JP2016093460A - 車両用シートのクッション体 - Google Patents
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Abstract
【課題】人の着座時や仰臥時にクッション性に富み、軽量化を実現でき、リサイクル性に優れる車両用シートのクッション体を提供することである。【解決手段】JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなり、着座時に身体が当接する単数の平板状の座面を有し、該座面が下方に曲げ変形するための支持点となる座面支持体または着座時に身体が当接する単数の平板状の背凭れ面を有し、該背凭れ面が後方に曲げ変形するための支持点となる背凭れ面支持体と、前記座面または前記背凭れ面の曲げ変形を許容する空間部とを備えることにより課題解決できた。【選択図】図4
Description
本発明は、特に車両用シートのシートクッションやシートバックの軽量化に関し、リサイクル性、フィット感、クッション性に富むことを特徴とする車両用シートのクッション体に関する。
一般に車両用シートのシートクッションやシートバックは、金属製のシートフレームやワイヤーを内包し、一般にウレタンフォームをクッション材として用い全体を表皮材で被覆していた。乗員の体重は主にシートフレームやワイヤーと表皮材との間に挟まれたウレタンフォーム層を圧縮方向に撓ませることにより支えられており、クッション性及びフィット性は主にウレタンフォーム層が圧縮方向に撓んだ際の反力、復元力及び撓みによって得られていた。
また、シートクッションやシートバックの軽量化に関する技術として、特許文献1にシートフレームが枠状を呈し、シートフレームの断面が山形を呈すると共に、シートフレームの枠状の内周側に前記山形の一側を形成して着座者に対向する傾斜面を有し、シートフレームに弾性を有するネットを被せ、その周縁部をシートフレームの山形上から引き回して該山形の他側に固定することで凹曲面状の着座面を形成するように張設し、ネットとシートフレームの傾斜面との間に角度を設けた技術が開示されている。
他の軽量化に関する技術としては、特許文献2に、シートフレームに着脱可能に取り付けられたベースプレートと、該ベースプレート上に配置されたブロックと、該ブロック上に配置されたスプリングプレートと、該スプリングプレートを被覆する表皮材とを備える着座部を有し、前記ブロックは、前記ベースプレートと前記スプリングプレート間に所定の空間を形成するように配置され、前記スプリングプレートは、弾性を有する発泡体であるPP(ポリプロピレン)ビーズ発泡体、PE(ポリエチレン)ビーズ発泡体、PP発泡体、PE発泡体、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン樹脂)発泡体、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)及びウレタンフォーム材のいずれかで形成されている発泡体で成形され、前記スプリングシートは、前記ベースプレート方向への力が加えられたときに前記空間内へ撓む車両用シートに関する技術が開示されている。
従来の一般的なシートクッションやシートバックではクッション材としてウレタンフォームが使用されており、クッション性が極めて高く快適性に優れているため今も尚、多用されている。しかし、該ウレタンフォームはリサイクル性能に劣るという問題があった。さらに、シートクッションは一般的なクッション性の他に、自動車の運動に伴い乗員に加えられる前後左右の加速度に対し、乗員の身体を最適な位置で支える機能も求められる。長時間の乗車時の疲労を軽減するためにも最適な位置で身体を支える必要がある。このため非常に軽量で軟質なウレタンフォームのみでは機能を満足することができず、ある程度の剛性を得るためにはウレタンフォームの密度を一定以上の密度とする必要があり、このため軽量化が進まないという問題があった。
特許文献1に記載の技術は、乗員による荷重を支えるネット素材がシートバック周囲に設置されたシートフレームに引き込まれ強固に固定されており、乗員の着座により加えられた荷重はネット素材を通じ最終的にシートフレームの剛性により支えられていた。従ってシートフレームの構造は一定以上の強度を保たねばならず、このため従来のクッション材に相当するネット素材自体の重量は軽量であるものの、シートフレームの重量は増加傾向にあり全体としての重量軽減効果が十分ではないという問題があった。
さらに、ネット素材のクッション性は主に素材の伸びによって得られるため限定されており、長期間の使用によりたるみが発生し商品性に劣る傾向にもあった。またシートフレームに平面的なネット素材を張架する構造であるため、基本的なシートクッションの形状は平面的であり、乗員の身体を最適な位置で支えるために必要な三次元形状を得ることが困難であり、その結果、乗員に不快感を与えるという問題があった。これは自動車の運動によって乗員へ横Gが加えられる際等、不安定なハンモック状のネット素材では乗員の身体を安定して支えることができないからである。
次に、特許文献2の技術については、スプリングプレートは外形略矩形の板状発泡体であり該スプリングプレートの乗員が着座する側には横方向に複数の溝が形成されている。しかし、溝部が浅いと柔軟性を与えることができず、溝部が深ければクッション材が撓む際、わずかに残った溝部底部の連結部分へ過大な引っ張り力が集中し大きな伸び変形が発生するため復元不能な永久変形を生じる、あるいは破断する恐れが高かった。溝底部にある連結部分が一部でも破壊されれば支えを一気に失いクッション材全体の見かけ硬さが急激に低下し、クッション材としての機能が大きく損なわれる。従って破壊を回避するためクッション材の撓みを一定以上に設計することが事実上困難であり、十分な着座時のフィット感及び快適性を付与することが困難であった。
また、特許文献2の技術は、乗員の体格に応じて、高さの異なるブロックを適宜選択することにより個人的に良好な着座感を得ることができるとの記載があるが、乗員は体重の軽重によって着座する前に自分に適する高さのブロックに変えなければならないという、現実的には実施困難な対応をしなければならないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、乗員の着座時のフィット感やクッション性に富み、軽量化を実現でき、リサイクル性に富む車両用シートのクッション体を提供することである。
本発明において、合成樹脂発泡体とは、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓みが最大90mmとなるまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。前記合成樹脂発泡体には、ビーズ発泡成形体が含まれ、ビーズ発泡成形体としては、ポリプロピレン系ビーズ発泡成形体、ポリエチレン系ビーズ発泡体などがあげられる。
材料の具体的選定にあたっては、更に長さ400mm程度の板状試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後荷重を解放した直後にサンプルの変形からの回復が90%以上あることが望ましい。あるいは従来のウレタンフォーム製のシートクッションやシートバックで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪み(残留変位量ともいう。)が所定量以下であることが望ましい。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm3〜0.015g/cm3、より好ましくは密度0.035g/cm3〜0.015g/cm3、または発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm3〜0.03g/cm3などが好ましい。一方、柔軟性に乏しく曲げ変形により容易に破断の恐れがある硬質発泡ウレタンや発泡ポリスチレンなどは好ましくない。
発明者らは軽量化を図るために材料の検討を進めた。連続気泡構造であるウレタンフォームに変わりうる素材の例として、一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、従来から車両用シートのクッション材として一般に用いられてきたウレタンフォームに比し、軽量で剛性に富みリサイクルも容易である等の利点を持っていたが、圧縮方向での撓み、復元力をクッションとして使用する場合、内包する空気の反発力により発泡体の変形に伴い反力が急激に高まる傾向にあるため、クッション性に欠け硬く感じられ快適性に劣っていた。
また一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、ウレタンフォームと同様、圧縮方向に撓ませクッション材として使用する場合、長期間の使用に従い徐々に回復力を失いクリープが発生する。これは気泡を構成する樹脂皮膜の繰り返し変形による疲労と内包する空気の圧力低下によるところが大きい。従って長期間使用される自動車用シートのクッション素材としては好ましいものではなかった。
そこで、発明者らは合成樹脂発泡体の物性を様々な角度から分析することにより、従来の一般的なクッション材として使用されてきた圧縮方向に撓ませる構造ではなく、曲げ変形が可能で復元性に優れた合成樹脂発泡体からなる支持体の曲げ変形とその回復性をクッション材として利用する方法が最適であることを見出し本発明に至った。
「発明が解決しようとする課題」に記載した課題を解決するために、請求項1に記載の車両用シートのクッション体の発明は、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなり、着座時に身体が当接する単数の平板状の座面を有し、該座面が下方に曲げ変形するための支持点となる座面支持体または着座時に身体が当接する単数の平板状の背凭れ面を有し、該背凭れ面が後方に曲げ変形するための支持点となる背凭れ面支持体と、前記座面または前記背凭れ面の曲げ変形を許容する空間部とを備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の車両用シートのクッション体の発明は、請求項1において、前記座面または前記背凭れ面の着座者の荷重が比較的大きい領域の裏面に梁部を設けたことを特徴としている。
請求項1に記載の車両用シートのクッション体の発明は、いずれも従来一般的に使用されていたウレタンフォームを合成樹脂発泡体に置換することが可能なものであり、そのため軽量化、リサイクル性の向上が可能となるものである。また、比較的硬質でありクッション性、フィット性、耐クリープ性に劣っていた合成樹脂発泡体を使用するにもかかわらず、高いクッション性、フィット性を付与させることが可能であり、設計の自由度が高く乗員の身体を適切に支持し高い快適性を得ることができ、長期間の使用によっても従来のすべてをウレタンフォームからなるシートクッションパッドやシートバックパッドと同等の良好な耐クリープ性を発揮するため高い商品性を有するという効果を奏する。
さらに、単数の平板状の座面または背凭れ面に着座時の身体が当接するようにしたので、座面支持体または背凭れ面支持体に加わる着座者の荷重を面で受けて荷重を分散させることができる。これによって、局所的な荷重集中によるシートクッションパッドやシートバックパッドの破損を可及的に防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、さらに着座者の身体の部位による荷重の大小に合わせた座面支持体または背凭れ面支持体の撓み量を調整することができるので、着座時に身体が必要以上に沈み込むことを防止でき、最適なクッション性を有することができる。
以下、本発明にかかる車両用シートのクッション体の実施形態について説明する。
本発明に係る車両用シート1は、図1に示すように、シートクッション2およびシートバック3から成っている。シートクッション2は、図2に示すように、表皮材4と、シートクッションパッド5と、シートクッションフレーム(図示なし)とで構成される。また、シートバック3は、図3に示すように、表皮材6と、シートバックパッド7と、シートバックフレーム(図示なし)とで構成される。本発明のクッション体は、シートクッションパッド5とシートバックパッド7を指している。
シートクッションパッド5またはシートバックパッド7は、図4または図5に示すように、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなり、着座時に身体が当接する単数の平板状の座面5aを有し、該座面5aが下方に曲げ変形するための支持点となる座面支持体5bまたは着座時に身体が当接する単数の平板状の背凭れ面7aを有し、該背凭れ面7aが後方に曲げ変形するための支持点となる背凭れ面支持体7bと、前記座面5aまたは前記背凭れ面7aの曲げ変形を許容する空間部5d、7dとを備えている。
合成樹脂発泡体からなるシートクッションパッド5またはシートバックパッド7は、ウレタンフォームに比較して軽量であり、剛性が高い性質を有することから、クッション性を確保するためにウレタンフォームのような圧縮変形ではなく、曲げ変形させる構造としている。
図4の(イ)、(ロ)に示すように、シートクッションパッド5には、単数の平板状の座面5aと該座面5aが下方に曲げ変形するための支持点となる座面支持体5bが構成要素としてあり、前記座面5aが着座者の荷重によって下方に曲げ変形する。
図5の(イ)、(ロ)に示すように、シートバックパッド7には、単数の平板状の背凭れ面7aと該背凭れ面7aが後方に曲げ変形するための支持点となる背凭れ面支持体7bとが構成要素としてあり、前記背凭れ面7aが着座者の荷重によって後方に曲げ変形する。
次に、図4の(イ)、(ロ)に示すように、シートクッションパッド5の着座者の臀部が表皮材4を介して当接する荷重の大きい帯状横断領域を肉厚形状にすることによって、シートクッションパッド5の帯状横断領域の剛性を高めて着座者の臀部が深く沈み込み過ぎるのを防止する。
これにより、適度で高いクッション性が得られる。
これにより、適度で高いクッション性が得られる。
また、図5の(イ)、(ロ)に示すように、シートバックパッド7の着座者の腰部が表皮材6を介して当接する荷重の大きい帯状横断領域を肉厚形状にすることによって、シートバックパッド7の帯状横断領域の剛性を高めることができる。そうすることによって、着座者の腰部がその他の領域に比して沈み込み難くなり、背中の形状に沿うようになる。その結果、着座者の腰部をサポートすることができる。
図6は、シートクッションパッド5の横断面であり、この図に示すように、シートクッションパッド5には、着座時に身体が表皮材4を介して当接する単数の平板状の座面5aが曲げ変形することを許容する空間部5dが備えられている。
図7は、シートバックパッド7の横断面であり、この図に示すように、シートバックパッド7には、着座時に身体が表皮材6を介して当接する単数の平板状の背凭れ面7aが曲げ変形することを許容する空間部7dが備えられている。
次に、合成樹脂発泡体について説明する。本発明における合成樹脂発泡体は、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。曲げ撓みが20mm未満で破壊を生じるような合成樹脂発泡成形体は、耐久性面から不適である。身体による押圧を支えるため必要となる座面支持体5bまたは背凭れ面支持体7bの断面が非常に大きくなり、20mm撓み時の荷重が100N超の場合、好ましい撓み量を発生させることが困難となり、ともに好ましい設計が困難となる。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。なお、上記発泡体の中でも樹脂発泡粒子の型内成形体が、フィット感を考慮した形状自由度(設計容易性)の観点から好ましい。
本発明で用いられる発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的にはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50重量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3重量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7161:1994(試験片:JISK7162(1994)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形)、試験速度:1mm/min)に規定する引張弾性率(E)の値で600MPa以上の基材樹脂を発泡してなる樹脂発泡体であることがのぞましい。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
そして、前記合成樹脂発泡体の具体的選定にあたっては、長さ400mm程度の板状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後押圧を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上ある材料、又は、従来のウレタンフォーム製のシートクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪みが所定量以下である材料が望ましい。該所定回数又は該所定量は各メーカーが従来材料を選定するときに任意に定めていた仕様に従う。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm3〜0.015g/cm3、より好ましくは密度0.035g/cm3〜0.015g/cm3、又は発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm3〜0.03g/cm3などが好ましい。このような材料はJIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて行う試験において、曲げ撓み20mm時の荷重が2〜100Nであり曲げに対する柔軟性と共に曲げ剛性にも優れているが、一方従来から一般に用いられていた軟質ウレタンフォームは曲げ剛性が0.46Nと大きく劣るため、本発明のクッション体を構成する材料としては適切でない。
以下に、合成樹脂発泡体を使用した場合のクリープ性や曲げ剛性について説明する。まず、クリープ性を評価するために、JIS K 6767:1999による圧縮永久歪を測定した。縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片を25%歪んだ状態に圧縮し、温度23℃±2℃において22時間放置する。圧縮終了24時間後の厚さを測定する。なお、圧縮永久歪は、圧縮永久歪(%)=(試験片元厚み(mm)−圧縮終了24時間後の厚さ(mm))÷試験片元厚み(mm)×100で求めた。
試験の結果、45倍ポリプロピレン発泡粒子成形体の圧縮永久歪は11%であった。一方、同測定方法による発泡ポリウレタンの圧縮永久歪は2%以下である。このことは、従来、シートクッションのクッション材として一般に用いられて圧縮変形によりクッション性を発揮するウレタンフォームに対し、単純に合成樹脂発泡体に置き換えたのみでは圧縮永久歪が発生し、当初のクッション性の維持が困難であり商品性が低下することが示されている。
1 車両用シート
2 シートクッション
3 シートバック
4 表皮材
5 シートクッションパッド
5a 座面
5b 座面支持体
5c 梁部
5d 空間部
6 表皮材
7 シートバックパッド
7a 背凭れ面
7b 背凭れ面支持体
7c 梁部
7d 空間部
2 シートクッション
3 シートバック
4 表皮材
5 シートクッションパッド
5a 座面
5b 座面支持体
5c 梁部
5d 空間部
6 表皮材
7 シートバックパッド
7a 背凭れ面
7b 背凭れ面支持体
7c 梁部
7d 空間部
Claims (2)
- JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなり、着座時に身体が当接する単数の平板状の座面を有し、該座面が下方に曲げ変形するための支持点となる座面支持体または着座時に身体が当接する単数の平板状の背凭れ面を有し、該背凭れ面が後方に曲げ変形するための支持点となる背凭れ面支持体と、前記座面または前記背凭れ面の曲げ変形を許容する空間部とを備えたことを特徴とする車両用シートのクッション体。
- 前記座面または前記背凭れ面の着座者の荷重が比較的大きい領域の裏面に梁部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのクッション体。
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