋼は、軟窒化処理により、芯部についてはNi−Al、Ni−Ti系の金属間化合物あるいはCu化合物で時効硬化させる一方、表層部については窒化層中にCr、Al、Ti等の窒化物や炭化物を析出硬化させることで、曲げ疲労強度を向上させている。
、Cuが固溶したフェライト主体の組織とし、580℃、120分の軟窒化処理中にCuを析出硬化させ、さらにTi、VおよびNb炭窒化物の析出硬化も併用することで、軟窒化処理後において優れた曲げ疲労特性が得られる軟窒化用鋼が提案されている。
また、特許文献2に記載の軟窒化用鋼は、Cu、Ti、V、Nbを比較的多量に添加する必要があるため、生産コストが高いという問題があった。
さらに、特許文献3に記載の軟窒化用鋼は、Ti、Moを比較的多量に含むため、やはり高コストであるという問題があった。
また、本発明は、機械加工後、軟窒化処理により芯部硬さを高め、もって疲労特性を向上させた部品を、その製造方法とともに提供することを目的とする。
その結果、鋼の成分組成として、安価なCを比較的多量に含有させて、鋼組織として面積率で50%超のベイナイト相とすることにより、TiやCuといった比較的高価な元素を含有させずとも、優れた機械加工性を確保でき、またVおよびNbを適正量含有させ、軟窒化処理後に、芯部にVおよびNbを含む微細な析出物を分散析出させて芯部硬さを上昇させることにより、優れた疲労特性が得られるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。
1.成分組成が、質量%で、C:0.10〜0.20%未満、Si:1.0%以下、Mn:1.5〜3.0%、Cr:0.3〜3.0%、Mo:0.005〜0.4%、V:0.02〜0.5%、Nb:0.003〜0.15%、Al:0.020超〜0.2%、N:0.0200%以下、P:0.02%以下およびS:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相が組織全体に対する面積率で50%超を満足する組織を有することを特徴とする軟窒化用鋼。
記
〔Mn〕+2.5×〔Cr〕+20×〔Mo〕 --- (1)
但し、〔M〕は〔 〕内の元素Mの含有量(質量%)
%、Mo:0.005〜0.4%、V:0.02〜0.5%、Nb:0.003〜0.15%、Al:0.020超〜0.2%、N:0.0200%以下、P:0.02%以下およびS:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼材を、加熱温度:950〜1250℃、仕上温度:800℃以上の条件で熱間加工し、加工後、少なくとも700〜550℃の温度域について0.4℃/s超の速度で冷却することを特徴とする軟窒化用鋼の製造方法。
記
〔Mn〕+2.5×〔Cr〕+20×〔Mo〕 --- (1)
但し、〔M〕は〔 〕内の元素Mの含有量(質量%)
そして、本発明に従い得られた部品は、自動車等の機械構造部品に適用して極めて有用である。
まず、本発明において、成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C: 0.10%以上0.20%未満
Cは、ベイナイト相の生成および強度確保のために添加する。しかしながら、含有量が0.10%未満の場合、十分な量のベイナイト相が得られないだけでなく、軟窒化処理後にVおよびNb析出物量が不足し、強度確保も困難となるため、0.10%以上添加する必要がある。一方、含有量が0.20%以上になると、生成したベイナイト相の硬さが増加し、機械加工性が低下するため、C量は0.10%以上0.20%未満の範囲とする。より好ましくは0.10%以上0.15%以下の範囲である。
Siは、脱酸だけでなく、ベイナイト相の生成に有効なため添加するが、1.0%を超える
とフェライトおよびベイナイト相に固溶し、その固溶硬化により、機械加工性および冷間加工性を劣化させるため、Si量は1.0%以下とする。好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下である。
なお、Siを脱酸に有効に寄与させるためには、添加量を0.01%以上とすることが好ましい。
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、ベイナイト相を安定的に生成させる作用がある。また、Mnは自動車部品として重要な、曲げ衝撃性を向上させる。一般に、疲労特性を上げるためにはC量を上げ、部品における芯部硬さ(以下、芯部硬さという)を高くすることが有効である。しかし、単にC量を上げると、曲げ衝撃特性が低下する。しかし、Mn量が1.5%以上であれば、C量上昇に伴う曲げ衝撃特性の低下を抑制できる。Mn量が1.5%未満の場合、上記効果は乏しく、また、MnSの生成量が十分でないため、被削性が低下する。従って、Mn量は1.5%以上添加する。一方、3.0%を超えると機械加工性および冷間加工性を劣化させるので、Mn量は3.0%以下とする。好ましくは1.5%以上2.5%以下、より好ましくは1.5%以上2.0%以下の範囲である。
Crは、ベイナイト相の生成に有効なため添加する。しかしながら、含有量が0.3%未満
の場合、ベイナイト相の生成量が少なくなり、軟窒化処理前にVおよびNb析出物が生成するため、軟窒化前の硬さが増加する。加えて、軟窒化処理後におけるVおよびNb析出物の絶対量が減少するため、軟窒化処理後の硬さが低下して強度確保が困難となる。従って、Cr量は0.3%以上とする。一方、3.0%を超えると機械加工性および冷間加工性を劣化させるので、Cr量は3.0%以下とする。好ましくは0.5〜2.0%、より好ましくは0.5〜1.5%の
範囲である。
Moは、VおよびNb析出物を微細に析出させ、軟窒化処理材の強度を向上させる効果があり、本発明において重要な元素である。またベイナイト相の生成にも有効である。ここに、強度向上のためには0.005%以上の添加を必要とするが、高価な元素であるため0.4%を超えて添加すると、成分コストの上昇を招く。このため、Mo量は0.005〜0.4%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.3%、より好ましくは0.04〜0.2%の範囲である。
Vは、軟窒化時の温度上昇により、Nbとともに微細析出物を形成して芯部硬さを増加させ、強度を向上させる重要な元素である。しかしながら、V量が0.02%未満では所望の効果が得難く、一方0.5%超では析出物が粗大化し、十分な強度向上効果が得られないため
、V量は0.02〜0.5%の範囲とする。好ましくは0.03〜0.3%、より好ましくは0.03〜0.25%の範囲である。
Nbは、軟窒化時の温度上昇により、Vとともに微細析出物を形成して芯部硬さを増加させるため、疲労強度向上に極めて有効である。しかしながら、Nb量が0.003%未満では所望の効果が得難く、一方0.15%を超えると析出物が粗大化し、十分な強度向上効果が得られないため、Nb量は0.003〜0.15%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.12%の範囲である。
Alは、軟窒化処理後の表面硬さおよび有効硬化層深さの向上に有用な元素であるので、積極的に添加する。また、熱間鍛造時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって、組織を微細化し靭性を向上させる上でも有用な元素である。このような観点から、Alは0.020%を超えて含有させる。一方、0.2%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるので、Al量は0.2%以下に限定する。好まし
くは0.020%超0.1%以下の範囲、より好ましくは0.020%超0.04%以下の範囲である。
Nは、鋼中で炭窒化物を形成し、軟窒化処理材の強度を向上させる有用元素である。従って、0.0020%以上含有させることが好ましい。しかしながら、含有量が0.0200%を超えると、形成する炭窒化物が粗大化して鋼材の靭性を低下させる。また、鋳片の表面割れが生じ、鋳片品質が低下する。このため、Nは0.0200%以下に限定する。
Pは、オーステナイト粒界に偏析し、粒界強度を低下させることにより、強度、靭性を低下させる。従って、Pの含有は極力抑制することが望ましいが、0.02%までは許容される。なお、Pを0.001%未満とするには高いコストを要することから、工業的には0.001%まで低減すればよい。
Sは、鋼中でMnSを形成し、被削性を向上させる有用元素であるが、0.06%を超えて含有させると靭性を損なうため、0.06%以下に制限する。好ましくは0.04%以下である。
なお、Sによる被削性向上効果を発現させるためには、S量を0.002%以上とすること
が好ましい。
〔Mn〕+2.5×〔Cr〕+20×〔Mo〕 --- (1)
不可避不純物のうち、特にTiは、V,Nbの析出強化に悪影響を及ぼして芯部硬さを低下させるので、極力含有させないようにする必要がある。好ましくは0.010%未満、より好ましくは0.005%未満である。
ベイナイト相:組織全体に対する面積率で50%超
本発明では、ベイナイト相を組織全体に対する面積率で50%超とすることが、極めて重要である。
本発明は、軟窒化処理後に表層窒化部以外の芯部にはVおよびNb析出物を分散析出させ、これによって芯部硬度を上昇させ、軟窒化処理後の疲労強度を向上させようとするものである。
ここで、軟窒化処理前にVおよびNb析出物が存在していると、通常、軟窒化処理前に行われる切削加工時の被削性の観点からは不利である。この点、ベイナイト変態過程では、フェライト−パーライト変態過程に比べ、母相中にVおよびNb析出物が生成し難い。
従って、本発明の軟窒化用鋼の鋼組織、すなわち軟窒化処理前の鋼組織はベイナイト相を主体とする。具体的には、ベイナイト相を組織全体に対する面積率で50%超とする。好ましくは60%超、より好ましくは80%超である。また100%であってもよい。
なお、ベイナイト相以外の組織としては、フェライト相やパーライト相等が考えられるが、これらの組織は少ないほど好ましいのは言うまでもない。
この理由は、表層軟窒化部以外の芯部組織中にVおよびNbを含む析出物を分散析出させることで、芯部硬さが上昇し、軟窒化処理後の疲労強度が顕著に向上するからである。
ここに、ベイナイト相中のVおよびNbを含む析出物の粒径は10nm未満とし、単位面積1μm2当たり500個以上分散析出させることが、軟窒化処理後の析出強化に寄与させる上で好ましい。なお、析出物の粒径の測定限界、すなわち測定できる最小の粒径は1nmである。
なお、軟窒化処理を施して得られる部品は、表層部(芯部以外の部分)は、芯部の成分組成に対して炭素および窒素の含有量が高い成分組成となる。
図1に、本発明に係る軟窒化用鋼(棒鋼)を用いて軟窒化部品を製造する代表的な製造工程を示す。ここで、S1は素材となる棒鋼製造工程、S2は搬送工程、S3は製品(軟窒化部品)仕上げ工程である。
そして、搬送(S2)後、製品(軟窒化部品)仕上げ工程(S3)で、該棒鋼を所定の寸法に切断し、熱間鍛造あるいは冷間鍛造を行い、必要に応じてドリル穿孔や旋削等の切削加工で所望の形状(例えば、ギア製品やシャフト部品)としたのち、軟窒化処理を行って、製品とする。
また、熱間圧延材をそのまま旋削やドリル穿孔等の切削加工で所望の形状に仕上げ、その後軟窒化処理を行い製品とすることもある。なお、熱間鍛造の場合、熱間鍛造後に冷間矯正が行われる場合がある。また、最終製品にペンキやメッキ等の皮膜処理がなされる場合もある。
ここに、熱間加工とは、主に熱間圧延、熱間鍛造を意味するが、熱間圧延後さらに熱間鍛造を行ってもよい。また、熱間圧延後、冷間鍛造を行ってもよいのは言うまでもない。
ここで、軟窒化処理直前の熱間加工工程が熱間圧延工程である場合、すなわち熱間圧延後に熱間鍛造を行わない場合は、熱間圧延工程において以下に示す条件を満足させる。
熱間圧延工程では、圧延材(冷間鍛造および/または切削加工による部品の素材となる棒鋼)に微細析出物が析出し鍛造性を損なわないよう、溶解時から残存する炭化物を固溶させる。
ここで、圧延加熱温度が950℃に満たないと、溶解時から残存する炭化物が固溶し難くなる。一方、1250℃を超えると、結晶粒が粗大化して鍛造性が悪化しやすくなる。このため、圧延加熱温度は950℃〜1250℃の範囲とする。
圧延仕上げ温度が800℃未満の場合、フェライト相が生成するため、軟窒化処理前に組織全体に対する面積率で50%超を満足するベイナイト相を生成させる上で不利となる。また、圧延負荷も高くなる。従って、圧延仕上げ温度は800℃以上とする。なお、上限値については、1100℃程度とすることが好ましい。
所望形状への仕上げ加工前に微細析出物が析出し、加工性を損なわないようにするため、微細析出物の析出温度範囲である少なくとも700〜550℃の温度域においては、圧延後の冷却速度を、微細析出物が得られる限界冷却速度である0.4℃/sを超える速度とする。なお、上限値については、200℃/s程度とすることが好ましい。
なお、熱間鍛造前に熱間圧延を行う場合には、熱間圧延条件として必ずしも上記した条件を満足していなくてもよい。
この熱間鍛造では、ベイナイト相を組織全体に対する面積率で50%超とするため、および熱間鍛造後の冷間矯正や被削性の観点から微細析出物が析出しないようにするため、熱間鍛造時の加熱温度を950〜1250℃、鍛造仕上げ温度を800℃以上、鍛造後の冷却速度を少なくとも700〜550℃の温度域において0.4℃/s超とする。なお、上限値については、200
℃/s程度とすることが好ましい。
軟窒化処理は、微細析出物を析出させるように、処理温度:550〜700℃、処理時間:10分以上の条件で行う。ここに、軟窒化処理温度を550〜700℃の範囲とするのは、550℃に
満たないと十分な量の析出物が得られず、一方700℃を超えるとオーステナイト域となり
軟窒化が困難となるからである。より好ましくは550〜630℃の範囲である。
性ガスと、CO2やCOといった浸炭性ガスの混合雰囲気、例えばNH3:N2:CO2=50:45:5の雰囲気で軟窒化処理を行えばよい。
表1に示す成分組成の鋼(鋼種A〜R)を150kg真空溶解炉にて溶製し、1150℃加熱後、圧延仕上げ温度:970℃の条件で熱間圧延し、その後0.9℃/sの速度で室温まで冷却し、50mmφの棒鋼とした。なお、鋼種MはJIS SCr420に相当する鋼である。
これらの素材をさらに、表2に示す加熱温度に加熱後、表2に示す仕上げ温度で熱間鍛造して、40mmφの棒鋼とし、その後、700〜550℃の範囲を0.5℃/sの速度として、室温まで冷却した。なお、一部については、比較のため700〜550℃の範囲を0.1℃/sの速度として、室温まで冷却した。
また、上記した熱間鍛造材について、組織観察および硬度測定を行った。組織観察では、前述した方法により、相の種類を同定するとともに、各相の面積率を求めた。
硬度測定では、ビッカース硬度計を用い、JIS Z 2244に準拠して芯部の硬さを2.94N(300gf)の試験荷重で5点(棒鋼断面における中心位置1点、表面から径方向にD/4(Dは棒鋼の直径)を、周方向に90°間隔で4点)測定し、その平均値を硬さHVとした。
軟窒化処理は、NH3:N2:CO2=50:45:5の雰囲気で570〜600℃に加熱し、3.5時間保持することによって行った。
一方、浸炭処理は、930℃で3時間浸炭し、850℃に40分保持後、油冷し、さらに170℃、1時間焼戻すことにより行った。
ここで、組織観察では、軟窒化処理前と同様、前述した方法により、相の種類を同定するとともに、各相の面積率を求めた。
硬度測定では、上記熱処理材の表面硬さおよび芯部硬さをそれぞれ測定した。ここで、表面硬さおよび芯部硬さの測定はいずれも、ビッカース硬度計を用い、JIS Z 2244に準拠して2.94N(300gf)の試験荷重で測定した。表面硬さは表面から0.05mm深さの位置を棒鋼の周方向に60°間隔で6点、芯部硬さは棒鋼断面における中心位置1点および表面から径方向にD/4深さ位置(Dは棒鋼の直径)を周方向に90°間隔で4点の計5点にて測定し、それぞれの平均値を表面硬さHV、芯部硬さHVとした。さらに、有効硬化層深さは、HV400となる表面からの深さと定義して、測定した。
また、3点曲げ衝撃試験を実施した。3点曲げ衝撃試験の試験片は、上記熱間鍛造材より35mmφの試験片を採取し、これに試験片全周にわたって1mm深さ、開き角60°のノッチを施した後、上記した軟窒化処理あるいは浸炭処理を施した熱処理材を用いた。3点曲げ衝撃試験は、島津製作所製HITS-P10を用いて、試験速度3.8m/s、10kNロードセル、ストライカ20mmφで吸収エネルギーを求めた。
表2に試験結果を示す。No.1〜4、20が発明例、No.5〜13ならびにNo.15〜19が比較例、No.14がJIS SCr420相当鋼に浸炭処理を施した従来例である。
すなわち、No.5は、熱間鍛造後の冷却速度が遅いため、適正量のベイナイト相が得ら
れず、また軟窒化処理による微細析出物の生成量が少ないため、析出強化が不足し、発明例に比べ疲労強度が低い。
No.6は、式(1)が好適範囲を超えており、連続鋳造した鋼片に表面割れが発生したため、以降の圧延を中止した。
No.7は、Cが適正範囲を超えているため、軟窒化処理前の熱間鍛造材の硬さが増加し、ドリル加工性が低下している。また、曲げ衝撃特性が劣っている。
No.8は、Si量およびMn量が適正範囲を超えているため、窒化処理前の熱間鍛造材の硬
さが増加し、ドリル加工性が従来例No.14の約1/7まで低下している。また、曲げ衝撃特性が劣っている。
No.9は、Mn量が適正範囲に満たないため、軟窒化処理前の熱間鍛造材の鋼組織がフェ
ライト相−パーライト相とベイナイトとの混合組織となってとなっている。このため、組織中にVおよびNb析出物が析出して軟窒化処理前の硬さが増加し、ドリル加工性が低下している。また、曲げ衝撃特性が劣っている。
No.10は、Cr量が適正範囲に満たないため、軟窒化処理前の熱間鍛造材の鋼組織がフェライト相−パーライト相とベイナイトとの混合組織となっている。このため、組織中にVおよびNb析出物が析出して軟窒化処理前の硬さが増加し、ドリル加工性が低下している。また、発明例No.1〜4および20、従来例No.14に比べ曲げ衝撃特性が劣っている。
No.11は、Mo量が適正範囲に満たないため、軟窒化処理後の微細析出物の生成量が少な
く、十分な芯部硬さが得られていない。このため、発明例No. 1〜4および20、従来例No.14に比べて疲労強度や曲げ衝撃特性が低い。
No.12は、V量およびNb量が適正範囲に満たないため、軟窒化処理後の微細析出物の生成量が少なく、十分な芯部硬さが得られていない。このため、発明例No. 1〜4および20、従来例No.14に比べて疲労強度が低い。
No.13は、Al量が適正範囲に満たないため、十分な軟窒化処理後の表面硬さおよび有効硬化層深さが得られず、従来例No.14に比べて疲労強度が低い。
No.15は、Mn量が適正範囲に満たないため、発明例No. 1〜4および20、従来例No.14に比べて疲労強度と曲げ衝撃特性が低い。
No.16は、式(1)の値が好適範囲を超えており、連続鋳造した鋳片に表面割れが発生したため、以降の圧延を中止した。
No.17は、Al量が適正範囲に満たないため、発明例No. 1〜4および20、従来例No.14に比べて疲労特性が低い。また、曲げ衝撃特性も低位である。
No.18は、Caを添加しており、CaSの析出により、発明例No. 1〜4および20、従来例No.14に比べて疲労強度と曲げ衝撃特性が劣っている。
No.19は、C量が低いため、発明例No. 1〜4および20に比べて曲げ衝撃特性が劣っている。
Claims (7)
- 成分組成が、質量%で、C:0.10〜0.20%未満、Si:1.0%以下、Mn:1.5〜3.0%、Cr:0.3〜3.0%、Mo:0.005〜0.4%、V:0.02〜0.5%、Nb:0.003〜0.15%、Al:0.020超〜0.2%、N:0.0200%以下、P:0.02%以下およびS:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、ベイナイト相が組織全体に対する面積率で50%超を満足する組織を有することを特徴とする軟窒化用鋼。
- 前記成分組成が、Mn、CrおよびMoの含有量(質量%)から下記式(1)で求められる値が6.2以下であることを特徴とする請求項1に記載の軟窒化用鋼。
記
〔Mn〕+2.5×〔Cr〕+20×〔Mo〕 --- (1)
但し、〔M〕は〔 〕内の元素Mの含有量(質量%) - 請求項1または2に記載の成分組成および組織からなる芯部と、該芯部の成分組成に対して窒素および炭素の含有量が高い成分組成からなる表層部とを有することを特徴とする部品。
- 前記部品は、ベイナイト相中にVおよびNbを含む析出物が分散析出していることを特徴とする請求項3に記載の部品。
- 質量%で、C:0.10〜0.20%未満、Si:1.0%以下、Mn:1.5〜3.0%、Cr:0.3〜3.0%、Mo:0.005〜0.4%、V:0.02〜0.5%、Nb:0.003〜0.15%、Al:0.020超〜0.2%、N:0.0200%以下、P:0.02%以下およびS:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼材を、加熱温度:950〜1250℃、仕上温度:800℃以上の条件で熱間加工し、加工後、少なくとも700〜550℃の温度域について0.4℃/s超の速度で冷却することを特徴とする軟窒化用鋼の製造方法。
- Mn、CrおよびMoの含有量(質量%)から下記式(1)で求められる値が6.2以下であることを特徴とする請求項5に記載の軟窒化用鋼の製造方法。
記
〔Mn〕+2.5×〔Cr〕+20×〔Mo〕 --- (1)
但し、〔M〕は〔 〕内の元素Mの含有量(質量%) - 請求項5または6に記載の製造方法にて得られた軟窒化用鋼を、所望の形状に仕上げたのち、処理温度:550〜700℃、処理時間:10分以上の条件で軟窒化処理を施すことを特徴とする部品の製造方法。
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