JP2016044814A - 特に車両のための旋回ベアリング - Google Patents

Abstract

【課題】改良されたシールを備えかつ製造容易な、特に車両用の旋回ベアリングを提供することを目的とする。【解決手段】内輪１２と、外輪１４と、これら内輪と外輪との間に配置された少なくとも一つの転動体１６の列と、前記内輪と外輪との間に前記転動体１６が配置される閉鎖環状空間３０を画定するシール手段３４，３６とを備える、特に車両用の旋回ベアリング。前記外輪１４に固定され、かつ該ベアリングの外側に向けて傾斜した少なくとも一つのシールリップ４０ｂを有する少なくとも一つのシール４０と、前記外輪に固定され、かつ、前記シールの前記シールリップ４０ｂに対して外側に向けて軸方向に少なくとも部分的にオフセットされた偏向部４２ｂを備える少なくとも一つのデフレクタ４２と、を備える。【選択図】図１

Description

本発明はベアリングの分野に関するもので、特に外輪、内輪、及びこれら外輪及び内輪との間に設けられた複数のころといった少なくとも一列の転動体、を備えたベアリングに関する。

より詳しくは、本発明は特に、風力タービン、トネラー (tunneller) あるいは掘削機といったトンネル掘削機、車両、例えば軍用車、あるいはタワークレーンに用いられる、固定部に対して可動部を回転させることのできる大径の旋回ベアリングに関する。

特許文献１は、内輪と外輪との間に配設されたころの列、及び、両輪間に前記ころを収納する閉塞された環状空間を半径方向に規定する複数のシールを備えた旋回ベアリングを開示している。

米国特許第 6,113,276 号明細書

そのような旋回ベアリングの前記シールは、特定の運転状況下、特に水中に入ることの可能な車両での使用においては性能が充分でないことが証明されている。

本発明は、この従来の欠点を排除することを目的とする。

詳細には、本発明は、改良されたシールを備えかつ製造容易な、特に車両用の旋回ベアリングを提供することを目的とする。

一実施形態において、この旋回ベアリング、特に車両用である旋回ベアリングは、内輪と、外輪と、これら両輪間に配設された少なくとも一つの転動体の列と、両輪間に前記転動体を収納する閉塞環状空間を画定するシール手段と、を備える。

該ベアリングはまた、前記外輪に固定されかつ該ベアリングの外側に向けられた少なくとも一つのシールリップを備えた少なくとも一つのシールと、前記外輪に固定されかつ前記シールのシールリップに対して外側に向けて軸方向に少なくとも部分的にオフセットされた偏向部 (deflecting part) を備えた少なくとも一つのデフレクタと、を備えている。

好ましくは、前記デフレクタは、前記シールに対し半径方向外方にオフセットされている。有利には、デフレクタの前記偏向部は、前記シールの前記シールリップを径方向に囲んでいる。デフレクタの前記偏向部は軸方向に、あるいは斜めに延在するものとすることができる。

前記シールの前記シールリップは前記外輪の前面に対して軸方向に突出したものとすることができる。

一実施形態では、前記デフレクタは前記外輪の外面に取り付けられている。前記デフレクタは、前記外面に形成されたスロット内に固定することが可能である。

一実施形態では、前記シールは前記外輪の前面に形成されたスロット内に固定することが可能である。

一実施形態では、前記外輪は少なくとも二つの組立部分リング体から成る。これら二つの部分リング体間にシールを介装することができる。あるいは、前記内輪を一体ものとして作製してもよい。

本発明はまた車両、例えば、シャシーと、該シャシーに対して回転可能とされたタレット（回転砲塔）と、これらシャシーとタレットとの間に介装された上記に規定した少なくとも一つのベアリングと、を備えた戦車 (tank) に関する。該ベアリングの前記シールの前記シールリップは前記シャシーに摩擦によって接触し、かつ、狭窄路シール (narrow-passage seal) を構成すべく、前記デフレクタの前記偏向部が前記シャシーと接触している。

本発明は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照した非限定的な実施形態によりより詳細に理解される。

本発明の第一実施形態による旋回ベアリングの軸方向部分断面図である。 本発明の第二実施形態による旋回ベアリングの軸方向部分断面図である。

図１において、全体として符号１０で示すこの大径旋回ベアリングが、入水可能な車両に用いられている。該車両のシャシーは部分的に点線で示してある。

このベアリング１０は、内輪１２と、外輪１４と、これら両輪間に設けられた一列のアンギュラコンタクトころ１６と、複数のころを周方向に一定間隔に保つ保持器１７と、を備える。前記内輪１２及び外輪１４は同軸であり、該ベアリングの回転軸（図示せず）の軸方向に延在している。内輪１２は中実 (solid) である。「中実輪 (solid ring) 」とは、該リングが、管、棒、及び、鍛造加工及び／又はロール加工されたブランクからチップを除去（回転、研磨）する機械加工によってその形状が得られたことを意味する。

前記内輪１２は一体ものとして作製され、前記車両の前記シャシーに取り付けられる。この内輪１２は、複数の半径方向の歯（符号なし）が設けられたボア１２ａを有する。これら半径方向の歯は、該車両の可動タレットの向きを変えるために歯車と噛合する。前記ボア１２ａは、前記リングの二つの反対側に位置する側方半径面１２ｂ，１２ｃによって軸方向に画定されている。内輪１２はまた、段付外面１２ｄを有し、該外面１２ｄには、複数の前記ころ１６を取り付けるための溝が形成されている。

前記内輪１２はまた、前記ころ１６のために該内輪に取り付けられた環状内側軌道１８及び環状内側案内路２０を備えている。これら軌道１８及び案内路２０は、該内輪の前記外面１２ｄに形成された前記溝内に設けられている。これら軌道１８及び案内路２０は、周方向に連続している。軌道１８は前記ころ１６の各々の外側転動面と線接触する。前記案内路２０は、ころ１６の端面の一方と軸方向に接触し、該ころの前記転動面を軸方向に画定している。

図示の実施形態において、前記外輪１４は二つの組立部分リング体２２，２４から構成されている。該外輪１４はこれら二つの部分リング体２２，２４によって軸方向に分割されている。これら部分リング体２２，２４は互いにネジ留めすることによって組み立てることができる。これら部分リング体２２，２４は中実タイプのものである。

前記外輪１４は該車両の前記タレットに取り付けられる。外輪１４は段付き外面１４ａと、互いに反対側を向いた二つの前方半径面１４ｂ，１４ｃとを備える。これら前方半径面１４ｂ，１４ｃが、前記外面の軸方向長さを定めている。外輪１４はまた、段付きボア１４ｄを形成し、該ボアに、前記ころ１６を取り付けるための溝が形成されている。前記外輪の前記外面１４ａ及び前記ボア１４ｄはそれぞれ、前記部分リング体２２，２４の複数の前記外面及び複数の前記ボアによって構成されている。前記半径面１４ｂは前記部分リング体２２に、また前記半径面１４ｃは前記部分リング体２４に形成されている。前記部分リング体２２は、前記部分リング体２４との間に僅かな軸方向間隙を残して、部分リング体２４と軸方向反対側に位置している。あるいは、部分リング体２２は部分リング体２４と軸方向において接触していてもよい。

前記外輪１４はまた、前記コロ１６のために該外輪に設けられた環状外側軌道２６及び環状外側案内路２８を有している。これら軌道２６及び案内路２８は、前記ボア１４ｄ内に形成された前記溝内に設けられている。これら軌道２６及び案内路２８は、周方向において連続したものである。前記軌道２６は、前記ころ１６の各々の前記外側転動面と線接触する。前記案内路２８は前記ころ１６の端面の一つと軸方向接触するものである。前記内輪の前記軌道１８及び前記外輪の前記軌道２６は、互いに対向し、かつ前記コロの回転軸に対して対称の関係にある。同様に、前記内側案内路２０及び外側案内路２８は互いに対向している。図示のこの実施形態では、前記軌道１８，２６及び案内路２０，２８は前記内輪１２及び前記外輪１４に取り付けられている。あるいは、これら軌道及び案内路は両輪に直接形成することもできる。

前記内輪の前記外面１２ｄ及び前記内輪の前記ボア１４ｄは、互いの間に径方向に環状空間３０を形成しており、該環状空間内に前記ころ１６の列及び前記保持器１７が配置されている。また、該ベアリング１０は、前記内輪１２及び外輪１４の間に形成された前記環状空間３０を閉塞するための環状シール３４，３６を備えている。これらのシール３４，３６によって、該環状空間３０は、グリースや塵埃等の外部の汚染粒子の侵入、並びに液体の侵入から保護されている。

前記シール３４は、前記外輪内の前記ボア１４ｄ内に形成された環状スロット（符号なし）の内部に取り付けられ、かつ、前記内輪の前記前面１２と摩擦接触するよう、内側に向けて径方向に突出している。この場合、前記シール３４と前記内輪１２とは軸方向に接触する。前記シール３６は前記外輪の前記段付き前面１４ｄに形成された環状スロット（符号なし）内に取り付けられ、かつ、前記内輪の前記外面１２ａを拭うように、内側に向けて径方向に突出している。この場合、該シール３６と前記内輪１２とは径方向に接触する。図示の実施形態では、前記シール３６はスプリングシールである。

また、該ベアリング１０は、前記外輪１４に固定された、環状シール４０と、エプロンを形成する環状デフレクタ４２とを備えている。該シール４０は、エラストマ製、例えばニトリルゴム製のものとすることができる。前記シール４０は、例えば該車両が水中にあるとき、あるいは濡れた状態での走行時、あるいは洗浄時等において、該ベアリング１０と車両の前記シャシーとの間からの液体の侵入を制限する。該シール４０は、前記外輪の前記段付き前面１４ｂに形成された環状スロット４４内に固定されている。該スロット４４は、前記外輪の半径方向に前記外面１４ａに近接して形成され、かつ、軸方向外側に向いている。

前記シール４０は、前記スロット４４内に固定された環状ヒール４０ａと、該環状ヒール４０ａから軸方向に外側に、すなわち前記外輪１４から遠ざかる側に突出した環状シールリップ４０ｂと、を備えている。前記リップ４０ｂは、前記外輪の前記前面１４ｂにおける、前記スロット４４が形成された部位に対して軸方向に突出している。前記リップ４０ｂは、前記前面１４ｂのこの部位に対して、該ベアリングの外側に向けて軸方向にオフセットされている。前記リップ４０ｂは軸方向に可撓性を有す。この実施形態では、リップ４０ｂは、前記ヒール４０ａの小径縁から外側に向けて傾斜して延在している。

前記リップ４０ｂは前記車両の前記シャシーと共に動的シール機能を発揮する。「動的シール」とは、互いに対して動く二つの部材間をシールすることを意味する。前記リップ４０ｂは前記シャシーと摩擦接触するものである。従って、該リップ４０ｂはシャシーと接触する部分を有する。このリップ４０ｂとシャシーとの摩擦接触は軸方向のものである。前記リップ４０ｂの自由端は、シール４０と前記シャシーとの間の摩擦を制限するために、有利には、断面三角形となっている。リップ４０ｂは、前記シール３６に対して半径方向外方にオフセットされており、かつ前記シールの上流において前段シールを形成しており、これにより、液体ができるだけ該シールに接近して侵入しないように制限している。

前記デフレクタ４２はエラストマ製、例えばニトリルゴム製のもの、あるいは鋼製のもおのとすることができる。該デフレクタ４２は、前記外輪の前記外面１４ａに形成された環状スロット４６内に固定されている。前記スロット４６は半径方向外側に向けられている。前記スロット４６は、前記スロット４４に対し、前記部分リング体２４の側方側寄りに軸方向にオフセットされている。前記デフレクタ４２は、前記シール４０に対し、半径方向外側にオフセットされている。前記デフレクタ４２は、前記スロット４４内に取り付けられた環状ヒール４２ａと、該ヒールから軸方向に延出した環状偏向部４２ｂとを備える。

前記偏向部４２ｂは、前記外輪の前記外面１４ａを部分的にカバーし、かつ該外面と径方向において接触する。前記偏向部４２ｂは、前記前面１４ｂにおける前記スロット４４が形成されている部分に対し、かつ前記シールの前記リップ４０ｂに対し、該ベアリングの外側に向けて軸方向に突出している。この偏向部４２ｂは前記シールのリップ４０ｂを超えて軸方向に延在している。この偏向部４２ｂは、前記リップ４０ｂに対して該ベアリングの外側に向けて軸方向にオフセットされた自由端４２ｃを有している。この偏向部４２ｂにおける、外輪の前記前面１４ｂよりも突出した部分は前記リップ４０ｂを径方向に囲んでいる。

前記偏向部４２ｂは前記車両のシャシーに対して動的シール機能を発揮する。該偏向部４２ｄは前記シャシーを径方向に囲み、かつ狭窄路シールを形成する。この場合、前記デフレクタ４２と前記シャシーとの間のこの狭窄路は径方向のものである。前記シールのリップ４０ｂに対し外側に向けて径方向にオフセットされた偏向部４２ｂは、前記リップの上流側で前段シールを形成している。これにより、前記シールの前記リップ４０ｂに向かいかつそこに至る汚染粒子の数を減少させることが可能となる。特に、汚染粒子を含む流れが外部から外輪１４の方向に向かうときには、前記偏向部４２ｂが、前記流れがシールの前記リップ４０ｂに至ることを防止する障害物を形成する。

この実施形態においては、該ベアリング１０は、さらに、外輪の前記部分リング体２２，２４間に軸方向に介装された外部シール４８と、両リング体間に半径方向に介装された内部シール５０と、を有している。該ベアリング１０はまた、外輪の半径面１４ｃに形成された環状スロット（符号なし）内に固定されたシール５２を備えている。

この実施形態において、前記シール４０及び前記デフレクタ４２は前記外輪の前記部分リング体２２に取り付けられている。車両のシャシーの構成に応じて、前記シール４０及び該デフレクタ４２は、変形実施形態である図２に示すように、前記外輪の前記部分リング体２４に固定することも可能である。図２では、図１のものと同様の構成要素には同一の符号を付してある。この変形例では、部分リング体２４の径が先の例のものよりも小径となっている。この場合、デフレクタ４２は、ヒール４２ａから外側に向けて傾いて延びた偏向部４２ｂを備えている。該デフレクタ４２と前記シャシーとの間の狭窄路は、この場合、軸方向に形成される。

以上では、本発明を、単列転動体を備えた旋回ベアリングを例に説明したが、複列の転動体あるいはそれ以上の数の転動体列を備えた構成とすることもできる。

本発明は、固定部に対する可動部の回転を保証する旋回ベアリングを提供する。該ベアリングは、該シールとデフレクタの使用によって改善されたシールを有する。これらシール及びデフレクタは、外輪に設けられ、汚染粒子及び汚染液体の転動体への侵入を制限するために、摩擦シール及び狭窄路シールをそれぞれ得るべく前記固定部と接触することが可能となっている。

１２ 内輪
１４ 外輪
１４ａ 外面
１４ｂ 前方半径面（前面）
１４ｃ 前方半径面（前面）
１６ 転動体
１７ 保持器
２２，２４ 組立部分リング体
３０ 環状空間
３４，３６ シール手段
４０ シール
４０ｂ シールリップ
４２ デフレクタ
４２ｂ 偏向部
４６ スロット
４８，５０ シール

Claims (11)

1. 内輪（１２）と、外輪（１４）と、前記内輪及び前記外輪の間に配置された少なくとも一つの転動体（１６）の列と、前記内輪と外輪との間に前記転動体（１６）が配置される閉鎖された環状空間（３０）を画定するシール手段（３４，３６）とを備えた、特に車両用の旋回ベアリングであって、
   前記外輪（１４）に固定され、かつ該旋回ベアリングの外側に向けて傾斜した少なくとも一つのシールリップ（４０ｂ）を有する少なくとも一つのシール（４０）と、
   前記外輪に固定され、かつ、前記シールの前記シールリップ（４０ｂ）に対して軸方向に外側に向けて少なくとも部分的にオフセットされた偏向部（４２ｂ）を備える少なくとも一つのデフレクタ（４２）と、
   を備える旋回ベアリング。
2. 請求項１記載の旋回ベアリングにおいて、前記デフレクタ（４２）が前記シール（４０）に対して外方に向けて半径方向にオフセットされている、旋回ベアリング。
3. 請求項１又は２記載の旋回ベアリングにおいて、前記デフレクタの前記偏向部（４２ｂ）が前記シールの前記シールリップ（４０ｂ）を径方向に囲んでいる、旋回ベアリング。
4. 請求項１ないし３の何れか一項記載の旋回ベアリングにおいて、前記シールの前記シールリップ（４０ｂ）が前記外輪（１４）の前面（１４ｂ）に対して軸方向に突出している、旋回ベアリング。
5. 請求項１ないし４の何れか一項記載の旋回ベアリングにおいて、前記デフレクタの前記偏向部（４２ｂ）が、軸方向に又は斜めに延出している、旋回ベアリング。
6. 請求項１ないし５の何れか一項記載の旋回ベアリングにおいて、前記デフレクタ（４２）が前記外輪の外面（１４ａ）に固定されている、旋回ベアリング。
7. 請求項６記載の旋回ベアリングにおいて、前記デフレクタ（４２）が、前記外面に形成されスロット（４６）内に固定されている、旋回ベアリング。
8. 請求項１ないし７の何れか一項記載の旋回ベアリングにおいて、前記シール（４０）が、前記外輪の前面（１４ｂ）に形成されたスロット（４４）内に固定されている、旋回ベアリング。
9. 請求項１ないし８の何れか一項記載の旋回ベアリングにおいて、前記外輪（１４）が少なくとも二つの組立部分リング体（２２，２４）を備える、旋回ベアリング。
10. 請求項９記載の旋回ベアリングにおいて、二つの前記組立部分リング体間に介装されたシール（４８，５０）を備える、旋回ベアリング。
11. シャシーと、
    該シャシーに対し回転可能なタレットと、
    少なくとも一つの、請求項１ないし１０の何れか一項記載の旋回ベアリング（１０）であって、前記タレットと前記シャシーとの間に介装され、前記シールの前記シールリップ（４０ｂ）が摩擦によって前記シャシーに接触し、かつ、前記デフレクタの前記偏向部（４２ｂ）が狭窄路シールを形成するために前記シャシーと接触する、前記旋回ベアリング（１０）と、
    を備える、車両。

Images