JP2016050950A - 防眩フィルムの管理方法およびロール体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便であり、かつギラツキが発生し難い防眩フィルムのみを供給できる、防眩フィルムの管理方法およびこのように管理された防眩フィルムのロール体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一の態様によれば、光透過性基材11と、光透過性基材11上に設けられ、かつ凹凸面12Aを有する防眩層12とを備える防眩フィルム10の管理方法であって、防眩フィルム10の全ヘイズ値が20%以上30%以下であり、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルム10の透過像鮮明度が8%以上となるように防眩フィルム10を管理する、防眩フィルム10の管理方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、防眩フィルムの管理方法およびロール体に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の画像表示装置における画像表示面には、通常、観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するために、表面に凹凸を有する防眩フィルムや最表面に反射防止層を有する反射防止性フィルムが設けられている。
防眩フィルムは、外光を防眩層の凹凸面で散乱させて観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するものである。防眩フィルムは、主に、光透過性基材と、光透過性基材上に設けられた、凹凸面を有する防眩層とを備えている(特許文献1参照)。
防眩層の凹凸面は、防眩層に微粒子を含ませることや防眩層に賦形処理を施すことによって形成することができる。防眩層にシリカ微粒子を含ませることにより凹凸面を形成した全ヘイズ値が20%以上30%以下の比較的高い全ヘイズ値を有する防眩フィルムは安価であることから、モニターやノートPC等の用途で広く用いられている。
防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合には、防眩層の凹凸面により映像光が散乱し、いわゆるギラツキが生じることがある。上記のような全ヘイズ値が比較的高い防眩フィルムにおいては、従来、ギラツキがあまり生じていなかったが、近年の画像表示装置の高精細化に伴い、ギラツキが生じるようになってきた。
防眩フィルムの品質管理においては、従来、ヘイズやグロスを測定することによって行われていたが、これらとギラツキとの相関性は悪いので、ヘイズやグロスでは、ギラツキが発生し難い防眩フィルムを把握することができない。また、防眩フィルムの製造時における管理としては、簡便な管理方法が求められている。
特許第3465085号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、簡便であり、かつギラツキが発生し難い防眩フィルムのみを供給できる、防眩フィルムの管理方法およびこのように管理された防眩フィルムのロール体を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムの管理方法であって、前記防眩フィルムの全ヘイズ値が20%以上30%以下であり、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過像鮮明度が8%以上となるように前記防眩フィルムを管理する、防眩フィルムの管理方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記方法によって請求項1に記載の防眩フィルムの管理方法によって管理された前記防眩フィルムのロール体が提供される。
本発明の一の態様の防眩フィルムによれば、簡便な方法によってギラツキが発生し難い防眩フィルムのみを供給できる。
実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図である。 図1の一部を拡大した図である。 実施形態に係る防眩フィルムの透過像鮮明度を透過像鮮明度測定装置で測定する様子を示した模式図である。 実施形態に係るロール体を模式的に示した図である。
以下、実施形態に係る防眩フィルムの管理方法について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図であり、図2は図1の一部を拡大した図であり、図3は本実施形態に係る防眩フィルムの透過像鮮明度を透過像鮮明度測定装置で測定する様子を示した模式図であり、図4は実施形態に係るロール体を模式的に示した図である。なお、本明細書において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「防眩フィルム」には、「防眩シート」や「防眩板」等と呼ばれる部材も含まれる。また、本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
<<<防眩フィルムの管理方法>>>
本実施形態に係る防眩フィルムの管理方法は、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルムの透過像鮮明度が8%以上となるように防眩フィルムを管理する方法である。
図2に示されるように、管理対象の防眩性フィルム10は、光透過性基材11と、光透過性基材11上に設けられ、かつ凹凸面12Aを有する防眩層12とを備えている。
防眩フィルム10の表面10Aは、凹凸面12Aとなっている。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩層12の凹凸面12Aが防眩フィルム10の表面10Aとなっている。「機能層」とは、防眩フィルムにおいて、何らかの機能を発揮することを意図された層であり、具体的には、例えば、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮するための層が挙げられる。機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。
防眩フィルム10においては、全ヘイズ値が20%以上30%以下となっている。防眩フィルム10においては、全ヘイズに対する内部ヘイズ値の比(内部ヘイズ値/全ヘイズ値)が0以上0.1以下となっていることが好ましい。全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、防眩フィルム全体として測定したときの値である。例えば、本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩フィルム10の全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、光透過性基材11および防眩層12からなる防眩フィルム10を用いて測定された値である。また、例えば、防眩層上に低屈折率層等の機能層が設けられている場合には、防眩フィルムの全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、光透過性基材、防眩層、および機能層からなる防眩フィルムを用いて測定された値である。
全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。具体的には、ヘイズメーターを用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全ヘイズ値を測定する。また、内部ヘイズ値は、以下のように求められる。防眩フィルムの防眩層の表面に、凹凸面を形成する樹脂と屈折率が等しいか、またはこの樹脂との屈折率差が0.02以下である樹脂をワイヤーバーで乾燥膜厚が8μm、すなわち完全に凹凸面の凹凸形状がなくなり、表面が平坦とできる膜厚となるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、塗布した樹脂に100mJ/cmの紫外線を照射して、樹脂を硬化させる。これによって、防眩フィルムの表面に存在する凹凸がつぶれ、平坦な表面となったフィルムが得られる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、上記防眩層の表面に塗布する樹脂がはじかれやすく濡れにくいような場合は、予め防眩層の表面をケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液で55℃、3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)等で水滴を完全に除去した後、50℃オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。そして、この状態で、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定することで内部ヘイズ値を求める。この内部ヘイズは、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状を加味しないものである。
防眩フィルムの全ヘイズ値の下限は22%以上であることが好ましく、上限は28%以下であることが好ましい。
防眩フィルム10の表面ヘイズ値は22%以上28%以下が好ましい。表面ヘイズ値は、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状のみに起因するものであり、全体ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状のみに起因する表面ヘイズ値が求められる。
「防眩フィルムの透過像鮮明度」とは、防眩フィルム全体として測定された透過像鮮明度を意味する。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩フィルム10の透過像鮮明度は、光透過性基材11および防眩層12からなる防眩フィルム10を用いて測定された透過像鮮明度である。また、例えば、防眩層上に低屈折率層等の機能層が設けられている場合には、防眩フィルムの透過像鮮明度は、光透過性基材、防眩層、および機能層からなる防眩フィルムを用いて測定された透過像鮮明度である。
上記透過像鮮明度は、JIS K7374の像鮮明度の透過法に準拠した透過像鮮明度測定装置によって測定することができる。このような測定装置としては、スガ試験機社製の写像性測定器ICM−1T等が挙げられる。
透過像鮮明度測定装置100は、図3に示されるように、光源101、スリット102、レンズ103、レンズ104、光学くし105、および受光器106を備えるものである。透過鮮明度測定装置100は、光源101から発せられ、かつスリット102を通過した光をレンズ103により平行光とし、この平行光を防眩フィルム10の光透過性基材11側に照射させ、防眩フィルム10の防眩層12の凹凸面12Aから透過した光をレンズ104により集光させ、光学くし105を通過した光を受光器106で受光するものであり、この受光器106で受光された光の量に基づいて、下記式(1)により透過像鮮明度Cを算出する。
C(n)={(M−m)/(M+m)}×100(%) …(1)
式(1)中、C(n)は光学くしの幅n(mm)のときの透過像鮮明度(%)、Mは光学くしの幅n(mm)のときの最高光量であり、mは光学くしの幅n(mm)のときの最低光量である。本実施形態においては、2.0mm幅の光学くし105を用いて防眩フィルム10の透過像鮮明度を測定するので、上記式(1)のC(n)は、C(2.0)となる。
光学くし105は、光学くし105の長手方向に沿って移動可能であり、遮光部分および透過部分を有している。光学くし105の遮光部分および透過部分の幅の比は1:1となっている。ここで、JIS K7374においては、光学くしとして、幅が、0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの5種類の光学くしが定められているが、本実施形態で2.0mm幅の光学くしを用いることとしたのは、2.0mm幅以外の光学くしを用いた場合には、ギラツキが発生し易い防眩フィルムと、ギラツキが発生し難い防眩フィルムとの間に透過像鮮明度の差があまり表れないが、2.0mm幅の光学くしを用いた場合には、ギラツキが発生し易い防眩フィルムと、ギラツキが発生し難い防眩フィルムとの間に透過像鮮明度の差が明確に表れるからである。
防眩フィルム10は、ギラツキをさらに抑制する観点から、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された透過像鮮明度が10%以上となるように管理されることが好ましい。2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルム10透過像鮮明度の上限は、充分な防眩性を得る観点から、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
本実施形態においては、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルム10の透過像鮮明度が8%以上となるように防眩フィルム10を管理するので、簡便な方法で、安定してギラツキが発生し難い防眩フィルム10を提供できる。すなわち、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、理由は定かではないが、透過像鮮明度が高くなると、ギラツキが発生し難いという傾向があることを見出した。そして、さらに本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、2.0mm幅の光学くしで測定した透過像鮮明度が8%以上であれば、ギラツキが発生し難いことを見出した。ここで、全ヘイズが20%〜30%と高い防眩フィルムにおいては、幅が狭い光学くしでは、ギラツキが生じ易い防眩フィルムとギラツキが生じ難い防眩フィルムとでは、透過像鮮明度にあまり差が生じないが、2.0mm幅の光学くしを用いてギラツキが生じ易い防眩フィルムとギラツキが生じ難い防眩フィルムの透過像鮮明度を測定した場合には、ギラツキが生じ易い防眩フィルムとギラツキが生じ難い防眩フィルムにおいて明確に透過像鮮明度に差が生じる。具体的には、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した防眩フィルムの透過像鮮明度が8%以上であると、ギラツキが発生し難いが、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した防眩フィルムの透過像鮮明度が8%未満であると、ギラツキが発生し易い傾向がある。このようなことから、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された透過鮮明度が8%以上となるように防眩フィルムを管理することとした。また、透過鮮明度という簡便な方法によって、ギラツキが発生し難い防眩フィルムを見極めることができる。したがって、簡便な方法で、安定してギラツキが発生し難い防眩フィルム10のみを提供できる。
防眩フィルム10は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。全光線透過率が85%以上であると、防眩フィルム10を画像表示装置の表面に装着した場合において、色再現性や視認性をより向上させることができる。全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7361に準拠した方法により測定することができる。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面10Aを構成する凹凸の平均間隔Smが0.02mm以上0.5mm以下となっていることが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルムの表面においては、この表面を構成する凹凸の平均傾斜角θaが2°以上8°以下となっていることが好ましく、3°以上6°以下となっていることがより好ましい。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面を構成する凹凸の算術平均粗さRaが0.1μm以上1.0μm以下となっていることが好ましく、0.3μm以上0.6μm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面を構成する凹凸の最大高さ粗さRyが1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、3μm以上6μm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面を構成する凹凸の10点平均粗さRzが0.6μm以上6.0μm以下となっていることが好ましく1μm以上4μm以下となっていることがより好ましい。
上記「Sm」、「Ra」、「Ry」および「Rz」の定義は、JIS B0601−1994に従うものとする。「θa」の定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。具体的には、θaは下記式(2)で表される。
θa=tan−1Δa …(2)
式中、Δaは傾斜を縦横比率で表したものであり、各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和を基準長さで割った値である。
Sm、θa、Ra、Ry、Rzは、例えば、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定を行うことができる。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
防眩フィルム10は、画像表示装置の表面に設けられるが、特に、90ppi以上110ppiの解像度を有する画像表示装置(例えば、モニター用液晶ディスプレイ)の表面に用いられることが好ましい。
<光透過性基材>
光透過性基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリレート系ポリマー基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、セルローストリアセテート基材、セルロースジアセテート基材が挙げられる。シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリレート系ポリマー基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、リタデーションに優れ、かつ偏光子との接着が容易であることからセルロースアシレート基材が好ましく、さらにセルロースアシレート基材の中でもトリアセチルセルロース基材(TAC基材)が好ましい。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
リタデーションおよび耐熱性に優れる面からはシクロオレフィンポリマー基材が好ましく、また機械特性および耐熱性の面からはポリエステル基材が好ましい。
光透過性基材11の厚みは、特に限定されないが、5μm以上1000μm以下とすることが可能であり、光透過性基材11の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。光透過性基材11の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<防眩層>
防眩層12は、防眩性を発揮する層である。防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、他の機能を発揮するものであってもよい。具体的には、防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、例えば、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮する層であってもよい。
防眩層12が、防眩性の他に、ハードコート性を発揮する層である場合、防眩層12は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する。
防眩層12の表面は、上記したように凹凸面12Aとなっている。「防眩層の表面」とは、防眩層における光透過性基材側の面(防眩層の裏面)とは反対側の面を意味するものとする。
凹凸面12Aの形成方法としては、例えば、(A)硬化後バインダ樹脂となる硬化性樹脂前駆体および微粒子を含む防眩層用組成物を用いて凹凸面を形成する方法、(B)金型を用いた転写方法によって凹凸面を形成する方法、(C)サンドブラストにより防眩層の表面を荒すことによって凹凸面を形成する方法、または(D)エンボスロールにより防眩層の表面に凹凸を付与することによって凹凸面を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、製造が容易であることから、上記(A)の方法が好ましい。
上記(A)の方法においては、微粒子の種類や粒径および硬化性樹脂前駆体の種類を適宜選択し、塗膜形成条件を調整することにより、凹凸面を有する防眩層を形成することができる。
防眩層12は、図2に示されるようにバインダ樹脂13および微粒子14を含んでおり、上記(A)の方法によって形成されている。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂13は、硬化性樹脂前駆体の硬化物(重合物、架橋物)を含むものである。本明細書における「硬化性樹脂前駆体」とは、樹脂前駆体が光硬化性や熱硬化性を有し、光硬化または熱硬化によって樹脂となる樹脂前駆体を意味する。樹脂は、硬化性樹脂前駆体の硬化物の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。光硬化性を有する光硬化性樹脂前駆体は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光硬化性樹脂前駆体を硬化させる際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。熱硬化性を有する熱硬化性樹脂前駆体は、熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。
光硬化性樹脂前駆体としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光硬化性樹脂前駆体としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000未満のものである。光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い第1の機能層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性プレポリマー)
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000以上のものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学積層体の外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂前駆体としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等のそれぞれの前駆体を挙げることができる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、防眩層12を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
(微粒子)
微粒子14は、無機微粒子または有機微粒子のいずれであってもよいが、これらの中でも、例えば、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が好ましい。無機酸化物微粒子は、防眩層中で凝集体を形成することが可能となり、この凝集体の凝集度合により凹凸面を形成することが可能となる。
無機酸化物粒子の中でも、透明性が高く、安価に入手できることからシリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子の製法としては、乾式法や湿式法が挙げられるが、高い防眩性を付与できる凝集体を形成しやすいことから湿式法によるものが好ましい。湿式法としては、沈殿法、ゲル法に分けられるが本発明においてはいずれの方法であってもよい。
有機微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
微粒子14として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物粒子は表面処理が施されていることが好ましい。無機酸化物微粒子に表面処理を施すことにより、微粒子の防眩層12中での分布を好適に制御することができ、また微粒子自体の耐薬品性および耐鹸化性の向上を図ることもできる。
表面処理としては、微粒子14の表面を疎水性にする疎水化処理が好ましい。このような疎水化処理は、微粒子14の表面にシラン類やシラザン類等の表面処理剤を化学的に反応させることにより、得ることができる。具体的な表面処理剤としては、例えば、ジメチルジクロロシランやシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ヘキサデシルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
防眩層12に対する微粒子14の含有量は特に限定されないが、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。微粒子の含有量が5質量%以上となっているので、防眩性を確実に得ることができ、また微粒子の含有量が30質量%以下となっているので、凝集体が過度に生じることもなく、内部拡散および/または防眩層の表面に過剰な凹凸が生じることを抑制でき、これにより白濁感を抑制できる。微粒子の含有量の下限は10質量%以上であることがより好ましく、微粒子の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましい。
凝集体14として無機酸化物微粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子の平均二次粒子径は、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。0.5μm以上であれば、表面ヘイズが20%以上30%以下の防眩層を形成することができ、また5μm以下であれば、過度に大きな凹凸の形成を抑制でき、ギラツキの発生を抑制することができる。微粒子14の凝集体の平均二次粒子径は、下限が1μm以上であることが好ましく、上限が3μm以下であることが好ましい。無機酸化微粒子の平均二次粒子径は、コールターカウンター法による体積平均径として測定することができる。
防眩層12は、例えば、以下の方法によって形成することができる。まず、光透過性基材11の表面に、以下の防眩層用組成物を塗布する。防眩層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
防眩層用組成物は、少なくとも、上記硬化性樹脂前駆体、上記微粒子を含むものである。その他、必要に応じて、防眩層用組成物に、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、防眩層用組成物には、防眩層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
(溶剤)
溶剤は、上記防眩層用組成物を塗布しやすくするために粘度を調整する目的や、蒸発速度や微粒子に対する分散性を調整して、防眩層形成時における微粒子の凝集度合を調整して所定の凹凸面を形成させやすくする目的で使用されうる。溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
防眩層用組成物における重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、硬化阻害を抑制できる。
防眩層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
(レベリング剤)
レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、防眩層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する防眩層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
ベナードセル構造は、防眩層の表面の凹凸が大きくなりすぎてしまうおそれがある。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない防眩層が得られるだけでなく、防眩層の表面の凹凸形状の調整も容易となる。
防眩層用組成物の調製方法としては、各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
光透過性基材11の表面に、防眩層用組成物を塗布した後、塗膜状の防眩層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で防眩層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで、溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、微粒子の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって微粒子の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子の分布状態を所望の状態に調整することができる。
その後、塗膜状の防眩層用組成物に紫外線等の光を照射して、硬化性樹脂前駆体を重合(架橋)させることにより防眩層用組成物を硬化させて、防眩層12を形成するとともに、混在領域11Aを形成する。
防眩層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本実施形態によれば、防眩フィルム10が凹凸面12Aを有する防眩層12を備えているので、光透過性基材11と防眩層12との界面で反射する光と、防眩層12の凹凸面12Aで反射する光との干渉を抑制できる。これにより、干渉縞の発生を抑制できる。また、混在領域11Aを形成した場合には、光透過性基材11と防眩層12との界面での反射を抑制できるので、干渉縞の発生をより抑制できる。
<ロール体>
防眩フィルムは、通常、ロール体の状態で管理され、使用時に所定の大きさに切断されて、偏光板や画像表示装置等に組み込まれる。したがって、図5に示されるように、上記防眩フィルム10も、ロール体20の状態で管理されていることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<防眩層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、防眩層用組成物を得た。
(防眩層用組成物)
・不定形シリカ(ゲル法、平均二次粒径(体積平均)2.0μm):15〜20質量部
・ペンタエリスリトリトールトリアクリレート:100質量部
・セルロース誘導体(酢酸プロピオン酸セルロース):1質量部
・シリコーン系レベリング剤:0.2質量部
・トルエン(溶剤):200質量部
・メチルイソブチルケトン(溶剤):50質量部
上記不定形シリカは、表面が有機処理(疎水化処理)されたものであった。
<防眩フィルムの作製>
光透過性基材としての厚さ80μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム(富士フイルム社製、TD80UL)を準備し、トリアセチルセルロース樹脂フィルムの片面に、防眩層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2〜1m/sの範囲の流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、1〜3μm厚み(硬化時)の防眩層を形成し、不定形シリカの質量部、乾燥条件、厚みを適宜調整して、サンプル1〜10に係る防眩フィルムを作製した。
<透過像鮮明度の測定>
サンプル1〜10の各防眩フィルムにおいて、以下のようにして透過像鮮明度を測定した。まず、写像性測定器(型番:ICM−1T、スガ試験機社製)を用意した。そして、サンプル1〜10に係る各防眩フィルムを、トリアセチルセルロース樹脂フィルム側が写像性測定器の光源側となるように設置して、JIS K7374の透過法による像鮮明度の測定法に準拠して、透過像鮮明度を測定した。光学くしとしては、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅のものを用いた。なお、表1においては、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルムの透過像鮮明度を、それぞれ、C(0.125)、C(0.25)、C(0.5)、C(1.0)、C(2.0)とした。
<全体ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズ測定>
サンプル1〜10の各防眩フィルムについて、以下のようにして、全体ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。まず、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全体ヘイズ値を測定した。その後、上記実施形態で記載した方法に従ってヘイズ値を測定して内部ヘイズ値を求めた。そして、全体ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、表面ヘイズ値を求めた。
<グロス(60度鏡面光沢度)の測定>
サンプル1〜10の各防眩フィルムについて、精密光沢計(GM−26PRO、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS Z8741に従って防眩フィルムのグロス(60度鏡面光沢度)を測定した。
<ギラツキ評価(1)>
サンプル1〜10の各防眩フィルムにおいて、防眩フィルムの防眩層が形成されていない面にガラス板(厚み3mm)を透明粘着剤で貼りあわせた。さらに、このガラス板における防眩フィルムが貼合されていないガラス面と、200ppiのブラックマトリクス(ガラス厚み0.7mm)のマトリクスが形成されていないガラス面とを粘着剤で貼り合わせた。こうして得られた試料に対し、ブラックマトリクス側に白色面光源(HAKUBA製LIGHTBOX、平均輝度1000cd/m)を設置することで、疑似的にギラツキ発生させた。これを防眩フィルム側からCCDカメラ(KP−M1、Cマウントアダプタ、接写リング;PK−11A ニコン、カメラレンズ;50mm,F1.4s NIKKOR)で撮影した。CCDカメラと防眩フィルムの距離は250mmとし、CCDカメラのフォーカスは防眩フィルムに合うように調節した。CCDカメラで撮影した画像をパーソナルコンピュータに取り込み、画像処理ソフト(ImagePro Plus ver.6.2;Media Cybernetics社製)で次のように解析を行った。まず、取り込んだ画像から200×160ピクセルの評価箇所を選び、該評価箇所において、16bitグレースケールに変換した。次に、フィルタコマンドの強調タブからローパスフィルタを選択し3×3、回数3、強さ10の条件でフィルタをかけた。これによりブラックマトリクスパターン由来の成分を除去した。次に、平坦化を選択し、背景:暗い、オブジェクト幅10の条件でシェーディング補正を行った。次に、コントラスト強調コマンドでコントラスト:96、ブライトネス:48としてコントラスト強調を行った。得られた画像を8ビットグレースケールに変換し、その中の150×110ピクセルについてピクセルごとの値のばらつきを標準偏差値として算出することにより、ギラツキを数値化した。この数値化したギラツキ値が小さいほど、ギラツキが少ないと言える。
<ギラツキ評価(2)>
サンプル1〜10の各防眩フィルムにおいて、以下のようにしてギラツキを評価した。21.5インチ、フルHDの液晶ディスプレイモニタを用意し、最表面の偏光フィルムを剥離し、防眩層が積層されていない偏光フィルムを透明粘着フィルムにより貼付した。その上にサンプル1〜10の各防眩フィルムを置いて、30cm程度の距離からギラツキが気になるか否かを判定し、下記の基準により評価した。
○:ギラツキが気にならなかった。
×:ギラツキが気になった。
以下、結果を表1に示す。
Figure 2016050950
表1に示されるように、サンプル4〜7においては、防眩フィルムのC(2.0)が8%未満であったため、ギラツキが発生していた。
これに対し、サンプル1〜3および8〜10においては、防眩フィルムのC(2.0)が8%以上であったために、ギラツキが発生していなかった。
一方、ヘイズやグロスはギラツキとは相関が無く、防眩フィルムのギラツキが発生しやすいか否かを管理することはできないことが理解できる。
また、ギラツキ評価1の結果は、ギラツキ評価2の結果と対応しているので、ギラツキ評価1で用いた測定方法は信頼性があると判断される。
10…防眩フィルム
10A…表面
11…光透過性基材
12…防眩層
12A…凹凸面
13…バインダ樹脂
14…微粒子

Claims (5)

  1. 光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムの管理方法であって、
    前記防眩フィルムの全ヘイズ値が20%以上30%以下であり、かつ
    2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過像鮮明度が8%以上となるように前記防眩フィルムを管理する、防眩フィルムの管理方法。
  2. 前記防眩フィルムの全ヘイズ値に対する内部ヘイズ値の比(内部ヘイズ値/全ヘイズ値)が0以上0.1以下である、請求項1に記載の防眩フィルムの管理方法。
  3. 前記防眩フィルムが微粒子を含んでいる、請求項1に記載の防眩フィルムの管理方法。
  4. 前記微粒子がシリカ微粒子である、請求項3に記載の防眩フィルムの管理方法。
  5. 請求項1に記載の防眩フィルムの管理方法によって管理された前記防眩フィルムのロール体。
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