JP2016053125A - 廃油の再生処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃油から金属分、水分等を除去もしくは低減して、灰分や水分の少ない良質な再生燃料油、さらに再生潤滑油を製造する際の前処理として使用可能な廃油の再生処理方法を提供する。
【解決手段】廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程、さらには必要により、分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する第3工程、得られた混合物から油分を分離回収する第4工程を含む廃油の再生処理方法。
【選択図】図1
【解決手段】廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程、さらには必要により、分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する第3工程、得られた混合物から油分を分離回収する第4工程を含む廃油の再生処理方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、廃油の再生処理方法に関し、詳しくは使用済みエンジン油や使用済み工業用潤滑油などの使用済み潤滑油、またはそれらを原料として製造された再生重油もしくはバイオ再生重油などの廃油に特定の再生処理剤を添加、混合した後、油分を分離回収することにより、廃油から金属分、水分等を除去もしくは低減して、灰分や水分の少ない良質な再生燃料油とすることができ、さらに再生潤滑油を製造する際の前処理として使用可能な廃油の再生処理方法に関する。
近年、資源の有効利用及び環境保全の観点から廃棄物の適正処理、リサイクルの促進が社会的緊急課題として大きく取り上げられており、これら課題に対して廃棄物処理法、リサイクル法などの法制面での整備が進められている。
産業界においては廃棄物の排出量の削減と共に廃棄物を再生し、有効利用するための再生処理技術の開発が進められている。使用済み潤滑油においても、前述の観点より良質な再生燃料油の製造技術の開発が望まれている。例えば、使用済みのエンジン油や工業潤滑油の発生量は年間80万KLで、そのうち再生利用や自家発燃料消費を省く67万KLが回収され、その約70%にあたる47万KLが再生重油として使用されている。しかし、この再生重油は加熱、静置分離或は遠心分離等の簡易精製で製造されているため金属分やその量に対応する灰分が多く、また、水分も多いなど品質が悪く、用途は制約を受けている。
産業界においては廃棄物の排出量の削減と共に廃棄物を再生し、有効利用するための再生処理技術の開発が進められている。使用済み潤滑油においても、前述の観点より良質な再生燃料油の製造技術の開発が望まれている。例えば、使用済みのエンジン油や工業潤滑油の発生量は年間80万KLで、そのうち再生利用や自家発燃料消費を省く67万KLが回収され、その約70%にあたる47万KLが再生重油として使用されている。しかし、この再生重油は加熱、静置分離或は遠心分離等の簡易精製で製造されているため金属分やその量に対応する灰分が多く、また、水分も多いなど品質が悪く、用途は制約を受けている。
現状の再生重油の多くは水分、金属分や灰分が多く、ボイラー用に使用すると煙管に付着する灰分が多くなり熱効率を低下させることから使用用途としては、直火使用であるアルミニウム溶解炉、石灰焼成炉、セメント焼成炉などが主体であり、廃油の焼却処分と言っても過言でない現状である。
再生処理される使用済み潤滑油の油種構成比率はエンジン油が約70%、工業用潤滑油が約30%である。通常のエンジン油にはエンジンの清浄性、摩耗防止等の性能を長期間維持するために金属系清浄分散剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン化合物が添加されており、これらの添加剤にはCa、Zn、Mo、Pなどが含まれている。このため、使用済みエンジン油を多く含む廃油から再生した燃料油は金属分、即ち灰分が多く残るためボイラーや内燃機関には使用できなかった。
使用済み潤滑油の灰分除去即ち金属分や水分を簡単かつ安価な方法で行うことが出来れば、使用用途は格段に拡がり、例えば農業用ビニールハウス暖房機や水産加工用ボイラーにも使用可能となり、原油価格の高騰を受けて価格が高止まりしているA重油の代替燃料として安価な燃料を提供でき、経営が悪化している一次産業の支援に貢献できる。
使用済み潤滑油からCa、Znなどの主要な金属分、即ち灰分成分や水分を分離除去する方法としては、濃硫酸を使用する方法(非特許文献1参照)、酢酸やリン酸を使用する方法(非特許文献2参照)、蒸留分離する方法(特許文献1参照)、膜を使用して分離する方法(非特許文献3参照)があるが、いずれの方法も発生する廃棄物の処理が困難であるという問題、金属分の除去率が低いという問題、さらにはコストが高いという問題がある。
また、廃油を珪酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、鉱酸、有機酸やアルデヒドの水溶液で二次洗浄する方法(特許文献2参照)や尿素水溶液や硝酸アンモニウム水溶液とキレート剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩)で処理して再生油とする方法(特許文献3参照)が提案されているが、前者は処理液の乳化や処理油に処理剤のケイ素分が含有する等の問題があり、後者は処理剤が高価で、大量の処理液が必要になるなど処理関連のコストが嵩むこと等の問題がある。
Recycling Possibilities and Potential Uses of Used Oils
Recycling of Waste Engine Oils Using a New Washing Agent
義家、植木ら:日本機械学会論文集(B編)、No.78,Vol.789、(2012-5)、p1048
本発明は、廃油を特定の再生処理剤で処理することにより、廃油中の金属分(灰分)や水分などの不純物を簡便な方法で効率良く低減、除去できる廃油の再生処理方法を提供するものである。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討を行った結果、再生処理剤として硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる化合物を使用することにより、廃油中の金属分や無機系不純物、さらには水分や硫黄分を効率よく低減、除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、必要に応じて、上記方法で得られた処理油(油分)をさらにポリアクリルアミドの水溶液で処理することで、JIS1種再生重油と同等以上の性状を有する高品質の再生重油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、必要に応じて、上記方法で得られた処理油(油分)をさらにポリアクリルアミドの水溶液で処理することで、JIS1種再生重油と同等以上の性状を有する高品質の再生重油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程を含むことを特徴とする廃油の再生処理方法に関する。
また、本発明は、廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程、分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する第3工程、得られた混合物から油分を分離回収する第4工程を含むことを特徴とする廃油の再生処理方法に関する。
本発明によれば、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる化合物を廃油の再生処理剤として使用することで、非常に簡便かつ安価に、廃油中の金属分(灰分)や水分などの不純物を効率よく除去することが可能となる。これによって、使用済み潤滑油、特にエンジン油を多く含む使用済み潤滑油から高品質な再生燃料油(再生重油)を得ることが可能となる。
このような再生燃料油を得る技術を提供することにより、社会的緊急課題として大きく取り上げられている資源の有効利用及び環境保全の観点からの廃棄物の適正処理等に資することができる。さらに、再生燃料油よりも高度な再資源化である再生潤滑油を製造する際の前処理技術としても有効である。
このような再生燃料油を得る技術を提供することにより、社会的緊急課題として大きく取り上げられている資源の有効利用及び環境保全の観点からの廃棄物の適正処理等に資することができる。さらに、再生燃料油よりも高度な再資源化である再生潤滑油を製造する際の前処理技術としても有効である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の廃油の再生処理方法は、廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程を含む。また必要に応じて、第2工程で分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する第3工程、得られた混合物から油分を分離回収する第4工程を含む。
本発明において再生処理の対象となる廃油としては特に限定されるものではないが、水分や金属分等の灰分成分などの不純物を多く含む使用済みの潤滑油のみならず、それらの使用済み潤滑油を原料として製造された再生重油(例えば、JIS K2170で代表される再生重油など)もしくはバイオ再生重油(例えば、JIS K2171で代表されるバイオ再生重油など)を含む。使用済み潤滑油としては、なかでも金属分等の灰分成分などが比較的多く含まれる使用済みエンジン油や、塩素系切削油以外の油圧作動油、圧延油等の使用済み工業用潤滑油などが挙げられる。
本発明において再生処理剤として用いる硫酸アルミニウム化合物は、硫酸アルミニウムの無水物(Al2(SO4)3)、若しくはAl2(SO4)3・nH2Oで表示される硫酸アルミニウム水和物である。
硫酸アルミニウム水和物の水和数nは特に限定されるものではないが、通常1〜30であり、入手の容易さおよび経済的な面から5〜30が好ましく、6〜27がより好ましく、10〜20が特に好ましい。
硫酸アルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウムの無水物および水和物の混合物であっても良く、水和物同士の混合物であっても良い。
硫酸アルミニウム水和物の水和数nは特に限定されるものではないが、通常1〜30であり、入手の容易さおよび経済的な面から5〜30が好ましく、6〜27がより好ましく、10〜20が特に好ましい。
硫酸アルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウムの無水物および水和物の混合物であっても良く、水和物同士の混合物であっても良い。
硫酸アルミニウム化合物の純度は70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上であることが特に望ましい。硫酸アルミニウム化合物の純度が70%に満たない場合は不純物として含まれるカリウム等の金属や硫酸イオンが処理油に極微量ではあるが残存する可能性が高くなるため好ましくない。
本発明においては、再生処理剤として使用する硫酸アルミニウム化合物として、酸化アルミニウム(Al2O3)を含む硫酸バンドと称される市販品を使用することができる。
硫酸バンドは硫酸アルミニウムに不純物として酸化アルミニウムが数質量%から30質量%程度、好ましくは8〜20質量%含まれる化合物であり、一般的な組成は、硫酸アルミニウム50〜75質量%、酸化アルミニウム8〜20質量%及び水分10〜30質量%である。またこの固形物を水で20〜30%濃度に希釈した通称液バンと称される硫酸バンドも存在する。
硫酸バンドは本発明の効果を十分に奏するものであり、また非常に安価かつ容易に入手することができる。硫酸バンドは固体品、液状品のいずれでも良く、形状に制約を受けるものではないが、水溶液調製作業時間を大幅に短縮できる観点から通称液バンと称される液状品が好ましい。
硫酸バンドは硫酸アルミニウムに不純物として酸化アルミニウムが数質量%から30質量%程度、好ましくは8〜20質量%含まれる化合物であり、一般的な組成は、硫酸アルミニウム50〜75質量%、酸化アルミニウム8〜20質量%及び水分10〜30質量%である。またこの固形物を水で20〜30%濃度に希釈した通称液バンと称される硫酸バンドも存在する。
硫酸バンドは本発明の効果を十分に奏するものであり、また非常に安価かつ容易に入手することができる。硫酸バンドは固体品、液状品のいずれでも良く、形状に制約を受けるものではないが、水溶液調製作業時間を大幅に短縮できる観点から通称液バンと称される液状品が好ましい。
本発明において再生処理剤として用いる硫酸鉄化合物としては、硫酸第一鉄の無水物(FeSO4)、若しくはFeSO4・nH2Oで表示される硫酸第一鉄水和物、硫酸第二鉄の無水物(Fe2(SO4)3)、若しくはFe2(SO4)3・nH2Oで表示される硫酸第二鉄水和物、または一般式(Fe2(OH)n(SO4)3−n/2)mで表示されるポリ硫酸第二鉄が挙げられる。
硫酸第一鉄および硫酸第二鉄の水和物の水和数nは特に限定されるものではないが、硫酸第一鉄水和物の水和数nは1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましく、1〜7が最も好ましい。また硫酸第二鉄水和物の水和数nは1〜15が好ましく、3〜7がより好ましく、5が最も好ましい。
また、一般式(Fe2(OH)n(SO4)3−n/2)mで表示されるポリ硫酸第二鉄におけるnは1または2であり、mは1〜10である。
硫酸第一鉄および硫酸第二鉄の水和物の水和数nは特に限定されるものではないが、硫酸第一鉄水和物の水和数nは1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましく、1〜7が最も好ましい。また硫酸第二鉄水和物の水和数nは1〜15が好ましく、3〜7がより好ましく、5が最も好ましい。
また、一般式(Fe2(OH)n(SO4)3−n/2)mで表示されるポリ硫酸第二鉄におけるnは1または2であり、mは1〜10である。
再生処理剤として使用する硫酸鉄化合物としては、硫酸第一鉄の無水物若しくは水和物、硫酸第二鉄の無水物若しくは水和物、およびポリ硫酸第二鉄をそれぞれ単独で使用しても良いし、またこれらの任意の混合物として使用することもできる。
ポリ硫酸第二鉄は赤褐色の液体であり、20℃における密度は1.40g/cm3以上、pH(1%水溶液)は2以上、全鉄分は8質量%以上、好ましくは8〜15質量%、硫酸イオン分は15〜30質量%、塩素分は0.1質量%以下であることがそれぞれ好ましい。
本発明において、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤を廃油に添加する場合、再生処理剤をそのまま添加しても良いし、再生処理剤を水に溶解させた水溶液として添加しても良いが、水溶液として添加することが好ましい。水溶液として添加する方が廃油との接触効率が上がり、金属分(灰分)の除去処理をより効率的に行うことができる。
廃油に添加する再生処理剤の割合については特に制限はないが、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄の無水物換算で、廃油に対して、0.001質量倍以上が好ましく、0.002質量倍以上がより好ましく、0.005質量倍以上がさらに好ましい。一方、上限については特に限定はないが、0.5質量倍以下が好ましく、0.3質量倍以下がより好ましく、0.1質量倍以下がさらに好ましく、0.05質量倍以下が特に好ましい。
すなわち、再生処理剤として硫酸アルミニウム水和物や硫酸鉄水和物を用いる場合であっても、水和分を除いた硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄を基準とする。
また、再生処理剤を水溶液として使用する場合についても、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄を基準とし、上記添加割合が適用される。
すなわち、再生処理剤として硫酸アルミニウム水和物や硫酸鉄水和物を用いる場合であっても、水和分を除いた硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄を基準とする。
また、再生処理剤を水溶液として使用する場合についても、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄を基準とし、上記添加割合が適用される。
再生処理剤を水溶液として使用する場合の濃度については特に制限はないが、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄の無水物を基準として、通常0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、上限については特に限定はないが、水溶液として使用する観点から80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、15質量%以下が最も好ましい。
再生処理剤水溶液の濃度が0.1質量%未満であると、再生処理剤が希釈され過ぎて、必要量の再生処理剤を添加するのに多量の水溶液が必要となるため好ましくない。
なお、ポリ硫酸第二鉄を再生処理剤として用いた場合の水溶液の有効濃度は、全鉄分として0.01〜2.5質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましくは、0.2〜1.0質量%さらに好ましくい。
再生処理剤水溶液の濃度が0.1質量%未満であると、再生処理剤が希釈され過ぎて、必要量の再生処理剤を添加するのに多量の水溶液が必要となるため好ましくない。
なお、ポリ硫酸第二鉄を再生処理剤として用いた場合の水溶液の有効濃度は、全鉄分として0.01〜2.5質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましくは、0.2〜1.0質量%さらに好ましくい。
再生処理剤は硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄の無水物および/または水和物の100%品をそのまま使用しても良いが、金属分(灰分)の低減効果を高めるためには水溶液として廃油に添加することが好ましい。廃油に対する再生処理剤水溶液の添加割合は、再生処理剤の濃度によって異なるが、上記した再生処理剤水溶液濃度の範囲で使用する場合、廃油に対し、再生処理剤水溶液が通常0.001容量倍以上であることが好ましく、0.1容量倍以上がより好ましく、0.3容量倍以上がさらに好ましい。一方、20容量倍以下であることが好ましく、10容量倍以下がより好ましく、3容量倍以下がさらに好ましい。廃油に添加する再生処理剤水溶液の量は、廃油に含まれる金属成分等を十分捕捉できるように過剰に添加してもよく、過剰に添加しても後述するように処理後、回収し、再使用するために特に問題にはならない。
本発明における第1工程は、前記再生処理剤またはその水溶液を廃油に添加し、混合する工程である。混合は、好ましくは撹拌下に行われ、再生処理剤と廃油中の金属分とが接触し、反応が進行し、固体物が生成する。
混合、撹拌時の温度は通常5〜95℃であり、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは50〜80℃である。また、反応時間は、温度により異なるが、通常は30秒〜10時間であり、1分〜7時間が好ましく、10分〜5時間がより好ましい。撹拌条件は、一般に用いられる撹拌機で、好ましくは20〜3,000rpm、より好ましくは50〜1,000rpmで撹拌するのがよい。また、ラインミキサーを使用して混合し、撹拌することもできる。この場合は、循環槽を設置して、ラインミキサーを何度も通過させることにより撹拌と同等の効果が得られる。
混合、撹拌時の温度は通常5〜95℃であり、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは50〜80℃である。また、反応時間は、温度により異なるが、通常は30秒〜10時間であり、1分〜7時間が好ましく、10分〜5時間がより好ましい。撹拌条件は、一般に用いられる撹拌機で、好ましくは20〜3,000rpm、より好ましくは50〜1,000rpmで撹拌するのがよい。また、ラインミキサーを使用して混合し、撹拌することもできる。この場合は、循環槽を設置して、ラインミキサーを何度も通過させることにより撹拌と同等の効果が得られる。
本発明における第2工程は、前記第1工程で再生処理剤と廃油を接触させて反応が進行した混合物から油分を分離回収する工程である。
混合物から油分を分離回収する方法としては、静置分離法、遠心分離法または両法を組み合わせた方法が採用される。
静置分離法は、混合物を静置して、比重の違いにより、固体(金属分等のスラッジ)、油分、及び水層(添加した硫酸アルミニウム水溶液や廃油から除去された水分)にそれぞれ分離するものである。静置時間は通常0.5時間以上が好ましく、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上、最も好ましくは24時間以上である。一方、上限については特に制限はないが、通常3日(72時間)以下である。
また、より分離効率を上げるために遠心分離機による分離を行うことが好ましい。用いる遠心分離機は固(固体)・液(油分)・液(水層)に分離でき、且つスラッジ(固体)を自動排出できるものであることが望ましい。遠心分離条件は、特に制限はなく、通常1,000〜10,000rpm、好ましくは6,000rpmで、5秒〜60分、好ましくは10秒〜40分間行うことが望ましい。
混合物から油分を分離回収する方法としては、静置分離法、遠心分離法または両法を組み合わせた方法が採用される。
静置分離法は、混合物を静置して、比重の違いにより、固体(金属分等のスラッジ)、油分、及び水層(添加した硫酸アルミニウム水溶液や廃油から除去された水分)にそれぞれ分離するものである。静置時間は通常0.5時間以上が好ましく、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上、最も好ましくは24時間以上である。一方、上限については特に制限はないが、通常3日(72時間)以下である。
また、より分離効率を上げるために遠心分離機による分離を行うことが好ましい。用いる遠心分離機は固(固体)・液(油分)・液(水層)に分離でき、且つスラッジ(固体)を自動排出できるものであることが望ましい。遠心分離条件は、特に制限はなく、通常1,000〜10,000rpm、好ましくは6,000rpmで、5秒〜60分、好ましくは10秒〜40分間行うことが望ましい。
第2工程により、廃油から金属分(灰分)が除去された油分(再生油)が分離回収される。
なお、分離された再生処理剤水溶液はフィルター濾過して金属分(灰分)を取り除き、清浄化することにより再生処理剤として再使用することできる。これはコスト低減、廃棄処理物の減量等の観点からも好ましく、安価な処理方法を提供する本発明の目的にも資する。このとき再生処理剤の濃度を確保するため当初のpHからアルカリ側に移行している場合、再生処理剤またはその水溶液、好ましくは飽和水溶液を添加してpHを戻すことが好ましい。これにより金属分(灰分)低減能力を新処理液と同レベルまで回復させて再使用することができる。再生処理剤水溶液のpHはおおよそ以下の範囲であることが好ましい。
硫酸アルミニウム:3〜4
硫酸バンド:2〜3
硫酸第一鉄:3〜3.5
硫酸第二鉄:3〜3.5
ポリ硫酸第二鉄:2.5〜3
なお、分離された再生処理剤水溶液はフィルター濾過して金属分(灰分)を取り除き、清浄化することにより再生処理剤として再使用することできる。これはコスト低減、廃棄処理物の減量等の観点からも好ましく、安価な処理方法を提供する本発明の目的にも資する。このとき再生処理剤の濃度を確保するため当初のpHからアルカリ側に移行している場合、再生処理剤またはその水溶液、好ましくは飽和水溶液を添加してpHを戻すことが好ましい。これにより金属分(灰分)低減能力を新処理液と同レベルまで回復させて再使用することができる。再生処理剤水溶液のpHはおおよそ以下の範囲であることが好ましい。
硫酸アルミニウム:3〜4
硫酸バンド:2〜3
硫酸第一鉄:3〜3.5
硫酸第二鉄:3〜3.5
ポリ硫酸第二鉄:2.5〜3
本発明における第3工程は、前記第2工程で分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する工程である。
上記の第1工程および第2工程だけでも十分に廃油中のカルシウムなどの金属や水分を除去することができるが、微量に残存するカルシウムや亜鉛、本発明に係る再生処理剤由来のアルミニウムおよび鉄を除去するために、分離した油分をさらにポリアクリルアミドの水溶液で処理することにより、油中に残存するカルシウム、アルミニウム、鉄などの金属類のみならず、水分をほぼ完全に除去することができる。
上記の第1工程および第2工程だけでも十分に廃油中のカルシウムなどの金属や水分を除去することができるが、微量に残存するカルシウムや亜鉛、本発明に係る再生処理剤由来のアルミニウムおよび鉄を除去するために、分離した油分をさらにポリアクリルアミドの水溶液で処理することにより、油中に残存するカルシウム、アルミニウム、鉄などの金属類のみならず、水分をほぼ完全に除去することができる。
ポリアクリルアミド水溶液は、特に希薄水溶液であることが望ましい。具体的には、ポリアクリルアミドの濃度が1〜20000質量ppm、好ましくは2〜2000質量ppm、より好ましくは3〜1000質量ppm、さらに好ましくは5〜500質量ppm、特に好ましくは10〜300質量ppmの水溶液とするのが良い。
油分に対するポリアクリルアミドの量は、0.0005〜0.2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1質量である。
油分に対するポリアクリルアミド水溶液の添加量は、ポリアクリルアミド水溶液の濃度に応じて、ポリアクリルアミド成分の量が上記の量を満足するように適宜設定されるものであるが、油分に対して、0.01〜5容量倍であることが好ましく、0.1〜3容量倍がより好ましく、0.5〜2容量倍がさらに好ましい。
油分に対するポリアクリルアミド水溶液の添加量は、ポリアクリルアミド水溶液の濃度に応じて、ポリアクリルアミド成分の量が上記の量を満足するように適宜設定されるものであるが、油分に対して、0.01〜5容量倍であることが好ましく、0.1〜3容量倍がより好ましく、0.5〜2容量倍がさらに好ましい。
本発明でいうポリアクリルアミドには、ポリアクリルアミドの変性品も含まれる。
ポリアクリルアミドの具体例としては、例えば、商品名アクラフロックA−110、A−150や、変性ポリアクリルアミド系のA−235HやA−250(以上、MTアクアポリマー(株)製)などが挙げられる。
ポリアクリルアミドの具体例としては、例えば、商品名アクラフロックA−110、A−150や、変性ポリアクリルアミド系のA−235HやA−250(以上、MTアクアポリマー(株)製)などが挙げられる。
油分とポリアクリルアミド水溶液の混合は、好ましく撹拌下に行われ、混合・撹拌時の温度は通常5〜95℃であり、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜40℃である。
処理時間は、処理温度により異なるが、通常は5分〜5時間であるが、微量の金属類をより完全に処理液(洗浄液)に移行させるためには1〜4時間であることが好ましく、さらにはコスト的要素を勘案すると2〜3時間であることがより好ましい。
撹拌条件は、一般に用いられる撹拌機で10〜3,000rpmであり、好ましくは50〜1,000rpmである。さらには、ラインミキサーを使用して、混合と撹拌を行うこともできる。
本第3工程において、油分とポリアクリルアミドの水溶液を混合・撹拌することで、油中に残存する微量の金属分および水分は、油分から水溶液に移行する。
処理時間は、処理温度により異なるが、通常は5分〜5時間であるが、微量の金属類をより完全に処理液(洗浄液)に移行させるためには1〜4時間であることが好ましく、さらにはコスト的要素を勘案すると2〜3時間であることがより好ましい。
撹拌条件は、一般に用いられる撹拌機で10〜3,000rpmであり、好ましくは50〜1,000rpmである。さらには、ラインミキサーを使用して、混合と撹拌を行うこともできる。
本第3工程において、油分とポリアクリルアミドの水溶液を混合・撹拌することで、油中に残存する微量の金属分および水分は、油分から水溶液に移行する。
本発明における第4工程は、前記第3工程において油分とポリアクリルアミド水溶液を混合・撹拌して得られた混合物から油分を分離回収する工程である。
混合物から油分を分離回収する方法としては、静置分離法、遠心分離法または両法を組み合わせた方法が採用される。
静置分離法は、混合物を静置して、比重の違いにより、固体(金属分等のスラッジ)、油分、及び水溶液(ポリアクリルアミドの水溶液)にそれぞれ分離するものである。静置時間は通常5〜24時間であり、好ましくは10時間以上である。
また、より分離効率を上げるために遠心分離機による分離を行うことが好ましい。用いる遠心分離機は固体(金属分等のスラッジ)・液(油分)・液(ポリアクリルアミドの水溶液)に分離でき、且つスラッジ(固体)を自動排出できるものであることが望ましい。遠心分離条件は、特に制限はなく、通常の処理液温度は成り行きで1,000〜20,000rpm、好ましくは2,000〜8,000rpmで5秒〜60分、好ましくは10秒〜40分行うことが望ましい。
混合物から油分を分離回収する方法としては、静置分離法、遠心分離法または両法を組み合わせた方法が採用される。
静置分離法は、混合物を静置して、比重の違いにより、固体(金属分等のスラッジ)、油分、及び水溶液(ポリアクリルアミドの水溶液)にそれぞれ分離するものである。静置時間は通常5〜24時間であり、好ましくは10時間以上である。
また、より分離効率を上げるために遠心分離機による分離を行うことが好ましい。用いる遠心分離機は固体(金属分等のスラッジ)・液(油分)・液(ポリアクリルアミドの水溶液)に分離でき、且つスラッジ(固体)を自動排出できるものであることが望ましい。遠心分離条件は、特に制限はなく、通常の処理液温度は成り行きで1,000〜20,000rpm、好ましくは2,000〜8,000rpmで5秒〜60分、好ましくは10秒〜40分行うことが望ましい。
なお、分離されたポリアクリルアミドの水溶液は、フィルター濾過や遠心分離で清浄化することにより再使用することができる。これはコスト低減、廃棄処理物の減量等の観点からも好ましい。このときポリアクリルアミドの有効濃度を確保するため当初のpH6〜7から酸性側に移行している場合、ポリアクリルアミドまたはこれの0.5〜2質量%の水溶液を添加してpH値を6〜7に戻すことが好ましい。これにより水分や金属分(灰分)低減能力を新処理液と同レベルまで回復させて再使用することができる。
図1に、本発明の廃油の再生処理方法のフローシートの一例を示す。図1に示すように、再生処理剤又はその水溶液からなる処理剤を廃油に添加し、混合・撹拌して反応させ、次いで得られた混合物から油分を分離して再生油槽へ送り再生油を回収する。あるいは分離した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合・撹拌して微量含有する金属分等の灰分成分を油分から水溶液に移行させ、最後にこれらの混合物から油分を分離して再生油槽へ送り再生油を回収する。
以上の工程を含有する本発明の方法により、廃油から水分や金属分等の灰分成分を除去することができる。より具体的には、蒸留法で測定される水分は0.1容量%以下、好ましくは0.05容量%以下、より好ましくは0.03容量%以下まで低減される。
誘導結合プラズ発光分析法(ICP)で測定される金属、特に廃油中に特に多く含まれるカルシウムや亜鉛などの金属は500質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下まで低減される。これら金属分の低減率は実に70〜99質量%と非常に高い効率である。
灰分としてはJIS K2272に規定された灰分として、0.7質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下まで低減される。0.05質量%以下とすることで重油のJIS規格の1種(いわゆるA重油)同等の再生重油を得ることができる。
誘導結合プラズ発光分析法(ICP)で測定される金属、特に廃油中に特に多く含まれるカルシウムや亜鉛などの金属は500質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下まで低減される。これら金属分の低減率は実に70〜99質量%と非常に高い効率である。
灰分としてはJIS K2272に規定された灰分として、0.7質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下まで低減される。0.05質量%以下とすることで重油のJIS規格の1種(いわゆるA重油)同等の再生重油を得ることができる。
特定の再生処理剤を用いる本発明の廃油の再生処理方法は、いかなる廃油に対しても有効であり、水分や金属分等の灰分成分などの不純物を多く含む使用済みの潤滑油、それらの使用済み潤滑油を原料として製造された再生重油あるいはバイオ再生重油に適用することができる。なかでも金属分等の灰分成分などが比較的多く含まれる使用済みエンジン油、又は塩素系切削油以外の油圧作動油、圧延油等の使用済み工業用潤滑油などの廃油に対して好適である。なお、廃油としてはガソリンスタンド(S/S)や自動車整備工場からの回収油、各種製造工場からの使用済み及びフラッシング油、長期在庫等による規格外れの潤滑油などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例に用いた廃油の性状を表1に、元素分析値を表2に示した。なお、元素定量分析は、遠心分離(7,000rpm×45分,6306G)処理後の廃油で行った。廃ディーゼルエンジン油(DEO)と廃ガソリンエンジン油(GEO)は愛知県豊橋市内のガソリンスタンドから回収した廃油である。再生重油(RCO)は使用済みエンジン油と工業用潤滑油の混合油を再生処理した一般に販売されている市販品である。
なお、実施例と比較例で3油種について実験を実施したが、その主たる事由は以下の通りである。
廃油中に含まれる灰分の主要構成金属であるカルシウムはエンジン油に添加されているカルシウム系金属清浄分散剤に由来している。この添加剤には主にスルフォネート、フェネート及びサリシレート系に大別され、油種により異なるタイプのものが用いられている。このため本実施例ではタイプの異なるカルシウム系清浄分散剤においても本発明の方法が有効であることを証明するために3油種で実験を行った。
廃油中に含まれる灰分の主要構成金属であるカルシウムはエンジン油に添加されているカルシウム系金属清浄分散剤に由来している。この添加剤には主にスルフォネート、フェネート及びサリシレート系に大別され、油種により異なるタイプのものが用いられている。このため本実施例ではタイプの異なるカルシウム系清浄分散剤においても本発明の方法が有効であることを証明するために3油種で実験を行った。
(実施例1および比較例1)
実施例および比較例に用いた化合物は以下の通りである。
純水:(株)島津製作所製純水製造装置にて製造した純水
硫酸アルミニウム化合物:硫酸アルミニウム13〜14水和物
硫酸バンド:酸化アルミニウム17質量%含有品、水含有量18質量%
硫酸第一鉄化合物:硫酸第一鉄7水和物
ポリ硫酸第二鉄:全鉄分12%(式中のn=1、m=8)
濃硫酸:市販特級品(純度98%)
酢酸:特級(Assay%:99.7min)・和光純薬工業(株)製
尿素:SAJ級(純度95%以上)・シグマアルドリッチジャパン(株)製
珪酸ナトリウム:一般式mNa2O・nSiO2(スワン社製商品名「CHEM−X」、m/n=1.83)
実施例および比較例に用いた化合物は以下の通りである。
純水:(株)島津製作所製純水製造装置にて製造した純水
硫酸アルミニウム化合物:硫酸アルミニウム13〜14水和物
硫酸バンド:酸化アルミニウム17質量%含有品、水含有量18質量%
硫酸第一鉄化合物:硫酸第一鉄7水和物
ポリ硫酸第二鉄:全鉄分12%(式中のn=1、m=8)
濃硫酸:市販特級品(純度98%)
酢酸:特級(Assay%:99.7min)・和光純薬工業(株)製
尿素:SAJ級(純度95%以上)・シグマアルドリッチジャパン(株)製
珪酸ナトリウム:一般式mNa2O・nSiO2(スワン社製商品名「CHEM−X」、m/n=1.83)
上記化合物を上記純水で溶解または希釈しそれぞれ水溶液を調製した。各水溶液の濃度は以下の通りである。
硫酸アルミニウム水溶液:硫酸アルミニウム13〜14水和物として15質量%の水溶液(硫酸アルミニウム無水物換算で8.8質量%)
硫酸バンド水溶液:硫酸バンドとして15質量%の水溶液(硫酸アルミニウム無水物換算で9.8質量%)
硫酸第一鉄水溶液:硫酸第一鉄7水和物として15質量%の水溶液(硫酸第一鉄無水物換算で8.2質量%)
ポリ硫酸第二鉄水溶液:ポリ硫酸第二鉄の15質量%水溶液
尿素水溶液:0.05M(特開2006−249419記載条件に準拠)
珪酸ナトリウム水溶液:珪酸ナトリウムの15質量%水溶液
硫酸水溶液:2規定(N)
硫酸アルミニウム水溶液:硫酸アルミニウム13〜14水和物として15質量%の水溶液(硫酸アルミニウム無水物換算で8.8質量%)
硫酸バンド水溶液:硫酸バンドとして15質量%の水溶液(硫酸アルミニウム無水物換算で9.8質量%)
硫酸第一鉄水溶液:硫酸第一鉄7水和物として15質量%の水溶液(硫酸第一鉄無水物換算で8.2質量%)
ポリ硫酸第二鉄水溶液:ポリ硫酸第二鉄の15質量%水溶液
尿素水溶液:0.05M(特開2006−249419記載条件に準拠)
珪酸ナトリウム水溶液:珪酸ナトリウムの15質量%水溶液
硫酸水溶液:2規定(N)
実験は以下のような器具及び実験手順で行った。
(i)硬質ビーカー(直径70mm、高さ100mm)に下記量の試料油と灰分低減処理剤(本発明に係る再生処理剤およびそれ以外の処理剤を総称して、本実施例においては灰分低減処理剤と称する。)または灰分低減処理剤の水溶液を採取し所定温度の恒温槽(円形ホール)にセットした。
(a)灰分低減処理剤が濃硫酸または酢酸の場合、試料油95gと灰分低減処理剤5g
(b)それ以外の場合、試料油70gと灰分低減処理剤水溶液70g
(ii)上記混合物を、3枚羽根の攪拌子(L15mm×3)を用いて、400rpm×4時間の条件で撹拌を行なった。温度は下記の通りである。
(a)灰分低減処理剤が濃硫酸または酢酸の場合、室温(15〜18℃)
(b)それ以外の場合、70℃
なお、濃硫酸または酢酸の場合のみ条件が異なるのはRecycling of Waste Engine Oils Using a New Washing Agentに準拠したためである。
(iii)撹拌、反応終了後、遠心分離機で固形物と水層(灰分低減処理剤水溶液)分を分離した。遠心分離は、国産(株)製H−2000Aを用い、試料液を50℃に加温して遠心分離機にセットし、その後の温度は成り行きで、7,000rpm×45分,6306Gで行った。なお、遠心分離操作中、ローター温度を25℃に保持した。
(iv)得られた分離油の元素定量分析(ICP法)、水分(JIS K2275 蒸留法)、硫酸灰分(JIS K2272)、硫黄分(JIS K2541 放射線式励起法)等の性状を測定した。使用した廃油DEO、GEO、RCOごとにそれぞれ表3に結果をまとめた。
(i)硬質ビーカー(直径70mm、高さ100mm)に下記量の試料油と灰分低減処理剤(本発明に係る再生処理剤およびそれ以外の処理剤を総称して、本実施例においては灰分低減処理剤と称する。)または灰分低減処理剤の水溶液を採取し所定温度の恒温槽(円形ホール)にセットした。
(a)灰分低減処理剤が濃硫酸または酢酸の場合、試料油95gと灰分低減処理剤5g
(b)それ以外の場合、試料油70gと灰分低減処理剤水溶液70g
(ii)上記混合物を、3枚羽根の攪拌子(L15mm×3)を用いて、400rpm×4時間の条件で撹拌を行なった。温度は下記の通りである。
(a)灰分低減処理剤が濃硫酸または酢酸の場合、室温(15〜18℃)
(b)それ以外の場合、70℃
なお、濃硫酸または酢酸の場合のみ条件が異なるのはRecycling of Waste Engine Oils Using a New Washing Agentに準拠したためである。
(iii)撹拌、反応終了後、遠心分離機で固形物と水層(灰分低減処理剤水溶液)分を分離した。遠心分離は、国産(株)製H−2000Aを用い、試料液を50℃に加温して遠心分離機にセットし、その後の温度は成り行きで、7,000rpm×45分,6306Gで行った。なお、遠心分離操作中、ローター温度を25℃に保持した。
(iv)得られた分離油の元素定量分析(ICP法)、水分(JIS K2275 蒸留法)、硫酸灰分(JIS K2272)、硫黄分(JIS K2541 放射線式励起法)等の性状を測定した。使用した廃油DEO、GEO、RCOごとにそれぞれ表3に結果をまとめた。
表3から明らかなように、本発明の方法による硫酸灰分の低減率は80〜90%と優れた灰分低減能力を有している。また、硫酸灰分の主要構成元素であるカルシウムの低減率も95%以上であり、硫酸灰分に対する寄与率の高い亜鉛も低減率は95%以上を示しており、本発明の方法が優れた灰分低減性能を有していることが分かる。
本発明の方法は、使用済みガソリンエンジン油、使用済みディーゼルエンジン油、これら使用済みエンジン油と工業用潤滑使用油が混合した使用油(廃油)のいずれのタイプにおいても優れた灰分低減効果を示し、油種の違いによる有意差のないことが分かる。
本発明の方法は、使用済みガソリンエンジン油、使用済みディーゼルエンジン油、これら使用済みエンジン油と工業用潤滑使用油が混合した使用油(廃油)のいずれのタイプにおいても優れた灰分低減効果を示し、油種の違いによる有意差のないことが分かる。
また、本発明の方法は水分を通常の燃料として問題のないレベルまで低減することが出来る。即ち、ガソリンエンジン油系廃油(GEO)、ディーゼルエンジン油系廃油(DEO)及び市販再生重油(RCO)の水分(蒸留法)はそれぞれ1.05、1.50及び4.05容量%であるが、いずれの処理油も0.05容量%未満と全く問題にならないレベルまで低減していることが分かる。
なお、硫酸アルミニウム水溶液で処理した再生油(実施例1−1(DEO)、1−5(GEO)及び1−9(RCO))について、微量水分測定法であるカールフィッシャー法で水分を測定したが、いずれも300〜350質量ppmの範囲であることが確認された。
なお、硫酸アルミニウム水溶液で処理した再生油(実施例1−1(DEO)、1−5(GEO)及び1−9(RCO))について、微量水分測定法であるカールフィッシャー法で水分を測定したが、いずれも300〜350質量ppmの範囲であることが確認された。
加えて本発明の方法で処理した処理油は総て石油製品−反応試験(JIS K2252)で中性であり、燃料油として問題のないことが確認された。さらには、本発明に係る再生処理剤は廃油中の硫黄分を25〜60%低減することができ、金属類及び水分の低減効果と合わせ、高品質鉱油系基油の再生に係わる前処理法として有効に活用することが出来る。
本発明の方法で処理した再生油はそのまま優れた再生燃料として使用することが出来る。しかし、本発明で最も優れている事項の1つは、本発明に係る再生処理剤(水溶液)による廃油の撹拌、反応処理で乳化現象が全く見られないことである。一般に、エンジン使用油等の廃油を各種水溶液で処理し灰分の低減を試みた実験では、エンジン油等の持つ乳化性(水可溶化)のため、激しい乳化が起こり、仮に、再生作業が可能であっても乳化層の分離等により再生油の再生率(回収率)が低下し、さらには、再生油の水分除去作業が必要になり、再生の工程が複雑になり、作業性も悪くなる。このことからも、本発明に係る再生処理剤による廃油の処理が優れた廃油の再生方法であることが分かる。つまり、このような本発明の灰分低減効果は、本発明の方法を用いることにより、初めて実現できたものである。このことを以下に比較例によって説明する。
比較例1−1と1−2に純水単独および0.05M尿素水溶液(特開2006−249419記載条件に準拠)を用いたディーゼルエンジン油主体の廃油(DEO)の灰分低減処理実験の結果を示した。両処理剤とも乳化が激しく、試料液は淡黄色の均一な乳化層で、分離油層は認められなかった。このことは、各種化合物の水溶液を用いてエンジン油等の使用油(廃油)の金属分(硫酸灰分)の低減を試みる場合、エンジン油等の持つ乳化性(水可溶化)のため、激しい乳化が起きる可能性が高く、乳化が発現しない条件を見出すことは非常に困難であることを示している。このため、この種のケースでは、解乳化剤の検討、開発で対応するが、未だ適用範囲が広く、且つ有効な解乳化剤は見出されていない。このことからも、本発明に係る再生処理剤が各種エンジン使用油(廃油)を乳化させることなく、簡単な方法で硫酸灰分(金属分)低減できる優れた性能を有していることが分かる。
比較例1−3と1−4に硫酸を用いたディーゼルエンジン油主体の廃油(DEO)の灰分低減処理実験の結果を示した。比較例1−3は濃硫酸添加の実験で、実験条件は他の実験の条件と異なり、試料廃油95gに濃硫酸(市販特級:98%)5gを添加し、室温×4h×400rpmで撹拌、反応させた。撹拌、反応後の処理油は黒色の均一油で、見かけ粘度、外観とも試験前と変わらず、試験容器のビーカー底部に少量の褐色濃硫酸層が分離し、乳化層は認められない。また、この処理油を遠心分離しても、外観に何ら変化は見られない。
遠心分離で回収した再生油の分析結果より、濃硫酸添加による硫酸灰分低減率は75%で、実施例1−1〜11に示した本発明に係る再生処理剤による硫酸灰分低減率80〜90%より劣ることが分かる。また、硫酸灰分の主要構成元素であるカルシウムの低減率も75%で、本発明の再生処理剤による95%以上には遠く及ばない。さらには、脱水率23%、脱硫率が24%に留まることは、再生油の性状改善が十分に果たされていないことを示している。
さらに、当該処理油の石油製品−反応試験(JIS K2252)は酸性で、燃料油として好ましくない。当該処理油の酸性は残存する硫酸によるもので、一般に、硫酸処理による硫酸灰分除去方法では、硫酸処理後に水洗、白土仕上げ処理等が行われている(例えばRecycling Possibilities and Potential Uses of Used Oils)。
さらに、当該処理油の石油製品−反応試験(JIS K2252)は酸性で、燃料油として好ましくない。当該処理油の酸性は残存する硫酸によるもので、一般に、硫酸処理による硫酸灰分除去方法では、硫酸処理後に水洗、白土仕上げ処理等が行われている(例えばRecycling Possibilities and Potential Uses of Used Oils)。
これらの事実より、濃硫酸処理による廃油の再生法は、得られる再生油の性状改善が十分でないことだけでなく、残存硫酸の除去に係わる中和、水洗、白土処理等工程が複雑になる。さらには、本技術の問題点に、硫酸スラッジや廃白土の処理が必要なことが挙げられる。以上の濃硫酸による廃油の再生法に較べ、本発明に係る再生処理剤で処理して得られる再生油をそのまま良質な燃料油として提供できる本発明の廃油の再生処理方法の方が、再生作業がより簡便で、且つ優れていることが分かる。
比較例1−4は2N硫酸水溶液による灰分低減実験で、実験条件は前述共通条件で行った。撹拌、反応後の試料液の分離は比較的容易で、上層の処理油は黒色の均一油で、見かけ粘度、外観とも試験前と変わらない。下層の硫酸水溶液は淡褐色で若干濁りが観察された。上層の油層と下層の硫酸水溶液の間に灰黒色の乳化層が約15%程度発現する。別途分析より、この乳化層には油分が30質量%(対試料油8%)含まれていることが確認された。硫酸水溶液による再生処理では、この乳化層の油分の回収は難しく、再生油分の再生率の低下に直結する。遠心分離で回収した再生油の分析結果より、硫酸水溶液で処理した場合、硫酸灰分低減率は76%で、実施例1−1〜11に示した本発明の方法による硫酸灰分低減率80〜90%より劣ることが分かる。また、硫酸灰分の主要構成元素であるカルシウムの低減率も72%で、本発明の方法による95%以上には遠く及ばないことが分かる。さらには、脱水率20%、脱硫率が10%であり、硫酸水溶液による処理では再生油の性状改善が十分に果たされていないことを示している。
さらに、当該再生油の石油製品−反応試験(JIS K2252)は酸性で、燃料油として好ましくない。硫酸水溶液再生法では、得られた再生液を中和するために濃硫酸処理の場合と同様の処理が必要である。以上の硫酸水溶液による廃油の再生法に較べ、本発明に係る再生処理剤で処理して得られる再生油をそのまま良質な燃料油として提供できる本発明の廃油再生方法の方が、再生作業がより簡便で、且つ優れていることが分かる。
さらに、当該再生油の石油製品−反応試験(JIS K2252)は酸性で、燃料油として好ましくない。硫酸水溶液再生法では、得られた再生液を中和するために濃硫酸処理の場合と同様の処理が必要である。以上の硫酸水溶液による廃油の再生法に較べ、本発明に係る再生処理剤で処理して得られる再生油をそのまま良質な燃料油として提供できる本発明の廃油再生方法の方が、再生作業がより簡便で、且つ優れていることが分かる。
比較例1−5〜7に酢酸を添加してDEO、GEO及びRCOの3種類の廃油で実施した灰分低減処理実験の結果を示した。酢酸添加の実験は他の実験の条件と異なり、文献上好ましいとされている、試料廃油95gに酢酸5gを添加し、室温で4時間、400rpmで撹拌、反応させた。撹拌、反応後の処理油はいずれも黒色の均一油で、見かけ粘度、外観とも試験前と変わらず、水分や添加した酢酸が分離することは無く、試験容器のビーカー底部に沈積物は認められなかった。また、3油種とも、処理油の外観は遠心分離後も何ら変化せず、酢酸、固形物等の分離も認められなかった。
酢酸添加による硫酸灰分低減率は65〜80%で、実施例1−1〜11に示した本発明の方法による硫酸灰分低減率80〜90%より劣ることが分かる。さらには、個々の金属元素の低減率を比較すると、カルシウムは70〜80%で、本発明の方法による95%以上には遠く及ばず、亜鉛の低減率も60%台で、本発明の95%以上に比べかなり劣っていることが分かる。硫黄分の低減率も10%程度と非常に低い。
また、酢酸処理した再生油は、残存酢酸のため強い酸性を示し水分が増加するため、燃料としては負の因子が増加していることが分かる。これら負の因子を排除するため、アルカリによる中和、水洗、脱水等の二次工程が必須になることは避けられず、本発明に係る再生処理剤で処理して得られる再生油をそのまま良質な燃料油として提供できる本発明の廃油再生方法の方が、再生作業がより簡便で、且つ優れていることが分かる。
また、酢酸処理した再生油は、残存酢酸のため強い酸性を示し水分が増加するため、燃料としては負の因子が増加していることが分かる。これら負の因子を排除するため、アルカリによる中和、水洗、脱水等の二次工程が必須になることは避けられず、本発明に係る再生処理剤で処理して得られる再生油をそのまま良質な燃料油として提供できる本発明の廃油再生方法の方が、再生作業がより簡便で、且つ優れていることが分かる。
表3の比較例1−8〜10に珪酸ナトリウム:一般式mNa2O・nSiO2(スワン社製商品名「CHEM−X」、m/n=1.83:)の15質量%水溶液を用いたDEO、GEO及びRCOの3種類の廃油で実施した灰分低減処理実験の結果を示した。3試料廃油とも、珪酸ナトリウム水溶液を添加し、撹拌、反応後の試料液は3層に分離しており、上層に黒色〜灰黒褐色油分、下層に淡褐色の珪酸ナトリウム水溶液があり、両層の境界は灰褐色の乳化層になっている。この乳化層は全体の20%程度で、撹拌、反応後の試料液を遠心分離しても消失することはない。
珪酸ナトリウム水溶液で処理し、遠心分離処理した後の処理油の硫酸灰分量はDEOで20%程度低減しているが、GEOで15%、RCOで40%程度、それぞれ増加している。個々の金属元素の低減率を比較すると、カルシウムの低減率はいずれの廃油でも60〜70%で、亜鉛の低減率はDEOで40%と低くなっているが、他の廃油では60〜70%である。この様に珪酸ナトリウム水溶液は試料廃油に含まれている硫酸灰分の主要構成元素であるカルシウム、亜鉛等の金属分を半減させる能力を有するが、本処理工程でみる限り、本来の目的である硫酸灰分の低減能力は不十分であり、再生油としての灰分低減はなされていない。
珪酸ナトリウム水溶液処理により、カルシウム、亜鉛等元来、試料廃油に含まれていた金属元素の濃度が半減しているにも関わらず硫酸灰分の低減率が低い、またはむしろ増加していることの理由として以下のことが考えられる。即ち、珪酸ナトリウム水溶液による灰分低減処理では、試料廃油に含まれていた金属分は半減するが、珪酸ナトリウム水溶液に由来するナトリウム分が新たに0.2質量%程度混入し、このナトリウム分は硫酸灰分として0.5〜0.6質量%に相当することである。
珪酸ナトリウム水溶液処理により、カルシウム、亜鉛等元来、試料廃油に含まれていた金属元素の濃度が半減しているにも関わらず硫酸灰分の低減率が低い、またはむしろ増加していることの理由として以下のことが考えられる。即ち、珪酸ナトリウム水溶液による灰分低減処理では、試料廃油に含まれていた金属分は半減するが、珪酸ナトリウム水溶液に由来するナトリウム分が新たに0.2質量%程度混入し、このナトリウム分は硫酸灰分として0.5〜0.6質量%に相当することである。
この為、珪酸ナトリウム水溶液による灰分低減処理法では、新たに混入したナトリウム分を除去するために、珪酸ナトリウム水溶液処理後の遠心分離油分を硫酸、各種アルデヒド、グリコール酸等の水溶液で洗浄、処理する工程が組み込まれている。このような珪酸ナトリウム水溶液による廃油の再生方法を、本発明の方法と比較すると、本発明は再生処理工程を簡便化するだけでなく、硫酸灰分低減率80〜90%、カルシウムや亜鉛の低減率は95%以上であり、本発明の方法が優れた再生処理方法であることが分かる。さらには、本発明に係る再生処理剤は、水分や硫黄分の低減に寄与するが、珪酸ナトリウムは水分や硫黄分の低減能力がないことからも、本発明が良質な再生油の製造法として優れていることが分かる。
(実施例2)
灰分低減処理剤水溶液の濃度を1質量%または5質量%に変更した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。15質量%の場合の結果(実施例1)と併せて結果を表4にまとめた。
灰分低減処理剤水溶液の濃度を1質量%または5質量%に変更した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。15質量%の場合の結果(実施例1)と併せて結果を表4にまとめた。
表4から明らかなように、本発明に係る再生処理剤水溶液は1質量%及び5質量%においても優れた灰分低減効果を有し、硫酸灰分低減率はいずれも90%以上であり、水分、硫黄分等も低減されている。このことから、硫酸アルミニウム、硫酸バンド及び硫酸第一鉄の1質量%の水溶液処理においても良質な燃料油になることが確認された。また、使用する灰分低減処理剤水溶液の濃度が低い方が、再生油の灰分低減処理剤に係わるアルミニウムや鉄の含有量が少なくなることが分かった。
(実施例3)
再生処理剤水溶液の濃度を5質量%に、再生処理剤水溶液の液量を35gに変更した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。70gの場合の結果(実施例2)と併せて結果を表5にまとめた。
再生処理剤水溶液の濃度を5質量%に、再生処理剤水溶液の液量を35gに変更した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。70gの場合の結果(実施例2)と併せて結果を表5にまとめた。
表5から明らかなように、本発明に係る再生処理剤水溶液である硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸バンド水溶液は、廃油に対し半分量の添加であっても優れた灰分低減効果を示し、硫酸灰分低減率はいずれも80〜90%であり、水分及び硫黄分も低減されていることが確認された。
(実施例4)
硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸バンド水溶液の繰り返し使用による硫酸灰分等の低減効果への影響を調べた。繰り返し使用した5質量%の再生処理剤水溶液を使用した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。
繰り返し使用した再生処理剤水溶液としては、廃油との混合物から遠心分離で分離し、濾紙(東洋濾紙(株)5B)を用いた濾過によって不溶性の異物を除去した再使用処理液を使用した。この際、繰り返し3回目の再使用処理液は、pHが当初の値から若干低下しているため、当該新液5mlを添加して、以下のpH調製を行って灰分低減実験に供した。
硫酸アルミニウム水溶液:4.5→3.5に戻す
硫酸バンド水溶液 :3.5→3.0に戻す
新液を使用した場合の結果(実施例2)と併せて結果を表6にまとめた。
硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸バンド水溶液の繰り返し使用による硫酸灰分等の低減効果への影響を調べた。繰り返し使用した5質量%の再生処理剤水溶液を使用した以外は実施例1と同じ実験手順で行った。
繰り返し使用した再生処理剤水溶液としては、廃油との混合物から遠心分離で分離し、濾紙(東洋濾紙(株)5B)を用いた濾過によって不溶性の異物を除去した再使用処理液を使用した。この際、繰り返し3回目の再使用処理液は、pHが当初の値から若干低下しているため、当該新液5mlを添加して、以下のpH調製を行って灰分低減実験に供した。
硫酸アルミニウム水溶液:4.5→3.5に戻す
硫酸バンド水溶液 :3.5→3.0に戻す
新液を使用した場合の結果(実施例2)と併せて結果を表6にまとめた。
表6から明らかなように、硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸バンド水溶液は、濾紙濾過等で清浄化を図り、次いで必要に応じて当該新液等を添加してpH調製することで、金属分、灰分等の低減能力を新液同等レベルで維持し、繰り返し使用出来ることが確認された。具体的には3及び5回繰り返した使用液で、硫酸灰分低減率は80〜90%、カルシウムや亜鉛の低減率は95%以上で新液と変わらず、さらには、水分や硫黄分の低減能力も新液同等のレベルで維持されている。
再生処理剤が繰り返し再使用できるため、本発明の方法はコスト低減、廃棄処理物の減量等に貢献することが確認された。
再生処理剤が繰り返し再使用できるため、本発明の方法はコスト低減、廃棄処理物の減量等に貢献することが確認された。
(実施例5)
本発明の第1工程および第2工程による方法で処理して得られる再生油は、当初含まれていたカルシウム、亜鉛等の主要な灰分構成元素の90%以上が除去され、これらの含有元素が硫酸灰分に寄与する量は最大0.05質量%である。一方、再生処理剤に由来するアルミニウムや鉄分は、再生油中に新たに混入、残存する。その量はアルミニウムは200質量ppm、鉄は900質量ppm程度であり、この残存量は硫酸灰分の0.10〜0.11質量%に相当する。このため、さらに再生油の良質化を図ることが好ましい。例えば重油のJIS規格1種に適合する灰分0.05質量%以下の再生油にするためには残存する微量のアルミニウムや鉄分を低減、除去することが望まれる。
本発明の第1工程および第2工程による方法で処理して得られる再生油は、当初含まれていたカルシウム、亜鉛等の主要な灰分構成元素の90%以上が除去され、これらの含有元素が硫酸灰分に寄与する量は最大0.05質量%である。一方、再生処理剤に由来するアルミニウムや鉄分は、再生油中に新たに混入、残存する。その量はアルミニウムは200質量ppm、鉄は900質量ppm程度であり、この残存量は硫酸灰分の0.10〜0.11質量%に相当する。このため、さらに再生油の良質化を図ることが好ましい。例えば重油のJIS規格1種に適合する灰分0.05質量%以下の再生油にするためには残存する微量のアルミニウムや鉄分を低減、除去することが望まれる。
実施例2−1および実施例2−3で得られた再生油を、濃度200質量ppmのポリアクリルアミド水溶液でさらに処理した。硬質ビーカーに採取した処理油30gにポリアクリルアミド水溶液30gを添加し撹拌処理した。撹拌子は実施例1と同じものを使用し、撹拌条件は30℃において400rpm×2時間である。混合物の分離と再生油の組成解析はそれぞれ実施例1の(iii)、(iv)と同じ手法で行った。ポリアクリルアミドは、無灰系のポリアクリルアミド:アクアフロックA−110及び変性ポリアクリルアミド:A−235H(いずれもMTアクアポリマー(株)製・中アニオンタイプ)の2種類を用いた。
実施例2−1および実施例2−3に係る再生油と併せて結果を表7にまとめた。
なお、灰分低減処理後及びポリアクリルアミド処理後の総ての試料液は油層と処理剤の水溶液層の二層に明確に分離し、乳化層は認められなかった。
実施例2−1および実施例2−3に係る再生油と併せて結果を表7にまとめた。
なお、灰分低減処理後及びポリアクリルアミド処理後の総ての試料液は油層と処理剤の水溶液層の二層に明確に分離し、乳化層は認められなかった。
表7に示すように、硫酸アルミニウムや硫酸第一鉄の水溶液処理油(第1工程)では硫酸灰分はそれぞれ91%、93%低減している(実施例2−1および実施例2−3)。この処理油をさらにポリアクリルアミドの水溶液で処理(第3工程)すると、再生処理剤に由来するアルミニウムや鉄の含量が70%以上低減され、カルシウムや亜鉛の含量も60%以上減少し、結果として、総ての処理油の硫酸灰分は0.04〜0.05質量%まで低減する。また、このポリアクリルアミド水溶液処理では油中の水分を増加させることはなく、また、硫黄分にもなんら影響を与えることがない。この事実より、ポリアクリルアミド水溶液処理は、回収再生油収量や水分、硫黄分等の性状を何ら損なわず、油中のアルミニウムや鉄などの微量金属を油外に排除する能力が発揮していることが分かる。
本発明の方法は非常に高い効率で灰分、水分、硫黄分を除去できるため、性状の高い再生油を得ることができる。また本発明に係る処理剤は、非常に安価であり入手も容易であること、さらに再利用することも可能であることから従来技術と比較して処理工程にかかるコストおよび廃棄物の問題も少なく産業上非常に有用である。
Claims (10)
- 廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程を含むことを特徴とする廃油の再生処理方法。
- 廃油に、硫酸アルミニウム化合物および硫酸鉄化合物から選ばれる再生処理剤若しくはその水溶液を添加し、混合する第1工程、得られた混合物から油分を分離回収する第2工程、分離回収した油分にポリアクリルアミドの水溶液を添加し、混合する第3工程、得られた混合物から油分を分離回収する第4工程を含むことを特徴とする廃油の再生処理方法。
- 硫酸アルミニウム化合物が、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)若しくはAl2(SO4)3・nH2Oで表示される硫酸アルミニウム水和物(nは1〜30)であることを特徴とする請求項1または2に記載の廃油の再生処理方法。
- 硫酸鉄化合物が、硫酸第一鉄(FeSO4)若しくはFeSO4・nH2Oで表示される硫酸第一鉄水和物(nは1〜20)、硫酸第二鉄(Fe2(SO4)3)若しくはFe2(SO4)3・nH2O(nは1〜15)で表示される硫酸第二鉄水和物、または一般式(Fe2(OH)n(SO4)3−n/2)mで表示されるポリ硫酸第二鉄(nは1または2、mは1〜10)であることを特徴とする請求項1または2に記載の廃油の再生処理方法。
- 廃油に添加する再生処理剤の割合が、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄の無水物換算で、廃油に対して、0.001〜0.5質量倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
- 再生処理剤を水溶液として使用する場合の濃度が、硫酸アルミニウムおよび/または硫酸鉄の無水物を基準として、0.01質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
- ポリアクリルアミドの水溶液の割合が、油分に対して0.01〜5容量倍であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
- ポリアクリルアミド水溶液におけるポリアクリルアミドの濃度が、1〜20000質量ppmであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
- 第2工程および/または第4工程における混合物から油分を分離回収する方法が、静置分離法、遠心分離法または両法を組み合わせた方法で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
- 再生処理する廃油が、使用済みエンジン油および/または使用済み工業用潤滑油を主成分とする使用済み潤滑油、またはそれらを原料として製造された再生重油もしくはバイオ再生重油であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の廃油の再生処理方法。
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JP2014179929A JP2016053125A (ja) | 2014-09-04 | 2014-09-04 | 廃油の再生処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018047607A1 (ja) * | 2016-09-07 | 2018-03-15 | エイコーエコスパ株式会社 | 廃潤滑油の低灰分化処理方法 |
CN111321031A (zh) * | 2020-04-28 | 2020-06-23 | 王东 | 一种污废润滑油的提纯方法 |
CN115305111A (zh) * | 2022-08-24 | 2022-11-08 | 机械工业第六设计研究院有限公司 | 报废机动车废油液处理方法 |
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2014
- 2014-09-04 JP JP2014179929A patent/JP2016053125A/ja active Pending
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