JP2016044639A - エンジン冷却装置 - Google Patents

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弓指 直人
Naoto Yumisashi
直人 弓指
小野沢 智
Satoshi Onozawa
智 小野沢
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Abstract

【課題】機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを組み合わせてエンジンの冷却を行う場合であっても、電動ウォータポンプが大型化するのを抑制することが可能なエンジン冷却装置を提供する。【解決手段】このエンジン冷却装置100は、エンジン90により駆動され、エンジン90の回転に同期して回転する機械式ウォータポンプ30と、機械式ウォータポンプ30と並列的に配置され、エンジン90の回転とは無関係に回転速度を変化可能な電動ウォータポンプ40と、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとの合流点P2よりも上流において、電動ウォータポンプ40の吐出口41の下流には設けられておらず機械式ウォータポンプ30の吐出口31の下流に設けられた逆止弁70とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン冷却装置に関し、特に、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを備えたエンジン冷却装置に関する。
従来、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを備えたエンジン冷却装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、シリンダブロック内に冷却水を循環させる冷却水循環経路と、この冷却水循環経路に設けられた機械式ウォータポンプおよび電動ウォータポンプとを備えたエンジン冷却装置が開示されている。この特許文献1に記載のエンジン冷却装置では、冷却水循環経路中に機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとが直列的に配置されている。また、機械式ウォータポンプは、エンジンの駆動力の伝達および遮断が可能な電磁クラッチを介して動作制御される。そして、制御上、機械式ウォータポンプおよび電動ウォータポンプの少なくとも一方が駆動されて、冷却水が冷却水循環経路中を循環されるように構成されている。これにより、エンジンの運転状態(エンジン負荷)に応じて冷却水流量が調整されるように構成されている。
特開2004−293430号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたエンジン冷却装置では、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとが直列的に配置されているため、たとえば、電動ウォータポンプのみを駆動した場合、電磁クラッチによりエンジンの駆動力が遮断されて停止中の機械式ウォータポンプにおいては、回転しないインペラ部分(渦室内)における流路の絞りにより通水抵抗が生じると考えられる。このため、所定の冷却水流量(循環水量)を得るためには、停止中の機械式ウォータポンプが有する通水抵抗分を考慮した吐出し量(揚水量)を出力する電動ウォータポンプを設ける必要があり、電動ウォータポンプの大型化を招くという問題点がある。また、電動ウォータポンプの大型化は、モータ出力の増大を招くとともに、エンジン補機としての搭載性が低下する要因にもつながるので不利である。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを組み合わせてエンジンの冷却を行う場合であっても、電動ウォータポンプが大型化するのを抑制することが可能なエンジン冷却装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるエンジン冷却装置は、エンジンにより駆動され、エンジンの回転に同期して回転する機械式ウォータポンプと、機械式ウォータポンプと並列的に配置され、エンジンの回転とは無関係に回転速度を変化可能な電動ウォータポンプと、機械式ウォータポンプの吐出経路と電動ウォータポンプの吐出経路との合流点よりも上流において、電動ウォータポンプの吐出口下流には設けられておらず機械式ウォータポンプの吐出口下流に設けられた逆止弁と、を備える。
この発明の一の局面によるエンジン冷却装置では、上記のように、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを並列的に配置し、かつ、機械式ウォータポンプの吐出経路と電動ウォータポンプの吐出経路との合流点よりも上流において、機械式ウォータポンプの吐出口下流に逆止弁を設ける。これにより、制御上、エンジンの運転状態(エンジン回転数や吸入空気量(スロットル開度)などから取得されるエンジン負荷)に応じてたとえば電磁クラッチや遠心クラッチなどの動力伝達機構により機械式ウォータポンプの駆動を一時的に停止するとともに電動ウォータポンプを単独で駆動する場合であっても、機械式ウォータポンプの吐出口下流には逆止弁が設けられているので、駆動中の電動ウォータポンプ側から非駆動状態(停止状態)の機械式ウォータポンプ側に冷却水が逆流するのが防止される。したがって、設計上、駆動中の電動ウォータポンプ側から非駆動状態の機械式ウォータポンプ側への逆流を考慮して、逆流分を見込んだ吐出し量(揚水量)を確保するために電動ウォータポンプを大型化することなどが必要でなくなる。これにより、最小限の軸動力を用いて冷却水を吐出可能な電動ウォータポンプを選定することができる。その結果、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを組み合わせてエンジン(内燃機関)の冷却を行う場合であっても、電動ウォータポンプが大型化するのを抑制することができる。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、逆止弁は、エンジンの回転数の増加に伴う機械式ウォータポンプの吐出圧の増加に基づいて開弁されるように構成されている。このように構成すれば、エンジンが低回転域で運転される状態では、逆止弁の閉弁状態によって機械式ウォータポンプへの冷却水の逆流を防止しつつ電動ウォータポンプのみを用いてエンジンの冷却を行うことができる。そして、エンジンが高回転域で運転される状態では、機械式ウォータポンプの吐出圧の増加とともに逆止弁が開弁状態となって機械式ウォータポンプから多量の冷却水をエンジンに供給してエンジンの冷却を強力に行うことができる。これにより、エンジンの運転状態(エンジン負荷)に応じて電動ウォータポンプと機械式ウォータポンプとの駆動態様を適切に使い分けてエンジンの冷却を行うことができる。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、機械式ウォータポンプの作動時に、機械式ウォータポンプの吐出経路と電動ウォータポンプの吐出経路との合流点での電動ウォータポンプの吐出圧を機械式ウォータポンプの吐出圧よりも小さくすることによって、機械式ウォータポンプからエンジンに流入する冷却水流量が調整されるように構成されている。このように構成すれば、機械式ウォータポンプから吐出された冷却水の一部を電動ウォータポンプ側に意図的に分岐(分流)させることができるので、エンジン回転数が高いにもかかわらずエンジン負荷が小さく冷却水流量をそれほど必要としない場合においても、機械式ウォータポンプの回転数(エンジン回転数)の制御を一切行うことなく機械式ウォータポンプからエンジンに実質的に流入する冷却水流量を容易に調整することができる。また、冷却水流量を多量に必要としないエンジン始動直後においては、エンジンの暖機運転を迅速に行うことができる。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、機械式ウォータポンプの作動時に、機械式ウォータポンプの吐出経路と電動ウォータポンプの吐出経路との合流点での電動ウォータポンプの吐出圧を機械式ウォータポンプの吐出圧と等しくすることによって、機械式ウォータポンプから電動ウォータポンプに冷却水が逆流するのが防止されるように構成されている。このように構成すれば、機械式ウォータポンプから吐出された冷却水の全量をエンジンに流入させることができるので、エンジン負荷がある程度大きくて冷却水流量を必要とする場合においても、確実にエンジンを冷却することができる。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、機械式ウォータポンプの作動時に、機械式ウォータポンプの吐出経路と電動ウォータポンプの吐出経路との合流点での電動ウォータポンプの吐出圧を機械式ウォータポンプの吐出圧よりも大きくすることによって、機械式ウォータポンプからエンジンに流入する冷却水流量に電動ウォータポンプからの冷却水流量が加算されるように構成されている。このように構成すれば、エンジン負荷が大きく冷却水流量をより多く必要とする場合においても、機械式ウォータポンプの吐出し量に電動ウォータポンプの吐出し量を加算して冷却水流量を容易に確保することができるので、確実にエンジンを冷却することができる。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、機械式ウォータポンプに対して、エンジンからの駆動力を伝達する動力伝達状態とエンジンからの駆動力を伝達しない動力遮断状態とを切り替え可能な動力伝達機構をさらに備え、動力伝達機構が動力伝達状態であることにより機械式ウォータポンプが作動している時に、電動ウォータポンプを作動させるように構成されている。このように構成すれば、制御上、エンジンの運転状態(エンジン回転数や吸入空気量(スロットル開度)などから取得されるエンジン負荷)に応じて電動ウォータポンプのみを駆動する場合であっても、動力伝達機構により非駆動とされた機械式ウォータポンプの吐出口下流には逆止弁が設けられているので、駆動中の電動ウォータポンプ側から非駆動状態の機械式ウォータポンプ側に冷却水が逆流するのを防止することができる。さらには、動力伝達機構が動力伝達状態となって機械式ウォータポンプが作動している時には、機械式ウォータポンプからの冷却水と電動ウォータポンプからの冷却水とを合わせて多量の冷却水をエンジンに流入させたりすることができる。このように、動力伝達機構をさらに備えた構成においても、本発明は有用である。
上記一の局面によるエンジン冷却装置において、好ましくは、電動ウォータポンプの出力は、エンジンの回転数と、エンジンに必要な冷却水流量とに基づいて決定されるように構成されている。このように構成すれば、エンジンがどのような回転数および負荷で運転されている状態であっても、機械式ウォータポンプからの吐出し量を基準として、電動ウォータポンプ側でエンジンの冷却に必要な冷却水流量の増加分または減少分を調整することができる。したがって、エンジン負荷に応じた任意の冷却水流量に対応することができる。
なお、本出願では、上記一の局面によるエンジン冷却装置において、以下のような構成も考えられる。
(付記項1)
すなわち、上記動力伝達機構をさらに備えるエンジン冷却装置において、動力伝達機構が動力伝達状態に切り替わる条件が成立した場合に、所定時間の間、電動ウォータポンプを駆動しないで機械式ウォータポンプが動力伝達状態に切り替わったか否かを判断するように構成されている。
(付記項2)
また、上記動力伝達機構をさらに備えるエンジン冷却装置において、機械式ウォータポンプが動力伝達状態に切り替わったか否かは、電動ウォータポンプに駆動指示を与えない状態で、機械式ウォータポンプが回転されることにより冷却水が電動ウォータポンプに逆流することに起因して電動ウォータポンプが回転しているか否かにより判断するように構成されている。
(付記項3)
また、上記動力伝達機構をさらに備えるエンジン冷却装置において、所定時間内に電動ウォータポンプが回転していることが検出されない場合に、機械式ウォータポンプに動力伝達できていない故障であると判断し、所定時間内に電動ウォータポンプが回転していることが検出された場合に、電動ウォータポンプを作動させるように構成されている。
(付記項4)
また、上記一の局面によるエンジン冷却装置において、電動ウォータポンプの出力は、動力伝達機構の動力伝達状態と、エンジンに必要な冷却水流量とに基づいて決定されるように構成されている。
(付記項5)
また、上記一の局面によるエンジン冷却装置において、機械式ウォータポンプの作動時に、電動ウォータポンプの出力を機械式ウォータポンプの出力以上で作動させるように構成されている。
本発明によれば、上記のように、機械式ウォータポンプと電動ウォータポンプとを組み合わせてエンジンの冷却を行う場合であっても、電動ウォータポンプが大型化するのを抑制することが可能なエンジン冷却装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置の全体構成を示したブロック図である。 本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置における逆止弁の構造および動作(状態Aおよび状態B)を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置における動作(状態B1)を説明するための図である。 本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置における動作(状態B2)を説明するための図である。 本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置における動作(状態B3)を説明するための図である。 本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置における冷却水流量の特性を示した図である。 本発明の第2実施形態によるエンジン冷却装置の全体構成を示したブロック図である。 本発明の第2実施形態によるエンジン冷却装置に関する制御部の処理フローを示した図である。
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置100の構成について説明する。
本発明の第1実施形態によるエンジン冷却装置100は、図1に示すように、自動車などの車両(図示せず)に搭載されたエンジン90を冷却する装置である。エンジン冷却装置100は、ラジエータ10と、サーモスタット20と、機械式ウォータポンプ30と、電動ウォータポンプ40と、ヒータコア50とを備えている。また、各構成要素が水配管部60により順次接続されることにより、エンジン冷却装置100には、循環経路C1およびC2が形成されている。
また、車両には、エンジン90を制御するための制御部(ECU)95が設けられている。制御部95においては、イグニションコイル(図示せず)への印加電圧が電気的に計数されてエンジン90の回転数が把握される。また、吸気路中のスロットル開度の検出結果に基づいてエンジン90の負荷が把握される。また、エンジン冷却装置100においては、電動ウォータポンプ40が制御部95により駆動制御されるように構成されている。なお、電動ウォータポンプ40は、小流量の冷却水が必要な際に駆動される一方、機械式ウォータポンプ30は、電動ウォータポンプ40の駆動の有無に関係なく中程度および大流量の冷却水がエンジン90に必要な際に実質的に機能するように構成されている。
ラジエータ10は、エンジン90におけるウォータジャケット91(概略的な経路を破線で示す)内を循環して高温になった冷却水(クーラント)を冷やす役割を有する。すなわち、ラジエータ10では、車外の空気(外気)とエンジン90を冷却した高温冷却水との熱交換が行われる。また、サーモスタット20は、冷却水の温度を制御する役割を有する。すなわち、エンジン90の暖機運転が十分でない時にはラジエータ10への経路を閉じてエンジン90の暖機運転に伴い冷却水を迅速に昇温するとともに、冷却水の昇温後は、ラジエータ10へ流通させる冷却水流量を制御して冷却水を適切な温度範囲に保つ機能を有している。
機械式ウォータポンプ30は、エンジン90内のウォータジャケット91に冷却水を強制的に循環させる機能を有している。また、機械式ウォータポンプ30には、遠心式の渦巻きポンプが使用されており、機械式ウォータポンプ30は、クランクシャフト(図示せず)の軸動力がクランクプーリ(図示せず)および補機駆動用ベルト(図示せず)を介して伝達されることにより、エンジン90の回転に同期して回転される。したがって、機械式ウォータポンプ30からの吐出し量は、エンジン90の回転数に比例する。
電動ウォータポンプ40は、電動モータ(図示せず)に渦室内で回転するインペラ(図示せず)が直結されて構成されている。したがって、電動ウォータポンプ40では、エンジン90の回転とは無関係に電動モータの回転数制御によってインペラの回転速度が変化可能であって、吐出し量は増減可能に構成されている。
また、ヒータコア50は、車内を暖房する際に使用される。すなわち、エンジン90で暖められた冷却水がヒータコア50内部の伝熱管を通る際に、車内の空気との熱交換が行われる。また、熱交換後の冷却水は、エンジン90に戻される。
以下、冷却水の循環経路について説明する。図1に示すように、エンジン冷却装置100は、ラジエータ10、サーモスタット20、機械式ウォータポンプ30(電動ウォータポンプ40)およびエンジン90を一巡する循環経路C1を有している。また、エンジン冷却装置100は、ヒータコア50、サーモスタット20、機械式ウォータポンプ30(電動ウォータポンプ40)およびエンジン90を一巡する循環経路C2をさらに有している。エンジン冷却装置100では、循環する冷却水の温度によって、冷却水が循環経路C1を流通されるか循環経路C2を流通されるかが、サーモスタット20の動作によって切り替わるように構成されている。
ここで、サーモスタット20の出口部21とエンジン90(ウォータジャケット91)の入口部91aとの間の経路61は、分岐点P1において2つの経路62および経路63に分岐されている。一方側の経路62には、機械式ウォータポンプ30が配置されるとともに、他方側の経路63には、電動ウォータポンプ40が配置されている。したがって、第1実施形態では、経路61中に、機械式ウォータポンプ30と電動ウォータポンプ40とが並列的に配置されている。また、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとは、合流点P2において合流している。すなわち、並行する吐出経路62aおよび63aは、合流点P2において1本の吐出経路61a(経路61)に戻される。そして、吐出経路61aは、その下流となるエンジン90(ウォータジャケット91)の入口部91aに接続されている。
そして、第1実施形態では、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとの合流点P2よりも上流(各々のウォータポンプ側)において、機械式ウォータポンプ30の吐出口31の下流に逆止弁70(図1では2点鎖線で示す)が設けられている。また、このような逆止弁70は、電動ウォータポンプ40の吐出口41の下流には何ら設けられていない。
ここで、逆止弁70の構造を説明する。逆止弁70は、図2に示すように、内部が空洞となった本体部71と、本体部71内に収容された球形状(球体状)の弁体72と、弁体72を機械的に付勢するスプリング73とを含んでいる。ここで、本体部71および弁体72は、耐腐食性を有する金属材料により形成されている。また、本体部71は、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aの上流側が接続される入口ポート71aと、吐出経路62aの下流側が接続されエンジン90(合流点P2)に向かって吐出する出口ポート71bと、スプリング73が配置される座部71dとを有している。なお、スプリング73は、自然長から圧縮された状態で一方端部(X2側)が座部71dに配置されるとともに、伸縮移動自在な他方端部(X1側)に球形状の弁体72が配置されている。
したがって、たとえばエンジン90が駆動されずに機械式ウォータポンプ30が停止している状態では、弁体72は、入口ポート71aに押し当てられた状態A(図2参照)が維持されている。また、エンジン90が駆動していても回転数が小さい状態では、機械式ウォータポンプ30が回転駆動されているにもかかわらず冷却水の吐出圧が小さいので、スプリング73の矢印X1方向への付勢力によって弁体72は矢印X2方向には移動されない。機械式ウォータポンプ30からの冷却水の吐出圧が開弁圧未満の場合も、弁体72は、入口ポート71aに押し当てられた状態Aが維持される。なお、逆止弁70が状態Aとなった構成を、図2における枠内左側に示す。
そして、第1実施形態では、エンジン90の回転数の増加に伴う機械式ウォータポンプ30の吐出圧の増加に基づいて、逆止弁70は、弁体72が開弁される状態B(図2参照)に移行されるように構成されている。すなわち、機械式ウォータポンプ30からの冷却水の吐出圧が開弁圧よりも大きくなった場合に、弁体72は開弁される。なお、逆止弁70が状態Bとなった構成を、図2における枠内右側に示す。
これにより、図1に示すように、エンジン90が相対的に低回転域で運転される状態では、逆止弁70が閉じられることにより機械式ウォータポンプ30への冷却水の逆流を防止しつつ、電動ウォータポンプ40のみを駆動して冷却水を循環させてエンジン90の冷却を行うことが可能に構成されている。また、エンジン90が相対的に高回転域で運転される状態では、機械式ウォータポンプ30の吐出圧の増加とともに逆止弁70が開かれて機械式ウォータポンプ30から多量の冷却水をエンジン90に供給してエンジン90の冷却を強力に行うことが可能に構成されている。また、逆止弁70が開かれた場合には、電動ウォータポンプ40の駆動を停止して機械式ウォータポンプ30のみでエンジン90の冷却を行う場合(後述する図3および図4の状態)や、機械式ウォータポンプ30に加えて電動ウォータポンプ40も駆動制御してエンジン90の冷却を行うこと(後述する図5の状態)も実現可能に構成されている。
すなわち、第1実施形態では、エンジン90の回転数に同期して駆動される機械式ウォータポンプ30に加えて、制御部95(図1参照)により電動ウォータポンプ40をさらに駆動して、エンジン90に流入する冷却水流量を詳細に調整することが可能に構成されている。この場合、エンジン90が高回転域で運転されて逆止弁70が開かれた状況下において、以下の3つの条件に応じて電動ウォータポンプ40の駆動制御がそれぞれ行われる。
まず、図3に示すように、機械式ウォータポンプ30の作動時(逆止弁70の開弁時)に、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとの合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧(冷却水の圧力)が機械式ウォータポンプ30の吐出圧(冷却水の圧力)よりも小さくなるように電動ウォータポンプ40の回転数が制御部95により制御されるように構成されている。これにより、機械式ウォータポンプ30から吐出された冷却水の一部は、合流点P2から電動ウォータポンプ40の側となる経路63に分流(バイパス)される。なお、電動ウォータポンプ40内を逆流した冷却水は、分岐点P1において経路62へと流れる。したがって、エンジン90の回転数が高いにもかかわらずスロットル開度から取得されるエンジン90の負荷が小さく冷却水流量をそれほど必要としない場合においても、機械式ウォータポンプ30の回転数(エンジン90の回転数)の制御などは一切行われることなく、機械式ウォータポンプ30から吐出経路61aを介してエンジン90に実質的に流入する冷却水流量が調整されるように構成されている。なお、この流量制御状態を「状態B1」として図3に示す。
また、図4に示すように、機械式ウォータポンプ30の作動時(逆止弁70の開弁時)に、合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧が機械式ウォータポンプ30の吐出圧と等しくなるように電動ウォータポンプ40の回転数が制御部95により制御されるように構成されている。この場合、電動ウォータポンプ40が回転駆動されるにもかかわらず、電動ウォータポンプ40から冷却水は実質的に吐出されない。これにより、機械式ウォータポンプ30から電動ウォータポンプ40に冷却水が逆流するのが防止される。したがって、機械式ウォータポンプ30から吐出された冷却水の全量が吐出経路61aを介してエンジン90に流入される。したがって、エンジン90の回転数が高く、かつ、吸入空気量(スロットル開度)から取得されるエンジン90の負荷が大きくて冷却水流量を必要とする場合に、エンジン90の回転数に応じた冷却水がエンジン90に供給されるようになる。なお、この流量制御状態を「状態B2」として図4に示す。
また、図5に示すように、機械式ウォータポンプ30の作動時(逆止弁70の開弁時)に、合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧が機械式ウォータポンプ30の吐出圧よりも大きくなるように電動ウォータポンプ40の回転数が制御部95により制御されるように構成されている。この場合、機械式ウォータポンプ30からエンジン90に流入する冷却水流量に電動ウォータポンプ40からの冷却水流量が加算されるように構成されている。したがって、エンジン90の負荷が非常に大きく冷却水流量をさらに多く必要とする場合に、機械式ウォータポンプ30の吐出し量に電動ウォータポンプ40の吐出し量が加算されて十分な冷却水流量が確保されるように構成されている。なお、この流量制御状態を「状態B3」として図5に示す。
上述した逆止弁70の状態A(閉弁状態)および状態B(開弁状態)、および、状態Bのもとでの流量制御状態(状態B1〜状態B3(図3〜図5参照))に関して、図6を用いて説明する。
図6において、まず、エンジン90(図1参照)の回転数(横軸)がRc回転/分(たとえば、約2000回転/分)に到達するまでの低回転域R1では、機械式ウォータポンプ30(図1参照)が回転されるにもかかわらず回転数が小さいので逆止弁70(図1参照)は閉じられた状態(図2における状態A)が維持される。また、低回転域R1では、制御部95(図1参照)により電動ウォータポンプ40が駆動される。また、電動ウォータポンプ40は、エンジン90の回転数に関係なく、エンジン90がその時点で必要とする冷却水流量を吐出可能な回転数に駆動制御される。すなわち、機械式ウォータポンプ30が吐出する冷却水流量よりも小さい小流量の冷却水が電動ウォータポンプ40から吐出されてエンジン90に供給される。なお、低回転域R1におけるハッチング領域の縦幅が、電動ウォータポンプ40による流量調整幅に相当する。
次に、エンジン90の回転数がRc回転/分(約2000回転/分)よりも大きくなった高回転域R2では、機械式ウォータポンプ30の吐出圧の増加とともに逆止弁70が開弁された状態(図2における状態B)に移行される。すなわち、機械式ウォータポンプ30からエンジン90への冷却水の供給が可能となる。高回転域R2(逆止弁70の開弁に伴う機械式ウォータポンプ30の実質的な作動時)において、合流点P2(図1参照)での機械式ウォータポンプ30の吐出圧に対する電動ウォータポンプ40の吐出圧の大小関係が電動ウォータポンプ40側で出力制御されることにより、エンジン90に供給される冷却水流量が調整される。
図6において、合流点P2(図1参照)での電動ウォータポンプ40の吐出圧が機械式ウォータポンプ30の吐出圧と等しくなるように電動ウォータポンプ40の回転数が制御されて機械式ウォータポンプ30のみから冷却水がエンジン90に全量供給される状態では、冷却水の流量特性は、特性G1(太実線)として示される。すなわち、特性G1は、図4の状態B2の場合での流量特性に相当する。なお、機械式ウォータポンプ30の吐出圧に対して電動ウォータポンプ40の吐出圧を等しくするための電動ウォータポンプ40の出力は、その時点でのエンジン90の回転数に基づいて決定される。
また、合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧が機械式ウォータポンプ30の吐出圧よりも小さくなるように電動ウォータポンプ40の回転数(出力)を減少させた状態では、冷却水の流量特性は、特性G2(特性G1の下側に、斜めハッチングされた領域)として示される。また、特性G1から特性G2へのシフト分(減少分)は、電動ウォータポンプ40の出力を弱めて経路63(吐出経路63a)に機械式ウォータポンプ30からの冷却水の一部を逆流(バイパス)させた際の、吐出経路61aにおける水量に相当する。すなわち、特性G2は、図3の状態B1の場合での流量特性に対応する。なお、経路63へのバイパス量(ハッチング領域のグラフ縦軸方向の幅)は、電動ウォータポンプ40の回転数(出力)に応じて任意に調整(増減)される。また、電動ウォータポンプ40の出力は、その時点でのエンジン90の回転数とエンジン90に必要な冷却水流量とに基づいて決定されるように構成されている。
また、合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧が機械式ウォータポンプ30の吐出圧よりも大きくなるように電動ウォータポンプ40の回転数(出力)を増加させた状態では、冷却水の流量特性は、特性G3(特性G1の上側に、斜めハッチングされた領域)として示される。また、特性G1から特性G3へのシフト分(増加分)は、電動ウォータポンプ40による冷却水流量のアシスト量に相当する。また、特性G3は、図5の状態B3の場合での流量特性に対応する。なお、アシスト量(ハッチング領域のグラフ縦軸方向の幅)は、電動ウォータポンプ40の回転数(出力)に応じて任意に調整(増減)される。また、電動ウォータポンプ40の出力は、その時点でのエンジン90の回転数とエンジン90に必要な冷却水流量とに基づいて決定されるように構成されている。
このように、エンジン冷却装置100では、エンジン90の回転数と、エンジン90に必要な冷却水流量とに基づいて電動ウォータポンプ40の出力が決定される。この際、逆止弁70が開弁圧未満の状態では電動ウォータポンプ40が単独で駆動されることにより、エンジン90に供給される冷却水流量が調整される。そして、逆止弁70が開弁圧以上となって機械式ウォータポンプ30が実質的に駆動された状態では、機械式ウォータポンプ30の出力(エンジン回転数)を制御することなく、電動ウォータポンプ40の出力(吐出圧)を制御することによって、エンジン90に供給される冷却水流量が調整される。第1実施形態におけるエンジン冷却装置100は、上記のように構成されている。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、機械式ウォータポンプ30と電動ウォータポンプ40とを並列的に配置し、かつ、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路62aとの合流点P2よりも上流において、機械式ウォータポンプ30の吐出口31の下流に逆止弁70を設ける。これにより、制御上、エンジン90の運転状態に応じて機械式ウォータポンプ30の駆動を一時的に無効にするとともに電動ウォータポンプ40を単独で駆動してエンジン90への冷却水の供給を行う場合であっても、機械式ウォータポンプ30の吐出口31の下流には逆止弁70が設けられているので、駆動中の電動ウォータポンプ40側から非駆動状態(無効状態)の機械式ウォータポンプ30側に冷却水が逆流するのが防止される。したがって、設計上、駆動中の電動ウォータポンプ40側から非駆動状態の機械式ウォータポンプ30側への逆流を考慮して、逆流分を見込んだ吐出し量(揚水量)を確保するために電動ウォータポンプ40を大型化することなどが必要でなくなる。これにより、最小限の軸動力を用いて冷却水を吐出可能な電動ウォータポンプ40を選定することができる。その結果、機械式ウォータポンプ30と電動ウォータポンプ40とを組み合わせてエンジン90の冷却を行う場合であっても、電動ウォータポンプ40の大型化を招くことなくエンジン90を冷却することができる。
また、第1実施形態では、エンジン90の回転数の増加に伴う機械式ウォータポンプ30の吐出圧の増加に基づいて開弁されるように逆止弁70を構成する。これにより、エンジン90が低回転域で運転される状態では、逆止弁70の閉弁状態によって機械式ウォータポンプ30への冷却水の逆流を防止しつつ電動ウォータポンプ40のみを用いてエンジン90の冷却を行うことができる。そして、エンジン90が高回転域で運転される状態では、機械式ウォータポンプ30の吐出圧の増加とともに逆止弁70が開弁状態となって機械式ウォータポンプ30から多量の冷却水をエンジン90に供給してエンジン90の冷却を強力に行うことができる。これにより、エンジン90の運転状態(エンジン90の回転数や吸入空気量などから取得されるエンジン90の負荷)に応じて電動ウォータポンプ40と機械式ウォータポンプ30との駆動態様を適切に使い分けてエンジン90の冷却を行うことができる。
また、第1実施形態では、機械式ウォータポンプ30の作動時に、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとの合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧を機械式ウォータポンプ30の吐出圧よりも小さくすることによって、機械式ウォータポンプ30からエンジン90に流入する冷却水流量が調整されるように構成する。これにより、機械式ウォータポンプ30から吐出された冷却水の一部を電動ウォータポンプ40の側に意図的に分岐(分流)させることができるので、エンジン回転数が高いにもかかわらずエンジン90の負荷が小さく冷却水流量をそれほど必要としない場合においても、機械式ウォータポンプ30の回転数(エンジン回転数)の制御を一切行うことなく機械式ウォータポンプ30からエンジン90に実質的に流入する冷却水流量を容易に調整することができる。また、冷却水流量を多量に必要としないエンジン90の始動直後においては、エンジン90の暖機運転を迅速に行うことができる。
また、第1実施形態では、機械式ウォータポンプ30の作動時に、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとの合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧を機械式ウォータポンプ30の吐出圧と等しくすることによって、機械式ウォータポンプ30から電動ウォータポンプ40に冷却水が逆流するのが防止されるように構成する。これにより、機械式ウォータポンプ30から吐出された冷却水の全量をエンジン90に流入させることができるので、エンジン90の負荷がある程度大きくて冷却水流量を必要とする場合においても、確実にエンジン90を冷却することができる。
また、第1実施形態では、機械式ウォータポンプ30の作動時に、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路62aとの合流点P2での電動ウォータポンプ40の吐出圧を機械式ウォータポンプ30の吐出圧よりも大きくすることによって、機械式ウォータポンプ30からエンジン90に流入する冷却水流量に電動ウォータポンプ40からの冷却水流量が加算されるように構成する。これにより、エンジン90の負荷が大きく冷却水流量をより多く必要とする場合においても、機械式ウォータポンプ30の吐出し量に電動ウォータポンプ40の吐出し量を加算して冷却水流量を容易に確保することができるので、確実にエンジン90を冷却することができる。
また、第1実施形態では、エンジン90の回転数と、エンジン90に必要な冷却水流量とに基づいて電動ウォータポンプ40の出力が決定されるように構成する。これにより、エンジン90がどのような回転数および負荷で運転されている状態であっても、機械式ウォータポンプ30からの吐出し量を基準として、電動ウォータポンプ40の側でエンジン90の冷却に必要な冷却水流量の増加分または減少分を調整することができる。したがって、エンジン90の負荷に応じた任意の冷却水流量に対応することができる。
(第2実施形態)
次に、図3〜図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、エンジン90から機械式ウォータポンプ30への動力伝達状態を切り替え可能な遠心クラッチ80を介して機械式ウォータポンプ30が駆動される例について説明する。なお、遠心クラッチ80は、本発明の「動力伝達機構」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
第2実施形態におけるエンジン冷却装置200では、図7に示すように、エンジン90と機械式ウォータポンプ30との間に遠心クラッチ80が介在するように構成されている。すなわち、遠心クラッチ80は、エンジン90(クランクシャフト)の駆動力を機械式ウォータポンプ30に伝達する動力伝達状態と、エンジン90の駆動力を機械式ウォータポンプ30に伝達しない動力遮断状態とを切り替えることが可能に構成されている。
ここで、遠心クラッチ80は、エンジン90の回転数が増加すると入力側回転部材となるクラッチウェイト(図示せず)が遠心力で外周方向に開き始め、クラッチウェイトとその外周側に同軸状に配置された出力側回転部材となる受け側部材(クラッチアウター:図示せず)の内周面との摩擦接触により機械式ウォータポンプ30に動力を伝達する機械要素である。また、エンジン90の回転数が減少すると、クラッチウェイトが遠心力の減少とともに内側に閉じ始め、クラッチウェイトと受け側部材(クラッチアウター)との接触が解除されることにより、機械式ウォータポンプ30への動力が遮断されるように構成されている。なお、動力伝達状態と動力遮断状態とが切り替わる際の回転数(図6におけるRc回転/分)は、遠心クラッチ80側で予め設定されている。
そして、第2実施形態では、エンジン90の回転数が上昇するとともに遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられて機械式ウォータポンプ30が作動している時に、上記第1実施形態と同様に、制御部95により電動ウォータポンプ40を駆動制御するように構成されている。すなわち、上記第1実施形態において説明した、図3(状態B1)、図4(状態B2)および図5(状態B3)の各状態でエンジン冷却装置200が動作させるように構成されている。なお、エンジン冷却装置200では、遠心クラッチ80を介在させて機械式ウォータポンプ30を回転駆動させるため、以下に説明する制御フローが制御部95により実行されるように構成されている。
次に、図7および図8を参照して、エンジン冷却装置200における電動ウォータポンプ40の動作制御に関する制御部95の制御処理フローについて説明する。
図8に示すように、まず、ステップS1では、遠心クラッチ80(図7参照)に関して、エンジン90(図7参照)の回転数に基づいてエンジン90からの駆動力を機械式ウォータポンプ30(図7参照)に伝達する動力伝達状態に切り替えられる条件が成立したか否かが、制御部95(図7参照)により判断される。具体的には、エンジン90(クランクシャフト)の回転数がRc回転/分(たとえば2000回転/分)以上の場合に遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられるように遠心クラッチ80の動作特性が予め調整されていたとする。この場合、制御部95によりエンジン90の回転数が常時把握されるので、エンジン90の回転数がRc回転/分(2000回転/分)以上となった場合に、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられる条件が成立したと判断される。
なお、ステップS1において、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられる条件が成立していない(遠心クラッチ80により機械式ウォータポンプ30が駆動される条件が成立していない)と判断された場合は、本制御フローは、一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。
また、ステップS1において、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられる条件が成立した(遠心クラッチ80により機械式ウォータポンプ30が駆動される条件が成立した)と判断された場合は、ステップS2において、電動ウォータポンプ40(図7参照)の駆動を停止する制御信号が制御部95から電動ウォータポンプ40に対して出力される。これにより、電動ウォータポンプ40への電力供給が一時的に遮断される。
そして、ステップS3では、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替えられたか(遠心クラッチ80により機械式ウォータポンプ30が実際に駆動される状態であるか)否かが制御部95により判断される。
すなわち、第2実施形態では、機械式ウォータポンプ30が動力伝達状態に切り替わったか否かは、ステップS2において電動ウォータポンプ40に駆動指示を与えない状態で、機械式ウォータポンプ30が回転されることにより冷却水が電動ウォータポンプ40に逆流することに起因して電動ウォータポンプ40のインペラが逆回転しているか否かにより判断される。電動ウォータポンプ40のインペラが逆回転した場合、電動モータに逆起電圧が生じるので、制御部95では、電動ウォータポンプ40の回転数信号として検出される。
ステップS3において電動ウォータポンプ40が冷却水の逆流によって回転されている状態であると判断された場合、ステップS4では、遠心クラッチ80によるエンジン90から機械式ウォータポンプ30への動力伝達が「動力伝達状態」であることが確定される。制御的には、遠心クラッチ80の動力伝達状態を示すフラグF1に「1」が代入される。
そして、ステップS5では、制御部95の指令に基づいて電動ウォータポンプ40が回転駆動される。なお、電動ウォータポンプ40の出力(冷却水の吐出量)は、その時の吸入空気量(スロットル開度)から取得されるエンジン90の負荷状態および冷却水の温度によって詳細に制御される。また、機械式ウォータポンプ30の作動時(動力伝達状態)の電動ウォータポンプ40の出力(冷却水の吐出量)に応じた冷却水の流れ方は、上記第1実施形態において、図3(状態B1)、図4(状態B2)および図5(状態B3)を参照して説明した内容と同じである。これにより、本制御フローは、一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。
また、ステップS3において電動ウォータポンプ40が冷却水の逆流によって回転されている状態でないと判断された場合、ステップS6では、所定の時間T1が経過したか否かが判断される。また、ステップS6において、時間T1が経過していない場合には、ステップS3に戻る。すなわち、第2実施形態では、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替わる条件が成立した場合に、電動ウォータポンプ40を駆動しない(駆動指示を与えない)で機械式ウォータポンプ30が動力伝達状態に切り替わったか否かの判断処理が、時間T1の間、制御部95により繰り返される。
また、ステップS6において、時間T1が経過したと判断された場合、ステップS7では、遠心クラッチ80または機械式ウォータポンプ30の少なくとも一方を含む動力伝達系が「故障状態」であることが確定される。制御的には、故障状態の有無を示すフラグF2に「1」が代入される。これにより、本制御フローは、一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。
なお、エンジン冷却装置200では、エンジン90と機械式ウォータポンプ30との間に遠心クラッチ80を設けて機械式ウォータポンプ30を回転駆動させる構成を除いて、上記第1実施形態のエンジン冷却装置100と同様に構成されている。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、機械式ウォータポンプ30に対して、エンジン90からの駆動力を伝達する動力伝達状態とエンジン90からの駆動力を伝達しない動力遮断状態とを切り替え可能な遠心クラッチ80を備える。そして、遠心クラッチ80が動力伝達状態であることにより機械式ウォータポンプ30が作動している時に、電動ウォータポンプ40を作動させるように構成する。これにより、制御上、エンジン90の運転状態(エンジン90の回転数や吸入空気量などから取得されるエンジン90の負荷)に応じて電動ウォータポンプ40のみを駆動する場合であっても、遠心クラッチ80により非駆動状態(停止状態)とされた機械式ウォータポンプ30の吐出口31の下流には逆止弁70が設けられているので、電動ウォータポンプ40の出力に応じて、機械式ウォータポンプ30から吐出された冷却水が電動ウォータポンプ40側に逆流するのを防止することができる。さらには、遠心クラッチ80が動力伝達状態となって機械式ウォータポンプ30が作動している時には、機械式ウォータポンプ30からの冷却水と電動ウォータポンプ40からの冷却水とを合わせて多量の冷却水をエンジン90に流入させたりすることができる。このように、遠心クラッチ80をさらに備えた構成においても、機械式ウォータポンプ30と電動ウォータポンプ40とを併用して冷却水流量を制御するエンジン冷却装置200の構成は有用である。
また、第2実施形態では、遠心クラッチ80が動力伝達状態に切り替わる条件が成立した場合に、時間T1の間、電動ウォータポンプ40を駆動しないで機械式ウォータポンプ30が動力伝達状態に切り替わったか否かを判断するように制御部95を構成する。これにより、機械式ウォータポンプ30側から電動ウォータポンプ40側への冷却水の逆流を利用して電動ウォータポンプ40のインペラが逆回転された状態を制御部95側で検出することによって、遠心クラッチ80が動力伝達状態に実際に切り替わったか否かを容易に確認することができる。
また、第2実施形態では、機械式ウォータポンプ30が動力伝達状態に切り替わったか否かは、電動ウォータポンプ40に駆動指示を与えない状態で、機械式ウォータポンプ30が回転されることにより冷却水が電動ウォータポンプ40に逆流することに起因して電動ウォータポンプ40が回転しているか否かにより判断するように制御部95を構成する。これにより、駆動されない電動ウォータポンプ40を利用して遠心クラッチ80が動力伝達状態に実際に切り替わったか否かを確認することができるので、遠心クラッチ80に専用のセンサを設ける必要がない分、遠心クラッチ80周辺の構成が複雑になるのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、時間T1内に電動ウォータポンプ40が回転していることが検出されない場合に、機械式ウォータポンプ30に動力伝達できていない故障(故障状態)であると判断し、時間T1内に電動ウォータポンプ40が回転していることが検出された場合に、動力伝達状態であると判断して電動ウォータポンプ40を作動させるように制御部95を構成する。これにより、遠心クラッチ80および機械式ウォータポンプ30を含む動力伝達系の故障の有無を確実に判断することができるとともに、動力伝達系が故障していない場合には電動ウォータポンプ40を確実に作動させてエンジン90の負荷に応じた任意の冷却水流量をエンジン90に供給することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、機械式ウォータポンプ30の作動時(逆止弁70の開弁時)に、合流点P2での機械式ウォータポンプ30の吐出圧と電動ウォータポンプ40の吐出圧との大小関係を電動ウォータポンプ40側で制御してエンジン90に供給される冷却水流量を調整した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、機械式ウォータポンプ30の吐出経路62aと電動ウォータポンプ40の吐出経路63aとが非常に短くかつ同一の内径(管径)を有するような場合には、合流点P2での吐出圧ではなく機械式ウォータポンプ40の出力(吐出し量)に対して電動ウォータポンプ40の出力(吐出し量)を制御してエンジン90に供給される冷却水流量を調整してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、逆止弁70における本体部71および弁体72を金属製とした例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本体部71および弁体72を、樹脂材料を用いて形成してもよい。
また、上記第2実施形態では、入口ポート71aを閉じる方向に弁体72を付勢するスプリング73を設けて逆止弁70を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、遠心クラッチ80により機械式ウォータポンプ30への動力伝達状態と動力遮断状態とが切り替え可能であるならば、スプリング73を設けずに逆止弁を構成してもよい。遠心クラッチ80による動力遮断状態から動力伝達状態への切り替わりの条件(エンジン90の回転数がRc回転/分よりも大きくなったか否か)が、逆止弁70にスプリング73を設けた場合の弁体72の開弁圧に相当するからである。
また、上記第2実施形態では、遠心クラッチ80を用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明の「動力伝達機構」として、たとえば、動力遮断状態と動力伝達状態との切り替え動作を電磁石への電力の断続により行う電磁クラッチ式のクラッチ装置を用いてもよい。また、動力伝達軸方向に移動可能なシュラウド部材を用いて入力側回転部材と出力側回転部材との係合および係合解除を行うことにより動力遮断状態と動力伝達状態との切り替えを行う可変シュラウド式のクラッチ装置を、本発明の「動力伝達機構」として用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、エンジン90の回転数Rcが約2000回転/分に達した状態での機械式ウォータポンプ30の吐出圧を境として逆止弁70が開弁されるように逆止弁70を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、逆止弁70の開弁に対応する機械式ウォータポンプ30の吐出圧は、約2000回転/分以外のエンジン90の回転数Rcであってもよい。また、上記第2実施形態における遠心クラッチ80においても、約2000回転/分以外の回転数で動力遮断状態と動力伝達状態との切り替えが行われるように構成されていてもよい。回転数Rc(図6参照)は、エンジン90の出力クラス(排気量)に応じて適宜設定される。
また、上記第1および第2実施形態では、エンジン90を備えた自動車などの車両にエンジン冷却装置100(200)を搭載した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、内燃機関を備えた車両以外の設備機器に搭載されたエンジン冷却装置に対して本発明を適用してもよい。また、エンジン(内燃機関)90としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどが適用可能である。
また、上記第2実施形態では、説明の便宜上、制御部95のエンジン冷却装置200に関する制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行う「フロー駆動型」のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部95の処理を、イベント単位で処理を実行する「イベント駆動型(イベントドリブン型)」の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
10 ラジエータ
20 サーモスタット
30 機械式ウォータポンプ
31、41 吐出口
40 電動ウォータポンプ
50 ヒータコア
60 水配管部
61、62、63 経路
61a、2a、63a 吐出経路
70 逆止弁
72 弁体
73 スプリング
80 遠心クラッチ(動力伝達機構)
90 エンジン
91 ウォータジャケット
95 制御部
100、200 エンジン冷却装置
P1 分岐点
P2 合流点

Claims (7)

  1. エンジンにより駆動され、前記エンジンの回転に同期して回転する機械式ウォータポンプと、
    前記機械式ウォータポンプと並列的に配置され、前記エンジンの回転とは無関係に回転速度を変化可能な電動ウォータポンプと、
    前記機械式ウォータポンプの吐出経路と前記電動ウォータポンプの吐出経路との合流点よりも上流において、前記電動ウォータポンプの吐出口下流には設けられておらず前記機械式ウォータポンプの吐出口下流に設けられた逆止弁と、を備えた、エンジン冷却装置。
  2. 前記逆止弁は、前記エンジンの回転数の増加に伴う前記機械式ウォータポンプの吐出圧の増加に基づいて開弁されるように構成されている、請求項1に記載のエンジン冷却装置。
  3. 前記機械式ウォータポンプの作動時に、前記機械式ウォータポンプの吐出経路と前記電動ウォータポンプの吐出経路との前記合流点での前記電動ウォータポンプの吐出圧を前記機械式ウォータポンプの吐出圧よりも小さくすることによって、前記機械式ウォータポンプから前記エンジンに流入する冷却水流量が調整されるように構成されている、請求項1または2に記載のエンジン冷却装置。
  4. 前記機械式ウォータポンプの作動時に、前記機械式ウォータポンプの吐出経路と前記電動ウォータポンプの吐出経路との前記合流点での前記電動ウォータポンプの吐出圧を前記機械式ウォータポンプの吐出圧と等しくすることによって、前記機械式ウォータポンプから前記電動ウォータポンプに冷却水が逆流するのが防止されるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置。
  5. 前記機械式ウォータポンプの作動時に、前記機械式ウォータポンプの吐出経路と前記電動ウォータポンプの吐出経路との前記合流点での前記電動ウォータポンプの吐出圧を前記機械式ウォータポンプの吐出圧よりも大きくすることによって、前記機械式ウォータポンプから前記エンジンに流入する冷却水流量に前記電動ウォータポンプからの冷却水流量が加算されるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置。
  6. 前記機械式ウォータポンプに対して、前記エンジンからの駆動力を伝達する動力伝達状態と前記エンジンからの駆動力を伝達しない動力遮断状態とを切り替え可能な動力伝達機構をさらに備え、
    前記動力伝達機構が前記動力伝達状態であることにより前記機械式ウォータポンプが作動している時に、前記電動ウォータポンプを作動させるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置。
  7. 前記電動ウォータポンプの出力は、前記エンジンの回転数と、前記エンジンに必要な冷却水流量とに基づいて決定されるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置。
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