JP2016052617A - 土壌中の有害重金属類の抽出方法 - Google Patents

土壌中の有害重金属類の抽出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】土のうを有害重金属類の洗浄を行う間の土壌保持容器として用いることで、分級工程でオンサイト適用性に制約をもたらす機械装置を用いず、洗浄槽への浸漬容器を兼ねた大型土のうによる汚染土壌保持により、洗浄後の分級工程をも簡易化することができる土壌中の有害重金属類の抽出方法を提供する。
【解決手段】(1)透水性材料で形成された土のうに有害重金属類を含む汚染土壌を入れ、(2)汚染土壌から有害重金属類を抽出可能な洗浄液を入れた槽内に前記汚染土壌を入れた土のうを一定時間浸漬させて洗浄し、有害重金属類を汚染土壌から化学的に抽出・除去し、(3)洗浄済の元汚染土壌が土のうから流出することなく土のう内に残ることにより、結果的に固液分離が特段の機械設備なしで実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明はオンサイト向け土壌洗浄工法としての土壌中の有害重金属類の抽出方法に関するものである。
オンサイトで有害重金属類を含む土壌を浄化する手法の一つとして土壌洗浄工法があり、これには汚染土壌を機械的に洗浄のうえ篩い分け、有害重金属が主に吸着・濃縮している細粒分を分離・除去する分級洗浄法と、薬剤を含み有害重金属が溶出可能な洗浄液で洗いすすぐことで、有害重金属を抽出・除去する化学的抽出法がある。
下記特許文献は化学的抽出法の一例を示すもので、所定区域を、浄化処理すべき汚染土壌の量、浄化処理施設Fの処理能力に応じることができるように、適切な大きさに画成するための区画壁を打設する。
次に、汚染物質の横方向及び縦方向の濃度分布に適合するように所望数及び所望深度に設定した洗浄液注入孔を掘削し、該洗浄液注入孔6の地上の開口部近傍に配置した洗浄液タンクから洗浄液を注入する。
洗浄液の注入後、洗浄液が汚染土壌9から汚染物質を溶出するに必要な一定時間そのまま放置し、経時的変化を観察して浄化処理施設に向け搬送可能な程度になった段階で所定量の前処理済み土壌を掘削し、画成区分ごとに順次同様の動作を繰り返し実施する。
特開2004−57953号公報
この特許文献1では、図7に示すように、前処理済み土壌12を処理する浄化処理施設F内の土壌洗浄システムとして、処理を施された前処理済み土壌12は、いずれも汚染物質が溶出し易い状態浄化処理施設Fに搬入され、環境基準を満足する程度までに洗浄される。
まず、前記ステップ15又はステップ18にて汚染区域Bの画成区分から掘削された前処理済み土壌12を、ダンプカー等の運搬車両にて浄化処理施設Fまで運搬(ステップ19)する。
浄化処理施設F内の工程については、まず該前処理済み土壌12と洗浄液11の混合物を振動フルイ分け等の分級装置16に投入して粗粒分と細粒分を分級(ステップ20)したうえで、該粗粒分及び細粒分の一部を例えばドラム式洗浄装置17にて洗浄溶液によりさらに洗浄(ステップ21)し、細粒分の残りは場外に最終的に処分(ステップ22)される。
ステップ21を経て環境基準を満足する程度にまで汚染物質の濃度が低下した粗粒分及び細粒分の一部は、浄化処理の一連の工程で汚染物質の可溶性が高まっており、このままでは埋め戻し等の再利用に供することができないので、ドラム式洗浄装置18にて不溶化処理を最後に施す(ステップ23)。
ここで、ドラム式洗浄装置17からの排出洗浄溶液とドラム式洗浄装置18からの排出不溶化溶液は、回収して一旦貯留水槽19に貯留された後、各々の洗浄溶液処理設備20、不溶化溶液処理設備21に於いて処理(ステップ24)され、再利用が図られることとなる。
また、該再利用した後の廃液は、前記分級装置16から回収された原位置による前処理で使用された洗浄液と併せて水処理設備22にて汚染物質を分離する処理(ステップ25)が行われ、汚染物質を含む汚泥は定められた方法により適正に処分(ステップ26)すると共に、処理された排水は下水道等に放流(ステップ27)される。
一方、前記ドラム式洗浄装置18に於いて不溶化処理された粗粒分及び細粒分の一部は、最終処理済み土壌13として回収し元の汚染区域に運搬して埋め戻すなどの再利用(ステップ28)が図られる。
なお、下記特許文献は透水性袋体に泥土等を入れるだけの非常に簡便な方法であるので、従来例と比べて処理効率が著しく高く、かつ施工コストも著しく低いという利点があるとして提案されたものであり、粒子に付着する性質を示す有害物質を含む汚染泥土または汚染泥水を、ポンプ等を使用して透水性袋体内に圧入等により入れるとともに、この袋体内容物のうち、水分を袋体外に透過させて脱水するとともに、泥土または泥水中の粒子およびこれに付着した有害物質を袋体内に残留させて、有害物質を袋体5内に封じ込めるようにするものである。
特開2002−178000号公報
特許文献2では、泥土類は浚渫船によって取り出され、圧送ホースを介して予め岸辺に設けた処理ピットに供給され、一時的に貯留される。続いて、処理ピット内に沈殿した有害物質含有泥土類は注入ポンプによって吸引・圧送され、注入管を介して透水性袋体内に順次注入される。
これにより、水分だけが袋体外に透過排出され、有害物質は土粒子等に付着しているので、それら粒子とともに袋体内に残留し、袋体内に封じ込められる。
また、大型土のうが固液分離を目的とする容器として用いられる例としては、下記特許文献の泥土の脱水を促進する袋詰脱水法がある。
特開2002−178000号公報
特許文献3は、粘土の袋詰脱水方法、特に高含水比状態の粘土を透水性の袋に入れて速やかに脱水せしめるための方法に関するものであり、水分のみを透過せしめる不織布材から成る脱水用シートを袋状に成形して構成されるヘドロ処理用袋にヘドロを投入した後、該袋の口を縛り、ヘドロが入った当該袋を放置する場合に各袋の間に袋に沿った細長い透水層を介在せしめる。
前記分級洗浄法では、物理的に汚染土壌を粒度毎に分級する必要があるため、スクリーン、ベルトフィーダー、サイクロンユニット等の機械設備を多く設置することによる機械設置に伴う処理コストの高騰と、機械設備の占有面積が広大になることによって、狭隘な土地での適用に著しい制限を受ける場合が多く、オンサイトでの適用性が限定的となる。
また、化学的抽出法として示した特許文献1の例では、浸漬処理(クエン酸で化学的に抽出)の後段で、原理的には分級洗浄法と同様の機械構成が要求されており、具体的に示すとドラム式洗浄装置(分級洗浄法のサイクロンユニットに相当)、粗粒分と細粒分を分離するための分級装置が必要で、スケールダウンできたとは言え未だオンサイトでの適用性に制約を残すものであった。
また、特許文献2においては、ポンプ等を使用して透水性袋体内に圧入するもので、土のうに隔離した汚染泥土の圧密脱水の過程で、土壌吸着性のある環境汚染物質が土のう内に封じ込められることを開示しているが、これでは有害物質を選択的に土のうの外に移行させることはできない。
さらに、特許文献3では、土のうに隔離した汚染泥土の圧密脱水の過程で、土壌吸着性のある環境汚染物質が土のう内に封じ込められることを開示しているが、有害重金属類の洗浄についてはなんら考慮されていない。
しかし、特許文献3では、土のうは圧密脱水と篩い分けによる効果のみ開示し、有害重金属類の洗浄を行う間の土壌保持容器としての効用は示していない。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、土のうを有害重金属類の洗浄を行う間の土壌保持容器として用いることで、分級工程でオンサイト適用性に制約をもたらす前記のような機械装置を用いず、洗浄槽への浸漬容器を兼ねた大型土のうによる汚染土壌保持により、洗浄後の分級工程をも簡易化することができる土壌中の有害重金属類の抽出方法を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、(1)透水性材料で形成された土のうに有害重金属類を含む汚染土壌を入れ、(2)汚染土壌から有害重金属類を抽出可能な洗浄液を入れた槽内に前記汚染土壌を入れた土のうを一定時間浸漬させて洗浄し、有害重金属類を汚染土壌から化学的に抽出・除去し、(3)洗浄済の元汚染土壌が土のうから流出することなく土のう内に残ることにより、結果的に固液分離が特段の機械設備なしで実現することを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、土のうを有害重金属類の洗浄を行う間の土壌保持容器として用いることで、洗浄中の土壌保持および洗浄後の固液分離を水切り性能を有する土のうだけで行なうので、従来必要であった機械設備を用いる必要がなくなり、オンサイトでの適用性が拡大する。
請求項2記載の本発明は、一定時間浸漬させた後、水道水または界面活性剤等を投入した水によってすすぎ洗いを行って、土のうに残留した洗浄液を除去することを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、水道水または界面活性剤等を投入した水によってすすぎ洗いを行って、土嚢に残留した洗浄液を除去するが、このとき、汚染土壌が水切り性能を有する土のうに保持されているので、処理土の浸漬・すすぎ洗いを完了すると、結果的に機械設備なくとも固液分離が図られる。
請求項3記載の本発明は、土のうは容量1m程度の大型土のうであることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、大型土のうを使用することで効率的に行うことができる。
請求項4記載の本発明は、洗浄液はキレート剤もしくは重金属類を溶解・抽出可能な塩酸、硫酸、酢酸等の酸抽出液を用いることを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、キレート剤は重金属イオンと非常に安定なキレート錯体を形成することが知られており、この高い重金属類の抽出作用を利用することができる。また、キレート剤にかわり、重金属類を溶解・抽出可能な塩酸、硫酸、酢酸等の酸抽出液を用いることもできる。
請求項5記載の本発明は、汚染土壌にあらかじめ高分子膨張剤や間隙率の大きな粗粒分を添加することを要旨とするものである。
請求項5記載の本発明によれば、水切り性能を有する土のうに保持した状態で、浸漬洗浄とすすぎを確実に実施できることができるもので、浸漬洗浄とすすぎの比較的困難な、間隙の少ない土壌(粘性土等)を対象とする時には、汚染土壌にあらかじめ高分子膨張剤(例えばポリアクリル酸ナトリウム等の高吸収性高分子等)や間隙率の大きな粗粒分(軽量コンクリート破砕物等)を添加することで、洗浄液の浸漬における水みちを人為的に形成する。
また、汚染土壌を洗浄処理すると土壌の圧密や均一化で見掛けの体積が減少し、原位置に埋め戻すには客土による増量が必要となることがある。その場合は、これら添加剤で体積を増量することができる。
請求項6記載の本発明は、土のうに透水管を挿入し、土壌中心部から洗浄水を吸い出して還流させることを要旨とするものである。
請求項6記載の本発明によれば、土のうに透水管を挿入し、土壌中心部から洗浄水を吸い出して還流させることで、添加剤によらないで水みちを形成することができる。
以上述べたように本発明の土壌中の有害重金属類の抽出方法は、土のうを有害重金属類の洗浄を行う間の土壌保持容器として用いることで、分級工程でオンサイト適用性に制約をもたらす前記のような機械装置を用いず、洗浄槽への浸漬容器を兼ねた大型土のうによる汚染土壌保持により、洗浄後の分級工程をも簡易化することができるものである。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の土壌中の有害重金属類の抽出方法の1実施形態を示す説明図で、図中1は透水性材料で形成された容量1m程度の大型土のう、2は洗浄液4を入れた槽である。
まず、土のう1に有害重金属類を含む汚染土壌3を入れる。
汚染土壌から有害重金属類を抽出可能な洗浄液4を入れた槽2を用意する。この槽2の大きさは容量1m程度の大型土のうが入る程度のものでよい。
前記汚染土壌3を入れた土のう1を槽2に入れ、洗浄液4に一定時間浸漬させて洗浄し、有害重金属を汚染土壌から化学的に抽出・除去する。
洗浄液4は汚染土壌から有害重金属類を抽出可能なもので、キレート剤もしくは重金属類を溶解・抽出可能な塩酸、硫酸、酢酸等の酸抽出液である。
このようにして有害重金属類を汚染土壌3から化学的に洗浄液に移行させ抽出・除去させた後、水道水または界面活性剤等を投入したすすぎ水5によってすすぎ洗いを行って、土嚢に残留した洗浄液を除去する。
このとき、汚染土壌が水切り性能を有する土のうに保持されているので、処理土の浸漬・すすぎ洗いを完了すると、結果的に機械設備なくとも固液分離が図られる。
本発明では、水切り性能を有する土のうに保持した状態で、浸漬洗浄とすすぎを確実に実施できることが課題となる。そこで浸漬洗浄とすすぎの比較的困難な、間隙の少ない土壌(粘性土等)を対象とする時には、汚染土壌にあらかじめ高分子膨張剤(例えばポリアクリル酸ナトリウム等の高吸収性高分子等)や間隙率の大きな粗粒分(軽量コンクリート破砕物等)を添加し、洗浄液の浸漬における水みちを人為的に形成することを行う。
なお、汚染土壌を洗浄処理すると土壌の圧密や均一化で見掛けの体積が減少し、原位置に埋め戻すには客土による増量が必要となることがある。その場合は、これら添加剤で体積を増量することができる。
図2は本発明の他の実施形態を示すもので、添加剤によらない水みちの形成方法としては、土のう1に透水管6を挿入し、土壌中心部から洗浄水を吸い出してポンプ7で還流させる方法もある。
前記槽2による土のう1の洗浄は、ただ浸漬させる場合の他、攪拌を加えることにしてもよく、攪拌も手攪拌、機械攪拌が可能である。
以下に本発明の効果を確認する実験について説明する。
狭降かつ処理土量の比較的少ないサイトにおいて適用可能な、簡易的な設備で実施可能な重金属類汚染土壌のオンサイト処理工法として、キレート剤を用いた抽出処理工法を検討した。
キレート剤は重金属イオンと非常に安定なキレート錯体を形成することが知られており、この高い重金属類の抽出作用を利用し、土壌浄化へ応用する。
(実験に供する土壌の性状)
室内実験で使用した鉛実汚染土(土壌A,B)の性状を下記表1に示す。土壌A、Bは同サイト内の近傍で採取したものであり、土壌は有姿状態で5mmのふるいを通過した土壌を用いた。代表試料として、土壌Aの粒径加積曲線を図3に示す。
Figure 2016052617
土質区分としては、シルト・粘土の細粒分が約10%未満の砂質土であり、通常の土壌洗浄を行う場合に適する性状であった。
試薬の調整鉛の抽出に使用するキレート剤としてEDTAを使用した。試薬としてEDTA・4Naを用い、土壌A中の鉛含有量(環告19号の値)に対して、モル比としてPb:EDTA=1:10となる濃度(0.00844mol/L)に調製した。土壌Bに対して使用する場合のキレート洗浄液もモル比としてPb:EDTA=1:10となる濃度(0.0049mol/L)に調製した。なお、室内実験に供した水は全て水道水を使用した。
(実験方法)
室内実験における抽出条件は、実際の工事に適用した場合における抽出操作をイメージした方法で行った。具体的には、抽出方法(1):浸漬法、抽出方法(2):手撹拌、および抽出方法(3):機械撹拌の3種類を設定した。抽出方法(1)は土嚢等に汚染土壌を入れて、その土嚢をEDTA抽出液の入った水槽に投入して浸漬するイメージ、抽出方法(2)は水槽に入れたEDTA抽出液に土壌を投入し、バックホウで撹拌するイメージである。抽出方法(3)は理想的な撹拌を行った場合の最大抽出効果を把握するために行う抽出イメージである。なお、抽出方法(3)では、EDTA抽出液を使用した場合とEDTA抽出液を入れない場合(水道水のみ、コントロールとして使用)の2つについて実施した。以下に各抽出方法毎の抽出操作の詳細を記述する。
1)抽出方法(浸漬法)
土壌と抽出液の比が1:2となる様に、EDTA抽出液400mLを入れたビーカーに、土壌A(200g)を入れたメッシュ袋(目開き1mm程度)を入れ、塒間および24時間浸漬させる2ケースを実施した。浸漬時間経過後に土壌をメッシュ袋ごと取り出した。取り出したメッシュ袋中の土壌を、水400mLを入れたビーカーに入れてすすぎ洗いを行った(30分間浸漬)。図4に操作フローを示す。
2)抽出方法(手撹拌)
土壌と抽出液の比が1:2となる様に、EDTA抽出液400mLを入れたビーカーに、土壌A(200g)を入れ、薬さじで5回及び10回撹拌させる2ケースを実施した。撹押後に30分間静置した後、EDTA抽出液から土壌を取り出した。取り出した土壌は、水400mLを入れたビーカーに入れ、EDTA抽出液における撹神と同様の操作及び回数で攪拌し、すすぎ洗いを行った。図5に操作フローを示す。
3)抽出方法(機械撹拌)
土壌と抽出液の比が1:2となる様に、EDTA抽出液400mLを入れたビーカーに、土壌A(200g)を入れ、撹拌機(200rpm)で4時間及び24時間撹拌させる2ケースを実施した。撹拌後に30分間静置した後、EDTA抽出液から土壌を取り出した。取り出した土壌は、水400mLを入れたビーカーに入れ、ビーカーを少々ゆすって土壌の全体を水になじませながらすすぎ洗いを行った。なお、コントロールとして、EDTA抽出液を使用しないケース(抽出液は水道水のみ)についても、同様の手順で行った。図6に操作フローを示す。
(実験結果)
土壌A実験結果
下記表2に上記抽出方法毎のEDTA抽出処理後土壌Aの鉛含有量および溶出量結果を示す。抽出方法(1)の浸漬では、4時間、24時間後の抽出率がそれぞれ20、32%であった。抽出方法(2)の手撹拌では、5回撹拌では抽出効果は殆ど認められず、10回撹拌で抽出率は27%であった。抽出方法(3)の機械撹拌では、4時間、24時間の機械撹押後の抽出率がそれぞれ27、20%であった。抽出後鉛溶出量は、抽出方法(1)では、4時間、24時間後でそれぞれ0.18、0.097mg/L、抽出方法2では5回、10回撹押後でそれぞれ0.075、0.085mg/L、抽出方法3では、4時間後、24時間後でそれぞれ0.074、0.082mg/Lとなり、抽出処理前の鉛溶出量に対し74〜180倍超過する結果となった。
Figure 2016052617
ところで、鉛等の重金属類の溶解性は、それら重金属の存在(化学)形態によって大きく影響を受けることが分かっている。EDTAは鉛イオンをキレートするため、鉛の溶解性が抽出効果に大きく影響すると考えられるため、土壌Aの鉛存在形態について、Tessier法による逐次分析を実施した。
その結果を下記表3に示す。土壌Aにおける鉛の存在形態は、比較的溶解性が高いと考えられる交換態と炭酸塩結合態の合計が約25%程度であり、溶解性の低いFe-Mn酸化物結合態、有機物結合態、鉱物結晶格子態はそれぞれ46.5%、12.7%、16.2%で、合計75.4%であった。
Figure 2016052617
土壌B実験結果
下記表4に抽出方法(1)および抽出方法(3)におけるEDTA抽出処理後土壌Bの鉛含有量および溶出量結果を示す。なお、抽出後の鉛溶出量は、抽出方法(1)でのすすぎ洗い回数を2回とし、抽出方法(3)でのすすぎ洗いの固液比を1:5に条件を変更した場合の結果である。抽出方法(1)の浸漬0.5および1時間では、EDTAによる抽出は、ほぼ認められない結果となった。抽出方法(3)の機械撹拌では、抽出率29%であり、土壌Aと同程度の抽出率が認められた。抽出後鉛溶出量は、抽出方法(1)では、0.5時間、1時間後でそれぞれ0.051、0.068mg/L、抽出方法(3)では、4時間後で0.020mg/Lとなり、抽出処理前の鉛溶出量に対し、すすぎ洗い回数を2回にした場合は51〜68倍、固液比を1:5に変更した場合は20倍を超過する結果となった。
Figure 2016052617
(考察)
土壌Aにおける鉛の存在形態は、比較的溶解性が高いと考えられる交換態と炭酸塩結合態が合計で約25%程度であり、機械撹搾によって抽出操作が理想的と考えられる抽出方法(3)による抽出率が20〜27%であることを考慮すると、今回の土壌AのEDTAによる抽出は、主に炭酸塩結合態の鉛が抽出されていると考えられる。従って、EDTAの抽出効果は、鉛の存在形態(交換態、炭酸塩結合態)に影響されやすいことが確認できた。
抽出方法(1)の浸漬においては、4時間、24時間後の抽出率がそれぞれ20、32%であり、抽出方法(3)の抽出率と大きな差がないことから、4時間の浸漬で既に抽出限界まで達していると考えられる。パターン(2)での手撹拌では5回撹拌では抽出効果は殆ど認められず、10回撹拌で抽出方法(3)と同程度の抽出効果が認められ、ある程度の撹搾回数が必要であることが分かった。
抽出方法(1)での最適な浸漬時間を検証するため、土壌Bを使用して浸漬時間を0.5時間後、1時間後とより短くした場合の鉛抽出率を見ると、殆ど抽出効果が認められず、従って、最適な浸漬時間は、4時間程度は必要と考えられた。
すすぎ洗い後の、土壌Aの鉛溶出量は処理前と比較して大幅に増加した。これは、1回のすすぎ洗い(固液比は土壌A(200g):すすぎ洗い水(400mL)=1:2)では土壌に付着したEDTAの除去が十分でなく、この残留したEDTAによって鉛溶出量が増加したと考えられる。
そこで、土壌AおよびBの抽出方法(3)でのすすぎ洗いにおける固液比の違いによる鉛溶出量の結果をみると、すすぎ洗いの水量を多くした土壌Bの場合(固液比=1:5)は鉛溶出量が0.020mg/mLとなり、土壌Aのすすぎ洗いの固液比1:2の約1/4程度に鉛溶出量が減少する結果となった。土壌Aは土壌Bに対し鉛含有量が1.7倍大きいため、単純に比較はできないが、すすぎ洗いは少なくとも固液比1:5より大きく取る必要があると考えられる。
1)抽出方法(1)〜(3)において、EDTAによる抽出効率は最大3割程度である。なお、鉛の存在形態は比較的溶解性の高い交換態と炭酸塩結合態の割合の合計が約25%であることから、これらの形態がキレート抽出されたものと考えられ、キレート抽出率は鉛の存在形態に大きく影響を受けることが分かった。
2)浸漬法(抽出方法1)では、4時間以上の浸漬で鉛の抽出率は最大となり、0.5時間、1時間の短時間での浸漬では殆ど抽出されないことが分かった。
また、手撹拌(抽出方法2)では、5回の撹拌では殆ど抽出されず、10回の撹拌で鉛の抽出率は最大となった。浸漬、手撹拌とも、ある程度の浸漬時間と撹神回数が必要であることが確認できた。
3)EDTAによる抽出処理後、すすぎ洗いの不足による残留EDTAにより、鉛溶出量が抽出前に比べ大幅に増加した。すすぎ洗いの固液比を1:5に増加したところ、鉛溶出量が固液比1:2の約1/4程度まで減少したことから、すすぎ洗いの固液比は少なくとも1:5より大きく取る必要がある。
本発明の土壌中の有害重金属類の抽出方法の第1実施形態を示す説明図である。 本発明の土壌中の有害重金属類の抽出方法の第2実施形態を示す水みちの形成方法を示す説明図である。 本発明の効果を確認する実験で使用した鉛汚染土壌の性状を示すグラフである。 本発明の効果を確認する実験のうち浸漬法の操作フローを示す説明図である。 本発明の効果を確認する実験のうち手攪拌の操作フローを示す説明図である。 本発明の効果を確認する実験のうち機械攪拌の操作フローを示す説明図である。 従来例で前処理済み汚染土壌を処理する浄化処理施設内の土壌洗浄システムを示すフロー構成図である。
1…土のう
2…槽
3…汚染土壌
4…洗浄液
5…すすぎ水
7…ポンプ
8…透水管

Claims (6)

  1. (1)透水性材料で形成された土のうに有害重金属類を含む汚染土壌を入れ、
    (2)汚染土壌から有害重金属類を抽出可能な洗浄液を入れた槽内に前記汚染土壌を入れた土のうを一定時間浸漬させて洗浄し、有害重金属類を汚染土壌から化学的に抽出・除去し、
    (3)洗浄済の元汚染土壌が土のうから流出することなく土のう内に残ることにより、結果的に固液分離が特段の機械設備なしで実現する
    ことを特徴とした土壌中の有害重金属類の抽出方法。
  2. 一定時間浸漬させた後、水道水または界面活性剤等を投入した水によってすすぎ洗いを行って、土のうに残留した洗浄液を除去する請求項1記載の土壌中の有害重金属類の抽出方法。
  3. 土のうは容量1m程度の大型土のうである請求項1または請求項2記載の土壌中の有害重金属類の抽出方法。
  4. 洗浄液はキレート剤もしくは重金属類を溶解・抽出可能な塩酸、硫酸、酢酸等の酸抽出液を用いる請求項1ないし請求項3記載の土壌中の有害重金属類の抽出方法。
  5. 汚染土壌にあらかじめ高分子膨張剤や間隙率の大きな粗粒分を添加する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の土壌中の有害重金属類の抽出方法。
  6. 土のうに透水管を挿入し、土壌中心部から洗浄水を吸い出して還流させる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の土壌中の有害重金属類の抽出方法。
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