JP2016056317A - マイクロバブル含有ポリマー溶液及び該ポリマー溶液製造方法 - Google Patents

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啓文 大宮司
Hirofumi Daiguji
啓文 大宮司
大地 櫻井
Daichi Sakurai
大地 櫻井
文男 竹村
Fumio Takemura
文男 竹村
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Abstract

【課題】従来のように高圧条件を用いることなく、大気圧下で効率良く簡便にかつ気泡が均一に分散したマイクロセルラープラスチックを製造する手法を提供する。
【解決手段】ポリマー及び有機溶媒を含むマイクロバブル含有ポリマー溶液であって、前記ポリマー溶液が0.1〜10%のボイド率及び5mPa・s以上の粘度を有し、前記ポリマー溶液中に存在する前記マイクロバブルの80%以上が1〜10μmの気泡径を有することを特徴とする、該ポリマー溶液。
【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロセルラープラスチックの製造に用いられるマイクロバブル含有ポリマー溶液及びその製造方法に関する。さらに、当該マイクロバブル含有ポリマー溶液により得られる中空シート等のマイクロセルラープラスチック及びその製造方法にも関する。
マイクロメートルオーダーの微細な気泡を含む高分子発泡材料として、マイクロセルラープラスチック(MCP)が知られている。かかる高分子材料は、含まれる気泡が微細なため、材料の強度などの機械特性を保持しながら軽量化を図ることができることに加え、その熱特性や電気特性、光学特性など、種々の性能を有することが報告されており、その広い応用範囲の可能性が注目されている材料である(非特許文献1、2)。
一般に、マイクロセルラープラスチックの製造においては、非常に高温・高圧の条件下で溶融したポリマー物質に直接気体を溶解させ、その後、圧力を急激に開放することで気体の溶解度を低下させ、ポリマー内部にマイクロスケールの空隙を発生させるという手法が用いられている(特許文献1等)。しかしながら、かかる手法を用いる場合には、高温・高圧装置によって比較的長時間にわたり高温・高圧条件を維持する必要があるため生産効率が悪く、また発泡のコントロールが難しいためポリマー内の気泡分布が不均一となり機械的特性等にばらつきが生じる等の問題があった。
一方で、高圧条件を用いない製造方法として、特に再生医療分野におけるスキャホールドとしての利用を目的とした溶液の相分離を利用する手法も存在するが、この場合には、気泡同士が合体した繊維状の材料として得られることになり、或いは気泡が分散した材料とするためにはポリマー自体がガス透過性を有する必要がある等、原料の選択が限られている(非特許文献3)。
特開2003−89727号公報
Glicksmanら、Int. J. Heat Mass Transfer、30、1、187頁、1987年 新保ら、成形加工、6、12、863頁、1994年 Namら、Biomaterials、20、19、1783頁、1999年
そこで、本発明は、従来のように高圧条件を用いることなく、大気圧下で効率良く簡便に、かつ気泡が均一に分散したマイクロセルラープラスチックを製造する手法を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ポリマーを揮発性の有機溶媒に溶解させ、あらかじめ大量のマイクロバブルを安定に存在させることができるポリマー溶液の調製方法を見出し、また、かかるポリマー溶液を用いることで、高い空隙率で均一な気泡を内部に有するマイクロセルラープラスチックを大気圧下において効率良く簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、(1)ポリマー及び有機溶媒を含むマイクロバブル含有ポリマー溶液であって、前記ポリマー溶液が0.1〜10%のボイド率及び5mPa・s以上の粘度を有し、前記ポリマー溶液中に存在する前記マイクロバブルの80%以上が1〜10μmの気泡径を有することを特徴とする、該ポリマー溶液;(2)前記ボイド率が2〜5%である、上記(1)に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(3)10〜50体積%の水をさらに含む、上記(1)又は(2)に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(4)前記ポリマーの濃度が、該ポリマー:前記有機溶媒の重量比で5:95〜30:70の範囲である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(5)前記ポリマーが、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群から選択される、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(6)前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸又はその誘導体である、上記(5)に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(7)前記有機溶媒が、ジクロロメタンである、上記(1)〜(6)のいずれか1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液;(8)前記ポリマー溶液中の前記マイクロバブルが少なくとも2週間の期間維持される、上記(1)〜(7)のいずれか1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液に関する。
別の態様において、本発明は、(9)上記(1)〜(8)のいずれか1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液を大気圧下で塗布及び乾燥することによって得られる、マイクロセルラープラスチック;(10)中空シートである、上記(9)に記載のマイクロセルラープラスチックに関する。
また、マイクロバブル含有ポリマー溶液の製造方法の態様として、本発明は、(11)ポリマー及び有機溶媒を含むマイクロバブル含有ポリマー溶液の製造方法であって、(a)前記ポリマーを前記有機溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、(b)前記工程(a)で得られた溶液に、1.0〜1.5atmの圧力下でガスを溶解させる工程、及び(c)前記工程(b)で得られた溶液に、大気圧下で超音波を照射し又は当該溶液をホモジナイザーで撹拌することによりマイクロバブルを発生させ、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液を得る工程、を含むことを特徴とする、該製造方法;(12)前記工程(c)において、前記溶液に10〜50体積%の水を添加することを含む、上記(11)に記載の製造方法;(13)前記工程(b)の前に、前記工程(a)で得られた溶液を加熱し、当該溶液中の気体を脱気する工程をさらに含む、上記(11)又は(12)に記載の製造方法;(14)前記ポリマーが、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群から選択される、上記(11)〜(13)のいずれか1に記載の製造方法;(15)前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸又はその誘導体である、上記(14)に記載の製造方法;(16)前記有機溶媒が、ジクロロメタンである、上記(11)〜(15)のいずれか1に記載の製造方法;(17)前記ポリマーの濃度が、該ポリマー:前記有機溶媒の重量比で5:95〜30:70の範囲である、上記(11)〜(16)のいずれか1に記載の製造方法;(18)前記工程(b)における前記ガスが、CO、N、又はArである、上記(11)〜(17)のいずれか1に記載の製造方法;(19)前記工程(c)で得られる前記ポリマー溶液が0.1〜10%のボイド率を有する、上記(11)〜(18)のいずれか1に記載の製造方法;(20)前記工程(c)で得られる前記ポリマー溶液中の前記マイクロバブルが少なくとも2週間の期間維持される、上記(11)〜(19)のいずれか1に記載の製造方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、(21)上記(11)〜(20)のいずれか1に記載の製造方法によって得られたマイクロバブル含有ポリマー溶液を大気圧下で塗布及び乾燥し、マイクロセルラープラスチックを得る工程を含む、マイクロセルラープラスチックの製造方法;(22)前記マイクロセルラープラスチックが中空シートである、上記(21)に記載の製造方法;(23)前記マイクロセルラープラスチックを得る工程において、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液から除去された有機溶媒を回収し、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液の溶媒として再利用する工程を含む、上記(21)又は(22)に記載の製造方法に関する。
本発明によれば、大量のマイクロバブルを2週間以上という長期間安定に存在させることができるマイクロバブル含有ポリマー溶液を提供することができる。かかるポリマー溶液を塗布し、大気圧下で溶媒を揮発させ除去するという簡便な操作によって、高い空隙率で均一な気泡を有するマイクロセルラープラスチックを効率良く得ることができるという効果を奏するものである。
本発明に係る製造方法は、従来のように高圧条件を用いる必要がないため、コストや生産効率の点でも非常に優れている。そのうえ、ポリマー溶液の塗布後に、揮発して除去された有機溶媒を回収して、再度新たなポリマー溶液のための溶媒として用いることで、効率的な製造サイクルを構築することも可能である。また、ポリマー溶液を塗布・乾燥するだけでマイクロセルラープラスチックが得られるため、その成形加工等も容易に行うことができるという利点を有する。上記のように、本発明によって製造されるマイクロセルラープラスチックは、高い空隙率で均一な気泡を有するため、断熱材や軽量化剤、蛍光灯の反射板など幅広い分野に応用することができる。
図1は、本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液の光学顕微鏡による画像である。 図2は、本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液中におけるマイクロバブルの気泡径分布を示すグラフである。 図3は、本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液により作製したマイクロセルラープラスチックの画像である。 図4は、本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液(ポリマー濃度:100g/l)により作製したマイクロセルラープラスチックについて、ガラス板側の表面構造を光学顕微鏡で撮影した画像である。 図5は、本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液(ポリマー濃度:50g/l)により作製したマイクロセルラープラスチックについて、ガラス板側の表面構造を光学顕微鏡で撮影した画像である。 図6は、 本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液(ポリマー濃度:100g/l)により作製したマイクロセルラープラスチックシートの断面を示すSEM画像である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されるこ
とはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.マイクロバブル含有ポリマー溶液本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液は、ポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液であって、特定の範囲のボイド率、粘度、及びマイクロバブルの気泡径分布を有することを特徴とする。これらのパラメータのバランスにより、大量のマイクロバブルを安定に長期間、ポリマー溶液中に閉じ込めることができ、かかるポリマー溶液を用いることで所望のマイクロセルラープラスチックを得ることができるのである。
本発明のポリマー溶液に含まれるポリマーは、最終的にマイクロセルラープラスチックを構成する材料となるものであり、したがって、当該マイクロセルラープラスチックの用途等に応じて所望の材料を選択することができる。そのようなポリマーは、特定の有機溶媒に可溶化できるものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂やポリエチレン系樹脂を挙げることができ、ポリスチレン系樹脂等のゴム系材料であることもできる。脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)及びその誘導体、ポリヒドロキシブチレート(PHB)及びその誘導体、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリグリコール酸(PGA)などを挙げることができる。ポリスチレン系樹脂としては、汎用ポリスチレン(GPPS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS系樹脂)アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等が挙げられる。これらポリマーの分子量等は、当該技術分野において通常用いられる範囲のものであることができる。本発明のポリマー溶液に含まれるポリマーは、好ましくは、ポリ乳酸又はその誘導体である。
本発明のポリマー溶液に含まれる有機溶媒は、沸点が低く揮発性を有し、ポリマーの溶解性が高いものを適宜選択することができるが、例えば、ジクロロメタン又はクロロホルムが好ましく、安定なマイクロバブル形成の観点からは、特に水飽和ジクロロメタンが好ましい。
また、本発明のポリマー溶液は、上記有機溶媒とともに溶媒として水を含むこともできる。当該水の含有率は、好ましくは、溶液全体に対して1〜100体積%、より好ましくは、10〜50体積%である。後述のように、水の含有量によってボイド率を制御することができる。
本発明のポリマー溶液は、0.1〜10%、好ましくは1〜8%、より好ましくは2〜5%のボイド率を有する。当該ボイド率は、溶液中に含まれるマイクロバブルの割合の指標となるものであり、以下の式から求めることができる。 ボイド率(%)= ((密度A−密度B)/密度A)×100ここで、密度Aは、マイクロバブル形成前のポリマー溶液密度であり、密度Bはマイクロバブル形成後のポリマー溶液密度である。
本発明のポリマー溶液は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上の粘度を有する。当該粘度は、主として、溶液中のポリマー濃度に依存する。当該ポリマーの濃度は、5:95〜30:70該ポリマー:前記有機溶媒の重量比で、好ましくは5:95〜30:70の範囲、より好ましくは10:90〜20:80の範囲である。
本発明のポリマー溶液に存在するマイクロバブルは、1〜10μmの気泡径を有することが好ましく、2〜8μmの気泡径を有することがより好ましい。当該気泡径が1〜10μmの範囲内のマイクロバブルが、好ましくは全体の80%以上、より好ましくは90%以上の分布である。また、別の観点から、マイクロバブルの平均気泡径が、好ましくは3〜6μm、より好ましくは4〜5μmである。
以上に述べたボイド率、粘度、及びマイクロバブルの気泡径分布を所定の範囲とすることによって、本発明のポリマー溶液中のマイクロバブルを高い安定性で長期間維持することが可能となる。例えば、前記ポリマー溶液中のマイクロバブルは、少なくとも2週間の期間存在することができ、場合によっては、数か月或いは10ヶ月維持することができる。
2.マイクロバブル含有ポリマー溶液の調製本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液は、以下の(a)〜(c)の工程を行うことによって調製することができる:(a)前記ポリマーを前記有機溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、(b)前記工程(a)で得られた溶液に、1.0〜1.5atmの圧力下でガスを溶解させる工程、及び(c)前記工程(b)で得られた溶液に、大気圧下で超音波を照射し又は当該溶液をホモジナイザーで撹拌することによりマイクロバブルを発生させ、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液を得る工程。これにより、従来の手法のようにマイクロバブルを発生させるために、いったん高圧下でポリマーにガスを吸収させ、その後、急激に減圧させて発泡させることを要せず、大気圧に近い状態で各工程を行うことができる。
工程(a)で用いられ得るポリマー及び有機溶媒の種類、並びにポリマー濃度は、上述のとおりである。
工程(b)において、ポリマー溶液に供給されるガスは、例えば、空気、CO、N、或いは、ArやHe等の不活性ガスであることができる。好ましくは、COである。当該工程(b)は、好ましくは−10〜20℃の温度範囲で、圧力が好ましくは1.0〜1.5atmとした密閉容器内で行われる。また、当該工程(b)は、ポリマー溶液中へのガスの取り込みを効率化するため、スターラー等によって撹拌しながらガスを供給してもよい。
好ましい態様では、工程(b)に先立って、工程(a)で得られた溶液を加熱し、当該溶液中の気体を脱気する工程をさらに含むことができる。これにより、工程(b)においてガスを溶解しやすくし、また特定のガスの溶解量を制御することができる。
工程(c)は、すなわち、ポリマーが溶解している溶液にエネルギーの付与又は撹拌を行うことによって、マイクロバブルを形成する工程である。超音波の照射は、超音波振動子等の当該技術分野において公知の装置を用いることができる。また、撹拌についても、ホモジナイザー等の当該技術分野において公知の撹拌装置を用いることができる。超音波を照射又は撹拌は、マイクロバブルの生成の程度に応じて適宜調節されるが、例えば、超音波照射は、10分〜1時間、典型的には、20〜30分程度で所望のマイクロバブルを得ることができる。また、工程(c)は、密閉容器中で行うことが好ましいが、常温常圧で行うことができる。
好ましい態様では、工程(c)において、工程(b)で得られた特定量の水を添加したうえで、超音波照射を行うことができる。これにより、安定なマイクロバブルを形成させることができ、最終的なボイド率を制御することができる。かかる水の添加量は、溶液全体に対して1〜100体積%、より好ましくは、10〜50体積%である。
3.マイクロセルラープラスチックの製造本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液を所望の基板や型枠等に塗布し、当該溶液中の有機溶媒を揮発・除去・乾燥することによって、残りのポリマー成分よりなるマイクロセルラープラスチックが得られる。上述のとおり、ポリマー溶液中の有機溶媒は低沸点で揮発性が高いため、当該工程は、大気圧下で行うことができる。
当該マイクロセルラープラスチックを形成させる工程は、上記工程(a)〜(c)によって本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液を調製した後、続けて行うこともできる。或いは、上述のとおり当該ポリマー溶液は長期間マイクロバブルを保持できるため、いったん調製した後に一定期間保存しておいたポリマー溶液を用いて行うこともできる。本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液は大量のマイクバブルを含むため、当該溶液の塗布後、有機溶媒が揮発して、ポリマー濃度が高くなった場合でも、溶液中で更なるマイクロバブルの発泡が促進され、最終的に高い空隙率でかつ内部に均一に気泡が分布したマイクロセルラープラスチックが得られる。
中空シート状のマイクロセルラープラスチックを得る場合には、ポリマー溶液の塗布量などによって当該シートの厚みを制御することができる。
また、当該マイクロセルラープラスチックを得る工程において、マイクロバブル含有ポリマー溶液から除去された有機溶媒を回収することによって、当該有機溶媒を前記工程(a)における溶媒として再利用することもできる。かかる有機溶媒の回収は、当該技術分野において公知の凝縮器などを用いて行うことができることは当業者には明らかであろう。
本発明のマイクロバブル含有ポリマー溶液より得られるマイクロセルラープラスチックは、溶液中と同程度の平均気泡径や気泡数密度などの特性を有する。
本発明によって得られるマイクロセルラープラスチックは、高い空隙率でかつ均一な気泡を有するため、断熱材や軽量化剤、蛍光灯の反射板など幅広い分野に応用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.マイクロバブル含有ポリマー溶液の調製 ポリ乳酸(PLA)をジクロロメタンに溶解させ、ポリマー溶液を作製した。PLAは、Inegeo 3001D(米国Nature Works社製)を用い、ジクロロメタンは純度99.99%(和光純薬社製)を用いた。ポリマー溶液は、50g/l及び100g/lのポリマー濃度の2種類を作製した。各ポリマー溶液10mlをそれぞれ純水100ml中に静置した。次いで、当該ポリマー溶液−水の2層分離液を超音波浴槽に置き、超音波を20分間印加し、マイクロバブルを発生させた。ポリマー溶液はマイクロバブルの発生により白濁した。水が存在することにより、ジクロロメタンが水中に溶解することで、ポリマー溶液中の空気溶解度が低下し、その結果、ポリマー溶液内のマイクロバブルの発泡料が増加したものと考えられる。
発泡前のポリマー溶液の重量は131.24g/100mlであり、発泡後は120.20g/100mlであった。当該密度により算出したボイド率は、8.4%であった。また、発泡後のポリマー溶液の粘度は、ポリマー濃度が100g/lの溶液で183mPa・sであり、別途濃度を25g/lとした溶液は6.72mPa・sであった。
また、光学顕微鏡によりマイクロバブルの気泡径を計測した(図1)。その結果、図2に示す分布となった。平均気泡径は3.4μmであった。図2の縦軸は確率密度関数(PDF)、横軸は気泡径(D/μm)である。PLAポリマー濃度は、100g/lである(Inegeo 2003D、米国Nature Works社製)。
2.マイクロセルラープラスチックの形成 マイクロバブルを発生させたポリマー溶液1mlをピペットに取り、ガラス基板上に滴下した。これを大気中で放置し、ジクロロメタンを揮発させた。完全に溶液である初期状態から、溶媒が揮発しゲル状となった中期の状態においては、ポリマー溶液は半透明な状態であったが、12時間後にはマイクロバブルのさらなる発泡が促進され、最終的にマイクロセルラープラスチックが得られた。得られたマイクロセルラープラスチックを図3に示す。図3の左側が50g/lの濃度のポリマー溶液から得られたもの、右側が100g/lの濃度のポリマー溶液から得られたものの画像である。いずれもかなり鮮明な白色を示すことから、マイクロバブルによってポリ乳酸の光学特性が変化したことが示唆される。
図4及び図5は、それぞれ100g/l及び50g/lのポリマー溶液を用いて作製したマイクロセルラープラスチックについて、ガラス板側の表面構造を光学顕微鏡で撮影した画像である。いずれの画像にお
いても、マイクロセルラープラスチックシートの内部に多数のマイクロバブルが存在していることが分かる。また、100g/lのポリマー溶液から作製したシートに比べて、50g/lのポリマー溶液から作製したもののほうが、気泡径が小さいことが確認できる。これは、ポリマー溶液の状態における気泡径の差に起因するものと考えられる。
図6は、100g/lのポリマー溶液から作製したマイクロセルラープラスチックシートの断面のSEM画像である。内部に多数の5μ程度のマイクロバブルが存在することが確認できる。

Claims (23)

  1. ポリマー及び有機溶媒を含むマイクロバブル含有ポリマー溶液であって、前記ポリマー溶液が0.1〜10%のボイド率及び5mPa・s以上の粘度を有し、前記ポリマー溶液中に存在する前記マイクロバブルの80%以上が1〜10μmの気泡径を有することを特徴とする、該ポリマー溶液。
  2. 前記ボイド率が2〜5%である、請求項1に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  3. 10〜50体積%の水をさらに含む、請求項1又は2に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  4. 前記ポリマーの濃度が、該ポリマー:前記有機溶媒の重量比で5:95〜30:70の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  5. 前記ポリマーが、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  6. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸又はその誘導体である、請求項5に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  7. 前記有機溶媒が、ジクロロメタンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  8. 前記ポリマー溶液中の前記マイクロバブルが少なくとも2週間の期間維持される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロバブル含有ポリマー溶液を大気圧下で塗布及び乾燥することによって得られる、マイクロセルラープラスチック。
  10. 中空シートである、請求項9に記載のマイクロセルラープラスチック。
  11. ポリマー及び有機溶媒を含むマイクロバブル含有ポリマー溶液の製造方法であって、(a)前記ポリマーを前記有機溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、(b)前記工程(a)で得られた溶液に、1.0〜1.5atmの圧力下でガスを溶解させる工程、及び(c)前記工程(b)で得られた溶液に、大気圧下で超音波を照射し又は当該溶液をホモジナイザーで撹拌することによりマイクロバブルを発生させ、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液を得る工程、を含むことを特徴とする、該製造方法。
  12. 前記工程(c)において、前記溶液に10〜50体積%の水を添加することを含む、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記工程(b)の前に、前記工程(a)で得られた溶液を加熱し、当該溶液中の気体を脱気する工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記ポリマーが、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ乳酸又はその誘導体である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記有機溶媒が、ジクロロメタンである、請求項11〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記ポリマーの濃度が、該ポリマー:前記有機溶媒の重量比で5:95〜30:70の範囲である、請求項11〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 前記工程(b)における前記ガスが、CO、N、又はArである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 前記工程(c)で得られる前記ポリマー溶液が0.1〜10%のボイド率を有する、請求項11〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記工程(c)で得られる前記ポリマー溶液中の前記マイクロバブルが少なくとも2週間の期間維持される、請求項11〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 請求項11〜20のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたマイクロバブル含有ポリマー溶液を大気圧下で塗布及び乾燥し、マイクロセルラープラスチックを得る工程を含む、マイクロセルラープラスチックの製造方法。
  22. 前記マイクロセルラープラスチックが中空シートである、請求項21に記載の製造方法。
  23. 前記マイクロセルラープラスチックを得る工程において、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液から除去された有機溶媒を回収し、前記マイクロバブル含有ポリマー溶液の溶媒として再利用する工程を含む、請求項21又は22に記載の製造方法。
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