JP2016045154A - 原子炉開削システムおよび原子炉開削方法 - Google Patents

原子炉開削システムおよび原子炉開削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉に堆積した燃料デブリを破砕して回収するにあたって原子炉を安全に開削する原子炉開削システムを提供する。
【解決手段】原子炉2の上部に放射線遮蔽能を有する遮蔽室19を設置するとともに、その遮蔽室19と水槽25とを繋ぐ隧道15を設置し、隧道15の途中に水門151〜153を設け、原子炉2を開削して遮蔽室19内に破片を引き上げ、遮蔽室19内に引き上げた破片を運搬機16に載せて、隧道15に水を充満させたり隧道から水を抜いたりしながら、水槽25内に運び込む。
【選択図】図23

Description

本発明は、原子炉内に堆積した燃料デブリを破砕して回収するにあたって、原子炉を開削して原子炉に開口を形成する原子炉開削システムおよび原子炉開削方法に関する。
核燃料のメルトダウンにより原子炉格納容器内底部に堆積した燃料デブリを除去する技術の開発が大きな課題となっている。原子炉格納容器内においては、高線量(オペレーションフロアー線量:〜880mSu/h)のため、燃料デブリへのアクセスが極めて困難となっており、燃料デブリの性状に応じて多様な作業を遠隔実施することが必要となる。
このため、遠隔操作ロボットが検討されている。遠隔操作ロボットには、無線操縦のタイプと有線操縦のタイプがあるが、無線操縦の遠隔操作ロボットの場合、障害物の多い場所では電波が届かず操作が出来なくなるという問題がある。一方、有線操縦の遠隔操作ロボットは、障害物があるとケーブルの取扱いが問題となる。このため、燃料デブリを加工ないし除去するための装置をその燃料デブリ近傍まで如何にして搬入するかが課題となる。また、遠隔操作ロボットには高度な電子回路技術が組み込まれることが多い。しかしながら、そういった電子回路を高線量から防護して長期間使用し続けるには耐久性について大きな課題が残る。
また、燃料デブリを取り出すには、冠水工法と気中工法のうちの冠水工法で行なうのが作業被ばく低減の観点から最も確実であるとされている。冠水工法は、燃料デブリの切断や破砕と安全な容器への収納との双方を水中で行なう工法である。一方、気中工法は、それらのうちの一方あるいは双方を気中で行なう工法である。
冠水工法を実行するには、原子炉の圧力容器やその下にあるコンクリートペデスタル内を水で満たすことが好ましい。しかしながら水の洩出を完全に抑えるのが難しく、強引に注水し続けると放射能で汚染された水を大量に増やすことにもなりかねない。
ここではこのような新規な課題に取り組んでいるため、従来技術として適当なものはほとんど皆無と思われるが、ここでは、COレーザによる水中岩石掘削技術を挙げておく(特許文献1)。この技術を応用すれば、水中にある燃料デブリを破砕することができると考えられる。
特開2008−183737号公報
ここで、燃料デブリを破砕して回収するにあたっては、先ずは原子炉自体を開削して原子炉に開口を形成する必要がある。その開削にあたっては、原子炉内部の強い放射能を防御しながら、その開削により生じた、放射能に汚染されている破片を、安全に処理する必要がある。また、原子炉の開削と開削後の燃料デブリの回収とで別々なシステムを使うことになると工期上もコスト上も大きな損失が発生するため、原子炉の開削と燃料デブリの回収とを連繋して行なう必要がある。
本発明は、上記事情に鑑み、原子炉を安全に開削するとともに燃料デブリの回収にも適合した原子炉開削システムおよびその原子炉開削システムを用いた原子炉開削方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の原子炉開削システムは、
原子炉上部に設置される、側部一周および上部が放射能遮蔽能を有する遮蔽室と、
その遮蔽室に設けられた開口と第1の水槽の横壁に設けられた開口とを繋ぐ隧道と、
その隧道を遮る、相対的に遮蔽室寄りの第1の水門および相対的に第1の水槽寄りの第2の水門を含む複数の水門と、
第1の水門と第2の水門とに挟まれた空間への水の充満とその空間からの水の抜取りとを制御する給排水設備と、
上記隧道を通って遮蔽室と第1の水槽との間を移動し、遮蔽室内の運搬対象物を載せて第1の水槽に向けて運搬する運搬機と、
原子炉を開削し、開削により生じた破片を遮蔽室に引き上げて運搬機に載せる開削設備とを備えたことを特徴とする。
本発明の原子炉開削システムは、原子炉上部に放射線遮蔽能を有する遮蔽室を設置するとともにその遮蔽室と水槽とを繋ぐ隧道を設置し、原子炉を開削しその開削に伴う破片を遮蔽室内に引き上げて、その引き上げた破片を隧道を経由して水槽内に運び込む込む構造であり、原子炉の開削およびその開削により生じた破片の処理を安全に行なうことができる。
ここで、上記遮蔽室が、開閉自在な床面を有することが好ましい。
原子炉へアクセスする際を除き床面を閉じておくことで、安全性が高められる。
また、本発明の原子炉開削システムにおいて、
上記遮蔽室上部に設置される、底に1つ以上の第1の貫通孔が設けられた第2の水槽を備え、
上記開削設備が、第1の貫通孔それぞれを通過しさらに遮蔽室を通過して原子炉内に延在するパイプを備えたものであって、
さらに、第1の貫通孔それぞれに連通するように第2の水槽の底部に設置され、パイプそれぞれを囲繞して第1の貫通孔のパイプの周りからの気体および水の洩れを防止する1つ以上の第1の気・水遮蔽装置を備えることが好ましい。
遮蔽室上部に第2の水槽を設置することで、遮蔽室上部を放射能から遮蔽し、原子炉の開削や燃料デブリの破砕に伴って発生する破片ないし破砕体を、隧道を経由させて第1の水槽に運ぶだけでなく、その破片ないし破砕体の寸法等によっては、パイプを経由して第2の水槽内に運び上げて安全に処理することも可能となる。
また、本発明の原子炉開削システムにおいて、上記第2の水槽を備えた場合に、その第2の水槽が、鉛直方向に延びる回転中心線の回りに回転自在であり、この原子炉開削システムが、鉛直方向に延びる回転中心線の周りに回転自在であって上記パイプをさらに下方へと通過させる通路と、さらに、その通路を通過したパイプを支持して半径方向に移動させる移動機構とを有する支持装置をさらに備えることが好ましい。
上記の移動機構を有する支持装置を備え、かつ上記の第2の水槽と支持装置を回転自在とすることで、原子炉内の、広い範囲にわたる破砕体を回収することができる。
また、本発明の原子炉開削システムは、上記の第2の水槽および上記の支持装置の双方を備えた場合にさらに、
上記第2の水槽を回転駆動する第1の駆動装置と、
上記支持装置を回転駆動する第2の駆動装置とを備え、
上記第2の水槽が、その第2の水槽の底の、その第2の水槽の回転中心線上に第2の貫通孔を有し、
上記第2の駆動装置が、
第2の貫通孔を通過して上下に延び支持装置に取り付けられた駆動軸と、
その駆動軸を回転駆動することにより、その駆動軸に、支持装置を回転駆動させる駆動源とを有し、
さらにこの原子炉開削システムが、
上記第2の水槽底部に第2の貫通孔に連通するように設置され、上記駆動軸を囲繞して第2の貫通孔の駆動軸の周りからの気体および水の洩れを防止する第2の気・水遮蔽装置を備えることが好ましい。
この構造を備えて支持装置を回転させると、水槽の上方に駆動源を置いて水槽よりも下にある支持装置を水槽と同じ回転中心線の回りに回転させることができ、作業性の向上に役立つ。
さらに、本発明の原子炉開削システムは、
上記パイプのうちの少なくとも1つが可撓性ガイドパイプであって、
上記開削設備が、
可撓性ガイドパイプに導入されその可撓性ガイドパイプに案内されて原子炉の開削対象部分にレーザ光を照射する位置まで差し込まれてレーザ光を伝送する伝送ラインと、
伝送ラインにレーザ光を送り込むレーザ光源とを備えたものであることが好ましい。
また、この場合において、
上記レーザ光源が、COレーザ光を出射するCOレーザ光源であり、
上記伝送ラインが、レーザ光が内部を通過する伝送管と、2本の伝送管どうしの間に配置され1本の伝送管から出射したレーザ光を反射してもう1本の伝送管に入射する可撓性ジョイントとを交互に備えた伝送ラインであることが好ましい。
レーザ光、特にCOレーザ光で岩石を破砕できることが知られている。また、伝送管と可撓性ジョイントからなる伝送ラインもそれ自体は開発されている。したがって、これらの技術により、原子炉開削用の破砕装置を短期間で容易に開発することが可能である。
また、上記目的を達成する本発明の原子炉開削方法は、
原子炉を開削する原子炉開削方法であって、
原子炉上部に設置される、側部一周および上部が放射能遮蔽能を有する遮蔽室と、
その遮蔽室に設けられた開口と第1の水槽の横壁に設けられた開口とを繋ぐ隧道と、
その隧道を遮る、相対的に遮蔽室寄りの第1の水門および相対的に第2の水槽寄りの第2の水門を含む複数の水門と、
第1の水門と第2の水門とに挟まれた空間への水の充満とその空間からの水の抜取りとを制御する給排水設備と、
上記隧道を通って遮蔽室と第1の水槽との間を移動し、遮蔽室内の運搬対象物を載せて第1の水槽に向けて運搬する運搬機と、
原子炉を開削し、開削により生じた破片を遮蔽室に引き上げて運搬機に載せる開削設備とを備えた原子炉開削システムを設置し、
上記開削設備を用いて原子炉を開削し開削により生じた破片を遮蔽室に引き上げて運搬機に載せ、
第1の水門を開放して第2の水門を閉じた状態で、上記破片を載せた運搬機を隧道内の該1の水門と第2の水門とに挟まれた空間に移動させ、
第1の水門を閉鎖するとともに第2の水門を開放して上記空間に水を充満させ、
上記破片を載せた運搬機記第2の水門よりも第1の水槽側に移動させて、運搬機に載せた上記破片を運搬機から第1に水槽内に移すことを特徴とする。
以上の本発明によれば、原子炉を安全に開削することができる。
本発明の一実施形態としての原子炉開削システムを含む燃料デブリ回収システムの全体構成を示した模式図である。 図1に示す矢印A−A’に沿う、上段の支持装置の模式横断面図である。 2段の支持装置の模式縦断面図である。 可撓性ガイドパイプに挿入されてCOレーザ光を伝送する伝送ラインの構造を示した模式図である。 破砕された燃料デブリの回収時の走査方法を示した模式図である。 COレーザ光照射による燃料デブリ破砕のイメージ(A)、および燃料デブリ破砕の、走査領域および回収領域のイメージ(B),(C)を示した図である。 水槽底部に設置される気・水遮蔽装置の第1例を示した模式図である。 気・水遮蔽装置の第2例を示した模式図である。 気・水遮蔽装置の第3例を示した模式図である。 パイプを接続する手順を示した模式図である。 破砕後の燃料デブリを運び上げるときの水槽内の様子を示した模式図である。 破砕した燃料デブリ回収時における圧力容器底部の様子を示した模式図である。 デブリ回収バスケットの設置方法および回収方法の説明図である。 破砕後の燃料デブリの小片を引き上げるときの水槽内の様子を示した模式図である。 破砕後の燃料デブリの小片を引き上げる際の圧力容器底部の様子を示した模式図である。 別例における、破砕された燃料デブリ回収時の水槽内の様子を示した模式図である。 別例における、破砕した燃料デブリ回収時における圧力容器底部の様子を示した模式図である。 別例における、破砕した燃料デブリの小片を回収する際の水槽内の様子を示した模式図である。 別例における、破砕した燃料デブリの小片を回収する際の圧力容器底部の様子を示した模式図である。 圧力容器21の上蓋部分の開削の様子を示した図である。 落下部材挿入時の様子を示した図である。 ボルト切断時の様子を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の1番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の2番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の3番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の4番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の5番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の6番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の7番目の手順を示した図である。 圧力容器の上蓋の回収の8番目の手順を示した図である。 圧力容器の内部構造物の撤去作業における位置決め時の様子を示した図である。 圧力容器の内部構造物にCOレーザ光Lを照射している様子を示した図である。 圧力容器の内部構造物の小塊を把持する様子を示した図である。 圧力容器の底部の開削時の様子を示した図である。 開削中の圧力容器の底を上方から見下ろして示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の1番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の2番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の3番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の4番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の5番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の6番目の手順を示した図である。 原子炉の開削および燃料デブリの回収の7番目の手順を示した図である。 燃料デブリ回収システムのもう1つの実施形態を示した図である。
ここでは先ず、本発明の技術分野とは異なるものの、本発明の実施形態を構築するに至った背景となる様々な分野の技術を紹介する。
人間の近付けない場所にある地下資源を掘削採取する場合、遠隔操作機器を利用して行われている。例えば、海洋石油掘削では、BOPと称する暴墳防止装置(気・水遮蔽装置)が使われている。この暴墳防止装置は、海底に設置され、洋上の掘削船上からの井戸の掘削中に、石油,ガス,水蒸気等が噴出してきた場合は、遠隔操作により海底に設置された暴墳防止装置のバブルを閉め、暴墳による事故を防止している。
また、地熱井掘削作業では、高温の水蒸気の発生が不可避である。地熱井の掘削作業は、ドリルパイプ(岩盤掘削用パイプ)を回転させながら降下させる必要がある。この時、高温の水蒸気が地下から吹き上げてくる。そこで作業の安全を確保するため、ロータリシール装置を使用している。この装置は、その内部にドリルパイプを貫通させた状態でシールする機能があり、ドリルパイプの降下・回転中でも高温の水蒸気の噴出を防ぐ事ができる装置である。
さらに、COレーザによる水中岩石掘削技術がある(前掲の特許文献1参照)。
この技術は、レーザ照射により石英ガラスや二酸化珪素が溶融ドロスとなって析出しても穿孔が可能な方法を提供する。加工物のレーザ照射位置に、レーザ発振装置から波長2.0μm以上で液体への吸収率の大きいレーザ光、例えば、COレーザ光を液体を通って照射し、液体中に発生する微細な泡の進行流の泡中に生ずる高圧力により、溶融ドロスを飛散させて岩石に穿孔等の加工を施す。このレーザ光による水中岩石穿孔技術は、反力の小さい技術であるため遠隔操作により人の近付けない箇所での加工に適しており、原子炉内圧力容器底部に存する燃料デブリ除去技術として利用される可能性がある。
ここで、東京電力福島第一発電所原子炉内において、圧力容器底部や、圧力容器を支持するコンクリートペデスタル内底部に、核燃料が溶融し流れて固まった燃料デブリがある。この燃料デブリを放置する事は、将来の安全の観点から好ましい事ではない。そのため燃料デブリを回収して安定化させる事が必要である。圧力容器を冠水状態にして燃料デブリの破砕、収納を行うのが作業被ばくの低減の観点から最も安全であるが、圧力容器の破損により漏水があり、これを補修する事ができない事が予想される。その場合、放射線量の高い雰囲気がアクセスを困難にするため、燃料デブリ取り出し作業が危険に晒されるおそれがあるという課題がある。このため放射能線量の低い作業環境を作り出し、安全度の高い状態で燃料デブリを取り出す事が急務である。燃料デブリは強い放射能を放っており、人間が近づける状態にない。このため、遠隔操作技術を駆使して燃料デブリを回収する手法が必要となる。
また、燃料デブリを回収するにあたっては、原子炉を開削して燃料デブリにアクセスするための開口を形成する必要がある。原子炉の開削にあたっては、その主要設備を燃料デブリの回収と共用できることが求められる。
以上の観点を踏まえ、以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての原子炉開削システムを含む燃料デブリ回収システムの全体構成を示す模式図である。この図1には、燃料デブリ回収システム1が原子炉2の上部に設置された状態が示されている。
原子炉2は、圧力容器21と、その圧力容器21を下から支えるコンクリートペデスタル22を有する。圧力容器21内には内部構造物28が備えられており、またその底部にには、核燃料が溶融して固まった燃料デブリ29が堆積している。また、コンクリートペデスタル22の底部にも燃料デブリ29が堆積している。
また、ここに示す例では、圧力容器21の底部およびコンクリートペデスタル22の底部には、それぞれ水Wが溜まっていて、燃料デブリ29は、その溜まっている水Wに浸されている。
これら圧力容器21およびコンクリートペデスタル22は、格納容器23内に格納されている。また、その格納容器23内の上部にはフロア24が設置されている。さらに、その格納容器23の横には、本来は原子炉燃料等を一時保管しておく水槽25が設置されている。この水槽25内は水Wで満たされていて、その水槽25内には後述する破砕物の一時保管用の格納コンテナ251が置かれている。この水槽25は、本発明にいう第1の水槽の一例に相当する。
燃料デブリ回収システム1は、この原子炉2の上部に設置されている。ここには、上部が水槽10で塞がれ、周囲が防護壁11で囲まれた遮蔽室19が設けられている。水槽10には、水Wが満たされていて、放射能防護能を有し、遮蔽室100の天井部分の放射能の遮蔽を担っている。この水槽10は、本発明にいう第2の水槽の一例に相当する。また、防護壁11も放射能防護能を有する。この防護壁11は、遮蔽室19を一周に亘って取り囲んでおり、遮蔽室100の側部一周に亘る放射能の遮蔽を担っている。この遮蔽室19の床面は、開閉自在なハッチ式の床面12となっている。またこの遮蔽室19の高さ方向の途中位置にも開閉自在なハッチ13が設けられている。
この遮蔽室19を形成している防護壁11の周りには隔壁141が設置され、水槽10よりも高い位置に天板142が設置されて、これら隔壁141と天板142とにより建屋14が設置されている。この建屋14には、遮蔽室19内や水槽10の上部の空間の換気を担う換気設備143が設けられている。
また、ここには、遮蔽室19に設けられた開口191と水槽25に設けられた開口252とを繋ぐ隧道15が設けられている。この隧道15には、本実施形態では3つの水門151,152,153が備えられている。なお、ここでは、設備の安全等を考慮して3つの水門を備えているが、2つであっても構わない。
この隧道15の、3つの水門151〜153のうちの2つの水門152,153に挟まれた空間には、不図示の給排水設備により、水が満たされ、また、その空間から水の抜取りが行なわれる。本実施形態では、その空間への給水については水槽25への給水設備(不図示)が兼用されていて、水槽25側の水門153を開けることによって、水槽25に給水されて溜まっている水がその空間に流れ込む構造となっている。
また、この図1には、この隧道15内に置かれた運搬機16が示されている。この運搬機16は、隧道15を通って遮蔽室19と水槽25との間を移動し、遮蔽室19内において後述する運搬対象物を載せ、水槽25に向けて運搬する役割を担っている。このため、水槽25の、隧道15に繋がる部分には、水槽25側に移動してきた運搬機16を載せるための、水槽25内に張り出したハッチ253が設けられている。
遮蔽室19上部の水槽10と、その周囲の設備について説明する。
上述の通り、この水槽10内は水Wで満たされている。この水槽10は、台座101の上に、ボールベアリング102を挟んで設置されている。台座101は、防護壁11の上部に固定的に設置される。水槽10は、その上部に円環形状のギア103を備えている。このギア103は、モータ104の回転軸104aに固定されたギア105と噛み合っている。すなわち、この水槽10は、モータ104の回転駆動力により、鉛直に延びるドライビングパイプ41を回転中心線として回転する。ただし、ドライビングパイプ41は、水槽10の回転には関与していない。このドライビングパイプ41については後述する。なお、この水槽10の回転は、ゆっくりとその角度を調整するための回転である。
水槽10の底には、本実施形態では4つの貫通孔が設けられていて、それらの貫通孔それぞれを、ドライビングパイプ41、可撓性ガイドパイプ42、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44が通過している。これらのパイプ41〜44のうち、可撓性ガイドパイプ42は、可撓性のある、もともと十分な長さに形成されたパイプである。ドライビングパイプ41、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、後述するようにして複数本繋ぎ合わされるパイプである。また、可撓性に関しては、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44も、図5を参照して説明する程度には可撓性を有するパイプである。ドライビングパイプ41については、本実施形態では可撓性は特には不要であるが、可撓性を有するパイプであってもよい。また、水槽10の底部には、各貫通孔それぞれに連通するように気・水遮蔽装置51〜54が備えられている。これらの気・水遮蔽装置51〜54は、各パイプ41〜44のそれぞれを通過させて各パイプ41〜44のそれぞれを囲繞し、各貫通孔の各パイプ41〜44の囲りからの空気および水の洩れを防止する装置である。これらの気・水遮蔽装置51〜54は、石油,天然ガス,地熱井掘削時に用いられている装置として実績のある原理が適用されている装置である。気・水遮蔽装置51〜54の詳細構造については後述する。
水槽10の底に設けられている貫通孔のうち、ドライビングパイプ41が貫通している貫通孔は、本発明にいう第2の貫通孔の一例に相当し、その他の、可撓性ガイドパイプ42、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44のそれぞれが貫通している貫通孔は、本発明にいう第1の貫通孔の一例に相当する。
また、これに対応して、ドライビングパイプ41を囲繞している気・水遮断装置51は、本発明にいう第2の気・水遮断装置の一例に相当し、その他の、可撓性ガイドパイプ42、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44のそれぞれを囲繞している気・水遮断装置52〜54は、本発明にいう第1の気・水遮断装置の一例に相当する。
さらに、ドライビングパイプ41は、本発明にいう駆動軸の一例に相当し、その他の、可撓性ガイドパイプ42、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、本発明にいうパイプの一例に相当する。
ドライビングパイプ41は、水槽よりも下方に設置されている支持装置60の中央に固定されている。本実施形態では、支持装置60は、上下2段に設置されている。これらの支持装置60は、その周縁部分に複数本のアーム611を備えている。それらのアーム611は、遮蔽室19の内壁や圧力容器21の内壁(図40に示すように、コンクリートペデスタル22の内壁の場合もある)に油圧で押し当てられて、その支持装置60をその高さ位置に固定する役割を担っている。また、この支持装置60の周縁を除く部分は、回転自在な回転支持体62として構成されている。ドライビングパイプ41は、支持装置60の回転支持体62の中央に固定されている。ドライビングパイプ41の上部は、天板142の上に設置されたモータ143の回転軸143aに連結された回転駆動装置144に連結されている。この回転駆動装置144は、モータ143の回転駆動力を受けて、ドライビングパイプ41を、そのドライビングパイプ41が延びる鉛直軸の回りに回転させる。これにより、このドライビングパイプ41が固定されている、支持装置60の回転支持体62が、そのドライビングパイプ41を回転軸として回転する。この回転支持体62の回転も、水槽10の回転と同様、ゆっくりした角度調整の回転である。
このドライビングパイプ41は、上述の通り、本発明にいう駆動軸の一例に相当する。また、モータ143は、本発明にいう駆動源の一例に相当する。
2段に設けられた支持装置60の回転支持体62は、可撓性ガイドパイプ42、ポンプ用ガイドパイプ43、およびデブリ回収用ガイドパイプ44を更に下方へ通過させる通路を有し、それらのパイプ42〜44は支持装置60よりも更に下方へと延びている。
可撓性ガイドパイプ42は、COレーザ光を伝送する伝送ライン71を案内するガイドパイプである。この伝送ライン71の後端はCOレーザ発振器70に接続されていて、COレーザ発振器70から出射したCOレーザ光が伝送ライン71に入射される。伝送ライン71に入射したCOレーザ光はその伝送ライン71により伝送され、その伝送ライン71の下端部に備えられた照射ノズル72から、原子炉2の開削対象物や燃料デブリ29に向けてCOレーザ光Lが照射される。開削対象物や燃料デブリ29は、COレーザ光Lというエネルギーを受けて破砕される。
また、ポンプ用ガイドパイプ43には、上方からポンプ38が導入され、下方に吊り降ろされる。ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44の下端部には、破砕された燃料デブリを捕集する捕集装置80が備えられている。ポンプ用ガイドパイプ43内を下降してきたポンプ38は、その捕集装置80の一構成部品となる。
ここで、捕集装置80やその捕集装置80に配置されるポンプ38等は燃料デブリ29を回収するための設備であって、本実施形態では、原子炉2の開削には寄与していない。ただし、ここでは、この燃料デブリ回収システム1の全体について説明するために、この捕集装置80等、原子炉2の開削には使用せず燃料デブリ29の回収にのみ使用される設備についても一緒に説明している。また、ポンプ用ガイドパイプ43やデブリ回収用ガイドパイプ44は、燃料デブリ29の回収だけでなく原子炉2の開削にあたっても使用される。これらポンプ用ガイドパイプ43やデブリ回収用ガイドパイプ44は、原子炉2の開削の際は、ポンプの吊り降ろしや燃料デブリの回収とは無関係であるが、ここでは、名称の混乱を避けるため、統一的に、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44の名称を用いることとする。
ポンプ38は、故障等による交換の必要性を生じるため、捕集装置80に固定的に配置しておくのではなく、ポンプ用ガイドパイプ43に案内させながら上に引き上げて交換できるようにしている。また、デブリ回収用ガイドパイプ44には、上方からデブリ回収バスケット39が下方に降ろされて捕集装置80内に配置される。そして、COレーザ光Lにより燃料デブリ29を破砕した後、その破砕された燃料デブリがポンプ38による水流とともにデブリ回収バスケット39に送り込まれる。このデブリ回収バスケット39は、燃料デブリ29の細かな粉体をその中に閉じ込めて水だけを流し出す構造のものである。したがって燃料デブリの粉体は、ポンプ38による水流とともにデブリ回収バスケット39内に運ばれて、そのデブリ回収バスケッ39内に収集される。この燃料デブリの粉体が収集されたデブリ回収バスケット39は、デブリ回収用ガイドパイプ44の中を上方に引き上げられる。
また、この図1や後述する各図において、油圧ラインについての図示および説明は省略されている。油圧ラインに関しては、他のパイプ41〜44と同様にして、水槽10の底を通過するように油圧ライン用のパイプを設置し、そのパイプの中を通過するように油圧ラインを配設してもよい。あるいは、油圧ラインは、台座101内あるいは防護壁11内を通過するように構成してもよい。
図2は、図1に示す矢印A−A’に沿う、上段の支持装置の模式横断面図である。
また、図3は、2段の支持装置の模式縦断面図である。
この支持装置60は、固定リング61と回転支持体62を備えている。固定リング61は、油圧で伸縮する4本のアーム611を備えている。なお、油圧ラインについては図示を省略している。これらのアーム611は、4方に延びて、遮蔽室19や圧力容器21(あるいはコンクリートペデスタル22)の内壁に突き当たり、突っ張ることにより、この支持装置60をその高さ位置に固定する役割りを担っている。
また、この固定リング61は、回転支持体62を回転自在に支持している。
この回転支持体62は、その中心にドライビングパイプ41を貫通させる通路631、可撓性ガイドパイプ42を通過させる通路632、および、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44の双方を通過させる通路633が設けられている。
ドライビングパイプ41は、回転支持体62の通路631の上部に設置されている着脱装置411により、回転支持体62に着脱自在に固定されている。ドライビングパイプ41は、図1を参照して説明した通り、上部に設置されているモータ143により回転駆動される。ドライビングパイプ41が回転支持体62に固定されている状態にあるときにドライビングパイプ41が回転駆動されると、それに伴って回転支持体62も、図2に示す矢印R−R’方向に回転する。この回転支持体62の回転は、前述の通り、回転支持体62の角度調整用のゆっくりとした回転であり、一回転分の回転が行なわれれば十分である。
なお、以下では、支持装置60の回転支持体62の回転について、回転支持体62の回転であることを明記せずに、支持装置60の回転と称することがある。
可撓性ガイドパイプ42は、ポジショナ651に支持されて通路632を通過している。また、これと同様に、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、それぞれポジショナ652,653に支持されて、双方のパイプ43,44が通路633を通過している。ポジショナ651〜653は、いずれもX−X’方向、すなわち回転中心であるドライビングパイプ41に接離する半径方向に移動可能である。すなわち、これらのパイプ42〜44は、支持装置60の、図2に示す矢印R−R’方向の回転と、ポジショナ651〜653の、矢印X−X’方向(半径方向)への移動により、遮蔽室29や圧力容器21(またはコンクリートペデスタル22)の任意の位置に移動し、原子炉2の開削および回収やデブリの破砕および回収を行なうことができる。
ここで、これらのポジショナ651〜653は、本発明にいう移動機構の一例に相当する。
また、図3に示すように、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44の下部には、破砕された燃料デブリを捕集する捕集装置80が備えられている。ポンプ用ガイドパイプ43からはポンプ38が吊り降ろされ、デブリ回収用ガイドパイプ44からはデブリ回収バスケット39が吊り降ろされる。
また、ポジショナ43,44の移動により、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との間の間隔は可変となっている。このため、この捕集装置80では、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との間は伸縮自在なパイプあるいは少し長めに弛ませたゴムホース等で繋がれている。
本実施形態では上下2段の支持装置60を備えており、図3に示すように、ポジショナ651〜653は、上段の支持装置60に備えられている。ただし、下段の支持装置60にもパイプ42〜44を通過させる通路632,633が形成されている。このため、上段の支持装置60のポジショナ651〜653が矢印X−X’方向に移動すると、パイプ42〜44は、下段の支持装置60に妨げられることなく、上段の支持装置651〜653のポジショナ651〜653に移動に応じて移動する。
一方、下段のポジショナ60には、気・水遮断バルブ651,652が設置されている。これらの気・水遮断バルブ651,652は、それぞれ、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44による通路を開放自在に遮断するバルブである。ポンプ38やデブリ回収バスケット39を下に降ろす際は、水槽10(図1参照)中でポンプ38やデブリ回収バスケット39をポンプ用ガイドパイプ43やデブリ回収用ガイドパイプ44内に差し入れ、それらのパイプ43,44の上端部が塞がれる。水槽10内の水がパイプ43,44を通って流れ落ちてしまわないようにするためである。この場合、多少の水の洩れは問題ない。次に気・水遮断バルブ651,652が開かれる。すると、パイプ43,44の水は下に流れ落ちる。ポンプ38やデブリ回収バスケット39を下に降ろした後、気・水遮断バルブ651,652が閉じられる。デブリ回収バスケット39内には後述するようにして破砕された燃料デブリが収集される。また、ポンプ38も寿命があるため引き上げて新たなポンプに交換する必要が生じる。引き上げる際は、ポンプ38は放射能に汚染されており、デブリ回収バスケット39内には破砕された燃料デブリが収集されている。したがって、放射能に対する安全対策を万全にして引き上げる必要がある。そこで以下の手順が採用される。このときも、パイプ43,44の上部を閉じておいて気・水遮断バルブ651,652が開放される。すると、パイプ651,652内の水は下に流れ落ちる。ポンプ38やデブリ回収バスケット39を気・水遮断バルブ651,652の直上まで引き上げて気・水遮断バルブ651,652を閉じ、パイプ43,44に水を満たす。その後、ポンプ38やデブリ回収バスケット39が水槽10の中にまで引き上げられる。こうすることにより、ポンプ38やデブリ回収バスケット39を安全に引き上げることができる。
図4は、可撓性ガイドパイプに挿入されてCOレーザ光を伝送する伝送ラインの構造を示した模式図である。
この伝送ライン71には、外筒711が備えられており、この外筒711には曲がり部711aが設けられている。この曲がり部711aは、この外筒711をどの向きにも曲げることができる構造となっている。
外筒711の中にはレーザ伝送管712が配置され、支持部材713に支持されている。ここには、レーザ伝送管712が2本示されており、それら2本のレーザ伝送管712は、曲がり部711aで終端している。そしてこれら2本のレーザ伝送管712の端部どうしの間には、1本のレーザ伝送管712から出射されたレーザ光を反射してもう1本のレーザ伝送管に入射する、2つの反射ミラーからなる結合光学系714が備えられている。これにより、外筒711の曲がり部711aおよび結合光学系714からなる可撓性ジョイントが構成され、図4(B),(C)ように自在に曲げることができ、かつ曲げた状態においても1本のレーザ伝送管712からもう1本のレーザ伝送管712へとCOレーザ光Lを伝送することが可能となっている。
このように、この伝送ライン71は、図4に示すような、外筒711に所定のピッチで曲がり部711aが設けられ、レーザ伝送管712と結合光学系714が交互に配置された構造の伝送ラインである。
また、この伝送ライン71の先端には、伝送ライン71によって伝送されてきたCOレーザ光Lを受け取ってそのCOレーザを燃料デブリに照射するレーザ照射ノズル72(図1および後述する図6参照)が備えられている。
この伝送ライン71を使ってCOレーザ光を伝送させる際は、そのCOレーザ光のエネルギーに起因する過度な温度上昇を抑えるために、外筒711の内側、あるいは、その伝送ライン71が通過する可撓性ガイドパイプ42に水が供給され、水で冷却させながら、COレーザ光の伝送、すなわち原子炉の開削や燃料デブリの破砕が行われる。
図5は、破砕された燃料デブリの回収時の走査方法を示した模式図である。なお、ここでは、燃料デブリの破砕および回収を取り上げて説明するが、支持装置の回転やパイプの移動については、原子炉2の開削および回収の際も同様である。
図3を参照して説明した通り、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、各ポジショナ652,653に支持されていて、それらのポジショナ652,653は、半径方向(矢印X−X’方向)に移動する。この図5では、デブリ回収用ガイドパイプ44について、実線と一点鎖線とで移動前後の状態が示されている。
水槽10の底の貫通孔の位置や気・水遮蔽装置53,54の位置は不変なので、ポンプ用ガイドパイプ43やデブリ回収用ガイドパイプ44の半径方向(矢印X−X’方向)への移動は、パイプ43,44を撓ませることにより行なわれる。ここで、前述の通り、水槽10は、図1に示すモータ104により回転し、上下2段の支持装置60は、モータ143により、ドライビングパイプ41を介して、水槽10の回転中心線と同一の回転中心線(すなわちドライビングパイプ41の、鉛直方向の中心軸)の回りに回転する。したがって、回転方向については、水槽10と支持装置60を同期して回転させることにより、パイプ43,44の姿勢に変化は生じない。これら水槽10および支持装置60の回転およびポジショナ653,654による半径方向(矢印X−X’方向)への移動により、捕集装置80(この図5には不図示、図3参照)を圧力容器21の底部やコンクリートペデスタル22の底部を広範囲にわたって走査させることができる。なお、捕集装置80には、前述の通り、伸縮自在なパイプあるいはゴムホース等が使われており、ポジショナ651,652の移動によりポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との間の間隔が変化しても対応できる構造となっている。
また、ここでは、ポジショナ651,652により、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との双方が半径方向(矢印X−X’方向)に移動可能であるとしたが、ポンプ用ガイドパイプ43は半径方向には移動せずに固定とし、デブリ回収用ガイドパイプ44のみ半径方向に移動するように構成してもよい。この場合であっても、圧力容器21の底部やコンクリートペデスタル22の底部を広範囲にわたって走査することができる。ただし、ポンプ用ガイドパイプ43を固定した場合、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との間が大きく広がる場面が生じるため、捕集装置80については、その大きく広がることに対応した伸縮性を持たせる必要がある。
デブリ回収バスケット39を引き上げる際は、デブリ回収用ガイドパイプ44を図5に実線で示す鉛直に延びる状態にして、ワイヤラインキャッチャ111で引き上げられる。この図5に示すワイヤラインキャッチャ111の下端部は、鉛容器に封じ込められた状態のデブリ回収バスケット39を示している。鉛容器への封じ込めについては後述する。また、デブリ回収バスケット39では回収不能な燃料デブリの小片は、後述するようにして、テレスコピックキャッチャ112を使って引き上げられる。このテレスコピックキャッチャ112は、デブリ回収ガイドパイプ44に案内させることで、このデブリ回収用ガイドパイプ44が図5に一点鎖線で示すように撓んだ状態にも追随して撓み、圧力容器21等の底部の任意の位置にある小片を把持して持ち上げることができる。あるいは、テレスコピックキャッチャ112で小片を把持した後はデブリ回収用ガイドパイプ44を実線で示すように鉛直な姿勢とし、その後、小片を持ち上げてもよい。
ポンプ38を引き上げるときも同様であり、ポンプ用ガイドパイプ43を鉛直に延びる姿勢にしておいてワイヤ等で引き上げられる。
図6は、COレーザ光照射による燃料デブリ破砕のイメージ(A)、および燃料デブリ破砕の、走査領域および回収領域のイメージ(B),(C)を示した図である。
本実施形態では、燃料デブリ29にCOレーザ光によるエネルギーを照射して、燃料デブリ29を長手方向10cm以下の小片29aとなるように破砕する。この小片29aは、ポンプ38による水流には乗らずに底にとどまるが、この破砕により、水流により巻き上げられる多数の、燃料デブリの粉体29bも発生する。燃料デブリ29の破砕にあたっては、可撓性ガイドパイプ44をポジショナ651で半径方向に移動させ、かつ支持装置60の回転により、圧力容器21の底部(あるいはコンクリートペデスタル22の底部)のうちの図6(B)に破線で示す領域の燃料デブリを破砕する。次に図6(C)に示すように、支持装置60を約半周回転させる。そして、その破砕した燃料デブリが堆積している、破線で示す領域の燃料デブリを回収する。
このような燃料デブリ29の破砕および回収を、圧力容器21の底部(あるいはコンクリートペデスタル22の底部)の各領域について順次に繰り返すことにより、底部全域の燃料デブリの破砕および回収が行なわれる。
図7は、水槽底部に設置される気・水遮蔽装置の第1例を示した模式図である。この図7に示す気・水遮蔽装置は、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44に適用される装置であり、図1に示す気・水遮蔽装置53,54に対応する。ここでは、気・水遮蔽装置50Aと表現する。
この図7に示す気・水遮蔽装置50Aには、上から順に、パイプ締付装置501、上側のパイプ保持用ラム502、上下2段の圧潰用ラム503,504、上下2段のシール用ラム505,506、下側のパイプ保持用ラム507、およびパイプ用ロータリシール508が備えられている。ここで、上下2段の圧潰用ラム503,504は、気・水遮蔽装置50Aに組み込まれているが、燃料デブリを回収する回収装置を構成する要素である。ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、比較的短い寸法のパイプが複数本繋ぎ合わされる。この燃料デブリ回収システム1の初期の設置の際は、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44は、比較的短い状態にある。そして、原子炉2を開削して下方に延長する際に、パイプが継ぎ足される。なお、原子炉2の開削については後述する。
この図7に示す気・水遮蔽装置50Aを構成しているパイプ締付装置501は、上から継ぎ足されたパイプをその下のパイプに締め付けて繋ぎ合わせる装置である。上下2つのパイプ保持用ラム502,507は、ポンプ用ガイドパイプ53あるいはデブリ回収用ガイドパイプ54を落下しないように保持しておく装置である。上下2段の圧潰用ラム503,504は、ここに設置される対象物を圧潰する装置である。具体的には、ここに放射能防護用の鉛の筒が配置され、下から引き上げられてきた、燃料デブリの粉体29b(図6参照)が収集されれたデブリ回収バスケット39(図3参照)、あるいは下から引き上げられてきた放射能で汚染されているポンプ38がその鉛の筒の内側に配置され、上下2段の圧潰用ラム503,504でその鉛の筒の上下の開口が圧潰される。これによりデブリ回収バスケット39あるいはポンプ38が放射線防護用の鉛で覆われる。この鉛で覆われたデブリ回収バスケット39あるいはポンプ38は、水槽10から取り出されて、図1に示す格納コンテナ251内に一時保管される。
上下2段のシール用ラム505,506のうちの上段側のシール用ラム505は、その部分にパイプが存在しない状況下においてその通路を塞いで、気体や水の通過を阻止する装置である。また、それら上下2段のシール用ラム505,506のうちの下段のシール用ラム506は、ポンプ用ガイドパイプ53あるいはデブリ回収用ガイドパイプ54を全周にわたって着脱自在にしっかりと押え、パイプ43,44の周囲からの気体や水の通過を遮断する装置である。ただし、このシール用ラム506は、パイプ43,44を押えた状態においては、パイプ43,44を上下動あるいは回転することは不能である。
この図7に示す気・水遮蔽装置50Aの最下部に配置されているパイプ用ロータリシール508は、パイプ43,44の回転および上下動の際にもそのパイプ43,44の周囲を全周にわたってしっかりとシールし、気体や水の通過を阻止する装置である。
ここで、シール用ラム505を備えているのは、水槽10内の水がパイプ43,44を通って流れ落ちてしまわないように、あるいは放射能を含んだ水が不用意に上昇してこないように、必要なときにパイプ43,44の上端を塞ぐためである。また、このシール用ラム505は、パイプ用ロータリシール508に万が一にも破損等が発生した場合における、気体や水のシールを担っている。また、下段側のシール用ラム506は、パイプ用ロータリシール508に万が一にも破損等が発生した場合であって、そこにパイプ43,44が存在していた場合における、気体や水に対するパイプ周りのシールも担っている。
この図7に示す気・水遮蔽装置50Aを構成している各要素としての装置は、いずれも原理的には、石油・天然ガス・地熱井掘削時に用いられている、多くの実績と高い信頼性を備えた装置であり、燃料デブリ回収システム1に適用した場合にも高い信頼性を持って気体や水を遮蔽し、放射能漏れを防止することができる。
図8は、気・水遮蔽装置の第2例を示した模式図である。この図8に示す気・水遮蔽装置50Bは、ドライビングパイプ41用の気・水遮蔽装置であって、図1に示す気・水遮蔽装置51に対応する。
この図8に示す第2例としての気・水遮蔽装置50Bには、上から順に、パイプ締付装置501、上側のパイプ保持用ラム502、2段のシール用ラム505,506、下側のパイプ保持用ラム507、およびパイプ用ロータリシール508が備えられている。この図8の気・水遮蔽装置50Bを図7の気・水遮蔽装置50Aと比べると、この図8の気・水遮蔽装置50Bには図7の気・水遮蔽装置50Aに備えられている上下2段の圧潰用ラム503,504が備えられていない点のみ異なっている。その他の装置は図7の気・水遮蔽装置50Aの説明において説明済であるため、重複説明は省略する。
この図8に示す気・水遮蔽装置50Bに圧潰用ラム503,504が備えられていない理由は、ドライビングパイプ41自体がこの気・水遮蔽装置50Bを上下に貫いており、何かを圧潰するという作業は不要であるためである。ただし、ドライビングパイプ41も短いパイプを何本か繋ぎ合わされるため、パイプ締付装置501は必要となる。
図9は、気・水遮蔽装置の第3例を示した模式図である。この図9に示す気・水遮蔽装置50Cは、COレーザ光を導く伝送ライン71(図4参照)を案内する可撓性ガイドパイプ53用の気・水遮蔽装置であって、図1に示す気・水遮蔽装置52に対応する。
なお、後述する別の実施形態(図43参照)では、燃料デブリの破砕部分を写し出す放射線から保護された耐放射線カメラ49を案内する耐放射線カメラガイドパイプ45が用いられる(図27参照)。この図9に示す第3例としての気・水遮蔽装置50Cは、その耐放射線カメラガイドパイプ45用の気・水遮蔽装置としても採用される。
この図9に示す第3例としての気・水遮蔽装置50Cには、上から順に、上側のパイプ保持用ラム502、2段のシール用ラム505,506、および下側のパイプ保持用ラム507、およびパイプ用ロータリシール508が備えられている。
この図9の気・水遮蔽装置50Cは、図8の気・水遮蔽装置からパイプ締付装置501を取り外した構成となっている。本実施形態では、可撓性ガイドパイプ42、および後述する実施形態における耐放射線カメラガイドパイプ45については、リール(不図示)に巻回された長尺かつ可撓性のパイプが用いられる。したがって、図8に示す、パイプどうしを繋ぎ合わせるためのパイプ締付装置501は不要であり、取り外されている。なお、この第3例の気・水遮蔽装置50Cにも上下2つのパイプ保持用ラム502,507が備えられている。この第3例の気・水遮蔽装置50Cについては、機能上は2つのパイプ保持用ラム502,506のうちの1つのみ備えられていればよいが、ここでは、図8に示す第2例の気・水遮蔽装置50Bからパイプ締付装置501のみ取り外して、その他の部分の構造の共通化を図っている。
なお、ここでは、可撓性ガイドパイプ42および耐放射線カメラガイドパイプ45については、途中で繋ぎ合わせる必要のない、十分に長尺なパイプである旨説明したが、それらのパイプ42,45についても、例えばドライビングパイプ41等と同様に短いパイプを繋ぎ合わせるタイプのパイプであってもよい。その場合は、図9に示す気・水遮蔽装置50Cに代えて、図8に示すパイプ締付装置501が備えられたタイプの気・水遮蔽装置50Bが使用される。ただし、その場合であっても、何かを圧潰する機能は不要であり、図7に示す気・水遮蔽装置50Aに備えられている圧潰用ラム503,504は不要である。
図10は、パイプを接続する手順を示した模式図である。ここでは、図7に示す気・水遮蔽装置50Aを用い、ポンプ用ガイドパイプ43を接続する場合を例に挙げて説明する。デブリ回収用ガイドパイプ54を接続する場合も同様である。また、図8に示す気・水遮蔽装置50Bを用いてドライビングパイプ41を接する場合も同様である。
先ず、図10(A)に示すように、下側のパイプ43aの上部を、上側のパイプ保持用ラム502で、その下側のパイプ43aの上端がパイプ締付装置501内に位置するように保持する。
次に、パイプキャッチャ113で上側のパイプ43bを吊り下げて、上側のパイプ43bの下端部をパイプ締付装置501内に配置する。これら下側のパイプ43aの上端と上側のパイプ43bの下端には、互いに螺合する、それぞれ雄ねじと雌ねじが形成されており、パイプ締付装置501の下部と上部が下側のパイプ43aと上側のパイプ43bをそれぞれ把持して図10(A)に示す矢印のように互いに逆向きに回転する。これにより、下側のパイプ43aと上側のパイプ43bが互いに繋ぎ合わされる。
その後、この図10では省略しているが、パイプをさらに継ぎ足す場合は、パイプ締付装置501を開くとともにパイプ保持用ラム502を開き、繋ぎ合わされたパイプ43a,43bを、上側のパイプ43bの上端がパイプ締付装置501内となるように下げ、上側のパイプ保持用ラム502にパイプを保持させて、パイプキャッチャー113は上に引き上げられる。その後、パイプキャッチャ113でさらに次のパイプの下端部がパイプ締付装置501内に配置され、同様に接続して繋ぎ合わさせる。これを必要回数繰り返した後、最上段のパイプ43nについては、図10(B)に示すように、その上端が下側のパイプ保持用ラム507の直ぐ上に位置するまでパイプキャッチャ113により吊り降ろされ、その最上段のパイプ43nの上端部を下側のパイプ保持用ラム507に保持させる。その後、パイプキャッチャ113が引き上げられる。
図11は、破砕後の燃料デブリを運び上げるときの水槽内の様子を示した模式図である。
ここでは、気・水遮蔽装置については、図1において付した符号に合わせている。
この図11には、水槽10内に設置されたドライビングパイプ41用の気・水遮蔽装置51、ポンプ用ガイドパイプ43用の気・水遮蔽装置53、およびデブリ回収用ガイドパイプ44用の気・水遮蔽装置54が示されている。ドライビングパイプ41は、気・水遮蔽装置51を上下に貫いて延びている。また、ポンプ用ガイドパイプ43は、その上端部が、気・水遮蔽装置53を構成する下側のパイプ保持用ラム507に保持されて下に延びている。また、デブリ回収用ガイドパイプ44も同様であり、その上端部が、気・水遮蔽装置54を構成する下側のパイプ保持用ラム507に保持されて下に延びている。
さらに、この図11には、図5にも示すワイヤラインキャッチャ111およびテレスコピックキャッチャ112も示されている。ワイヤラインキャッチャ111には、押し潰された鉛容器に封じ込められたデブリ回収バスケット39が示されている。ワイヤラインキャッチャ111は、ワイヤを下方に延ばしていき、対象物に引っ掛けて、その対象物を引き上げる装置である。また、テレスコピックキャッチャ112は、アームを長く伸ばしていき、対象物を把持して持ち上げる装置である。
図12は、破砕した燃料デブリ回収時における圧力容器底部の様子を示した模式図である。
圧力容器21の底部には水Wが溜まっており、その水中に捕集装置80が配置される。
その捕集装置80には、ポンプ用ガイドパイプ43に案内されながらポンプ38が吊り下げられている。またこの捕集装置80には、デブリ回収用ガイドパイプ44に案内されてデブリ回収バスケット39が配置される。本実施形態では、このデブリ回収バスケット39は、吊り降ろされると一旦この捕集装置80内に置き放しにされる。
この捕集装置80には、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44とを繋ぐように設置されて水流をガイドする水流ガイドパイプ801が設けられている。
前述したように、ポンプ用ガイドパイプ43とデブリ回収用ガイドパイプ44との間の間隔は必要に応じて調整されるため、この水流ガイドパイプ801は伸縮自在なパイプである。あるいは、弛みをもたせたゴムホース等で構成してもよい。
この捕集装置80は、破砕された燃料デブリ29(図1参照)のうちの、細かく破砕された燃料デブリの粉体29bを捕集する装置である。
上述のようにして、COレーザ光の照射により圧力容器21の底に堆積した燃料デブリ29(図1参照)を破砕した後、破砕した燃料デブリが溜まった領域の真上に捕集装置80を配置する。この配置は、支持装置60の回転(さらには、水槽10(図1参照)の回転)と、ポジショナ652,653(この図12には図示省略、図3参照)の半径方向への移動により実現される。また、このとき下段の支持装置60に設けられている気・水遮断バルブ611,612は閉じられ、パイプ43,44内には水が満たされている。これは、今から始まる捕集動作により粉体29bがパイプ43,44を通って上昇してこないようにするためである。ただし、パイプ43,44内に水を満たすことや気・水遮断バルブ661,662によるパイプ43,44の閉鎖は、不要な場合もあり、状況によって判断される。
破砕した燃料デブリが溜まった領域の直上に捕集装置80を配置した後、ポンプ38を作動させる。すると、そのポンプ38の作動により、この図12に矢印で示すように水が循環する。すなわち、ポンプ38の作動により下向きの水流が発生し、斜面802や邪魔板803等によりその水流が圧力容器21の底に斜めに向かい、燃料デブリの粉体29bをその水流中に巻き上げてデブリ回収バスケット39に入る。このデブリ回収バスケット39は、粉体29bをその中に捕集し水のみを流出させる細かな網状のバスケットである。捕集しようとしている粉体29bの粒径に応じて網の細かさが異なる複数種類のデブリ回収バスケット39を用意しておいてもよい。
デブリ回収バスケット39から流出した水は、取水口801aから新たに取り込まれた水とともに水流ガイドパイプ801を通ってポンプ38側に戻る。この循環する水流により、燃料デブリの粉体29bがデブリ回収バスケット39に集められる。
図13は、デブリ回収バスケットの設置方法および回収方法の説明図である。
図13(A)は、デブリ回収バスケット設置時の様子を示している。
デブリ回収バスケット39は、ワイヤラインキャッチャ111に吊り下げられ、ワイヤラインホイスト84の作動により、デブリ回収用ガイドパイプ44に案内されながら吊り降ろされて、図12に示すように捕集装置80内に配置される。ワイヤラインキャッチャ111は、デブリ回収バスケット39を捕集装置80内に配置した後、一旦引き上げられる。その後、図12を参照して説明したようにして燃料デブリの粉体29bを捕集する。
燃料デブリの粉体29bを捕集したデブリ回収バスケット39の引き上げにあたっては、その引き上げの前に、図13(B)に示すように、ワイヤラインキャッチャ111により、気・水遮蔽装置54の2つの圧潰用ラム503,504の間に放射能防護用の鉛の筒391が配置される。その後、ワイヤラインキャッチャ111を捕集装置80(図16参照)まで降ろしていき、図13(C)に示すようにデブリ回収バスケット39を引き上げて、鉛の筒391の内側に配置する。
こうしておいて、次に図13(D)に示すように上下の圧潰用ラム503,504を作動させ、鉛の筒391の上下の開口を塞ぐようにその鉛の筒を押し潰す。これにより、燃料デブリの粉体29bを捕集したデブリ回収バスケット39(図12参照)が鉛の容器内に封じ込められる。
その後、図13(E)に示すように鉛の容器に封じ込められたデブリ回収バスケット39は、ワイヤラインキャッチャ111に持ち上げられ、水槽10から取り出されて、図1に示す格納コンテナ85内に一時保管される。ここで、デブリ回収バスケット39を、ワイヤラインキャッチャ111に代わりテレストコピックキャッチャ112を使って引き上げてもよい。
次に、破砕されたものの図12に示すような水流には巻き上げられない、燃料デブリの小片29a(図10(A)参照)の回収方法について説明する。ここでは、一辺が10cm以下の小片29aを回収対象としている。それ以上に大きな塊は、さらなる破砕の対象とされる。
図14は、破砕後の燃料デブリの小片を引き上げるときの水槽内の様子を示した模式図である。
このときはテレスコピックキャッチャ112が、気・水遮蔽装置54を通してデブリ回収用ガイドパイプ44内に差し込まれる。また、ここには水槽10内に引き上げられた燃料デブリの小片29aを収容するコンテナ92が用意されている。このコンテナ92は、放射線防護の役割を担っている。その他の点は図11の場合と同様である。
図15は、破砕後の燃料デブリの小片を引き上げる際の圧力容器底部の様子を示した模式図である。
捕集装置80は、その中にデブリ回収バスケット39(図12参照)が置かれていないことを除き、図16と同じ状態にある。この捕集装置80の、デブリ回収用ガイドパイプ44に繋がる底部は、開閉自在となっており、閉鎖時にはデブリ回収バスケット39(図12参照)を支持するとともに、開放時にはテレスコピックキャッチャ112の先端部を通過させる開口が形成される。テレスコピックキャッチャ112は、その開口から捕集装置80の下に先端を突き出し、燃料デブリの小片29aを把持して引き上げる。引き上げられた小片29aは、水槽10内の水中でコンテナ92(図14参照)に収容される。なお、この捕集装置80の、ポンプ用ガイドパイプ43に繋がる底部も、テレスコピックキャッチャ112の先端部を通過させることができるように、開閉自在となっている。
次に、破砕された燃料デブリの回収方法の別例について説明する。
図16は、この別例における、破砕された燃料デブリ回収時の水槽内の様子を示した模式図である。
デブリ回収用ガイドパイプ44用の気・水遮蔽装置54の上にコンテナ91が設置され、そのコンテナ91内にデブリ収容バスケット911が配置されている。このデブリ収容スケット911は、不図示の入口から水流とともに燃料デブリの粉体29bを取り込み、水のみをデブリ回収用ガイドパイプ44に向けて流出させるバスケットである。
ここで、気・水遮蔽装置54は、この場面において必要とするパイプ保持用ラム507とパイプ用ロータリシール508のみ示している。この気・水遮蔽装置54は、ポンプ用ガイドパイプ43用の気・水遮蔽装置53と同様、図7に示す気・水遮蔽装置50Aの構造を備えたものであっても構わない。
ポンプ用ガイドパイプ43用の気・水遮蔽装置53とコンテナ91との間が水流ガイドパイプ94で接続されている。その水流ガイドパイプ94の途中には、その水流ガイドパイプ94を開閉するバルブ95が配置されている。
また、ここには、もう1つのコンテナ92も用意されている。気・水遮蔽装置54の上に設置されたコンテナ91の中に置かれたデブリ収容バスケット911には、以下に説明するようにして燃料デブリの粉体29b(図17参照)が捕集される。この粉体29bが捕集されたデブリ収容バスケット911は、テレスコピックキャッチャ112で取り出され、もう1つのコンテナ92に収容される。このコンテナ92は放射線防護用のコンテナである。デブリ回収バスケット911は、このコンテナ92に収容された後、そのコンテナ92ごと水槽10から取り出されて、図1に示す格納コンテナ251に一時保管される。
図17は、ここで説明している別例における、破砕した燃料デブリ回収時における圧力容器底部の様子を示した模式図である。
ここでは、ポンプ用ガイドパイプ43の下部に揚水ポンプ381が配置されている。この揚水ポンプ37は、前述のポンプ38と同様、ポンプ用ガイドパイプ43内を吊り降ろされたものである。このポンプ用ガイドパイプ43の下部には、開口431で代表的に示すような、破砕された燃料デブリの粉体29bを巻き込んだ水が入り込み易いような工夫がなされている。この揚水ポンプ381を作動させると、圧力容器21に溜まっている水がポンプ用ガイドパイプ43内を上昇する。このとき、燃料デブリの粉体29bを水流に乗せて一緒に上昇させる。上昇した水流は、図16に示すコンテナ91に導かれ、デブリ回収バスケット911に捕集される。粉体29bが捕集された後の水は、デブリ回収用ガイドパイプ44を経由して圧力容器21内に戻される。このデブリ回収用ガイドパイプ44から流出した水によっても、燃料デブリの粉体29bが水中に巻き上げられる。
ここで、この別例においても前述の実施形態に合わせて同一の名前を用いているが、この別例におけるポンプ用ガイドパイプ43は、揚水用ガイドパイプと称すべき役割を担っており、デブリ回収用ガイドパイプ44は、戻り流用ガイドパイプと称すべき役割を担っている。
図18,図19は、ここで説明している別例における、破砕した燃料デブリの小片を回収する際の、それぞれ水槽内の様子、圧力容器底部の様子を示した模式図である。
ここでは、図18に示すように、気・水遮蔽装置54の上に置かれたコンテナ91の蓋91aが開かれ、テレスコピックキャッチャ112がそのコンテナ91および気・水遮蔽装置54を経由してデブリ回収用ガイドパイプ44内に挿入されている。このテレスコピックキャッチャ112は、図19に示すように圧力容器21の底部にある破砕後の燃料デブリの小片29aを把持して、水槽10内に運び上げる。そしてその運び上げられた小片29aは、テレスコピックキャッチャ112により、水槽10内に別に用意した、放射線防護機能を備えたコンテナ92に収容される。小片29aを収容したコンテナ92は、そのコンテナ92ごと水槽から取り出されて、図1に示す格納コンテナ251に一時保管される。
図16〜図19を参照して説明した別例においても、前述の実施形態の場合と同様、設備の変更なく、同一の設備で燃料デブリの粉体29bと小片29aとの双方を回収することができる。
これまでは、圧力容器21の底部に堆積している燃料デブリ19の回収方法について説明してきたが、コンクリートペデスタル22の底部に堆積している燃料デブリ29についても同様に回収される。
次に、燃料デブリ29の回収の前提となる、原子炉2の開削方法について説明する。
原子炉2の開削にあたっては、図1に示す、フロア24、格納容器23の天井部分、圧力容器22の上蓋部分、および圧力容器22の底部を、それぞれ開削対象とする必要がある。また燃料デブリ29のほか、圧力容器21の内部構造物28を回収対象とする必要がある。
これらの開削対象や回収対象のいずれの部分についても、その開削方法、回収方法はほぼ同様であるため、ここでは代表的に、圧力容器21の上蓋部分の開削およびその回収方法について詳細に説明する。その後、圧力容器21の内部構造物の回収方法、および圧力容器21の底部の開削方法について、それらの概要を説明する。
図20は、圧力容器21の上蓋部分の開削の様子を示した図である。
ここでは、可撓性ガイドパイプ42に内に挿通されている伝送ライン71(図4参照)の先端のレーザ照射ノズル72から、圧力容器21の蓋部211の中央部分にCOレーザ光Lが照射され、その上蓋213の中央に穴214が開けられる。
ここで、COレーザ光Lを照射するレーザ照射ノズル72は、COレーザ光Lを照射する向きを変更することができる構成を有する。したがって、この図20に示すように、圧力容器21の上蓋213の中央(ドライビングパイプ41の真下)にもCOレーザ光Lを照射して、その部分を破砕することができる。
穴214の形成にあたっては、支持部材60をゆっくりと回転させながら行ない、この図20に示すように最初は幅広に抉られ、徐々に狭幅に深く抉られて最終的に貫通する形状となっている。
COレーザ光Lをエネルギー源として使って穴214を開削するにあたっては、レーザ照射ノズル72から出射されたCOレーザ光Lが圧力容器21に照射されるまでのCOレーザ光Lの通路が、水で満たされている必要がある。前述の通り、COレーザ光Lによる開削の際は、冷却のために水を流し続けているため、圧力容器21に向かって照射されるCOレーザ光Lの通路上に水を満たしておくことは可能である。
図21は、落下部材挿入時の様子を示した図である。
図20を参照して説明したようにして、圧力容器21の上蓋211の中央に穴214が開けられると、次に、その穴214に、落下防止部材99が挿入される。この落下防止部材99は、ワイヤ98により上から吊り下げられ、ドライビングパイプ41に案内させて吊り降ろされたものである。この落下防止部材99は、棒形状を有し、その棒を縦に立てた状態で穴214に差し込まれ、横に倒すことでその穴214から抜け止めされる構造のものである。ドライビングパイプ41の下端は、落下防止部材99の案内のために必要であれば、圧力容器21の近くまで延ばしでもよい。
図22は、ボルト切断時の様子を示した図である。
図21に示すようにして穴214に落下防止部材99が差し込まれると、今度は、この図23に示すように、圧力容器21の蓋部213を胴部219に固定しているボルト215がCOレーザ光Lで破壊される。これはボルト215が歪んでしまっていて単純には外せないことがあり得ることを想定したものである。ボルト215を正常に取り外すことができるときは、可撓性ガイドパイプ42内に、伝送ライン71の代わりに、ボルト215を緩めて取り外す装置を先端に備えたアクチュエータを挿入して、ボルト215を外してもよい。ボルト215を破壊し、あるいは取り外すと、圧力容器21の蓋部213は胴部219から分離され、ワイヤ98で吊り上げることができる状態となる。
図23〜図30は、圧力容器の上蓋の回収の手順を順を追って示した図である。
ここでは、先ず、図23に示すように、圧力容器21の蓋部214が、ドライビングパイプ41に案内されて落下防止部材99を吊り降ろしているワイヤ98により、遮蔽室19内にまで吊り上げられる。このとき必要であれば、ドライビングパイプ41や支持装置60等も上に持ち上げられる。
次いで図24に示すように遮蔽室19のハッチ式の床面12を閉じ、図25に示すように水門151を開けて運搬機16を遮蔽室19内に移動させ、圧力容器21を吊り上げている蓋部214をその運搬機16に載せる。
次に、図26に示すように、圧力容器21の蓋部214を載せた運搬機16を隧道15内に移動させて水門151を閉じ、さらに、図27に示すように、今度は水門152を開けて、運搬機16を、隧道15の、2つの水門152,153の間の空間に移動させる。これらの水門152,153は、本発明にいう、それぞれ第1の水門および第2の水門の各一例に相当する。
運搬機16を2つの水門152,153の間の空間に移動させた後、次に図28に示すように、それら2つの水門152,153のうちの遮蔽室19側の水門152を閉じて水槽25側の水門153を開ける。すると、その運搬機16が置かれた空間に水槽25の水Wが入り込んで、その空間に水が充満し、その空間が水槽25内と一体となる。
そこで、次に、図29に示すように、運搬機16を水槽25内のハッチ253に移動させ、その運搬機16に載っている圧力容器21の蓋部214が再度ワイヤ97で吊られ、その蓋部214が水槽25内に降ろされる。
その後、その蓋部214は水槽25内で細断されて、その細断片214aが、図30に示すように、格納コンテナ251内に収納される。
運搬機16は、再び2つの水門152,153の間の空間に移動して水門153が閉じ、それら2つの水門152,153の間の空間が排水され、水門152が開かれ、図23に示す待機位置に移動して待機する。
なお、圧力容器21の蓋部213の中央の穴214の開削にあたって発生した細かな小片は、圧力容器21内に落下した後、圧力容器21の底部の燃料デブリ29と一緒に破砕、回収される。
次に、圧力容器21の内部構造物の撤去方法について説明する。
図31は、圧力容器21の内部構造物の撤去作業における位置決め時の様子を示した図である。
上蓋213(図20参照)を撤去した後の圧力容器21の上部において、ドライビングパイプ41による支持装置60の回転および支持装置60による可撓性ガイドパイプ71の移動により、その可撓性ガイドパイプ71に挿通されている伝送ライン71の先端のレーザ照射ノズル72を、圧力容器21の内部構造物28の、今回撤去しようとしている位置に合わせる。なお、ここでは、内部構造物28は単純化して1つの矩形で示してある。
図32は、圧力容器の内部構造物にCOレーザ光Lを照射している様子を示した図である。
可撓性ガイドパイプ71の移動によりレーザ照射ノズル72を内部構造物28に対し位置決めした後、その内部構造物28にCOレーザ光Lを照射して内部構造物28の小塊281を生成する。
図33は、圧力容器の内部構造物の小塊を把持する様子を示した図である。
内部構造物28にCOレーザ光Lを照射して小塊281を生成した後、今度は、ポンプ用ガイドパイプ43およびデブリ回収用ガイドパイプ44が、その小塊281の上に位置するように、ドライビングパイプ41による支持装置60の回転やパイプ43,44の移動が行なわれる。その後、それらのパイプ43,44にテレスコピックキャッチャ112が挿し込まれて小塊281が把持される。ここで、捕集装置80は、前述の通り、双方のパイプ43,44の真下の部分が開放されてテレスコピックキャッチャ112を下に突き出すことができる構造を有する。
その後は、図23を参照して説明した圧力容器21の上蓋214の場合と同様にして、その小塊80が遮蔽室19内に持ち上げられ、さらに、図24〜図30を参照して説明した、圧力容器21の上蓋214の運搬と同様にして水槽25内に運搬されて、その水槽25内に一時保管される。
次に、圧力容器の底部の開削について、その概要を説明する。
図34は、圧力容器の底部の開削時の様子を示した図である。
また、図35は、開削中の圧力容器の底を上方から見下ろして示した図である。
ここでは、圧力容器21内の内部構造物28および燃料デブリ29を除去した後、圧力容器21自体の底にCOレーザ光Lが照射され、圧力容器21の底の中央に穴211が開けられ、その穴211にワイヤ98により吊り下げられた落下防止部材99が挿入される。穴211は、圧力容器21の上蓋213の中央の穴214と同様、最初は幅広に抉られ、徐々に狭幅に深く抉られて最終的に貫通する形状となっている。中央に穴を開けてその穴に落下防止部材99を挿入することについては、圧力容器21の上蓋213に関し説明済であるため、ここでのこれ以上の説明は省略する。中央の穴211に落下防止部材99を挿入した後、次に、図35に示すような円環状の穴212が開けられる。この円環状の穴212も、最初は幅広に抉られ、徐々に狭幅に深く抉られて最終的に貫通した形状となっている。このようにして円環状の穴212が貫通すると、圧力容器21の上蓋213の場合と同様、ワイヤ98により、圧力容器21の切断された底部が遮蔽室19内に引き上げられ、隧道15を経由して水槽25内に運ばれて、その水槽25内に一時保管される(図23〜図30参照)。
なお、圧力容器21の底に一部でも穴が開くと、その穴から下に水が漏れることになる。ただし、前述の通り、COレーザ光による開削の際は冷却のために水を流し続けているため、圧力容器21の底に向かって照射されるCOレーザ光の通路上に水を満たしておくことは可能である。あるいは底に開いた穴からの大きな水漏れを抑えるようにある程度のシールを施しながら開削作業を進めてもよいし、デブリ回収パイプ内にセメント注入パイプを挿入して水漏箇所まで導き、セメンチングにより塞いでもよい。また、他のパイプ、例えば、デブリ回収用ガイドパイプ等からも水を供給しながら開削作業を行ってもよい。
なお、ここでは、圧力容器21の切断された底を上に引き上げる旨、説明したが、圧力容器21の切断した底は上に引き上げるのではなく、コンクリートペデスタル22内に落下させてもよい。その場合、コンクリートペデスタル22内に落下した圧力容器21の底部は、燃料デブリと同様に細かく切断あるいは破砕され、燃料デブリと同様な方法で除去される。
ここでは、圧力容器21の上蓋213の回収、圧力容器21の内部構造物28の撤去、および圧力容器21の底の開削について説明したが、図1に示す格納容器23の上部の開削やフロア24の開削についても同様に行なわれる。ただし、フロア24等が放射能に汚染されていないときは、水槽25内への運搬、保管は不要であり、単純に外部に運び出すか、あるいは格納容器23の周りに落下させてもよい。
なお、ここでは、COレーザ光を照射して開削する例を説明したが、開削にあたっては、COレーザ光を用いるのではなく、例えば、可撓性ガイドパイプ42を利用して、圧力容器21の底に機械的なエネルギーを加える装置を差し込んで開削してもよい。
次に、本実施形態の燃料デブリ回収システム1を採用したときの原子炉2の開削および燃料デブリ29の回収の手順を説明する。
図36〜図42は、原子炉2の開削および燃料デブリ29の回収の手順を順を追って示した図である。
先ずは、図36に示すように支持装置60を遮蔽室19の内壁に支持させておいて、フロア24にCOレーザ光Lを照射してフロア24を開削する。
次に図37に示すように、今度は格納容器23にCOレーザ光Lを照射してその格納容器23の上部を開削する。
さらに、図38に示すように、今度は圧力容器21の上蓋213を取り外して圧力容器21を開ける。
さらに次に、図39に示すように、圧力容器21の内部構造物28を撤去する。
次に、図40に示すように、パイプ41〜44を延長し、また下段の支持装置60を圧力容器21内に降下させてその圧力容器21の内壁面に支持させ、今度は圧力容器21の底に溜っている燃料デブリ29にCOレーザ光Lを照射して破砕し、その燃料デブリの破砕粉や破砕片をパイプ内を通して水槽10内に引き上げて回収する。
次に、図41に示すように、圧力容器21の底を開削する。
さらに、図42に示すように、パイプ41〜44をさらに延長し、また下段の支持装置60をコンクリートペデスタル22内に移動させてコンクリートペデスタル22の内壁に支持させ、コンクリートペデスタル22の底部に溜っている燃料デブリ29を回収する。
コンクリートペデスタル22の底部に堆積した燃料デブリ29の回収方法は、支持装置60が再配置され、かつパイプ長が延長されることを除き、圧力容器21の底部に堆積した燃料デブリ29の回収方法と同様である。
図43は、燃料デブリ回収システムのもう1つの実施形態を示した図である。
ここでは、図1において付した符号と同一の符号を付して示し、ここでは前述の実施形態との相違点のみ説明する。
この図43には、図1に示す実施形態にさらに、耐放射線カメラガイドパイプ45と、その耐放射線カメラガイドパイプ45用の気・水遮蔽装置55と、その耐放射線カメラガイドパイプ45に案内されて圧力容器21内に吊り下げられた耐放射線カメラ49が示されている。この耐放射線カメラ49は、圧力容器21の底部の様子やそこに堆積した燃料デブリ29の様子を写し出すカメラである。耐放射線カメラガイドパイプ45は、前述したCOレーザ光を伝送する伝送ライン71(図4参照)を案内する可撓性ガイドパイプ42と同様のパイプである。したがってその耐放射線カメラガイドパイプ45用の気・水遮蔽装置55も可撓性ガイドパイプ42用の気・水遮蔽装置52と同じく、図9に示すタイプの気・水遮蔽装置50Cが使用されている。
なお、ここでは図示を省略したが、上段の支持装置60には、耐放射線カメラガイドパイプ45を半径方向に移動させるポジショナが備えられている。また、この耐放射線カメラガイドパイプ45には、耐放射線カメラ49自体のみでなく、その耐放射線カメラ49の姿勢や方向を制御するための設備も通過している。
ここでは、耐放射線カメラガイドパイプ45について説明したが、他の目的の様々なパイプ、例えば圧力容器内の水位計測用のメジャーを挿し込むためのパイプや水Wや燃料デブリ29の成分を分析するための分析器を案内するためのパイプなどを設置してもよい。
また、ここでは圧力容器21や燃料デブリ29にCOレーザ光を照射する装置について説明したが、本発明は、必ずしもCOレーザ光を用いることに限定するものではない。ただし、水に浸った開削あるいは破砕対象物をレーザ光を用いて破砕するときは、波長2.0μm以上のレーザ光を用いることが好適である。
あるいは、レーザ光を離れ、機械的なエネルギーを与えて開削あるいは破砕する破砕装置を採用してもよい。
また、ここでは、破砕した燃料デブリの粉体29bを回収するにあたっては、水流を発生させ、粉体29bを水流に乗せて捕集する例について説明したが、乾燥した雰囲気にある場合は、バキュームで吸引するなど、他の回収方法を採用してもよい。
本実施形態の燃料デブリ回収システム1を採用すると、原子炉2の上に水槽10で塞がれた遮蔽室19が設置されているため、安全な回収作業が行われる。
1 燃料デブリ回収システム
2 原子炉
10,25 水槽
11 防護壁
12 床面
13,252 ハッチ
14 建屋
15 隧道
16 運搬機
19,100 遮蔽室
21 圧力容器
22 コンクリートペデスタル
23 格納容器
24 フロア
28 内部構造物
29 燃料デブリ
29a 小片
29b 粉体
34,144 回転駆動装置
38 ポンプ
39,911 デブリ回収バスケット
41 ドライビングパイプ
42 可撓性ガイドパイプ
43 ポンプ用ガイドパイプ
44 デブリ回収用ガイドパイプ
45 耐放射線カメラガイドパイプ
49 耐放射線カメラ
50A,50B,50C,51〜54 気・水遮蔽装置
60 支持装置
61 固定リング
62 回転支持体
71 伝送ライン
72 照射ノズル、レーザ照射ノズル
80 捕集装置
91,92 コンテナ
95 バルブ
98 ワイヤ
99 落下防止部材
101 台座
102 ボールベアリング
103,105 ギア
104,143 モータ
111 ワイヤラインキャッチャ
112 テレスコピックキャッチャ
141 隔壁
142 天板
151,152,153 水門
191,252 開口
211,212,214 穴
213 上蓋
215 ボルト
219 胴部
251 格納コンテナ
281 小塊
381 揚水ポンプ
411 着脱装置
501 パイプ締付装置
502,507 パイプ保持用ラム
503,504 圧潰用ラム
505,506 シール用ラム
508 パイプ用ロータリシール
611 アーム
631,632,633 通路
651,652,653 ポジショナ
713 支持部材
714 結合光学系

Claims (8)

  1. 原子炉上部に設置される、側部一周および上部が放射能遮蔽能を有する遮蔽室と、
    前記遮蔽室に設けられた開口と第1の水槽の横壁に設けられた開口とを繋ぐ隧道と、
    前記隧道を遮る、相対的に遮蔽室寄りの第1の水門および相対的に前記第1の水槽寄りの第2の水門を含む複数の水門と、
    前記第1の水門と前記第2の水門とに挟まれた空間への水の充満と該空間からの水の抜取りとを制御する給排水設備と、
    前記隧道を通って前記遮蔽室と前記第1の水槽との間を移動し、該遮蔽室内の運搬対象物を載せて該第1の水槽に向けて運搬する運搬機と、
    前記原子炉を開削し、開削により生じた破片を前記遮蔽室に引き上げて前記運搬機に載せる開削設備とを備えたことを特徴とする原子炉開削システム。
  2. 前記遮蔽室が、開閉自在な床面を有することを特徴とする請求項1記載の原子炉開削システム。
  3. 前記遮蔽室上部に設置される、底に1つ以上の第1の貫通孔が設けられた第2の水槽を備え、
    前記開削設備が、前記第1の貫通孔それぞれを通過しさらに前記遮蔽室を通過して前記原子炉内に延在するパイプを備えたものであって、
    さらに、前記第1の貫通孔それぞれに連通するように前記第2の水槽の底部に設置され、前記パイプそれぞれを囲繞して該第1の貫通孔の該パイプの周りからの気体および水の洩れを防止する1つ以上の第1の気・水遮蔽装置を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の原子炉開削システム。
  4. 前記第2の水槽が、鉛直方向に延びる回転中心線の回りに回転自在であり、
    前記第2の水槽よりも下方に設置され、鉛直方向に延びる回転中心線の周りに回転自在であって前記パイプをさらに下方へと通過させる通路を有し、さらに、該通路を通過した前記パイプを支持して半径方向に移動させる移動機構を有する支持装置をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の原子炉開削システム。
  5. 前記第2の水槽を回転駆動する第1の駆動装置と、
    前記支持装置を回転駆動する第2の駆動装置とを備え、
    前記第2の水槽が、該第2の水槽の底の、該第2の水槽の回転中心線上に第2の貫通孔を有し、
    前記第2の駆動装置が、
    前記第2の貫通孔を通過して上下に延び前記支持装置に取り付けられた駆動軸と、
    前記駆動軸を回転駆動することにより、該駆動軸に、前記支持装置を回転駆動させる駆動源とを有し、
    さらに当該原子炉開削システムが、
    前記第2の水槽底部に前記第2の貫通孔に連通するように設置され、前記駆動軸を囲繞して該第2の貫通孔の該駆動軸の周りからの気体および水の洩れを防止する第2の気・水遮蔽装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の原子炉開削システム。
  6. 前記パイプのうちの少なくとも1つが可撓性ガイドパイプであって、
    前記開削設備が、
    前記可撓性ガイドパイプに導入され該可撓性ガイドパイプに案内されて前記原子炉の開削対象部分にレーザ光を照射する位置まで差し込まれて該レーザ光を伝送する伝送ラインと、
    前記伝送ラインにレーザ光を送り込むレーザ光源とを備えたことを特徴とする請求項3から5のうちいずれか1項記載の原子炉開削システム。
  7. 前記レーザ光源が、COレーザ光を出射するCOレーザ光源であり、
    前記伝送ラインが、レーザ光が内部を通過する伝送管と、2本の伝送管どうしの間に配置され1本の伝送管から出射したレーザ光を反射してもう1本の伝送管に入射する可撓性ジョイントとを交互に備えた伝送ラインであることを特徴とする請求項6記載の原子炉開削システム。
  8. 原子炉を開削する原子炉開削方法であって、
    原子炉上部に設置される、側部一周および上部が放射能遮蔽能を有する遮蔽室と、
    前記遮蔽室に設けられた開口と第1の水槽の横壁に設けられた開口とを繋ぐ隧道と、
    前記隧道を遮る、相対的に遮蔽室寄りの第1の水門および相対的に前記水槽寄りの第2の水門を含む複数の水門と、
    前記第1の水門と前記第2の水門とに挟まれた空間への水の充満と該空間からの水の抜取りとを制御する給排水設備と、
    前記隧道を通って前記遮蔽室と前記第1の水槽との間を移動し、該遮蔽室内の運搬対象物を載せて該第1の水槽に向けて運搬する運搬機と、
    前記原子炉を開削し、開削により生じた破片を前記遮蔽室に引き上げて前記運搬機に載せる開削設備とを備えた原子炉開削システムを設置し、
    前記開削設備を用いて前記原子炉を開削し開削により生じた破片を前記遮蔽室に引き上げて前記運搬機に載せ、
    前記第1の水門を開放して前記第2の水門を閉じた状態で、前記破片を載せた前記運搬機を前記隧道内の該第1の水門と該第2の水門とに挟まれた空間に移動させ、
    前記第1の水門を閉鎖するとともに前記第2の水門を開放して前記空間に水を充満させ、
    前記破片を載せた運搬機を前記第2の水門よりも前記第1の水槽側に移動させて、該運搬機に載せた前記破片を該運搬機から該第1に水槽内に移すことを特徴とする原子炉開削方法。
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