JP2016054100A - ホルダ付電線 - Google Patents

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裕一 木本
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Ji-Seong Kim
知聖 金
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Masaharu Suetani
正晴 末谷
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Abstract

【課題】電線とホルダ間の止水を図りつつ、取付対象部位に対する電線の支持位置と、電線端部の端子の接続位置との間の誤差を容易に吸収できるようにすることを目的とする。【解決手段】ホルダ付電線20は、端部に端子28が取付けられた電線22と、ホルダ30とを備える。ホルダ30は、取付対象部位10に対して取付け可能に構成されると共に、電線22を貫通状態に配設可能な保持孔34が形成された構成とされている。保持孔34の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部35が電線22の外周囲に接触した状態で、電線22が保持孔34に対してその延在方向に沿って移動可能に支持されている。【選択図】図1

Description

この発明は、電線を保持するホルダを備えたホルダ付電線に関する。
特許文献1は、シールド電線に一次樹脂モールド部及び二次樹脂モールド部を金型成形したモールドコネクタが開示されている。
このモールドコネクタでは、シールド電線に一次樹脂モールド部等が金型成形されているので、シールド電線と一次樹脂モールド部との間の止水が図られている。また、このモールドコネクタは、例えば、一次樹脂モールド部及び二次樹脂モールド部を接続先となる電気機器筐体の貫通孔に貫通配置し、シールド電線の端部の端子を電気機器筐体側の端子に接続する態様で使用される。
特開2002―216926号公報
しかしながら、特許文献1によると、シールド電線に対して一次樹脂モールド部が金型成形され、続いて、二次樹脂モールド部が金型成形される構成とされている。このため、一次樹脂モールド部及び二次樹脂モールド部内で、シールド電線の位置が一定となっている。
このため、例えば、電気機器筐体の貫通孔と電気機器筐体側の端子との位置関係に誤差がある場合等に、それらの誤差吸収を行うことが困難であり、端子の接続作業が困難ともなる。
そこで、この発明は、電線とホルダ間の止水を図りつつ、取付対象部位に対する電線の支持位置と、電線端部の端子の接続位置との間の誤差を容易に吸収できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係るホルダ付電線は、端部に端子が取付けられた電線と、取付対象部位に対して取付可能に構成されると共に、前記電線を貫通状態に配設可能な保持孔が形成され、前記保持孔の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部が前記電線の外周囲に接触した状態で、前記電線が前記保持孔に対してその延在方向に沿って移動可能に支持されたホルダとを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るホルダ付電線であって、前記電線は、芯線と、前記芯線の周囲を覆う絶縁被覆と、前記絶縁被覆の外周を覆うシールド層と、前記シールド層の外周を覆う外皮とを含み、前記ホルダは、前記保持孔が形成されたホルダ本体部と、前記ホルダ部に対して前記取付対象部位側に設けられ、前記取付対象部位に電気的に接続可能なシールド端子部とを含み、前記保持孔内に前記シールド層が露出して前記シールド端子部に電気的に接続されているものである。
第3の態様は、第2の態様に係るホルダ付電線であって、前記内側シール部は、前記保持孔内であって前記シールド端子部から離れた位置に設けられており、前記保持孔は、前記シールド端子部と前記内側シール部との間で前記電線の外周で隙間を形成可能な隙間形成部を含むものである。
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係るホルダ付電線であって、前記ホルダと前記取付対象部位との間に介在可能な介在シール部をさらに備えるものである。
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るホルダ付電線であって、前記内側シール部は、前記保持孔内に設けられ、前記電線の外周囲に接触可能な環状弾性部材により形成されているものである。
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るホルダ付電線であって、前記ホルダのうち前記内側シール部に対応する位置の外周に、前記保持孔を縮径変形させる抑え込み部材が設けられているものである。
第1〜第6の態様によると、保持孔の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部が電線の外周囲に接触しているため、電線とホルダとの間の止水が図られる。また、電線が保持孔に対してその延在方向に沿って移動可能に支持されているため、取付対象部位に対してホルダを取付けることによって電線が支持された位置と、電線端部の端子の接続位置との間に誤差が生じている場合には、電線をその延在方向に沿って移動させることによって、前記誤差を容易に吸収することができる。
第2の態様によると、シールド層を保持孔内で露出させてシールド端子部に接続している。そして、このシールド端子部を取付対象部位に電気的に接続することで、シールド層をアースすることができる。このため、電線のシールド層を、ホルダ内で止水しつつ、取付対象部位に電気的に接続してアースすることができる。
第3の態様によると、保持孔内でシールド層とシールド端子部とを電気的に接続した状態で、ホルダに対して電線をその延在方向に沿って移動させると、シールド層の余剰部分が生じ得る。そこで、保持孔に、シールド端子部と内側シール部との間で前記電線の外周で隙間を形成可能な隙間形成部を設けておくことによって、シールド層の余剰部分を前記隙間に収容しておくことができる。これにより、ホルダに対して電線を容易に移動させることができる。
第4の態様によると、ホルダを取付対象部位に取付けた状態で、ホルダと取付対象部位との間に介在シール部を介在させることができるため、それらの間での止水性を向上させることができる。
第5の態様によると、環状弾性部材を電線の外周囲に接触させることで、電線とホルダとの間をより確実に止水することができる。
第6の態様によると、前記ホルダのうち前記シール部に対応する位置の外周に、前記保持孔を縮径変形させる抑え込み部材が設けられているため、電線とホルダとの間をより確実に止水することができる。
実施形態に係るホルダ付電線を示す概略部分断面図である。 同上のホルダ付電線を示す概略斜視図である。 ホルダ付電線を示す概略分解図である。 ホルダ付電線を取付対象部位に取付けると共に端子を固定端子に接続した状態を示す説明図である。 ホルダ付電線を取付対象部位に取付けると共に端子を固定端子に接続した状態を示す説明図である。 第1変形例にホルダ付電線を示す概略斜視図である。 同上のホルダ付電線を示す概略断面図である。 第2変形例に係るホルダ付電線を示す概略断面図である。 第3変形例に係るホルダ付電線を示す概略断面図である。
以下、実施形態に係るホルダ付電線について説明する。図1はホルダ付電線20を示す概略部分断面図であり、図2はホルダ付電線20を示す概略斜視図であり、図3はホルダ付電線20を示す概略分解図である。
このホルダ付電線20は、取付対象部位10に取付けられた状態で、電線22の端子を取付対象部位側の端子に接続するものであり、電線22とホルダ30とを備える。
なお、ここでは、板状の取付対象部位10に貫通孔12及びネジ孔13が形成されており、取付対象部位10の一方主面側より本ホルダ付電線20が取付けられる。また、取付対象部位10の他方主面側には固定端子14(図4及び図5参照)が一定位置に設けられている。ここでは、固定端子14は、孔が形成された丸形端子であり、電線22の端部の端子28が本固定端子14に対してネジ止等によって電気的及び機械的に接続される。なお、取付対象部位10は、金属板等の導電性部材によって構成されていることが好ましい。後述するシールド端子部40を本取付対象部位10に電気的に接続可能とするためである。
上記ホルダ30は、電線22と貫通孔12との間を止水しつつ、電線22が貫通孔12を貫通した状態で保持する役割を有している。ここで、上記したように、電線22の端子28は、一定位置にある固定端子14に接続される。このため、貫通孔12の位置と固定端子14との位置、即ち、取付対象部位10に対する電線22の支持位置と、端子28の接続位置との間に誤差が生じていると、端子28を固定端子14に接続することが困難となる。このホルダ付電線20は、電線22と貫通孔12との間を止水しつつ、取付対象部位10に対する電線22の支持位置と、端子28の接続位置との間の誤差を吸収して、端子28を固定端子14に容易に接続できるようにする技術に関する。
電線22は、芯線23と、芯線23の周囲を覆う絶縁被覆24と、絶縁被覆24の外周を覆うシールド層25と、シールド層25の外周を覆う外皮26とを備える。
芯線23は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性線材によって形成されている。芯線23は、複数の素線が撚り合わされたものであってもよいし、単線によって構成されていてもよい。
絶縁被覆24は、芯線23に対して樹脂を押出被覆等することによって形成されている。
シールド層25は、芯線23の周囲を、絶縁被覆24を介して覆う筒状の導電性部材である。ここでは、シールド層25は、銅線等の金属線が筒状に編まれた編組である。シールド層25は、その他、絶縁被覆24の周囲を覆う金属テープ等によって構成されていてもよい。
外皮26は、シールド層25の外周に対して樹脂を押出し被覆等することによって形成されている。この外皮26によって、電線22の外周は、円滑な円柱外周面形状を呈する。
電線22の端部では、外皮26が剥離され、シールド層25が露出している。この露出したシールド層(以下、露出シールド層25aという)の先端部が後述するシールド端子部40に電気的、機械的に接続される。
さらに、電線22の端部では、絶縁被覆24が剥離されて、露出シールド層25aの先端側で芯線23が露出している。この露出した芯線23(以下、露出芯線23aという)が端子28に電気的、機械的に接続される。
端子28は、金属板材をプレス加工等することにより形成された部材であり、電線接続部28aと相手側接続部28bとを備える。電線接続部28aは、露出芯線23aに対して圧着接続される。電線接続部28aと露出芯線23aとは、溶接等によって接続されてもよい。相手側接続部28bは、円環板状に形成されている。そして、固定端子14に重ね合された状態で、相手側接続部28bの孔にネジを挿通させて固定端子14又は別のナット等に螺合させる。これにより、相手側接続部28bと固定端子14とが電気的、機械的に接続される。
ホルダ30は、上記取付対象部位10に対して取付可能に構成されている。また、ホルダ30には、電線22を貫通状態に配設可能な保持孔34が形成されており、電線22が保持孔34に対してその延在方向に沿って移動可能に支持される。なお、保持孔34内において、保持孔34の延在方向と電線22の延在方向とは同じである。また、この支持状態において、保持孔34の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部35が電線22の外周囲に接触し、もって、保持孔34と電線22間をシールしている。
より具体的には、ホルダ30は、ホルダ本体部32と、シールド端子部40とを備える。
ホルダ本体部32は、樹脂等によって形成された部材であり、筒形状に形成されている。ここでは、ホルダ本体部32の外形状は、取付対象部位10とは反対側の端部が縮径する円柱形状をなしているが、その他、直方体形状等をなしていてもよい。このホルダ本体部32の一端部である取付対象部位10側の端部に、取付対象部位10に電気的に接続可能なシールド端子部40が設けられている。
ホルダ本体部32内には、その軸方向に沿って円孔状の保持孔34が形成されている。保持孔34は、ホルダ本体部32の軸方向両端側に開口している。保持孔34のうちシールド端子部40から離れた位置、ここでは、保持孔34のうち取付対象部位10とは反対側の端部内周部に、内側シール部35が形成されている。内側シール部35の内径寸法は、電線22の外径寸法と同じ又は電線22をその延在方向に移動させることが可能な範囲内で電線22の外径寸法よりも小さく設定されている。これにより、内側シール部35が、電線22の外周の周方向全体に接触した状態で、電線22がその延在方向に移動できるようになっている。
また、保持孔34のうちシールド端子部40と内側シール部35との間の部分には、電線22の外周に隙間を形成可能な隙間形成部36が形成されている。ここでは、隙間形成部36の内径寸法は、上記内側シール部35の内径寸法よりも大きく設定される。そして、電線22を保持孔34内に配設し、隙間形成部36に、電線22の端部のシールド層25が露出した部分を配設した状態で、当該シールド層25と隙間形成部36との間に隙間が形成されるようになっている。隙間は、後述するように、露出シールド層25aを電線22の延在方向に沿って圧縮した場合に生じるしわ或はたるみ部分を配設可能な程度の大きさであることが好ましい。
シールド端子部40は、ホルダ本体部32の一端部に取付けられている。そして、上記電線22のうち上記保持孔34の隙間形成部36に配設される部分で、上記シールド層25が露出して露出シールド層25aが設けられており、この露出シールド層25aがシールド端子部40に電気的に接続されている。また、このシールド端子部40は、取付対象部位10に対して電気的に、好ましくは、機械的にも接続される。これにより、シールド層25がシールド端子部40を介して取付対象部位10に電気的に接続され、もって、シールド層25が接地されるようになる。なお、ホルダと取付対象部位との機械的な固定は、取付対象部位に対するホルダの嵌め込み構造等によってなされてもよい。
より具体的には、シールド端子部40は、シールド端子本体部42と、かしめリング部46とを備える。
シールド端子本体部42は、板状部43と、筒部44とを備える。シールド端子本体部42は、金属板材をプレスすることにより、或は、板状部43に筒部44をかしめ合体、又は、溶接すること等により形成される。
板状部43は、ホルダ本体部32の一端面に接触可能な板形状、ここでは、ホルダ本体部32の一端面よりも大きな円板状部分43aを含む。この円板状部分43aの中央に上記保持孔34に連通する開口43ahが形成されている。なお、開口43ahは円板状部分43aの中央から偏心した位置に形成されていても良い。また、円板状部分43aの開口43ahよりその一端面側に突出するようにして筒部44が形成されている。筒部44は、露出シールド層25aを被せることが可能な程度の大きさの筒形状に形成されている。そして、露出シールド層25aの端部を筒部44に被せた状態で、その外周に金属等で形成されたかしめリング部46を被せ、当該かしめリング部46をかしめることにより、露出シールド層25aがシールド端子部40に電気的及び機械的に接続される。
このシールド端子部40は、筒部44及びかしめリング部46の部分を、ホルダ本体部32の保持孔34内に圧入すること等によって、ホルダ本体部32に対して合体する。シールド端子部とホルダ本体部とは接着剤、ネジ止等によって合体状態に維持されてもよい。また、シールド端子部をインサート部品としてホルダ本体部がモールド成型されることによって、シールド端子部とホルダ本体部とが一体的に形成されていてもよく、この場合の例については、後の変形例で説明する。
また、上記円板状部分43aの外周の一部から外方に延出するようにして取付片43bが形成されている。取付片43bにはネジ挿通孔43bhが形成されている。上記開口43ahとネジ挿通孔43bhの位置関係は、取付対象部位10の貫通孔12及びネジ孔13の位置関係に対応している。
そして、ネジSを、ネジ挿通孔43bhに挿通して、取付対象部位10のネジ孔13に螺合させることで、ホルダ30が取付対象部位10に取付けられた状態に維持される。
このホルダ付電線20の製造方法例について説明する。
まず、端部に露出シールド層25a及び露出芯線23aが露出した電線22を準備する。そして、この電線22の端部を、ホルダ30の保持孔34、かしめリング部46及びシールド端子本体部42の開口43ah内に通す(図3参照)。
そして、露出芯線23aに端子28を接続する。この前又は後で、露出シールド層25aの端部をシールド端子本体部42の筒部44に被せ、この外周にかしめリング部46を被せ、当該かしめリング部46をかしめ変形させる。なお、露出シールド層25aの長さ寸法は、筒部44の長さ寸法よりも長く、従って、露出シールド層25aをシールド端子部40に接続した状態で、シールド端子部40と外皮26の端部との間には、露出シールド層25aが存在している。
本シールド端子部40の初期状態では、端子28は、ホルダ30の保持孔34の一端側外方に位置している。また、外皮26の端部は、内側シール部35と隙間形成部36との境界或はその前後に位置しており、露出シールド層25aは、内側シール部35と隙間形成部36との境界或はその前後位置から隙間形成部36を通って隙間形成部36の外側開口近くに至り、ここで、シールド端子部40に接続されている。従って、隙間形成部36では、露出シールド層25aが筒状に延在している。絶縁被覆24と隙間形成部36との間の隙間は、露出シールド層25aの厚みよりも十分に大きく、従って、露出シールド層25aは、絶縁被覆24と隙間形成部36との間で、しわ或はたるみを生じさせることができる。
この状態では、内側シール部35にある電線22の外皮26とシールド端子部40との間で、露出シールド層25aが筒状に真っ直ぐ延びた状態になっている。このため、電線22はホルダ30の他端側(取付対象部位10の反対側)には相対移動困難である。しかしながら、内側シール部35にある電線22の外皮26とシールド端子部40との間で、露出シールド層25aは、隙間形成部36内での隙間を利用して、しわ或はたるみを生じさせつつ、その延在方向に沿って縮むように変形することができる。これにより、電線22は、ホルダ30の一端部側(取付対象部位10側)に相対移動できる。これにより、露出芯線23a及びその手前の絶縁被覆24部分を、ホルダ30の一端側より延出させるようにして、端子28をホルダ30から離れた位置に移動させることができる。もちろん、この状態でも、内側シール部35は、外皮26の周方向全体で当該外皮26に接しているため、電線22と保持孔34との間での隙間を抑制し、それらの間で止水を行うことができる。
図4及び図5は、ホルダ付電線20を、取付対象部位10に取付けると共に、端子28を固定端子14に接続した状態を示している。図4は固定端子14が取付対象部位10に対して比較的近い位置にある状態を示しており、図5は固定端子14が取付対象部位10に対して比較的遠い位置にある状態を示している。
図4に示すように、固定端子14が取付対象部位10に対して比較的近い位置にある場合には、ホルダ30のシールド端子部40を取付対象部位10にネジ止固定すること等によって、ホルダ30を取付対象部位10に取付けた状態で、端子28は固定端子14近くに配設される。このため、上記初期状態に近いまま、端子28を固定端子14に接続することができる。
これに対し、固定端子14が取付対象部位10に対して比較的遠い位置にある場合には、ホルダ30を取付対象部位10に取付けた状態で、端子28は固定端子14から離れている。そこで、内側シール部35とシールド端子部40との間で、隙間形成部36内の隙間を利用して、露出シールド層25aをその延在方向において縮めるように変形させ、電線22を保持孔34の一端側(取付対象部位10側)に移動させる。これにより、端子28をホルダ30から大きく引出して、固定端子14に接続することができる。また、端子28を大きく引出せば、絶縁被覆24部分もホルダ30から大きく引出されるため、その絶縁被覆24を曲げることによって、端子28を電線22の軸方向に対して直交する上下左右方向にも移動させることができる。このため、固定端子14が貫通孔12の軸に対して上下左右方向にずれている場合にも、端子28を固定端子14に容易に接続することができる。
なお、上記観点からすると、ホルダ30と端子28との初期の位置関係は、貫通孔12と固定端子14との設計上、製造上の誤差等を考慮して、ホルダ30と端子28とが最も近くに配設される状態を想定して決定されることが好ましい。もっとも、初期状態において、露出シールド層25aを中程度に縮めるように変形させて、電線22の絶縁被覆24の端部を、内側シール部35から隙間形成部36の延在方向中間位置に配設するようにしておいてもよい。この場合、端子28と固定端子14とが近い場合でも、遠い場合でも、電線22をそれらの延在方向両側へ移動させて、端子28の位置を調整することが可能となる。
以上のように構成されたホルダ付電線20によると、保持孔34の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部35が電線22の外周囲に接触しているため、電線22とホルダ30との間の止水が図られる。また、電線22が保持孔34に対してその延在方向に沿って移動可能に支持されているため、取付対象部位10に対してホルダ30を取付けることによって電線22が支持される位置と、電線22の端部の端子28との間に誤差が生じている場合等には、電線22をその延在方向に沿って移動させることによって、前記誤差を容易に吸収することができる。
また、シールド層25を保持孔34内、特に、内側シール部35の内側で、露出させてシールド端子部40に接続している。そして、このシールド端子部40を取付対象部位10に電気的に接続することによって、シールド層25をアースすることができる。このため、電線22のシールド層25を、ホルダ30内で止水しつつ、取付対象部位10に電気的に接続してアースすることができる。
また、保持孔34内でシールド層25とシールド端子部40とを電気的に接続した状態で、ホルダ30に対して電線22をその延在方向に沿って移動させると、シールド層25の余剰部分が生じ得る。そこで、保持孔34に、シールド端子部40と内側シール部35との間で電線22の外周医に隙間を形成可能な隙間形成部36を設けておくことによって、シールド層25の余剰部分を、しわ或はたるみとして、隙間に収容しておくことができる。これにより、ホルダ30に対して電線22を容易に移動させることができる。
{変形例}
図6は第1変形例にホルダ付電線120を示す概略斜視図であり、図7は同ホルダ付電線120を示す概略断面図である。
この第1変形例では、上記実施形態におけるホルダ付電線20に対して介在シール部170が追加されている。介在シール部170は、ホルダ30と取付対象部位10との間に介在可能に構成されている。
より具体的には、介在シール部170は、ゴム等の弾性部材によって形成された部材であり、ホルダ30の一端面(取付対象部位10側の面)よりも大きく広がる板形状に形成されている。ここでは、介在シール部170は、円板状に形成されている。介在シール部170には、保持孔34に対応する開口171hと、ネジ挿通孔43bhに対応するネジ挿通孔172hが形成される。
そして、介在シール部170をホルダ30の一端面と取付対象部位10との間に介在させ、好ましくは、介在シール部170を圧縮させる。これにより、介在シール部170が、ホルダ30の一端面と取付対象部位10との間で、電線22の周りの止水性をより向上させることができる。
図8は第2変形例に係るホルダ付電線220を示す概略断面図である。
この第2変形例では、シールド端子部40をインサート部品として、ホルダ本体部32に対応するホルダ本体部232がモールド成型された例である。この例では、シールド端子部40とホルダ本体部232とがより確実に一体化された状態に維持される。
また、この例では、ホルダ本体部232をモールド成型する際に、シールド端子部40に対して電線22の露出シールド層25aを接続しておく必要があるため、電線22も金型内に配設しておく必要がある。この際、電線22とホルダ本体部232との合体を抑制し、隙間形成部36を形成するため、電線22のうちホルダ本体部232内に配設される部分に、筒部材280が被せられている。筒部材280の一端部281は、上記隙間形成部36の内径寸法と同程度の内径寸法に設定され、筒部材280の他端部282は、上記内側シール部35の内径寸法と同程度の内径寸法に形成されている。このため、本筒部材280を電線22に被せた状態のままで、当該電線22を、シールド端子部40と共に金型内に配設して、ホルダ本体部232をモールド成型すると、ホルダ本体部232と電線22との間に筒部材280が介在し、その一端部281側によって隙間形成部36が形成され、その他端部282によって内側シール部35が形成される。
この変形例によると、ホルダ本体部232とシールド端子部40とがより確実に密着してより確実に合体状態が維持されると共に、それらの間での止水性向上が図られる。
なお、本変形例では、第1変形例で説明した介在シール部170が設けられた例を示しているが、介在シール部170は省略されてもよい。
図9は第3変形例に係るホルダ付電線320を示す概略断面図である。
このホルダ付電線320では、ホルダ本体部32に対応するホルダ本体部332に、保持孔34に対応する保持孔334が形成されている。保持孔334の他端部は、電線22の外径寸法よりも大きな(わずかに大きい)内径寸法に形成されている。また、この部分に周方向に沿った溝が形成され、ここに、ゴム等の弾性部材によって形成された環状弾性部材390(Oリング等)が配設されている。
環状弾性部材390の内径寸法は、電線22の外径寸法と同じかこれよりも小さく設定されている。そして、電線22を保持孔334に挿通した状態で、環状弾性部材390は、電線22の周方向全体で当該電線22の外周に接触する。本変形例では、この環状弾性部材390が配設された部分が、内側シール部35に対応する内側シール部335である。そして、この環状弾性部材390により、電線22と保持孔334との間でより確実な止水が図られている。
また、このホルダ付電線320では、ホルダ本体部332のうち内側シール部335に対応する位置の外周囲に、保持孔334を縮径変形させる抑え込み部材395が設けられている。なお、ホルダ本体部332は、抑え込み部材395によって抑え込まれると変形可能な材料(例えば、エラストマー等)又は形状(特に周方向の厚みが小さい形状)に形成されている。
抑え込み部材395は、銅、アルミニウム、ステンレス等の塑性変形可能なリング状部材又はC字状部材である。初期状態では、抑え込み部材395は、ホルダ本体部332のうち内側シール部335に対応する部分に外嵌め可能な大きさの内径寸法を有している。そして、この状態で、抑え込み部材395を縮径させるように塑性変形させることによって、ホルダ本体部332も内周側に抑え込まれて縮径変形し、もって、保持孔334のうち内側シール部335が設けられた部分が縮径変形し、環状弾性部材390が圧縮変形するようになっている。
これにより、内側シール部335(環状弾性部材390)が電線22の外周囲に対してより強い力で抑え込まれた状態で接するようになり、より確実に止水されるようになる。
なお、上記抑え込み部材395を縮径変形させるタイミングとしては、例えば、次の2つの態様が考えられる。
一つ目は、初期状態において、抑え込み部材395を縮径変形させておく態様である。この場合、ホルダ付電線320を取付対象部位10に取付ける際に、電線22をその延在方向に移動させることが可能な程度に、抑え込み部材395を縮径変形させるとよい。
二つ目は、初期状態においては、抑え込み部材395を縮径変形させず、ホルダ付電線320を取付対象部位10に取付けた後に、抑え込み部材395を縮径変形させる態様である。この場合、電線22をその延在方向に移動させることができない程度に、抑え込み部材395を大きく縮径変形させるとよい。なお、本第3変形例と第1変形例とを組合わせた場合、介在シール部170を圧縮変形させた状態で、抑え込み部材395を縮径変形させることが好ましい。
なお、抑え込み部材としては、塑性変形を利用した上記抑え込み部材395の他、樹脂等によって形成された一対の半環状部品を、ロック構造等によって合体させることによって、ホルダ30を締付けて抑え込むようにしてもよい。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、上記実施形態において、ホルダ30のうち内部シール部35に対応する部分の外周に、第3変形例で説明した抑え込み部材395が設けられていてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 取付対象部位
12 貫通孔
13 ネジ孔
14 固定端子
20,120,220,320 ホルダ付電線
22 電線
23 芯線
23a 露出芯線
24 絶縁被覆
25 シールド層
25a 露出シールド層
26 外皮
28 端子
30 ホルダ
32,232,332 ホルダ本体部
34,334 保持孔
35,335 内側シール部
36 隙間形成部
40 シールド端子部
43b 取付片
43bh,172h ネジ挿通孔
170 シール部
390 環状弾性部材
395 抑え込み部材

Claims (6)

  1. 端部に端子が取付けられた電線と、
    取付対象部位に対して取付可能に構成されると共に、前記電線を貫通状態に配設可能な保持孔が形成され、前記保持孔の延在方向の少なくとも一部に設けられた内側シール部が前記電線の外周囲に接触した状態で、前記電線が前記保持孔に対してその延在方向に沿って移動可能に支持されたホルダと、
    を備えるホルダ付電線。
  2. 請求項1に記載のホルダ付電線であって、
    前記電線は、芯線と、前記芯線の周囲を覆う絶縁被覆と、前記絶縁被覆の外周を覆うシールド層と、前記シールド層の外周を覆う外皮とを含み、
    前記ホルダは、前記保持孔が形成されたホルダ本体部と、前記ホルダ本体部に対して前記取付対象部位側に設けられ、前記取付対象部位に電気的に接続可能なシールド端子部とを含み、
    前記保持孔内に前記シールド層が露出して前記シールド端子部に電気的に接続されている、ホルダ付電線。
  3. 請求項2に記載のホルダ付電線であって、
    前記内側シール部は、前記保持孔内であって前記シールド端子部から離れた位置に設けられており、
    前記保持孔は、前記シールド端子部と前記内側シール部との間で前記電線の外周で隙間を形成可能な隙間形成部を含む、ホルダ付電線。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のホルダ付電線であって、
    前記ホルダと前記取付対象部位との間に介在可能な介在シール部をさらに備えるホルダ付電線。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のホルダ付電線であって、
    前記内側シール部は、前記保持孔内に設けられ、前記電線の外周囲に接触可能な環状弾性部材により形成されている、ホルダ付電線。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のホルダ付電線であって、
    前記ホルダのうち前記内側シール部に対応する位置の外周に、前記保持孔を縮径変形させる抑え込み部材が設けられている、ホルダ付電線。
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