JP2018173662A - 防眩フィルム、偏光板、液晶パネルおよび画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、偏光板、液晶パネルおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができるとともに、良好なギラツキ防止性および良好な黒彩感を得ることができる防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置を提供する。【解決手段】本発明の一の態様によれば、光透過性基材11と、光透過性基材11上に設けられ、かつ凹凸面12Aを有する防眩層12を備える防眩フィルム10であって、防眩層12が、複数の有機微粒子13と、複数の無機微粒子14と、バインダ樹脂15とを含み、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された防眩フィルム10の透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上95%以下であり、かつ前記算術平均値と前記各光学くしを用いて測定された前記透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内である、防眩フィルム10が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、防眩フィルム、偏光板、液晶パネルおよび画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の画像表示装置における画像表示面には、通常、観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するために、表面に凹凸を有する防眩フィルムや最表面に反射防止層を有する反射防止性フィルムが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
防眩フィルムは、主に、光透過性基材と、光透過性基材上に設けられた、凹凸面を有する防眩層とを備えている。防眩フィルムは、外光を防眩層の凹凸面で散乱させて観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するものである。
防眩フィルムには、映り込みが気にならない程度の防眩性を有するものがある。しかしながら、映り込みがほぼ無い防眩フィルムのみならず、映り込みが気にならない程度の防眩性を有する防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合には、防眩層の凹凸面により映像光が散乱し、いわゆるギラツキが生じてしまうおそれがある。ギラツキの発生を防止するために、ヘイズを高くすることが提案されているが、ヘイズを高くすると、ギラツキの発生は防止できるものの、コントラストが低下してしまうおそれがある。
また、現在、防眩フィルムには、動画を表示した際に、優れたコントラストと躍動感とを兼ね備えた性能(例えば、青空の下の若者のシーンを例に取れば、画像に表示された髪の毛はサラサラ感のある黒であり、瞳は潤いがある黒であり、肌に若者特有の艶があり活き活きとして見える等)である「黒彩感」が要求されている。
特開2011−215515号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができるとともに、良好なギラツキ防止性および良好な黒彩感を得ることができる防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層を備える防眩フィルムであって、前記防眩層が、複数の有機微粒子と、複数の無機微粒子と、バインダ樹脂とを含み、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上95%以下であり、かつ前記算術平均値と前記各光学くしを用いて測定された前記透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内である、防眩フィルムが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の防眩フィルムと、前記防眩フィルムの前記光透過性基材における前記防眩層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光子とを備えることを特徴とする、偏光板が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の防眩フィルム、または上記の偏光板を備える、液晶表示パネルが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の防眩フィルム、または上記の偏光板を備える、画像表示装置が提供される。
本発明の一の態様の防眩フィルム、および他の態様の偏光板、液晶パネル、および画像表示装置によれば、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上95%以下であり、かつ前記算術平均値と前記各光学くしを用いて測定された前記透過画像鮮明度との差が10%以内であるので、映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができるとともに、良好なギラツキ防止性および良好な黒彩感を得ることができる。
実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図である。 図1の一部を拡大した図である。 図2の一部を拡大した図である。 実施形態に係る防眩フィルムの透過像鮮明度を透過像鮮明度測定装置で測定する様子を示した模式図である。 実施形態に係る偏光板の概略構成図である。 実施形態に係る液晶パネルの概略構成図である。 実施形態に係る画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。 走査電子顕微鏡の走査透過電子顕微鏡機能を用いて撮影した実施例1に係る防眩フィルムの断面写真である。 走査電子顕微鏡の走査透過電子顕微鏡機能を用い、かつ図8よりも倍率を上げて撮影した実施例1に係る防眩フィルムの断面写真である。
以下、本発明の実施形態に係る防眩フィルム等について、図面を参照しながら説明する。まず、本明細書において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」は、シートや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「防眩フィルム」には、「防眩シート」や「防眩板」等と呼ばれる部材も含まれる。また、本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
<<<防眩フィルム>>>
図1は本実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図であり、図2は図1の一部を拡大した図であり、図3は図2の一部を拡大した図であり、図4は本実施形態に係る防眩フィルムの透過像鮮明度を透過像鮮明度測定装置で測定する様子を示した模式図である。
図1に示されるように、防眩フィルム10は、防眩フィルム10は、光透過性基材11と、光透過性基材11上に設けられ、かつ凹凸面12Aを有する防眩層12とを備えている。
防眩フィルム10の表面10Aは、凹凸面となっている。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩層12の凹凸面12Aが防眩フィルム10の表面10Aとなっている。「機能層」とは、防眩フィルムにおいて、何らかの機能を発揮することを意図された層であり、具体的には、例えば、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮するための層が挙げられる。機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。
防眩フィルム10においては、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された透過画像鮮明度の算術平均値と、各光学くしを用いて測定された透過画像鮮明度との差の絶対値が、10%以内となっている。
「防眩フィルムの透過像鮮明度」とは、防眩フィルム全体として測定された透過像鮮明度を意味する。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩フィルム10の透過像鮮明度は、光透過性基材11および防眩層12からなる防眩フィルム10を用いて測定された透過像鮮明度である。また、防眩層上に低屈折率層等の機能層が設けられている場合には、防眩フィルムの透過像鮮明度は、光透過性基材、防眩層、および機能層からなる防眩フィルムを用いて測定された透過像鮮明度である。
上記透過画像鮮明度は、JIS K7374の像鮮明度の透過法に準拠した透過鮮明度測定装置によって測定することができる。このような測定装置としては、スガ試験機社製の写像性測定器ICM−1T等が挙げられる。
透過像鮮明度測定装置100は、図4に示されるように、光源101、スリット102、レンズ103、レンズ104、光学くし105、および受光器106を備えるものである。透過鮮明度測定装置100は、光源101から発せられ、かつスリット102を通過した光をレンズ103により平行光とし、この平行光を防眩フィルム10の裏面(光透過性基材11における防眩層12側の面とは反対側の面)に照射し、防眩フィルム10の防眩層12の凹凸面12Aから透過した光をレンズ104により集光させ、光学くし105を通過した光を受光器106で受光するものであり、この受光器106で受光された光の量に基づいて、下記式(1)により透過像鮮明度Cを算出する。
C(n)={(M−m)/(M+m)}×100(%) …(1)
式(1)中、C(n)は光学くしの幅n(mm)のときの透過像鮮明度(%)、Mは光学くしの幅n(mm)のときの最高光量であり、mは光学くしの幅n(mm)のときの最低光量である。
光学くし105は、光学くし105の長手方向に沿って移動可能であり、遮光部分および透過部分を有している。光学くし105の遮光部分および透過部分の幅の比は1:1となっている。ここで、JIS K7374においては、光学くしとして、幅が、0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの5種類の光学くしが定められている。防眩フィルム10は、レンズ103によって平行光となった光が防眩フィルムに対して垂直に防眩フィルム10の裏面に入射するように配置される。
上記5種類の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度の算術平均値は、70%以上95%以下となっている。この防眩フィルム10の透過画像鮮明度の算術平均値の下限は、80%以上であることが好ましく、この防眩フィルム10の透過画像鮮明度の算術平均値の上限は、90%以下であることが好ましい。0.125mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度は70%以上となっていることが好ましく、0.25mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度は70%以上となっていることが好ましく、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度は80%以上となっていることが好ましく、1.0mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度は80%以上となっていることが好ましく、2.0mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過画像鮮明度は90%以上となっていることが好ましい。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、表面10Aを構成する凹凸の平均間隔Smが0.1mm以上0.6mm以下となっていることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルム10の表面10Aにおいては、表面10Aを構成する凹凸の平均傾斜角θaが0.05°以上0.30°以下となっていることが好ましく、0.15°以上0.25°以下となっていることがより好ましい。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、表面10Aを構成する凹凸の算術平均粗さRaが0.02μm以上0.20μm以下となっていることが好ましく、0.04μm以上0.10μm以下となっていることがより好ましい。
上記「Sm」、および「Ra」の定義は、JIS B0601−1994に従うものとする。「θa」の定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。具体的には、θaは下記式(2)で表される。
θa=tan−1Δa …(2)
式中、Δaは傾斜を縦横比率で表したものであり、各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和を基準長さで割った値である。
Sm、θa、およびRaは、例えば、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定を行うことができる。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
防眩フィルム10は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。全光線透過率が85%以上であると、防眩フィルム10を画像表示装置の表面に装着した場合において、色再現性や視認性をより向上させることができる。全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7361に準拠した方法により測定することができる。
防眩フィルム10全体のヘイズ値(全ヘイズ値)は2%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2%以下であると、所望の光学特性が得られ、防眩フィルム10を画像表示表面に設置した際の視認性をより向上させることができる。全ヘイズ値は、1%以下であることがより好ましい。全ヘイズ値は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
防眩フィルム10の内部ヘイズ値は0%以上2.0%以下であることが好ましい。ここで、「内部ヘイズ値が実質的に0%である」とは、内部ヘイズ値が完全に0%である場合に限定されず、内部ヘイズ値が0%を超える場合であっても、測定誤差の範囲内であり、内部ヘイズ値がほぼ0%とみなせる範囲(例えば、0.3%以下の内部ヘイズ値)を含む意味である。
防眩フィルム10の表面ヘイズ値は0%以上0.3%以下が好ましい。表面ヘイズ値は、防眩層における凹凸面の凹凸形状のみに起因するものであり、以下のようにして求めることができる。まず、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全ヘイズ値を測定する。その後、防眩層の表面に、粘着層や粘着テープ等を介して光透過性樹脂基材を貼り付ける。これによって、防眩層における凹凸面の凹凸形状が潰れ、防眩フィルムの表面が平坦になる。そして、この状態で、ヘイズメーターを用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定し、更に上記の粘着層や粘着テープ自身のヘイズを差し引くことで内部ヘイズ値を求める。この内部ヘイズ値は、防眩層における凹凸面の凹凸形状を加味しないものであるので、全ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、防眩層における表面の凹凸形状のみに起因する表面ヘイズ値が求められる。
防眩フィルム10においては、防眩フィルム10の厚み方向に沿った断面における光透過性基材11の表面11Aに対する防眩フィルム10の表面10Aの傾斜角度を0.1度毎に測定したとき、傾斜角度の頻度の累積百分率における第3四分位に対する第99百分位の比(第99百分位/第3四分位)が4.0以上5.0未満であることが好ましい。この比が4.0以上であることにより、過度に傾斜角度変化率が大きくならず、ギラツキを防止することができ、またこの比が5.0未満であることにより、防眩フィルム10の表面10Aにおける過度な傾斜角度を有する部分の存在割合が制御されるので、コントラストの低下を抑えることができる。
<<光透過性基材>>
光透過性基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリレート系ポリマー基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、セルローストリアセテート基材、セルロースジアセテート基材が挙げられる。シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリレート系ポリマー基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、リタデーションに優れ、かつ偏光子との接着が容易であることからセルロースアシレート基材が好ましく、さらにセルロースアシレート基材の中でもトリアセチルセルロース基材(TAC基材)が好ましい。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
リタデーションおよび耐熱性に優れる面からはシクロオレフィンポリマー基材が好ましく、また機械特性および耐熱性の面からはポリエステル基材が好ましい。
光透過性基材11の厚みは、特に限定されないが、5μm以上1000μm以下とすることが可能であり、光透過性基材11の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。光透過性基材11の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<<防眩層>>
防眩層12は、防眩性を発揮する層であり、図2に示されるように、複数の有機微粒子13と、複数の無機微粒子14と、バインダ樹脂15とを含んでいる。防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、他の機能を発揮するものであってもよい。具体的には、防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、例えば、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮する層であってもよい。
防眩層12が、防眩性の他に、ハードコート性を発揮する層である場合、防眩層12は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する。
防眩層12の表面は、凹凸面12Aとなっている。ここで、「防眩層の表面」とは、防眩層における光透過性基材側の面(防眩層の裏面)とは反対側の面を意味するものとする。
防眩層12がハードコート性を有している場合には、防眩層12の厚みは2.0μm以上7.0μm以下であることが好ましい。防眩層12の厚みがこの範囲内であれば、所望の硬度を得ることができる。また、防眩層の薄膜化を図ることができる一方で、防眩層の割れやカールの発生を抑制できる。防眩層12の厚みは、断面電子顕微鏡(TEM、STEM)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。ここで、防眩層の表面は凹凸面となっているので、場所によって厚みが異なるが、上記「防眩層の厚み」とは、防眩層の厚みの平均値を意味するものとする。防眩層の厚みの下限は2.5μm以上であることがより好ましく、上限は5μm以下であることがより好ましい。
<有機微粒子>
複数の有機微粒子13のうち少なくとも一部の有機微粒子13は2個以上の有機微粒子13が凝集した有機微粒子凝集体13Aとして存在していることが好ましい。有機微粒子凝集体13Aを構成する有機微粒子13の個数が、2個以上であることにより、凹凸面12Aにおいて、傾斜が緩やかな凸部山頂の面積が増加し、傾斜が急な凸部立ち上がり面の面積が減少するので、コントラストの劣化を抑制できる。
防眩層12においては、防眩層12の厚み方向の有機微粒子凝集体13Aの最大高さが、防眩層12の厚み未満であることが好ましい。有機微粒子凝集体13Aの最大高さが防眩層12の厚み未満であるので、急峻な凹凸面を生じさせることがなく、防眩性を示しつつコントラストおよび黒彩感の低下を抑制することができる。
有機微粒子13としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。有機微粒子13の表面に親水化処理を施すことも好ましい。有機微粒子13の表面に親水化処理を施すことにより、無機微粒子14との凝集状態を制御することが可能となる。
有機微粒子13の平均一次粒径は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。有機微粒子の平均一次粒径は、有機微粒子の中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される有機微粒子30個選択してその断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。なお、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。有機微粒子13の平均一次粒径が1μm以上であることにより、防眩性をより確実に確保することができる。また、有機微粒子13の平均一次粒径が5μm以下であることにより、コントラストの低下を抑制することができる。有機微粒子13の平均一次粒径の下限は1.5μm以上であることがより好ましく、有機微粒子13の平均一次粒径の上限は4.0μm以下であることがより好ましい。
また、防眩層12の厚みをTとし、有機微粒子13の平均一次粒径をRとしたとき、有機微粒子は、R/Tは下記式(3)の関係を満たしていることが好ましい。
0.2<R/T<0.7…(3)
R/Tが上記式(3)を満たすことにより、防眩性と黒彩感の両立をより確実なものとすることができる。
有機微粒子凝集体13Aを構成する有機微粒子13の個数は2個以上3個以下であることが好ましい。有機微粒子凝集体13Aを構成する有機微粒子13の個数が、3個以下であることにより、防眩層12の厚みTより大きい有機微粒子凝集体の発生をより確実に防止し、急な凸部が形成されることを抑制できる。
有機微粒子凝集体13Aは、例えば、有機微粒子の表面に相互に反応する基を点在させて、有機微粒子の凝集状態を制御して、有機微粒子凝集体13Aを得てもよく、また有機微粒子とバインダ樹脂との親和性および揮発性の異なる溶剤を用いることによって、乾燥途中で親和性を変化させることによって凝集を制御し、有機微粒子凝集体13Aを得てもよく、また有機微粒子凝集体13Aを構成する有機微粒子の親水化処理、無機微粒子14の疎水化処理、およびバインダ樹脂15の水酸基の存在割合を制御することによって得てもよい。
<無機微粒子>
無機微粒子14としては、特に限定されないが、例えば、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称;ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が挙げられる。
無機微粒子14としてシリカ粒子を用いる場合、シリカ粒子の中でも、容易に滑らかな凹凸面を有する防眩層を形成することができる観点から、フュームドシリカ微粒子が好ましい。フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカであり、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素(SiCl)等のケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。フュームドシリカ微粒子の市販品としては、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R805等が挙げられる。
無機微粒子14として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子は非晶質であることが好ましい。これは、無機酸化物粒子が結晶性である場合、その結晶構造中に含まれる格子欠陥により、無機酸化物微粒子のルイス酸塩が強くなってしまい、無機酸化物微粒子の過度の凝集を制御できなくなるおそれがあるからである。
また、無機微粒子14としてフュームドシリカ微粒子を用いる場合、フュームドシリカ微粒子には、親水性を示すものと、疎水性を示すものがあるが、これらの中でも、水分吸収量が少なくなり、防眩層用組成物中に分散し易くなる観点から、疎水性を示すものが好ましい。疎水性のフュームドシリカは、フュームドシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基に上記のような表面処理剤を化学的に反応させることにより得ることができる。
無機微粒子14は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。無機微粒子14の単粒子がこのような球状であることにより、防眩フィルムを画像表示装置の画像表示面に配置したときに、よりコントラストに優れた画像を得ることができる。ここで、「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が含まれるが、いわゆる不定形のものは含まれない意味である。
無機微粒子14の平均一次粒径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。無機微粒子14の平均一次粒径が1nm以上となっているので、滑らかな凹凸面を有する防眩層をより容易に形成することができ、また平均一次粒径が100nm以下となっているので、無機微粒子による光の拡散を抑制でき、優れたコントラストを得ることができる。無機微粒子14の平均一次粒径の下限は10nm以上であることがより好ましく、無機微粒子14の平均一次粒径の上限は50nm以下であることがより好ましい。
無機微粒子14の平均一次粒径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。
複数の無機微粒子14のうち少なくとも一部の無機微粒子14は、3個以上の無機微粒子14が凝集した第1の無機微粒子凝集体14Aとして存在していることが好ましい。
第1の無機微粒子凝集体14Aは、バインダ樹脂15中に存在し、かつ上記したように3個以上の無機微粒子14から構成されている。第1の無機微粒子凝集体14Aは、図3に示されるように、無機微粒子14が連なることによって形成された屈曲部14Bを有していることが好ましい。ここで、本明細書においては、「屈曲部」とは、湾曲部をも含む概念である。屈曲部14Bを有する形状としては、例えば、V字状、U字状、円弧状、C字状、糸毬状、籠状等が挙げられる。屈曲部14Bの両端は、閉じていてもよく、例えば、第1の無機微粒子凝集体14は、屈曲部14Bを有する環状構造であってもよい。
屈曲部14Bは、無機微粒子が連なることによって形成され、かつ屈曲している1本の無機微粒子凝集体から構成されていてもよいが、無機微粒子が連なることによって形成された幹部と、幹部から分岐し、かつ無機微粒子が連なることによって形成された枝部とによって構成されていてもよく、また幹部から分岐し、かつ幹部において連結した2本の枝部によって構成されていてもよい。上記「幹部」とは、第1の無機微粒子凝集体において最も長い部分である。
屈曲部14Bは、図3に示されるように内側領域14Cを有している。「内側領域」とは、屈曲部で挟まれる領域である。この内側領域14Cはバインダ樹脂15で埋められている。屈曲部14Cは、内側領域14Cを防眩層12の厚み方向から挟むように存在していることが好ましい。
塊状に無機微粒子が凝集している無機微粒子凝集体は、硬化後にバインダ樹脂となる光重合性化合物の硬化収縮(重合収縮)に際して単一の固体として作用するので、防眩層の凹凸面は無機微粒子凝集体の形状に対応する。これに対し、第1の無機微粒子凝集体14Aは、内側領域14Cを有する屈曲部14Bを有しているので、硬化収縮に際して緩衝作用を有する固体として作用する。したがって、第1の無機微粒子凝集体14Aは硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。これにより、凹凸面12Aの形状は硬化収縮前の形状に比べて緩やかになる。
第1の無機微粒子凝集体14Aにおいて、無機微粒子1個に対し1個以上3個以下の無機微粒子が接している無機微粒子の割合が95%以上となっていることが好ましい。無機微粒子1個に対し1個以上3個以下の無機微粒子が接している無機微粒子の割合が95%以上となっている場合には、無機微粒子1個に対し4個以上の無機微粒子が接している無機微粒子の割合が極めて少ないので、第1の無機微粒子凝集体14の全体形状としては塊状とはならない。無機微粒子のこの割合は、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
防眩層12中における第1の無機微粒子凝集体14Aの存在割合は、防眩層12の凹凸面12A側より防眩層12の光透過性基材11側の方が高くなっていることが好ましい。ここで、第1の無機微粒子凝集体が、防眩層における光透過性基材側に存在するか、または凹凸面側に存在するかは、防眩層の厚みの半分の箇所を境界として、この境界より光透過性基材側に存在するのか、またはこの境界より凹凸面側に存在するのかによって判断するものとする。また、第1の無機微粒子凝集体の存在割合は、防眩層の凹凸面側より防眩層の光透過性基材側の方が高くなっていることは、断面電子顕微鏡(TEM、STEM)の画像により確認することができる。第1の無機微粒子凝集体14Aの存在割合が、防眩層12の凹凸面12A側より防眩層12の光透過性基材11側の方が高くなっていることにより、凹凸面12Aは急峻な斜面を持たずより滑らかになり、極めて正反射および/または正透過に近い拡散性能を有することとなる。これにより、防眩層12は防眩性を有しつつも、明室でのコントラストに優れるだけではなく、映像光の迷光の発生をも抑制できるので、暗室でのコントラストにも優れ、非常に高度なコントラストおよび黒彩感を有する防眩フィルム10を得ることができる。
具体的には、防眩層12の厚み方向に沿った断面において、第1の無機微粒子凝集体14Aのうち、防眩層12における光透過性基材11側に存在する第1の無機微粒子凝集体14Aの数をNbとし、防眩層12における凹凸面12A側に存在する第1の無機微粒子凝集体14Aの数をNfとしたとき、Nb/Nfは下記式(4)を満たしていることが好ましい。
1.5<Nb/Nf …(4)
Nb/Nfが上記式(4)を満たすことにより、上記防眩性と優れた黒彩感をより確実に得ることができる。
第1の無機微粒子凝集体14Aは、少なくとも、有機微粒子凝集体13Aの表面の位置、および有機微粒子凝集体13Aから離間し、かつ有機微粒子凝集体13A間の位置に存在することが好ましい。凹凸面12Aにおいては有機微粒子凝集体13Aに対応する位置が凸部となるが、第1の無機微粒子凝集体14Aが有機微粒子凝集体13Aの表面の位置に存在することにより、有機微粒子凝集体13の比重が大きくなり、表面に浮き上がることを抑えることができるとともに、バインダ樹脂15の硬化収縮に対する緩衝効果を示すことにより、凹凸面12Aにおける凸部の裾がなだらかに変化し、これにより、凹凸面12Aが滑らかなものとなる。さらに、凹凸面12Aにおいては有機微粒子凝集体13に対応する位置が凸部となるので、有機微粒子凝集体13間は凹部となるが、有機微粒子凝集体13から離間し、かつ有機微粒子凝集体13間の位置に第1の無機微粒子凝集体14Aが存在することにより、凹凸面12Aにおける凹部の位置が高くなるので、凹凸面12Aにおける凸部と凹部との高低差が縮まり、これにより、凹凸面12Aがより滑らかなものとなるとともに、上述したように、凹凸面12Aの間に極めて緩い凹凸が形成されるので、コントラストを劣化させることなく、防眩性を確実なものとすることができる。
第1の無機微粒子凝集体14Aの平均凝集径は、100nm以上2.0μm以下であることが好ましい。第1の無機微粒子凝集体14Aの平均凝集径が100nm以上であれば、容易に滑らかな凹凸面12Aを形成することができ、また第1の無機微粒子凝集体14Aの平均凝集径が2.0μm以下であれば、第1の無機微粒子凝集体14Aによる光の拡散を抑制でき、コントラストに優れた防眩フィルム10を得ることができる。第1の無機微粒子凝集体14Aの平均凝集径は、下限が200nm以上であることが好ましく、上限が1.5μm以下であることが好ましい。
第1の無機微粒子凝集体の平均凝集径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)から第1の無機微粒子凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中の第1の無機微粒子凝集体の凝集径を測定し、上位10個の第1の無機微粒子凝集体の凝集径を平均したものである。なお、上記「第1の無機微粒子凝集体の平均凝集径」は、第1の無機微粒子凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、この2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、第1の無機微粒子凝集体の平均凝集径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
第1の無機微粒子凝集体14Aは、防眩層12の厚み方向の凝集径に比べてこの厚み方向と直交する方向の凝集径が大きくなっていることが好ましい。なお、上記「厚み方向の凝集径」は、第1の無機微粒子凝集体の断面を防眩層の厚み方向に垂直である2本の平行な直線で挟んだときの2本の直線間距離として測定される。また、上記「厚み方向と直行する方向の凝集径」は、第1の無機微粒子凝集体の断面を防眩層の厚み方向に平行である2本の平行な直線で挟んだときの2本の直線間距離として測定される。これらの凝集径も、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
第1の無機微粒子凝集体14Aは、例えば、有機微粒子13の親水化処理、無機微粒子14の疎水化処理、およびバインダ樹脂15の水酸基の存在割合を制御することによって得ることができる。無機微粒子14の表面には水酸基が存在しているが、第1の無機微粒子14に疎水化処理を施すと、無機微粒子14の表面に存在する水酸基が少なくなり、無機微粒子が過度に凝集することを抑制できる。また、無機微粒子14の表面に疎水化処理を施すことによって、無機微粒子自体の耐薬品性および耐鹸化性の向上を図ることもできる。
このような疎水化処理は、シラン類やシラザン類等の表面処理剤を用いて行うことができる。具体的な表面処理剤としては、例えば、ジメチルジクロロシランやシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ヘキサデシルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
なお、上記方法以外の方法によっても、第1の無機微粒子凝集体14Aを得ることができるので、第1の無機微粒子凝集体14Aを得る方法としては、上記の方法に限られない。例えば、無機微粒子の表面に相互に反応する基を点在させて、無機微粒子の凝集状態を制御して、第1の無機微粒子凝集体14Aを得てもよく、また無機微粒子とバインダ樹脂との親和性および揮発性の異なる溶剤を用いることによって、乾燥途中で親和性を変化させることによって凝集を制御し、第1の無機微粒子凝集体14Aを得てもよい。
防眩層12中の無機微粒子14として、第1の無機微粒子凝集体14Aとともに、図2および図3に示されるように、2個以上の無機微粒子14が凝集した第2の無機微粒子凝集体14Dが存在していてもよい。第2の無機微粒子凝集体14Dは、凹凸面12Aまたはその近傍に存在している。また、第2の無機微粒子凝集体14Dにおいても、無機微粒子1個に対して、1個以上3個以下の前記無機微粒子が接している前記無機微粒子の割合が95%以上となっていることが好ましい。さらに、第2の無機微粒子凝集体14Dは、防眩層12の厚み方向の凝集径に比べてこの厚み方向と直交する方向の凝集径が大きくなっていることが好ましく、さらに二次元的に凝集していることが好ましい。また、第2の無機微粒子凝集体14Dは第1の無機微粒子凝集体14Aに比べて、より凹凸面12Aまたはその近傍に存在しているので、第1の無機微粒子凝集体14Aに比べて防眩層12の厚み方向の凝集径が小さくなっていることにより、凹凸面12Aをより滑らかにすることができる。
第2の無機微粒子凝集体14Dが凹凸面12Aまたはその近傍に存在することにより、防眩層12の表面の硬度を高めることができるので、バインダ樹脂15として比較的柔らかいバインダ樹脂を使用することができ、これにより、屈曲性に優れた防眩フィルム10を得ることができる。
第2の無機微粒子凝集体14Dの平均凝集径は、第1の無機微粒子凝集体14Aの平均凝集径と同様の理由から、100nm以上2.0μm以下であることが好ましい。第2の無機微粒子凝集体14Dの平均凝集径は、下限が200nm以上であることがより好ましく、上限が1.5μm以下であることがより好ましい。
第2の無機微粒子凝集体14Dを構成する無機微粒子14は、第1の無機微粒子凝集体14Aを構成する無機微粒子14と同様のものであってもよいので、ここでは説明を省略するものとする。また、第2の無機微粒子凝集体14は、第1の無機微粒子凝集体14Aと同様に、例えば、有機微粒子13の親水化処理、無機微粒子14の疎水化処理、およびバインダ樹脂15の水酸基の存在割合を制御することによって得ることができる。ただし、第2の無機微粒子凝集体14Dの凝集状態を、第1の無機微粒子凝集体14Aの凝集状態と異ならせるために、例えば、第2の無機微粒子凝集体14Dにおいては、第1の無機微粒子凝集体14Aと異なる表面処理剤や第1の無機微粒子凝集体14Aと異なる表面処理剤濃度を用いてもよい。
防眩層12においては、防眩層12の厚み方向(光透過性基材11の法線方向)に沿った断面において、防眩層12の凹凸面12Aのうち、有機微粒子13および無機微粒子14に対応する領域以外の領域の長さの割合が、15%以上70%以下であることが好ましい。この割合が15%以上であることにより、防眩フィルムが適度な正透過(正反射)成分が生じ、画像の照りや輝きと、コントラストとを担保することができ、またこの割合が70%以下であることにより、過度な正反射が生じないので、防眩性を担保することができる。この割合の下限は20%以上であることが好ましく、この割合の上限は60%以下であることが好ましい。
上記「有機微粒子および無機微粒子に対応する領域以外の領域の長さ」とは、防眩層の厚み方向に沿った断面において、防眩層の厚み方向から見たとき、有機微粒子(有機微粒子凝集体)および無機微粒子(第1の無機微粒子凝集体および第2の無機微粒子凝集体)と重なる凹凸面の領域以外の領域の長さ(直線距離)を意味する。有機微粒子および無機微粒子に対応する領域以外の領域は、内部拡散および/または表面拡散に寄与する拡散要素の存在しない領域であって、この領域を透過する映像光は正透過方向の成分のみからなり、外光についても同様に正反射成分のみからなる。逆に、有機微粒子および無機微粒子に対応する領域は、内部拡散および/または表面拡散に寄与する拡散要素を有する領域であって、この領域を透過する映像光は拡散成分からなり、外光についても同様に拡散反射成分を有する。例えば、図3の場合には、有機微粒子13および無機微粒子14に対応する領域以外の領域の長さは、L〜Lとなる。また、この長さの割合は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂15は、光重合性化合物の重合物(架橋物)を含むものである。バインダ樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
光重合性化合物としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
バインダ樹脂15の親水性が制御されていることが好ましい。例えば、事前に水酸基を有する光重合性化合物と、水酸基を有さない光重合性化合物の混合割合を変えた親水性の程度が制御されたバインダ樹脂を用いて防眩フィルムを作成し、確認することで、有機微粒子および無機微粒子の凝集および偏在の程度が制御された防眩フィルムを得ることができる。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000以下のものである。なお、光重合性モノマーを、1種類のみならず、複数種類用いてもよい。
光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い防眩層を得る観点からは、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000を超え10000以下のものである。光重合性オリゴマーとしては、光重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性プレポリマー)
光重合性プレポリマーは、重量平均分子量が10000を超えるものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる防眩フィルムの外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、防眩層12を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
本実施形態によれば、防眩フィルムが、0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上であり、かつこの算術平均値と各光学くしを用いて測定された透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内となっているので、映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができるとともに、良好なギラツキ防止性および良好な黒彩感を得ることができる。すなわち、上記算術平均値と各光学くしを用いて測定された透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内となっているので、光学くし毎の透過画像鮮明度の差が小さい。これは、透過光が防眩フィルムの表面の凸部でのみ拡散され、防眩フィルムの表面の平坦部では拡散されないことを示している。すなわち、平坦部においてはほぼ傾斜が無いことを意味する。このように、平坦部にほぼ傾斜が無いことで、ギラツキの発生を抑制できるので、良好なギラツキ防止性を得ることができる。また、平坦部にはほぼ傾斜が無いことで、適度な正反射成分を持たせることができるので、動画像を表示したとき、画像の照りや輝きが増し、躍動感を得ることができる。さらに、透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上となっているので、防眩フィルムの表面の凸部が大き過ぎない。このため、上記効果に加えて、外光の過度な拡散を生ずることもなく、明室コントラストの低下を抑制できるとともに、映像光が迷光となることも防止することができるので、良好な暗室コントラストをも得ることができる。また、透過画像鮮明度の算術平均値が95%以下となっていることで、平坦部が多過ぎない、すなわち、防眩フィルムの表面において凸部が適度に形成されて、反射光を適度に拡散させることができるので、映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができる。これにより、映り込みが気にならない程度の防眩性を得ることができるとともに、良好なギラツキ防止性および優れたコントラストと躍動感とを兼ね備えた良好な黒彩感を得ることができる。なお、観察者(観測者)および観察者の背景の映り込みが気にならない程度の防眩性とは、例えば、観察者がいることは認められるが、その輪郭だけは不明瞭なぼやけた状態となり、また観察者の背景にある物も存在は認められるが、輪郭や境界が不明瞭となるような防眩性を意味する。このように、観察者の輪郭などがぼやけるだけで、観察者にとってはより映り込みが気にならない状態となる。
本実施形態によれば、第1の無機微粒子凝集体14Aが、内側領域14Cを有する屈曲部14Bを有しているので、上記したように、第1の無機微粒子凝集体14Aは硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。これにより、第1の無機微粒子凝集体14Aは凹凸面12Aを形成する作用を有するが、凹凸面12Aの形状は硬化収縮量に比べて緩やかになり、凹凸面12Aは、観察者(観測者)および観察者の背景の映り込みが気にならない程度の防眩性を有し、かつ急劇な輝度変化を発生させる傾斜角度変化率の急変部位が生じることを有効に防止できるので、より良好なギラツキ防止性を得ることができる。また、凹凸面12Aを構成する凹凸の傾斜角度が大きくなることもないので、外光の過度な拡散を生ずることもない。これにより、明室コントラストの低下をより抑制できる。また、映像光が迷光となることも防止することができるので、より良好な暗室コントラストをも得ることができる。さらに、適度な正反射成分を有するので、動画像を表示したとき、画像の照りや輝きが増し、躍動感をより得ることができる。これにより、優れたコントラストと躍動感とを兼ね備えた黒彩感をより得ることができる。
<<<防眩フィルムの製造方法>>>
防眩フィルム10は、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、光透過性基材11上に防眩層用組成物を塗布する。防眩層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
<<防眩層用組成物>>
防眩層用組成物は、少なくとも、有機微粒子13、無機微粒子14および上記光重合性化合物を含んでおり、好ましくは、有機微粒子凝集体13A、第1の無機微粒子凝集体14Aおよび第2の無機微粒子凝集体14Dを含んでいる。その他、必要に応じて、防眩層用組成物に、上記熱可塑性樹脂、上記熱硬化性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、防眩層用組成物には、防眩層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
<溶剤>
溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
<重合開始剤>
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
防眩層用組成物における重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
防眩層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
防眩層用組成物の調製方法としては、各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
光透過性基材11上、防眩層用組成物を塗布した後、塗膜状の防眩層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で防眩層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで、溶剤と固形分との親和性、溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、有機微粒子凝集体13A、第1の無機微粒子凝集体14Aおよび第2の無機微粒子凝集体14Dの分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって微粒子の凝集体の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子の凝集体の分布状態を所望の状態に調整することができる。
その後、塗膜状の防眩層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより防眩層用組成物を硬化させて、防眩層12を形成する。ここで、上述したように、第1の無機微粒子凝集体14Aは、内側領域14Cを有する屈曲部14Bを有しているので、硬化収縮に際して緩衝作用を有する固体として作用する。したがって、第1の無機微粒子凝集体14Aは硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。
防眩層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
<<<偏光板>>>
防眩フィルム10は、例えば、偏光板に組み込んで使用することができる。図5は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ偏光板の概略構成図である。図5に示されるように偏光板20は、防眩フィルム10と、偏光子21と、保護フィルム22とを備えている。偏光子21は、光透過性基材11における防眩層12が形成されている面とは反対側の面に形成されている。保護フィルム22は、偏光子21の防眩フィルム10が設けられている面とは反対側の面に設けられている。保護フィルム22は位相差フィルムであってもよい。
偏光子21としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。防眩フィルム10と偏光子21とを積層する際には、予め光透過性基材11に鹸化処理を施すことが好ましい。鹸化処理を施すことによって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
<<<液晶パネル>>>
防眩フィルム10や偏光板20は、液晶パネルに組み込んで使用することができる。図6は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ液晶パネルの概略構成図である。
図6に示される液晶パネルは、光源側(バックライトユニット側)から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム31、偏光子32、位相差フィルム33、接着剤層34、液晶セル35、接着剤層36、位相差フィルム37、偏光子21、防眩フィルム10の順に積層された構造を有している。液晶セル35は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
位相差フィルム33、37としては、トリアセチルセルロースフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。位相差フィルム37は、保護フィルム22と同一であってもよい。接着剤層34、36を構成する接着剤としては、感圧接着剤(PSA)が挙げられる。
<<<画像表示装置>>>
防眩フィルム10、偏光板20、液晶パネル30は、画像表示装置に組み込んで使用することができる。画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等が挙げられる。図7は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。
図7に示される画像表示装置40は、液晶ディスプレイである。画像表示装置40は、バックライトユニット41と、バックライトユニット41よりも観察者側に配置された、防眩フィルム10を備える液晶パネル30とから構成されている。バックライトユニット41としては、公知のバックライトユニットが使用できる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<防眩層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、防眩層用組成物を得た。
(防眩層用組成物1)
・アクリル−スチレン共重合体粒子(有機微粒子、平均一次粒径2.0μm、屈折率1.52、積水化成品工業社製):3質量部
・フュームドシリカ(無機微粒子、ヘキサメチルジシラザン処理、平均一次粒径50nm、日本アエロジル社製):1質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名「PETIA」、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート(製品名「M−215」、東亜合成社製):40質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:120質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):30質量部
(防眩層用組成物2)
・アクリル−スチレン共重合体粒子(有機微粒子、平均一次粒径2.0μm、屈折率1.52、積水化成品工業社製):4質量部
・フュームドシリカ(無機微粒子、ヘキサメチルジシラザン処理、平均一次粒径50nm、日本アエロジル社製):1質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「UV1700B」、日本合成化学社製):40質量部・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:120質量部
・シクロヘキサノン:30質量部
(防眩層用組成物3)
・アクリル−スチレン共重合体粒子(有機微粒子、平均一次粒径2.0μm、屈折率1.52、積水化成品工業社製):2質量部
・フュームドシリカ(無機微粒子、オクチルシラン処理、平均一次粒径12nm、日本アエロジル社製):2質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「UV1700B」、日本合成化学社製):40質量部・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
(防眩層用組成物4)
・アクリル−スチレン共重合体粒子(有機微粒子、平均一次粒径3.5μm、屈折率1.52、積水化成品工業社製):4.5質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名「PETIA」、ダイセル・サイテック社製):65質量部
・イソシアヌル酸変性トリアクリレート(製品名「M−313」、東亜合成社製):35質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:110質量部
・シクロヘキサノン:50質量部
(防眩層用組成物5)
・不定形シリカ粒子(無機微粒子、疎水化処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)2.3μm、富士シリシア化学社製):2質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名「PETIA」、ダイセル・サイテック社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:150質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):35質量部
なお、上記不定形シリカ粒子は、ゲル法で作製されたものであった。
(防眩層用組成物6)
・アクリル−スチレン共重合体粒子(有機微粒子、平均一次粒径3.0μm、屈折率1.52、積水化成品工業社製):7質量部
・不定形シリカ粒子(無機微粒子、疎水化処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)2.7μm、富士シリシア化学社製):2質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名「PETIA」、ダイセル・サイテック社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:120質量部
・シクロヘキサノン:30質量部
なお、上記不定形シリカ粒子は、ゲル法で作製されたものであった。
<実施例1>
光透過性基材としての厚さ60μmのトリアセチルセルロース基材(富士フルム社製、TD60UL)を準備し、トリアセチルセルロース基材の片面に、防眩層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、硬化時の厚みが4μmの防眩層を形成し、実施例1に係る防眩フィルムを作製した。
<実施例2>
実施例2においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物2を用い、硬化時の防眩層の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例3においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<比較例1>
比較例1においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物4を用い、硬化時の防眩層の厚みを6μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<比較例2>
比較例2においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物5を用い、硬化時の防眩層の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<比較例3>
比較例3においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物6を用い、硬化時の防眩層の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<防眩フィルムの断面観察>
上記実施例1および実施例2において得られた防眩フィルムの断面を、走査電子顕微鏡(SEM)(S−4800、日立ハイテク社製)の走査透過電子顕微鏡(STEM)機能を用いて撮影し、得られたSTEM断面写真を観察した。図8は走査電子顕微鏡の走査透過電子顕微鏡機能を用いて撮影した実施例1に係る防眩フィルムの断面写真であり、図9はその拡大写真である。
図8の写真から、有機微粒子凝集体が存在していること、無機微粒子凝集体が存在し、かつ無機微粒子凝集体が少なくとも、防眩層の凹凸面またはその近傍の位置、有機微粒子凝集体の表面の位置、および有機微粒子凝集体から離間し、かつ有機微粒子凝集体間の位置に存在していること、および防眩層の凹凸面またはその近傍の位置に存在している無機微粒子凝集体においては、防眩層の厚み方向における凝集径に比べて前記厚み方向と直交する方向の凝集径が大きいことが確認された。
また、図9の写真を画像解析した結果、有機微粒子凝集体の表面の位置および有機微粒子凝集体から離間し、かつ有機微粒子凝集体間の位置に存在している無機微粒子凝集体は、バインダ樹脂で埋められた内側領域を有する屈曲部を有することが確認された。
<透過画像鮮明度>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムについて、JIS K7374の透過法による像鮮明度の測定法に準拠して、写像性測定器(型番:ICM−1T、スガ試験機社製)を設定し、トリアセチルセルロース基材側を光源に向けて設置して、透過画像鮮明度を測定した。光学くしとしては、0.125mm、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm、2.0mm幅のものを用いて、透過画像鮮明度をそれぞれ測定した。また、それぞれ測定した透過画像鮮明度を合計して、算術平均値を求め、さらにこの算術平均値と各透過画像鮮明度の値との差の絶対値を求めた。
<防眩性>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムのトリアセチルセルロース基材における防眩層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板を貼りサンプルとした。このサンプルを明室環境下で目視にて、被験者15人により、観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない程度の防眩性が得られているか否かを下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
<ギラツキ>
実施例および比較例で得られた各防眩フィルムにおいて、以下のようにしてギラツキを評価した。輝度1500cd/mのライトボックス(白色面光源)、140ppiのブラックマトリクスガラス、防眩フィルムの順に下から重ねた状態にし、30cm程度の距離から上下、左右様々な角度から、被験者15人が目視評価を行った。ギラツキが気になるか否かを判定し、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
<黒彩感>
実施例および比較例で得られた各防眩フィルムにおいて、以下のようにして黒彩感を評価した。ソニー社製液晶テレビ「KDL−40X2500」の最表面の偏光板を剥離し、表面塗布のない偏光板を貼付した。次いで、その上に得られた実施例および比較例に係る防眩フィルムを、防眩層側が最表面となるように、防眩フィルム用透明粘着フィルム(全光線透過率91%以上、ヘイズ0.3%以下、膜厚20〜50μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄加工社製など)により貼付した。この液晶テレビを、照度が約1000Lxの環境下の室内に設置し、メディアファクトリー社のDVD「オペラ座の怪人」を表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から、この映像を被験者15人が鑑賞することで、黒彩感を官能評価により評価した。黒彩感は、動画像を表示したとき、コントラストが高く、かつ画像に照りや輝きがあり、躍動感を感じるか否かで判定した。
評価基準は以下のとおりである。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
<全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズ測定>
上記実施例および比較例で得られた各防眩フィルムについて、以下のようにして、全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。まず、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全ヘイズ値を測定した。その後、防眩層の表面に、透明光学粘着層を介してトリアセチルセルロース基材(富士フイルム社製、TD60UL)を貼り付けた。これによって、防眩層における凹凸面の凹凸形状が潰れ、防眩フィルムの表面が平坦になった。この状態で、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定し、更に上記の粘着層自身のヘイズを差し引くことで内部ヘイズ値を求めた。そして、全ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、表面ヘイズ値を求めた。
<Sm、θa、およびRaの測定>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面において、Sm、θa、およびRaを測定した。SmおよびRaの定義は、JIS B0601−1994に従うものとし、θaは表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。
Sm、θa、およびRaは、具体的には、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定された。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
<耐屈曲性試験>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムにおいて、マンドレルを有する屈曲試験機を用いて耐屈曲性試験を行い、クラックが生じなかったマンドレルの最小直径を表2に記載した。耐屈曲性試験はJIS K5600−5−1(1999)に準じて行われた。
<耐擦傷性>
実施例および比較例で得られた各防眩フィルムおいて、スチールウール♯0000(製品名:ボンスター、日本スチールウール株式会社製)を用い、荷重700g/cmを加えながら、速度100mm/秒で10往復擦った後、トリアセチルセルロース基材における防眩層が形成されている面とは反対側の面に黒いテープを貼り、傷の有無を3波長蛍光ランプ下での目視により評価した。耐擦傷性評価の評価基準は以下の通りとした。
○:傷が確認されなかった、または傷が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
×:傷が多数確認された。
以下、結果を表1および表2に示す。
表2に示されるように、比較例1においては、良好な防眩性は得られたものの、ギラツキが劣っていた。これは、比較例1においては、透過画像鮮明度の各光学くしと算術平均値との差の絶対値が大きいため、平坦な部分が少なくギラツキが生じやすくなっていたためであると考えられる。また、比較例2においては、ギラツキおよび黒彩感は良好であったものの、防眩性が劣っていた。これは、比較例2においては、透過画像鮮明度の算術平均値が大きいため、平坦な部分が多過ぎたためであると考えられる。また、比較例3においては、防眩性が良好であり、かつギラツキが気にならなかったものの、黒彩感が低かった。これは、比較例3においては、有機微粒子としてのアクリル−スチレン共重合体粒子と、不定形シリカにより防眩層表面の凹凸を形成し、またヘイズが高いのでギラツキを抑えることができたものの、透過画像鮮明度の算術平均値が小さく、平坦部がほとんど無いためであると考えられる。これに対し、実施例1〜3は、防眩性が良好であり、ギラツキが気にならず、かつ黒彩感が良好であった。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1]光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層を備える防眩フィルムであって、
前記防眩層が、複数の有機微粒子と、複数の無機微粒子と、バインダ樹脂とを含み、
0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上95%以下であり、かつ前記算術平均値と前記各光学くしを用いて測定された前記透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内である、防眩フィルム。
[2]複数の前記有機微粒子のうち少なくとも一部の前記有機微粒子は2個以上の前記有機微粒子が凝集した有機微粒子凝集体として存在し、複数の前記無機微粒子のうち少なくとも一部の前記無機微粒子は3個以上の前記無機微粒子が凝集した第1の無機微粒子凝集体として存在し、前記第1の無機微粒子凝集体が、前記無機微粒子が連なることによって形成され、かつ前記バインダ樹脂で埋められた内側領域を有する屈曲部を含む、[1]に記載の防眩フィルム。
[3]前記第1の無機微粒子凝集体が、少なくとも、前記有機微粒子凝集体の表面の位置と、前記有機微粒子凝集体から離間し、かつ前記有機微粒子凝集体間の位置とに存在する、[2]に記載の防眩フィルム。
[4]複数の前記無機微粒子のうち一部の前記無機微粒子が、2個以上の無機微粒子が凝集した複数の第2の無機微粒子凝集体として存在し、
前記第2の無機微粒子凝集体は、前記凹凸面またはその近傍の位置に存在し、かつ前記防眩層の厚み方向における前記第2の無機微粒子凝集体の凝集径に比べて前記厚み方向と直交する方向の前記第2の無機微粒子凝集体の凝集径が大きい、[3]に記載の防眩フィルム。
[5]前記防眩層中における前記第1の無機微粒子凝集体の存在割合は、前記防眩層の凹凸面側より前記防眩層の前記光透過性基材側の方が高い、[2]に記載の防眩フィルム。
[6]前記防眩層の厚みをTとし、前記有機微粒子の平均粒径をRとしたとき、
0.2<R/T<0.7
の関係を満たす、[1]に記載の防眩フィルム。
[7]前記無機微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上100nm以下である、[1]に記載の防眩フィルム。
[8]前記防眩層の厚み方向に沿った断面において、前記凹凸面のうち、前記有機微粒子および前記無機微粒子に対応する領域以外の領域の長さの割合が、15%以上70%以下である、[1]に記載の防眩フィルム。
[9][1]に記載の防眩フィルムと、
前記防眩フィルムの前記光透過性基材における前記防眩層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板。
[10][1]に記載の防眩フィルム、または[9]に記載の偏光板を備える、液晶表示パネル。
[11][1]に記載の防眩フィルム、または[9]に記載の偏光板を備える、画像表示装置。
10…防眩フィルム
10A…表面
11…光透過性基材
12…防眩層
12A…凹凸面
13…有機微粒子
13A…有機微粒子凝集体
14…無機微粒子
14A…第1の無機微粒子凝集体
14B…屈曲部
14C…内側領域
14D…第2の無機微粒子凝集体
15…バインダ樹脂
20…偏光板
21…偏光子
30…液晶パネル
40…画像表示装置

Claims (1)

  1. 光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層を備える防眩フィルムであって、
    前記防眩層が、複数の有機微粒子と、複数の無機微粒子と、バインダ樹脂とを含み、
    0.125mm幅、0.25mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定された前記防眩フィルムの透過画像鮮明度の算術平均値が70%以上95%以下であり、かつ前記算術平均値と前記各光学くしを用いて測定された前記透過画像鮮明度との差の絶対値が10%以内である、防眩フィルム。
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