JP2016047994A - 補強用鋼板と、その補強用鋼板を用いた構造体の補強構造 - Google Patents

補強用鋼板と、その補強用鋼板を用いた構造体の補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 補強用鋼板とグラウト材と既存柱とが一体となって補強効果を上げることができる補強用鋼板と、補強用鋼板を有効に機能させることができる構造体の補強構造を提供する。【解決手段】 既設構造体との間に間隔を保って配置され、上記既設構造体との間にグラウト材を充填するための補強用鋼板であって、鋼板本体7と、上記鋼板本体において上記既設構造体1に対向させる対向面7aに固定されるとともに、上記対向面7aから突出し、グラウト材3中に埋設される複数の突出部材8とを備えた。【選択図】 図1

Description

この発明は、柱や壁など、既存の建造物の構造体を補強する際に用いる補強用鋼板と、それを用いた補強構造に関する。
従来から、既存柱を事後的に補強するための補強構造として、例えば図12に示すように、既存柱1の周囲に間隔を保って4枚の補強用鋼板2を配置し、これら補強用鋼板2と既存柱1との間にグラウト材3を充填し硬化させたものが知られている。
この補強構造は、断面をL字状にした補強用鋼板2の直角部分を既存柱1の角に対応させて配置し、既存柱1の周囲を囲んでいる。このとき、互いに隣接する一方の補強用鋼板2の一端側と、他方の補強用鋼板2の他端側とが重ね合わされるようにしている。そして、補強用鋼板2と既存柱1との間には、ほぼ一定の間隔を設けている。
また、各補強用鋼板2はその軸方向長さを既存柱1の補強対象部分の軸方向長さを複数に分割した長さにしている。そして、4枚一組にした補強用鋼板2を軸方向に積層して既存柱1の軸方向を囲う。
上記のようにした補強用鋼板2の周囲に帯状シート4を巻きつけて接着し、左右に隣り合う4枚の補強用鋼板2を結束するとともに、積層された上下の補強用鋼板2同士を結合している。
なお、上記補強用鋼板2と既存柱1との空間には、既存柱1の四隅に対応した位置に軸方向筋5を配置するとともに、既存柱1の側面には、既存柱1の幅方向及び軸方向に間隔を保って複数のアンカー部材6を打ち込んでおく。これら軸方向筋5やアンカー部材6は、上記空間内に充填したグラウト材3内に埋設される。
このような補強構造では、複数の補強用鋼板2で囲まれたグラウト材3によって、太くなった補強柱が耐力を発揮することになる。
特開2008−240368号公報
上記補強用鋼板2とグラウト材3とは、グラウト材3の接着力によって結合しているが、鋼板とグラウト材のような異種材料間の接着力には限界があり、例えば大きな地震力が作用すると、補強用鋼板2とグラウト材3との間にずれが生じることがある。
このように、補強用鋼板2と上記グラウト材3との結合力が弱く、グラウト材3と補強用鋼板2との一体化が損なわれると、補強用鋼板2の耐力が補強柱の耐力として有効に機能しなくなってしまう。そのため、補強用鋼板2とグラウト材3と既存柱1とが一体となって地震力などの外力に対抗できないことになり、補強効果が低減してしまう。
この発明の目的は、補強用鋼板とグラウト材と既設構造体とが一体となって補強効果を上げることができる補強用鋼板と、補強用鋼板を有効に機能させることができる構造体の補強構造を提供することである。
第1の発明は、柱や壁などの既設構造体との間に間隔を保って配置され、上記既設構造体との間にグラウト材を充填するための補強用鋼板であって、鋼板本体と、上記鋼板本体において上記既設構造体に対向させる対向面に固定されるとともに、上記対向面から突出し、上記グラウト材中に埋設される複数の突出部材とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、上記突出部材が、上記対向面に固定される固定部と、この固定部から突出した突出部とからなり、上記突出部には流動状態のグラウト材が流入可能な流入部を設けたことを特徴とする。
第3の発明は、上記突出部材が、軸方向に長さを有する筒状体からなり、その側面に、上記対向面に固定される固定部と、流動状態のグラウト材が流入可能な流入部とを設けたことを特徴とする。
第4の発明は、既設構造体と間隔を保って第1〜3の発明のいずれかの補強用鋼板を配置し、上記補強用鋼板と上記既設構造体との間にグラウト材を充填したことを特徴とする。
第5の発明は、上記既設構造体の軸方向に沿った長さを有する筒状のコア形成部材を、上記既設構造体と上記補強用鋼板との間に設けるとともに、上記コア形成部材の側面には、流動状態のグラウト材の流入を可能にする流入部を備え、上記流入部から流入したグラウト材によって上記コア形成部材で拘束されたグラウト材コアが形成されることを特徴とする。
第6の発明は、上記補強用鋼板を複数配置するとともに、これら複数の補強用鋼板の外周に帯状シートを接着し、この帯状シートによっての帯状シートによって、左右あるいは上下に連続する補強用鋼板同士を連結したことを特徴とする。
第1の発明によれば、対向面に固定した突出部材にグラウト材が絡み付いて硬化するので、もともと接触しているだけで接着力が弱い補強用鋼板とグラウト材とが、突出部材を介して連結される。
グラウト材と補強用鋼板との結合力が強くなり、既設構造体とグラウト材と補強用鋼板との一体性が上がって、補強構造全体で外力を受けることができるようになる。したがって、補強効果が上がる。
特に、グラウト材を介して既設構造体の応力が補強用鋼板にも伝達されるため、補強用鋼板が補強鉄筋のような構造体としても機能する。
第2の発明によれば、突出部の流入部に流動状態のグラウト材が流入してグラウト材が絡み付くので、硬化したグラウト材と突出部とが強固に結合し、補強用鋼板とグラウト材との結合力が高くなる。
特に、流入部を連通孔で構成すれば、流入部を介して突出部の両側のグラウト材が連続するため、突出部とグラウト材との結合力がさらに高くなる。
したがって、補強用鋼板とグラウト材との結合力が強くなるとともに、補強構造の一体性が上がり、補強強度が向上する。
第3の発明によれば、筒状体からなる突出部材によって、補強用鋼板とグラウト材との結合力が高まり、補強用鋼板とグラウト材と既設構造体とが一体化する。
また、流入部から内部にグラウト材が充填され硬化することで、補強用鋼板に沿ったグラウト材コアが形成される。グラウト材コアは、筒状体で拘束されることで圧縮力が特に強くなる。このようなグラウト材コアがグラウト材中に設けられるので、補強構造の強度はさらに向上する。
さらに、筒状体を、引っ張り耐力を有する部材で構成すれば、それが軸方向筋としても機能し、補強構造の曲げ耐力も向上する。
また、軸方向に連続する高強度のグラウト材コアを介して積層した補強用鋼板が連結されるので、補強用鋼板の一体性も高まり、より一層補強強度が向上する。
第4の発明の補強構造によれば、突出部材によってグラウト材と補強用鋼板の結合力が高くなり、補強用鋼板とグラウト材と既設構造体との一体性が高まり、補強効果を上げることができる。
第5の発明によれば、グラウト材内に、コア形成部材で拘束され、特に圧縮耐力が大きなグラウト材コアが形成されるため、補強構造の耐力がさらに向上する。
また、上記コア形成部材に引っ張り耐力を持たせれば、コア形成部材が軸方向筋としても機能し、補強構造の曲げ耐力も向上する。
第6の発明によれば、帯状シートによって複数の補強用鋼板が連結され、連続した補強用鋼板が一体となって耐力を発揮する。また、帯状シートの靱性が補強用鋼板に強度を付加する。そのため、補強構造の強度をより一層高めることができる。
図1は第1実施形態の断面図である。 図2は第1実施形態の突出部材を固定した鋼板本体の斜視図である。 図3は第1実施形態の突出部材の斜視図である。 図4は第2実施形態の突出部材の斜視図である。 図5は第3実施形態の断面図である。 図6は第3実施形態における突出部材の固定状態を示す部分断面図である。 図7は第4実施形態の断面図である。 図8は第4実施形態におけるコア形成部材の取付け状態を示す部分断面図である。 図9は第5実施形態のコア形成部材を示す斜視図である。 図10は第6実施形態の断面図である。 図11は第7実施形態の断面図である。 図12は従来の補強構造の断面図である。
図1〜3に示す第1実施形態は、この発明の補強用鋼板を用いた既存柱1の補強構造である。
なお、この第1実施形態において、上記従来の補強構造と同様の構成要素には、図12と同じ符号を用い、その構成要素についての詳細な説明は省略する。
上記補強用鋼板は、図2に示すように断面形状をL字状にした鋼板本体7からなり、既存柱1と対向する対向面7a及び対向面7bを備えている。
一方の対向面7aには、この発明の突出部材であるヒゲ筋8を、複数個固定している。
各ヒゲ筋8は、図3に示すように、金属板を曲げ加工して固定部9と一対の突出片10,11とを形成した部材である。このヒゲ筋8の固定部9を上記一方の対向面7aに所定の間隔を保って配置し、溶接する。対向面7aにおけるヒゲ筋8の配置は、特に限定されないが、特定の部分に偏ることが無いように、分散させて配置することが好ましい。
上記ヒゲ筋8は、鋼板本体7の対向面7aに予め溶接しておいてもよいし、施工現場で溶接するようにしてもよい。
なお、この第1実施形態おいて、上記ヒゲ筋8を一方の対向面7aに設け、他方の対向面7bに設けていないのは、後で説明するように、上記他方の対向面7bが、隣接する鋼板本体7の一方の対向面7aの外側と重なるようにするためである。
上記ヒゲ筋8の一対の突出片10,11には、それぞれ、流入部としての流入孔10a,11aが形成されている。この流入孔10a,11aは、流動状態のグラウト材3が流入可能な大きさを備えている。
上記のような鋼板本体7の直角部分を既存柱1の角に対応させて配置し、4枚の鋼板本体7で既存柱1の周囲を囲んでいる。このとき、互いに隣接する一方の鋼板本体7の一方の対向面7aの端部側の外面と、他方の鋼板本体7の対向面7bの端部側とを重ね合わせるようにする。そして、鋼板本体7と既存柱1との間には、ほぼ一定の間隔を設ける。
また、各鋼板本体7はその軸方向長さを既存柱1の補強対象部分の軸方向長さを複数に分割した長さにしている。そこで、4枚一組にした鋼板本体7を軸方向に積層して既存柱1の表面を囲うようにしている。
上記のようにした鋼板本体7の周囲に帯状シート4を巻きつけて接着し、周方向に隣り合う4枚の鋼板本体7を連結するとともに、積層され上下に連続する鋼板本体7同士を連結している。
なお、上記鋼板本体7と既存柱1との空間には、四隅に対応した位置に軸方向筋5を配置する。また、既存柱1の側面には、既存柱1の幅方向及び軸方向に間隔を保って複数のアンカー部材6を打ち込んでおく。
そして、上記鋼板本体7と既存柱1との間にグラウト材3を充填すると、上記軸方向筋5やアンカー部材6とともに、上記ヒゲ筋8がグラウト材3内に埋設される。
なお、グラウト材3の充填時には、グラウト材3の硬化後に取り除く、図示しない型枠や支持部材によって、上記鋼板本体7の位置を保持するようにしている。
そして、上記充填したグラウト材3が硬化すれば、埋設されたアンカー部材6によってグラウト材3と既存柱1との結合力が維持されるとともに、上記ヒゲ筋8によって鋼板本体7とグラウト材3との結合が維持される。
すなわち、上記ヒゲ筋8の突出片10,11がグラウト材3で保持され、鋼板本体7とグラウト材3とを一体化する。また、グラウト材3の充填時に、上記突出片10,11に形成された流入孔10a,11aにはグラウト材3が流入し、グラウト材3は突出片10,11に食い込むようにして硬化する。そのため、硬化したグラウト材3とヒゲ筋8とは強固に結合し、ヒゲ筋8を介して鋼板本体7とグラウト材3とが結合され、両者は容易に分離しない。
特に、この第1実施形態では、グラウト材3の流入部として突出片10,11を貫通する流入孔10a,11aを形成しているので、突出片10,11を挟んだ両側のグラウト材3が連続した状態で硬化し、鋼板本体7とグラウト材3との結合力をより強くすることができる。
ただし、上記突出片10,11には、流動状態のグラウト材3が流入可能な流入部として、貫通しない凹部を設けてもよい。
さらに、上記一対の突出片10,11は、ハの字状に先端側が広がって形成されている。このように、一対の突出片10,11が平行に配置されていないため、グラウト材3と鋼板本体7との間に離す方向の力が作用したとき、突出片10,11がこれに対抗することができる。もし、上記引き離す方向の力と突出片10,11の方向とが一致していると、突出片10,11がグラウト材3から抜け易くなることが考えられる。しかし、この第1実施形態のように突出片10,11の方向が異なれば、少なくとも一方の突出片10あるいは11が鋼板本体7をグラウト材3から離す方向の力に抵抗してグラウト材3からヒゲ筋8が抜けることを阻止することができる。
以上のようなこの第1実施形態の鋼板本体7を用いた補強構造では、上記ヒゲ筋8を介して鋼板本体7とグラウト材3とを強固に結合することができるので、鋼板本体7とグラウト材3と既存柱1とが一体化して、補強構造全体で耐力を発揮することができる。
特に、鋼板本体7がグラウト材3や既存柱1と一体化しているので、鋼板本体7が補強筋のような構造体として機能し、補強強度の維持に効率的に寄与する。
なお、既存柱1の周方向に隣り合う鋼板本体7同士や、上下に連続する鋼板本体7同士を帯状シート4で連結して複数の鋼板本体7を一体化しているので、グラウト材3に対する拘束力を高めるとともに、複数の鋼板本体7が一体化した状態で発揮するより強い耐力を利用することができる。
ただし、周方向や軸方向に連続する鋼板本体7同士を連結する手段としては、上記帯状シート4の接着に限らない。鋼板本体7の連結手段としては、例えば、溶接や接着、ビス止めなどを用いてもよい。
さらに、突出部材としては上記ヒゲ筋8に限らず、様々な形状のものを用いることができる。例えば、図4に示す第2実施形態の突出部材12は、平板状の固定部13に直交する突出部14を設けた金属製の部材である。突出部14には、グラウト材3の流入部となる流入孔14aを形成している。
第2実施形態では、上記固定部13を図3のヒゲ筋8の固定部9に替えて固定部13を溶接した鋼板本体7を用いる以外の構成は上記第1実施形態と同様である。そこで、この第2実施形態の説明にも、第1実施形態の図1を参照する。
第2実施形態では、上記鋼板本体7と既存柱1との間に充填したグラウト材3は、図4に示す突出部14に形成した流入孔14aに流入し、その両側で連続して突出部14とグラウト材3とを強固に結合する。
したがって、鋼板本体7とグラウト材3と既存柱1とが一体化して、第1実施形態と同様に、補強効果を上げることができる。
図5,6に示す第3実施形態は、上記ヒゲ筋8に換えてスパイラル筋15を突出部材として鋼板本体7に固定した補強用鋼板を用いた補強構造である。
その他の構成は、上記図1に示す第1実施形態と同じである。そこで、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いることとし、その詳細な説明は省略する。
上記スパイラル筋15は、鋼線材を一定の曲げ半径を保ってスパイラル状に巻いて形成され、軸方向に所定の長さ、例えば鋼板本体7の軸方向長さとほぼ等しい長さを有する部材である。各鋼板本体7の対向面7aには、図5に示すように、2本のスパイラル筋15を幅方向に間隔を保ち、既存柱1の軸方向に沿って溶接している。そして、対向面7aとの溶接部15aがこの発明の固定部を構成し、上下のリング間の隙間15bが流入部を構成している(図6参照)。
なお、上記スパイラル筋15は、各鋼板本体7に予め溶接しておいてもよいし、現場で溶接してもよい。ただし、現場で溶接する場合には、鋼板本体7を積層しながら、上記鋼板本体7の軸方向長さよりも長い1本のスパイラル筋15を、複数の鋼板本体7に渡して固定することができ、スパイラル筋15によって積層した鋼板本体7を結合することもできる。
この第3実施形態においても、4枚の鋼板本体7をその端部側を重ね合わせて既存柱の周囲を囲むとともに、4枚一組の鋼板本体7を積層して既存柱1の軸方向を覆う。そして、鋼板本体7と既存柱1との間にグラウト材3を充填する。
上記グラウト材3は、スパイラル筋15の流入部15bから内部に流入し、複数のリングと絡まってスパイラル筋15と結合する。これにより、スパイラル筋15を介して鋼板本体7とグラウト材3とが強固に結合し、鋼板本体7とグラウト材3と既存柱1とが一体化して補強効果を上げることができる。
また、上記スパイラル筋15の内側に流入したグラウト材3は、スパイラル筋15で周囲を囲まれて拘束されたグラウト材コアを形成する。このグラウト材コアは、特に圧縮強度が強いので、このようなグラウト材コアが鋼板本体7と既存柱1との間に構成されることによって、補強強度がさらに向上する。
特に、既存柱1の補強対象部分の軸方向長さ全長に達する1本のスパイラル筋15を用いた場合には、上記のようなグラウト材コアが軸方向に連続して形成されるため、複数の短いグラウト材コアが形成される場合と比べて、さらに強度が増す。
ただし、各鋼板本体7にそれぞれ、鋼板本体7の軸方向長さと同等のスパイラル筋15を固定する場合にも、鋼板本体7を積層したときに、上下の鋼板本体7に固定されたスパイラル筋15が軸方向に連続するようにしておけば、複数のスパイラル筋15を1本のスパイラル筋15とほぼ同様に機能させることができる。
また、既存柱1の軸方向に連続するスパイラル筋15に、引っ張り耐力を持たせれば、上記スパイラル筋15が軸方向筋としても機能し、柱の曲げ耐力を上げることもできる。
この第3実施形態では、上記スパイラル筋15が、この発明の筒状体からなる突出部材を構成するとともに、筒状のコア形成部材の機能も兼ねている。
もし、スパイラル筋15に突出部材としての機能のみを持たせる場合には、軸方向長さの短い複数のスパイラル筋を、上記対向面7aにランダムに配置してもよい。その際、各スパイラル筋15の軸方向の向きをランダムにすることによって、対向面7aの特定の箇所に応力が集中して、対応箇所のグラウト材3が崩壊しやすくなることを防止できる。
図7に示す第4実施形態は、上記既存柱1に打ち込んだアンカー部材6に既存柱1の補強対象部分の軸方向長さと同等の軸方向長さを有するスパイラル筋15を引っ掛けている。その他の構成は第1実施形態と同じである。つまり、鋼板本体7の対向面7aには複数のヒゲ筋8が固定されている。
上記スパイラル筋15は、図8に示すようにアンカー部材6の頭部に引っ掛けて位置を保持しているが、一部分を線材などでアンカー部材6に結束してもよい。
このようにしたスパイラル筋15は、充填したグラウト材3に埋設されるとともに、流入部15bから流入したグラウト材3でグラウト材コアを形成する。
この第4実施形態においてもヒゲ筋8によって鋼板本体7とグラウト材3とが強固に結合し、補強構造が一体化する。さらに、上記スパイラル筋15によって軸方向に形成されたグラウト材コアによって、補強構造の強度がより向上する。
また、上記ヒゲ筋8とコア形成部材としてのスパイラル筋15とが近接していれば、両者が連係し、グラウト材コアと鋼板本体7とが結合し、補強構造の一体化がより一層高まることになる。
なお、上記コア形成部材としては、軸方向に長さを有し、内側にグラウト材が流入可能な流入部を備えた筒状の部材なら上記スパイラル筋15に限らない。
例えば、図9に示す第5実施形態のように、側面に流入部として複数の流入孔16aを形成した筒部材16でもよい。または、グラウト材の流入が可能な開口を有するメッシュで形成した筒状体でもよい。このような筒部材16は、上記スパイラル筋15よりも引っ張り耐力を保ちやすく、軸方向筋としての機能も高くなる。
また、上記コア形成部材を構成する筒状体は、その断面形状は円に限らず、楕円や多角形でもかまわない。
そして、上記コア形成部材を金属や同等の強度を有する材質で構成した場合には、それで囲われたグラウト材コア部分はせん断耐力も向上する。
さらに、上記コア形成部材は、図8に示すようにアンカー部材6に取り付けるほか、図5,6に示す第3実施形態のスパイラル筋15のように鋼板本体7の対向面7aに固定し、突出部材を兼ねるようにしてもよい。
ただし、スパイラル筋15をコア形成部材としてのみ機能させる際には、鋼板本体7と既存柱1との間に設けられれば良く、対向面7aやアンカー部材6など特定の部材に固定する必要はない。その場合には、グラウト材3を充填して硬化させる間、スパイラル筋15などのコア形成部材の位置を保持するための図示しないスペーサや支持手段を用いるようにすればよい。
図10に示す第6実施形態は、鋼板本体17の形状が上記他の実施形態における鋼板本体7と異なる。その他の構成は、上記図1に示す第1実施形態と同じである。そこで、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いることとし、その詳細な説明は省略する。
この第6実施形態の鋼板本体17は、既存柱1と対向し、互いに直交する対向面17a,17bを備えている。そして、これら各対向面17a,17bにはそれぞれ複数のヒゲ筋8を固定している。
また、上記対向面17a,17bの端部には、既存柱1側に向かって突出する縦リブ17c,17dを備えている。これら縦リブ17c,17dは各鋼板本体17の端部を折り曲げて形成してもよいし、別部材を取り付けて形成してもよい。
各鋼板本体17は、その軸方向長さを、既存柱1の補強対象部分の軸方向長さを複数に分割した長さにしているが、上記縦リブ17c,17dは、各鋼板部材17の軸方向全長にわたって形成されている。
このような鋼板本体17を4枚一組にして既存柱1の周囲を囲むとともに、軸方向に積層することによって既存柱1を軸方向に覆い、その外周に帯状シート4を接着する。その際、上記縦リブ17cと17dとを接触させることによって、隣り合う鋼板本体17の位置決め作業を容易にできる。
また、上記接触する縦リブ17cと17d同士をスポット溶接、接着、ビス止めなどの結合手段によって結合し、一体化してもよい。
このような第6実施形態においても、ヒゲ筋8に充填したグラウト材3が絡み付いて結合し、鋼板本体17とグラウト材3と既存柱1とが一体化して耐力を発揮する。
図11に示す第7実施形態は、既存柱1の両側に壁18が連続しているような場合に、既存柱1の正面1a側のみを補強する補強構造である。
この第7実施形態においても、上記第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いることとし、その詳細な説明は省略する。
この第7実施形態は、図11に示すように、既存柱1の正面1aを一対の鋼板本体19,20で囲い、これら鋼板本体19,20と既存柱1との間にはグラウト材3を充填している。
上記各鋼板本体19,20は、断面形状をL字状にした部材で、既存柱1の正面1aに対向する対向面19a,20aと、これらに直交する側面部19b、20bとからなる。そして、各鋼板本体19,20の軸方向長さは、対向する既存柱1の補強対象部分の軸方向長さを複数に分割した長さにしている。
そして、既存柱1の正面にはアンカー部材6を打ちこむとともに、上記鋼板本体19,20の角付近には軸方向筋5を配置している。
また、各側面部19b、20bには、軸方向に沿って複数の貫通孔19c,20cを形成している。この貫通孔19c、20cは、後で説明するねじ部材21を貫通させるための孔であるが、その内径は、上記ねじ部材21の外径に対し十分な余裕を持つ大きさにしている。
さらに、各鋼板本体19,20のそれぞれの対向面19a,20aには図3に示すヒゲ筋8を複数固定している。ヒゲ筋8の固定部9を固定する位置は特に限定されないが、対向面19a,20aにおいて複数のヒゲ筋8が一か所に集中したり一直線上にだけ配置されたりしないようにすることが好ましい。
なぜなら、例えば、突出片10,11が引き抜かれる方向の力が作用したとき、その力がヒゲ筋8を介してグラウト材3の特定個所に集中して、グラウト材3が崩れることがないようにするためである。
上記のようにした一対の鋼板19,20の対向面19a,20aの先端同士を重ね合わせるとともに、上記側面部19b,20bの対向間隔を既存柱1の幅に合わせ、その間隔を保って既存柱1の正面1aを囲む。
そして、上記側面部19b、20bを既存柱1の両側面1b、1cに密着させて、既存柱1を挟むようにしている。
一方、既存柱1の側面1b、1cであって、上記側面部19b,20bで挟まれる部分には、ねじ部材21を打ち込んでいる。なお、このねじ部材21は、既存柱1の軸方向に、所定の間隔を保って複数打ちこまれている。各ねじ部材21は、外周に雄ねじを形成した棒部材であり、その一方の端部を既存柱1に形成した打ち込み穴に接着剤で固定し、他方の端部を既存柱1の側面1b、1cから突出させている。
上記側面1b,1cから突出したねじ部材21には、各鋼板本体19,20の側面部19b,20bに形成した貫通孔19c,20cを合わせ、上記ねじ部材21,21を貫通させた状態で、側面部19b,20bを側面1b,1cに密着させて、その位置を保つようにしている。
上記のように、既存柱1の正面1aを囲んで設置した鋼板19,20の外側には、帯状シート4を接着して、周方向に隣り合う鋼板本体19,20同士や、積層され上下に連続する鋼板本体19,19同士、鋼板本体20,20同士が連結されるようにしている。
そして、上記帯状シート4から突出したねじ部材21に、座金プレート22を介してナット23を締め付け、既存柱1に鋼板本体19,20を固定する。上記鋼板本体19,20が既存柱に固定されたら、既存柱との間にグラウト材3を充填する。
この第7実施形態においても、鋼板本体19,20の対向面19a,20aに固定されたヒゲ筋8を介して鋼板本体19,20とグラウト材3とが強固に結合される。その結果、鋼板本体19,20とグラウト材3と既存柱1との一体性が上がる。
このように補強構造が一体化され、全体として耐力を発揮することができるので、補強効果が上がる。
なお、この第7実施形態では、一対の鋼板本体19,20の先端を重ね合わせて既存柱1の正面1aを囲っているが、鋼板本体19,20の先端は単に突き合わせるだけでもよいし、一対の鋼板本体19,20の代わりに既存柱1の幅に合わせたコの字状の鋼板本体を用いてもよい。
また、この第7実施形態のように、正面1aのみを囲む補強構造においても、この発明の突出部材として、上記ヒゲ筋8に替えて、図4の突出部材12やスパイラル筋15、あるいはその他の部材を用いることができる。
さらに、上記スパイラル筋15などのコア形成部材がグラウト材3に埋設されるようにすれば、さらなる強度向上を図ることができる。
なお、上記実施形態では、鋼板本体の軸方向長さを既存柱1の補強対象部分の軸方向長さを分割した長さにして積層し、積層された鋼板本体同士や、隣り合う鋼板本体同士を帯状シート4で連結するようにしているが、この帯状シート4は必須ではない。各鋼板本体同士は、帯状シート4の接着以外の手段で連結することも可能である。
また、例えば、各鋼板本体の軸方向端部に、既存柱1に向かって突出する横リブを形成して、これら横リブ同士を溶接やビスなどで連結し、複数の鋼板本体を一体化することもできる。
このような横リブは、上記した第1〜7実施形態のいずれにも適用可能であり、上下の横リブを重ね合わせることにより、鋼板本体を積層する際の作業性を向上させることもできる。
なお、複数の鋼板本体を帯状シート4の接着以外の連結手段を用いて連結できたとしても、さらに帯状シート4を接着することによって鋼板本体の一体性がより高まれば、補強強度をより一層高く保つことができる。
さらに、上記帯状シート4は、鋼板本体同士を連結する機能だけなく、外周面に接着することによって上記鋼板本体に靱性を付加して鋼板本体の強度を上げる機能も発揮する。
また、上記では既存柱1の周囲を囲う鋼板本体は断面形状をL字状にしているが、その形状は上記実施形態に限定されない。例えばコの字状など、所定の面を囲うことができればどのような形状でも構わない。
上記第1〜7実施形態では、既存柱1を補強する例を説明しているが、上記鋼板本体は、柱だけでなく、壁や梁など、柱以外の既設構造体の表面を囲って補強する補強構造に適用できるものである。
さらにまた、既設構造体を囲む際に、上記鋼板本体と突出部材とからなるこの発明の補強用鋼板だけを用いるのではなく、突出部材を備えた補強用鋼板と突出部材を備えていない従来の補強用鋼板とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
この発明は、様々な既設構造体と補強用鋼板との間にグラウト材を充填する補強構造に適用可能である。
1 既存柱
3 グラウト材
4 帯状シート
7 鋼板本体
7a 対向面
8 ヒゲ筋
9 固定部
10 突出片
10a 流入孔
11 突出片
11a 流入孔
12 突出部材
13 固定部
14 突出部
14a 流入孔
15 スパイラル筋
15a 溶接部
15b 流入部
16 筒部材
16a 流入孔
17 鋼板本体
17a 対向面
17b 対向面
19 鋼板本体
19a 対向面
20 鋼板本体
20a 対向面

Claims (6)

  1. 柱や壁などの既設構造体との間に間隔を保って配置され、上記既設構造体との間にグラウト材を充填するための補強用鋼板であって、
    鋼板本体と、
    上記鋼板本体において上記既接構造体に対向させる対向面に固定されるとともに、上記対向面から突出し、上記グラウト材中に埋設される複数の突出部材とを備えた補強用鋼板。
  2. 上記突出部材は、上記対向面に固定される固定部と、
    この固定部から突出した突出部とからなり、
    上記突出部には流動状態のグラウト材が流入可能な流入部を設けた請求項1に記載の補強用鋼板。
  3. 上記突出部材は、軸方向に長さを有する筒状体からなり、
    その側面に、上記対向面に固定される固定部と、流動状態のグラウト材が流入可能な流入部とを設けた請求項1に記載の補強用鋼板。
  4. 既設構造体と間隔を保って請求項1〜3のいずれかに記載の補強用鋼板を配置し、上記補強用鋼板と上記既設構造体との間にグラウト材を充填した構造体の補強構造。
  5. 上記既設構造体の軸方向に沿った長さを有する筒状のコア形成部材を、上記既接構造体と上記補強用鋼板との間に設けるとともに、
    上記コア形成部材の側面には、流動状態のグラウト材の流入を可能にする流入部を備え、上記流入部から流入したグラウト材によって上記コア形成部材で拘束されたグラウト材コアが形成される請求項4に記載の構造体の補強構造。
  6. 上記補強用鋼板を複数配置するとともに、これら複数の補強用鋼板の外周に帯状シートを接着し、この帯状シートによって、左右あるいは上下に連続する補強用鋼板同士を連結した請求項4又は5に記載の構造体の補強構造。
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