JP2016056315A - フロロシリコーンゴム組成物及び輸送機のエンジン周辺用ゴム部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】フロロシリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化して得られるフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品の提供。【解決手段】下記(A)〜(C)成分を含有してなるフロロシリコーンゴム組成物、及び該フロロシリコーンゴム成形品は、特に、輸送機のエンジン周辺用ゴム部品。(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド:100質量部、(B)pHが9以下である活性炭:0.1〜10質量部、(C)硬化触媒:有効量【選択図】なし
Description
本発明は、輸送機用エンジンに使用される燃料中に含まれる老化防止剤であるアミン類等に接しても、その物性が低下しにくい耐アミン性に優れたフロロシリコーンゴムを与えるフロロシリコーンゴム組成物及びフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品に関する。
シリコーンゴム組成物は、作業のしやすさ、成形性、また成形後の耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性等の性質に優れており、種々の分野で使用されている。特に、ベースポリマーの主鎖が側鎖置換基として3,3,3−トリフルオロプロピル基を有する(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキサン単位の繰返し構造から実質的になるフロロシリコーン生ゴムを主剤とするフロロシリコーンゴム組成物は、耐溶剤性にも優れた性質を有しており、輸送機器部品、石油関連機器部品としてのダイヤフラム、O−リング、オイルシール材等として広く使用されている。
しかしながら、フロロシリコーンゴムは、ガソリン燃料や、オイルに含有されている、老化防止剤、防さび剤であるアミン類に対しては、シロキサン主鎖がクラッキングしてしまい、ゴム成形物の初期物性を保てなくなる。このようなアミンとしては、各種ポリエーテルアミン、アルコールアミン、アルキルアミン等が挙げられる。フロロシリコーンゴムについては、過去に、耐燃料油性、アミン性老化防止剤耐久性の改善努力がなされてきた。
しかしながら、フロロシリコーンゴムは、ガソリン燃料や、オイルに含有されている、老化防止剤、防さび剤であるアミン類に対しては、シロキサン主鎖がクラッキングしてしまい、ゴム成形物の初期物性を保てなくなる。このようなアミンとしては、各種ポリエーテルアミン、アルコールアミン、アルキルアミン等が挙げられる。フロロシリコーンゴムについては、過去に、耐燃料油性、アミン性老化防止剤耐久性の改善努力がなされてきた。
しかし、これらの方法をもってしても、フロロシリコーンゴムについてはアミンに接触したときのクラッキングを十分に抑制することは困難である。
本発明は、アミン系老化防止剤等に接触した場合でも、物性低下の少ない耐アミン性に優れたフロロシリコーンゴム(硬化物)を与えるフロロシリコーンゴム組成物、特にはミラブル型のフロロシリコーンゴム組成物及びフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品を提供することを目的とする。
なお、ミラブル型の組成物とは、室温(25℃)において自己流動性のない非液状(ペースト又は固体状)であって、ロールミル等の混練手段によってせん断応力下に均一に混合することができる組成物を意味する。
本発明は、上記の問題点を解決すべくなされたもので、特定の活性炭をフロロシリコーンゴム組成物中に所定量添加することで、アミン系老化防止剤等との接触によるフロロシリコーンゴムの物性低下が抑制されることを知見し、本発明をなすに至った。
なお、本発明において、フロロシリコーンゴムとは、主剤となるベースポリマーの直鎖状ジオルガノポリシロキサンにおいて、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位のほとんど(例えば90モル%以上、特には95モル%以上)が、(3,3,3−トリフルオロプロピル)オルガノシロキサン単位からなり、ケイ素原子に結合する置換又は非置換の一価炭化水素基全体のほぼ50モル%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であって、分子中のケイ素原子数とほぼ同等数の3,3,3−トリフルオロプロピル基を分子中に有するという特殊な分子構造のベースポリマーを主剤とするシリコーンゴムを意味するものであって、この特殊な分子構造のベースポリマーを主剤とするものである点において、ジメチルポリロキサン等をベースポリマーとする通常のシリコーンゴムとは、性状、物性の点で本質的に異なるものである。
なお、本発明において、フロロシリコーンゴムとは、主剤となるベースポリマーの直鎖状ジオルガノポリシロキサンにおいて、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位のほとんど(例えば90モル%以上、特には95モル%以上)が、(3,3,3−トリフルオロプロピル)オルガノシロキサン単位からなり、ケイ素原子に結合する置換又は非置換の一価炭化水素基全体のほぼ50モル%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であって、分子中のケイ素原子数とほぼ同等数の3,3,3−トリフルオロプロピル基を分子中に有するという特殊な分子構造のベースポリマーを主剤とするシリコーンゴムを意味するものであって、この特殊な分子構造のベースポリマーを主剤とするものである点において、ジメチルポリロキサン等をベースポリマーとする通常のシリコーンゴムとは、性状、物性の点で本質的に異なるものである。
すなわち、本発明は、下記のフロロシリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化して得られるフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品を提供するものである。
〔1〕
下記(A)〜(C)成分、
(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド:100質量部、
(B)pHが9以下である活性炭:0.1〜10質量部、
(C)硬化触媒:有効量
を含有してなることを特徴とするフロロシリコーンゴム組成物。
〔2〕
(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドが、
(a)フロロシリコーン生ゴム:100質量部、
(b)補強性シリカ:2〜100質量部
からなるものである〔1〕記載のフロロシリコーンゴム組成物。
〔3〕
(B)成分の活性炭の平均粒径が80μm以下である〔1〕又は〔2〕記載のフロロシリコーンゴム組成物。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のフロロシリコーンゴム組成物を硬化して得られるフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品。
〔1〕
下記(A)〜(C)成分、
(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド:100質量部、
(B)pHが9以下である活性炭:0.1〜10質量部、
(C)硬化触媒:有効量
を含有してなることを特徴とするフロロシリコーンゴム組成物。
〔2〕
(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドが、
(a)フロロシリコーン生ゴム:100質量部、
(b)補強性シリカ:2〜100質量部
からなるものである〔1〕記載のフロロシリコーンゴム組成物。
〔3〕
(B)成分の活性炭の平均粒径が80μm以下である〔1〕又は〔2〕記載のフロロシリコーンゴム組成物。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のフロロシリコーンゴム組成物を硬化して得られるフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品。
本発明のフロロシリコーンゴム組成物は、アミン系老化防止剤等に接触しても物性低下の少ない耐アミン性に優れたフロロシリコーンゴム成形品(硬化物)を与えるものであって、該フロロシリコーンゴム成形品は、特に、輸送機のエンジン周辺用ゴム部品等の用途に好適に使用できるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド
本発明における(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドの組成は、
(a)フロロシリコーン生ゴム:100質量部、
(b)補強性シリカ:2〜100質量部
からなるものである。
(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド
本発明における(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドの組成は、
(a)フロロシリコーン生ゴム:100質量部、
(b)補強性シリカ:2〜100質量部
からなるものである。
以下、各成分について記述する。
(a)フロロシリコーン生ゴム
(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドの主剤(ベースポリマー)である(a)成分のフロロシリコーン生ゴムは、下記平均組成式(1)
R1 aR2 bR3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
で表され、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位のほとんど(例えば90モル%以上、特には95モル%以上)が、(3,3,3−トリフルオロプロピル)オルガノシロキサン単位からなり、ケイ素原子に結合する置換又は非置換の一価炭化水素基全体の45〜52モル%、より好ましくは48〜51モル%、更に好ましくは49.5〜50.0モル%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であって、分子中のケイ素原子数とほぼ同等数の3,3,3−トリフルオロプロピル基を分子中に有する、実質的に直鎖状のトリフロロプロピル基含有オルガノポリシロキサン生ゴムである。
(a)フロロシリコーン生ゴム
(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドの主剤(ベースポリマー)である(a)成分のフロロシリコーン生ゴムは、下記平均組成式(1)
R1 aR2 bR3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
で表され、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位のほとんど(例えば90モル%以上、特には95モル%以上)が、(3,3,3−トリフルオロプロピル)オルガノシロキサン単位からなり、ケイ素原子に結合する置換又は非置換の一価炭化水素基全体の45〜52モル%、より好ましくは48〜51モル%、更に好ましくは49.5〜50.0モル%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であって、分子中のケイ素原子数とほぼ同等数の3,3,3−トリフルオロプロピル基を分子中に有する、実質的に直鎖状のトリフロロプロピル基含有オルガノポリシロキサン生ゴムである。
なお、生ゴムとは、室温(25℃)で、1,000,000mPa・s以上、特には10,000,000mPa・s以上の非常に高粘ちょうな液状であるか、あるいは自己流動性のない非液状(ペースト又は固体状)である高重合体であることを意味する。なお、本発明において粘度は、例えば、回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)によって測定することができる。
ここで、上記式(1)中、R1はトリフロロプロピル基である。R2は炭素数2〜8の非置換又は置換の一価脂肪族不飽和炭化水素基であり、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられる。R3は炭素数1〜8の非置換の一価脂肪族飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。なお、R3が分子鎖末端のケイ素原子に結合するものである場合には、該R3の一部は水酸基(シラノール基)であってもよい。a,b,cは正数で、aは0.96〜1.01、bは0.0001〜0.01、cは0.96〜1.06で、a+b+cは1.98〜2.02を満足する。
このオルガノポリシロキサンにおいて、一価脂肪族不飽和炭化水素基であるR2は、1分子中に少なくとも2個以上有することが必要であり、また、分子中のケイ素原子数に対して0.01〜1モル%含有するものであるが、特に、0.02〜0.5モル%含有することが好ましく、また、アルケニル基、特にビニル基であることが好ましい。R2は主鎖の末端にあっても、側鎖にあっても、末端と側鎖の両方にあってもよい。一価脂肪族不飽和炭化水素基が1モル%よりも多いと、ゴム硬度が実用以上に上昇したり、ゴムが脆くなって、引張強度、引裂き強度等の機械的強度が低下したりするといった問題がある。
上記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、例えば、特開昭62−174260号公報に記載されているように、下記式(2)
で示されるシロキサンオリゴマーを開始剤として、(トリフロロプロピル)メチルシロキサン環状3量体の開環重合によって得ることができる。
で示されるシロキサンオリゴマーを開始剤として、(トリフロロプロピル)メチルシロキサン環状3量体の開環重合によって得ることができる。
(b)成分のシリカ系充填剤は、機械的強度の優れたシリコーンゴムコンパウンドを得るために必要とされる補強性充填剤である。通常は必要とする物理強度、耐熱性などを考慮してBET法による比表面積が50m2/g〜380m2/gの範囲のものを選択する。このシリカ系充填剤としては煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降シリカ(湿式)双方使用可能である。また、必要に応じて、これらの表面を予めオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理することも可能である。なお、このシリカ系充填剤の添加量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン(フロロシリコーン生ゴム)100質量部に対し2質量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部より多くすると加工性が悪くなり、また、得られるシリコーンゴムの物理特性が低下するので、2〜100質量部、好ましくは5〜60質量部である。
(B)pHが9以下である活性炭
(B)成分の活性炭は、本発明の根幹をなすものであり、アミン系老化防止剤によるシロキサン鎖のクラッキングを抑制する。細孔による吸着と、表面カルボニル基による固定により、アミンによるシロキサン鎖のクラッキングを抑制するものと考えられる。
(B)成分の活性炭は、本発明の根幹をなすものであり、アミン系老化防止剤によるシロキサン鎖のクラッキングを抑制する。細孔による吸着と、表面カルボニル基による固定により、アミンによるシロキサン鎖のクラッキングを抑制するものと考えられる。
活性炭は、石炭系、木質系、やし殻系などが知られているが、細孔構造のより発達している、木質系、やし殻系が好ましい。また、(B)成分の活性炭としてはpHが9以下、好ましくは5.5〜9、特に好ましくは6.0〜8.5、更に好ましくは6.5〜8.0であることが必要であり、このpH値を9以下に制御する手段としては、表面を酸洗浄する方法が好ましい。pHが9を超えるもの、特に10を超えるものは、活性炭の表面にアルカリ金属(Na,K)が残存しており、この影響で、フロロシリコーン主鎖のクラッキングの原因となる。その結果、圧縮永久歪や耐熱性が悪化する。なお、この活性炭のpH値(水素イオン濃度値)は、JIS K 1474(活性炭試験方法)7.11項に規定されている方法(即ち、所定の条件下で、活性炭に水を加えて煮沸した後、その煮沸液のpHを測定する方法)に準拠して測定することができる。
活性炭の粒径は、平均粒径80μm以下、より好ましくは70μm以下が好ましい。80μmを超えると、フロロシリコーンゴムの物理強度を損ねるおそれがある。なお、平均粒径の下限は、0.01μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。ここで、平均粒径は、例えば、市販のレーザ光回折/散乱式粒度分布測定装置等を用いて、レーザ光回折法による粒度分布測定における累積質量平均径;D50(又はメジアン径)等として求めることができる。
推奨される活性炭としては、シラサギAS(木質系)、FP−3(やし殻系)(共に日本エンバイロケミカル製品)等が挙げられる。
推奨される活性炭としては、シラサギAS(木質系)、FP−3(やし殻系)(共に日本エンバイロケミカル製品)等が挙げられる。
活性炭の添加量は、前記(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンド100質量部に対して0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.3〜5質量部、更に好ましくは0.5〜3質量部が望ましい。0.1質量部未満では(B)成分の添加効果がなく、10質量部を超えると、フロロシリコーンゴム硬化物の物理的強度が低下してくる。
(C)硬化触媒
(C)成分の硬化触媒を、前記(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドと(B)成分の活性炭の混合物に添加し、均一に混合することによりフロロシリコーンゴム組成物を調製し、この組成物を常法により加硫硬化させることでフロロシリコーンゴム硬化物を与える。この場合、加硫硬化にあたっては、従来公知の硬化触媒、好ましくは有機過酸化物を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキシン等が挙げられる。これらは1種類を単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。硬化触媒の配合量は、触媒量とすることができるが、有機過酸化物の配合量は、前記(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンド100質量部に対して、0.1〜5質量部程度とすることが好ましい。
(C)成分の硬化触媒を、前記(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドと(B)成分の活性炭の混合物に添加し、均一に混合することによりフロロシリコーンゴム組成物を調製し、この組成物を常法により加硫硬化させることでフロロシリコーンゴム硬化物を与える。この場合、加硫硬化にあたっては、従来公知の硬化触媒、好ましくは有機過酸化物を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキシン等が挙げられる。これらは1種類を単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。硬化触媒の配合量は、触媒量とすることができるが、有機過酸化物の配合量は、前記(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンド100質量部に対して、0.1〜5質量部程度とすることが好ましい。
また、硬化剤として、白金系触媒と、ケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを併用する付加反応硬化を用いることもできる。この場合、白金系触媒は(A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドに対して白金系金属の質量換算で1〜2,000ppm程度用いることが好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基を(A)成分のベースポリマーである(a)フロロシリコーン生ゴム中の一価脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して0.5〜5個の比率で供給できる量を用いることが好ましい。
本発明のフロロシリコーンゴム組成物には、必要に応じて、粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、炭酸カルシウム等の充填剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤等の添加剤や、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール封鎖低分子シロキサン等の分散剤などを添加してもよい。
本発明のフロロシリコーンゴム組成物には、更に上記成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じ、セリウム化合物や、酸化鉄のようなや耐熱性向上剤、老化防止剤、着色剤、離型剤等のシリコーンゴム組成物における公知の添加剤を添加することができる。
本発明のフロロシリコーンゴム成形物(ゴム硬化物)を得るためのフロロシリコーンゴム組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドューミキサー(ニーダー)などのゴム混練り機を用いて均一に混合することにより得ることができる。
フロロシリコーンゴム組成物の成形方法に特に制限はなく、圧縮成形、移送成形、射出成形、押出成形、カレンダー成形等の一般のゴム成形法に準じて所望の形状に成形でき、O−リング、ダイヤフラム、パッキン、ガスケット等のゴム成形品とすることができる。この場合、硬化は、通常、120〜400℃、好ましくは130〜220℃で、1〜40分、好ましくは5〜30分程度とすることができ、また、必要に応じ、180〜250℃、特には200〜240℃で1〜10時間程度二次加硫(ポストキュア)してもよい。
本発明で得られる成形物は、輸送機のエンジン周りで、燃料油やオイルに接するゴム部品に使用されることが推奨される。
本発明で得られる成形物は、輸送機のエンジン周りで、燃料油やオイルに接するゴム部品に使用されることが推奨される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、活性炭のpH値は、JIS K 1474の7.11項に準拠して測定したものであり、平均粒径はレーザ光回折法による累積質量平均径(D50)を示す。
[実施例1、比較例1,2]
下記式(3)で示されるフロロシリコーン生ゴム(ビニル基含有量;分子中のケイ素原子数に対して0.30モル%、以下同様。)100質量部に対して比表面積130m2/gの乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル130)を40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて2本ロールで均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化しベースとなるフロロシリコーンベースコンパウンドAを得た。
次に、このフロロシリコーンベースコンパウンドA150質量部に、平均粒径40μm、pH7.6の活性炭FP−3(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を2本ロールにて十分分散させた(実施例1)。
比較として、平均粒径10μm、pH10の活性炭FPG−1(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を同様に添加したものを比較例1、活性炭成分を何も添加しないものを比較例2とした。
得られた各コンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m2/gの酸化セリウムを1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して、3種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンド(フロロシリコーンゴム組成物)を得た。
下記式(3)で示されるフロロシリコーン生ゴム(ビニル基含有量;分子中のケイ素原子数に対して0.30モル%、以下同様。)100質量部に対して比表面積130m2/gの乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル130)を40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて2本ロールで均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化しベースとなるフロロシリコーンベースコンパウンドAを得た。
次に、このフロロシリコーンベースコンパウンドA150質量部に、平均粒径40μm、pH7.6の活性炭FP−3(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を2本ロールにて十分分散させた(実施例1)。
比較として、平均粒径10μm、pH10の活性炭FPG−1(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を同様に添加したものを比較例1、活性炭成分を何も添加しないものを比較例2とした。
得られた各コンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m2/gの酸化セリウムを1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して、3種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンド(フロロシリコーンゴム組成物)を得た。
[アミン耐久性測定]
耐アミン性としてアミン浸漬後の圧縮永久歪を測定した。測定方法はJIS K 6262に準じた。得られたフルコンパウンドを165℃で10分間、加圧成形し、硬化させた後、200℃で4時間ポストキュアーして、直径13mm、高さ6.3mmの圧縮永久歪測定用小型円柱試験片を作製した。得られた試験片を、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンの10質量%エタノール溶液に24時間常温浸漬し、1日常温風乾後、150℃にて25%圧縮永久歪を測定した。
比較として、浸漬なしの圧縮永久歪も測定した。結果を表1に示す。
耐アミン性としてアミン浸漬後の圧縮永久歪を測定した。測定方法はJIS K 6262に準じた。得られたフルコンパウンドを165℃で10分間、加圧成形し、硬化させた後、200℃で4時間ポストキュアーして、直径13mm、高さ6.3mmの圧縮永久歪測定用小型円柱試験片を作製した。得られた試験片を、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンの10質量%エタノール溶液に24時間常温浸漬し、1日常温風乾後、150℃にて25%圧縮永久歪を測定した。
比較として、浸漬なしの圧縮永久歪も測定した。結果を表1に示す。
[実施例2、比較例3]
下記式(4)で示されるフロロシリコーン生ゴム(ビニル基含有量;0.40モル%)100質量部に対して比表面積90m2/gの乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル90G)をそれぞれ40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化しベースとなるフロロシリコーンベースコンパウンドBを得た。
次に、平均粒径70μm、pH6.6の活性炭シラサギAS(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を2本ロールにて十分分散させた(実施例2)。
比較として、添加量を0.05質量部としたものを比較例3とした。
得られたコンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m2/gの酸化セリウムを1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して2種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンド(フロロシリコーンゴム組成物)を得た。
耐アミン性は、実施例1の評価法において、アミンとして、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミンを選択して、浸漬して同様な試験を行った。
下記式(4)で示されるフロロシリコーン生ゴム(ビニル基含有量;0.40モル%)100質量部に対して比表面積90m2/gの乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル90G)をそれぞれ40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化しベースとなるフロロシリコーンベースコンパウンドBを得た。
次に、平均粒径70μm、pH6.6の活性炭シラサギAS(日本エンバイロケミカル社製品)1質量部を2本ロールにて十分分散させた(実施例2)。
比較として、添加量を0.05質量部としたものを比較例3とした。
得られたコンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m2/gの酸化セリウムを1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して2種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンド(フロロシリコーンゴム組成物)を得た。
耐アミン性は、実施例1の評価法において、アミンとして、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミンを選択して、浸漬して同様な試験を行った。
Claims (4)
- 下記(A)〜(C)成分、
(A)フロロシリコーンゴムコンパウンド:100質量部、
(B)pHが9以下である活性炭:0.1〜10質量部、
(C)硬化触媒:有効量
を含有してなることを特徴とするフロロシリコーンゴム組成物。 - (A)成分のフロロシリコーンゴムコンパウンドが、
(a)フロロシリコーン生ゴム:100質量部、
(b)補強性シリカ:2〜100質量部
からなるものである請求項1記載のフロロシリコーンゴム組成物。 - (B)成分の活性炭の平均粒径が80μm以下である請求項1又は2記載のフロロシリコーンゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のフロロシリコーンゴム組成物を硬化して得られるフロロシリコーンゴム硬化物からなる輸送機のエンジン周辺用ゴム部品。
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