JP2016048732A - 絶縁膜形成用組成物および有機半導体素子の製造方法 - Google Patents

絶縁膜形成用組成物および有機半導体素子の製造方法 Download PDF

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岳文 阿部
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陽司 中島
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Masaki Koo
正樹 小尾
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保宏 桑名
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Abstract

【課題】含フッ素樹脂の溶解性に優れ、絶縁膜形成時に有機半導体層にダメージを与えにくい絶縁膜形成用組成物、および有機半導体素子の製造方法の提供。【解決手段】有機半導体層14上に層間絶縁膜15を形成するための絶縁膜形成用組成物であって、含フッ素樹脂と、PF=MP/MT(ただし、ペルフルオロメチルシクロヘキサンの3mLとトルエンの3mLと溶媒の30μLとを混合して静置した状態におけるペルフルオロメチルシクロヘキサン相中の溶媒濃度がMP[単位:mL/L]であり、当該状態におけるトルエン相中の溶媒濃度がMT[単位:mL/L]である。)で表される親フッ素パラメータPFが0.05以上20未満の溶媒とを含む絶縁膜形成用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁膜形成用組成物および有機半導体素子の製造方法に関する。
有機半導体素子として、例えば、ゲート電極上にゲート絶縁膜を設け、該ゲート絶縁膜上にソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を設け、さらにその上に層間絶縁膜を設けるボトムゲート型の有機半導体素子が知られている。また、基板上に設けたソース電極、ドレイン電極および有機半導体層の上にゲート絶縁膜を設け、該ゲート絶縁膜上にゲート電極を設け、さらにその上に層間絶縁膜を設けるトップゲート型の有機半導体素子が知られている。
該有機半導体素子では、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層の上に設けられる層間絶縁膜やゲート絶縁膜に微細加工を施し、コンタクトホール等を設ける場合がある。ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層の上に絶縁膜を設ける方法としては、例えば、絶縁性を有する樹脂と溶媒とを含む組成物を湿式塗布して絶縁膜を形成する方法が挙げられる。しかし、一般の有機溶媒を用いると、有機溶媒によって有機半導体層がダメージを受けて有機半導体素子の特性が劣化(例えば、キャリア移動度の低下)することが知られている。この理由は定かではないが、溶媒による膨潤によって有機半導体層の結晶状態が悪化する等の理由が想定される。
有機半導体層の特性劣化を抑制する方法としては、ペルフルオロトリブチルアミン等の含フッ素溶媒に体積抵抗率が1012Ω・cm以上の含フッ素樹脂を溶解した組成物によって有機半導体層上に封止層(絶縁膜)を形成する方法が提案されている(特許文献1、2)。
しかし、ペルフルオロトリブチルアミン等の含フッ素溶媒は含フッ素樹脂の溶解性が不充分なため、均一な絶縁膜を形成しにくい。一方、含フッ素樹脂の溶解性が高い含フッ素溶媒を用いた場合、理由は定かではないが、絶縁膜形成時に有機半導体層がダメージを受けて有機半導体素子の特性が劣化することがある。
特開2007−128946号公報 特開2007−258218号公報
本発明は、含フッ素樹脂の溶解性に優れる含フッ素溶媒を含有し、絶縁膜形成時に有機半導体層にダメージを与えにくい絶縁膜形成用組成物、および有機半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[2]の構成を有する絶縁膜形成用組成物および有機半導体素子の製造方法を提供する。
[1]有機半導体層上に絶縁膜を形成するための絶縁膜形成用組成物であって、含フッ素樹脂と、下式(1)で表される親フッ素パラメータPが0.05以上20未満の溶媒とを含むことを特徴とする絶縁膜形成用組成物。
=M/M ・・・(1)
(ただし、ペルフルオロメチルシクロヘキサンの3mLとトルエンの3mLと溶媒の30μLとを混合して静置した状態におけるペルフルオロメチルシクロヘキサン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]であり、当該状態におけるトルエン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]である。)
[2]前記[1]の絶縁膜形成用組成物を有機半導体層上に塗布し、前記溶媒を除去して絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
本発明の絶縁膜形成用組成物によれば、含フッ素樹脂の溶解性に優れる含フッ素溶媒を含有し、絶縁膜形成時に有機半導体層にダメージを与えにくく、優れた特性の有機半導体素子が得られる。
本発明の有機半導体素子の製造方法によれば、優れた特性を有する有機半導体素子を製造できる。
本発明の製造方法で製造される有機半導体素子の一例を示した断面図である。 本発明の製造方法で製造される有機半導体素子の他の例を示した断面図である。 本発明の製造方法で製造される有機半導体素子の他の例を示した断面図である。 例1〜11における試験用有機半導体素子の製造工程を示した断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「絶縁膜」は、絶縁性を有する膜である。「絶縁性を有する」とは、電気(電流)を通しにくい性質を有することを意味し、具体的には、二重リング電極法により測定される体積抵抗率が1010Ω・cm以上であることを意味する。
「塗膜」は、液状の材料(絶縁膜形成用組成物等)を塗布して得られる膜であり、「乾燥膜」は、溶媒を除去した膜を意味し、「硬化膜」は、乾燥膜を光および熱のいずれか一方または両方により硬化させた膜をいう。
「含フッ素樹脂」とは、分子中にフッ素原子を有する樹脂を意味する。
「フッ素化」とは、化合物中の炭素原子と結合する水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されることを意味する。また、フッ素化された化合物におけるフッ素原子で置換されていない水素原子の1以上は塩素原子に置換されていてもよい。
「フルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換された基であり、「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。
本明細書において、メタクリロイル基とメタクリオイルオキシ基とを総称して、「メタクリロイル(オキシ)基」という。また、アクリロイル基とメタクリロイル基とを総称して、「(メタ)アクリロイル基」という。また、ビニル基とビニルオキシ基とを総称して「ビニル(オキシ)基」、アリル基とアリルオキシ基とを総称して「アリル(オキシ)基」、トリフルオロビニル基とトリフルオロビニルオキシ基とを総称して「トリフルオロビニル(オキシ)基」という。
本明細書において、式(2)で表される化合物を「化合物(2)」とも記す。他の式で表される化合物についても同様に記す。
[絶縁膜形成用組成物]
本発明の絶縁膜形成用組成物は、有機半導体素子における有機半導体層上に絶縁膜を形成するための組成物である。本発明の絶縁膜形成用組成物により形成する絶縁膜は、有機半導体層上に形成されるものであればゲート絶縁膜であってもよく、層間絶縁膜であってもよく、ゲート絶縁膜および層間絶縁膜以外の絶縁膜であってもよい。
本発明の絶縁膜形成用組成物は、含フッ素樹脂と、下式(1)で表される親フッ素パラメータPが0.05以上20未満の溶媒とを含む。
=M/M ・・・(1)
(ただし、ペルフルオロメチルシクロヘキサンの3mLとトルエンの3mLと溶媒の30μLとを混合して静置した状態におけるペルフルオロメチルシクロヘキサン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]であり、当該状態におけるトルエン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]である。)
親フッ素性が高い溶媒は、含フッ素量の高い含フッ素樹脂を溶解しやすく、一般の有機物は溶解しにくい。このことから、親フッ素パラメータPが前記範囲である溶媒は、含フッ素樹脂の溶解性に優れ、また有機半導体層への影響が小さくダメージを与えにくい。
(溶媒)
本発明の絶縁膜形成用組成物における溶媒(以下、「溶媒(A)」とも記す。)は、親フッ素パラメータPが0.05以上20未満の溶媒である。親フッ素パラメータPが0.05以上であることで、絶縁膜形成用組成物を有機半導体層上に塗布しても溶媒(A)によって有機半導体層がダメージを受けないため、有機半導体素子の特性劣化を抑制できる。親フッ素パラメータPが20未満であることで、含フッ素樹脂の溶解性に優れる。
溶媒(A)の親フッ素パラメータPは、0.05〜15が好ましい。
溶媒(A)としては、例えば、含フッ素脂肪族炭化水素類(フッ素化デカリン、フッ素化シクロヘキサン、フッ素化ヘキサン、フッ素化オクタン、フッ素化デカン等)、含フッ素アルキルアミン類(フッ素化トリペンチルアミン、フッ素化トリブチルアミン、フッ素化トリプロピルアミン等)、含フッ素アルコール類(フッ素化プロパノール、フッ素化ペンタノール、フッ素化ペプタノール、フッ素化オクタノール等)、含フッ素脂肪族エーテル類(フッ素化ブチルメチルエーテル、フッ素化ブチルエチルエーテル等)、含フッ素環状エーテル類(フッ素化2−ブチルテトラヒドロフラン等)等の含フッ素有機溶媒のうち、親フッ素パラメータPが前記範囲内であるものが挙げられる。
溶媒(A)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
商品名「アサヒクリンAC2000」(1H−トリデカフルオロヘキサン、P=12.00、沸点:71℃、旭硝子社製)、
商品名「アサヒクリンAC6000」(1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、P=5.60、沸点:115℃、旭硝子社製)、
商品名「アサヒクリンAE3000」(1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、P=0.60、沸点:56℃、旭硝子社製)、
商品名「アサヒクリンAK−225」(1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの質量比45:55の混合物、P=0.30、沸点:54℃、旭硝子社製)、
商品名「サイトップCT−solv100E」(P=8.20、沸点:98℃、旭硝子社製)、
商品名「Novec7100」(1−メトキシノナフルオロブタン、P=2.9、沸点:61℃、住友3M社製)、
商品名「Novec7200」(1−エトキシノナフルオロブタン、P=2.5、沸点:76℃、住友3M社製)、
商品名「Novec7600」(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)ペンタン)、P=1.3、沸点:131℃、住友3M社製)、
商品名「Vertrel XF」(2H,3H−ペルフルオロペンタン、P=3.70、沸点:55℃、三井・デュポンフロロケミカル社製)、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(P=1.10、沸点:80℃)、
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−1−ノナノール(P=1.02)、
ヘキサフルオロベンゼン(P=0.30、沸点:81℃)、
ヘキサフルオロイソプロパノール(P=0.24、沸点:59℃)、
1H,1H,7H−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール(P=0.23、沸点:170℃)、
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(P=0.10、沸点:140℃)等。
溶媒(A)の沸点は、平坦性に優れる絶縁膜を得られる点からは、80℃以上が好ましく、100℃以上が特に好ましい。
溶媒(A)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(含フッ素樹脂)
本発明の絶縁膜形成用組成物における含フッ素樹脂(以下、「含フッ素樹脂(F)」とも記す。)は、フッ素原子を有するため、形成される絶縁膜の誘電率および誘電損失が低くなりやすい。絶縁膜の誘電率および誘電損失が低いと、該絶縁膜を用いて製造された多層配線間において信号伝播速度の遅延を抑制でき、電気特性に優れた素子が得られる。フッ素原子を有することは、絶縁膜の吸水率が低くなる点でも好ましい。絶縁膜の吸水率が低いことは、該絶縁膜に接合する電極およびその周辺の配線部分等における接合状態の変化が抑制できる点、または金属の変質(錆等)が抑制できる点で優れており、素子の信頼性を高める。
含フッ素樹脂(F)のフッ素原子含有率Qは、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。フッ素原子含有率Qが前記範囲の下限値以上であれば、低誘電率や低誘電損失に優れる。フッ素原子含有率Qが前記範囲の上限値以下であれば、溶媒(A)への含フッ素樹脂(F)の溶解性に優れる。
なお、フッ素原子含有率Q(質量%)は、下式で求められる。
=[19×N/M]×100
:含フッ素樹脂を構成する単位の種類毎に、単位のフッ素原子数と、全単位に対する当該単位のモル比率とを乗じた値の総和。
:含フッ素樹脂を構成する単位の種類毎に、単位を構成する全ての原子の原子量の合計と、全単位に対する当該単位のモル比率とを乗じた値の総和。
含フッ素樹脂(F)の数平均分子量(Mn)は、5,000〜500,000が好ましく、10,000〜200,000が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の数平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、製膜性に優れる。含フッ素樹脂(F)の数平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、溶媒(A)への含フッ素樹脂(F)の溶解性に優れる。
含フッ素樹脂(F)の質量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の質量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、製膜性に優れる。含フッ素樹脂(F)の質量平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、溶媒(A)への含フッ素樹脂(F)の溶解性に優れる。
含フッ素樹脂(F)の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜4が好ましく、1.2〜3が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の分子量分布が前記範囲内であれば、溶媒(A)への含フッ素樹脂(F)の溶解性の溶解性に優れる。
含フッ素樹脂(F)の比誘電率は、4.5以下が好ましく、3.5以下が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の比誘電率が前記範囲の上限値以下であれば、多層配線間における信号遅延を防ぐことができる。
なお、比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定される値である。
含フッ素樹脂(F)の体積固有抵抗は、1010Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の体積固有抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、優れた絶縁特性を示す。
なお、体積固有抵抗は、ASTM D257により測定される。
含フッ素樹脂(F)の絶縁破壊電圧は、1kV/mm以上が好ましく、5kV/mm以上が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の絶縁破壊電圧が前記範囲の下限値以上であれば、高電圧による絶縁破壊を防ぐことができる。
なお、絶縁破壊電圧は、水銀フローバー(SSM社製、製品名:SSM−495)により測定される。
含フッ素樹脂(F)としては、溶媒(A)に溶解し、湿式塗布法による膜形成が可能な樹脂であればよく、絶縁膜の種類および求められる特性等に応じて適宜選択すればよい。含フッ素樹脂(F)は、感光性(光硬化性)を有する含フッ素樹脂(F1)であってもよく、感光性(光硬化性)を有しない含フッ素樹脂(F2)であってもよい。
<含フッ素樹脂(F1)>
含フッ素樹脂(F1)は、分子内にフッ素原子を有する感光性樹脂である。含フッ素樹脂(F1)を用いて形成した絶縁膜を部分的に露光すると、露光部では含フッ素樹脂(F1)の架橋(硬化)が進行し、現像液に対する溶解性が低下する。一方、未露光部では含フッ素樹脂(F1)の現像液に対する溶解性は変化しない。これにより、露光後の絶縁膜を現像液で現像すると未露光部のみが除去される。このように、含フッ素樹脂(F1)を用いて形成した絶縁膜には、フォトリソグラフィにより微細加工してコンタクトホール等を形成できる。
含フッ素樹脂(F1)としては、外部エネルギーを与えることによりラジカル重合反応を生じ、分子間の架橋または鎖延長を引き起こす架橋性官能基を有する含フッ素樹脂が挙げられる。
架橋性官能基としては、ラジカルにより重合しうる炭素−炭素不飽和二重結合、ラジカルにより重合しうる炭素−炭素不飽和三重結合、ラジカルにより開環する環、それらを含む基等が挙げられる。
架橋性官能基の具体例としては、例えば、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、トリフルオロビニル(オキシ)基、エチニル基、1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基、ジアリールヒドロキシメチル基、ヒドロキシフルオレニル基、シクロブタレン環、オキシラン環等が挙げられる。
架橋性官能基としては、反応性が高く、高い架橋密度の絶縁膜(硬化膜)が得られやすい点から、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、エチニル基および(メタ)アクリロイル(オキシ)基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
含フッ素樹脂(F1)の具体例としては、含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(以下、「プレポリマー(F11)」とも記す。)、含フッ素フェノール樹脂等の含フッ素芳香族樹脂;含フッ素アクリル樹脂、含フッ素メタクリル樹脂;含フッ素エポキシ樹脂;含フッ素ポリイミド等が挙げられる。なかでも、低誘電率、また、耐熱性、感光性に優れる点から、含フッ素芳香族樹脂が好ましく、プレポリマー(F11)が特に好ましい。
プレポリマー(F11)は、複数の芳香族環が単結合または連結基を介して結合しているポリアリーレン構造を有するとともに、フッ素原子を有し、かつ架橋性官能基を有する。プレポリマー(F11)の架橋性官能基は、プレポリマー(F11)製造時には反応性が低く、外部エネルギーを与えたときの反応性に優れる点から、ビニル基またはエチニル基が好ましい。プレポリマー(F11)1分子が有する架橋性官能基は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリアリーレン構造における連結基としては、例えば、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO−)、炭素鎖中にこれらの結合および基のいずれかを含むアルキレン基等が挙げられる。
プレポリマー(F11)の具体例としては、例えば、含フッ素芳香族化合物(ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロビフェニル等)と、フェノール系化合物(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等)と、架橋性官能基含有芳香族化合物(ペンタフルオロスチレン、アセトキシスチレン、クロルメチルスチレン、ペンタフルオロフェニルアセチレン等)とを脱ハロゲン化水素剤(炭酸カリウム等)の存在下で反応させて得られるポリマーが挙げられる。
<含フッ素樹脂(F2)>
含フッ素樹脂(F2)は、カルボキシ基および水酸基を有しないことが好ましい。カルボキシ基および水酸基を有しないことで、例えばゲート電圧を正と負で逆転して印加したときの電圧−電流特性のヒステリシスがほとんど見られなくなり、安定性に優れる。
含フッ素樹脂(F2)としては、溶媒(A)に溶解しやすい点から、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素樹脂(F21)、および主鎖に環構造を有さず、側鎖にペルフルオロアルキル基を有する含フッ素樹脂(F22)のいずれか一方または両方が好ましい。
含フッ素樹脂(F21):
含フッ素樹脂(F21)は、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である。「主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、脂肪族環の環骨格を構成する炭素原子のうち、少なくとも1つが、含フッ素樹脂(F21)の主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。
該脂肪族環の環骨格を構成する原子の数は、4〜7個が好ましく、5〜6個が特に好ましい。すなわち、脂肪族環は4〜7員環が好ましく、5〜6員環が特に好ましい。
該脂肪族環としては、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素環、該脂肪族炭化水素環における炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された脂肪族複素環、前記脂肪族炭化水素環または脂肪族複素環における水素原子がフッ素原子で置換された含フッ素脂肪族環等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F21)において、フッ素原子は、主鎖を構成する炭素原子に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよい。低吸水率・低誘電率で絶縁破壊電圧が高く、体積抵抗率の高い点から、少なくとも、主鎖を構成する炭素原子に結合したフッ素原子を有することが好ましい。すなわち、含フッ素樹脂(F21)は、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有することが好ましい。
特に、該含フッ素脂肪族環が、骨格に1〜2個のエーテル性酸素原子を有する複素環構造の含フッ素脂肪族環であることが、単量体から重合体の生成が容易、重合体の入手が容易等の点から好ましい。
含フッ素重合体(F21)は、反応性官能基を有していてもよい。なお、「反応性官能基」とは、加熱等を行った際に、当該含フッ素重合体(F21)の分子間、または含フッ素重合体(F21)とともに配合されている他の成分と反応(ただし、ラジカル重合反応を除く。)して結合を形成し得る反応性を有する基を意味する。反応性官能基としては、カルボキシ基、酸ハライド基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、カーボネート基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、チオール基、シラノール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F21)としては、例えば、環状含フッ素単量体に由来する単位を有する含フッ素樹脂(F21−A)、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される構成単位を有する含フッ素樹脂(F21−B)が挙げられる。なお、環状含フッ素単量体とジエン系含フッ素単量体との共重合により得られる重合体は含フッ素樹脂(F21−A)として考える。
「環状含フッ素単量体」とは、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。
含フッ素樹脂(F21−A)における環状含フッ素単量体としては、例えば、下式(f1)〜(f4)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2016048732
含フッ素樹脂(F21−A)は、環状含フッ素単量体の単独重合体であってもよく、環状含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体の共重合体であってもよい。
環状含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、ジエン系含フッ素単量体、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。側鎖に反応性官能基を有する単量体としては、重合性二重結合および反応性官能基を有する単量体が挙げられる。重合性二重結合としては、CF=CF−、CF=CH−、CH=CF−、CFH=CF−、CFH=CH−、CF=C−、CF=CF−等が挙げられる。
「ジエン系含フッ素単量体」とは、2個の重合性二重結合およびフッ素原子を有する単量体である。重合性二重結合としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
ジエン系含フッ素単量体の具体例としては、例えば、CF=CFOCFCF=CF、CF=CFOCF(CF)CF=CF、CF=CFOCFCFCF=CF、CF=CFOCFCF(CF)CF=CF、CF=CFOCF(CF)CFCF=CF、CF=CFOCFClCFCF=CF、CF=CFOCClCFCF=CF、CF=CFOCFOCF=CF、CF=CFOC(CFOCF=CF、CF=CFOCFCF(OCF)CF=CF、CF=CFCFCF=CF、CF=CFCFCFCF=CF、CF=CFCFOCFCF=CF等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F21−B)は、ジエン系含フッ素単量体の単独重合体であってもよく、ジエン系含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体の共重合体であってもよい。
ジエン系含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、前記の側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F21)としては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
含フッ素樹脂(F21)の市販品としては、例えば、CYTOP(登録商標、旭硝子社製)、テフロン(登録商標)AF(DuPont社製)等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F22):
含フッ素樹脂(F22)は、主鎖に環構造を有さず、側鎖にペルフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂である。
「主鎖に環構造を有さず」とは、含フッ素樹脂(F22)の主鎖を構成する炭素原子が、環骨格を構成する炭素原子ではないことを意味する。
主鎖に環構造を有しない重合体としては、例えば、重合性二重結合を1個有する化合物の重合により形成された重合体が挙げられる。この場合、重合体の主鎖は、重合性二重結合の反応(重合)によって形成された直鎖状の炭化水素鎖となる。
含フッ素樹脂(F22)が側鎖に有するペルフルオロアルキル基としては、炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素数が2以上であると撥液性が高くなりやすい。炭素数が8以下であると、分解物が生じても悪影響が生じにくい。
ペルフルオロアルキル基としては、−(CFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、−(CFCF(CF等が挙げられ、−(CFCF、−(CFCFが特に好ましい。
含フッ素樹脂(F22)としては、例えば、重合性二重結合を1個有し、かつ末端にペルフルオロアルキル基を有する単量体(以下、「単量体(f5)」とも記す。)に由来する単位を有する重合体が挙げられる。
単量体(f5)としては、例えば、2−ペルフルオロヘキシルエチルアクリレート(以下、「C6FA」とも記す。)、2−ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレート(以下、「C6FMA」とも記す。)、2−ペルフルオロブチルエチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,7,7,7−デカフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ヘプチルアクリレート、2−ペルフルオロヘキシルエチルα−クロロアクリレート)(以下、「α−ClC6FA」とも記す。)等が挙げられる。なかでも、撥水撥油性に優れる点から、C6FA、C6FMA、3,3,4,4,5,5,6,7,7,7−デカフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ヘプチルアクリレートおよびα−ClC6FAが好ましく、C6FA、C6FMAおよびα−ClC6FAが特に好ましい。
含フッ素樹脂(F22)は、単量体(f5)の単独重合体であってもよく、単量体(f5)と共重合可能な他の単量体の共重合体であってもよい。
単量体(f5)と共重合可能な他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;スチレン、4−ヒドロキシスチレン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;1,1−ジクロロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン等のビニリデン系単量体等が挙げられる。
含フッ素樹脂(F22)は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
(ラジカル重合開始剤)
本発明の絶縁膜形成用組成物は、含フッ素樹脂(F1)を含む場合、ラジカル重合開始剤(以下、「重合開始剤(B)」とも記す。)をさらに含むことが好ましい。重合開始剤(B)としては、感光性(光硬化性)の点から、光によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましく用いられる。
光重合開始剤としては、公知のものを使用でき、露光に使用する光の種類(波長等)に応じて適宜選択できる。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)](例えば、製品名:IRGACURE OXE01)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)(例えば、製品名:IRGACURE OXE02)等のオキシムエステル誘導体;IRGACURE 369(製品名)、IRGACURE 907(製品名)等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;DAROCUR TPO(製品名)等(いずれもBASF社製)のアシルホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
発生するラジカルの反応性に優れる点で、IRGACURE OXE01およびIRGACURE OXE02が好ましい。
硬化させるための外部エネルギーとして熱を併用する場合、重合開始剤(B)として、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を含有させてもよい。
熱重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジクミル等が挙げられる。なかでも、分解温度の点で、アゾビスイソブチロニトリルおよび過酸化ベンゾイルが好ましい。
(非フッ素系化合物)
また、本発明の絶縁膜形成用組成物は、含フッ素樹脂(F1)を含む場合、2以上の架橋性官能基を有し、フッ素原子を有しない非フッ素系化合物(以下、「非フッ素系化合物(C)」とも記す。)をさらに含んでもよい。含フッ素樹脂(F1)が非フッ素系化合物(C)とも反応し、絶縁膜(硬化膜)が形成され、絶縁膜の硬度および耐溶剤性が向上する。
非フッ素系化合物(C)は架橋性官能基を2〜20個有することが好ましく、2〜8個有することが特に好ましい。
非フッ素系化合物(C)の架橋性官能基は、含フッ素樹脂(F1)の架橋性官能基がラジカル重合反応を生じる工程と同工程で反応を生じる基が好ましい。非フッ素系化合物(C)の架橋性官能基としては、(メタ)アクリロイル(オキシ)基が好ましい。反応性が高く、入手容易の点で、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましく、反応性がより高い点で、アクリロイル基およびアクリロイルオキシ基が特に好ましい。
非フッ素系化合物(C)は、1分子中に2種以上の架橋性官能基を有していてもよい。
含フッ素樹脂(F1)が有する架橋性官能基と非フッ素系化合物(C)が有する架橋性官能基は同一でもよく、異なっていてもよい。
非フッ素系化合物(C)の数平均分子量(Mn)は、140〜5,000が好ましく、200〜3,000がより好ましく、250〜2,500が特に好ましい。非フッ素系化合物(C)の数平均分子量(Mn)が前記範囲の下限値以上であれば、非フッ素系化合物(C)が加熱によって揮発しにくい。非フッ素系化合物(C)の数平均分子量(Mn)が前記範囲の上限値以下であれば、非フッ素系化合物(C)の粘度が低く抑えられ、フッ素樹脂(F)と混合したときに均一な絶縁膜形成用組成物が得られやすい。
非フッ素系化合物(C)としては、入手容易性と反応性に優れる点から、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートが好ましい。
(添加剤)
本発明の絶縁膜形成用組成物は、含フッ素樹脂(F)、溶媒(A)、重合開始剤(B)、非フッ素系化合物(C)以外に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤(以下、「添加剤(D)」とも記す。)を配合してもよい。
添加剤(D)としては、特に限定されず、例えば、光増感剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、沈殿防止剤、分散剤、可塑剤、増粘剤等が挙げられる。
本発明の絶縁膜形成用組成物に接着促進剤を含有させると、該絶縁膜形成用組成物により形成されてなる絶縁膜と、これに隣接する層(有機半導体層等)との密着性がより優れたものとなる。
接着促進剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
(各成分の割合)
本発明の絶縁膜形成用組成物の固形分濃度は、3〜40質量%が好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁性を得るのに充分な膜厚の絶縁膜が得られる。固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、溶液粘度が比較的低く、製膜性に優れる。
本発明の絶縁膜形成用組成物中の含フッ素樹脂(F)の含有量は、30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。含フッ素樹脂(F)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、低誘電率および低誘電損失に優れる絶縁膜が得られる。
本発明の絶縁膜形成用組成物が重合開始剤(B)を含有する場合、絶縁膜形成用組成物中の重合開始剤(B)の含有量は、含フッ素樹脂(F1)と非フッ素系化合物(C)の合計100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部が特に好ましい。重合開始剤(B)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、光硬化性に優れる。
本発明の絶縁膜形成用組成物が非フッ素系化合物(C)を含有する場合、絶縁膜形成用組成物中の非フッ素系化合物(C)の含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下が特に好ましい。非フッ素系化合物(C)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、低誘電率および低誘電損失に優れる絶縁膜が得られる。
本発明の絶縁膜形成用組成物が添加剤(D)を含有する場合、絶縁膜形成用組成物中の添加剤(D)の含有量は、含フッ素樹脂(F)と非フッ素系化合物(C)の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部が特に好ましい。添加剤(D)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、低誘電率および低誘電損失に優れる絶縁膜が得られる。
[有機半導体素子の製造方法]
本発明の有機半導体素子の製造方法は、本発明の絶縁膜形成用組成物を有機半導体層上に塗布し、溶媒(A)を除去して絶縁膜を形成する工程を有する方法であり、有機半導体層上に絶縁膜を形成する際に本発明の絶縁膜形成用組成物を用いる以外は公知の方法を採用できる。以下、本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の製造方法で製造する有機半導体素子1の概略構成を示した断面図である。
本実施形態の有機半導体素子1は、ゲート電極10と、ゲート電極10上に形成されたゲート絶縁膜11と、ゲート絶縁膜11上に形成されたソース電極12およびドレイン電極13と、ゲート絶縁膜11上におけるソース電極12とドレイン電極13との間に形成された有機半導体層14と、ソース電極12、ドレイン電極13および有機半導体層14を覆うように形成された層間絶縁膜15と、を有する。
層間絶縁膜15には、層間絶縁膜15の上面からドレイン電極13まで到達するホール16が形成されている。
有機半導体素子1は、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子である。
有機半導体素子1の製造方法としては、例えば、下記の(a1)〜(a5)を有する方法が挙げられる。
(a1)ゲート電極10上にゲート絶縁膜11を形成する工程。
(a2)ゲート絶縁膜11上にソース電極12およびドレイン電極13を形成する工程。
(a3)ゲート絶縁膜11上におけるソース電極12とドレイン電極13との間に有機半導体層14を形成する工程。
(a4)本発明の絶縁膜形成用組成物をソース電極12、ドレイン電極13および有機半導体層14の上に塗布し、溶媒(A)を除去して層間絶縁膜15を形成する工程。
(a5)層間絶縁膜15にホール16を形成する工程。
<工程(a1)>
ゲート電極10は、導電体から形成される。
導電体としては、例えば、白金、金、銀、銅、クロム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、カーボンブラック、フラーレン類、カーボンナノチューブ、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフルオレン等が挙げられる。これらの導電体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ゲート電極10としては、公知の不純物を添加したSi基板を用いてもよい。
ゲート電極10の厚さは、10〜200nmが好ましく、50〜100nmが特に好ましい。
工程(a1)においてゲート絶縁膜11を形成する方法は、公知の方法を採用できる。例えば、スパッタ法、プラズマCVD法等により、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層等の単層または複層からなるゲート絶縁膜11を形成する方法が挙げられる。
また、ゲート絶縁膜11は、本発明の絶縁膜形成用組成物や、本発明の絶縁膜形成用組成物以外の公知の絶縁膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、溶媒を除去して乾燥膜を形成し、必要に応じて硬化させることにより形成してもよい。この場合、感光性樹脂を用いていれば、必要に応じてフォトリソグラフィによる微細加工を行ってもよい。
公知の絶縁膜形成用組成物としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の含フッ素樹脂(F)以外の非フッ素系樹脂を含む組成物等が挙げられる。また、溶媒(A)以外の溶媒、例えばケトン系溶媒(シクロペンタノン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ピラン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド等)、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン等)等のフッ素原子を有しない非フッ素系溶媒を含む組成物を用いてもよい。
塗布方法としては、公知の湿式塗布法を用いることができ、例えば、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、スリットコート法、スクリーン印刷法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法等が挙げられる。なかでも、生産性の点から、スピンコート法、インクジェット法、スリットコート法が好ましい。
塗膜中の溶媒を除去する方法としては、加熱、減圧、加熱と減圧を組み合わせた方法等が挙げられる。乾燥膜に欠陥が生じにくく、操作も簡便な点から、常圧での加熱が好ましい。加熱温度は、30〜150℃が好ましく、40〜100℃が特に好ましい。
乾燥膜を硬化させる場合、硬化は加熱または光照射により行うことができる。加熱および光照射を組み合わせてもよい。
ゲート絶縁膜11の厚さは、0.05〜3μmが好ましく、0.1〜2μmが特に好ましい。ゲート絶縁膜11の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、ゲート電極10とソース電極12の間に漏れ電流が生じることを抑制しやすい。ゲート絶縁膜11の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、有機半導体素子1の駆動電圧を低減しやすい。
<工程(a2)>
例えば、スパッタ法、真空蒸着法、スピンコート法、スプレーコート法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いて、ゲート絶縁膜11上にソース電極12およびドレイン電極13を形成する。ソース電極12およびドレイン電極13を形成する前には、シラン系カップリング剤等によりゲート絶縁膜11の表面処理を実施してもよい。
ソース電極12およびドレイン電極13の材質としては、導電体が挙げられ、具体的には、ゲート電極10の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。ゲート電極10、ソース電極12およびドレイン電極13の材質は、互いに同じでも異なってもよい。
ソース電極12およびドレイン電極13の厚さは、10〜200nmが好ましく、50〜100nmが特に好ましい。
<工程(a3)>
例えば、スパッタ法、真空蒸着法、スピンコート法、スプレーコート法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いて、ゲート絶縁膜11上におけるソース電極12とドレイン電極13との間に有機半導体層14を形成する。また、有機半導体の前駆体からなる層を形成した後、光や熱により該前駆体を有機半導体に変換する方法により有機半導体層14を形成してもよい。
有機半導体層14を構成する有機半導体としては、公知の低分子化合物、オリゴマー、ポリマーを用いることができ、特に制限はない。
低分子化合物としては、ペンタセン、ルブレン、フタロシアニン、ペリレン、フラーレンまたはこれらの誘導体、含硫黄化合物(下記の化合物(2)、化合物(3)等)等が挙げられる。
Figure 2016048732
オリゴマーとしては、オリゴチオフェンまたはその誘導体等が挙げられる。
ポリマーとしては、ポリ−p−フェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、フルオレン−ベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、フルオレン−ジチオフェン共重合体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールまたはこれらの誘導体等が挙げられる。
前駆体材料としては、シリルエチン置換ペンタセン、テトラビシクロポルフィリン誘導体等が挙げられる。これらの材料は、加熱によりペンタセン、テトラベンゾポルフィリン誘導体に変換できる。
有機半導体層14の厚さは、10〜500nmが好ましく、50〜200nmが特に好ましい。
<工程(a4)、(a5)>
本発明の絶縁膜形成用組成物をソース電極12、ドレイン電極13および有機半導体層14の上に塗布して塗膜を形成し、溶媒(A)を除去して乾燥膜を形成し、必要に応じて硬化させて層間絶縁膜15を形成する。
本発明の絶縁膜形成用組成物の塗布方法としては、公知の湿式塗布法を用いることができ、例えば、工程(a1)で挙げた方法と同じ方法が挙げられる。塗膜中の溶媒(A)を除去する方法としては、加熱、減圧、加熱と減圧を組み合わせた方法等が挙げられる。乾燥膜に欠陥が生じにくく、操作も簡便な点から、常圧での加熱が好ましい。加熱温度は、30〜200℃が好ましく、40〜150℃が特に好ましい。
本発明の絶縁膜形成用組成物において、含フッ素樹脂(F)として感光性を有する含フッ素樹脂(F1)を用いる場合は、フォトリソグラフィによりホール16を形成できる。具体的には、前記乾燥膜におけるホール16を形成する部分を除く部分を露光し、当該部分を硬化させる。その後、現像液により現像して未露光部分を除去することで、ホール16を有する層間絶縁膜15が形成される。
露光方法としては、例えば、アライナーやステッパー等の露光装置を用い、プレッシャーモード、バキュームコンタクトモード、プロキシミティーモード等においてマスクを通して露光する方法が挙げられる。
露光には、重合開始剤(C)等によって吸収される波長を含むX線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できる。露光に用いる光源としては、紫外線または可視光線が好ましく、超高圧水銀アークが特に好ましい。
線量は、層間絶縁膜15の膜厚および使用される重合開始剤(C)等の種類に応じて設定される。例えば層間絶縁膜15の厚さが10μmの場合、線量は100〜2,000mJ/cmが好ましい。
露光後、現像を行う前に、ベーク(露光後ベーク)を行ってもよい。ベークを行うことで、光化学的に発生した寿命の長い中間体の反応速度を高めることができる。これらの中間体は、ベークの間は移動性を増すので、移動して反応部位との接触確率が高まり、反応率が上がる。ベークの温度は中間体の種類により異なるが、50〜250℃が好ましい。
また、同様の目的で露光中に加熱してもよい。
現像は、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の公知の方法で実施できる。
現像に用いる現像液としては、露光部の樹脂が不溶または極僅かだけ可溶であり、未露光部の樹脂が可溶な溶剤を使用する。現像液としては、含フッ素溶剤が好ましく、溶媒(A)と同じものが特に好ましい。
現像後により未露光部の樹脂が溶解したら、必要に応じて、リンス液でリンスを行い、乾燥するために高速でスピン(回転)させる。
リンス液としては、現像液と同様のもの、または現像液ほどは未露光部の樹脂の溶解性が高くなく、また、現像液と相溶性のあるものであれば特に制限がない。
現像後、またはリンス後、露光部に残存する現像液やリンス液を取り除くためのベークを行ってもよい。該ベークは、ホットプレート、オーブン等により行うことができ、ベーク条件は、80〜200℃で0.5〜60分間が好ましい。
本発明の絶縁膜形成用組成物において、含フッ素樹脂(F)として感光性を有しない含フッ素樹脂(F2)を用いる場合は、層間絶縁膜15を形成した後に公知の方法でホール16を形成する。具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
プラズマ処理等で層間絶縁膜15の表面を親液化し、公知のネガ型またはポジ型の感光性樹脂溶液を用いて層間絶縁膜15上に感光性樹脂膜(フォトレジスト)を形成する。その後、該感光性樹脂膜をフォトリソグラフィによりパターニングしてホール16に対応する位置に孔を有するパターニング膜を形成し、層間絶縁膜15におけるパターニング膜がないところをエッチングしてホール16を形成し、パターニング膜を取り除く。
エッチング液としては、例えば、含フッ素溶剤が挙げられる。
以上説明した工程(a1)〜(a5)を有する製造方法により有機半導体素子1を製造できる。該製造方法により得られる有機半導体素子1は、有機半導体層14上に層間絶縁膜15を形成する際に溶媒(A)を含む本発明の絶縁膜形成用組成物を用いるため、有機半導体層14がダメージを受けることが抑制されている。そのため、該製造方法により得られる有機半導体素子1は優れた特性を有している。
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の製造方法で製造する有機半導体素子2の概略構成を示した断面図である。
本実施形態の有機半導体素子2は、基板21と、基板21上に形成された下地絶縁膜22と、下地絶縁膜22上に形成されたソース電極23およびドレイン電極24と、下地絶縁膜22上におけるソース電極23とドレイン電極24との間に形成された有機半導体層25と、ソース電極23、ドレイン電極24および有機半導体層25を覆うように形成されたゲート絶縁膜26と、ゲート絶縁膜26上に形成されたゲート電極27と、ゲート絶縁膜26上にゲート電極27を覆うように形成された層間絶縁膜28と、を有する。
ゲート絶縁膜26および層間絶縁膜28には、層間絶縁膜28の上面からドレイン電極24まで到達するホール29が形成されている。
有機半導体素子2は、トップゲート・ボトムコンタクト型の素子である。
有機半導体素子2の製造方法としては、例えば、下記の(b1)〜(b7)を有する方法が挙げられる。
(b1)基板21上に下地絶縁膜22を形成する工程。
(b2)下地絶縁膜22上にソース電極23およびドレイン電極24を形成する工程。
(b3)下地絶縁膜22上におけるソース電極23とドレイン電極24との間に有機半導体層25を形成する工程。
(b4)本発明の絶縁膜形成用組成物をソース電極23、ドレイン電極24および有機半導体層25の上に塗布し、溶媒(A)を除去してゲート絶縁膜26を形成する工程。
(b5)ゲート絶縁膜26上にゲート電極27を形成する工程。
(b6)ゲート絶縁膜26上に、ゲート電極27を覆うように層間絶縁膜28を形成する工程。
(b7)ゲート絶縁膜26および層間絶縁膜28にホール29を形成する工程。
<工程(b1)>
基板21を形成する材料としては、例えば、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド等)、繊維強化複合材料(ガラス繊維強化プラスチック等)、シリコン等が挙げられる。
基板21の厚さは、50〜1,000μmが好ましく、100〜700μmが特に好ましい。
下地絶縁膜22を形成する方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、前記工程(a1)におけるゲート絶縁膜11を形成する方法と同じ方法が挙げられる。具体的には、スパッタ法、プラズマCVD法等により、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層等の単層または複層からなる下地絶縁膜22を形成する方法が挙げられる。また、本発明の絶縁膜形成用組成物や、本発明の絶縁膜形成用組成物以外の公知の絶縁膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、溶媒を除去して乾燥膜を形成し、必要に応じて硬化させることにより下地絶縁膜22を形成してもよい。
下地絶縁膜22の厚さは、0.05〜500μmが好ましく、0.1〜300μmが特に好ましい。
<工程(b2)>
工程(b2)における下地絶縁膜22上へのソース電極23およびドレイン電極24の形成は、第1実施形態の工程(a2)におけるゲート絶縁膜11上へのソース電極12およびドレイン電極13の形成と同様の方法で行える。
<工程(b3)>
工程(b3)は、第1実施形態における工程(a3)と同様に行える。
<工程(b4)>
本発明の絶縁膜形成用組成物をソース電極23、ドレイン電極24および有機半導体層25の上に塗布して塗膜を形成し、溶媒(A)を除去して乾燥膜を形成し、必要に応じて硬化させてゲート絶縁膜26を形成する。
本発明の絶縁膜形成用組成物の塗布方法、および塗膜中の溶媒(A)の除去方法としては、第1実施形態における工程(a4)と同様の方法が挙げられる。
<工程(b5)>
例えば、スパッタ法、真空蒸着法、スピンコート法、スプレーコート法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いて、ゲート絶縁膜26上にゲート電極27を形成する。ゲート電極27の材質としては、例えば、ゲート電極10で挙げたものと同じものが挙げられる。
ゲート電極27の厚さは、0.1〜300nmが好ましく、50〜100nmが特に好ましい。
<工程(b6)、(b7)>
工程(b6)、(b7)は、第1実施形態における工程(a4)、(a5)と同様に行える。なお、工程(b6)においては、本発明の絶縁膜形成用組成物における溶媒(A)の代わりに、溶媒(A)以外の溶媒を用いた組成物により層間絶縁膜28を形成してもよい。
以上説明した工程(b1)〜(b7)を有する製造方法により有機半導体素子2を製造できる。該製造方法により得られる有機半導体素子2は、有機半導体層25上にゲート絶縁膜26を形成する際に溶媒(A)を含む本発明の絶縁膜形成用組成物を用いるため、有機半導体層25がダメージを受けることが抑制されている。そのため、該製造方法により得られる有機半導体素子2は優れた特性を有している。
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態の製造方法で製造する有機半導体素子3の概略構成を示した断面図である。
本実施形態の有機半導体素子3は、ゲート電極31と、ゲート電極31上に形成されたゲート絶縁膜32と、ゲート絶縁膜32上に形成された有機半導体層33と、ゲート絶縁膜32上において有機半導体層33を介して対向して形成されたソース電極34とドレイン電極35と、有機半導体層33上に形成された保護絶縁膜36と、ソース電極34、ドレイン電極35および保護絶縁膜36を覆うように形成された層間絶縁膜37と、を有する。
層間絶縁膜37には、層間絶縁膜37の上面からドレイン電極35まで到達するホール38が形成されている。
有機半導体素子3は、ボトムゲート・トップコンタクト型の素子である。
保護絶縁膜36は、有機半導体層33の封止層として機能する。保護絶縁膜36により、層間絶縁膜37の形成時に、層間絶縁膜37を形成する絶縁膜形成用組成物中のラジカル重合開始剤や溶媒によって有機半導体層33がダメージを受けることを防止できる。
有機半導体素子3の製造方法としては、例えば、下記の(c1)〜(c6)を有する方法が挙げられる。
(c1)ゲート電極31上にゲート絶縁膜32を形成する工程。
(c2)ゲート絶縁膜32上に有機半導体層33を形成する工程。
(c3)ゲート絶縁膜32上において、有機半導体層33を介して対向するようにソース電極34およびドレイン電極35を形成する工程。
(c4)本発明の絶縁膜形成用組成物を有機半導体層33の上に塗布し、溶媒(A)を除去して保護絶縁膜36を形成する工程。
(c5)ソース電極34、ドレイン電極35および有機半導体層33の上に層間絶縁膜37を形成する工程。
(c6)層間絶縁膜37にホール38を形成する工程。
<工程(c1)〜(c3)>
工程(c1)は、第1実施形態の工程(a1)と同様に行える。
次いで、工程(c2)において、第1実施形態の工程(a3)で説明した方法と同様の方法で、ゲート絶縁膜32上に有機半導体層33を形成する。
次いで、工程(c3)において、第1実施形態の工程(a2)で説明した方法と同様の方法で、ゲート絶縁膜32上で有機半導体層33を介して対向するようにソース電極34およびドレイン電極35を形成する。
<工程(c4)>
本発明の絶縁膜形成用組成物を、有機半導体層33におけるソース電極34およびドレイン電極35に覆われていない部分を覆うように塗布して塗膜を形成し、溶媒(A)を除去して乾燥膜を形成し、必要に応じて硬化させて保護絶縁膜36を形成する。
本発明の絶縁膜形成用組成物の塗布方法、および塗膜中の溶媒(A)の除去方法としては、第1実施形態における工程(a4)と同様の方法が挙げられる。
<工程(c5)、(c6)>
工程(c5)、(c6)は、第1実施形態における工程(a4)、(a5)と同様に行える。なお、工程(c5)においては、本発明の絶縁膜形成用組成物における溶媒(A)の代わりに、溶媒(A)以外の溶媒を用いた組成物により層間絶縁膜37を形成してもよい。
以上説明した工程(c1)〜(c6)を有する製造方法により有機半導体素子3を製造できる。該製造方法により得られる有機半導体素子3は、有機半導体層33上に保護絶縁膜36を形成する際に溶媒(A)を含む本発明の絶縁膜形成用組成物を用いるため、有機半導体層33がダメージを受けることが抑制されている。そのため、該製造方法により得られる有機半導体素子3は優れた特性を有している。
以上、第1〜3実施形態を示して本発明の有機半導体素子の製造方法を示したが、本発明の有機半導体素子の製造方法は、これらの実施形態には限定されない。
例えば、第1〜3実施形態で示した有機半導体素子1〜3は、有機半導体素子の製造方法で製造できるものの一例であり、有機半導体層上に形成する絶縁膜を本発明の絶縁膜形成用組成物で形成する方法であれば、それ以外の態様は特に限定されない。具体的には、本発明の有機半導体素子の製造方法は、トップゲート・トップコンタクト型の有機半導体素子を製造する方法であってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、例2〜8が実施例、例1および9〜11が比較例である。
[親フッ素性パラメータP
ペルフルオロメチルシクロヘキサンの3mLとトルエンの3mLをガラスバイアル(容量10mL)に入れ、試料溶媒の30μLを加えて蓋を閉めて3分間振とうした後、12時間静置し、2相に分離させた。次いで、ペルフルオロメチルシクロヘキサン相中の試料溶媒濃度M[単位:mL/L]とトルエン相中の試料溶媒濃度M[単位:mL/L]を、ガスクロマトグラフィーによりそれぞれ定量し、下式により親フッ素性パラメータPを求めた。
=M/M
<ガスクロマトグラフィー条件>
装置:Agilent 6890ガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー社製)。
試料注入量:約1μL。
注入口温度:280℃。
オーブン温度:40℃で5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温。
カラム:DB−1301fused silica capillary column(30m×0.25mm i.d.、フィルム膜厚:1μm、アジレント・テクノロジー社製)。
スプリット比:1/50。
He流量:1mL/分。
検出器:FID。
検出器温度:280℃。
[耐劣化性]
(試験用有機半導体素子の製造)
1.基板処理
図4(a)に示すように、厚さ100nmのSiO薄膜(ゲート絶縁膜102、誘電率:3.9)が表面に形成された縦30mm×横30mmの不純物添加Si基板(ゲート電極101)(菱光産業社製)を用い、SiO薄膜表面をn−オクチルトリクロロシランで処理し、自己組織化単分子膜(SAM膜103)を形成して積層体104を得た。
2.有機半導体層の形成
図4(b)に示すように、上記積層体のSAM膜103表面に対して、前述の化合物(2)または(3)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度25℃)することにより、膜厚70nmの有機半導体層105を形成した。
3.ソース電極、ドレイン電極の形成
図4(c)に示すように、有機半導体層105上に金属マスク112を通して金を蒸着し、図4(d)に示すように、チャネルが結晶成長方向と平行になるようにソース電極106およびドレイン電極107を形成し、ボトムゲート・トップコンタクト型の試験用有機半導体素子100を作製した。チャネルの長さは200μm、チャネルの幅は2,000μmとした。
(キャリア移動度)
ゲート電極101に電圧を+20Vから−30Vまで変化させて印加し、さらにソース電極106とドレイン電極107間に−30Vの電圧を印加して、ソース電極106とドレイン電極107間に流れる電流値を半導体デバイスアナライザー(アジレント・テクノロジー社製)を用いて測定した。得られたオン電流(ドレイン電流)の絶対値の平方根を縦軸、ゲート電圧を横軸にプロットしたときの傾きからキャリア移動度μ(cm/Vs)を求めた。
次いで、試験用有機半導体素子100を試料溶媒に25℃で5分間浸漬し、毎分2000回転で回転させて乾燥し(スピンドライ)、さらに常温で真空乾燥を1時間行った。次いで、浸漬後のキャリア移動度μ(cm/Vs)を再度測定した。
試料溶媒への浸漬前後のキャリア移動度の変化率△μ(%)を下式により算出し、以下の基準により耐劣化性を評価した。
△μ=(μ−μ)/μ×100
<評価基準>
○(ダメージなし)(良好):△μ(%)>−10である。
×(ダメージあり)(不良):△μ(%)≦−10である。
[溶解性]
Si基板上に、サイトップ(CTL−809A、旭硝子社製)を用いて膜厚3μmの含フッ素樹脂膜を成膜し、それを各試料溶媒に浸漬し、MAXTEK社製水晶振動子マイクロバランスリサーチシステムを用いて、周波数が変化する時間を測定した。得られた周波数変化の時間で膜厚を除した値を溶解速度(μm/秒)とし、以下の基準で含フッ素樹脂の溶解性を評価した。
<評価基準>
○(良好):溶解速度が0.001μm/秒以上である。
×(不良):溶解速度が0.001μm/秒未満である。
[試料溶媒]
(溶媒(A))
A−1:商品名「AC2000」(P=12.00、旭硝子社製)。
A−2:商品名「CT−solve100E」(P=8.20、旭硝子社製)。
A−3:商品名「AC6000」(P=5.60、旭硝子社製)。
A−4:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(P=1.10)。
A−5:商品名「AE6000」(P=0.60、旭硝子社製)。
A−6:商品名「AK−225」(P=0.30、旭硝子社製)。
A−7:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(P=0.10)。
(溶媒(X))
X−1:商品名「CT−solve180」(P=∞、旭硝子社製)。
X−2:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(P=0.02)。
X−3:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(P=0.01)。
X−4:1,2−プロパンジアミン(P=0.01)。
[例1〜11]
試料溶媒として表1に示す溶媒を用いて耐劣化性および溶解性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2016048732
表1に示すように、親フッ素性パラメータPが0.1以上20未満の溶媒(A−1)〜(A−7)を用いた例2〜8では、溶媒浸漬前後のキャリア移動度の減少が抑制され、耐劣化性に優れていた。また、例2〜4では、含フッ素樹脂の溶解性にも優れていた。
一方、親フッ素性パラメータPが20超の溶媒(X−1)を用いた例1では、優れた耐劣化性が得られたものの、含フッ素樹脂の溶解性が不充分であった。
親フッ素性パラメータPが0.1未満の溶媒(X−2)〜(X−4)を用いた例9〜11では、溶媒浸漬前後のキャリア移動度の減少が大きく、耐劣化性が不充分であった。
本発明の絶縁膜形成用組成物および有機半導体素子の製造方法によれば、製造工程での有機半導体層へのダメージを抑制でき、優れた特性の有機半導体素子が得られる。該有機半導体素子は、有機薄膜トランジスタ(TFT)素子、電界効果トランジスタ(FET)素子等として、液晶テレビ、有機ELテレビ、電子ペーパー、RF−ID等の電子機器に使用できる。
1〜3、100 有機半導体素子
10、27、31、101 ゲート電極
11、26、32、102 ゲート絶縁膜
12、23、34、106 ソース電極
13、24、35、107 ドレイン電極
14、25、33、105 有機半導体層
15、28、37 層間絶縁膜
16、29、38 ホール
21 基板
22 下地絶縁膜
36 保護絶縁膜
103 SAM膜
104 積層体
112 金属マスク

Claims (2)

  1. 有機半導体層上に絶縁膜を形成するための絶縁膜形成用組成物であって、
    含フッ素樹脂と、下式(1)で表される親フッ素パラメータPが0.05以上20未満の溶媒とを含むことを特徴とする絶縁膜形成用組成物。
    =M/M ・・・(1)
    (ただし、ペルフルオロメチルシクロヘキサンの3mLとトルエンの3mLと溶媒の30μLとを混合して静置した状態におけるペルフルオロメチルシクロヘキサン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]であり、当該状態におけるトルエン相中の溶媒濃度がM[単位:mL/L]である。)
  2. 請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物を有機半導体層上に塗布し、前記溶媒を除去して絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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