JP2016051698A - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents

非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高温寿命と高温放置後大電流容量の劣化抑制とを両立させた非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供する。
【解決手段】金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、一般式(1)で示される構造を有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池に関するものである。
含リチウム遷移金属酸化物を正極に用い、非水溶媒を電解液に用いるリチウム非水系電解液二次電池は、高いエネルギー密度を実現できることから、携帯電話、ラップトップコンピュータ等の小型電源から、自動車や鉄道、ロードレベリング用の大型電源まで広範な用途に適用されている。しかしながら、近年の非水系電解液二次電池に対する高性能化の要求はますます高まっており、各種特性の改善が強く要求されている。
リチウム非水系電解液二次電池には、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトンやγ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル類、酢酸メチルや酢酸エチルやプロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル類の非水溶媒と、LiPFやLiBFやLiAsFやLiClOやLiCFSOやLiN(CFSO等の溶質を含有する非水系電解液が用いられる。
このような非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池では、その非水系電解液の組成によって反応性が異なるため、非水系電解液により電池特性が大きく変わることになる。非水系電解液二次電池の負荷特性、サイクル特性、保存特性等の電池特性を改良したり、過充電時の電池の安全性を高めたりするために、非水溶媒や電解質について種々の検討がなされている。
特許文献1には、リチウム含有二酸化コバルトを正極活物質とする非水系電解液電池において、トリカルボイミドを添加した電解液を用いることで、高温保存時の自己放電を抑制する技術が開示されている。
特許文献2には、イソシアヌル酸誘導体を含有する非水電解液を用いることで、溶媒の還元分解を抑制し、高温保存後でも負荷特性に優れる電池を得る技術が開示されている。
特許文献3には、亜リン酸エステルと重合性官能基を分子内に2個以上有する化合物とを同時に含有させた非水電解液を用いることで、電解液の難燃性に代表される電池の安全性と電池サイクル特性とを両立する技術が開示されている。
特開平7−192757号公報 特開2000−348705号公報 特開2010−282906号公報
しかしながら、近年の非水系電解液二次電池の特性改善への要求はますます高まっており、各種性能を高いレベルで併せ持つことが求められているが、未だ達成されていない。中でも、高温寿命と高温放置後大電流容量の劣化抑制とを両立させることが難しいという問題があった。
本発明の発明者らの検討によれば、特定の正極を用いていない非水系電解液二次電池において、前記したようにイソシアヌル酸誘導体等を含有する非水系電解液を使用すると、電池の内部抵抗が著しく増大し、高温放置後の大電流容量を著しく損なってしまうという問題が見出された。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、非水系電解液二次電池に関して、高温放置後の大電流容量を損なうことなく、高温寿命に優れた電池を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の正極を用いた非水系電解液二次電池において、特定の化合物を電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の要旨は、以下に示す通りである。
〔1〕
金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、
金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、
非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液と
を備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、
下記一般式(1)で示される構造を有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
Figure 2016051698
(式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基である。但し、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基を有する。)
〔2〕
前記一般式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の有機基である、〔1〕に記載の非水系電解液。
〔3〕
前記一般式(1)中、R〜Rの少なくとも1つは、炭素−炭素不飽和結合を有する有機基である、〔1〕または〔2〕に記載の非水系電解液。
〔4〕
前記一般式(1)において、炭素−炭素不飽和結合を有する有機基が、アリル基及びメタリル基からなる群より選ばれる基である、〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の非水系電解液。
〔5〕
前記一般式(1)で示される構造を有する化合物を、非水系電解液全量に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下で含有する、〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の非水系電解液。
〔6〕
フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、ジフルオロリン酸塩、フルオロ硫酸塩、イソシアナト基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、環状スルホン酸エステル、及びジカルボン酸錯体塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の非水系電解液。
〔7〕
前記非水溶媒として、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有し、鎖状カーボネートとして少なくとも2種類の鎖状カーボネートを含有する、〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の非水系電解液。
〔8〕
前記少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物が下記組成式(2)で示される、〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載の非水系電解液。
Lia1Nib1Coc1d1・・・(2)
(式(2)中、0.9≦a1≦1.1、0.3≦b1≦0.9、0.1≦c1≦0.5、0.0≦d1≦0.5の数値を示し、0.5≦b1+c1かつb1+c1+d1=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
〔9〕
前記少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物が下記組成式(3)で示される、〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載の非水系電解液。
Lia2Nib2Coc2d2・・・(3)
(式(3)中、0.9≦a2≦1.1、0.3≦b2≦0.9、0.1≦c2≦0.5、0.0≦d2≦0.5の数値を示し、c2≦b2かつ0.6≦b2+c2かつb2+c2+d2=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
〔10〕
金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、
金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、
非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液と
を備える非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が、〔1〕ないし〔9〕のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
本発明の非水系電解液によれば、高温放置後の大電流容量を損なうことなく、高温寿命に優れた電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、これらの具体的内容に限定はされず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1.非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質とを含む非水系電解液において、下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(以下、「特定化合物」と称する場合がある)を含有することを特徴とする非水系電解液である。
Figure 2016051698
(式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基である。但し、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基を有する。)
<1−1.電解質>
本発明の非水系電解液に用いる電解質は、特に限定されず、目的とする非水系電解液二次電池に応じて、任意に採用することができる。電解質としてはリチウム塩を用いることが好ましい。
電解質の具体例としては、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiAlF4等の無機リチウム塩; LiCF3SO3、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C25SO2)、LiN(CF3SO2)(C37SO2)、LiN(CF3SO2)(FSO2)、リチウム環状1,2−エタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−プロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミド、LiC(CF3SO23、LiPF4(CF32、LiPF4(C252、LiPF4(CF3SO22、LiPF4(C25SO22、LiBF3(CF3)、LiBF3(C25)、LiBF2(CF32、LiBF2(C252、LiBF2(CF3SO22、LiBF2(C25SO22等の含フッ素有機リチウム塩;KPF6、NaPF6、NaBF4、CF3SO3Na等のナトリウム塩又はカリウム塩;等が挙げられる。
これらのうち、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドが好ましく、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CFSO2)(FSO2)がより好ましく、特にLiPF6、LiBF4またはLiN(CF3SO22が好ましい。
これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なかでも、無機リチウム塩の2種の併用、無機リチウム塩と含フッ素有機リチウム塩の併用が、連続充電時のガス発生又は高温保存後の劣化が効果的に抑制されるので好ましい。
特に、LiPF6とLiBF4との併用や、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiN(C25SO22等の含フッ素有機リチウム塩との併用が好ましい。
LiPF6とLiBF4とを併用する場合、電解質全体に占めるLiBF4の割合が、0.001質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。この範囲内であると、LiBF4の解離度の低さのために、非水系電解液の抵抗が高くなることが抑制されうる。
一方、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22等の含フッ素有機リチウム塩とを併用する場合、電解質全体に占める無機リチウム塩の割合は、70質量%以上、99.9質量%以下であることが好ましい。この範囲内であると、一般に無機リチウム塩と比較して分子量が大きい含フッ素有機リチウム塩の割合が高くなりすぎて、非水系電解液全体に占める非水溶媒の比率が低下し、非水系電解液の抵抗が高くなることが抑制されうる。
本発明の非水系電解液の最終的な組成中におけるリチウム塩等の電解質の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは0.5mol/L以上、3mol/L以下である。電解質濃度がこの下限以上であると、十分な非水系電解液のイオン伝導率が得られやすく、上限以下であると、粘度が上昇しすぎることが避けられ、良好なイオン伝導率と、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池の性能を確保しやすい。リチウム塩等の電解質の濃度は、より好ましくは0.6mol/L以上、更に好ましくは0.8mol/L以上、また、より好ましくは2mol/L以下、より好ましくは1.5mol/L以下の範囲である。
特に、非水系電解液の非水溶媒がアルキレンカーボネートやジアルキルカーボネートといったカーボネート化合物を主体とする場合には、LiPF6を単独で用いてもよいが、LiBF4と併用すると連続充電による容量劣化が抑制されるので好ましい。これらを併用する場合のLiPF61モルに対するLiBF4の使用量は、0.005モル以上、0.4モル以下であることが好ましい。この上限以下であれば、高温保存後の電池特性が低下することが避けやすく、下限以上であれば、連続充電時のガス発生や容量劣化を避けやすい。LiBF4の使用量は、LiPF61モルに対して、好ましくは0.01モル以上、特に好ましくは0.05モル以上であり、好ましくは0.2モル以下である。
<1−2.非水溶媒>
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒は、電池とした時に電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、以下に掲げる非水溶媒の内の1種以上であることが好ましい。
非水溶媒の例としては、鎖状カーボネート及び環状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル及び環状カルボン酸エステル、鎖状エーテル及び環状エーテル、含燐有機溶媒、含硫黄有機溶媒、含硼素有機溶媒等が挙げられる。
鎖状カーボネートの種類は、特に限定されず、例えば、ジアルキルカーボネートが挙げられ、なかでも構成するアルキル基の炭素数が、それぞれ1〜5のものが好ましく、より1〜4のものが好ましく、1〜3のものが特に好ましい。具体的には、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートが、工業的な入手性や非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましい。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と称する場合がある)も好適に用いることができる。フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート、フッ素化エチルメチルカーボネート、フッ素化ジエチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ジメチルカーボネートとしては、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネートとしては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ジエチルカーボネートとしては、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
尚、フッ素化鎖状カーボネートは、溶媒のみならず下記1−4に記載の添加剤としても有効な機能を発現する。フッ素化鎖状カーボネートを溶媒兼添加剤として用いる場合の配合量に明確な境界は存在せず、記載した配合量をそのまま踏襲できる。
環状カーボネートの種類は、特に限定されず、例えば、アルキレンカーボネートが挙げられ、なかでも構成するアルキレン基の炭素数は2〜6が好ましく、特に好ましくは2〜4である。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート(2−エチルエチレンカーボネート、シス及びトランス2,3−ジメチルエチレンカーボネート)等が挙げられる。
これらの中でも、誘電率が高いために非水系電解液二次電池の抵抗を低減させることができることから、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましく、特にエチレンカーボネートが好ましい。
また、フッ素原子を有する環状カーボネート類(以下、「フッ素化環状カーボネート」と略記する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素数2〜6のフッ素化アルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられ、例えばフッ素化エチレンカーボネート及びその誘導体である。フッ素化エチレンカーボネート及びその誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられ、中でもフッ素原子が1〜8個のエチレンカーボネートのフッ素化物が好ましい。
具体的には、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。4,5−ジフルオロエチレンカーボネートとしては、シス体よりもトランス体が好ましい。高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成するためである。
尚、フッ素化環状カーボネートは、溶媒のみならず下記1−4に記載の添加剤としても有効な機能を発現する。フッ素化環状カーボネートを溶媒兼添加剤として用いる場合の配合量に明確な境界は存在せず、記載した配合量をそのまま踏襲できる。
鎖状カルボン酸エステルの種類も特に限定されず、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸−i−プロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸−i−ブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル等が挙げられる。
これらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチルが、工業的な入手性や非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましい。
さらに環状カルボン酸エステルについても特に限定されず、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
なかでも、γ−ブチロラクトンが、工業的な入手性や非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましい。
鎖状エーテルの種類に関しても特に限定されず、例えば、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。
なかでも、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンが、工業的な入手性や非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましい。
また、環状エーテルも特に限定はされず、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
また、含燐有機溶媒に関しても特に限定されず、例えば、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニル、燐酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、亜燐酸トリメチル、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリフェニル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
含硫黄有機溶媒の種類についても、特に限定されず、例えば、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等を挙げることができる。
含硼素有機溶媒も、特に限定されず、例えば、2,4,6−トリメチルボロキシン、2,4,6−トリエチルボロキシン等のボロキシン等が挙げられる。
なかでも、鎖状カーボネート及び環状カーボネート、又は、鎖状カルボン酸エステル及び環状カルボン酸エステルが、非水系電解液非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましく、それらのなかでも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、γ−ブチロラクトンがより好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチルがより好ましい。
これらの非水溶媒は1種を単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の併用が好ましい。例えば、環状カーボネート類の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
非水溶媒の好ましい組合せの1つは、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒全体に占める環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計が、好ましくは80容量%以上、より好ましくは85容量%以上、特に好ましくは90容量%以上であり、かつ環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計に対する環状カーボネート類の容量が、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは15容量%以上、特に好ましくは20容量%以上であり、好ましくは70容量%以下、より好ましくは50容量%以下、更に好ましくは40容量%以下、特に好ましくは35容量%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いて作製された電池では、サイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスがよくなるので好ましい。
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の好ましい組み合わせの例としては、エチレンカーボネートと鎖状カーボネート類の組み合わせが挙げられ、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等の組み合わせが挙げられる。
これらの環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせのうち、鎖状カーボネート類を2種以上含むものが特に好ましい。凝固点が低下し、極低温下でも電解液として使用可能になるからである。例としてはエチレンカーボネートと、2種以上の鎖状カーボネート類の組み合わせが挙げられ、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等の組み合わせが挙げられる。
これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも好ましい。プロピレンカーボネートを含有する場合、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、より好ましくは95:5〜45:55であり、特に好ましくは85:15〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの量を、0.1容量%以上、10容量%以下とすると、エチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせの特性を維持したまま、更に、優れた放電負荷特性が得られるので好ましい。非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの量は、より好ましくは1容量%、特に好ましくは2容量%以上であり、また、より好ましくは8容量%以下、特に好ましくは5容量%以下である。
これらの中で、鎖状カーボネート類として非対称鎖状カーボネート類を含有するものが更に好ましく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを含有するもの、或いは更にプロピレンカーボネートを含有するものが、サイクル特性と放電負荷特性のバランスがよいので好ましい。特に、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるものが好ましく、また、ジアルキルカーボネートを構成するアルキル基の炭素数が1〜2であるものが好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、鎖状カルボン酸エステル類を含有するものである。特に、上記、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の混合溶媒に、鎖状カルボン酸エステル類を含有するものが、電池の放電負荷特性向上の観点から好ましく、この場合、鎖状カルボン酸エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチルが、特に好ましい。非水溶媒に占める鎖状カルボン酸エステル類の容量は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは8容量%以上、特に好ましくは10容量%以上であり、好ましくは50容量%以下、より好ましくは35容量%以下、特に好ましくは30容量%以下、とりわけ好ましくは25容量%以下である。
<1−3.一般式(1)で示される構造を有する化合物>
本発明は、金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池において、特定化合物を含有する非水系電解液を使用することで、高温放置後の大電流容量を維持しつつ、非水系電解液二次電池の高温寿命を向上させることが可能となる。この作用・原理は明確ではないが、本発明者らは以下のように考える。ただし、本発明は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではない。
特定化合物は、
(あ)正極活物質中の遷移金属と相互作用し正極保護作用を発揮する
(い)充電負極上にて還元され、還元生成物が被膜状に成長し負極を保護する
の2つのプロセスで電池の特性向上に寄与すると考えられる。以下に詳細を記す。
(あ)正極活物質中の遷移金属と相互作用し正極保護作用を発揮する
特定化合物は、分子中のN原子が非共有電子対を持ち、ルイス塩基として働く。空軌道を有する遷移金属元素と相互作用するため、正極表面(特に酸素欠損等により遷移金属が剥き出しになっている反応活性点)に濃縮すると考えられる。と当時に、特定化合物は炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基という電子豊富で活性な構造を分子構造中に含むため、正極による酸化等を開始反応として特定化合物同士が反応し、正極表面に被膜状の構造物を形成することで正極保護作用に資すると考えられる。
先述の遷移金属の空軌道のエネルギー準位は、遷移金属酸化物の組成と密接な関係があり、本発明で規定するように、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoであることで、特定化合物中のN原子の非共有電子対との相互作用が好適であると推定される。また、特定化合物のイソシアヌル骨格の3つのN原子は、正三角形上に配置されているため、同時に3つの非共有電子対が1つの遷移金属元素と相互作用することができ、正極との相互作用が好適なものと推定される。
(い)充電負極上にて還元され、還元生成物が被膜状に成長し負極を保護する
特定化合物は炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基という電気化学的に還元される多重結合を分子構造中に含むため、負極上で反応して架橋性の被膜を形成することで負極保護作用に資すると考えられる。この被膜は、絶縁体であるがゆえに電解液の分解という副反応を抑制すると同時に、リチウム等の金属イオン伝導体であるがゆえに電極反応を阻害しないため、非水系電解液二次電池の特性を向上させる。特定化合物は分極構造を多数含み、リチウム等の金属イオンと好適な相互作用をすることで、抵抗成分になりにくいところが特長である。
また、上記負極上での反応の際に、求核種となるラジカルアニオンが発生するため、後述の特定添加剤と協奏的な反応をするものと推定している。
本発明の非水系電解液は、特定化合物を必須成分として含有し、特定化合物は、一般式(1)で表される化合物である。本発明の非水系電解液においては、特定化合物のうち1種を用いても、2種以上の任意の併用でもよい。
Figure 2016051698
上記一般式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基である。但し、R〜Rのうち、少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基を有する。好ましくは、式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の有機基である。より好ましくは、式(1)中、R〜Rの少なくとも1つが炭素−炭素不飽和結合を有する有機基である。
ここで、有機基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる原子で構成された官能基のことを表す。
置換基を有してもよい有機基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、アクリル基、メタクリル基、ビニルスルホニル基、ビニルスルホ基等が挙げられる。
ここでいう置換基は、ハロゲン原子、アルキレン基等が挙げられる。また、アルキレン基の一部に不飽和結合などが含まれていてもよい。ハロゲン原子の中でも、フッ素原子が好ましい。
置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキニル基の具体例としては、エチニル基、プロパルギル基、1−プロピニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
中でも好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アクリル基、メタクリル基、アリール基、シアノ基、ビニルスルホニル基、ビニルスルホ基が挙げられる。
さらに好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アクリル基、メタクリル基、シアノ基が挙げられる。
特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アクリル基、メタクリル基、シアノ基が挙げられる。
最も好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリル基、メタリル基が挙げられる。とりわけ非置換の炭素−炭素不飽和結合を有する有機基であるアリル基又はメタリル基が好ましい。被膜形成能の観点からアリル基が好ましい。
本発明に用いる化合物は、一般式(1)で示される構造を有する化合物であるが、その具体的な例としては以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2016051698

Figure 2016051698

Figure 2016051698
好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2016051698

Figure 2016051698
さらに好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2016051698
特に好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2016051698
最も好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2016051698

また、これら最も好ましい化合物の中でも、被膜形成能の観点から以下の構造の化合物が好ましい。
Figure 2016051698
上記特定化合物に関して、製造方法にも特に制限はなく、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
非水系電解液中の特定化合物の割合は、合計で好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更により好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.8質量%以下、最も好ましくは1.6質量%以下である。特定化合物の濃度が過剰であると、還元生成物が多過ぎるために負極表面を過剰に覆ってしまい、電極反応を阻害してしまう。また、非水系電解液のコストも増加してしまう。上記の濃度であれば、電極界面での作用がより好適に進行するため、電池特性を最適にすることが可能となる。
特定化合物は、非水系電解液に含有させ実際に非水系電解液二次電池の作製に供すると、その電池を解体して再び非水系電解液を抜き出しても、その中の含有量が著しく低下している場合が多い。従って、電池から抜き出した非水系電解液から、特定化合物が極少量でも検出できるものは本発明に含まれるとみなされる。また、特定化合物は、非水系電解液として実際に非水系電解液二次電池の作製に供すると、その電池を解体して再び抜き出した非水系電解液には特定化合物が極少量しか含有されていなかった場合であっても、非水系電解液二次電池の他の構成部材である正極、負極若しくはセパレータ上で検出される場合も多い。従って、正極、負極、セパレータから特定化合物が検出された場合は、その合計量を非水系電解液に含まれていたと仮定することができる。この仮定の下、特定化合物は上記範囲になるように含まれていることが好ましい。
<1−4.添加剤>
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤は、従来公知のものを任意に用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
添加剤の例としては、過充電防止剤や、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等が挙げられる。これらの中でも、高温保存後の容量維持特性や抵抗増加を抑制するための助剤として、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、ジフルオロリン酸塩、フルオロ硫酸塩、イソシアナト基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、環状スルホン酸エステル、ジカルボン酸錯体塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「特定添加剤」と略記する場合がある)を含有することが好ましい。以下、特定添加剤とその他添加剤に分けて説明する。
<1−4−1.特定添加剤>
特定添加剤はいずれも、負極上にて還元された特定化合物と反応し、電極反応に好適な被膜状構造物を協奏的に形成するものと考えられる。この作用・原理は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではないが、本発明者らは以下のように推測する。(i)ジカルボン酸錯体塩、(ii)フッ素原子を有する環状カーボネート、(iii)炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、(iv)ジフルオロリン酸塩、(v)フルオロ硫酸塩、(vi)イソシアナト基を有する化合物、(vii)シアノ基を有する化合物、及び(viii)環状スルホン酸エステルについて、特定化合物の還元により負極表面にて形成された求核種Nuとの推定反応機構を以下に示す。
Figure 2016051698
(反応式中、Catは塩を構成するカチオンである。Qは単結合または2価の有機基、Xは錯体中心元素を含む2価の有機基、Qはフッ素を含む2価の有機基、Qは炭素−炭素不飽和結合を含む2価の有機基、QおよびQは1価の有機基、Qは2価の有機基をそれぞれ表す。)
反応式に示すように、特定添加剤はいずれも求核攻撃受容部位を内包しており、示した各反応を開始反応として、特定化合物と特定添加剤を原料とする、電極反応を好適にサポートする被膜状の構造物を協奏的に形成するものと推定している。
特定添加剤の分子量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、50以上、250以下であるものが好ましい。この範囲であると、非水系電解液に対する特定添加剤の溶解性が良好で、添加の効果を十分に発現することができる。
また、特定添加剤の製造方法にも特に制限は無く、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。また、市販のものを用いてもよい。
また、特定添加剤は、本発明の非水系電解液中に、いずれか1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有させてもよい。
<1−4−1−1.ジカルボン酸錯体塩>
特定添加剤のうち、ジカルボン酸錯体塩としては、特に限定されず、任意のジカルボン酸錯体塩を用いることができる。
ジカルボン酸錯体塩の例としては、錯体中心元素がホウ素であるジカルボン酸錯体塩、錯体中心元素がリンであるジカルボン酸錯体塩等が挙げられる。
錯体中心元素がホウ素であるジカルボン酸錯体塩の具体例としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート、リチウムビス(メチルマロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(メチルマロナト)ボレート、リチウムビス(ジメチルマロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(ジメチルマロナト)ボレート等が挙げられる。
錯体中心元素がリンであるジカルボン酸錯体塩の具体例としては、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート、リチウムトリス(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムトリス(ジメチルマロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(ジメチルマロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(ジメチルマロナト)ホスフェート等が挙げられる。
中でも、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートが、入手の容易さや安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができる点から、より好適に用いられる。
ジカルボン酸錯体塩の含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、2.5質量%以下である。
ジカルボン酸錯体塩の含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができ、また、ガス発生による非水系電解液二次電池の体積膨張を避けることができる。ジカルボン酸錯体塩の含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1.2質量%以下である。
<1−4−1−2.フッ素原子を有する環状カーボネート>
特定添加剤のうち、フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「F化カーボネート」と略記する場合がある)としては、フッ素原子を有するものであれば、特に限定されず、任意のF化カーボネートを用いることができる。
F化カーボネートが有するフッ素原子の数も、1個以上であれば特に限定されず、2個以下が特に好ましい。
F化カーボネートの例としては、フルオロエチレンカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フルオロエチレンカーボネート及びその誘導体の具体例としては、フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのF化カーボネートの中でも、フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートが好ましく、特にフルオロエチレンカーボネートは、安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、最も好適に用いられる。
F化カーボネートの含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、10.0質量%以下である。
F化カーボネートの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができる。F化カーボネートの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは8.0質量%以下、特に好ましくは6.0質量%以下である。
尚、F化カーボネートは、添加剤のみならず、上記1−2に記載の非水溶媒としても有効な機能を発現する。F化カーボネートを溶媒兼添加剤として用いる場合の配合量に明確な境界は存在せず、記載した配合量をそのまま踏襲できる。
<1−4−1−3.炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート>
特定添加剤のうち、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和カーボネート」と略記する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであれば、特に限定されず、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。
不飽和カーボネートの例としては、ビニレンカーボネート類、炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート類の具体例としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート等が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネートは、安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
不飽和カーボネートの含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、5.0質量%以下である。
不飽和カーボネートの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の初期の抵抗増加を避けることができる。不飽和カーボネートの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
<1−4−1−4.ジフルオロリン酸塩>
特定添加剤のうち、ジフルオロリン酸塩としては、ジフルオロリン酸アニオンを構成要素とする塩であれば、特に限定されず、任意のジフルオロリン酸塩を用いることができる。
ジフルオロリン酸塩の例としては、ジフルオロリン酸リチウム塩、ジフルオロリン酸ナトリウム塩、ジフルオロリン酸カリウム塩、ジフルオロリン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
中でも、ジフルオロリン酸リチウム塩が好ましく、安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
ジフルオロリン酸塩の含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、2.0質量%以下である。
ジフルオロリン酸塩の含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができる。ジフルオロリン酸塩の含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以下、特に好ましくは1.1質量%以下である。
<1−4−1−5.フルオロ硫酸塩>
特定添加剤のうち、フルオロ硫酸塩としては、フルオロ硫酸アニオンを構成要素とする塩であれば、特に限定されず、任意のフルオロ硫酸塩を用いることができる。
フルオロ硫酸塩の例としては、フルオロ硫酸リチウム塩、フルオロ硫酸ナトリウム塩、フルオロ硫酸カリウム塩、フルオロ硫酸アンモニウム塩等が挙げられる。
中でも、フルオロ硫酸リチウム塩が好ましく、安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
フルオロ硫酸塩の含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、4.0質量%以下である。
フルオロ硫酸塩の含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができ、また正極集電体に頻繁に用いられるアルミニウムや外装体に頻繁に用いられる金属缶の腐食による性能低下を避けることができる。フルオロ硫酸塩の含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
<1−4−1−6.イソシアナト基を有する化合物>
特定添加剤のうち、イソシアナト基を有する化合物(以下、「イソシアネート」と略記する場合がある)としては、特に限定されず、任意のイソシアネートを用いることができる。
イソシアネートの例としては、モノイソシアネート類、ジイソシアネート類、トリイソシアネート類等が挙げられる。
モノイソシアネート類の具体例としては、イソシアナトメタン、イソシアナトエタン、1−イソシアナトプロパン、1−イソシアナトブタン、1−イソシアナトペンタン、1−イソシアナトヘキサン、1−イソシアナトヘプタン、1−イソシアナトオクタン、1−イソシアナトノナン、1−イソシアナトデカン、イソシアナトシクロヘキサン、メトキシカルボニルイソシアネート、エトキシカルボニルイソシアネート、プロポキシカルボニルイソシアネート、ブトキシカルボニルイソシアネート、メトキシスルホニルイソシアネート、エトキシスルホニルイソシアネート、プロポキシスルホニルイソシアネート、ブトキシスルホニルイソシアネート、フルオロスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネート類の具体例としては、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトプロペン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。
トリイソシアネート類の具体例としては、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン=ジイソシアネート等が挙げられる。
中でも、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが、工業的に入手し易いものであり、電解液の製造コストが低く抑えられる点で好ましく、また技術的な観点からも安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
イソシアネートの含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、1.0質量%以下である。
イソシアネートの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の初期の抵抗増加を避けることができる。イソシアネートの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。
<1−4−1−7.シアノ基を有する化合物>
特定添加剤のうち、シアノ基を有する化合物(以下、「ニトリル」と略記する場合がある)としては、特に限定されず、任意のニトリルを用いることができる。
ニトリルの例としては、モノニトリル類、ジニトリル類等が挙げられる。
モノニトリル類の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等が挙げられる。
ジニトリル類の具体例としては、マロノニトリル、サクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルサクシノニトリル、2,2−ジメチルサクシノニトリル、2,3−ジメチルサクシノニトリル、2,3,3−トリメチルサクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチルサクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルサクシノニトリル、2,2−ジエチル−3,3−ジメチルサクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジカルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイソブチル−2,3−ジメチルサクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチルサクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル等が挙げられる。
中でも、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル等のジニトリル類が安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
ニトリルの含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、5.0質量%以下である。
ニトリルの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の初期の抵抗増加を避け、レート特性の悪化を抑制することができる。ニトリルの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。
<1−4−1−8.環状スルホン酸エステル>
特定添加剤のうち、環状スルホン酸エステルとしては、特に限定されず、任意の環状スルホン酸エステルを用いることができる。
環状スルホン酸エステルの例としては、飽和環状スルホン酸エステル、不飽和環状スルホン酸エステル、飽和環状ジスルホン酸エステル、不飽和環状ジスルホン酸エステル等が挙げられる。
飽和環状スルホン酸エステルの具体例としては、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、1−メチル−1,4−ブタンスルトン、2−メチル−1,4−ブタンスルトン、3−メチル−1,4−ブタンスルトン、4−メチル−1,4−ブタンスルトン等が挙げられる。
不飽和環状スルホン酸エステルの具体例としては、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、2−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン等が挙げられる。
中でも、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトンが、入手の容易さや安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができる点から、より好適に用いられる。
環状スルホン酸エステルの含有量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、3.0質量%以下である。
環状スルホン酸エステルの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができる。環状スルホン酸エステルの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.8質量%以下である。
<1−4−2.その他添加剤>
特定添加剤以外の添加剤としては、過充電防止剤、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等が挙げられる。
<1−4−2−1.過充電防止剤>
過充電防止剤の具体例としては、トルエン、キシレン等のトルエン誘導体;ビフェニル、2−メチルビフェニル、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたビフェニル誘導体;o−ターフェニル、m−ターフェニル、p−ターフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体;無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体の部分水素化物;シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等のシクロアルキルベンゼン誘導体;クメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ヘキシルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の酸素原子を有する芳香族化合物;等の芳香族化合物が挙げられる。
更に、他の過充電防止剤の具体例としては、フルオロベンゼン、フルオロトルエン、ベンゾトリフルオリド、2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、1,6−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物;等も挙げられる。
なお、これらの過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。また、任意の組合せで併用する場合にも上記に例示し同一の分類の化合物で併用してもよく、異なる分類の化合物で併用してもよい。
過充電防止剤を配合する場合、過充電防止剤の配合量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系電解液全体に対して、好ましくは0.001質量%以上、10質量%以下の範囲である。
本発明の非水系電解液に過充電防止剤を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で含有させることは、万が一、誤った使用法や充電装置の異常等の過充電保護回路が正常に動作しない状況になり過充電されたとしても、非水系電解液二次電池の安全性が向上するので好ましい。
<1−4−2−2.助剤>
一方、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
コハク酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸の無水物;エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート等の不飽和結合を有するカーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;エチレンサルファイト等の環状サルファイト;メタンスルホン酸メチル、ブスルファン等の鎖状スルホン酸エステル;スルホラン、スルホレン等の環状スルホン;ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン等の鎖状スルホン;ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド類;N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等のスルホンアミド類等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。
なお、これらの助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、本発明の非水系電解液がこれらの助剤を含有する場合、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系電解液全体に対して、好ましくは0.001質量%以上、10質量%以下の範囲である。
<1−5.非水系電解液の製造方法>
本発明の非水系電解液は、前述の非水溶媒に、電解質と、特定化合物と、必要に応じて前述の「添加剤」や「助剤」を溶解することにより調製することができる。
非水系電解液を調製するに際しては、非水系電解液の各原料、すなわち、リチウム塩等の電解質、特定化合物、非水溶媒、添加剤、助剤等は、予め脱水しておくことが好ましい。脱水の程度としては、通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下となるまで脱水することが望ましい。
非水系電解液中の水分を除去することで、水の電気分解、水とリチウム金属との反応、リチウム塩の加水分解等が生じ難くなる。脱水の手段としては特に制限はないが、例えば、脱水する対象が非水溶媒等の液体の場合は、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を用いればよい。また脱水する対象が電解質等の固体の場合は、分解が起きる温度未満で加熱して乾燥させればよい。
[2.非水系電解液二次電池]
本発明の非水系電解液二次電池は、金属イオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と前記の本発明の非水系電解液とを備えるものである。
<2−1.電池構成>
本発明の非水系電解液二次電池は、後述する正極および上述の非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
<2−2.非水系電解液>
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
<2−3.負極>
負極に使用される負極活物質としては、電気化学的に金属イオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、金属化合物系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これら1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
<2−3−1.炭素質材料>
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、特に限定されないが、下記(ア)〜(エ)から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。
(ア)天然黒鉛
(イ)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400から3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料
(ウ)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ち、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
(エ)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ち、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
(ア)〜(エ)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記(イ)の人造炭素質物質又は人造黒鉛質物質の具体例としては、天然黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ及びこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物及びこれらの炭化物、並びに炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液状の炭化物等が挙げられる。
炭素質材料の性質については、次に示す(1)〜(8)のいずれか1項目又は複数の項目を同時に満たしていることが望ましい。
(1)X線パラメータ
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がより好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、好ましくは1.0nm以上であり、より好ましくは1.5nm以上、更に好ましくは2nm以上である。
(2)体積基準平均粒径
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上であり、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、好ましくは100μm以下であり、50μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましく、30μm以下が特に好ましく、25μm以下がとりわけ好ましい。体積基準平均粒径が上記範囲内であると、不可逆容量が増大しすぎることもなく、初期の電池容量の損失を招くことを回避しやすくなる。また、塗布により電極を作製する際に、均一に塗面しやすく、電池製作工程上望ましい。 体積基準平均粒径を測定するには、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素質材料粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
(3)ラマンR値、ラマン半値幅
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、好ましくは0.01以上であり、0.03以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、好ましくは1.5以下であり、1.2以下がより好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
ラマンR値が上記範囲にあると、粒子表面の結晶性が適度な範囲となり、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトの減少を抑制でき、充電受入性が低下し難くなる。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合にも、負荷特性の低下を招き難くなる。さらに、効率の低下やガス発生の増加を招き難くなる。
また、炭素質材料の1580cm−1付近のラマン半値幅は、特に限定されないが、10cm−1以上であり、15cm−1以上が好ましく、また、通常100cm−1以下であり、80cm−1以下が好ましく、60cm−1以下がより好ましく、40cm−1以下が特に好ましい。
ラマン半値幅が上記範囲にあると、粒子表面の結晶性が適度な範囲となり、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトの減少を抑制でき、充電受入性が低下し難くなる。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合にも、負荷特性の低下を招き難くなる。さらに、効率の低下やガス発生の増加を招き難くなる。
ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(日本分光社製ラマン分光器)を用いて、試料を測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、炭素質材料のラマンR値と定義する。また、得られるラマンスペクトルの1580cm−1付近のピークPAの半値幅を測定し、これを炭素質材料のラマン半値幅と定義する。
また、上記のラマン測定条件は、次の通りである。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
(4)BET比表面積
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.1m・g−1以上であり、0.7m・g−1以上がより好ましく、1.0m・g−1以上が更に好ましく、1.5m・g−1以上が特に好ましく、また、好ましくは100m・g−1以下であり、25m・g−1以下がより好ましく、15m・g−1以下が更に好ましく、10m・g−1以下が特に好ましい。
BET比表面積の値が上記範囲内にあると、負極材料として用いた場合の充電時にリチウム等のカチオンの受け入れ性がよく、リチウム等が電極表面で析出し難くなり、安定性の低下を回避しやすい。さらに。非水系電解液との反応性が抑制でき、ガス発生が少なく、好ましい電池が得られ易い。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、炭素質材料のBET比表面積と定義する。
(5)円形度
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。 炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましい。好ましくは0.1以上であり、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましく、0.85以上が特に好ましく、0.9以上がとりわけ好ましい。
高電流密度充放電特性は、一般に円形度が大きいほど向上する。従って、円形度が上記範囲を下回ると、負極活物質の充填性が低下し、粒子間の抵抗が増大して、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
炭素質材料の円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行う。具体的には試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定する。該測定で求められる円形度を、炭素質材料の円形度と定義する。
円形度を向上させる方法は、特に限定されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては、せん断力、圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダー若しくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。
(6)タップ密度
炭素質材料のタップ密度は、好ましくは0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上がより好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましい。また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がより好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。
タップ密度が、上記範囲内であると、負極として用いた場合に充填密度を十分確保でき、高容量の電池を得ることができる。さらに、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎず、粒子間の導電性が確保され、好ましい電池特性が得易くなる。
タップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量からタップ密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、炭素質材料のタップ密度として定義する。
(7)配向比
炭素質材料の配向比は、好ましくは0.005以上であり、0.01以上がより好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、好ましくは0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
炭素質材料の配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により測定することにより求める。具体的には、試料0.47gを直径17mmの成型機に充填し、58.8MN・m−2で圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭素質材料の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表される比を算出する。該測定で算出される配向比を、炭素質材料の配向比と定義する。
このときのX線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
(8)アスペクト比(粉)
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がより好ましい。アスペクト比が、上記範囲を外れると、極板化時にスジ引きが起きたりし、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
炭素質材料のアスペクト比の測定は、炭素質材料の粒子を走査型電子顕微鏡で拡大観察して行う。具体的には厚さ50ミクロン以下の金属の端面に固定した任意の50個の炭素質材料粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の炭素質材料粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値を求める。該測定で求められるアスペクト比(A/B)を、炭素質材料のアスペクト比と定義する。
<2−3−2.金属化合物系材料>
負極活物質として用いられる金属化合物系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に限定されず、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、燐化物等の化合物が挙げられる。このような金属化合物としては、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn等の金属を含有する化合物が挙げられる。なかでも、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金であることが好ましく、周期表13族又は14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料であることがより好ましく、更には、ケイ素(Si)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)(以下、これら3種の元素を「SSP金属元素」という場合がある)の単体金属若しくはこれら原子を含む合金、又は、それらの金属(SSP金属元素)の化合物であることが好ましい。最も好ましいのはケイ素である。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
SSP金属元素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質の例としては、いずれか1種のSSP金属元素の金属単体、2種以上のSSP金属元素からなる合金、1種又は2種以上のSSP金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上のSSP金属元素を含有する化合物、又は、その化合物の酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、燐化物等の複合化合物が挙げられる。負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また例えばスズでは、スズとケイ素以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位質量当りの容量が大きいことから、いずれか1種のSSP金属元素の金属単体、2種以上のSSP金属元素の合金、SSP金属元素の酸化物や炭化物、窒化物等が好ましく、特に、ケイ素及び/又はスズの金属単体、合金、酸化物や炭化物、窒化物等が好ましく、ケイ素の金属単体、合金、酸化物や炭化物等が単位質量当りの容量及び環境負荷の観点から最も好ましい。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位質量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、ケイ素及び/又はスズを含有する以下の化合物も好ましい。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの酸化物」。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの窒化物」。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの炭化物」。
なお、上述の負極活物質は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<2−3−3.リチウム含有金属複合酸化物材料>
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされないが、チタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する場合がある。)が特に好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、リチウムイオン非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンが、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
負極活物質としての上記金属酸化物としては、下記一般式(5)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、一般式(5)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
LiTi (5)
(一般式(5)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
上記の一般式(5)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3、(b)ではLiTi、(c)ではLi4/5Ti11/5である。また、z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3が好ましいものとして挙げられる。
本発明における負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物は、上記した要件に加えて、更に、下記の[1]〜[8]に示した物性及び形状等の特徴の内、少なくとも1項目を満たしていることが好ましく、複数の項目を同時に満たすことが特に好ましい。
[1]BET比表面積
負極活物質として用いられるリチウムチタン複合酸化物のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、0.5m・g−1以上が好ましく、0.7m・g−1以上がより好ましく、1.0m・g−1以上が更に好ましく、1.5m・g−1以上が特に好ましく、また、200m・g−1以下が好ましく、100m・g−1以下がより好ましく、50m・g−1以下が更に好ましく、25m・g−1以下が特に好ましい。
BET比表面積が、上記範囲内であると、負極材料として用いた場合の非水系電解液と接する反応面積が減少し難く、出力抵抗が増加を防げる。さらに、チタンを含有する金属酸化物の結晶の表面や端面の部分の増加を抑え、これに起因する、結晶の歪も生じ難くなるため、好ましい電池が得易くなる。
リチウムチタン複合酸化物のBET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下、350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、リチウムチタン複合酸化物のBET比表面積と定義する。
[2]体積基準平均粒径
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましく、また、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径の測定は具体的には、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(10mL)にリチウムチタン複合酸化物粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径と定義する。
リチウムチタン複合酸化物の体積平均粒径が、上記範囲内であると、負極作製時にバインダーの量を抑えることでき、結果的に電池容量の低下を防ぎ易くなる。さらに、負極極板化時に、均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましい。
[3]平均一次粒子径
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、リチウムチタン複合酸化物の平均一次粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.2μm以上が特に好ましく、また、2μm以下が好ましく、1.6μm以下がより好ましく、1.3μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。体積基準平均一次粒子径が、上記範囲内であると、球状の二次粒子を形成し易く、比表面積を確保し易くなるために、出力特性等の電池性能の低下を防ぎ易い。
なお、リチウムチタン複合酸化物の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、粒子が確認できる倍率、例えば10000〜100000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
[4]形状
リチウムチタン複合酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等のいずれでもよいが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子の活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐことができる。
また、板状等軸配向性の粒子であるよりも、球状又は楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作製する際の導電材との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
[5]タップ密度
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度は、0.05g・cm−3が好ましく、0.1g・cm−3以上がより好ましく、0.2g・cm−3以上が更に好ましく、0.4g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.8g・cm−3以下が好ましく、2.4g・cm−3以下が更に好ましく、2g・cm−3以下が特に好ましい。リチウムチタン複合酸化物のタップ密度が、上記範囲内であると、負極として用いた場合に十分な充填密度を確保でき、また粒子間の接触面積を確保できるため、粒子間の抵抗が増加し難く、出力抵抗が増加を防ぎ易い。さらに、電極中の粒子間の空隙も適度なため、非水系電解液の流路を確保できるため、出力抵抗の増加を防ぎ易い。
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度の測定には、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、リチウムチタン複合酸化物のタップ密度として定義する。
[6]円形度
リチウムチタン複合酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
リチウムチタン複合酸化物の円形度は、1に近いほど望ましい。好ましくは、0.10以上であり、0.80以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.90以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、一般に円形度が大きいほどが向上する。従って、円形度が上記範囲内であると、負極活物質の充填性が低下することなく、粒子間の抵抗の増大を防ぎ、短時間高電流密度充放電特性の低下を予防することができる。
リチウムチタン複合酸化物の円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行なう。具体的には試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定する。該測定で求められる円形度を、本発明におけるリチウムチタン複合酸化物の円形度と定義する。
[7]アスペクト比
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比は、1以上が好ましく、また、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。アスペクト比が、上記範囲内であると、極板化時にスジ引きが発生し難くなり、均一な塗布面が得られ易いため、短時間高電流密度充放電特性の低下を予防することができる。なお、上記範囲の下限は、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の測定は、リチウムチタン複合酸化物の粒子を走査型電子顕微鏡で拡大観察して行う。厚さ50μm以下の金属の端面に固定した任意の50個のリチウムチタン複合酸化物粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値を求める。該測定で求められるアスペクト比(A/B)を、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比と定義する。
[8]リチウムチタン複合酸化物の製造法
リチウムチタン複合酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
例えば、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質とLiOH、LiCO、LiNOのLi源を均一に混合し、高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
特に球状又は楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられる。一例として、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作成回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、別の例として、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
更に別の方法として、酸化チタン等のチタン原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、これらの工程中に、Ti以外の元素、例えば、Al、Mn、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、C、Si、Sn、Agを、チタンを含有する金属酸化物構造中及び/又はチタンを含有する酸化物に接する形で存在していることも可能である。これらの元素を含有することで、電池の作動電圧、容量を制御することが可能となる。
<2−3−4.負極の構成、物性、調製方法>
上記負極活物質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水電解液二次電池については、次に示す(i)〜(vi)のいずれか1項目又は複数の項目を同時に満たしていることが望ましい。
(i)負極作製
負極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知のいずれの方法をも用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
(ii)集電体
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
(iii)集電体と負極活物質層の厚さの比
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液の注液工程の直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、1以上が特に好ましい。
集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
(iv)電極密度
負極活物質を電極化した際の電極構造は、特には限定されず、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がより好ましく、1.3g・cm−3以上が更に好ましく、また、4g・cm−3以下が好ましく、3g・cm−3以下がより好ましく、2.5g・cm−3以下が更に好ましく、1.7g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲内であると、負極活物質粒子が破壊されにくく、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を防ぎ易くなる。さらに、負極活物質間の導電性を確保することができ、電池抵抗が増大することなく、単位容積当たりの容量を稼ぐことができる。
(v)バインダー・溶媒等
負極活物質層を形成するためのスラリーは、通常、負極活物質に対して、バインダー(結着剤)、増粘剤等を溶媒に加えて調製される。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲内であると、電池容量に寄与しないバインダー割合が多くならないので、電池容量の低下を招き難くなる。さらに、負極電極の強度低下も招き難くなる。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対するバインダーの割合は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調整するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、燐酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤を用いる場合、負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましい。また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲内にあると、塗布性が良好となる。さらに、負極活物質層に占める負極活物質の割合も適度なものとなり、電池容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する問題が生じ難くなる。
(vi)負極板の面積
負極板の面積は、特に限定されないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして、正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。また、充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、できる限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この負極板の面積の設計が重要である。
<2−4.正極>
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極について説明する。
<2−4−1.正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
(1)組成
正極活物質としては、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物であり、電気化学的に金属イオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものが好ましく、リチウムと少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物が好ましい。Ni及びCoは、酸化還元の電位が二次電池の正極材として用いるのに好適であり、高容量用途に適しているためである。
リチウム遷移金属酸化物の遷移金属成分としては、必須元素として、NiとCoが含まれるが、その他の金属としてMn、V、Ti、Cr、Fe、Cu、Al、Mg、Zr、Er等が挙げられ、Mn、Ti、Fe、Al、Mg、Zr等が好ましい。リチウム遷移金属酸化物の具体例としては、例えば、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.80Co0.15Al0.052、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、Li1.05Ni0.33Mn0.33Co0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、Li1.05Ni0.50Mn0.29Co0.21等が挙げられる。
中でも、下記組成式(2)で示される遷移金属酸化物であることが好ましい。
Lia1Nib1Coc1d1・・・(2)
(式(2)中、0.9≦a1≦1.1、0.3≦b1≦0.9、0.1≦c1≦0.5、0.0≦d1≦0.5の数値を示し、0.5≦b1+c1かつb1+c1+d1=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
組成式(2)中、0.1≦d1≦0.5の数値を示すことが好ましい。
NiやCoの組成比およびその他の金属種の組成比が所定の通りであることで、正極から遷移金属が溶出しにくく、かつ、たとえ溶出したとしてもNiやCoは非水系二次電池内での悪影響が小さいためである。
中でも、下記組成式(3)で示される遷移金属酸化物であることがより好ましい。
Lia2Nib2Coc2d2・・・(3)
(式(3)中、0.9≦a2≦1.1、0.3≦b2≦0.9、0.1≦c2≦0.5、0.0≦d2≦0.5の数値を示し、c2≦b2かつ0.6≦b2+c2かつb2+c2+d2=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
組成式(3)中、0.1≦d2≦0.5の数値を示すことが好ましい。
NiおよびCoが主成分であり、かつNiの組成比がCoの組成比と同じか、もしくはより大きいことで、非水系二次電池正極として用いた際に、安定であり、かつ高容量を取り出すことが可能となるからである。
中でも、下記組成式(4)で示される遷移金属酸化物であることがさらに好ましい。
Lia3Nib3Coc3d3・・・(4)
(式(4)中、0.9≦a3≦1.1、0.35≦b3≦0.9、0.1≦c3≦0.5、0.0≦d3≦0.5の数値を示し、c3<b3かつ0.6≦b3+c3かつb3+c3+d3=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
組成式(4)中、0.1≦d3≦0.5の数値を示すことが好ましい。
中でも、下記組成式(6)で示される遷移金属酸化物であることが特に好ましい。
Lia4Nib4Coc4d4・・・(6)
(式(6)中、0.9≦a4≦1.1、0.45≦b4≦0.9、0.1≦c4≦0.5、0.0≦d4≦0.5の数値を示し、c4<2+b4かつ0.6≦b4+c4かつb4+c4+d4=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
組成式(6)中、0.1≦d4≦0.5の数値を示すことが好ましい。
上記の組成であることで、非水系二次電池正極として用いた際に、特に高容量を取り出すことが可能となるからである。
また、上記の正極活物質のうち2種類以上を混合して使用してもよい。同様に、上記の正極活物質のうち少なくとも1種以上と他の正極活物質を混合して使用してもよい。他の正極活物質の例としては、上記に挙げられていない遷移金属酸化物、遷移金属燐酸化合物、遷移金属ケイ酸化合物、遷移金属ホウ酸化合物が挙げられる。
中でも、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物やオリビン型構造を有するリチウム含有遷移金属燐酸化合物が好ましい。具体的にはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物として、LiMn24、LiMn1.8Al0.24、LiMn1.5Ni0.54等が挙げられる。中でも最も構造が安定であり、非水系電解液二次電池の異常時にも酸素放出しにくく、安全性に優れるためである。
また、リチウム含有遷移金属燐酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO43、LiFeP27等の燐酸鉄類、LiCoPO4等の燐酸コバルト類、LiMnPO4等の燐酸マンガン類、これらのリチウム遷移金属燐酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
中でも、リチウム鉄燐酸化合物が好ましい、鉄は資源量も豊富で極めて安価な金属であり、かつ有害性も少ないためである。すなわち、上記の具体例のうち、LiFePO4をより好ましい具体例として挙げることができる。
(2)表面被覆
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加させた後に乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加させた後に加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により、正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることができる。
正極活物質の表面に付着している表面付着物質の質量は、正極活物質の質量に対して、好ましくは0.1ppm以上であり、1ppm以上がより好ましく、10ppm以上が更に好ましい。また、好ましくは20%以下であり、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。
表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。また、付着量が上記範囲内にあると、その効果を十分に発現することができ、リチウムイオンの出入りを阻害することなく抵抗も増加し難くなる。
(3)形状
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であってもよい。
(4)タップ密度
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g・cm−3以上であり、1.0g・cm−3以上がより好ましく、1.5g・cm−3以上が更に好ましい。また、好ましくは4.0g・cm−3以下であり、3.7g・cm−3以下がより好ましい。
タップ密度の高い金属複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。正極活物質のタップ密度が上記範囲内にあると、正極活物質層形成時に必要な分散媒の量が適度なものとなるため、導電材やバインダーの量も適量となるため、正極活物質層への正極活物質の充填率が制約されることなく、電池容量への影響も少なくなる。
正極活物質のタップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセル容積を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明における正極活物質のタップ密度として定義する。
(5)メジアン径d50
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
メジアン径d50は、好ましくは0.1μm以上であり、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上が更に好ましく、3μm以上が特に好ましく、また、好ましくは30μm以下であり、20μm以下がより好ましく、16μm以下が更に好ましく、15μm以下が特に好ましい。メジアン径d50が上記範囲内であると、高嵩密度品を得易くなり、さらに、粒子内のリチウムの拡散に時間がかからないため、電池特性が低下し難くなる。また、電池の正極作製すなわち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際には、スジ引き等も生じ難くなる。
なお、異なるメジアン径d50をもつ正極活物質を2種類以上、任意の比率で混合することで、正極作製時の充填性を更に向上させることもできる。
正極活物質のメジアン径d50の測定は、0.1質量%ヘキサメタ燐酸ナトリウム水溶液を分散媒として用い、粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−920)を用いて、正極活物質の分散液に対して5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24に設定して測定する。
(6)平均一次粒子径
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、好ましくは0.01μm以上であり、0.05μm以上がより好ましく、0.08μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が特に好ましく、また、好ましくは3μm以下であり、2μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.6μm以下が特に好ましい。上記範囲内であると、球状の二次粒子を形成し易くなり、粉体充填性が適度なものとなり、比表面積を十分確保できるため、出力特性等の電池性能の低下を抑制することができる。
なお、正極活物質の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
(7)BET比表面積
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.2m・g−1以上であり、0.3m・g−1以上がより好ましく、0.4m・g−1以上が更に好ましく、また、好ましくは4.0m・g−1以下であり、2.5m・g−1以下がより好ましく、1.5m・g−1以下が更に好ましい。BET比表面積の値が、上記範囲内であると、電池性能の低下を防ぎ易い。さらに、十分なタップ密度を確保でき、正極活物質形成時の塗布性が良好となる。
正極活物質のBET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて測定する。具体的には、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定する。該測定で求められる比表面積を、本発明における正極活物質のBET比表面積と定義する。
(8)正極活物質の製造法
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えばその1例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
更に別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
<2−4−2.正極構造と作製法>
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
(正極の作製法)
正極は、正極活物質粒子とバインダーとを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知のいずれの方法でも作製することができる。例えば、正極活物質とバインダー、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
正極活物質の正極活物質層中の含有量は、好ましくは60質量%以上であり、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、また、好ましくは99.9質量%以下であり、99質量%以下がより好ましい。正極活物質の含有量が、上記範囲内であると、電気容量を十分確保できる。さらに、正極の強度も十分なものとなる。なお、本発明における正極活物質粉体は、1種を単独で用いてもよく、異なる組成又は異なる粉体物性の2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。2種以上の活物質を組み合わせて用いる際は、前記リチウムとマンガンを含有する複合酸化物を粉体の成分として用いることが好ましい。コバルト又はニッケルは、資源量も少なく高価な金属であり、自動車用途等の高容量が必要とされる大型電池では活物質の使用量が大きくなることから、コストの点で好ましくないため、より安価な遷移金属としてマンガンを主成分に用いることが望ましいためである。
(導電材)
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の導電材の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、また、好ましくは50質量%以下であり、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。含有量が上記範囲内であると、導電性を十分確保できる。さらに、電池容量の低下も防ぎやすい。
(バインダー)
正極活物質層の製造に用いるバインダーは、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であれば特に限定されないが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中のバインダーの含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、好ましくは80質量%以下であり、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。バインダーの割合が、上記範囲内であると、正極活物質を十分保持でき、正極の機械的強度を確保できるため、サイクル特性等の電池性能が良好となる。さらに、電池容量や導電性の低下を回避することにもつながる。
(液体媒体)
正極活物質層を形成するためのスラリーの調製に用いる液体媒体としては、正極活物質、導電材、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系媒体の例としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体の例としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(増粘剤)
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
増粘剤としては、本発明の効果を著しく制限しない限り制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、燐酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤を使用する場合には、正極活物質に対する増粘剤の割合は、好ましくは0.1質量%以上であり、0.5質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、好ましくは5質量%以下であり、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。上記範囲内であると、塗布性が良好となり、さらに、正極活物質層に占める活物質の割合が十分なものとなるため、電池の容量が低下する問題や正極活物質間の抵抗が増大する問題を回避し易くなる。
(圧密化)
集電体への上記スラリーの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.5g・cm−3以上が更に好ましく、2g・cm−3以上が特に好ましく、また、4g・cm−3以下が好ましく、3.5g・cm−3以下が更に好ましく、3g・cm−3以下が特に好ましい。
正極活物質層の密度が、上記範囲内であると、集電体/活物質界面付近への非水系電解液の浸透性が低下することなく、特に高電流密度での充放電特性が良好となる。さらに、活物質間の導電性が低下し難くなり、電池抵抗が増大し難くなる。
(集電体)
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
集電体の厚さは任意であるが、好ましくは1μm以上であり、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、好ましくは1mm以下であり、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。集電体の厚さが、上記範囲内であると、集電体として必要な強度を十分確保することができる。さらに、取り扱い性も良好となる。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(非水系電解液注液直前の片面の活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)が、好ましくは150以下であり、20以下がより好ましく、10以下が特に好ましく、また、好ましくは0.1以上であり、0.4以上がより好ましく、1以上が特に好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比が、上記範囲内であると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じ難くなる。さらに、正極活物質に対する集電体の体積比が増加し難くなり、電池容量の低下を防ぐことができる。
(電極面積)
高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、非水系電解液二次電池の外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和を、面積比で20倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
(放電容量)
本発明の非水系電解液を用いる場合、非水系電解液二次電池の1個の電池外装に収納される電池要素のもつ電気容量(電池を満充電状態から放電状態まで放電したときの電気容量)が、1アンペアーアワー(Ah)以上であると、低温放電特性の向上効果が大きくなるため好ましい。そのため、正極板は、放電容量が満充電で、好ましくは3Ah(アンペアアワー)であり、より好ましくは4Ah以上、また、好ましくは100Ah以下であり、より好ましくは70Ah以下であり、特に好ましくは50Ah以下になるように設計する。
上記範囲内であると、大電流の取り出し時に電極反応抵抗による電圧低下が大きくなり過ぎず、電力効率の悪化を防ぐことができる。さらに、パルス充放電時の電池内部発熱による温度分布が大きくなり過ぎず、充放電繰り返しの耐久性が劣り、また、過充電や内部短絡等の異常時の急激な発熱に対して放熱効率も悪くなるといった現象を回避することができる。
(正極板の厚さ)
正極板の厚さは、特に限定されないが、高容量かつ高出力、高レート特性の観点から、集電体の厚さを差し引いた正極活物質層の厚さは、集電体の片面に対して、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
<2−5.セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アラミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、更に好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記セパレータの厚さは任意であるが、好ましくは1μm以上であり、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、また、好ましくは50μm以下であり、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。セパレータの厚さが、上記範囲内であると、絶縁性や機械的強度が良好なものとなる。さらに、レート特性等の電池性能の低下を防ぐことができ、非水系電解液二次電池全体としてのエネルギー密度の低下も防ぐことができる。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、好ましくは20%以上であり、35%以上がより好ましく、45%以上が更に好ましく、また、好ましくは90%以下であり、85%以下がより好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲内であると、膜抵抗が大きくなり過ぎず、レート特性の悪化を抑制できる。さらに、セパレータの機械的強度も適度なものとなり、絶縁性の低下も抑制できる。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、好ましくは0.5μm以下であり、0.2μm以下がより好ましく、また、好ましくは0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲内であると、短絡が生じ難くなる。さらに、膜抵抗も大きくなり過ぎず、レート特性の低下を防ぐことができる。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物類、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状若しくは繊維形状のものが用いられる。
セパレータの形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製のバインダーを用いて前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に、90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子と、バインダーであるフッ素樹脂とを使用して多孔層を形成させて得られたセパレータである。
<2−6.電池設計>
(電極群)
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、好ましくは40%以上であり、50%以上がより好ましく、また、好ましくは95%以下であり、90%以下がより好ましい。電極群占有率が、上記範囲内であると、電池容量が小さくなり難くなる。また、適度な空隙スペースを確保できるため、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合を回避することができる。
(集電構造)
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
電極群が前述の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。1枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が前述の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
(保護素子)
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター、温度ヒューズ、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
(外装体)
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体(外装ケース)内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に限定されるものではない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル、チタン等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
上記金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、又は、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
また、外装ケースの形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
本実施例に使用した化合物の略号を以下に示す。
Figure 2016051698
Figure 2016051698
〔実施例1−1、比較例1−1〕
[非水系電解液二次電池の作製]
<非水系電解液の調製>
[実施例1−1]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.5質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
この非水系電解液を用いて下記の方法で非水系電解液二次電池を作製し、下記評価を実施した。
[比較例1−1]
化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例1−1と同様に非水系電解液二次電池を作製し、下記評価を実施した。
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li1.05Ni0.33Mn0.33Co0.33)90質量部、導電材としてのカーボンブラックを7質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<負極の作製>
グラファイト粉末97.5質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)150質量部と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。
<非水系電解液二次電池の製造>
上記の正極、負極、及びポリオレフィン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素をアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、前述の非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
[非水系電解液二次電池の評価]
・初期充放電
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.05C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。以下同様。)で10時間充電後、3時間休止させ、その後4.1Vまで0.2Cで定電流充電した。さらに3時間の休止の後に、4.1Vまで0.2Cで定電流−定電圧充電し、次いで0.33Cで3.0Vまで定電流放電した。その後、4.1Vまでの0.33C定電流−定電圧充電と、これに続く3.0Vまでの0.33C定電流放電を1サイクルとする充放電サイクルを2サイクル行った。
さらに、4.1Vまで0.33Cで定電流−定電圧充電した後に、電池を60℃で12時間保管することで電池を安定させた。その後、25℃にて4.2Vまでの0.33C定電流−定電圧充電と、これに続く3.0Vまでの0.33C定電流放電の充放電サイクルを2サイクル行った。
・60℃サイクル試験
初期充放電を実施した電池を、60℃において、2Cの定電流法で4.2Vまで充電した後、2Cの定電流法で3.0Vまで放電する充放電を500サイクル行った。このときの第1サイクル放電容量に対する第500サイクル放電容量の割合を「60℃サイクル容量維持率」とした。
表1に、60℃サイクル容量維持率を示す。即ち、表1に記載の60℃サイクル容量維持率は、値が大きいほど、容量劣化が小さく好ましいといえる。
Figure 2016051698
表1から明らかなように、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極を用いた非水系電解液二次電池において、非水系電解液中に、特定化合物を含有させると、高温サイクル容量維持率が増加する。
〔実施例2−1、比較例2−1〕
[非水系電解液二次電池の作製]
<非水系電解液の調製>
[実施例2−1]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。この非水系電解液を用いて下記の方法で非水系電解液二次電池を作製し、下記の評価を実施した。
[比較例2−1]
化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例2−1と同様に非水系電解液二次電池を作製し、下記評価を実施した。
<正極の作製>
第一の正極活物質としてのマンガン酸リチウム(Li1.1Mn1.9Al0.1)67.5質量部、第二の正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li1.05Ni0.33Mn0.33Co0.33)22.5質量部、導電材としてのカーボンブラックを5質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<負極の作製>
グラファイト粉末97.5質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)150質量部と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。
<非水系電解液二次電池の製造>
上記の正極、負極、及びポリオレフィン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素をアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、前述の非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
[非水系電解液二次電池の評価]
・初期充放電
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.1Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.1Cで2.7Vまで放電した。続いて0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.7Vまで放電した。これを2サイクル、合計3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を60℃に24時間保持しエージングを実施した。
・55℃サイクル試験
55℃の恒温槽中、1Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.7Vまで放電する過程を1サイクルとして、199サイクル実施した。199サイクル目の容量の1サイクル目の容量に対する割合を「55℃サイクル容量維持率」とした。
下記表2に55℃サイクル容量維持率を示す。
Figure 2016051698
表2から明らかなように、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極を用いた非水系電解液二次電池において、非水系電解液中に、特定化合物を含有させると、高温サイクル容量維持率が増加する。
〔実施例3−1〜3−6、比較例3−1〕
[非水系電解液二次電池の作製]
<負極の作製>
グラファイト粉末97.5質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)150質量部と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。
<非水系電解液二次電池の製造>
後述する各実施例及び比較例の正極、上記の負極、及び後述する各実施例及び比較例の非水系電解液を予め含浸させておいたポリオレフィン製セパレータを、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を、2032コイン型電池用缶体に収め、カシメ機でかしめることによりコイン型の非水系電解液二次電池を作製した。このようにして得られた非水系電解液二次電池を後述のように評価した。
[実施例3−1]
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li1.05Ni0.33Mn0.33Co0.33、以下NMC333と呼ぶことがある)90質量部、導電材としてのカーボンブラックを7質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
<非水系電解液二次電池の高温放置特性評価>
・初期充放電
25℃の恒温槽中、コイン型の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.5Vまで放電した。これを3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電し、満充電状態とした。
・60℃放置試験
満充電状態の非水系電解液二次電池を60℃の恒温槽にて6日間放置した。
・大電流耐性測定
60℃放置試験後の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.5Vまで放電し、再度0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、2Cの定電流で2.5Vまで放電した。2Cでの放電容量の1Cでの放電容量に対する割合(%)を「大電流耐性」とした。
[実施例3−2]
十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%に加え、さらに十分に乾燥させた化合物2を0.2質量%溶解させた非水系電解液を用いたこと以外は実施例3−1と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[実施例3−3]
<正極の作製>
第一の正極活物質としてのマンガン酸リチウム(Li1.1Mn1.9Al0.1)67.5質量部、第二の正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(NMC333)22.5質量部、導電材としてのカーボンブラックを5質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
<非水系電解液二次電池の高温放置特性評価>
・初期充放電
25℃の恒温槽中、コイン型の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.5Vまで放電した。これを3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電し、満充電状態とした。
・60℃放置試験
満充電状態の非水系電解液二次電池を60℃の恒温槽にて6日間放置した。
・大電流耐性測定
60℃放置試験後の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.5Vまで放電し、再度0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、2Cの定電流で2.5Vまで放電した。2Cでの放電容量の1Cでの放電容量に対する割合(%)を「大電流耐性」とした。
[実施例3−4]
十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%に加え、さらに十分に乾燥させた化合物2を0.2質量%溶解させた非水系電解液を用いたこと以外は実施例3−3と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[実施例3−5]
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li1.05Ni0.50Mn0.29Co0.21、以下NMC532と呼ぶことがある)90質量部、導電材としてのカーボンブラックを7質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
<非水系電解液二次電池の高温放置特性評価>
・初期充放電
25℃の恒温槽中、コイン型の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.5Vまで放電した。これを3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電し、満充電状態とした。
・60℃放置試験
満充電状態の非水系電解液二次電池を60℃の恒温槽にて6日間放置した。
・大電流耐性測定
60℃放置試験後の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.5Vまで放電し、再度0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、2Cの定電流で2.5Vまで放電した。2Cでの放電容量の1Cでの放電容量に対する割合(%)を「大電流耐性」とした。
[実施例3−6]
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物(Li0.98Ni0.81Co0.15Al0.04、以下NCAと呼ぶことがある)95質量部、導電材としてのカーボンブラックを3質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
<非水系電解液二次電池の高温放置特性評価>
・初期充放電
25℃の恒温槽中、コイン型の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.5Vまで放電した。これを3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電し、満充電状態とした。
・60℃放置試験
満充電状態の非水系電解液二次電池を60℃の恒温槽にて6日間放置した。
・大電流耐性測定
60℃放置試験後の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.5Vまで放電し、再度0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、2Cの定電流で2.5Vまで放電した。2Cでの放電容量の1Cでの放電容量に対する割合(%)を「大電流耐性」とした。
[比較例3−1]
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムコバルト複合酸化物(Li1.02Co0.98Mg0.01Al0.01、以下LCOと呼ぶことがある)97質量部、導電材としてのカーボンブラックを1.5質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を1.5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPFを1mol/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、十分に乾燥させた化合物1を0.3質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。
<非水系電解液二次電池の高温放置特性評価>
・初期充放電
25℃の恒温槽中、コイン型の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで2.5Vまで放電した。これを3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電し、満充電状態とした。
・60℃放置試験
満充電状態の非水系電解液二次電池を60℃の恒温槽にて6日間放置した。
・大電流耐性測定
60℃放置試験後の非水系電解液二次電池を0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1Cの定電流で2.5Vまで放電し、再度0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、2Cの定電流で2.5Vまで放電した。2Cでの放電容量の1Cでの放電容量に対する割合(%)を「大電流耐性」とした。
[参考例3−1]
非水系電解液中に化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例3−1と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[参考例3−2]
非水系電解液中に化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例3−3と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[参考例3−3]
非水系電解液中に化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例3−5と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[参考例3−4]
非水系電解液中に化合物1を溶解させなかったこと以外は実施例3−6と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
[参考例3−5]
非水系電解液中に化合物1を溶解させなかったこと以外は比較例3−1と同様に非水系電解液二次電池を作製し、評価を実施した。
下記表3に、大電流耐性について、化合物1の添加により悪化してしまった割合を示す。すなわち、実施例3−1および3−2については参考例3−1の大電流耐性からの悪化分を、実施例3−3および3−4については参考例3−2の大電流耐性からの悪化分を、実施例3−5については参考例3−3の大電流耐性からの悪化分を、実施例3−6については参考例3−4の大電流耐性からの悪化分を、比較例3−1については参考例3−5の大電流耐性からの悪化分を示す。
例えば実施例3−1の大電流耐性悪化の値は、
{参考例3−1の値(%)}−{実施例3−1の値(%)}
で算出され、その値は小さいことが好ましい。
Figure 2016051698
表3から明らかなように、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有しない正極を用いた非水系電解液二次電池において、非水系電解液中に特定化合物を含有させると、大電流耐性を著しく損なうのに対し、前記遷移金属酸化物を含有する正極を用いた非水系電解液二次電池においては、非水系電解液中に特定化合物を含有させても、大電流耐性がほとんど悪化しない。
本発明の非水系電解液によれば、高温寿命と高温放置後大電流容量の劣化抑制とを両立させた電池を提供することができるので、当該非水系電解液は非水系電解液二次電池が用いられる電子機器等のあらゆる分野において好適に利用できる。また、非水系電解液を用いるリチウムイオンキャパシタ等の電解コンデンサにおいても好適に利用できる。
本発明の非水系電解液及び非水系電解液二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。その用途の具体例としては、ラップトップコンピュータ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンタ、携帯オーディオプレーヤー、小型ビデオカメラ、液晶テレビ、ハンディクリーナー、トランシーバ、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。

Claims (10)

  1. 金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、
    金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、
    非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液と
    を備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、
    下記一般式(1)で示される構造を有する化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
    Figure 2016051698

    (式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基である。但し、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合あるいはシアノ基を有する。)
  2. 前記一般式(1)中、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の有機基である、請求項1に記載の非水系電解液。
  3. 前記一般式(1)中、R〜Rの少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合を有する有機基である、請求項1または2に記載の非水系電解液。
  4. 前記一般式(1)において、炭素−炭素不飽和結合を有する有機基が、アリル基及びメタリル基からなる群より選ばれる基である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の非水系電解液。
  5. 前記一般式(1)で示される構造を有する化合物を、非水系電解液全量に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下で含有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の非水系電解液。
  6. フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、ジフルオロリン酸塩、フルオロ硫酸塩、イソシアナト基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、環状スルホン酸エステル、及びジカルボン酸錯体塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の非水系電解液。
  7. 前記非水溶媒として、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有し、鎖状カーボネートとして少なくとも2種類の鎖状カーボネートを含有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の非水系電解液。
  8. 前記少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物が下記組成式(2)で示される、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の非水系電解液。
    Lia1Nib1Coc1d1・・・(2)
    (式(2)中、0.9≦a1≦1.1、0.3≦b1≦0.9、0.1≦c1≦0.5、0.0≦d1≦0.5の数値を示し、0.5≦b1+c1かつb1+c1+d1=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
  9. 前記少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物が下記組成式(3)で示される、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の非水系電解液。
    Lia2Nib2Coc2d2・・・(3)
    (式(3)中、0.9≦a2≦1.1、0.3≦b2≦0.9、0.1≦c2≦0.5、0.0≦d2≦0.5の数値を示し、c2≦b2かつ0.6≦b2+c2かつb2+c2+d2=1を満たす。MはMn、Al、Mg、Zr、Fe、Ti及びErからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
  10. 金属イオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物であって、少なくともNiとCoを含有し、遷移金属のうち50モル%以上がNiとCoである遷移金属酸化物を含有する正極と、
    金属イオンを吸蔵および放出可能な負極と、
    非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質を含む非水系電解液と
    を備える非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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