JP2011069792A - 試料解析装置及び試料解析方法 - Google Patents

試料解析装置及び試料解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011069792A
JP2011069792A JP2009223140A JP2009223140A JP2011069792A JP 2011069792 A JP2011069792 A JP 2011069792A JP 2009223140 A JP2009223140 A JP 2009223140A JP 2009223140 A JP2009223140 A JP 2009223140A JP 2011069792 A JP2011069792 A JP 2011069792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasmon
absorption
image
loss
energy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009223140A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5413095B2 (ja
Inventor
Takashi Yamazaki
貴司 山▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2009223140A priority Critical patent/JP5413095B2/ja
Publication of JP2011069792A publication Critical patent/JP2011069792A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5413095B2 publication Critical patent/JP5413095B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】プラズモンロス像を、計算で簡単に算出することが可能な試料解析装置を提供する。
【解決手段】入力部11がSTEM−EELS法における実験条件と試料情報を取得し、損失関数演算部12が試料情報をもとに損失関数を算出し、吸収ポテンシャル演算部13が損失関数と、実験条件の1つでありプラズモン吸収領域に設定されるエネルギースリットをもとに、エネルギースリットを考慮するか否かで2種類の吸収ポテンシャルを算出し、全散乱電子強度演算部14が2種類の吸収ポテンシャルをもとに、第1及び第2の全散乱電子強度を算出し、プラズモンロス像生成部15が第1の全散乱電子強度と第2の全散乱電子強度との差分からプラズモンロス像を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料解析装置及び試料解析方法に関する。
球面収差補正装置の開発により大電流の入射電子線プローブを形成することができるようになり、電子顕微鏡の解析手法は大きな発展を遂げている。なかでも、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)による高分解能観察技術においては、従来までの顕微鏡像ではバックグラウンドやノイズとして取り扱われていた非弾性散乱を積極的に用いて、原子分解能を有した像が取得されている。その代表的な例が高角度環状検出器を用いたHAADF(High-Angle Annular Dark-Field)STEM像と呼ばれる方法である。この手法では、熱散乱散漫による非弾性散乱電子を用いて像を形成し、原子番号に依存した高分解能像が得られている。さらに最近では、STEM像を取得中にEELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)を同時測定するSTEM−EELS法が、原子分解能で状態分析を行う手法として脚光を浴び始めている。この方法は、各入射位置で取得されるEELSスペクトルを記憶し、適当なエネルギー範囲の信号を入射点毎に積算することによって、原子分解能でのEELSマッピングを得る。なかでも内殻励起によるエネルギー損失に対応したエネルギー領域をエネルギースリットで特定することで得られた像は、元素分布像に対応するため、原子分解能での組成分布像を得ることが可能である。
しかしながら、内殻励起による損失信号は非常に微弱であるため、高品質な原子分解能でのSTEM−EELS像を取得することは困難である。
特開2003−249186号公報
K. Kimoto, T. Asaka, T. Nagai, M. Saito, Y. Matsui, and K. Ishizuka, Nature, 29 November 2007, vol.450, pp.702-704 D. A. Muller, L. Fitting Kourkoutis, M. Murfitt, J. H. Song, H. Y. Hwang, J. Silcox, N. Dellby, and O. L. Krivanek, Science, 22 February 2008, vol.319, pp.1073-1076 L. J. Allen, S. D. Findlay, M. P. Oxley and C. J. Rossouw, Ultramicroscopy, 2003, vol.96, pp.47-63 M. P. Oxley, M. Varela, T. J. Pennycook, K. van Benthem, S. D. Findlay, A. J.D'Alfonso, L. J. Allen, and S. J. Pennycook, Phys. Rev. B, 2007, vol.76, pp.064303-1 ? 064303-8 Z. L. Wang, Elastic and Inelastic Scattering in Electron Diffraction and Imaging, United States of America, Plenum Press, 1995, pp.167-171 K. Watanabe, T. Yamazaki, I. Hashimoto, and M. Shiojiri, Phys. Rev. B, 2001, vol.64, pp. 115432-1 ? 115432-5
EELSで取得されるスペクトルからは、内殻励起による損失エネルギーより低エネルギーのエネルギーを損失したプラズモン吸収による信号を検出することもできる。このプラズモン吸収の信号強度は内殻励起による信号強度より非常に強いため、コントラストの高い像を得ることができる。しかしながら、プラズモン吸収はバンド間遷移に起因した集団励起として知られているため、原子分解能でプラズモン吸収による像を取得したとしても、その像が表わす意味を明確に議論することができていなかった。その原因として、プラズモンロス像を理論的に計算するための方法が存在しないことがあげられる。そのため、得られた像の強度から構造を決定することが困難であった。
上記の点を鑑みて、本発明は、プラズモンロス像を、計算で簡単に算出することが可能な試料解析装置及び試料解析方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、以下のような試料解析装置が提供される。
この試料解析装置は、プラズモン吸収領域に設定されるエネルギースリットを含む実験条件と、試料情報を取得する入力部と、前記試料情報をもとに損失関数を算出する損失関数演算部と、前記損失関数と、前記プラズモン吸収領域に設定される前記エネルギースリットをもとに、前記エネルギースリットを考慮するか否かで2種類の吸収ポテンシャルを算出する吸収ポテンシャル演算部と、前記2種類の吸収ポテンシャルをもとに、第1及び第2の全散乱電子強度を算出する全散乱電子強度演算部と、前記第1の全散乱電子強度と前記第2の全散乱電子強度との差分からプラズモンロス像を生成するプラズモンロス像生成部と、を有する。
開示の試料解析装置及び試料解析方法によれば、プラズモンロス像を、計算で簡単に算出することが可能となる。
試料解析装置の構成を示す図である。 試料解析装置の具体的なハードウェア構成例である。 試料解析方法の処理の一例の流れを示すフローチャートである。 STEM−EELS法の実験条件と試料情報の一例を示す図である。 EELS検出器で検出されるEELSスペクトルの一例を示す図である。 損失関数の一例を示す図である。 エネルギースリットを考慮せずに算出される吸収ポテンシャルの概念図である。 エネルギースリットを考慮した損失関数の積分範囲を示す図である。 エネルギースリットを考慮して算出される吸収ポテンシャルの概念図である。 2種類の全散乱電子強度の概念図である。 プラズモンロス像の実験像と計算像を示す図であり、(A)はSi(011)面のプラズモンロス像、(B)はSrTiO3(チタン酸ストロンチウム)(001)面のプラズモンロス像を示す図である。
以下、本発明の試料解析装置及び試料解析方法の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、試料解析装置の構成を示す図である。
本実施の形態の試料解析装置10は、顕微鏡像の理論計算方法である動力学計算によって高分解能プラズモンロス像を近似的に計算する。
試料解析装置10は、入力部11、損失関数演算部12、吸収ポテンシャル演算部13、全散乱電子強度演算部14、プラズモンロス像生成部15、構造解析部16を有している。入力部11は、試料情報入力部11aと実験条件入力部11bとを有する。
試料情報入力部11aは、たとえば、走査透過電子顕微鏡(以下STEMと表記する)17本体より試料情報を取得する。試料情報としては、試料の結晶構造に関する情報や、試料の厚さ(膜厚)などがある。
なお、STEM17は、EELS検出器を備え、STEM像を取得中にEELSを同時に測定できる構成となっている。
実験条件入力部11bは、たとえば、STEM17本体より実験条件を取得する。実験条件としては、STEM17における入射電子線の加速電圧、レンズ定数、入射電子線の収束角度、EELS検出器の取込角度、エネルギースリットの範囲などがある。本実施の形態において、エネルギースリットは、EELSスペクトルにおいて、内殻励起による損失エネルギーより低エネルギー領域に現われるプラズモン吸収領域に設定されるものである。プラズモン吸収は、物質のバンド構造に起因したエネルギー吸収を起こす。そのエネルギー吸収を支配する物理関数は、誘電関数から求められる損失関数と呼ばれる関数である。
損失関数演算部12は、試料情報の1つとして取得された試料の結晶構造に関する情報(たとえば、格子定数など)をもとに、第一原理バンド計算によって誘電関数を求め、誘電関数から損失関数を算出する。
吸収ポテンシャル演算部13は、損失関数演算部12で求められた損失関数と、実験条件の1つとして取得されたエネルギースリットをもとに、2種類の吸収ポテンシャルを算出する。2種類の吸収ポテンシャルとは、エネルギースリットを考慮して算出する吸収ポテンシャルと、エネルギースリットを考慮しないで算出する吸収ポテンシャルである。具体的には、エネルギースリットを考慮した吸収ポテンシャルは、エネルギースリットの範囲を損失関数の積分範囲から外して算出されたものである。一方、エネルギースリットを考慮しない吸収ポテンシャルは、損失関数の全エネルギー範囲を積分範囲として算出されたものである(詳細は後述する)。
全散乱電子強度演算部14は、2種類の吸収ポテンシャルから、それぞれの全散乱電子強度を算出する。
プラズモンロス像生成部15は、電子線の各入射位置で、2種類の吸収ポテンシャルに対応した2種類の全散乱電子強度の差分を算出することでプラズモンロス像を生成し、たとえば、図示しない表示装置に表示する。
構造解析部16は、試料解析装置10によって計算されたプラズモンロス像(計算像)と、STEM17本体から得られたプラズモンロス像(実験像)を取得し、両者を比較することで原子位置などを決定する。
なお、構造解析部16は、試料解析装置10やSTEM17と接続された別のコンピュータであってもよい。
以上のような、試料解析装置10によれば、試料の原子構造を示すプラズモンロス像を簡単に計算できる。また、実験で得られたプラズモンロス像と、計算で得られたプラズモンロス像との比較が可能になり、実験で得られたプラズモンロス像の解釈が容易になる。したがって、容易に精度よく試料の原子構造を解析可能になる。
以下、本実施の形態の試料解析装置及び試料解析方法を、より詳細かつ具体的に説明する。
図2は、試料解析装置の具体的なハードウェア構成例である。
図1で示した試料解析装置10は、たとえば、図2で示されるようなコンピュータ20である。コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、グラフィック処理部25を有する。また、コンピュータ20は、インターフェースとして、入力I/F(Interface)26、通信I/F27などを有している。これらはバス28を介して相互に接続されている。
ここで、CPU21は、ROM22や、HDD24に格納されているプログラムや、各種データに応じてコンピュータ20の各部を制御し、図1に示した各部の機能を行う。
ROM22は、CPU21が実行する基本的なプログラムやデータを格納する。
RAM23は、CPU21が実行途中のプログラムや、演算途中のデータなどを格納する。
HDD24は、CPU21が実行するOS(Operation System)、プラズモンロス像を算出するためのプログラム、各種アプリケーションプログラム、各種データなどを格納する。
グラフィック処理部25には、たとえば、ディスプレイ25aが接続されている。CPU21からの描画命令にしたがって、ディスプレイ25a上に、計算によって生成されたプラズモンロス像や、STEM17を用いた実験により得られたプラズモンロス像などを表示する。
入力I/F26には、マウス26aやキーボード26bなどの入力装置が接続されており、ユーザにより入力された情報を受信し、バス28を介してCPU21に伝送する。
通信I/F27は、たとえば、STEM17や、企業内のLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワーク27aと接続して、実験条件、試料情報及びプラズモンロス像の実験像の受信や、解析結果の送信などを行う。
図3は、試料解析方法の処理の一例の流れを示すフローチャートである。
まず、試料解析装置である図2のようなコンピュータ20において、CPU21は、通信I/F27に、STEM17から、試料情報や実験条件を取得させ、それらの情報を、たとえば、RAM23に格納する(ステップS1,S2)。
図4は、STEM−EELS法の実験条件と試料情報の一例を示す図である。
STEM−EELS法では、電子線がレンズ30によって収束されて試料31に照射され、試料31によって散乱された透過電子が、ドーナツ形状のADF(Annular Dark-Field)検出器32で検出される。さらに散乱電子によるEELSが、EELS検出器33で検出される。
試料情報としては、試料31の厚さtや、試料31の結晶構造に関する情報(たとえば、格子定数)などがある。
実験条件としては、入射電子線の収束角度α、入射電子線の加速電圧、レンズ定数、EELS検出器33の取込角度β、エネルギースリットの範囲などがある。
図5は、EELS検出器で検出されるEELSスペクトルの一例を示す図である。横軸はエネルギーロス(損失エネルギー)(eV)、縦軸は強度(a.u.)である。なお、図5では、検出されるEELSスペクトルを、Zero−lossスペクトルと、Low−lossスペクトルと、Core−lossスペクトルとに分類している。Low−lossスペクトルとCore−lossスペクトルについては強度を10倍している。
Zero−lossスペクトルは、もとの電子線のエネルギーの広がりを示し、Core−lossスペクトルは、内殻励起によるエネルギー損失に対応したエネルギー領域のスペクトルである。Low−lossスペクトルは、プラズモン吸収に対応したエネルギー領域のスペクトルである。プラズモン吸収は、結晶のバンド構造(誘電特性)に起因したエネルギー吸収である。STEM17を実際に用いてプラズモンロス像を得る場合には、図5のように、このLow−lossスペクトルにエネルギースリットを入れて、その領域のスペクトルをもとに2次元像を算出する。エネルギースリットは、たとえば、スペクトルのピークを中心として、5eV程度の範囲で設定する。ピークが分かりやすいものについては5eVより狭い範囲で、ピークが分かりづらいものについては、5eVより広い範囲でエネルギースリットを設定するようにしてもよい。
本実施の形態の試料解析方法においても、このエネルギースリットを挿入した効果を加えるため、CPU21は、実験条件であるエネルギースリットの範囲を取得する。
なお、図3において、試料情報を取得するステップS1と、実験条件を取得するステップS2は順番を入れ替えてもよい。また、コンピュータ20は、試料情報や実験条件を、STEM17に実験条件などを設定する他のコンピュータから取得してもよいし、ユーザから入力I/F26を介して取得するようにしてもよい。
試料情報及び実験条件を取得すると、CPU21は、試料の結晶構造の情報をもとに、第一原理バンド計算を用いて損失関数を計算する(ステップS3)。第一原理バンド計算では、たとえば、LDA(Local Density Approximation)や、GGA(Generalized Gradient Approximation)などの近似を用い、格子定数などの試料の結晶構造の情報をもとに誘電関数が算出される。そして、誘電関数から損失関数が求められる。
図6は、損失関数の一例を示す図である。横軸はエネルギー(eV)、縦軸は損失関数の大きさを示している。
ここでは、第一原理バンド計算によって計算されたSi(シリコン)の損失関数を図示している。Siの損失関数は、17eV付近で最大の値を示している。
次にCPU21は、算出した損失関数と、実験条件をもとに、2種類の吸収ポテンシャルを計算する(ステップS4)。
2種類の吸収ポテンシャルの1つは、エネルギースリットを考慮せず、損失関数の全エネルギー領域で積分することで算出される吸収ポテンシャルである。
図7は、エネルギースリットを考慮せずに算出される吸収ポテンシャルの概念図である。横軸がエネルギー(eV)であり、縦軸が強度(a.u.)である。この吸収ポテンシャルは、プラズモンロスによって吸収される全エネルギー帯を含んだものとなり、以下の式により算出される(詳細は非特許文献5のp.167−171参照)。
Figure 2011069792
ここで、Im[−1/ε(E)]が、ステップS3の処理で算出された損失関数である。なお、Im[−1/ε(E)]は、−1/ε(E)の虚数部を示している。
2種類の吸収ポテンシャルのもう1つは、エネルギースリットを考慮して算出された吸収ポテンシャルである。具体的には、CPU21は、エネルギースリットの範囲内を積分範囲から外して吸収ポテンシャルを算出する。
図8は、エネルギースリットを考慮した損失関数の積分範囲を示す図である。横軸はエネルギー(eV)であり、縦軸は損失関数の大きさを示している。ここでは、図6に示したSiの損失関数における積分範囲を示している。斜線部分が積分範囲であり、エネルギースリットの範囲E1〜E2の範囲は積分されない。
エネルギースリットを考慮した吸収ポテンシャルは、以下の式により算出される。
Figure 2011069792
式(2)では、式(1)と異なり、E1からE2の範囲が積分範囲から除外されている。
図9は、エネルギースリットを考慮して算出される吸収ポテンシャルの概念図である。横軸がエネルギー(eV)であり、縦軸が強度(a.u.)である。この吸収ポテンシャルは、プラズモン吸収の効果が削減されたものとなっている。
以上のような2種類の吸収ポテンシャルの計算を終えると、CPU21は、2種類の吸収ポテンシャルと実験条件及び試料情報をもとに、2種類の全散乱電子強度を計算する(ステップS5)。全散乱電子強度は、以下の式により求められる(詳細は非特許文献6参照)。
Figure 2011069792
ここで、透過電子線の透過係数Tgを求める際に、ステップS4の処理で求めた吸収ポテンシャルVa,Vbが用いられ、各吸収ポテンシャルVa,Vbに応じて異なる透過係数Tgが得られる。これにより、2種類の全散乱電子強度が得られる。
図10は、2種類の全散乱電子強度の概念図である。横軸は試料の厚さ(nm)を示し、縦軸は強度(a.u.)を示している。吸収ポテンシャルVaをもとに求められた全散乱電子強度をIa、吸収ポテンシャルVbをもとに求められた全散乱電子強度をIbで示している。
全散乱電子強度は試料の厚さにより減衰しているが、2種類の全散乱電子強度Ia,Ibに強度差が生じている。この強度差はプラズモン吸収を考慮に入れたか否かによるものである。言い換えると、この差分がプラズモン吸収された電子の強度と見なすことができる。
CPU21は、式(3)のR0(入射電子線の位置の中心)を可変して、電子線の各入射点における、2種類の全散乱電子強度の差分をプロットすることで、プラズモンロス像を生成する(ステップS6)。
以上のような試料解析方法により、試料の原子構造を示すプラズモンロス像を簡単に計算で得ることができる。
次に、CPU21は、計算で得られたプラズモンロス像と、STEM17を用いた実験で得られたプラズモンロス像をもとに、構造解析処理を行う(ステップS7)。
具体的には、CPU21は、通信I/F27を介してSTEM17による実際の測定で得られたプラズモンロス像をコンピュータ20に取り込み、ディスプレイ25aに、計算で得られたプラズモンロス像とともに表示させる。
図11は、プラズモンロス像の実験像と計算像を示す図であり、(A)はSi(011)面のプラズモンロス像、(B)はSrTiO3(チタン酸ストロンチウム)(001)面のプラズモンロス像を示している。図11(A),(B)において、左が実験像、右が計算像を示している。
なお、実験条件として、図11(A)の例では、エネルギースリットの範囲を15〜18eV、図11(B)の例では、エネルギースリットの範囲を28〜32eVとした。また、両者とも、EELS検出器33の取込角度は、20mradとした。この角度は入射電子線の収束角度と同程度である。
図11(A),(B)で示すように、両者とも、計算像は実験像の特徴をよく再現している。また、EELS検出器33の取込角度を、入射電子線の収束角度と同程度とすることで、プラズモンロス像においては原子位置が、弱い強度の点(黒い点)として検出されることが確認された。原子番号が大きい元素ほど、強度が弱くなり黒い点としてはっきり表れる。たとえば、CPU21は、計算像と実験像を比較して、黒い点の位置が計算像、実験像とも一致している場合には、その位置を原子位置として特定する。
以上のように、本実施の形態の試料解析方法によれば、測定で得られたプラズモンロス像と、計算で得られたプラズモンロス像との比較が可能になり、測定で得られたプラズモンロス像の解釈が容易になる。
したがって、容易に精度よく試料の原子構造を解析可能になる。
以上、実施の形態に基づき、本発明の試料解析装置及び試料解析方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
10 試料解析装置
11 入力部
11a 試料情報入力部
11b 実験条件入力部
12 損失関数演算部
13 吸収ポテンシャル演算部
14 全散乱電子強度演算部
15 プラズモンロス像生成部
16 構造解析部
17 STEM

Claims (5)

  1. プラズモン吸収領域に設定されるエネルギースリットを含む実験条件と、試料情報を取得する入力部と、
    前記試料情報をもとに損失関数を算出する損失関数演算部と、
    前記損失関数と、前記プラズモン吸収領域に設定される前記エネルギースリットをもとに、前記エネルギースリットを考慮するか否かで2種類の吸収ポテンシャルを算出する吸収ポテンシャル演算部と、
    前記2種類の吸収ポテンシャルをもとに、第1及び第2の全散乱電子強度を算出する全散乱電子強度演算部と、
    前記第1の全散乱電子強度と前記第2の全散乱電子強度との差分からプラズモンロス像を生成するプラズモンロス像生成部と、
    を有することを特徴とする試料解析装置。
  2. 前記吸収ポテンシャル演算部は、前記エネルギースリットの範囲外を積分範囲として第1の吸収ポテンシャルを算出し、前記エネルギースリットの範囲を含めたエネルギー領域を積分範囲として第2の吸収ポテンシャルを算出することを特徴とする請求項1記載の試料解析装置。
  3. 前記プラズモンロス像の実験像を取得し、前記プラズモンロス像生成部で生成した前記プラズモンロス像の計算像と、取得した前記実験像とを比較し、原子位置を決定する構造解析部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の試料解析装置。
  4. 前記実験条件のうち、電子エネルギー損失分光の検出器の取込角度は、入射電子線の収束角度と略同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の試料解析装置。
  5. プラズモン吸収領域に設定されるエネルギースリットを含む実験条件と、試料情報を取得し、
    前記試料情報をもとに損失関数を算出し、
    前記損失関数と、前記プラズモン吸収領域に設定される前記エネルギースリットをもとに、前記エネルギースリットを考慮するか否かで2種類の吸収ポテンシャルを算出し、
    前記2種類の吸収ポテンシャルをもとに、第1及び第2の全散乱電子強度を算出し、
    前記第1の全散乱電子強度と前記第2の全散乱電子強度との差分からプラズモンロス像を生成することを特徴とする試料解析方法。
JP2009223140A 2009-09-28 2009-09-28 試料解析装置及び試料解析方法 Expired - Fee Related JP5413095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009223140A JP5413095B2 (ja) 2009-09-28 2009-09-28 試料解析装置及び試料解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009223140A JP5413095B2 (ja) 2009-09-28 2009-09-28 試料解析装置及び試料解析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011069792A true JP2011069792A (ja) 2011-04-07
JP5413095B2 JP5413095B2 (ja) 2014-02-12

Family

ID=44015190

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009223140A Expired - Fee Related JP5413095B2 (ja) 2009-09-28 2009-09-28 試料解析装置及び試料解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5413095B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015082485A (ja) * 2013-10-24 2015-04-27 富士通株式会社 走査透過電子顕微鏡システム、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
JP2015115458A (ja) * 2013-12-11 2015-06-22 三菱電機株式会社 太陽電池およびその製造方法
JP2016051522A (ja) * 2014-08-28 2016-04-11 富士通株式会社 走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡
CN110596157A (zh) * 2019-09-20 2019-12-20 长江存储科技有限责任公司 半导体结构中氮含量的测量方法及装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002118159A (ja) * 2000-10-05 2002-04-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 不純物濃度プロファイル測定方法および薄膜試料の膜厚測定方法
JP2004265879A (ja) * 1999-01-04 2004-09-24 Hitachi Ltd 元素マッピング装置,走査透過型電子顕微鏡および元素マッピング方法
JP2006133019A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Canon Inc 透過電子顕微鏡又は走査型透過電子顕微鏡を用いた試料の分析方法及び分析装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004265879A (ja) * 1999-01-04 2004-09-24 Hitachi Ltd 元素マッピング装置,走査透過型電子顕微鏡および元素マッピング方法
JP2002118159A (ja) * 2000-10-05 2002-04-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 不純物濃度プロファイル測定方法および薄膜試料の膜厚測定方法
JP2006133019A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Canon Inc 透過電子顕微鏡又は走査型透過電子顕微鏡を用いた試料の分析方法及び分析装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013050496; Koji Kimoto et al.: 'Element-selective imaging of atomic columns in a crystal using STEM and EELS' nature Vol.450, 200711, pp.702-704 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015082485A (ja) * 2013-10-24 2015-04-27 富士通株式会社 走査透過電子顕微鏡システム、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
JP2015115458A (ja) * 2013-12-11 2015-06-22 三菱電機株式会社 太陽電池およびその製造方法
JP2016051522A (ja) * 2014-08-28 2016-04-11 富士通株式会社 走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡
CN110596157A (zh) * 2019-09-20 2019-12-20 长江存储科技有限责任公司 半导体结构中氮含量的测量方法及装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5413095B2 (ja) 2014-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yücelen et al. Phase contrast scanning transmission electron microscopy imaging of light and heavy atoms at the limit of contrast and resolution
Hart et al. Direct detection electron energy-loss spectroscopy: a method to push the limits of resolution and sensitivity
Bosman et al. Mapping chemical and bonding information using multivariate analysis of electron energy-loss spectrum images
Kimoto et al. Element-selective imaging of atomic columns in a crystal using STEM and EELS
MacLaren et al. Detectors—The ongoing revolution in scanning transmission electron microscopy and why this important to material characterization
JP3867524B2 (ja) 電子線を用いた観察装置及び観察方法
MacArthur et al. Probe integrated scattering cross sections in the analysis of atomic resolution HAADF STEM images
Roberts et al. Toward real-time charged-particle image reconstruction using polar onion-peeling
US9274070B2 (en) System and process for measuring strain in materials at high spatial resolution
US10896813B2 (en) Analysis data processing method and device
Bleuet et al. A hard x-ray nanoprobe for scanning and projection nanotomography
Kimoto et al. Spatially resolved diffractometry with atomic-column resolution
JP5413095B2 (ja) 試料解析装置及び試料解析方法
Caplins et al. Orientation mapping of graphene using 4D STEM-in-SEM
JP2012255766A (ja) 結晶材料の格子歪分布評価方法及び格子歪分布評価システム
JP4337832B2 (ja) 電子線を用いた観察装置及び観察方法
Wu et al. Determination of 3D electrostatic field at an electron nano-emitter
EP3702766A1 (en) Crystal orientation map generation device, charged particle radiation device, crystal orientation map generation method, and program
Katz-Boon et al. Rapid measurement of nanoparticle thickness profiles
Lugg et al. Removing the effects of elastic and thermal scattering from electron energy-loss spectroscopic data
US11252339B2 (en) Apparatus and method for high dynamic range counting by pixelated detectors
Chen et al. Composition measurement in substitutionally disordered materials by atomic resolution energy dispersive X-ray spectroscopy in scanning transmission electron microscopy
Jiruše et al. Integrating focused ion beam–scanning electron microscope with confocal Raman microscope into a single instrument
Peters et al. Electron counting detectors in scanning transmission electron microscopy via hardware signal processing
Cabral et al. Scanning transmission electron microscopy for advanced characterization of ferroic materials

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120605

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130919

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131028

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees