以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るマルチ画面表示装置1000の構成を示す図である。図1において、X,Y方向の各々は、互いに直交する。以下の図に示されるX,Y方向の各々も、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(−X方向)とを含む方向を「X軸方向」ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(−Y方向)とを含む方向を「Y軸方向」ともいう。また、以下においては、X軸方向およびY軸方向を含む平面を、「XY面」ともいう。
なお、図1には、マルチ画面表示装置1000に含まれない外部制御装置5も示される。外部制御装置5は、例えば、PC(Personal Computer)である。外部制御装置5は、作業者により操作されるインタフェース(以下、「操作インタフェース」ともいう)を有する。操作インタフェースは、例えば、キーボードである。なお、外部制御装置5は、PCに限定されず、リモートコントローラであってもよい。
図2は、本発明の実施の形態1に係るマルチ画面表示装置1000の正面図である。図1および図2に示すように、マルチ画面表示装置1000は、映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12を含む。
映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12の各々は、詳細は後述するが、同一の構成を有する。以下においては、映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12の各々を、単に、「映像表示装置100」とも表記する。
マルチ画面表示装置1000は、12台の映像表示装置100から構成される。なお、マルチ画面表示装置1000を構成する映像表示装置100の数は、12に限定されず、2〜11または13以上であってもよい。
マルチ画面表示装置1000では、複数の映像表示装置100が連動して動作する。これにより、1または複数のディスプレイとして機能する。マルチ画面表示装置1000は、12台の映像表示装置100が、一例として、図2のように、3行4列の行列状に配置されることにより構成される。マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100は、通信ケーブル71によりデイジーチェーン接続されている。
以下においては、デイジーチェーン接続された複数の映像表示装置100において情報(データ)が伝達される順序を、「伝達順序」ともいう。すなわち、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100には、デイジーチェーン接続により、当該複数の映像表示装置100において情報(データ)が伝達される順序(伝達順序)が規定されている。
また、以下においては、前述の伝達順序に従った通信を、「デイジーチェーン通信」ともいう。デイジーチェーン通信では、デイジーチェーン接続された複数の映像表示装置100において、伝達順序に従って情報(データ)が伝達される。例えば、デイジーチェーン通信では、映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12の順で、情報(データ)が伝達される。通信ケーブル71は、デイジーチェーン通信を行うために利用される専用のケーブルである。
また、以下においては、通信ケーブル71により、複数の映像表示装置100がデイジーチェーン接続されることにより形成される通信経路を、「通信経路SK」ともいう。通信経路SKは、デイジーチェーン接続に従った通信経路である。以下においては、通信経路SKを利用した通信を、「通信SK」ともいう。
通信SKは、上流方向通信とデイジーチェーン通信とを含む。上流方向通信とは、前述の伝達順序と逆の順序に従った通信である。上流方向通信は、各映像表示装置100が、情報(データ)を外部制御装置5へ送信する通信である。上流方向通信は、例えば、映像表示装置100−3が、後述の制御ケーブル70および通信経路SKの両方または一方を介して、情報(データ)を外部制御装置5へ送信する通信である。
具体的には、映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12の順で、情報(データ)が伝達されるように、12台の映像表示装置100は、デイジーチェーン接続される。すなわち、デイジーチェーン通信では、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100において、情報(データ)は、伝達順序に従って伝達される。
以下においては、伝達順序を示す番号を、「順序番号n(nは自然数)」または「順序番号」ともいう。順序番号nは、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100において、データが伝達される順番である。映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12の順序番号nは、それぞれ、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12である。
また、以下においては、ある映像表示装置100の順序番号より1だけ大きい順序番号が設定された映像表示装置100を、「後隣接の映像表示装置100」ともいう。また、以下においては、ある映像表示装置100の順序番号より1だけ小さい順序番号が設定された映像表示装置100を、「前隣接の映像表示装置100」ともいう。
以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100のうち、順序番号の値が最も大きい映像表示装置100を、「終端映像表示装置」ともいう。終端映像表示装置は、例えば、映像表示装置100−12である。また、以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100のうち、終端映像表示装置以外の映像表示装置100を、「非終端映像表示装置」ともいう。
映像表示装置100は、液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display))である。なお、映像表示装置100は、LCDに限定されず、リアプロジェクション方式の表示装置であってもよい。リアプロジェクション方式の表示装置は、画面の背面から当該画面に映像を投射する表示である。マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100は、外部から入力される映像信号に基づいた映像を表示する。
各映像表示装置100の形状は、直方体である。各映像表示装置100は、図2のように、XY面において行列状に配置される。なお、各映像表示装置100の形状は、当該各映像表示装置100を行列状に配置可能な形状であれば、直方体以外の形状であってもよい。
映像表示装置100−1,100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12は、それぞれ、図3おける画面10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6,10−7,10−8,10−9,10−10,10−11,10−12を有する。
マルチ画面表示装置1000は、図3のマルチ画面10Aを含む。マルチ画面10Aは、XY面と平行である。図3に示すように、マルチ画面10Aは、画面10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6,10−7,10−8,10−9,10−10,10−11,10−12が行列状に配置されて構成される1つの画面である。マルチ画面10Aの形状は、矩形である。
以下においては、画面10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6,10−7,10−8,10−9,10−10,10−11,10−12の各々を、「画面10」とも表記する。すなわち、マルチ画面10Aは、複数の映像表示装置100がそれぞれ有する複数の画面10が行列状に配置されて構成される。画面10は、映像を表示するための面である。画面10は、例えば、ガラス、スクリーン等である。なお、マルチ画面10Aを構成する画面10の数は、12に限定されず、2〜11または13以上であってもよい。
なお、各映像表示装置100の画面10は、一例として、当該映像表示装置100の前面全体に配置される。そのため、図3のマルチ画面10Aの形状は、図2のマルチ画面表示装置1000のXY面の形状と同じである。
なお、マルチ画面表示装置1000は、複数の映像表示装置100の画面10により矩形のマルチ画面10Aが構成されるように、当該複数の映像表示装置100が行列状に配置されて構成される。マルチ画面表示装置1000は、各映像表示装置100が画面10に映像を表示することにより、マルチ画面10Aに映像を表示する。
次に、映像表示装置100の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置100の構成を示すブロック図である。なお、図4には、映像表示装置100に含まれない映像ソース装置4および外部制御装置5も示される。
映像表示装置100は、制御部20と、記憶部32と、外部制御端子34と、入力端子35aと、出力端子35bと、通信処理部33と、映像入力回路37と、表示処理部38と、表示部40とを備える。
制御部20は、映像表示装置100内の各部(例えば、通信処理部33、表示処理部38)を制御する。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部20は、算出部21と、設定部22とを含む。算出部21は、詳細は後述するが、各種の演算を行う。設定部22は、詳細は後述するが、各種情報の設定を行う。
なお、制御部20に含まれる、算出部21および設定部22の全て又は一部は、LSI(Large Scale Integration)等のハードウエアで構成されてもよい。また、算出部21および設定部22の全て又は一部は、CPU等のプロセッサにより実行される、プログラムのモジュールであってもよい。
入力端子35aは、前述のデイジーチェーン通信において、データ(情報)を受信するための端子である。また、出力端子35bは、デイジーチェーン通信において、データ(情報)を送信するための端子である。なお、入力端子35aおよび出力端子35bの各々は、デイジーチェーン通信以外の通信では、データ(情報)の受信および送信に利用される場合がある。
前述したように、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100は、通信ケーブル71によりデイジーチェーン接続されている。具体的には、順序番号nの映像表示装置100の出力端子35bと、順序番号(n+1)の映像表示装置100の入力端子35aとが、通信ケーブル71により接続される。
例えば、映像表示装置100−1の出力端子35bと、映像表示装置100−2の入力端子35aとは、通信ケーブル71により接続される。また、例えば、映像表示装置100−2の出力端子35bと、映像表示装置100−3の入力端子35aとは、通信ケーブル71により接続される。
以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100のうち、伝達順序が1番目である映像表示装置100を、「基準映像表示装置」または「マスター装置」ともいう。映像表示装置100−1は、基準映像表示装置(マスター装置)である。
また、以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100のうち、マスター装置以外の映像表示装置100を、「スレーブ装置」ともいう。例えば、図1の映像表示装置100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12は、スレーブ装置である。すなわち、マルチ画面表示装置1000は、1台のマスター装置と、1台以上のスレーブ装置とを含む。
外部制御端子34は、マスター装置のみが使用する。外部制御端子34は、外部制御装置5との通信に使用される。マスター装置の外部制御端子34は、制御ケーブル70により、外部制御装置5と接続される。すなわち、マスター装置は、制御ケーブル70により、外部制御装置5と接続される。
また、映像表示装置100は、通信に関する動作モードとして、通常モードと、識別用設定モードとを有する。通常モードは、映像表示装置100が、前述の伝達順序に従って、データ(情報)を送信するためのモードである。識別用設定モードは、詳細は後述するが、識別情報としての後述の識別番号を設定するためのモードである。
また、映像表示装置100は、情報を入力するための情報入力モードを有する。情報入力モードは、映像表示装置100により有効化または無効化される。情報入力モードが有効化された映像表示装置100では、外部からの情報の入力を受けつけることができる。
通信処理部33は、各種の通信を制御する。通信処理部33は、通信を制御するための状態として、通常状態および上流方向転送停止状態を有する。
マスター装置における通常状態の通信処理部33は、外部制御端子34が受信したデータ(信号)を、出力端子35bへ送信(転送)する。マスター装置の出力端子35bから送信されたデータ(信号)は、伝達順序が2番目である映像表示装置100(スレーブ装置)へ送信される。
スレーブ装置における通常状態の通信処理部33は、入力端子35aが受信したデータ(信号)を、出力端子35bへ送信(転送)する。当該出力端子35bへ送信されるデータは、当該スレーブ装置の後隣接の映像表示装置100(スレーブ装置)へ送信される。
また、スレーブ装置における通常状態の通信処理部33は、出力端子35bが受信したデータを、入力端子35aへ送信(転送)する。当該入力端子35aへ送信されるデータは、当該スレーブ装置の前隣接の映像表示装置100(マスター装置またはスレーブ装置)へ送信される。
また、マスター装置における通常状態の通信処理部33は、外部制御端子34、入力端子35aまたは出力端子35bが受信したデータを、制御部20へ送信する。また、通常状態の通信処理部33は、制御部20から受信するデータ(信号)を、当該データの宛先(送信先)に従って、外部制御端子34、入力端子35aまたは出力端子35bへ送信する。当該データの宛先は、例えば、外部制御装置5、または、別の映像表示装置100である。通信処理部33は、状況に応じて通信相手を変える通信切替部として機能する。
また、スレーブ装置における通常状態の通信処理部33は、入力端子35aまたは出力端子35bが受信したデータを、制御部20へ送信する。また、通常状態の通信処理部33は、制御部20から受信するデータ(信号)を、当該データの宛先に従って、入力端子35aまたは出力端子35bへ送信する。
なお、上流方向転送停止状態の通信処理部33は、出力端子35bが受信したデータを、制御部20のみへ送信し、入力端子35aへ送信しない。また、上流方向転送停止状態の通信処理部33は、入力端子35aが受信したデータ(信号)を、出力端子35bへ送信(転送)する。
映像入力回路37は、マルチ画面表示装置1000の外部に配置された映像ソース装置4が出力する映像信号を受信する。次に、映像入力回路37は、デジタル信号に変換した映像信号を、表示処理部38へ出力する。
表示処理部38は、表示部40を制御する。具体的には、表示処理部38は、受信した映像信号が示す画像に対し画質調整等の画像処理を行う画像処理回路である。また、表示処理部38は、OSD(On Screen Display)などの画像処理の機能も有する。表示処理部38は、画像処理された映像信号を、表示部40が処理可能なフォーマットの映像信号に変換する。
また、表示処理部38は、必要に応じて、制御部20からの指示に従って、映像信号が示す画像に、例えば、メニューなどの情報を重畳した画像を示す映像信号を、表示部40へ送信する。
表示部40は、画面10(図示せず)に映像を表示するためのデバイスである。表示部40は、表示処理部38から受信した映像信号が示す画像を画面10に表示する。表示部40は、LCDパネルである。なお、表示部40は、LCDパネルに限定されず、画像を表示する他の方式の装置であってもよい。表示部40は、例えば、リアプロジェクション方式の表示装置のうち、画面10に映像を投射するための表示デバイス等であってもよい。
外部制御装置5が、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100のうち、特定の映像表示装置100を個別に制御する場合、当該各映像表示装置100に、異なる識別番号が設定される必要がある。当該識別番号は、映像表示装置100を識別するための番号(ID)である。以下においては、識別番号を、「識別番号i」とも表記する。
また、例えば、マルチ画面表示装置1000が、拡大表示処理を行うとする。拡大表示処理では、例えば、マルチ画面10A全体に、図5(a)の画像G10を表示する処理を行うとする。すなわち、マルチ画面表示装置1000が、画像G10を拡大表示する処理を行うとする。この場合、各映像表示装置100へ画像G10が共通して送信される。そして、各映像表示装置100は、画像G10のうち、必要な領域の画像を拡大して表示する。例えば、映像表示装置100−1は、画像G10のうち、領域R10内の画像を、画面10−1に拡大して表示する(図5(b)参照)。
拡大表示処理を行うために、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100には、行列情報MJ(後述の配置情報KJ)、前述の順序番号、座標P等が予め設定される。行列情報MJとは、マルチ画面10Aにおける各映像表示装置100の位置を特定するための行列の情報である。
以下においては、マルチ画面10Aにおいて、各映像表示装置100の位置を特定するための行列を、「行列MX」ともいう。すなわち、行列MXは、マルチ画面表示装置1000を構成するように、行列状に配置された複数の映像表示装置100に対応する行列である。例えば、図2において、マルチ画面表示装置1000は、12台の映像表示装置100が、行列MXとしての3行4列の行列状に配置されて構成される。また、行列情報MJとは、行列MXにおける行数rw(rwは自然数)および列数cl(clは自然数)である。
また、以下においては、複数の映像表示装置100が行列状に配置されて構成されたマルチ画面表示装置1000における水平方向(X軸方向)の映像表示装置100の数を、「水平数Hm」ともいう。なお、Hmは自然数である。水平数Hmは、列数clと同じである。
また、以下においては、複数の映像表示装置100が行列状に配置されて構成されたマルチ画面表示装置1000における垂直方向(Y軸方向)の映像表示装置100の数を、「垂直数Vm」ともいう。なお、Vmは自然数である。垂直数Vmは、行数rwと同じである。例えば、図2の構成では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。水平数Hmと垂直数Vmとにより配置情報KJが構成される。
配置情報KJは、映像表示装置100の配置構成を示すための情報である。具体的には、配置情報KJは、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100の配置構成を特定するための情報である。なお、前述のように、水平数Hmは、列数clと同じであり、垂直数Vmは、行数rwと同じである。すなわち、配置情報KJは、行列MXの行数rwおよび列数clである。
座標Pとは、マルチ画面10Aにおける、映像表示装置100の座標である。座標Pは、(HL(自然数)、VL(自然数))で表現される。座標P(HL、VL)において、「HL」は、マルチ画面10Aにおける映像表示装置100の水平方向(X軸方向)の座標(位置)である。「VL」は、マルチ画面10Aにおける映像表示装置100の垂直方向(Y軸方向)の座標(位置)である。例えば、図3において、映像表示装置100−3の座標Pは、(3,1)である。
上記の配置情報KJ(行列情報MJ)、順序番号、座標P等に従って、各映像表示装置100は、画像G10のうち、必要な領域の画像を、画面10全体に拡大表示する。ここで、一例として、映像表示装置100−1には、水平数Hm=4、垂直数Vm=3および座標P(1,1)が設定されているとする。この場合、映像表示装置100−1は、図5(a)の領域R10内の画像を、図5(b)のように、画面10−1に拡大表示する。
本実施の形態では、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100に、識別情報としての識別番号iと、座標Pとを設定するための処理(以下、「識別情報設定対応処理」ともいう)が行われる。以下においては、識別番号設定処理において外部制御装置5が行う処理を、「識別情報設定対応処理BX」ともいう。なお、前述したように、外部制御装置5は、制御ケーブル70により、図3の画面10−1を有する映像表示装置100−1の外部制御端子34と接続される。
図6は、識別情報設定対応処理BXのフローチャートである。識別情報設定対応処理BXでは、まず、ステップS110の処理が行われる。
ステップS110では、情報入力モード有効化処理が行われる。情報入力モード有効化処理では、外部制御装置5が、入力モード有効指示をマスター装置へ送信する。入力モード有効指示とは、情報入力モードを有効化させるための指示である。入力モード有効指示を受信したマスター装置は、情報入力モードを有効化する。これにより、マスター装置は、外部からの情報の入力を受けつけることができる。
ステップS120では、前述の配置情報KJを入力するための配置情報入力処理が行われる。配置情報入力処理では、作業者が、外部制御装置5に対し、操作インタフェースを利用して、配置情報KJとして、水平数Hmおよび垂直数Vmを入力する。
そして、外部制御装置5は、入力された水平数Hm、垂直数Vmを示す配置情報KJを、マスター装置へ送信する。なお、配置情報KJの送信先は、マスター装置のみに設定される。これにより、マスター装置の通信処理部33は、外部制御端子34から配置情報KJを受信する。そして、当該通信処理部33は、配置情報KJを、制御部20のみへ送信する。そして、制御部20は、当該配置情報KJ(水平数Hm、垂直数Vm)を、記憶部32に記憶させる。
以下においては、水平方向(X軸方向)において隣接する2台の映像表示装置100を接続する通信ケーブル71を、「水平接続ケーブル」ともいう。水平接続ケーブルは、例えば、図1において、映像表示装置100−1と映像表示装置100−2とを接続する通信ケーブル71である。また、以下においては、垂直方向(Y軸方向)において隣接する2台の映像表示装置100を接続する通信ケーブル71を、「垂直接続ケーブル」ともいう。垂直接続ケーブルは、例えば、図1において、映像表示装置100−4と映像表示装置100−5とを接続する通信ケーブル71である。
ステップS130では、配線構成情報Wを入力するための配線構成情報入力処理が行われる。配線構成情報Wとは、各映像表示装置100を接続する各通信ケーブル71の構成を特定する情報である。以下においては、各映像表示装置100を接続する各通信ケーブル71の構成を、「ケーブル接続構成」ともいう。
また、以下においては、行列状に配置された複数の映像表示装置100に対応する行列MXの各行に対応する各映像表示装置100が、水平接続ケーブルにより接続される構成を、「水平接続構成」ともいう。水平接続構成は、例えば、図1に示されるケーブル接続構成である。水平接続構成では、行列MXの各行に対応する各映像表示装置100に対する、各通信ケーブル71の接続方向は水平方向(X軸方向)である。
なお、水平接続構成では、行列MXの各行に対応する各映像表示装置100のうち、順序番号が最大である映像表示装置100は、当該映像表示装置100のY方向に隣接する映像表示装置100と、垂直接続ケーブルとしての通信ケーブル71により接続される。例えば、図1において、行列MXの1行目に対応する各映像表示装置100のうち、順序番号が4である映像表示装置100−4は、当該映像表示装置100−4のY方向に隣接する映像表示装置100−5と、垂直接続ケーブルとしての通信ケーブル71により接続される。
なお、本実施の形態では、基準映像表示装置(マスター装置)は、マルチ画面10Aの4つの角部のいずれかに配置される。当該4つの角部は、それぞれ、図7の左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBである。例えば、図2の基準映像表示装置(映像表示装置100−1)が配置されている位置は、左上端部LTである。
また、水平接続構成では、基準映像表示装置(マスター装置)が配置される位置によって、垂直接続ケーブルの位置が変わる。具体的には、水平接続構成では、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBのいずれかであるかによって、垂直接続ケーブルの位置が変わる。
ここで、図1のケーブル接続構成の各映像表示装置100において、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、一例として、左上端部LTであるとする。この場合、垂直接続ケーブルは、例えば、右上端部RTに存在する映像表示装置100−4と、当該映像表示装置100−4のY方向に隣接する映像表示装置100−5とを接続するための位置に設けられる。この場合の水平接続構成は、図8(a)の矢印で示す伝達順序でデータが伝達されるように、通信ケーブル71により各映像表示装置100が接続される構成である。
ここで、水平接続構成において、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、一例として、右上端部RTであるとする。この場合、垂直接続ケーブルは、例えば、左上端部LTに存在する映像表示装置100と、当該映像表示装置100のY方向に隣接する映像表示装置100とを接続するための位置に設けられる。
以下においては、行列状に配置された複数の映像表示装置100に対応する行列MXの各列に対応する各映像表示装置100が、垂直接続ケーブルにより接続される構成を、「垂直接続構成」ともいう。垂直接続構成は、例えば、図9に示されるケーブル接続構成である。垂直接続構成では、行列MXの各列に対応する各映像表示装置100に対する、各通信ケーブル71の接続方向は垂直方向(Y軸方向)である。
なお、垂直接続構成では、行列MXの各列に対応する各映像表示装置100のうち、順序番号が最大である映像表示装置100は、当該映像表示装置100のX方向に隣接する映像表示装置100と、水平接続ケーブルとしての通信ケーブル71により接続される。例えば、図9において、行列MXの1列目に対応する各映像表示装置100のうち、順序番号が3である映像表示装置100−3は、当該映像表示装置100−3のX方向に隣接する映像表示装置100−4と、水平接続ケーブルとしての通信ケーブル71により接続される。
また、垂直接続構成では、基準映像表示装置(マスター装置)の位置によって、垂直接続ケーブルの位置が変わる。具体的には、垂直接続構成では、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBのいずれかであるかによって、水平接続ケーブルの位置が変わる。
ここで、図9のケーブル接続構成の各映像表示装置100において、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、一例として、左上端部LTであるとする。この場合、水平接続ケーブルは、例えば、左下端部LBに存在する映像表示装置100−3と、当該映像表示装置100−3のX方向に隣接する映像表示装置100−4とを接続するための位置に設けられる。この場合の垂直接続構成は、図8(b)の矢印で示す伝達順序でデータが伝達されるように、通信ケーブル71により各映像表示装置100が接続される構成である。
ここで、垂直接続構成において、基準映像表示装置(マスター装置)の位置が、一例として、左下端部LBであるとする。この場合、水平接続ケーブルは、例えば、左上端部LTに存在する映像表示装置100と、当該映像表示装置100のX方向に隣接する映像表示装置100とを接続するための位置に設けられる。
再び、図6を参照して、ステップS130の配線構成情報入力処理では、作業者が、外部制御装置5に対し、操作インタフェースを利用して、配線構成情報Wを入力する。当該配線構成情報Wは、例えば、前述の水平接続構成または垂直接続構成を特定する情報である。
そして、外部制御装置5は、入力された配線構成情報Wを、マスター装置へ送信する。なお、配線構成情報Wの送信先は、マスター装置のみに設定される。これにより、マスター装置の通信処理部33は、外部制御端子34から配線構成情報Wを受信する。そして、当該通信処理部33は、配線構成情報Wを、制御部20のみへ送信する。そして、制御部20は、当該配線構成情報Wを、記憶部32に記憶させる。
ステップS140では、位置情報LJを入力するための位置情報入力処理が行われる。位置情報LJとは、マスター装置(基準映像表示装置)が配置される位置を示す情報である。マスター装置(基準映像表示装置)が配置される位置は、前述の左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBのいずれかである。
位置情報入力処理では、作業者が、外部制御装置5に対し、操作インタフェースを利用して、位置情報LJを入力する。位置情報LJは、左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBのいずれかを特定する情報である。例えば、マスター装置(基準映像表示装置)が配置されている位置が左上端部LTである場合、入力される位置情報LJは、左上端部LTを示す。
そして、外部制御装置5は、入力された位置情報LJを、マスター装置へ送信する。なお、位置情報LJの送信先は、マスター装置のみに設定される。これにより、マスター装置の通信処理部33は、外部制御端子34から位置情報LJを受信する。そして、当該通信処理部33は、位置情報LJを、制御部20のみへ送信する。そして、制御部20は、当該位置情報LJを、記憶部32に記憶させる。
以下においては、各映像表示装置100に対し、識別情報である識別番号iを設定するため規則を、「識別用設定規則B」または「識別用設定規則」ともいう。識別用設定規則Bは、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100に対し、識別情報である識別番号iを設定するための予め定められた規則である。識別用設定規則Bは、作業者(人)が識別番号iを認識しやすいように定められた規則である。
ステップS150では、識別用設定規則情報Rを入力するための識別用設定規則情報入力処理が行われる。識別用設定規則情報Rとは、識別用設定規則Bを特定する情報である。
以下においては、識別番号iの設定対象となる映像表示装置100を、「設定対象映像表示装置」ともいう。また、以下においては、行列MXのうち、下端の行を除く各行に対応する各映像表示装置100のうち、行列MXの右端の列に対応する映像表示装置100を、「右端映像表示装置」ともいう。例えば、図1において、行列MXの1行目に対応する右端映像表示装置は、映像表示装置100−4である。また、以下においては、行列MXのうち、1行目を除く各行に対応する各映像表示装置100のうち、行列MXの左端の列に対応する映像表示装置100を、「左端映像表示装置」ともいう。
また、以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100に対し、例えば、図10(a)のように識別番号iを設定するための識別用設定規則を、「水平設定規則」ともいう。また、以下においては、マルチ画面10Aにおけるマスター装置(基準映像表示装置)の位置を、「基準位置BL」ともいう。基準位置BLは、例えば、図7の左上端部LT、右上端部RT,左下端部LBおよび右下端部RBのいずれかである。
以下においては、基準位置BLを起点として、マルチ画面10Aに対し水平方向(X軸方向)に沿って、スキャンする順序を変化させるラスタースキャンを、「水平ラスタースキャン」ともいう。
ここで、基準位置BLは、一例として、左上端部LTであるとする。この場合、上記の水平設定規則は、水平ラスタースキャンに従った順序に基づいて定められている。すなわち、水平設定規則では、行列MXの各行に対応する各映像表示装置100において、設定対象映像表示装置が1つ右に移動する毎に、設定される識別番号iの値は、1インクリメントされる。
具体的には、水平設定規則では、行列MXの各行に対応する各映像表示装置100において、(HL+1)列目の映像表示装置100に対し設定される識別番号iの値は、HL列目の映像表示装置100に対し設定される識別番号iの値より1だけ大きくされる。例えば、図1において、行列MXの1行目に対応する各映像表示装置100において、2列目の映像表示装置100−2に対し設定される識別番号iの値は、図10(a)のように、1列目の映像表示装置100−1に対し設定される識別番号i(1)より1だけ大きい2が設定される。
なお、水平設定規則では、右端映像表示装置の次に識別番号iの設定対象となる設定対象映像表示装置は、行列MXのうち、当該右端映像表示装置に対応する行の次の行に対応する左端映像表示装置である。例えば、水平設定規則では、行列MXの1行目に対応する映像表示装置100−4の次に識別番号iの設定対象となる設定対象映像表示装置は、行列MXの2行目に対応する映像表示装置100−8である。
また、以下においては、行列MXのうち、右端の列を除く各列に対応する各映像表示装置100のうち、行列MXの下端の行に対応する映像表示装置100を、「下端映像表示装置」ともいう。例えば、図9において、行列MXの1列目に対応する下端映像表示装置は、映像表示装置100−3である。また、以下においては、行列MXのうち、1列目を除く各列に対応する各映像表示装置100のうち、行列MXの上端の行に対応する映像表示装置100を、「上端映像表示装置」ともいう。
また、以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100に対し、例えば、図10(b)のように識別番号iを設定するための識別用設定規則を、「垂直設定規則」ともいう。また、以下においては、基準位置BLを起点としてマルチ画面10Aに対し垂直方向に沿って、スキャンする順序を変化させるラスタースキャンを、「垂直ラスタースキャン」ともいう。
ここで、基準位置BLは、一例として、左上端部LTであるとする。この場合、当該垂直設定規則は、垂直ラスタースキャンに従った順序に基づいて定められている。すなわち、垂直設定規則では、行列MXの各列に対応する各映像表示装置100において、設定対象映像表示装置が1つ下に移動する毎に、設定される識別番号iの値は、1インクリメントされる。
具体的には、垂直設定規則では、行列MXの各列に対応する各映像表示装置100において、(VL+1)行目の映像表示装置100に対し設定される識別番号iの値は、VL行目の映像表示装置100に対し設定される識別番号iの値より1だけ大きくされる。例えば、図9において、行列MXの1列目に対応する各映像表示装置100において、2行目の映像表示装置100−2に対し設定される識別番号iの値は、1行目の映像表示装置100−1に対し設定される識別番号i(1)より1だけ大きい2が設定される。
なお、垂直設定規則では、下端映像表示装置の次に識別番号iの設定対象となる設定対象映像表示装置は、行列MXのうち、当該下端映像表示装置に対応する列の次の列に対応する上端映像表示装置である。例えば、垂直設定規則では、行列MXの1列目に対応する映像表示装置100−3の次に識別番号iの設定対象となる設定対象映像表示装置は、行列MXの2列目に対応する映像表示装置100−6である。
再び、図6を参照して、ステップS150の識別用設定規則情報入力処理では、作業者が、外部制御装置5に対し、操作インタフェースを利用して、識別用設定規則情報Rを入力する。当該識別用設定規則情報Rは、例えば、水平設定規則または垂直設定規則を特定する情報である。
そして、外部制御装置5は、入力された識別用設定規則情報Rを、マスター装置へ送信する。なお、識別用設定規則情報Rの送信先は、マスター装置のみに設定される。これにより、マスター装置の通信処理部33は、外部制御端子34から識別用設定規則情報Rを受信する。そして、当該通信処理部33は、識別用設定規則情報Rを、制御部20のみへ送信する。そして、制御部20は、当該識別用設定規則情報Rを、記憶部32に記憶させる。
ステップS160では、外部制御装置5が、識別用設定実行指示Mを、マスター装置(映像表示装置100−1)へ送信する。識別用設定実行指示Mは、マスター装置に、識別情報としての識別番号iを設定させるための処理(以下、「識別情報設定対応処理BM」ともいう)を実行させるための指示である。識別用設定実行指示Mの送信先は、マスター装置のみである。すなわち、識別用設定実行指示Mは、マスター装置のみに送信される指示である。
マスター装置は、識別用設定実行指示Mの受信に従い、識別情報設定対応処理BMを実行する。具体的には、マスター装置の通信処理部33は、外部制御端子34から識別用設定実行指示Mを受信する。そして、当該通信処理部33は、識別用設定実行指示Mを、制御部20のみへ送信する。これにより、マスター装置の制御部20は、識別用設定実行指示Mを受信する。制御部20は、識別用設定実行指示Mに従い、識別情報設定対応処理BMを実行する。
次に、識別情報設定対応処理BMについて説明する。図11は、識別情報設定対応処理BMのフローチャートである。識別情報設定対応処理BMでは、まず、ステップS210の処理が行われる。
ステップS210では、算出部21(制御部20)が、カウンタCTの値を“0”に設定する。カウンタCTは、識別情報の設定のために、数値が設定される内部カウンタである。以下においては、カウンタCTを、単に、「CT」ともいう。
ステップS220では、座標算出処理が行われる。座標算出処理では、要約すれば、算出部21が、配置情報KJと前述の伝達順序とに基づいて、マルチ画面10Aにおける、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の映像表示装置100の座標P(位置)を算出する。少し具体的には、算出部21が、基準映像表示装置であるマスター装置が配置される位置に基づいて、座標Pを算出する。
図12は、座標算出処理のフローチャートである。以下においては、座標算出処理において座標の算出の対象となる映像表示装置100を、「対象装置PD」ともいう。まず、座標算出処理において、マスター装置の座標を算出するための処理について説明する。座標算出処理では、まず、ステップS221の処理が行われる。
ステップS221では、ケーブル接続構成の種類が判定される。具体的には、算出部21(制御部20)が、ケーブル接続構成が、水平接続構成および垂直接続構成のいずれであるか判定する。さらに具体的には、算出部21は、記憶部32に記憶されている配線構成情報Wが、水平接続構成および垂直接続構成のいずれを特定する情報であるか判定する。
ケーブル接続構成が水平接続構成である場合、すなわち、配線構成情報Wが水平接続構成を特定する情報である場合、処理はステップS222Aへ移行する。一方、ケーブル接続構成が垂直接続構成である場合、すなわち、配線構成情報Wが垂直接続構成を特定する情報である場合、処理はステップS222Bへ移行する。
ここで、XY平面における方向を、図13を用いて、以下のように定義する。図13(a)は、マスター装置(基準映像表示装置)の位置が左上端部LTである状態における、各映像表示装置100の配置構成を示す。図13(b)は、マスター装置の位置が右上端部RTである状態における、各映像表示装置100の配置構成を示す。図13(c)は、マスター装置の位置が左下端部LBである状態における、各映像表示装置100の配置構成を示す。図13(d)は、マスター装置の位置が右下端部RBである状態における、各映像表示装置100の配置構成を示す。
以下においては、伝達順序が2番目である映像表示装置100−2を、「2番目装置」ともいう。2番目装置は、通信ケーブル71により、マスター装置(基準映像表示装置)と接続される装置である。
図13(a)〜(d)を参照して、XY平面におけるX方向を「+H方向」と定義する。また、XY平面における−X方向を「−H方向」と定義する。また、XY平面におけるY方向を「+V方向」と定義する。また、XY平面における−Y方向を「−V方向」と定義する。
以下においては、水平方向(X軸方向)において、マスター装置(基準映像表示装置)と隣接する映像表示装置100を、「水平隣接装置」ともいう。また、以下においては、垂直方向(Y軸方向)において、マスター装置と隣接する映像表示装置100を、「垂直隣接装置」ともいう。また、以下においては、マスター装置から、水平隣接装置へ向かう方向を、「水平隣接方向」ともいう。また、以下においては、マスター装置から、垂直隣接装置へ向かう方向を、「垂直隣接方向」ともいう。
水平隣接方向および垂直隣接方向は、マスター装置が配置される位置により決まる。ここで、一例として、図13(a)のように、マスター装置の位置が左上端部LTであるとする。また、ケーブル接続構成が水平接続構成であるとする。
この場合、図2のように、水平隣接装置は、映像表示装置100−2(2番目装置)であり、垂直隣接装置は、映像表示装置100−8である。また、図13(a)のように、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。また、マスター装置は、水平接続ケーブルとしての通信ケーブル71により、2番目装置と接続される。
また、他の例として、図13(a)のように、マスター装置の位置が左上端部LTであるとする。また、ケーブル接続構成が垂直接続構成であるとする。この場合、図9のように、水平隣接装置は、映像表示装置100−6であり、垂直隣接装置は、映像表示装置100−2(2番目装置)である。また、図13(a)のように、マスター装置は、垂直接続ケーブルとしての通信ケーブル71により、2番目装置と接続される。
また、さらに他の例として、図13(b)のように、マスター装置の位置が右上端部RTであるとする。この場合、水平隣接方向は−H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。
また、さらに他の例として、図13(c)のように、マスター装置の位置が左下端部LBであるとする。この場合、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は−V方向である。
また、さらに他の例として、図13(d)のように、マスター装置の位置が右下端部RBであるとする。この場合、水平隣接方向は−H方向であり、垂直隣接方向は−V方向である。
ステップS222Aでは、算出部21(制御部20)が、対応行が奇数行および偶数行のいずれであるかを判定する。対応行とは、対象装置PDに対応する、行列MXの行である。当該奇数行とは、マスター装置(基準映像表示装置)の位置を原点とした状態における行列MXの奇数行である。当該偶数行とは、マスター装置の位置を原点とした状態における行列MXの偶数行である。
ここで、以下の前提A1を考慮する。前提A1では、一例として、各映像表示装置100は、図2のように配置されている。また、前提A1では、対象装置PDが映像表示装置100−1である。また、前提A1では、マスター装置の位置が左上端部LTであるとする。
上記の前提A1では、行列MXの1行目は、図2の構成に対応する行列MXの上端の行である。すなわち、行列MXの1行目は、映像表示装置100−1,100−2等に対応する行である。また、対象装置PDの対応行は、行列MXの1行目である。また、前提A1に対応する行列MXの奇数行は、例えば、映像表示装置100−1,100−9等に対応する行である。また、前提A1に対応する行列MXの偶数行は、例えば、映像表示装置100−8等に対応する行である。したがって、前提A1では、対象装置PDの対応行は、奇数行である。
また、以下の前提A2を考慮する。前提A2では、12台の映像表示装置100が、図7のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提A2では、対象装置PDが映像表示装置100−1である。また、前提A2では、マスター装置の位置が右上端部RTである。
上記の前提A2では、行列MXの1行目は、図7の構成に対応する行列MXの上端の行である。また、対象装置PDの対応行は、行列MXの1行目である。また、前提A2に対応する行列MXの奇数行は、例えば、マスター装置に対応する行、左下端部LBに配置された映像表示装置100に対応する行等である。また、前提A2に対応する行列MXの偶数行は、例えば、マスター装置とY方向に隣接する映像表示装置100に対応する行等である。したがって、前提A2では、対象装置PDの対応行は、奇数行である。
ステップS222Aにおいて、対応行が奇数行および偶数行のいずれであるかは、例えば、以下の方法により算出される。具体的には、算出部21(制御部20)が、カウンタCTの最新の値と、記憶部32に記憶されている水平数Hmとを用いて、対応行が奇数行および偶数行のいずれであるかを判定する。
まず、CT/Hmで得られる値の整数部を、「判定値S」と定義する。当該Hmは、水平数Hmである。ここで、一例として、CTが0であり、Hmが4であるとする。この場合、判定値Sは0である。また、他の例として、CTが5であり、Hmが4であるとする。この場合、判定値Sは、5/4=1.25より、1である。すなわち、判定値Sは、1.25の整数部1である。
また、判定値S/2で表現される式の剰余を、「行判定値Sa」と定義する。ここで、一例として、判定値Sが0であるとする。この場合、行判定値Saは、0/2より、0である。すなわち、行判定値Saは、0/2という割り算の余りに相当する0である。また、他の例として、判定値Sが1であるとする。この場合、行判定値Saは、1/2より、1である。すなわち、行判定値Saは、1/2という割り算の余りに相当する1である。また、他の例として、判定値Sが2であるとする。この場合、行判定値Saは、2/2より、0である。すなわち、行判定値Saは、2/2という割り算の余りに相当する0である。
行判定値Saが0である場合、算出部21は、対象装置PDの対応行が奇数行であると判定する。この場合、処理はステップS223Aへ移行する。行判定値Saが1である場合、算出部21は、対象装置PDの対応行が偶数行であると判定する。この場合、処理はステップS223Bへ移行する。
ステップS223Aでは、算出部21(制御部20)が、水平隣接方向が、+H方向および−H方向のいずれであるかを判定する。当該水平隣接方向は、前述の図13で説明したように、マスター装置が配置される位置により決まる。水平隣接方向が+H方向である場合、処理はステップS224Aへ移行する。一方、水平隣接方向が−H方向である場合、処理はステップS224Bへ移行する。
以下においては、CT/Hmで表現される式の剰余を、「MA」と定義する。ここで、一例として、CTが0であり、Hmが4であるとする。この場合、MAは、0/4より、0である。すなわち、MAは、0/4という割り算の余りに相当する0である。また、他の例として、CTが5であり、Hmが4であるとする。この場合、MAは、5/4より、1である。すなわち、MAは、5/4という割り算の余りに相当する1である。
ステップS224Aでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H1を行う。算出処理H1では、算出部21が、座標HLを、以下の式(1)により算出する。
ステップS224Bでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H2を行う。算出処理H2では、算出部21が、座標HLを、以下の式(2)により算出する。
なお、前述のステップS222Aにおいて、対応行が偶数行である場合、処理はステップS223Bへ移行する。
ステップS223Bでは、ステップS223Aと同じ処理が行われる。水平隣接方向が+H方向である場合、処理はステップS224Cへ移行する。一方、水平隣接方向が−H方向である場合、処理はステップS224Dへ移行する。
ステップS224Cでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H3を行う。算出処理H3では、算出部21が、座標HLを、前述の式(2)により算出する。
ステップS224Dでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H4を行う。算出処理H4では、算出部21が、座標HLを、前述の式(1)により算出する。
ステップS225Aでは、算出部21(制御部20)が、垂直隣接方向が、+V方向および−V方向のいずれであるかを判定する。当該垂直隣接方向は、前述の図13で説明したように、マスター装置が配置される位置により決まる。垂直隣接方向が+V方向である場合、処理はステップS226Aへ移行する。一方、垂直隣接方向が−V方向である場合、処理はステップS226Bへ移行する。
以下においては、前述の判定値Sを、「MB」ともいう。当該判定値Sは、CT/Hmで得られる値の整数部である。
ステップS226Aでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V1を行う。算出処理V1では、算出部21が、座標VLを、以下の式(3)により算出する。
ステップS226Bでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V2を行う。算出処理V2では、算出部21が、座標VLを、以下の式(4)により算出する。
以上により、ケーブル接続構成が水平接続構成である場合における、対象装置PDの座標P(HL,VL)が算出される。
ここで、以下の前提B1におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提B1では、CTは0である。前提B1では、12台の映像表示装置100が、図2のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提B1では、マスター装置の位置が左上端部LTである。したがって、図13(a)のように、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。また、前提B1では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。また、前提B1では、ケーブル接続構成が水平接続構成である。
上記の前提B1の場合、ステップS221の処理の後、ステップS222Aの処理が行われる。上記の前提B1により、CT/Hmで得られる値の整数部である判定値Sは、0である。したがって、判定値S/2で表現される式の剰余である行判定値Saは、0である。行判定値Saが0であるため、ステップS222Aでは、算出部21は、マスター装置の対応行が奇数行であると判定する。
そして、前提B1において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS223Aの処理の後、ステップS224Aの処理が行われる。なお、CT/Hmで表現される式の剰余MAは0である。そのため、算出処理H1の式(1)に前提B1における値(MA=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標HLは1と算出される。
また、前提B1において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS226Aの処理が行われる。なお、CT/Hmで得られる値の整数部であるMBは、0である。そのため、算出処理V1の式(3)に前提B1における値(MB=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標VLは1と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(1,1)と算出される。
次に、他の例として、前提B2におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提B2は、前提B1と比較して、マスター装置の位置が左上端部LTであることの代わりに、マスター装置の位置が右上端部RTである点のみが異なるとする。なお、前提B2のそれ以外の点は、前提B1と同じである。前提B2では、水平隣接方向は−H方向である。
この前提B2の場合、ステップS221,S222A,S223A,S224Bの順で、前述の前提B1の場合と同様に処理が行われる。なお、CT/Hmで表現される式の剰余MAは0である。そのため、算出処理H2の式(2)に前提B2における各値(Hm=4,MA=0)を代入した式、すなわち、4−0=4より、座標HLは4と算出される。
その後、上記前提B1の処理と同様に、ステップS225A,S226Aが行われることにより、座標VLは1と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(4,1)と算出される。
次に、他の例として、前提B3におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提B3は、前提B1と比較して、マスター装置の位置が左上端部LTであることの代わりに、マスター装置の位置が左下端部LBである点のみが異なるとする。なお、前提B3のそれ以外の点は、前提B1と同じである。前提B3では、垂直隣接方向は−V方向である。
この前提B3の場合、ステップS221,S222A,S223A,S224B,S225A,S226Bの順で、前述の前提B1の場合と同様に処理が行われる。なお、CT/Hmで得られる値の整数部であるMBは、0である。そのため、算出処理V2の式(4)に前提B3における各値(Vm=3,MB=0)を代入した式、すなわち、3−0=3より、座標VLは3と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(1,3)と算出される。
次に、ケーブル接続構成が垂直接続構成である場合における座標算出処理について説明する。ケーブル接続構成が垂直接続構成である場合、ステップS221により処理はステップS222Bへ移行する。
ステップS222Bでは、算出部21(制御部20)が、対応列が奇数列および偶数列のいずれであるかを判定する。対応列とは、対象装置PDに対応する、行列MXの列である。当該奇数列とは、マスター装置(基準映像表示装置)の位置を原点とした状態における行列MXの奇数列である。当該偶数列とは、マスター装置の位置を原点とした状態における行列MXの偶数列である。
ここで、以下の前提C1を考慮する。前提C1では、一例として、各映像表示装置100は、図9のように配置されている。また、前提C1では、対象装置PDが映像表示装置100−1である。また、前提C1では、マスター装置の位置が左上端部LTであるとする。
上記の前提C1では、行列MXの1列目は、図9の構成に対応する行列MXの左端の列である。すなわち、行列MXの1列目は、映像表示装置100−1,100−2等に対応する列である。また、対象装置PDの対応列は、行列MXの1列目である。また、前提C1に対応する行列MXの奇数列は、例えば、映像表示装置100−1,100−7等に対応する列である。また、前提C1に対応する行列MXの偶数列は、例えば、映像表示装置100−6,100−12等に対応する列である。したがって、前提C1では、対象装置PDの対応列は、奇数列である。
また、以下の前提C2を考慮する。前提C2では、12台の映像表示装置100が、図7のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提C2では、対象装置PDが映像表示装置100−1である。また、前提C2では、マスター装置の位置が右上端部RTである。
上記の前提C2では、行列MXの1列目は、図7の構成に対応する行列MXの右端の列である。また、対象装置PDの対応列は、行列MXの1列目である。また、前提C2に対応する行列MXの奇数列は、例えば、マスター装置に対応する列、左上端部LTに配置された映像表示装置100とX方向に隣接する映像表示装置100に対応する列等である。また、前提C2に対応する行列MXの偶数列は、例えば、マスター装置と−X方向に隣接する映像表示装置100に対応する列、左上端部LTに配置された映像表示装置100に対応する列等である。したがって、前提C2では、対象装置PDの対応列は、奇数列である。
ステップS222Bにおいて、対応列が奇数列および偶数列のいずれであるかは、例えば、以下の方法により算出される。具体的には、算出部21(制御部20)が、カウンタCTの最新の値と、記憶部32に記憶されている垂直数Vmとを用いて、対応列が奇数列および偶数列のいずれであるかを判定する。
まず、CT/Vmで得られる値の整数部を、「判定値T」と定義する。当該Vmは、垂直数Vmである。ここで、一例として、CTが0であり、Vmが3であるとする。この場合、判定値Tは0である。また、他の例として、CTが5であり、Vmが3であるとする。この場合、判定値Tは、5/3=1.67より、1である。すなわち、判定値Tは、1.67の整数部1である。
また、判定値T/2で表現される式の剰余を、「列判定値Ta」と定義する。ここで、一例として、判定値Tが0であるとする。この場合、列判定値Taは、0/2より、0である。すなわち、列判定値Taは、0/2という割り算の余りに相当する0である。また、他の例として、判定値Tが1であるとする。この場合、列判定値Taは、1/2より、1である。すなわち、列判定値Taは、1/2という割り算の余りに相当する1である。また、他の例として、判定値Tが2であるとする。この場合、列判定値Taは、2/2より、0である。すなわち、列判定値Taは、2/2という割り算の余りに相当する0である。
列判定値Taが0である場合、算出部21は、対象装置PDの対応列が奇数列であると判定する。この場合、処理はステップS223Cへ移行する。列判定値Taが1である場合、算出部21は、対象装置PDの対応列が偶数列であると判定する。この場合、処理はステップS223Dへ移行する。
ステップS223Cでは、ステップS225Aと同じ処理が行われるので詳細な説明は行わない。垂直隣接方向が+V方向である場合、処理はステップS224Eへ移行する。一方、垂直隣接方向が−V方向である場合、処理はステップS224Fへ移行する。
以下においては、CT/Vmで表現される式の剰余を、「MC」と定義する。ここで、一例として、CTが0であり、Vmが3であるとする。この場合、MCは、0/3より、0である。すなわち、MCは、0/3という割り算の余りに相当する0である。また、他の例として、CTが5であり、Hmが4であるとする。この場合、MCは、5/4より、1である。すなわち、MCは、5/4という割り算の余りに相当する1である。
ステップS224Eでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V3を行う。算出処理V3では、算出部21が、座標VLを、以下の式(5)により算出する。
ステップS224Fでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V4を行う。算出処理V4では、算出部21が、座標VLを、以下の式(6)により算出する。
なお、前述のステップS222Bにおいて、対応列が偶数列である場合、処理はステップS223Dへ移行する。
ステップS223Dでは、ステップS225Aと同じ処理が行われるので詳細な説明は行わない。垂直隣接方向が+V方向である場合、処理はステップS224Gへ移行する。一方、垂直隣接方向が−V方向である場合、処理はステップS224Hへ移行する。
ステップS224Gでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V5を行う。算出処理V5では、算出部21が、座標VLを、前述の式(6)により算出する。
ステップS224Hでは、算出部21が、座標VLを算出するための算出処理V6を行う。算出処理V6では、算出部21が、座標VLを、前述の式(5)により算出する。
ステップS225Bでは、前述のステップS223Aと同じ処理が行われるので詳細な説明は行わない。水平隣接方向が+H方向である場合、処理はステップS226Cへ移行する。一方、水平隣接方向が−H方向である場合、処理はステップS226Dへ移行する。
以下においては、前述の判定値Tを、「MD」ともいう。当該判定値Tは、CT/Vmで得られる値の整数部である。
ステップS226Cでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H5を行う。算出処理H5では、算出部21が、座標HLを、以下の式(7)により算出する。
ステップS226Dでは、算出部21が、座標HLを算出するための算出処理H6を行う。算出処理H6では、算出部21が、座標HLを、以下の式(8)により算出する。
以上により、ケーブル接続構成が垂直接続構成である場合における、対象装置PDの座標P(HL,VL)が算出される。
ここで、以下の前提D1におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提D1では、CTは0である。前提D1では、12台の映像表示装置100が、図9のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提D1では、マスター装置の位置が左上端部LTである。したがって、図13(a)のように、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。また、前提D1では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。また、前提D1では、ケーブル接続構成が垂直接続構成である。
上記の前提D1の場合、ステップS221の処理の後、ステップS222Bの処理が行われる。上記の前提D1により、CT/Vmで得られる値の整数部である判定値Tは、0である。したがって、判定値T/2で表現される式の剰余である列判定値Taは、0である。列判定値Taが0であるため、ステップS222Bでは、算出部21は、マスター装置の対応列が奇数列であると判定する。
そして、前提D1において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS223Cの処理の後、ステップS224Eの処理が行われる。なお、CT/Vmで表現される式の剰余MCは0である。そのため、算出処理V3の式(5)に前提D1における値(MC=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標VLは1と算出される。
また、前提D1において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS226Cの処理が行われる。なお、CT/Vmで得られる値の整数部であるMDは、0である。そのため、算出処理H5の式(7)に前提D1における値(MD=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標HLは1と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(1,1)と算出される。
次に、他の例として、前提D2におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提D2は、前提D1と比較して、マスター装置の位置が左上端部LTであることの代わりに、マスター装置の位置が右上端部RTである点のみが異なるとする。なお、前提D2のそれ以外の点は、前提D1と同じである。前提D2では、水平隣接方向は−H方向である。
この前提D2の場合、ステップS221,S222B,S223C,S224E,S225B,S226Dの順で、前述の前提D1の場合と同様に処理が行われる。なお、CT/Vmで得られる値の整数部MDは0である。そのため、算出処理H6の式(8)に前提D2における各値(Hm=4,MD=0)を代入した式、すなわち、4−0=4より、座標HLは4と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(4,1)と算出される。
次に、他の例として、前提D3におけるマスター装置の座標P(HL,VL)の算出手順について説明する。前提D3は、前提D1と比較して、マスター装置の位置が左上端部LTであることの代わりに、マスター装置の位置が左下端部LBである点のみが異なるとする。なお、前提D3のそれ以外の点は、前提D1と同じである。前提D3では、垂直隣接方向は−V方向である。
この前提D3の場合、ステップS221,S222B,S223C,S224Fの順で、前述の前提D1の場合と同様に処理が行われる。なお、CT/Vmで表現される式の剰余MCは0である。そのため、算出処理V4の式(6)に前提D3における各値(Vm=3,MC=0)を代入した式、すなわち、3−0=3より、座標VLは3と算出される。
その後、上記前提D1の処理と同様に、ステップS225B,S226Cが行われることにより、座標HLは1と算出される。以上により、マスター装置の座標は、座標P(1,3)と算出される。
以上のように、座標算出処理では、算出部21が、式(1)〜式(8)のうちの2つの式を利用して、マスター装置が配置される位置に基づいて、座標Pを算出する。座標算出処理が終了すると、処理は、図11の識別情報設定対応処理BMに戻り、ステップS230の処理が行われる。
ステップS230では、識別情報算出処理BMが行われる。識別情報算出処理BMでは、要約すれば、算出部21が、識別情報である識別番号iを、識別用設定規則に基づいて算出する。
図14は、識別情報算出処理BMのフローチャートである。以下においては、識別情報算出処理BMにおいて、識別情報である識別番号iの算出の対象となる映像表示装置100を、「対象装置BD」ともいう。識別情報算出処理BMでは、まず、ステップS231の処理が行われる。
ステップS231では、識別用設定規則の種類が判定される。具体的には、算出部21が、識別用設定規則が、水平設定規則および垂直設定規則のいずれであるか判定する。さらに具体的には、算出部21(制御部20)は、記憶部32に記憶されている識別用設定規則情報Rが、水平設定規則および垂直設定規則のいずれを特定する情報であるか判定する。
識別用設定規則が水平設定規則である場合、すなわち、識別用設定規則情報Rが水平設定規則を特定する情報である場合、処理はステップS232Aへ移行する。一方、識別用設定規則が垂直設定規則である場合、すなわち、識別用設定規則情報Rが垂直設定規則を特定する情報である場合、処理はステップS232Bへ移行する。
ステップS232Aでは、識別番号iを算出するための算出処理B1が行われる。算出処理B1では、算出部21が、算出された座標P(HL,VL)と、水平数Hmおよび垂直数Vmとを用いて、識別番号iを、以下の式(9)により算出する。
ステップS232Bでは、識別番号iを算出するための算出処理B2が行われる。算出処理B2では、算出部21が、算出された座標P(HL,VL)を用いて、識別番号iを、以下の式(10)により算出する。
以上により、識別番号iが算出される。
ここで、以下の前提E1におけるマスター装置の識別番号iの算出手順について説明する。前提E1では、12台の映像表示装置100が、図2のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。前提E1では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。前提E1では、マスター装置の位置が左上端部LTである。前提E1では、マスター装置の座標は、(1,1)である。前提E1では、識別用設定規則が水平設定規則である。
上記の前提E1の場合、ステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提E1における各値(HL=1,VL=1,Hm=4)を代入した式、すなわち、1+(1−1)×4=1により、識別番号iを、1として算出する。
次に、他の例として、前提E2におけるマスター装置の識別番号iの算出手順について説明する。前提E2は、前提E1と比較して、識別用設定規則が垂直設定規則である点のみが異なるとする。なお、前提E2のそれ以外の点は、前提E1と同じである。
この前提E2の場合、ステップS231,S232Bの順で処理が行われる。ステップS232Bの算出処理B2では、算出部21が、式(10)に前提E2における各値(HL=1,Vm=3,VL=1)を代入した式、すなわち、(1−1)×3+1=1により、識別番号iを、1として算出する。
以上のように、識別情報算出処理BMでは、算出部21が、式(9)および式(10)のいずれかを利用して、識別用設定規則に基づいて、識別情報である識別番号iを算出する。識別情報算出処理BMが終了すると、処理は、図11の識別情報設定対応処理BMに戻り、ステップS241の処理が行われる。
ステップS241では、識別情報設定処理BMが行われる。識別情報設定処理BMでは、制御部20の設定部22が、座標Pが算出された映像表示装置(マスター装置)の識別番号iを当該映像表示装置(マスター装置)に設定するための処理を行う。具体的には、設定部22は、識別情報算出処理BMで算出された識別番号iを、記憶部32に記憶させる。これにより、マスター装置に識別番号iが設定される。
ステップS242では、座標設定処理PMが行われる。座標設定処理PMでは、設定部22が、座標Pが算出された映像表示装置(マスター装置)の座標Pを当該映像表示装置(マスター装置)に設定するための処理を行う。具体的には、設定部22は、座標算出処理で算出された、マスター装置の座標Pを、記憶部32に記憶させる。これにより、マスター装置に座標Pが設定される。
ステップS243では、算出部21(制御部20)が、カウンタCTの値を1インクリメントする。これにより、カウンタCTの値は、1になる。
ステップS244では、制御部20が、識別用設定実行指示Bを、全てのスレーブ装置に対して送信する。識別用設定実行指示Bとは、スレーブ装置に、識別情報である識別番号iを設定させるための指示である。言い換えれば、識別用設定実行指示Bは、スレーブ装置に、識別番号iを設定するための処理(以下、「識別情報設定対応処理BS」ともいう)を実行させるための指示である。また、識別用設定実行指示Bは、スレーブ装置の動作モードを、識別用設定モードに移行させるための指示でもある。
具体的には、マスター装置の制御部20が、送信先が全てのスレーブ装置に設定された識別用設定実行指示Bを、伝達順序が2番目であるスレーブ装置(映像表示装置100−2)へ送信する。識別用設定実行指示Bには、識別番号iが示される。なお、当該識別番号iの値は、一例として、9999が設定される。これにより、前述の伝達順序に従って、識別用設定実行指示Bが、通信経路SKを介して、全てのスレーブ装置へ送信される。
その結果、各スレーブ装置では、制御部20が、識別用設定実行指示Bを受信する。具体的には、通信処理部33が、前隣接の映像表示装置100(マスター装置またはスレーブ装置)から、入力端子35aを介して、識別用設定実行指示Bを受信する。通信処理部33は、受信した識別用設定実行指示Bを、制御部20および出力端子35bへ送信する。これにより、制御部20は、識別用設定実行指示Bを受信する。
なお、識別用設定実行指示Bが示す識別番号iの値は、9999に限定されず、識別番号iに実際に設定可能な最大値(例えば、100)より大きな数であればよい。
各スレーブ装置の制御部20は、識別用設定実行指示Bの受信に従い、識別情報設定対応処理BSを実行する。図15は、識別情報設定対応処理BSのフローチャートである。識別情報設定対応処理BSでは、まず、ステップS311の処理が行われる。
ステップS311では、識別番号iが9999に設定される。具体的には、制御部20が、受信した識別用設定実行指示Bが示す識別番号i(9999)を、記憶部32に記憶させる。
ステップS312では、設定モード移行処理が行われる。設定モード移行処理では、制御部20は、識別用設定実行指示Bに従い、スレーブ装置の動作モードを、前述の通常モードから識別用設定モードに移行させる。
ステップS313では、通信状態切替処理STが行われる。通信状態切替処理STでは、御部20は、通信処理部33の状態を、上流方向転送停止状態に設定する。前述したように、上流方向転送停止状態の通信処理部33は、出力端子35bが受信したデータを、制御部20のみへ送信し、入力端子35aへ送信しない。また、上流方向転送停止状態の通信処理部33は、入力端子35aが受信したデータ(信号)を、出力端子35bへ送信(転送)する。
マスター装置では、ステップS244の処理の後、ステップS245が行われる。以下においては、識別番号iが9999に設定されているスレーブ装置を、「対象スレーブ装置」ともいう。
ステップS245では、制御部20が、個別情報を要求するための個別情報要求指示を、各対象スレーブ装置に対し送信する。個別情報とは、各スレーブ装置を識別するための情報である。個別情報は、例えば、シリアル番号、MACアドレス等である。なお、各スレーブ装置には、予め、異なる個別情報が設定されている。
これにより、前述の伝達順序に従って、個別情報要求指示が、全ての対象スレーブ装置へ送信される。
対象スレーブ装置が個別情報要求指示を受信すると、当該対象スレーブ装置はステップS321の処理を行う。
ステップS321では、個別情報送信処理が行われる。個別情報送信処理では、制御部20が、通信処理部33および入力端子35aと前述の通信経路SKとを介して、自装置(スレーブ装置)の個別情報がマスター装置に向かうように、当該個別情報を、通信処理部33へ送信する。個別情報の送信先は、マスター装置に設定されている。
しかしながら、前述の通信状態切替処理STにより、通信処理部33の状態は、上流方向転送停止状態に設定されている。そのため、上流方向転送停止状態の通信処理部33は、出力端子35bが受信した個別情報を、入力端子35aへ送信しない。したがって、個別情報送信処理が初めて行われる場合、マスター装置は、映像表示装置100−2のみから、映像表示装置100−2の個別情報を受信する。
以下においては、マスター装置が受信した個別情報に対応するスレーブ装置を、「応答スレーブ装置」ともいう。例えば、個別情報送信処理が初めて行われる場合、応答スレーブ装置は、映像表示装置100−2のみである。
マスター装置は、個別情報を受信すると、ステップS260の処理を行う。ステップS260では、図12の座標算出処理が行われる。当該座標算出処理により、応答スレーブ装置の座標Pが算出される。なお、応答スレーブ装置の座標Pの算出の例については、後述する。
ステップS270では、図14の識別情報算出処理BMが行われる。当該識別情報算出処理BMにより、応答スレーブ装置の識別番号iが算出される。応答スレーブ装置の識別番号iの算出の例については、後述する。
ステップS281では、情報設定制御処理BPが行われる。情報設定制御処理BPは、設定部22が、座標Pが算出された映像表示装置(応答スレーブ装置)の識別番号iを当該映像表示装置に設定するための処理である。また、情報設定制御処理BPは、設定部22が、座標Pが算出された映像表示装置(応答スレーブ装置)の座標Pを当該映像表示装置(応答スレーブ装置)に設定するための処理でもある。
具体的には、情報設定制御処理BPでは、設定部22が、情報設定指示を、応答スレーブ装置へ送信する。当該情報設定指示とは、算出された応答スレーブ装置の識別番号iおよび座標Pを、応答スレーブ装置に設定するための指示である。なお、情報設定指示は、当該応答スレーブ装置の識別番号iおよび座標Pが示される。また、情報設定指示には、さらに、マスター装置が受信した、応答スレーブ装置の個別情報も示される。
応答スレーブ装置では、ステップS331において、制御部20が、情報設定指示を受信する。
ステップS332では、制御部20が、自装置(応答スレーブ装置)の個別情報と、受信した情報設定指示が示す個別情報が一致するか否かを判定する。ステップS332においてYESならば処理はステップS333へ移行する。一方、ステップS332においてNOならば処理はステップS334Bへ移行する。
ステップS333では、情報設定処理BPが行われる。情報設定処理BPでは、設定部22が、受信した情報設定指示が示す識別番号iを、自装置(応答スレーブ装置)に対して設定する。具体的には、設定部22は、記憶部32に記憶されている識別番号iの値(9999)を、情報設定指示が示す識別番号iの値に変更する。
また、設定部22が、受信した情報設定指示が示す座標Pを、自装置(応答スレーブ装置)に対して設定する。具体的には、設定部22は、情報設定指示が示す座標Pを、記憶部32に記憶させる。
ステップS334Aでは、制御部20(設定部22)が、完了通知を、マスター装置へ送信する。完了通知とは、識別番号および座標の設定が完了した旨の通知である。
ステップS335では、通常モード移行処理が行われる。通常モード移行処理では、制御部20が、映像表示装置100の動作モードを、識別用設定モードから通常モードに移行させる。これに伴い、制御部20は、通信処理部33の状態を、通常状態に設定する。すなわち、通信処理部33の上流方向転送停止状態が解除される。
なお、前述したように、通常状態の通信処理部33は、出力端子35bが受信したデータを、入力端子35aへ送信(転送)する。また、前述したように、通常状態の通信処理部33は、入力端子35aまたは出力端子35bが受信したデータを、制御部20へ送信する。また、前述したように、通常状態の通信処理部33は、制御部20から受信するデータ(信号)を、当該データの宛先に従って、入力端子35aまたは出力端子35bへ送信する。
以上の通常モード移行処理により、映像表示装置100−2は、出力端子35bが受信したデータを、入力端子35aへ送信(転送)するようになる。当該入力端子35aへ送信されるデータは、当該スレーブ装置の前隣接の映像表示装置100(マスター装置)へ送信される。そして、この識別情報設定対応処理BSは終了する。
なお、ステップS332でNOの場合、処理はステップS334Bへ移行する。ステップS334Bでは、制御部20(設定部22)が、エラー通知を、マスター装置へ送信する。
マスター装置は、上記の処理により、完了通知またはエラー通知を受信すると、ステップS282の処理を行う。
ステップS282では、制御部20が、受信した通知の種類を判定する。制御部20が完了通知を受信した場合、処理はステップS291へ移行する。一方、制御部20がエラー通知を受信した場合、この識別情報設定対応処理BMは終了する。
以下においては、マルチ画面表示装置1000を構成する映像表示装置100の数を、「構成数C」または「C」ともいう。当該Cは、自然数である。マルチ画面表示装置1000が、例えば、図2の構成である場合、構成数Cは、12である。
ステップS291では、制御部20が、カウンタCTの値が、C−1の式により得られる値以上であるか否かを判定する。構成数Cは、水平数Hm×垂直数Vmの式により算出される。
ステップS291においてYESならば、この識別情報設定対応処理BMは終了する。なお、ステップS291においてYESの場合、マルチ画面表示装置1000を構成する全ての映像表示装置100に対し、座標Pおよび識別番号iの設定が完了している。一方、ステップS291においてNOならば処理はステップS292へ移行する。
ステップS292では、算出部21が、カウンタCTの値を1インクリメントする。そして、再度、ステップS245の処理が行われる。
以上の識別情報設定対応処理BMにより、制御部20がエラー通知を受信しない状況、および、カウンタCTの値がC−1未満である状況が続く場合、ステップS245〜S292の処理が繰り返し行われる。これにより、ステップS281が繰り返し行われる。ステップS281が繰り返し行われることにより、設定部22は、座標Pが算出された各映像表示装置(応答スレーブ装置)の識別番号iを当該映像表示装置に設定するための処理を行う。また、ステップS281が繰り返し行われることにより、設定部22は、座標Pが算出された各映像表示装置(応答スレーブ装置)の座標Pを当該映像表示装置(応答スレーブ装置)に設定するための処理を行う。
なお、ステップS245〜S292の処理が行われる毎に、対象スレーブ装置の数は減少する。例えば、1回目のステップS245〜S292の処理が終了した時点における対象スレーブ装置は、映像表示装置100−3,100−4,100−5,100−6,100−7,100−8,100−9,100−10,100−11,100−12である。
また、ステップS245〜S292の処理が行われる毎に、以下の処理Aが行われる。処理Aでは、ステップS245により、個別情報要求指示が各対象スレーブ装置に対し送信される。また、処理Aでは、対象スレーブ装置が個別情報要求指示を受信すると、当該対象スレーブ装置はステップS321の処理を行う。
例えば、2回目のステップS245の処理が行われた場合、マスター装置は、映像表示装置100−3のみから、映像表示装置100−3の個別情報を受信する。この場合、応答スレーブ装置は、映像表示装置100−3のみである。また、この場合、映像表示装置100−3の座標Pおよび識別番号iを算出するために使用されるカウンタCTの値は、2である。
すなわち、上記の識別情報設定対応処理BMにより、マスター装置は、カウンタCTの値をインクリメントしながら、伝達順序にしたがって、各スレーブ装置に対し、座標Pおよび識別番号iを設定していく。
CT=C−1が満たされる場合(S291でYES)、マスター装置は、前述の終端映像表示装置まで、識別番号iの設定が完了したと判断し、識別情報設定対応処理BMは終了する。
次に、スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。以下においては、座標Pおよび識別番号iの算出対象となるスレーブ装置を、「算出対象スレーブ装置」ともいう。まず、以下の前提F1における算出対象スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。
前提F1では、12台の映像表示装置100が、図2のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提F1では、算出対象スレーブ装置は、映像表示装置100−6である。また、前提F1では、CTは5である。また、前提F1では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。また、前提F1では、マスター装置の位置が左上端部LTである。したがって、図13(a)のように、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。また、前提F1では、ケーブル接続構成が水平接続構成である。また、前提F1では、識別用設定規則が水平設定規則である。
上記の前提F1において、まず、座標Pの算出手順について説明する。前提F1では、図12において、ステップS221の処理の後、ステップS222Aの処理が行われる。
ステップS222Aでは、上記の前提F1において、CT/Hmで得られる値の整数部である判定値Sは、5/4=1.25より、1である。したがって、判定値S/2で表現される式の剰余である行判定値Saは、1/2より、1である。行判定値Saが1であるため、算出部21は、算出対象スレーブ装置の対応行が偶数行であると判定する。
そのため、処理はステップS223Bへ移行する。そして、前提F1において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS223Bの処理の後、ステップS224Cの処理が行われる。なお、CT/Hmで表現される式の剰余MAは、5/4より、1である。そのため、算出処理H3の式(2)に前提F1における各値(Hm=4,MA=1)を代入した式、すなわち、4−1=3より、座標HLは3と算出される。
また、前提F1において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS226Aの処理が行われる。なお、CT/Hmで得られる値の整数部であるMBは、5/4=1.25より、1である。そのため、算出処理V1の式(3)に前提F1における値(MB=1)を代入した式、すなわち、1+1=2より、座標VLは2と算出される。以上により、前提F1において、スレーブ装置である映像表示装置100−6の座標は、座標P(3,2)と算出される。
次に、前提F1における識別番号iの算出手順について説明する。前提F1では、識別用設定規則が水平設定規則であるため、図14のステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提F1における各値(HL=3,VL=2,Hm=4)を代入した式、すなわち、3+(2−1)×4=7により、識別番号iを、7として算出する。
次に、他の例として、前提F2における算出対象スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。前提F2は、前提F1と比較して、マスター装置の位置が左上端部LTであることの代わりに、マスター装置の位置が右上端部RTである点のみが異なるとする。なお、前提F2のそれ以外の点は、前提F1と同じである。前提F2では、水平隣接方向は−H方向である。
この前提F2の場合、図12において、ステップS221,S222A,S223B,S224Dの順で、前述の前提F1の場合と同様に処理が行われる。なお、CT/Hmで表現される式の剰余MAは1である。そのため、算出処理H4の式(1)に前提F2における値(MA=1)を代入した式、すなわち、1+1=2より、座標HLは2と算出される。
その後、上記前提F1の処理と同様に、ステップS225A,S226Aが行われることにより、座標VLは2と算出される。以上により、前提F2において、スレーブ装置である映像表示装置100−6の座標は、座標P(2,2)と算出される。
次に、前提F2における識別番号iの算出手順について説明する。前提F2では、識別用設定規則が水平設定規則であるため、図14のステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提F1における各値(HL=2,VL=2,Hm=4)を代入した式、すなわち、2+(2−1)×4=6により、識別番号iを、6として算出する。
次に、他の例として、前提F3における算出対象スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。前提F3は、前提F1と比較して、算出対象スレーブ装置が映像表示装置100−9である点のみが異なるとする。なお、前提F3のそれ以外の点は、前提F1と同じである。前提F3では、CTは8である。
この前提F3の場合、図12において、ステップS221の処理の後、ステップS222Aの処理が行われる。
ステップS222Aでは、上記の前提F3において、CT/Hmで得られる値の整数部である判定値Sは、8/4=2より、2である。したがって、判定値S/2で表現される式の剰余である行判定値Saは、2/2より、0である。行判定値Saが0であるため、算出部21は、算出対象スレーブ装置の対応行が奇数行であると判定する。
そのため、処理はステップS223Aへ移行する。そして、前提F3において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS223Aの処理の後、ステップS224Aの処理が行われる。なお、CT/Hmで表現される式の剰余MAは、8/4より、0である。そのため、算出処理H1の式(1)に前提F3おける値(MA=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標HLは1と算出される。
また、前提F3において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS226Aの処理が行われる。なお、CT/Hmで得られる値の整数部であるMBは、8/4=2より、2である。そのため、算出処理V1の式(3)に前提F3おける値(MB=2)を代入した式、すなわち、2+1=3より、座標VLは3と算出される。以上により、前提F3において、スレーブ装置である映像表示装置100−9の座標は、座標P(1,3)と算出される。
次に、前提F3における識別番号iの算出手順について説明する。前提F3では、識別用設定規則が水平設定規則であるため、図14のステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提F3における各値(HL=1,VL=3,Hm=4)を代入した式、すなわち、1+(3−1)×4=9により、識別番号iを、9として算出する。
次に、他の例として、前提F4における算出対象スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。
前提F4では、12台の映像表示装置100が、図9のように行列MXとしての3行4列の行列状に配置されている。また、前提F4では、算出対象スレーブ装置は、映像表示装置100−10である。また、前提F4では、CTは9である。また、前提F4では、水平数Hmは4であり、垂直数Vmは3である。また、前提F4では、マスター装置の位置が左上端部LTである。したがって、図13(a)のように、水平隣接方向は+H方向であり、垂直隣接方向は+V方向である。また、前提F4では、ケーブル接続構成が垂直接続構成である。また、前提F4では、識別用設定規則が水平設定規則である。
この前提F4の場合、図12において、ステップS221の処理の後、ステップS222Bの処理が行われる。
ステップS222Bでは、上記の前提F4において、CT/Vmで得られる値の整数部である判定値Tは、9/3=3より、3である。したがって、判定値T/2で表現される式の剰余である列判定値Taは、3/2より、1である。列判定値Taが1であるため、算出部21は、算出対象スレーブ装置の対応列が偶数列であると判定する。
そのため、処理はステップS223Dへ移行する。そして、前提F4において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS223Dの処理の後、ステップS224Gの処理が行われる。なお、CT/Vmで表現される式の剰余MCは、9/3より、0である。そのため、算出処理V5の式(6)に前提F4における各値(Vm=3,MC=0)を代入した式、すなわち、3−0=3より、座標VLは3と算出される。
また、前提F4において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS226Cの処理が行われる。なお、CT/Vmで得られる値の整数部であるMDは、9/3=3より、3である。そのため、算出処理H5の式(7)に前提F4における値(MD=3)を代入した式、すなわち、3+1=4より、座標HLは4と算出される。以上により、前提F4において、スレーブ装置である映像表示装置100−10の座標は、座標P(4,3)と算出される。
次に、前提F4における識別番号iの算出手順について説明する。前提F4では、識別用設定規則が水平設定規則であるため、図14のステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提F4における各値(HL=4,VL=3,Hm=4)を代入した式、すなわち、4+(3−1)×4=12により、識別番号iを、12として算出する。
次に、他の例として、前提F5における算出対象スレーブ装置の座標Pおよび識別番号iの算出手順について説明する。前提F5は、前提F4と比較して、算出対象スレーブ装置が映像表示装置100−7である点のみが異なるとする。なお、前提F5のそれ以外の点は、前提F4と同じである。前提F5では、CTは6である。
この前提F5の場合、図12において、ステップS221の処理の後、ステップS222Bの処理が行われる。
ステップS222Bでは、上記の前提F5において、CT/Vmで得られる値の整数部である判定値Tは、6/3=2より、2である。したがって、判定値T/2で表現される式の剰余である列判定値Taは、2/2より、0である。列判定値Taが0であるため、算出部21は、算出対象スレーブ装置の対応列が奇数列であると判定する。
そのため、処理はステップS223Cへ移行する。そして、前提F5において垂直隣接方向は+V方向であるため、ステップS223Cの処理の後、ステップS224Eの処理が行われる。なお、CT/Vmで表現される式の剰余MCは、6/3より、0である。そのため、算出処理V3の式(5)に前提F5における値(MC=0)を代入した式、すなわち、0+1=1より、座標VLは1と算出される。
また、前提F5において水平隣接方向は+H方向であるため、ステップS226Cの処理が行われる。なお、CT/Vmで得られる値の整数部であるMDは、6/3=2より、2である。そのため、算出処理H5の式(7)に前提F5における値(MD=2)を代入した式、すなわち、2+1=3より、座標HLは3と算出される。以上により、前提F5において、スレーブ装置である映像表示装置100−7の座標は、座標P(3,1)と算出される。
次に、前提F5における識別番号iの算出手順について説明する。前提F5では、識別用設定規則が水平設定規則であるため、図14のステップS231,S232Aの順で処理が行われる。ステップS232Aの算出処理B1では、算出部21が、式(9)に前提F4における各値(HL=3,VL=1,Hm=4)を代入した式、すなわち、3+(1−1)×4=3により、識別番号iを、3として算出する。
なお、前述したように、前提D1におけるマスター装置の座標Pは、(1,1)と算出される。前提D1では、マスター装置の位置が左上端部LTである。また、前提D1では、ケーブル接続構成が垂直接続構成である。また、前述したように、前提E1におけるマスター装置の識別番号iは、1として算出される。
また、前提F4における算出対象スレーブ装置を、映像表示装置100−2,100−3,100−4,100−5,100−6,100−8,100−9,100−11,100−12のいずれかとして、座標Pおよび識別番号iが算出されたとする。そして、これにより算出された各映像表示装置100の座標Pおよび識別番号iと、上記の前提F4,前提F5により得られた、映像表示装置100−7,100−10の座標Pおよび識別番号i、映像表示装置100−1の座標Pおよび識別番号iが、図11および図15の処理により、対応する各映像表示装置100に設定されたとする。
この場合、各映像表示装置100の識別番号iおよび座標Pは、図16に示されるようになる。図16では、各映像表示装置100の画面10に、当該映像表示装置100に設定された識別番号iおよび座標Pを表示した状態を示す。
以上説明したように、本実施の形態によれば、伝達順序が1番目であるマスター装置(基準映像表示装置)の算出部21は、配置情報KJと当該伝達順序とに基づいて、マルチ画面10Aにおける、複数の映像表示装置100の座標Pを算出する。また、算出部21は、識別番号iを、識別用設定規則Bに基づいて算出する。設定部22は、座標Pが算出された各映像表示装置100の識別番号iを当該映像表示装置100に設定するための処理を行う。
これにより、例えば、映像表示装置100の座標Pを算出するために、従来のような撮像装置等を別途設ける必要はない。そのため、単純な構成で映像表示装置100の座標Pを算出することができる。したがって、映像表示装置100の座標Pおよび識別番号iを容易に算出することができる。また、前述のように、設定部22は、座標Pが算出された各映像表示装置100の識別番号iを当該映像表示装置100に設定するための処理を行う。これにより、単純な構成で映像表示装置100に識別番号iを設定することができる。
また、本実施の形態によれば、従来のような撮像装置等の特殊な装置を使用することなく、各映像表示装置100の座標Pおよび識別番号iを容易に算出することができる。また、算出された座標Pおよび識別番号iを容易に設定することができる。
また、本実施の形態によれば、マスター装置は、マルチ画面10Aの4つの角部のいずれかに配置される。マスター装置の算出部21は、マスター装置が配置される位置に基づいて、座標Pを算出する。少し具体的には、マスター装置は、ケーブル接続構成と、伝達順序と、水平数Hmおよび垂直数Vmとに基づいて、座標Pを容易に算出することができる。すなわち、マスター装置が、マルチ画面10Aの4つの角部のいずれかに配置されても、座標Pを容易に算出することができる。
また、本実施の形態によれば、各映像表示装置に対し、水平ラスタースキャンまたは垂直ラスタースキャンに従った順序で、識別番号iを設定することができる。すなわち、行列状に配置され、かつ、デイジーチェーン接続された各映像表示装置100は、デイジーチェーン接続に従った伝達順序ではなく、作業者(人)が識別番号iを認識しやすいように定められた識別用設定規則に基づいて、当該映像表示装置100に対し識別番号iを容易に設定することができる。
また、本実施の形態によれば、マスター装置の算出部21が算出した座標Pおよび識別番号iを、各スレーブ装置に対して設定する。そのため、作業者が、各映像表示装置に対して、座標Pおよび識別番号iを手動で設定する必要がない。
また、本実施の形態によれば、マスター装置は、座標Pおよび識別番号iを自動で算出するとともに、算出した座標Pおよび識別番号iを、デイジーチェーン接続された各映像表示装置100に対し自動で設定することができる。
なお、従来では、マルチ画面表示装置が初めて設置される場合、当該マルチ画面表示装置を構成する全ての映像表示装置の座標および識別番号は、工場出荷時の状態、すなわち、同一である。この場合、映像表示装置の識別番号も同一であるため、外部のPC等から座標等を設定することもできない。そのため、作業者が、各映像表示装置毎に、座標および識別番号を設定する必要があった。
一方、本実施の形態によれば、作業者が、外部制御装置5を用いて、マスター装置のみに対して初期設定を行うことにより、マルチ画面表示装置1000を構成する各映像表示装置100に対し座標および識別番号iが自動的に設定される。そのため、マルチ画面表示装置1000の設置時の調整時間を大幅に短縮することができる。
なお、従来では、デイジーチェーン接続に基づいた前述の伝達順序で、各映像表示装置に識別番号が設定される。そのため、水平ラスタースキャンまたは垂直ラスタースキャンに従った順序で、識別番号は並ばない。
一方、本実施の形態によれば、水平ラスタースキャンまたは垂直ラスタースキャンに従った順序で、各映像表示装置100に識別番号iが自動的に設定される。そのため、マルチ画面表示装置1000が制御される際において、識別番号iと映像表示装置100の座標Pとの対応関係をわかりやすくすることができる。その結果、マルチ画面表示装置1000の調整および運用において制御ミス等を防止することもできる。
また、本実施の形態によれば、マスター装置は、マルチ画面10Aの4つの角部のいずれかに配置されても、一意に、映像表示装置100の座標Pおよび識別番号iを設定することができる。そのため、マルチ画面表示装置1000において、必ずしも、左上端部の映像表示装置100を、マスター装置として設定する必要がない。すなわち、外部制御装置5に一番近い映像表示装置100をマスター装置に設定することが可能である。
なお、従来では、各映像表示装置が、シリアルケーブルで、デイジーチェーン接続された構成において、識別番号を設定する場合、デイジーチェーン接続に基づく伝達順序に従って、識別番号が設定される。また、関連技術Bでは、映像表示装置が行列状に配置されて構成されるマルチ画面表示装置において、当該映像表示装置の位置を検出するためには、カメラなどの撮像装置を使用する必要があり、コストが高くなるという問題点がある。
そこで、本実施の形態は上記のように構成されるため、上記の各問題点を解決することができる。
(その他の変形例)
以上、本発明に係るマルチ画面表示装置(映像表示装置)について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を本実施の形態に施したものも、本発明に含まれる。つまり、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、映像表示装置100は、図4に示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、映像表示装置100は、本発明の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。例えば、制御部20が、通信処理部33が行う処理も行うようにすれば、映像表示装置100は、通信処理部33を備えなくてもよい。
また、本発明は、映像表示装置100が備える特徴的な構成部の動作をステップとする識別番号設定方法として実現してもよい。また、本発明は、当該識別番号設定方法に含まれる各ステップをコンピュータが実行してもよい。また、本発明は、そのような識別番号設定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。また、本発明は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。
また、本発明に係る識別番号設定方法は、図11の識別情報設定対応処理BMに相当する。識別番号設定方法における各処理の実行される順序は、本発明を具体的に説明するための一例であり、上記以外の順序であってもよい。また、識別番号設定方法における処理の一部と、他の処理とは、互いに独立して並列に実行されてもよい。
上記実施の形態で用いた全ての数値は、本発明を具体的に説明するための一例の数値である。すなわち、本発明は、上記実施の形態で用いた各数値に制限されない。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、実施の形態1では、各映像表示装置100に対し、識別番号iおよび座標Pの両方を設定する構成としていたがこれに限定されない。例えば、各映像表示装置100に対し、識別番号iのみを設定する構成としてもよい。