JP2016051522A - 走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡 - Google Patents

走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】正確に実験像の補正のなされた走査透過型電子顕微鏡像を得ることのできる走査透過型電子顕微鏡を提供する。【解決手段】電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、試料を透過また散乱された電子線を検出することにより、明視野像を取得する明視野検出器と、試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器とを備え、試料を設置してエネルギースペクトルを取得して弾性散乱像及び非弾性散乱像を得て弾性散乱像及び非弾性散乱像の平均強度を算出し、平均強度の和に対する弾性散乱像の平均強度の比率を算出し、明視野像を取得して弾性散乱像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行う。【選択図】図8

Description

本発明は、走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡に関するものである。
過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)は、材料の原子レベルでの構造解析や組成解析を行う上で、極めて重要な技法の一つである。特に高分解能走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)はその強度が試料を構成する原子番号に依存するため、欠陥構造や不純物濃度を解析する方法として広く用いられている。しかしながら、実際にSTEM像を用いて不純物濃度などを定量評価する場合には計算像と実験像を比較する必要がある。STEM像におけるパターンのみを比較するならば、画像照合技術などで十分な効果を発揮するが、不純物濃度などを定量評価しようとする場合、実験によって得られる強度と計算の強度を厳密に比較して見積もる必要がある。
ところで、実際に観察において得られるSTEM像(実験像)は、電子のカウント数に基づき得られる像であるため、計算像との比較においては標準試料等を用いた校正が必要となる。このため、2008年にLeBeau等の研究グループによって、真空領域で取得された電子のカウント数によって実験像における強度を校正し、計算像と定量比較可能な像を取得する方法が提案された(例えば、非特許文献1)。この方法によって実験像と計算像の定量比較が可能となった。
J.M. LeBeau et al., Phys. Rev. Lett., 100 (2008) 206101. T. Yamazaki et al., Ultramicroscopy, 110 (2010) 1161.
しかしながら、非特許文献1に記載されている方法では、非弾性散乱の影響が考慮されていないため、厳密には実験像における強度の補正が正確ではなく、より正確に実験像の補正のなされたSTEM像を得る方法が求められていた。
本実施の形態の一観点によれば、電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、前記試料を透過または前記試料により散乱された電子線を検出することにより、前記試料における明視野像を取得する明視野検出器と、前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器と、を有する走査透過型電子顕微鏡における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法において、前記試料を設置してエネルギースペクトルを取得する工程と、前記試料を設置して得られるエネルギースペクトルより弾性散乱による像及び非弾性散乱による像を得る工程と、前記弾性散乱による像及び前記非弾性散乱による像の平均強度を算出する工程と、前記弾性散乱による像の平均強度と前記非弾性散乱による像の平均強度の和に対する前記弾性散乱による像の平均強度の比率を算出する工程と、前記試料を設置して明視野像を取得する工程と、前記取得された明視野像に、前記弾性散乱による像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行うことにより走査透過型電子顕微鏡像を得る工程と、を有することを特徴とする。
開示の走査透過型電子顕微鏡像の取得方法によれば、正確に実験像の補正のなされた走査透過型電子顕微鏡像(STEM像)を得ることができる。
第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡の構造図 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡の説明図 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の説明図(1) 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の説明図(2) 電子エネルギー損失分光器により得られたエネルギースペクトル 電子エネルギー損失分光器により得られた像の説明図 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の説明図(3) 試料の膜厚と電子エネルギー損失分光器により得られた平均強度との相関図 明視野像を弾性散乱による像と非弾性散乱による像とに分離した場合の説明図 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法のフローチャート 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の工程図(1) 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の工程図(2) 第1の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の工程図(3) 第2の実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法のフローチャート
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
(走査透過電子顕微鏡)
最初に、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡について、図1に基づき説明する。本実施の形態における走査透過電子顕微鏡は、共焦点走査透過型電子顕微鏡装置であり、電子線10を放出する電子源となる電界放射型電子銃11、放出された電子線10を加速する加速部12を備えている。
加速部12において加速された電子線10は、収束レンズ13、14(図においては、集束レンズが2段構造のものを示している)により収束された後、収束レンズ絞り15により試料40に照射される電子線の照射半角度が調整される。このように収束された電子線10からなる電子線プローブは、電子線走査部となる走査コイル16により偏向され、球面収差補正部17を介した後、対物レンズ18により極微小電子線プローブとなり、試料40に照射される。この走査透過電子顕微鏡では、走査コイル16により電子線10を偏向することにより、電子線10を走査することができ、試料40を構成している原子像等を得ることができる。尚、球面収差補正部17は、上述した球面収差補正装置が用いられており、電子線10の球面収差補正及び色収差補正を行うことができ、球面収差補正部17により、球面収差係数を1μm以下にすることができる。図1に示される走査透過電子顕微鏡においては、2段構造の収束レンズ13、14を示しているが、集束レンズは、複数段配置した構造のものであってもよい。
収束レンズ13、14を調整することにより、焦点位置が調整された極微小電子線プローブとなった電子線は、試料40に照射され、試料40を透過、または、試料40において散乱される。このように試料40を透過、または、試料40において散乱された電子線は、投影レンズ19を介し、試料40の後段に設置されている環状暗視野検出器21、明視野検出器22、電子エネルギー損失分光器(EELS)23等により検出することができる。
環状暗視野検出器21は、ADF(annular dark-filed:環状暗視野)−STEM像を検出するためのものであり、中央部分に開口部21aが設けられており、リング状に形成されている。明視野検出器22は、MABF(middle-angle bright-field:中角度領域明視野)−STEM像を検出するためのものであり、環状暗視野検出器21の開口部21aを通った電子線を検出する。電子エネルギー損失分光器(EELS:electron energy loss spectroscopy)23は、明視野検出器22と同様に、環状暗視野検出器21の開口部21aを通った電子線を検出する。図2は、試料40に照射された電子線10と、環状暗視野検出器21、明視野検出器22及び電子エネルギー損失分光器23との位置関係を示している。尚、図1及び図2は、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡において、試料40を透過、または、試料40において散乱された電子線が、環状暗視野検出器21における開口部21aを通り、電子エネルギー損失分光器23により検出される状態を示している。
また、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡は、制御解析部50を有している。制御解析部50は、画像取得部51、スペクトルデータ取得部52、演算処理部53等を有しており、環状暗視野検出器21、明視野検出器22、電子エネルギー損失分光器23において得られた情報を基に、画像形成、画像の規格化、補正等を行うことができる。このようにして得られた画像情報は、制御解析部50より制御解析部50に接続された表示部60に表示される。また、制御解析部50により、収束レンズ13、14、球面収差補正部17、対物レンズ18、投影レンズ19等の制御がなされる。
本実施の形態における走査透過電子顕微鏡においては、明視野検出器22は移動させることが可能である。明視野検出器22を環状暗視野検出器21の開口部21aに位置するように移動させた場合には、開口部21aを通過した電子線は明視野検出器22により検出される。また、明視野検出器22を環状暗視野検出器21の開口部21aの外に移動させた場合には、開口部21aを通過した電子線は電子エネルギー損失分光器23により検出される。
より詳細に説明すると、本実施の形態における走査透過電子顕微においては、高分解能STEM像は、試料40にナノメートル以下に収束させた電子線を入射させて回折像を取得することにより得ることができる。その回折像面に、環状暗視野検出器21を設置することにより、環状暗視野検出器21に到達する電子の数をカウントし、このカウント数を入射電子の位置と同期させて像の強度とする。このような工程を収束電子線を走査しながら行い、2次元像を取得することにより、暗視野STEM像を取得することができる。このようにして得られた像は一般的には、HAADF(high-angle annular dark-field)−STEM像と呼ばれている。この像の特徴は、原子の位置において元素の原子番号に対応した強度が得られることにある。また、電子線を収束させる電磁レンズの焦点や試料40の厚さに像のコントラストが極めて鈍感であるため、原子直視性に優れた像を取得することができる。また、像の空間分解能は収束電子線を収束する径に依存するため、球面収差補正装置を用いた場合においては、空間分解能は1nm以下にすることが可能であり、試料40における構造解析に広く利用されている。
近年の電子顕微鏡技術、特にSTEM像を用いた技術においては、定量解析技術が極めて重要な開発要素の一つとなっている。STEM像は、電子線の入射位置毎に検出器に到達する電子の数により形成される像であるため、像の明暗(像の強度)は電子のカウント数に依存している。一方、定量解析技術において必要不可欠な計算像との比較過程においては、計算像が入射した電子の数のうち検出器に到達する数の比率で表されるため、実験像を適切に規格化し(必要ならばバックグラウンドを除去し)計算像と比較する必要がある。この規格化に用いられる因子(およびバックグランドを表す因子)が不確定であるため、一般的には、標準試料や標準観察領域を用いて規格化因子を別途算出する必要がある。
ところで、非特許文献1において開示されている方法では、試料40が設置されていない状態において入射電子線の強度を測定し、次に、試料40を設置した状態において実験像を取得し、取得された実験像からその強度比を算出する。この後、算出された強度比に基づき実験像と計算像を直接比較可能な状態に変換することにより、極めて定量性の良い実験像を得ることができる。しかしながら、この方法は、定量性の良い実験像を得るには優れた方法であるが、計算に含める非弾性散乱の取り扱いが不十分である。
具体的には、非特許文献1に開示されている方法は、電子線が試料40に入射した際の非弾性散乱現象のうちの一つである熱散漫散乱(TDS:thermal diffuse scattering)の影響を正確に取り入れることで、定量精度を向上させている。しかしながら、電子線が試料40に入射した際の非弾性散乱現象としては、他にも無視できない散乱現象があり、特に、電子の集団励起による所謂プラズモン散乱の効果は無視することができない。
一般的な計算手法においては、プラズモン散乱の影響を正確に導入することは困難である。このため、電子回折像の計算技術においては、プラズモン散乱の影響を吸収として近似する方法が考えられる。プラズモン散乱を吸収として扱った場合には、明視野検出器22等の検出器にはプラズモン散乱された電子は到達していないことになるため、計算像の平均強度は、吸収としてプラズモン散乱を考慮した場合の方が、考慮しない場合と比べて減少する。しかしながら、実際には、プラズモン散乱された電子は、弾性散乱電子と非干渉であるものの、電子自体がなくなるわけではないため明視野検出器22等の検出器に到達し、実験像となるSTEM像にはバックグラウンド強度として検出されてしまう。これらの現象から、より正確な定量評価を行うためには、プラズモン散乱の影響を正確に反映した計算技術を構築し実験像と比較することが好ましい。
(走査透過電子顕微鏡による画像取得の概要)
本実施の形態における走査透過電子顕微鏡による画像取得方法について説明する。本実施の形態における走査透過電子顕微鏡による画像取得方法は、非弾性散乱現象の一つであるプラズモン損失電子による影響が含まれていない電子顕微鏡像を取得する方法である。具体的には、本実施の形態は、プラズモン散乱の影響を吸収とすることにより、プラズモン散乱による影響が取り除かれている像を取得する方法である。このような実験像を本実施の形態においては、zero-loss STEM像と記載する場合がある。
本実施の形態は、所謂エネルギーフィルターSTEM像の取得を行うものであり、STEM−EELS法によって、zero-loss STEM像を取得し定量評価に用いる。具体的には、STEM−EELS法は収束した電子を試料40に入射させて、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギー損失分光スペクトル(EELSスペクトル)を取得する。この際、入射電子を原子レベルで走査することによって、各入射位置で得られるEELSスペクトルを取得し、得られたEELSスペクトルに基づき画像を形成する。
EELSスペクトルは、エネルギーとカウント数の相関関係であるため、エネルギーを失わない電子から非弾性散乱によって電子のエネルギーを失った電子のまでの強度の全ての情報がエネルギー毎に含まれている。このEELSスペクトルにおける全エネルギー領域を積算して入射プローブの位置の強度として像を構築すると、電子エネルギー損失分光器23の大きさと同じ大きさの円板検出器である明視野検出器22により取得された明視野STEM像に対応した像となる。
従って、EELSスペクトルのエネルギー損失がないエネルギー領域において積算して像を構築すればzero-loss STEM像を取得することができる。また、非弾性散乱によりエネルギーが失われたエネルギー領域において積算して像を構築すれば、非弾性散乱像を取得することができる。このように各種取得されたSTEM−EELS像の平均強度を試料40が設置されていない状態において取得されたSTEM−EELS像の平均強度で割れば、入射する電子線の数に対して像を構築する強度比を求めることができる。このように求められた実験結果のうち、zero-loss STEM像の強度に関しては、計算像にプラズモン散乱の影響を吸収として考慮した結果の像と直接定量比較が可能となる。更に、円板検出器である明視野検出器22において得られた明視野STEM像の強度も、STEM−EELS法によって求められた校正値によって補正することにより、定量化することができる。
ところで、プラズモン散乱が像に及ぼす影響は、像の平均強度を変えるだけである。よって、校正曲線により得られたzero-loss STEM像の強度と非弾性散乱像の強度の比より、明視野STEM像に基づいてzero-loss STEM像の強度に対応した像を得ることができる。これにより、品質の高い像を得ることができ、定量比較も可能となる。
尚、現在開示されている電子顕微鏡像定量解析手法は、非弾性散乱を含んだ結果について解析している。しかしながら、本実施の形態においては、プラズモン散乱の影響を吸収として考慮したzero-loss STEM像と定量比較可能になるため、定量精度を向上させることができる。また、STEM−EELS像を得る際には、長い観察時間が必要となるため試料が汚染されやすく、多くの画素数の像を得ることが困難である。本実施の形態においては、高解像度で取得された明視野STEM像を画像演算することにより、定量評価可能な像を得ることができるため、この観点からも精度の高い定量評価を行うことができる。
また、電子エネルギー損失分光器(EELS)23を搭載した走査透過電子顕微鏡は、電子線が入射する点毎にEELSスペクトルを取得することができるため、成分分析や電子状態分析を2次元的に行うことができる。特に、近年の電磁レンズの球面収差補正装置の実現によって、大電流の入射プローブを得ることができるようになったため、EELSスペクトルを原子分解能を有した空間分解能で取得することが可能である。図1に示される走査透過電子顕微鏡においては、HAADF−STEM像とEELSスペクトルを同時取得することにより、電子線の各入射位置毎に原子レベルでのEELS分光結果を取得することができる。これにより、試料40における原子構造とそれに対応した電子状態を解析することができる。また、本実施の形態においては、後述するように、STEM−EELS像に基づき、定量評価可能な明視野STEM像を取得することができる。
本実施の形態における走査透過電子顕微鏡において、明視野STEM像を取得する際には、図3(a)に示すように、明視野検出器22を電子線の経路の中心まで移動させて、STEM像を取得する。このようにして得られた図3(b)に示されるBF−STEM像はHAADF−STEM像の反転像であり、原子の位置が暗い点として表される。このように明視野検出器22を用いて取得された像は、弾性散乱電子のみならずプラズモン散乱も含む非弾性散乱電子により得られた像であり、(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像である。
また、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡においては、STEM−EELS像を取得する際には、図4(a)に示すように、電子エネルギー損失分光器23に電子線が入射する状態にして情報を取得する。電子エネルギー損失分光器23は、入射した電子のエネルギーにより分光する分光器を有しており、図4(b)及び図5に示されるように、入射点毎に分光されたスペクトルを得ることができる。具体的には、非弾性散乱によるピークは、弾性散乱によるピークよりも、エネルギーロスの高い領域に出現する。本実施の形態では、全エネルギー領域をエネルギー範囲Aとし、弾性散乱によるエネルギー損失をしていないzero-loss ピークを含む領域をエネルギー範囲Bとし、非弾性散乱によるエネルギー損失をしているピークを含む領域をエネルギー範囲Cとする。尚、本実施の形態においては、エネルギー範囲Cは、エネルギー範囲Aよりエネルギー範囲Bが除かれたエネルギー範囲であるものとする。また、図5においては、便宜上、弾性散乱による電子の場合に対して、プラズモン散乱された電子の場合における強度分布を10倍で示しており、内殻励起に起因した電子の場合における強度分布を更に10倍で示している。
一般的に、プラズモン散乱された電子は、弾性散乱よりもエネルギーロスの高い領域であって、僅かにエネルギーを損失した低損失領域にピークが現れる。また、本実施の形態においては、影響が少ないとみなして考慮していないが、内殻励起に起因した損失スペクトルは、弾性散乱よりもエネルギーロスの高い領域であって、プラズモン散乱よりも、エネルギーロスの高い領域に現れる。
本実施の形態においては、所定のエネルギー領域に積分領域を設定して、入射位置毎にEELSスペクトルを積分することにより、入射位置毎の強度を算出して、所定のエネルギー領域におけるSTEM−EELS像を得ることができる。従って、全エネルギー領域、即ち、エネルギー範囲Aにおいて積分して像を得た場合、図6(a)に示される像となり、明視野検出器22により得られた明視野STEM像と同様の明るさの像となる。
また、図6(b)に示される像は、エネルギー範囲Bを積分範囲に設定し、積分することにより得られるSTEM−EELS像であり、弾性散乱像である。図6(c)に示される像は、エネルギー範囲Cを積分範囲に設定し、積分することにより得られるSTEM−EELS像であり、非弾性散乱像である。従って、エネルギー範囲Bを積分範囲に設定し積分することにより得られた弾性散乱像とエネルギー範囲Cを積分範囲に設定し積分することにより得られた非弾性散乱像との和が、全エネルギー領域となるエネルギー範囲Aにおいて積分して得られた像となる。このように、STEM−EELS像においては、各々の散乱現象に対応した像を別々に得ることができる。
尚、本実施の形態においては、最初に、実験像を定量評価可能な像に規格化するため、図7(a)に示されるように、試料40が設置されていない状態でSTEM−EELS像を取得する。この場合、試料40が設置されていない状態で取得されたスペクトルであるため、図7(b)に示すように、zero-loss ピークのみしかスペクトルには現れない。そこで、得られたスペクトルの全エネルギー領域において積分することにより、図7(c)に示されるように像を取得し、その平均強度を算出する。
この後、試料40を設置して、試料40が設置されていない場合と同じ条件で、STEM−EELS像を取得する。具体的には、スペクトルの全エネルギー領域であるエネルギー範囲Aにおいて積分することにより、図6(a)に示される(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像を得る。また、弾性散乱によるエネルギー損失していないzero-lossピークを含む領域であるエネルギー範囲Bにおいて積分することにより、図6(b)に示される弾性散乱明視野STEM像を得る。また、非弾性散乱によるエネルギー損失をしているピークを含む領域であるエネルギー範囲Cにおいて積分することにより、図6(c)に示される非弾性散乱明視野STEM像を得る。このようにして、図6に示されるように3種類の像を取得し、このようにして得られた像を前述した試料40が設置されていない状態において得られた平均強度で割り、百分率で表示することによって、計算結果との定量比較が可能となる。
(実施例)
次に、本実施の形態における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法の実施例について説明する。この実施例において用いられた試料はSi(111)であり、この試料における膜厚と明視野STEM像における平均強度との関係を図8に示す。図8においては、実験像によって得られた平均強度をマーカーにより示し、計算結果によって得られた平均強度を実線及び点線により示す。また、縦軸は明視野STEM像における平均強度であり、横軸は試料の厚さである。
図8より、試料の厚さが厚くなるに伴い、非弾性散乱の割合が高まり、明視野STEM像の平均強度は減少している。マーカーは、実験により得られた3種類の走査透過型電子顕微鏡像に対応しており、黒丸が(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像、白丸が弾性散乱明視野STEM像、×印が非弾性散乱明視野STEM像における結果を示している。本実施例に示されるように、本実施の形態においては、(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像を弾性散乱明視野STEM像と非弾性散乱明視野STEM像とに分離することができる。図8に示されるように、(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像には、無視できない割合で非弾性散乱が像に寄与していることがわかる。
計算結果については、従来の計算方法としてプラズモン散乱を考慮しない計算結果を黒の実線で示し、プラズモン散乱の影響を吸収として考慮した結果を点線で示している。プラズモン散乱を吸収として考慮した場合における計算結果は、実験において得られた弾性散乱明視野STEM像の結果と非常によい一致を示していることがわかる。
また、図8においては、代表的な厚さで計算された計算像(Sim.)と実験像(Exp.)とを画像により示しているが、これらの画像より、明視野STEM像における平均強度と像の特徴は非常によく一致している。従来は、実験像の強度と計算像の強度とを別に求め、標準試料を用いて規格化させていたが、本実施の形態においては、それらを必要としないため、不純物濃度等を精度よく求めることができるようになる。
STEM−EELS像は、円板状検出器である明視野検出器22により取得された明視野STEM像と異なり、エネルギー分光した結果に基づき、各散乱現象におけるSTEM−EELS像を別々に得ることができる。しかしながら、STEM−EELS法では入射位置毎に分光スペクトルを取得する必要があるため、像の取得時間が長くなり、得られた像の画像解像度が高くない場合がある。このため、本実施の形態においては、更に、円板状検出器である明視野検出器22により取得された高品質な明視野STEM像から定量評価する像を得ることもできる。
具体的には、図8に示される結果に基づき、(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像に含まれる弾性散乱明視野STEM像と非弾性散乱明視野STEM像との割合を算出することが可能である。また、図8に示されるように、プラズモン散乱は、像のコントラストに影響を与えているのみである。従って、STEM−EELS像と、高品質な明視野STEM像とを取得し、STEM像において弾性散乱と非弾性散乱との寄与率に基づき、高品質な明視野STEM像より弾性散乱明視野STEM像と非弾性散乱明視野STEM像を分離することができる。具体的には、弾性散乱のSTEM像と非弾性散乱のSTEM像より、弾性散乱のSTEM像における平均強度と非弾性散乱のSTEM像における平均強度の和に対する弾性散乱のSTEM像における平均強度の比率、即ち、弾性散乱の寄与率を算出する。この後、高品質な明視野STEM像に、この寄与率を掛けることにより、高品質な弾性散乱明視野STEM像を得ることができる。
(明視野STEM像の補正)
図9(a)は、円板状検出器である明視野検出器22において取得された厚さが70nmの試料における高品質な(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像である。図8に示される結果に基づくならば、厚さ70nmの試料においては、弾性散乱による寄与率が56%、非弾性散乱による寄与率が44%である。従って、これらの寄与率に基づき、円板状検出器である明視野検出器22において取得された高品質な(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像より、高品質な弾性散乱明視野STEM像及び高品質な非弾性散乱明視野STEM像を得ることができる。即ち、図9(b)に示される像は、図9(a)に示される高品質な(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像に、弾性散乱による寄与率である56%を掛ける画像演算を行ったものであり、高品質な弾性散乱明視野STEM像である。また、図9(c)に示される像は、図9(a)に示される高品質な(弾性散乱+非弾性散乱)明視野STEM像に、非弾性散乱による寄与率である44%を掛ける画像演算を行ったものであり、高品質な非弾性散乱明視野STEM像である。このようにして得られた結果に基づき、より高精度な定量比較が可能となる。
(走査透過電子顕微鏡による画像取得方法)
次に、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡による画像取得方法について、図10に基づき説明する。
最初に、ステップ102(S102)に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に、試料40を設置していない状態で、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。具体的には、図11に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に、試料40が設置されていない状態において、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルの2次元マップを取得する。この際、明視野検出器22は電子線が入射しない位置にある。
次に、ステップ104(S104)に示されるように、制御解析部50において、ステップ102で取得されたエネルギースペクトルのマップに基づき、試料40が設置されていない状態の全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の演算を行う。
次に、ステップ106(S106)に示されるように、制御解析部50において、ステップ104における結果に基づき全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の平均強度を算出する。
次に、ステップ108(S108)に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に試料40を設置して、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。具体的には、図12に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に試料40を設置して、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。この際、明視野検出器22は電子線が入射しない位置にある。
次に、ステップ110(S110)に示されるように、制御解析部50において、ステップ108で取得されたエネルギースペクトルのマップに基づき、試料40が設置されている状態における各エネルギー領域のSTEM−EELS像の演算を行う。具体的には、例えば、試料40が設置されている状態における全エネルギー領域のSTEM−EELS像、弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像、非弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像を得る演算を行う。
次に、ステップ112(S112)に示されるように、制御解析部50において、ステップ110における結果に基づき各エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の平均強度を算出する。具体的には、試料40が設置されている状態における全エネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度、弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度、非弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度を算出する。
次に、ステップ114(S114)に示されるように、STEM−EELS像の規格化演算を行う。具体的には、ステップ104において得られた試料40が設置されていない状態の全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像に基づき、ステップ110において得られた各エネルギー領域のSTEM−EELS像を規格化をする。
次に、ステップ116(S116)に示されるように、各像における寄与率を算出する。具体的には、例えば、弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度、非弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度より、全エネルギー領域のSTEM−EELS像における弾性散乱、非弾性散乱の寄与率を算出する。
次に、ステップ118(S118)に示されるように、明視野検出器22により、試料40における明視野STEM像を取得する。具体的には、図13に示されるように、明視野検出器22を電子線が入射する位置まで移動させて、明視野検出器22により、試料40における明視野STEM像を取得する。
次に、ステップ120(S120)に示されるように、明視野検出器22により取得した試料40の明視野STEM像について、補正処理を行う。具体的には、明視野検出器22により取得した試料40の明視野STEM像に、ステップ116において得られた寄与率、例えば、弾性散乱となるエネルギー領域の寄与率を掛ける画像演算を行う。これにより、弾性散乱となるエネルギー領域における試料40の明視野STEM像を得る。
次に、ステップ122(S122)に示されるように、ステップ120において得られた画像を表示部60に出力し、表示部60において表示させる。
以上により、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡により画像取得し表示させることができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における走査透過電子顕微鏡による画像取得方法について、図14に基づき説明する。
最初に、ステップ202(S202)に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に、試料40を設置していない状態で、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。具体的には、図11に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に、試料40が設置されていない状態において、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルの2次元マップを取得する。この際、明視野検出器22は電子線が入射しない位置にある。
次に、ステップ204(S204)に示されるように、制御解析部50において、ステップ202で取得されたエネルギースペクトルのマップに基づき、試料40が設置されていない状態の全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の演算を行う。
次に、ステップ206(S206)に示されるように、制御解析部50において、ステップ204における結果に基づき全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の平均強度を算出する。
次に、ステップ208(S208)に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に試料40を設置して、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。具体的には、図12に示されるように、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡に試料40を設置して、電子エネルギー損失分光器23によりエネルギースペクトルのマップを取得する。この際、明視野検出器22は電子線が入射しない位置にある。
次に、ステップ210(S210)に示されるように、制御解析部50において、ステップ208で取得されたエネルギースペクトルのマップに基づき、試料40が設置されている状態における各エネルギー領域のSTEM−EELS像の演算を行う。具体的には、例えば、試料40が設置されている状態における全エネルギー領域のSTEM−EELS像、弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像、非弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像を得る演算を行う。
次に、ステップ212(S212)に示されるように、制御解析部50において、ステップ210における結果に基づき各エネルギー領域におけるSTEM−EELS像の平均強度を算出する。具体的には、試料40が設置されている状態における全エネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度、弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度、非弾性散乱となるエネルギー領域のSTEM−EELS像の平均強度を算出する。
次に、ステップ214(S214)に示されるように、STEM−EELS像の規格化演算を行う。具体的には、ステップ204において得られた試料40が設置されていない状態の全エネルギー領域におけるSTEM−EELS像に基づき、ステップ210において得られた各エネルギー領域のSTEM−EELS像を規格化をする。
次に、ステップ216(S216)に示されるように、ステップ214において得られた画像を表示部60に出力し、表示部60において表示させる。
以上により、本実施の形態における走査透過電子顕微鏡により画像取得し表示させることができる。
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、前記試料を透過または前記試料により散乱された電子線を検出することにより、前記試料における明視野像を取得する明視野検出器と、前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器と、を有する走査透過型電子顕微鏡における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法において、
前記試料を設置してエネルギースペクトルを取得する工程と、
前記試料を設置して得られるエネルギースペクトルより弾性散乱による像及び非弾性散乱による像を得る工程と、
前記弾性散乱による像及び前記非弾性散乱による像の平均強度を算出する工程と、
前記弾性散乱による像の平均強度と前記非弾性散乱による像の平均強度の和に対する前記弾性散乱による像の平均強度の比率を算出する工程と、
前記試料を設置して明視野像を取得する工程と、
前記取得された明視野像に、前記弾性散乱による像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行うことにより走査透過型電子顕微鏡像を得る工程と、
を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
(付記2)
前記非弾性散乱には、プラズモン散乱が含まれていることを特徴とする付記1に記載の走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
(付記3)
前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルを取得する工程と、
取得された前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルより、前記試料が設置されていない状態における像を得る工程と、
前記弾性散乱による像及び前記非弾性散乱による像を、前記試料が設置されていない状態における像に基づき規格化する工程と、
を有することを特徴とする付記1または2に記載の走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
(付記4)
電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、前記試料を透過または前記試料により散乱された電子線を検出することにより、前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器を有する走査透過型電子顕微鏡における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法において、
前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルを取得する工程と、
取得された前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルより、前記試料が設置されていない状態における像を得る工程と、
前記試料を設置してエネルギースペクトルを取得する工程と、
前記試料を設置して取得されたエネルギースペクトルのうち、弾性散乱となるエネルギー領域の強度より、弾性散乱による像を得る工程と、
前記弾性散乱による像を、前記試料が設置されていない状態における像に基づき規格化し走査透過型電子顕微鏡像を得る工程と、
を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
(付記5)
電子線を放出する電子源と、
前記電子源より放出された前記電子線を加速する加速部と、
前記加速部により加速された電子線の焦点を試料に結ぶ対物レンズと、
前記試料を透過または前記試料において散乱された電子線を検出することにより、前記試料における明視野像を取得する明視野検出器と、
前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器と、
前記電子エネルギー損失分光器により取得されたエネルギースペクトルより、弾性散乱による像の平均強度と非弾性散乱による像の平均強度の和に対する前記弾性散乱による像の平均強度の比率を算出し、前記明視野像に、前記弾性散乱による像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行う制御解析部と、
を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡。
10 電子線
11 電界放射型電子銃
12 加速部
13 収束レンズ
14 収束レンズ
15 収束レンズ絞り
16 走査コイル
17 球面収差補正部
18 対物レンズ
19 投影レンズ
21 環状暗視野検出器
21a 開口部
22 明視野検出器
23 電子エネルギー損失分光器
40 試料
50 制御解析部
51 画像取得部
52 スペクトルデータ取得部
53 演算処理部
60 表示部

Claims (5)

  1. 電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、前記試料を透過または前記試料により散乱された電子線を検出することにより、前記試料における明視野像を取得する明視野検出器と、前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器と、を有する走査透過型電子顕微鏡における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法において、
    前記試料を設置してエネルギースペクトルを取得する工程と、
    前記試料を設置して得られるエネルギースペクトルより弾性散乱による像及び非弾性散乱による像を得る工程と、
    前記弾性散乱による像及び前記非弾性散乱による像の平均強度を算出する工程と、
    前記弾性散乱による像の平均強度と前記非弾性散乱による像の平均強度の和に対する前記弾性散乱による像の平均強度の比率を算出する工程と、
    前記試料を設置して明視野像を取得する工程と、
    前記取得された明視野像に、前記弾性散乱による像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行うことにより走査透過型電子顕微鏡像を得る工程と、
    を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
  2. 前記非弾性散乱には、プラズモン散乱が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
  3. 前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルを取得する工程と、
    取得された前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルより、前記試料が設置されていない状態における像を得る工程と、
    前記弾性散乱による像及び前記非弾性散乱による像を、前記試料が設置されていない状態における像に基づき規格化する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
  4. 電子源より放出された電子線を加速し、試料に前記電子線の焦点が位置するように照射して、前記試料を透過または前記試料により散乱された電子線を検出することにより、前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器を有する走査透過型電子顕微鏡における走査透過型電子顕微鏡像の取得方法において、
    前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルを取得する工程と、
    取得された前記試料が設置されていない状態におけるエネルギースペクトルより、前記試料が設置されていない状態における像を得る工程と、
    前記試料を設置してエネルギースペクトルを取得する工程と、
    前記試料を設置して取得されたエネルギースペクトルのうち、弾性散乱となるエネルギー領域の強度より、弾性散乱による像を得る工程と、
    前記弾性散乱による像を、前記試料が設置されていない状態における像に基づき規格化し走査透過型電子顕微鏡像を得る工程と、
    を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡像の取得方法。
  5. 電子線を放出する電子源と、
    前記電子源より放出された前記電子線を加速する加速部と、
    前記加速部により加速された電子線の焦点を試料に結ぶ対物レンズと、
    前記試料を透過または前記試料において散乱された電子線を検出することにより、前記試料における明視野像を取得する明視野検出器と、
    前記試料におけるエネルギースペクトルを取得する電子エネルギー損失分光器と、
    前記電子エネルギー損失分光器により取得されたエネルギースペクトルより、弾性散乱による像の平均強度と非弾性散乱による像の平均強度の和に対する前記弾性散乱による像の平均強度の比率を算出し、前記明視野像に、前記弾性散乱による像の平均強度の比率を掛ける画像演算を行う制御解析部と、
    を有することを特徴とする走査透過型電子顕微鏡。
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