JP2016054749A - 車両用シートクッション - Google Patents

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Abstract

【課題】着座時のフィット感やクッション性に富み、軽量化を実現でき、リサイクル性に富む車両用シートクッションを提供することを提供することである。【解決手段】着座者の座面が形成されたシートクッションパッド上面部に開口部を設け、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の独立した棒状又は板状の支持体を、開口部を形成し対向する縁部間に橋架する方向に一点支持又は複数点支持の形態で、開口部の周縁部又はシートフレームに固設し、又は開口部の周縁部と一体成形し、該複数の支持体を所定の間隔を空けて列設した形態をする構成体をシートクッションパッドとし、支持体の曲げ変形が可能である空隙部を有することによって課題を解決できた。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用シートクションの軽量化に関し、特にリサイクル性に富み、フィット感、クッション性に富むことを特徴とする車両用シートクッションに関する。
一般に車両用シートクッションは、金属製のシートフレームやワイヤーを内包し、一般にウレタンフォームをクッション材として用い全体を表皮材で被覆していた。乗員の荷重は主にシートフレームやワイヤーと表皮材との間に挟まれたウレタンフォーム層を圧縮方向に撓ませることにより支えられており、クッション性及びフィット性は主にウレタンフォーム層が圧縮方向に撓んだ際の反力、復元力及び撓みによって得られていた。
また、車両用シートクッションの軽量化に関する技術として、特許文献1にシートフレームが枠状を呈し、シートフレームの断面が山形を呈すると共に、シートフレームの枠状の内周側に前記山形の一側を形成して着座者に対向する傾斜面を有し、シートフレームに弾性を有するネットを被せ、その周縁部をシートフレームの山形上から引き回して該山形の他側に固定することで凹曲面状の着座面を形成するように張設し、ネットとシートフレームの傾斜面との間に角度を設けた技術が開示されている。
他の軽量化に関する技術としては、特許文献2に、シートフレームに着脱可能に取り付けられたベースプレートと、該ベースプレート上に配置されたブロックと、該ブロック上に配置されたスプリングプレートと、該スプリングプレートを被覆する表皮とを備える着座部を有し、前記ブロックは、前記ベースプレートと前記スプリングプレート間に所定の空間を形成するように配置され、前記スプリングプレートは、弾性を有する発泡体であるPP(ポリプロピレン)ビーズ発泡体、PE(ポリエチレン)ビーズ発泡体、PP発泡体、PE発泡体、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン樹脂)発泡体、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)及びウレタンフォーム材のいずれかで形成されている発泡体で成形され、前記スプリングシートは、前記ベースプレート方向への力が加えられたときに前記空間内へ撓む車両用シートに関する技術が開示されている。
特開2002−28044号公報 特許第4009490号公報
従来の一般的な車両用シートクッションではクッション材としてウレタンフォームが使用されており、クッション性が極めて高く快適性に優れているため今も尚、多用されている。しかし、該ウレタンフォームはリサイクル性能に劣るという問題があった。さらに、車両用シートクッションは一般的なクッション性の他に、自動車の運動に伴い乗員に加えられる前後左右の加速度に対し、乗員の身体を最適な位置で支える機能も求められる。長時間の乗車時の疲労を軽減するためにも最適な位置で身体を支える必要がある。このため非常に軽量で軟質なウレタンフォームのみでは機能を満足することができず、ある程度の剛性を得るためにはウレタンフォームの密度を一定以上の密度とする必要があり、このため軽量化が進まないという問題があった。
特許文献1に記載の技術は、乗員による荷重を支えるネット素材がシートクッション周囲に設置されたシートフレームに引き込まれ強固に固定されており、乗員の着座により加えられた荷重はネット素材を通じ最終的にシートフレームの剛性により支えられていた。従ってシートフレームの構造は一定以上の強度を保たねばならず、このため従来のクッション材に相当するネット素材自体の重量は軽量であるものの、シートフレームの重量は増加傾向にあり全体としての重量軽減効果が十分ではないという問題があった。
さらに、ネット素材のクッション性は主に素材の伸びによって得られるため限定されており、長期間の使用によりたるみが発生し商品性に劣る傾向にもあった。またシートフレームに平面的なネット素材を張架する構造であるため、基本的なシートクッションの形状は平面的であり、乗員の身体を最適な位置で支えるために必要な三次元形状を得ることが困難であり、その結果、乗員に不快感を与えるという問題があった。これは自動車の運動によって乗員へ横Gが加えられる際等、不安定なハンモック状のネット素材では乗員の身体を安定して支えることができないからである。
次に、特許文献2の技術については、スプリングプレートは外形略矩形の板状発泡体であり該スプリングプレートの乗員が着座する側には横方向に複数の溝が形成されている。しかし、溝部が浅いと柔軟性を与えることができず、溝部が深ければクッション材が撓む際、わずかに残った溝部底部の連結部分へ過大な引っ張り力が集中し大きな伸び変形が発生するため復元不能な永久変形を生じる、あるいは破断する恐れが高かった。溝底部にある連結部分が一部でも破壊されれば支えを一気に失いクッション材全体の見かけ硬さが急激に低下し、クッション材としての機能が大きく損なわれる。従って破壊を回避するためクッション材の撓みを一定以上に設計することが事実上困難であり、十分な着座時のフィット感及び快適性を付与することが困難であった。
また、特許文献2の技術は、乗員の体格に応じて、高さの異なるブロックを適宜選択することにより個人的に良好な着座感を得ることができるとの記載があるが、乗員は体重の軽重によって着座する前に自分に適する高さのブロックに変えなければならないという、現実的には実施困難な対応をしなければならないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、乗員の着座時のフィット感やクッション性に富み、軽量化を実現でき、リサイクル性に富む車両用シートクッションを提供することである。
本発明において、合成樹脂発泡体とは、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓みが最大90mmとなるまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。前記合成樹脂発泡体には、ビーズ発泡成形体が含まれ、ビーズ発泡成形体としては、ポリプロピレン系ビーズ発泡成形体、ポリエチレン系ビーズ発泡体などがあげられる。
材料の具体的選定にあたっては、更に長さ400mm程度の棒状又は板状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後荷重を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上あることが望ましい。あるいは従来のウレタンフォーム製のシートクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪み(残留変位量ともいう。)が所定量以下であることが望ましい。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm〜0.015g/cm、より好ましくは密度0.035g/cm〜0.015g/cm、または発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm〜0.03g/cmなどが好ましい。一方、柔軟性に乏しく曲げ変形により容易に破断の恐れがある硬質発泡ウレタンや発泡ポリスチレンなどは好ましくない。
発明者らは軽量化を図るために材料の検討を進めた。連続気泡構造であるウレタンフォームに変わりうる素材の例として、一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、従来からシートクッションのクッション材として一般に用いられてきたウレタンフォームに比し、軽量で剛性に富みリサイクルも容易である等の利点を持っていたが、圧縮方向での撓み、復元力をクッションとして使用する場合、内包する空気の反発力により発泡体の変形に伴い反力が急激に高まる傾向にあるため、クッション性に欠け硬く感じられ快適性に劣っていた。
また一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、ウレタンフォームと同様、圧縮方向に撓ませクッション材として使用する場合、長期間の使用に従い徐々に回復力を失いクリープが発生する。これは気泡を構成する樹脂皮膜の繰り返し変形による疲労と内包する空気の圧力低下によるところが大きい。従って長期間使用される自動車用シートクッションの素材としては好ましいものではなかった。
そこで、発明者らは合成樹脂発泡体の物性を様々な角度から分析することにより、従来の一般的なクッション材として使用されてきた圧縮方向に撓ませる構造ではなく、曲げ変形が可能で復元性に優れた合成樹脂発泡体からなる支持体3の曲げ変形とその回復性をクッション材として利用する方法が最適であることを見出し本発明に至った。
「発明が解決しようとする課題」に記載した課題を解決するために、請求項1に記載の車両用シートクッション1の発明は、シートクッションパッド2を含む車両用シートクッション1であって、着座者の座面が形成された前記シートクッションパッド2上面部に開口部を設け、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の独立した棒状又は板状の支持体3を、前記開口部を形成し対向する縁部間に橋架する方向に一点支持又は複数点支持の形態で、前記開口部の周縁部又はシートフレーム7に固設し、又は前記開口部の周縁部と一体成形し、該複数の支持体3を所定の間隔を空けて列設した形態をする構成体をシートクッションパッド2とし、前記支持体3の下方へ該支持体3の曲げ変形が可能である空隙部5を有することを特徴とする。
請求項2に記載の車両用シートクッション1の発明は、請求項1において、前記支持体3の形態が、正面視で、直線形状、曲線形状、又は、直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状であることを特徴とする。
請求項3に記載の車両用シートクッション1の発明は、請求項1又は2において、前記支持体3の下方にシートフレームに張架されたベルト状の副支持体8を設けたことを特徴とする。
請求項4に記載の車両用シートクッション1の発明は、請求項1に記載の棒状又は板状の支持体3からなる部位を着座者の座面となる上面部15として、前記上面部15の左右端に側設された側面部17と下方を構成する底面部16とを含む部位から構成され、前記上面部15、側面部17及び底面部16に囲まれた中央部に該上面部15の曲げ変形が可能である空隙部5を形成させたシートクッションパッド2と、少なくとも前記シートクッションパッド2の表面を被覆するように配設した表皮21と、を含む構成要素からなることを特徴とする。
請求項5に記載の車両用シートクッション1の発明は、請求項4において、右側面部17及び左側面部17との間に略水平方向に介設された棒状又は板状の支持体3の下方であって着座者の坐骨がシートクッションに間接的に当接する範囲より外側に突起部分18を設け、あるいは下方のシートクッションパッド2底面部16上の着座者の坐骨がシートクッションに間接的に当接する範囲より外側に突起部分18を設け、着座者の荷重によって各支持体3が曲げ変形を起こす際、前記突起部分18が支持体3の一定以上の曲げ変形によってシートクッションパッド2の底面部16に当接し着座者の荷重を支持することを特徴とする。
請求項1乃至5のいずれかに記載された本発明は、いずれも乗員の身体が接触する車両用シートクッション1が、複数の棒状又は板状の支持体3を、シートクッションパッド2の上面部15の開口部の周縁部に固設し、又はシートクッションパッド2の開口部の周縁部と一体成形し、該複数の支持体3を所定の間隔(空隙4)を空けて列設し、該支持体3の下方へ該支持体3の曲げ変形が可能である空隙部5を有する形態を有し、かつ該支持体3等が合成樹脂発泡体からなるシートクッションパッド2を、構成要素に含むことを特徴とする発明である。空隙部5には、該空隙部5を取り巻く周囲の少なくとも1面が開口部を有する形態、又は、シートクッションパッド2の上面部15、左右の側面部17及び底面部16に囲まれた中央部に形成される形態がある。
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用シートクッション1の発明は、いずれも従来一般的に使用されていたウレタンフォームを合成樹脂発泡体に置換することが可能なものであり、そのため軽量化、リサイクル性の向上が可能となるものである。また、比較的硬質でありクッション性、フィット性、耐クリープ性に劣っていた合成樹脂発泡体を使用するにもかかわらず、高いクッション性、フィット性を付与させることが可能であり、設計の自由度が高く乗員の身体を適切に支持し高い快適性を得ることができ、長期間の使用によっても従来のウレタンフォームと同等の良好な耐クリープ性を発揮するため高い商品性を有するという効果を奏する。
さらに、シートクッションパッド2を構成する支持体3と他の部分とを合成樹脂発泡体により一体成形することにより加工コストを引き下げ、軽量化を推進できる。
また、請求項2に記載の車両用シートクッション1の発明は、小型のシートクッションで支持体3の両端間の距離が十分に確保できず、乗員の身体による荷重で十分な撓みを得ることができない場合、支持体3を直線形状ではなく円弧形状、又は直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状に形成することで曲げ変形を受ける際の実質的な支持体3の両端間の距離を大きくすることができ十分な撓みを得られるようにできるので、設計の自由度を高めることができる。
また、請求項3に記載の車両用シートクッション1の発明は、着座者による押圧を受けた支持体3が下方へ曲げ変形を起し、一定以上の大きさの変形になった以降は、支持体3の下方がシートフレーム7に張架された副支持体8に当接し、該当接以降は支持体3の曲げ変形による反力と、副支持体8の張力によって支持力を高めることができるため、必要以上に身体が沈み込むのを抑制することができ、着座者の身体を適切な位置で支えることができる。
さらに、構成部品が合成樹脂発泡体からなる支持体3と、ベルト状の副支持体8だけであるため、押圧力に対し同様のクッション性を有するべく所定の密度や厚みを有するウレタンフォーム材を使用した場合に比較して、極めて軽量であり、かつ車両用シートクッション自体を小型化できるという効果を奏する。
また、請求項4に記載の車両用シートクッション1の発明は、前記ベルト状の副支持体8に代えて、シートクッションパッド2に上面部15及び左右側面部17に追加して底面部16を設けた構成からなり、着座者による押圧を受けた支持体3が下方へ曲げ変形を起し、一定以上の大きさの変形になった以降は、支持体3の下方が底面部16に当接し、該当接以降は支持体3の曲げ変形による反力と、底面部16の曲げ変形による反力によって支持力を高めることができるため、必要以上に身体が沈み込むのを抑制することができ、着座者の身体を適切な位置で支えることができる。
また、請求項5に記載の車両用シートクッション1の発明は、着座者による押圧を受けた支持体3が下方へ曲げ変形を起し、一定以上の大きさの変形になった以降は支持体3の下方が底面部16に当接するが、この当接したときに、支持体3又は底面部16の着座者の坐骨のシートクッション1に当接する範囲を外した箇所に設けた突起部分18が先に圧縮することにより、かつ着座者が最も底突き感を感じやすい部位に対する前記突起部分18との衝突感を感じないことにより、着座者は底突き感を感じず柔らかさや弾力性を感じやすくなり、臀部や大腿部のフィット感を高め座り心地を高めるという効果を奏する。
請求項1に記載の車両用シートクッションの概要図である。 図1における支持体が分離した形態の場合のB―B断面概要図である。 図1におけるA―A断面概要図である。 請求項2に記載の車両用シートクッションの概要図で、(a)は車両用シートクッションの概要図で、(b)は円弧形状の支持体の概要図で、(c)は直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状の支持体の概要図である。 図1における支持体が一体形成された形態の場合のB―B断面概要図である。 請求項4に記載の車両用シートクッションの縦断面概要図である。 請求項5に記載の支持体に突起部分を設けた車両用シートクッションの縦断面概要図である。 請求項5に記載の底面部に突起部分を設けた車両用シートクッションの縦断面概要図である。 請求項3に記載の副支持体の概要図である。 請求項3に記載の車両用シートクッションの縦断面概要図である。 負荷耐久性試験の概要図である。 背形加圧治具の概要図で、(a)は平面図で、(b)は正面図で、(c)は側面図である。 繰り返し荷重による残留変位量線図である。 シートクッション形状での荷重―変位量線図である。 発泡体と無発泡体とのJIS K7221−2による曲げ試験の比較図である。 請求項3に記載の構造における圧縮―変位量線図である。 着座者の臀部周囲に突起部分を設けない形態を示す、車両用シートクッションを前後方向での説明図である。 突起部分を着座者の坐骨直下から避けた形態を示す説明図である。
以下、本発明にかかる車両用シートクッション1の実施形態について説明する。
本発明にかかる車両用シートクッション1は、図1乃至図10に示すように、シートクッションパッド2を含む車両用シートクッション1であって、着座者の座面が形成された前記シートクッションパッド2の上面部15に前記シートクッションパッド2の周縁部を残した一つの大きな開口部を設け、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の独立した棒状又は板状の支持体3を、前記開口部を形成し対向する縁部間に橋架する方向に一点支持又は複数点支持の形態で、前記開口部の周縁部又はシートフレーム7に固設し、又は前記開口部の周縁部と一体成形し、該複数の支持体3を所定の間隔を空けて列設した形態をする構成体をシートクッションパッド2とし、前記支持体3の下方へ該支持体3の曲げ変形が可能である空隙部5を有する。
シートクッションパッド2の上面部15に該当する位置に支持体3を、図2又は図5に示すように、固設又は一体成形させており、支持体3はシートクッションパッド2の構成要素に含まれ、シートクッションパッド2の座面を形成する。
また、支持体3を前記開口部の周縁部と一体成形した場合には、シートクッションパッド2は、合成樹脂発泡体で形成され、着座者の座面が形成された上面部15と、側面部17と下方を構成する底面部16とを含む部位から構成され、前記座面を形成する上面部15を貫通する、略水平方向の複数の細長状の空隙4を形成し、前記空隙4と、右側面部17及び左側面部17との間に介設された複数の棒状又は板状の支持体3を所定の間隔を空けて列設し、前記上面部15、側面部17及び底面部16に囲まれた中央部に該上面部15の曲げ変形が可能である空隙部5を形成させる形態がある。
そして、車両用シートクッション1は、図1又は図4に示すように、少なくともシートクッションパッド2の外周面を表皮21で被覆されている。
次に、前記空隙4又は空隙部5の下方に前記複数の棒状又は板状の支持体3が曲げ変形して撓んだときに当接する構成要素を説明する。前記構成要素としては、図10に示すようにベルト状の副支持体8、又は、図2、図5乃至図8に示すようにシートクッションパッド2の左右の側面部17と一体成形された底面部16がある。
次に、空隙部5を構成する形態を説明する。図2に示すようにシートクッションパッド2の開口部の周縁部又はシートフレーム7に固設した支持体3と、左右の側面部17と、底面部16に囲まれて形成される形態、図6に示すように合成樹脂発泡体で形成され、着座者の座面が形成された上面部15と、左右の側面部17と下方を構成する底面部16に囲まれて形成される形態、又は、図10に示すように底面部16を設けないシートクッションパッド2の場合には複数の棒状又は板状の支持体3からなる上面部15、左右の側面部17及び副支持体8に囲まれて形成される形態がある。
次に、支持体3の取付形態について説明する。図1における表皮一部取り除き範囲30内に、又は図2に示すように、シートクッションパッド2が支持体3と他の部位とに分離された場合には、該支持体3はシートクッションパッド2の上面部15に設けられた開口部の対向する周縁部の一方側に一点支持で固設され、又は該開口部の対向する周縁部の両側に複数点支持で固設される。また、図5に示すようにシートクッションパッド2が支持体3と他の部位とに分離されないで一体成形された場合には、該支持体3は一点支持又は複数点支持の形態でシートクッションパッド2の開口部の周縁部と一体成形される。支持体3が固設された側の周縁部の下方にはシートフレーム7又はワイヤー6を配置し固設側の周縁部に該支持体3の撓み時の支点となるように剛性を与えることが好ましい。
また、各支持体3は、それぞれ隣同士の支持体3の接触によって影響を受けないように、かつそれぞれの支持体3が単独でそれぞれ異なる曲げ変形を行なえるように、互いに所定の間隔を設けてそれぞれ独立させた状態で列設される。
個々の支持体3は空隙4(間隔)によってそれぞれ他の支持体3の影響を受けないように独立しているため、個々の支持体3に全く異なる曲げ特性を与えることも容易であり、設計自由度が高まるためシートクッションに高いクッション性やフィット感を付与し、より快適性を確保することができる。このことから、シートクッションに乗員により荷重が加えられる際、身体が当接するそれぞれの支持体3の部位には体圧分布による荷重の程度によってフィット感を得るために望ましい撓み量を異ならせることができる。
引用文献2に記載したシートクッション構造では、一定以上の撓み量を得ること、部位毎に異なる望ましいクッション性や撓み量を得ること、さらには車両の運動により乗員の身体に加速度が加わる際でも身体を望ましい位置に保つための追随性を与えることが困難であったが、本発明のシートクッション構造では柔軟な各支持体3が独立し動作できるため、これらの問題を容易に解決することができる。
次に、各支持体3間に設けられる空隙4(間隔)について説明する。該空隙4は幅2mm以上15mm以下が好ましく、一つの空隙4の幅は均一でもよいし、部位によって部分的に可変させてもよい。空隙4の幅が上記範囲内であれば各支持体3が乗員の身体による荷重を受け曲げ変形を起こす際、隣合せに配設された支持体3が相互に摩擦により起こる低級音の発生や曲げ変形の阻害を抑制し、また着座時の支持体3と空隙4との凹凸感覚を更に抑制することができる。
また、図6乃至図8に示すように、空隙4の幅(各支持体3間の間隔)はシートクッション表面側が狭く、下方で広く設計することが好ましい。車両の前後左右の運動により乗員へ加速度が加わり、支持体3がこれに追随して三次元的に複雑に変形する際、相互に接触することを防ぐことができるからである。
次に、支持体3について説明する。支持体3の形態は、平面視で、水平、垂直、又は斜めを含む360°の内のいずれかの方向に、直線形状、曲線形状、又は、直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状であればよい。シートクッションの幅(前下方向)が十分広い場合には支持体3の形態は直線状であっても支持体3の曲げ撓み(乗員の押圧の大きさに対応して曲げ撓み可能な限度を意味する。)を大きくすることができるが、シートクッションの幅が狭い場合には支持体3の曲げ撓みを大きくすることができにくい。そこで、シートクッションの幅(前下方向)には車両用シートクッション1の設計上からの制限があるため支持体3に満足なスパンを確保することが困難な場合で、支持体3の曲げ撓みをより大きくする必要がある場合には、図5(a)乃至(c)に示すように、支持体3の形状を正面視で円弧形状、あるいは直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状に変形させることにより、実質的な曲げを受ける支持体3としての長さを増やし効果的に必要な撓みを得ることができる。
次に、支持体3の断面形状は、矩形、丸棒又は楕円等、任意の形状とすることができる。なお、曲げ変形時に応力が集中するのを避けるため角部には鋭角部分を有していない形状のものが好ましい。
個々の支持体3の大きさ、すなわち幅、厚さ、長さ及び形状は使用する合成樹脂発泡体の剛性、想定される乗員の身体各部の形状、シートポジションなどによって決定される最適なクッション性や撓み量によって設計される。具体的な大きさは、支持体3の上下方向の幅は12mm以上200mm以下が好ましい。前下方向の厚みは10mm以上60mm以下が好ましい。支持体3の幅は小であるほど身体形状への追従性が高まるが、上記範囲内であることが、支持体3の耐久性とクッション性やフィット感とのバランスの観点から好ましい。また支持体3の長さは想定される乗員の身体の大きさ、シートの大きさ又は支持体3の支持形態等によって任意に定められる。
次に、図7に示すように、車両用シートクッション1においてシートクッションパッド2の左右の側面部17間に略水平方向に介設された棒状又は板状の支持体3の下方である空隙部5側に突設された突起部分18、又は図8に示すように、シートクッションパッド2の底面部16上に空隙部5側に突設された突起部分18について説明する。
図17又は図18に示すように、前記突起部分18は、着座者の坐骨下部がシートクッションに当接する範囲より外側に設けられ、着座者の押圧により棒状又は板状の支持体3が一定以上の撓みになった以降、シートクッションパッド2の上面部15に該当する支持体3に、又はシートッバックパッド2の着座者の坐骨がシートクッションに間接的に当接する範囲より外側の底面部16に突設され、対向するシートクッションパッド2の底面部16又は支持体3に当接した以降の押圧に対しては圧縮変形を生じることを特徴とする、平面状、凹状又は凸状の先端部形状を有する突起物又は突条物をいう。そして、平面状、凹状又は凸状の先端部形状を有する突起物又は突条物の縦断面形状又は横断面形状が、略三角形状、先細り形状、又は先細り形状部を複数有するようにした先分かれ形状であり、前記突起物又は突条物の先端部形状は、先端部が尖った鋭利な形状、先端部に丸みを有した丸み形状、又は先端部が先細りし平面部を有する先端鈍角形状である。
シートクッションパッド2の上面部15に該当する棒状又は板状の支持体3が、着座者の押圧によって下方へ曲げ変形を起こし、曲げ変形量が一定以上となった場合、支持体3又は前記底面部16に突設された突起部分18が対向する底面部16又は支持体3の後側と当接し、当接した後は突起部分18によって連結された支持体3と底面部16が共に着座者を支持することによって必要以上に身体が沈み込むのを抑制することができる。車両用シートクッション1では例えば着座者の腰を支える部分のクッション材の硬度を上げ、所定の位置で保持させることが長時間の乗車による疲れを防止するために求められる特性である。本発明である車両用シートクッション1を使用すると、合成樹脂発泡体からなる棒状又は板状の支持体3の曲げ変形時の反力に加え、一定以上の変形時には突起部分18が支持体3と底面部16を連結し、該連結以降は支持体3及び突起部分18が着座者と剛性のある底面部16との間で圧縮変形を起こし、段階的にシートクッションの硬度を高めることができるため、より確実に着座者の身体を支持することができる。
さらに、より好ましくは、該突起部分18は先端鋭角形状を有し、これにより突起部分18と底面部16が当接した以降生ずる反力の急激な上昇を緩和させるので乗員が底突き感を感じることを減ずることができる。
次に、図9に示すように、シートクッションのシートフレーム7の両端間に張架されたベルト状の副支持体8について説明する。副支持体8は例えばポリエステル等の合成繊維を高密度に紡織したもので、伸びが少なく、またはある程度の弾性を有するが高い復元性を有するものであることが望ましい。
図10はベルト状の副支持体8を使用したときのシートクッションの動作を示したものである。着座者による押圧を受けた支持体3が下方へ曲げ変形を起こすが、一定以上の曲げ変形となった以降は、支持体3の下方がシートフレーム7に張架された副支持体8に当接し必要以上の身体の沈み込みを抑制するとともに、該当接以降は支持体3の曲げ変形による反力と、副支持体8の張力によって着座者の身体を支える。
図16は本発明の構造を有する試験体を実際に試験機で押圧した例を示す。シートクッションの表面を直径100mmの半球形の治具で100mm/minの速度で30mmまで押圧した際に発生した反力を示す。最下線Vは副支持体8であるベルトのみを押圧した際の反力、中央の線Eは合成樹脂発泡体からなる支持体3のみを押圧した場合の反力、最上線Gは本発明による構造を持った試験体を押圧した際の反力を示している。
本発明による構造を持った試験体は、合成樹脂発泡体からなる支持体3の下方15mmの位置に副支持体8であるベルトを設けてあるため、合成樹脂発泡体からなる支持体3単体と、本発明の構造による試験体は試験用治具で15mm押圧するまでは全く同じ反力を発生するが、その後、合成樹脂発泡体からなる支持体3がベルト状の副支持体8に当接し、以降は合成樹脂発泡体からなる支持体3とベルト状の副支持体8がそれぞれ発生する反力が合わさり、段階的に剛性が高まることを示している。
次に、合成樹脂発泡体について説明する。本発明における合成樹脂発泡体は、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。曲げ撓みが20mm未満で破壊を生じるような合成樹脂発泡成形体は、耐久性面から不適である。身体による押圧を支えるため必要となる支持体3の断面が非常に大きくなり、20mm撓み時の荷重が100N超の場合、好ましい撓み量を発生させることが困難となり、ともに好ましい設計が困難となる。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。なお、上記発泡体の中でも樹脂発泡粒子の型内成形体が、フィット感を考慮した形状自由度(設計容易性)の観点から好ましい。
本発明で用いられる発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的にはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50重量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3重量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7161:1994(試験片:JIS K 7162(1994)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形)、試験速度:1mm/min)に規定する引張弾性率(E)の値で600MPa以上の基材樹脂を発泡してなる樹脂発泡体であることがのぞましい。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
そして、前記合成樹脂発泡体の具体的選定にあたっては、長さ400mm程度の棒状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後荷重を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上ある材料、又は、従来のウレタンフォーム製のシートクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪みが所定量以下である材料が望ましい。該所定回数又は該所定量は各車両メーカーが従来材料を選定するときに任意に定めていた仕様に従う。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm〜0.015g/cm、より好ましくは密度0.035g/cm〜0.015g/cm、又は発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm〜0.03g/cmなどが好ましい。このような材料はJIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて行う試験において、曲げ撓み20mm時の荷重が2〜100Nであり曲げに対する柔軟性と共に曲げ剛性にも優れているが、一方従来から一般に用いられていた軟質ウレタンフォームは曲げ剛性が0.46Nと大きく劣るため、本発明のシートクッションを構成する材料としては適切でない。
以下に、合成樹脂発泡体を使用した場合のクリープ性や曲げ剛性について説明する。まず、クリープ性を評価するために、JIS K 6767:1999による圧縮永久歪を測定した。縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片を25%歪んだ状態に圧縮し、温度23℃±2℃において22時間放置する。圧縮終了24時間後の厚さを測定する。なお、圧縮永久歪は、圧縮永久歪(%)=(試験片元厚み(mm)−圧縮終了24時間後の厚さ(mm))÷試験片元厚み(mm)×100で求めた。
試験の結果、45倍ポリプロピレン発泡粒子成形体の圧縮永久歪は11%であった。一方、同測定方法による発泡ポリウレタンの圧縮永久歪は2%以下である。このことは、従来、シートクッションのクッション材として一般に用いられて圧縮変形によりクッション性を発揮するウレタンフォームに対し、単純に合成樹脂発泡体に置き換えたのみでは圧縮永久歪が発生し、当初のクッション性の維持が困難であり商品性が低下することが示されている。
次に、図12に示すような背形の加圧治具40(平面視で楕円形の左右方向長さ440mm、奥行(幅)290mm、正面視で高さ60mm)を用いサンプル板41を常温下で5,000回、10,000回、15,000回繰り返し490Nの荷重を加え押圧した後の残留変位量を測定し負荷耐久性試験として実施した。なお、合成樹脂発泡体を曲げ変形させた場合の残留変位量を調査するために、図11に示したように発泡ポリプロピレン45倍発泡品である厚さ20mm、幅(奥行)600mmの平板状のサンプル板41を340mmの間隔で両端支持とし供した。該負荷耐久性試験の結果を図12に示す。
図13より、従来のウレタンフォームに要求される仕様は、残留変位量は5mm(図13で線C)以下であるのに対して、本発明の合成樹脂発泡体の場合(図13で線D)は、残留変位量は2.5mmであり、前記仕様の範囲内であることが示されている。
したがって、図13から、曲げ変形が可能で復元性に優れた合成樹脂発泡体の曲げ変形による撓みとその回復性をクッション材として使用する場合、従来から用いられてきたウレタンフォームに匹敵する、あるいは上回る耐クリープ性を有することが示されている。
前記耐クリープ性がウレタンフォームを上回るのは、合成樹脂発泡体を支持体3として使用する場合、中央部が押し下げられ曲げ変形が発生する際、部材の各部にはそれぞれ引っ張り、圧縮、せん断等が働き、部材が変形するが、このそれぞれの変形の程度が従来のように、部材を単純に圧縮することによってクッション材とする場合の直接的な変形量と比べて少なく回復性を損なわぬ弾性域内に止まるからである。
次に、図14は、両端支持された合成樹脂発泡体からなる支持体3を使用したシートクッション型試験体と、従来構造のウレタンフォームを使用したシートクッション型試験体を、図12に示すような背形の加工治具40で圧縮速度100mm/minで押圧した際、発生する反力を比較した例である。ウレタンフォームを使用した試験体の大きさは幅650mm、長さ350mm、厚さ100mmであり、合成樹脂発泡体を使用した試験体は長さ350mm、幅50mm、厚さ30mmの発泡ポリプロピレン45発泡品を2mmの間隔を空けて複数列設した形状である。図14に示す細線Uは比較用に用意された、一般にシートクッションに使用されるウレタンフォームの荷重―変位量線図であり、太線Pは本発明による合成樹脂発泡体からなる支持体3の中央を押し曲げた際の荷重―変位量線図である。また、押し下げたときの荷重―変位量線をu1及びp1に示し、押し下げ後に開放したときの荷重―変位量線をu2及びp2に示した。
図14から、比較的硬質である合成樹脂発泡体からなる支持体3によっても、曲げ変形によりクッション性を得る構造とした場合、従来のウレタンフォームとほぼ等しい柔軟性が得られることを示されている。
次に、図15は合成樹脂発泡体の例として発泡ポリプロピレンを選択し、同等の樹脂からなる無発泡の樹脂板(厚み1mm)からなるサンプルと、発泡ポリプロピレン45倍発泡品からなるサンプル(厚み45mm)をJIS K7221−2:2006(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅25mm、サンプル重量同等、厚さ任意の試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録した。)に準じ両端支持し、この中央部を押し下げた場合の荷重―変位量線図である。幅を25mmに一定にし、サンプル重量が同等になるように厚みを調整した。無発泡の樹脂板の場合を荷重―変位量線図Mで表し、発泡ポリプロピレン45倍発泡品からなるサンプルの場合を荷重―変位量線図Hで表している。
図15より、共にサンプルの重量は等しいが、発泡体とすることによって曲げ剛性が大きく高まることが示されている。従来、発泡体を曲げ変形させクッション材として使用することは一般的ではなかったが、発泡体を使用することにより同等の曲げ剛性を獲得するに必要な部品重量を減少させうる、すなわち車両用シートクッション1の軽量化が図れることが示されている。
1 車両用シートクッション
2 シートクッションパッド
3 支持体
4 空隙
5 空隙部
6 ワイヤー
7 シートフレーム
8 副支持体
11 支持体
12 支持体
15 上面部
16 底面部
17 側面部
18 突起部分
21 表皮
30 表皮一部取り除き範囲
40 加圧治具
41 サンプル板

Claims (5)

  1. シートクッションパッドを含む車両用シートクッションであって、着座者の座面が形成された前記シートクッションパッド上面部に開口部を設け、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の独立した棒状又は板状の支持体を、前記開口部を形成し対向する縁部間に橋架する方向に一点支持又は複数点支持の形態で、前記開口部の周縁部又はシートフレームに固設し、又は前記開口部の周縁部と一体成形し、該複数の支持体を所定の間隔を空けて列設した形態をする構成体をシートクッションパッドとし、前記支持体の下方へ該支持体の曲げ変形が可能である空隙部を有することを特徴とする車両用シートクッション。
  2. 前記支持体の形態が、正面視で、直線形状、曲線形状、又は、直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートクッション。
  3. 前記支持体の下方にシートフレームに張架されたベルト状の副支持体を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートクッション。
  4. 請求項1に記載の棒状又は板状の支持体3からなる部位を着座者の座面となる上面部15として、前記上面部15の左右端に側設された側面部17と下方を構成する底面部16とを含む部位から構成され、前記上面部15、側面部17及び底面部16に囲まれた中央部に該上面部15の曲げ変形が可能である空隙部5を形成させたシートクッションパッド2と、少なくとも前記シートクッションパッド2の表面を被覆するように配設した表皮21と、を含む構成要素からなることを特徴とする車両用シートクッション。
  5. 右側面部及び左側面部との間に略水平方向に介設された棒状又は板状の支持体の下方であって着座者の坐骨がシートクッションに間接的に当接する範囲より外側に突起部分を設け、あるいは下方のシートクッションパッド底面部上の着座者の坐骨がシートクッションに間接的に当接する範囲より外側に突起部分を設け、着座者の荷重によって各支持体が曲げ変形を起こす際、前記突起部分が支持体の一定以上の曲げ変形によってシートクッションパッドの底面部に当接し着座者の荷重を支持することを特徴とする請求項4に記載の車両用シートクッション。
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