JP2016055493A - 自動二輪車用タイヤの成形方法およびプロファイルドラム - Google Patents
自動二輪車用タイヤの成形方法およびプロファイルドラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】材料コストの上昇を招くことなく、エンズのバラツキやバンドプライの巻き崩れの発生などを十分に抑制して、旋回安定性やユニフォミティを向上させることができる自動二輪車用タイヤの成形技術を提供する。【解決手段】ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムの外周面に、バンドコードがトッピングゴムにより被覆された長尺帯状のバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法であって、プロファイルドラムが、バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が外周面に螺旋状に形成されたプロファイルドラムであり、凹状のドラム溝にバンドプライを嵌め込みながらプロファイルドラムの外周面にバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法。【選択図】図1
Description
本発明は自動二輪車用タイヤの成形技術に関し、詳しくは、プロファイルドラムの外周面にバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法および前記自動二輪車用タイヤの成形方法に用いられるプロファイルドラムに関する。
自動二輪車用タイヤ(MCタイヤ)は車体を大きくバンクさせて旋回する特性上、製造時、トレッド部の表面を曲率半径が小さな凸円弧状のトレッドプロファイルに形成する必要があり、従来より、トレッドプロファイルに応じた小さな曲率半径で外周面を湾曲させたプロファイルドラムを用いてトレッド部を形成している(例えば特許文献1)。
図2は、このプロファイルドラムを模式的に示す子午断面図であり、プロファイルドラム1の子午断面の上半分を示している。図2に示すように、このプロファイルドラム1は、ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすように形成されている。
このようなプロファイルドラム1を用いてトレッド部を形成する場合、図3に示すような複数のバンドコードa1がトッピングゴムa2で被覆されたバンドプライb1を、図2のプロファイルドラム1の外周面3に螺旋状に巻回させる。具体的には、プロファイルドラム1を回転させながら、アプリケータ(図示省略)を所定の軌道2に沿って移動させてアプリケータからバンドプライを供給することにより螺旋状に巻回させる。
そして、巻回されたバンドプライの上にトレッドゴムを貼り付けて圧着することによりトレッド部が形成される。
しかしながら、上記した従来の方法の場合、バンドプライの巻回を適切に行うことが難しく、以下に示すような種々の問題が生じていた。
即ち、プロファイルドラム1は上記した自動二輪車用タイヤの特性との関係から、通常、中央部の曲率半径と両側縁部の曲率半径とが異なるダブルRのプロファイルドラム1が用いられるが、アプリケータ(図示せず)はシングルRの軌道2で移動しながら外周面3にバンドプライを供給するため、中央部に形成されるクラウン部と、両側縁部に形成されるショルダー部とでバンドコードの間隔(エンズ)にバラツキが生じて製造後のタイヤの旋回安定性が低下する恐れがある。
また、金属製のプロファイルドラム上にバンドプライを直接巻回させると、巻回後のバンドプライに巻き崩れが生じる恐れがあるため、バンドプライの側縁部同士を接触させるもしくは重ね合わせて巻回していたが、結果的に、バンドプライの巻回数が必要以上に多くなり、材料コストが高くなる恐れがある。
さらに、バンドプライが均一に巻回されていても、トレッドゴムの貼り付けや圧着を行う際の外力により巻き崩れが生じて、製造後のタイヤのユニフォミティが低下する恐れがある。
そこで、従来は、プロファイルドラムの回転速度を抑え、巻回作業を慎重に行うことにより、エンズのバラツキやバンドプライの巻き崩れの発生などを抑制していたが、未だ充分とは言えず、また、生産効率向上の妨げにもなっていた。
このため、材料コストの上昇を招くことなく、エンズのバラツキやバンドプライの巻き崩れの発生などを十分に抑制して、旋回安定性やユニフォミティを向上させることができる自動二輪車用タイヤの成形技術が望まれていた。
本発明者は、上記した課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明によれば上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムの外周面に、バンドコードがトッピングゴムにより被覆された長尺帯状のバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法であって、
前記プロファイルドラムが、前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が前記外周面に螺旋状に形成されたプロファイルドラムであり、
前記凹状のドラム溝に前記バンドプライを嵌め込みながら前記プロファイルドラムの外周面に前記バンドプライを螺旋状に巻回する
ことを特徴とする自動二輪車用タイヤの成形方法である。
ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムの外周面に、バンドコードがトッピングゴムにより被覆された長尺帯状のバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法であって、
前記プロファイルドラムが、前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が前記外周面に螺旋状に形成されたプロファイルドラムであり、
前記凹状のドラム溝に前記バンドプライを嵌め込みながら前記プロファイルドラムの外周面に前記バンドプライを螺旋状に巻回する
ことを特徴とする自動二輪車用タイヤの成形方法である。
請求項2に記載の発明は、
前記プロファイルドラムが、前記ドラム溝の深さを前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍、前記ドラム溝の幅を前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍、前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度を80〜100°に設定されたプロファイルドラムであり、
前記バンドプライが、幅2.0〜5.0mm、厚み0.8〜2.0mmで、1〜5本の前記バンドコードを有するバンドプライであり、
前記プロファイルドラムの外周面に沿って移動しながら前記バンドプライを供給するアプリケータを用いて、前記バンドプライを前記プロファイルドラムの外周面に螺旋状に巻回する際のバンド角度の変化を、前記バンドプライの巻き始めから巻き終わりまで、0〜1°の範囲内に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法である。
前記プロファイルドラムが、前記ドラム溝の深さを前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍、前記ドラム溝の幅を前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍、前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度を80〜100°に設定されたプロファイルドラムであり、
前記バンドプライが、幅2.0〜5.0mm、厚み0.8〜2.0mmで、1〜5本の前記バンドコードを有するバンドプライであり、
前記プロファイルドラムの外周面に沿って移動しながら前記バンドプライを供給するアプリケータを用いて、前記バンドプライを前記プロファイルドラムの外周面に螺旋状に巻回する際のバンド角度の変化を、前記バンドプライの巻き始めから巻き終わりまで、0〜1°の範囲内に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法である。
請求項3に記載の発明は、
前記バンドプライのコード材料が、ポリエステル繊維、アラミド繊維、またはスチールコードの何れかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法である。
前記バンドプライのコード材料が、ポリエステル繊維、アラミド繊維、またはスチールコードの何れかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法である。
請求項4に記載の発明は、
自動二輪車用タイヤの成形方法に用いられ、ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムであって、
前記外周面に前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が螺旋状に形成されている
ことを特徴とするプロファイルドラムである。
自動二輪車用タイヤの成形方法に用いられ、ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムであって、
前記外周面に前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が螺旋状に形成されている
ことを特徴とするプロファイルドラムである。
請求項5に記載の発明は、
前記ドラム溝の深さが、前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍であり、
前記ドラム溝の幅が、前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍であり、
前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度が、80〜100°である
ことを特徴とする請求項4に記載のプロファイルドラムである。
前記ドラム溝の深さが、前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍であり、
前記ドラム溝の幅が、前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍であり、
前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度が、80〜100°である
ことを特徴とする請求項4に記載のプロファイルドラムである。
本発明によれば、材料コストの上昇を招くことなく、エンズのバラツキやバンドプライの巻き崩れの発生などを十分に抑制して、旋回安定性やユニフォミティを向上させることができる自動二輪車用タイヤの成形技術を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいて図面を用いて説明する。
1.概要
図1は本実施の形態に係るプロファイルドラムを用いた自動二輪車用タイヤの成形方法を模式的に示す図であり、(a)は使用するプロファイルドラムの子午断面の上部を示す図であり、(b)はプロファイルドラムの外周面の一部の拡大図である。なお、図1(b)は、湾曲した外周面を直線的に展開して概念的に示している。
図1は本実施の形態に係るプロファイルドラムを用いた自動二輪車用タイヤの成形方法を模式的に示す図であり、(a)は使用するプロファイルドラムの子午断面の上部を示す図であり、(b)はプロファイルドラムの外周面の一部の拡大図である。なお、図1(b)は、湾曲した外周面を直線的に展開して概念的に示している。
本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法は、図1(a)に示すように、ドラム軸心を含む子午断面において外周面3が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラム1の外周面3に長尺帯状のバンドプライb1をアプリケータ5を用いて螺旋状に巻回する点においては従来と同様である。
しかし、本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法においては、プロファイルドラムが、図1(b)に示すような、バンドプライb1を嵌め込む凹状のドラム溝4が外周面3に螺旋状に形成されたプロファイルドラム1であり、この凹状のドラム溝4にバンドプライb1を嵌め込みながらプロファイルドラム1の外周面3にバンドプライb1を螺旋状に巻回する点が従来の自動二輪車用タイヤの成形方法と異なっている。
このように、凹状のドラム溝4が螺旋状に形成されたプロファイルドラム1を用い、このドラム溝4にバンドプライb1を嵌め込みながら巻回させることにより、中央部と両側縁部とで外周面の曲率半径が異なるダブルRのプロファイルドラム1の場合であっても、バンドコードの間隔を均一にした状態でバンドプライb1を巻回させることができる。
この結果、プロファイルドラム1の中央部に形成されるクラウン部と、両側縁部に形成されるショルダー部とにおけるエンズのバラツキの発生を抑制してバンドコードの間隔を均一にすることができ、優れた旋回安定性の自動二輪車用タイヤを製造することができる。
また、巻回されたバンドプライb1がドラム溝4に嵌り込んで保持されているため、バンドプライb1の側縁部同士の接触や巻き重ねを行わなくても、バンドプライb1の巻き崩れの発生を防止することができる。この結果、バンドプライb1の巻回数を、使用する車両の仕様やタイヤサイズに応じた適正な数に調整することができ、巻回数の減少によるコスト削減を図りながら衝撃吸収性に優れたタイヤを製造することができる。
さらに、トレッドゴムの貼り付け時や圧着時においても、ドラム溝4によってバンドプライb1を保持しているため、巻回されたバンドプライb1の巻き崩れの発生を適切に防止することができ、従来よりもユニフォミティに優れたタイヤを製造することができる。
以上のように、本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法によれば、材料コストの上昇を招くことなく、エンズのバラツキやバンドプライの巻き崩れの発生などを十分に抑制して、旋回安定性やユニフォミティを向上させることができる。
2.本実施の形態の詳細な説明
(1)プロファイルドラム
次に、本実施の形態をより詳細に説明する。なお、上記したように、本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法は、従来と異なる構造のプロファイルドラムを用いる点に大きな特徴があるため、このプロファイルドラムの具体的な構造について先に説明する。
(1)プロファイルドラム
次に、本実施の形態をより詳細に説明する。なお、上記したように、本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法は、従来と異なる構造のプロファイルドラムを用いる点に大きな特徴があるため、このプロファイルドラムの具体的な構造について先に説明する。
本実施の形態に係るプロファイルドラム1は、自動二輪車用タイヤの成形方法に用いられ、図1(a)に示すようにドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなしており、図1(b)に示すように外周面3にバンドプライb1を嵌め込む凹状のドラム溝4が螺旋状に形成されている。
なお、このプロファイルドラム1は、周方向に分割された複数のデッキセグメント(図示省略)から構成されており、各デッキセグメントが縮径可能に保持されている。そして、上記したように、このプロファイルドラム1は、ドラム軸心を含む子午断面において凸円弧状の輪郭線をなす外周面3を有している。
また、プロファイルドラム1には、従来と同様に、バンドプライb1を供給するためのアプリケータ5が外周面3の上方に付設されている。このアプリケータ5は、一定の曲率半径(シングルR)の軌道2に沿ってプロファイルドラム1の軸方向の一端から他端に向かって移動しながらバンドプライb1をプロファイルドラム1の外周面3に供給する。
ドラム溝4の寸法は、巻回されるバンドプライb1を適切に嵌め込むという観点から、以下のように設定されていることが好ましい。なお、上記したように、図1(b)は、湾曲した外周面を直線的に展開して概念的に示す図であり、以下で詳細に説明するドラム溝4の寸法についても、湾曲した外周面を直線的に展開した際の寸法である。
即ち、ドラム溝4の深さaは、バンドプライb1の厚みの0.5〜0.8倍であることが好ましい。ドラム溝4の深さaがバンドプライb1の厚みの0.5倍よりも小さい場合、トレッドゴムをステッチする際にバンドプライb1が巻き崩れる恐れがあり、0.8倍よりも大きい場合、デッキセグメントを縮径させるドラムコラップスの際にバンドプライb1がドラム溝4に引っ掛かって巻き崩れる恐れがある。
また、ドラム溝4の幅bは、バンドプライb1の幅の1.0〜1.2倍であることが好ましく、1.0〜1.1倍であると最も好ましい。ドラム溝4の幅bがバンドプライb1の幅の1.0倍よりも小さい場合、バンドプライb1をドラム溝4に嵌め込むことが難しくなり、1.2倍よりも大きい場合、バンドプライb1の巻回やトレッドステッチ、ドラムコラップスの各工程においてドラム溝4からバンドプライb1が外れる恐れがある。
そして、ドラム溝4が形成されるピッチcは、(外周面3の円弧長)/(バンドプライb1の巻き数)に基づいて設定され、バンドプライb1の巻き数に応じて適宜調整される。
また、ドラム溝4の底面と側壁のなす角度dは、略垂直、例えば80〜100°であることが好ましく、90°であると最も好ましい。角度dが80°よりも小さい場合、ドラムコラップスの際にドラム溝4にバンドプライb1が引っ掛かって巻き崩れが生じる恐れがあり、一方、角度dが100°よりも大きい場合、トレッドステッチ時にドラム溝4からバンドプライb1がずれて巻き崩れが生じる恐れがある。
(2)自動二輪車用タイヤの成形方法
次に、上記したプロファイルドラム1を用いた自動二輪車用タイヤの成形方法を説明する。
次に、上記したプロファイルドラム1を用いた自動二輪車用タイヤの成形方法を説明する。
本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法において用いられるバンドプライb1は、上記したように、複数本のバンドコードa1がトッピングゴムa2で被覆された帯状のゴム材料である(図3参照)。
バンドプライb1の幅は2.0〜5.0mm、厚みは0.8〜2.0mmであることが好ましい。また、バンドコードa1は、ポリエステル繊維、アラミド繊維またはスチールを材料とした撚りコードであることが好ましく、1本のバンドプライに1〜5本のバンドコードが含まれていることが好ましい。
本実施の形態に係る自動二輪車用タイヤの成形方法は、図1に示すように、先ず、シングルRの軌道2で移動するアプリケータ5からバンドプライb1を供給しながら、プロファイルドラム1を回転させることにより、プロファイルドラム1の外周面3にバンドプライb1を螺旋状に巻回する。
このとき、プロファイルドラム1の回転速度とアプリケータ5の移動速度を調整して、ドラム溝4にバンドプライb1を嵌め込みながらプロファイルドラム1の外周面3に螺旋状に巻回する。なお、アプリケータ5からバンドプライb1をドラム溝4へ供給する際のバンド角度は巻き始めから巻き終わりまで略一定(0〜1°の範囲内)になるように制御することが好ましい。
次に、プロファイルドラム1の外周面3上にシート状のトレッドゴムを巻回させて、巻回後のバンドプライb1の上に貼り付けた後、ステッチングローラー(図示省略)を用いてトレッドゴムとバンドプライb1とを圧着させることによりトレッド部を形成する。本実施の形態においては、バンドプライb1がドラム溝4に嵌まり込んで保持されているため、トレッドゴムの貼り付けや圧着の外力によるバンドプライb1の巻き崩れの発生を防止することができる。
トレッド部の形成が終わった後は、プロファイルドラムのデッキセグメントを縮径させて、形成されたトレッド部をプロファイルドラムから取り外し、筒状のトレッド部の内部空洞に、カーカスプライ等のシート状のゴム材料が巻き重ねられた成形フォーマを挿入する。そして、巻き重ねられたゴム材料を膨張させて筒状のトレッド部の内周面に圧着させると共に、ゴム材料の両端部にビード部をセットして、ビード部よりも外側のゴム材料を折り返して巻き上げることにより生タイヤの成形を完了する。
3.本実施の形態の効果
本実施の形態によれば、上記したように、螺旋状に形成された凹状のドラム溝にバンドプライを嵌め込みながら巻回させることにより、形成されるクラウン部とショルダー部とにおけるエンズのバラツキの発生を抑制してバンドコードの間隔を均一にすることができ、優れた旋回安定性の自動二輪車用タイヤを容易に製造することができる。
本実施の形態によれば、上記したように、螺旋状に形成された凹状のドラム溝にバンドプライを嵌め込みながら巻回させることにより、形成されるクラウン部とショルダー部とにおけるエンズのバラツキの発生を抑制してバンドコードの間隔を均一にすることができ、優れた旋回安定性の自動二輪車用タイヤを容易に製造することができる。
また、巻回されたバンドプライがドラム溝に嵌まり込んで保持されているため、バンドプライの側縁部同士の接触や巻き重ねを行わなくても、巻き崩れの発生を防止することができるため、バンドプライの巻回数の減少によるコスト削減を図りながら衝撃吸収性に優れたタイヤを製造することができる。また、トレッドゴムの貼り付けや圧着を行う際においても、貼り付けや圧着の外力により巻き崩れが生じることがなく、ユニフォミティが向上した自動二輪車用タイヤを製造することができる。
そして、これらの効果は、自動二輪車用タイヤの中でも、剛性や高速安定性よりも、衝撃吸収性に優れた乗り心地の良いタイヤであることが重視されるツーリング向けラジアルタイヤ等の成形において、特に顕著に発揮させることができる。
次に、実施例により本発明をより具体的に説明する。
1.第1の試験
(1)試験例
表1〜4に示すように、ドラム溝の深さa、幅b、ピッチc、角度dがそれぞれ異なる48種類のプロファイルドラムに、幅4.2mm、厚み1.5mmのバンドプライを巻回させて、タイヤサイズ180/55R17のMCRタイヤ(自動二輪車用のリアタイヤ)を各200本成形した。
(1)試験例
表1〜4に示すように、ドラム溝の深さa、幅b、ピッチc、角度dがそれぞれ異なる48種類のプロファイルドラムに、幅4.2mm、厚み1.5mmのバンドプライを巻回させて、タイヤサイズ180/55R17のMCRタイヤ(自動二輪車用のリアタイヤ)を各200本成形した。
なお、表1〜4中の「深さa」はバンドプライの厚みに対する比率であり、「幅b」はバンドプライの幅に対する比率である。
(2)評価
巻回したバンドプライにトレッドゴムを圧着して形成されたトレッド部を目視確認して、バンドプライに巻き崩れが生じているか否かを確認し、それぞれの試験例における巻き崩れの発生の程度を評価した。なお、本実施例における評価は4段階で行い、巻き崩れが生じた本数が5本以上の場合を「不可」、1本以上4本以下の場合を「可」、0本の場合を「良」として評価した。評価結果を表1〜表4に示す。
巻回したバンドプライにトレッドゴムを圧着して形成されたトレッド部を目視確認して、バンドプライに巻き崩れが生じているか否かを確認し、それぞれの試験例における巻き崩れの発生の程度を評価した。なお、本実施例における評価は4段階で行い、巻き崩れが生じた本数が5本以上の場合を「不可」、1本以上4本以下の場合を「可」、0本の場合を「良」として評価した。評価結果を表1〜表4に示す。
表1〜表4より、ドラム溝の深さaがバンドプライの厚みの0.5〜0.8倍であり、ドラム溝の幅bがバンドプライの幅の1.0〜1.2倍であり、ドラム溝の底面と側壁のなす角度dが80〜100°である試験2−5〜2−12と、試験3−5〜3−12のプロファイルドラムを用いた場合、巻き崩れ本数が4本以下という良好な結果を得ることが確認できた。
特に、その内でも、ドラム溝の深さaがバンドプライの厚みの0.5〜0.8倍であり、ドラム溝の幅bがバンドプライの幅の1.0〜1.1倍であり、ドラム溝の底面と側壁のなす角度dが90°である試験2−5、2−8、3−5、3−8においては、巻き崩れ本数が0本という非常に優れた結果を得ることが確認できた。
2.第2の試験
(1)実施例1〜3および比較例
第1の試験における評価が「良」であった試験2−5のプロファイルドラム(ドラム溝の深さaがバンドプライの厚みの0.5倍、幅bがバンドプライの幅の1.0倍、ピッチcが4.2mm、角度dが90°)を用いてトレッド部を形成し、形成されたトレッド部を用いてタイヤサイズ180/55R17の自動二輪車用タイヤを200本作製した(実施例1〜3)。本実施例において使用したバンドプライの幅は4.2mm、厚みは1.15mm、バンドプライは3×3×0.17のスチールコードである。
(1)実施例1〜3および比較例
第1の試験における評価が「良」であった試験2−5のプロファイルドラム(ドラム溝の深さaがバンドプライの厚みの0.5倍、幅bがバンドプライの幅の1.0倍、ピッチcが4.2mm、角度dが90°)を用いてトレッド部を形成し、形成されたトレッド部を用いてタイヤサイズ180/55R17の自動二輪車用タイヤを200本作製した(実施例1〜3)。本実施例において使用したバンドプライの幅は4.2mm、厚みは1.15mm、バンドプライは3×3×0.17のスチールコードである。
なお、実施例1〜3では、表5に示すように、バンドプライの巻き数がそれぞれ異なっており、実施例1では41回、実施例2では37回、実施例3では33回に巻き数を設定した。
また、比較例として、外周面にドラム溝が形成されていない従来のプロファイルドラムを用いてトレッド部を形成し、形成されたトレッド部を用いて自動二輪車用タイヤを作製した。なお、比較例では、実施例1〜3と同じバンドプライを使用しており、バンドプライの巻き数は、表5に示すように、実施例1と同様の41回に設定した。
(2)評価
(a)LFVおよびLROの測定
作製したタイヤに、タイヤサイズ180/55R17用の規格リムを装着させ、FV/フレマシンを用いて測定内圧200KPaでそれぞれのタイヤのユニフォミティとしてLFV(ラテラルフォースバリエーション)とLRO(ラテラルランアウト)を測定した。結果を表5に示す。
(a)LFVおよびLROの測定
作製したタイヤに、タイヤサイズ180/55R17用の規格リムを装着させ、FV/フレマシンを用いて測定内圧200KPaでそれぞれのタイヤのユニフォミティとしてLFV(ラテラルフォースバリエーション)とLRO(ラテラルランアウト)を測定した。結果を表5に示す。
(b)巻き崩れ本数
巻回したバンドプライにトレッドゴムを圧着させた後に、バンドプライの巻き崩れが生じた本数を測定した。結果を表5に示す。
巻回したバンドプライにトレッドゴムを圧着させた後に、バンドプライの巻き崩れが生じた本数を測定した。結果を表5に示す。
(c)各官能評価
作製したタイヤを車両に装着させて、一般路での旋回安定性と乗り心地の官能評価を実施すると共に、高速周回路における剛性・高速安定性の官能評価を実施した。結果を表5に示す。なお、それぞれの官能評価は実施例1を100とした相対評価で行った。
作製したタイヤを車両に装着させて、一般路での旋回安定性と乗り心地の官能評価を実施すると共に、高速周回路における剛性・高速安定性の官能評価を実施した。結果を表5に示す。なお、それぞれの官能評価は実施例1を100とした相対評価で行った。
(d)コスト評価
200本の自動二輪車用タイヤを作製するために要したコストを算出し、同様に実施例1を100とした相対評価で表した。結果を表5に示す。
200本の自動二輪車用タイヤを作製するために要したコストを算出し、同様に実施例1を100とした相対評価で表した。結果を表5に示す。
表5より、何れの実施例においても、バンドプライの巻き崩れが抑制されており、ドラム溝が外周面に形成されたプロファイルドラムにバンドプライを嵌め込みながら巻回させることにより、バンドプライがドラム溝に保持されて巻き崩れを防止できることが確認できた。
また、作製後のタイヤのユニフォミティの測定結果については、何れの実施例においても比較例より良好な値が測定されており、ドラム溝が形成されたプロファイルドラムを用いて、ドラム溝にバンドプライを嵌め込みながら巻回させることにより、ユニフォミティに優れたタイヤを製造できることが確認できた。
また、各官能評価の結果、何れの実施例においても、旋回安定性が比較例よりも向上しており、ドラム溝が外周面に形成されたプロファイルドラムを用いることにより、旋回安定性に優れたタイヤを製造できることが確認できた。
加えて、実施例2、3のように、ドラム溝が外周面に形成されたプロファイルドラムを用いてバンドプライの巻き数を少なくすることにより、乗り心地の点で優れたタイヤを作製でき、このようなタイヤは、剛性・高速安定性が多少低下しても乗り心地が求められるツーリング向けラジアルタイヤに好ましいことが確認できた。
さらに、実施例2、3においては、バンドプライの巻き数を少なくしているにも拘らず、適切なタイヤが作製されており、官能評価の乗り心地の項目についても高い評価が得られたため、低コストで優れた乗り心地のタイヤが作製できることが確認できた。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 プロファイルドラム
2 アプリケータの軌道
3 外周面
4 ドラム溝
5 アプリケータ
a ドラム溝の深さ
a1 バンドコード
a2 トッピングゴム
b ドラム溝の幅
b1 バンドプライ
c ドラム溝のピッチ
d ドラム溝の底面と側壁のなす角度
2 アプリケータの軌道
3 外周面
4 ドラム溝
5 アプリケータ
a ドラム溝の深さ
a1 バンドコード
a2 トッピングゴム
b ドラム溝の幅
b1 バンドプライ
c ドラム溝のピッチ
d ドラム溝の底面と側壁のなす角度
Claims (5)
- ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムの外周面に、バンドコードがトッピングゴムにより被覆された長尺帯状のバンドプライを螺旋状に巻回する自動二輪車用タイヤの成形方法であって、
前記プロファイルドラムが、前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が前記外周面に螺旋状に形成されたプロファイルドラムであり、
前記凹状のドラム溝に前記バンドプライを嵌め込みながら前記プロファイルドラムの外周面に前記バンドプライを螺旋状に巻回する
ことを特徴とする自動二輪車用タイヤの成形方法。 - 前記プロファイルドラムが、前記ドラム溝の深さを前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍、前記ドラム溝の幅を前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍、前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度を80〜100°に設定されたプロファイルドラムであり、
前記バンドプライが、幅2.0〜5.0mm、厚み0.8〜2.0mmで、1〜5本の前記バンドコードを有するバンドプライであり、
前記プロファイルドラムの外周面に沿って移動しながら前記バンドプライを供給するアプリケータを用いて、前記バンドプライを前記プロファイルドラムの外周面に螺旋状に巻回する際のバンド角度の変化を、前記バンドプライの巻き始めから巻き終わりまで、0〜1°の範囲内に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法。 - 前記バンドプライのコード材料が、ポリエステル繊維、アラミド繊維、またはスチールコードの何れかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動二輪車用タイヤの成形方法。
- 自動二輪車用タイヤの成形方法に用いられ、ドラム軸心を含む子午断面において外周面が凸円弧状の輪郭線をなすプロファイルドラムであって、
前記外周面に前記バンドプライを嵌め込む凹状のドラム溝が螺旋状に形成されている
ことを特徴とするプロファイルドラム。 - 前記ドラム溝の深さが、前記バンドプライの厚みの0.5〜0.8倍であり、
前記ドラム溝の幅が、前記バンドプライの幅の1.0〜1.2倍であり、
前記ドラム溝の底面と側壁のなす角度が、80〜100°である
ことを特徴とする請求項4に記載のプロファイルドラム。
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JP2014182573A JP2016055493A (ja) | 2014-09-08 | 2014-09-08 | 自動二輪車用タイヤの成形方法およびプロファイルドラム |
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JP2019137019A (ja) * | 2018-02-15 | 2019-08-22 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ製造装置 |
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2014
- 2014-09-08 JP JP2014182573A patent/JP2016055493A/ja active Pending
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