JP2016039099A - 燃料電池ユニット、該燃料電池ユニットの製造方法、及び燃料電池スタック - Google Patents
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Abstract
電極とセパレータとの接合部に、稼働・停止を繰り返すことで生じる亀裂の発生を防止し、接触抵抗の増加による電池出力低下を防止する。
【解決手段】
セパレータの形状を、平面接合部と傾斜部とが上記平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部で連続したとし、上記平面接合部のみを発電セルと接合し、該平面部の端から立ち上がる屈曲部に対応する接点材部分に逃げを設ける。
また、セパレータの平面状の接合部以外を可燃性コート材で被覆し、接点材を付与して電極と接合した後、焼成する。
【選択図】図3
Description
この燃料電池ユニットは、流路長が異なる複数のアノード極側ガス流通路を有し、流路長が長くなるに従い、流通路断面形状の重心をアノード極から離間させるように形成することで、流通路における流量分配を均一にして発電効率を高めることができるものである。
すると、発電セル間に接合されたセパレータの接合部間の長さが足りなくなって、セパレータと電極との接合部に引張り応力がかかり、接合部内部に亀裂・剥離が生じ、導電面積が減少し、これに伴って接触抵抗が増大して発電性能が低下する。
隣り合う発電セル間に設けられたセパレータ3は、発電セル2と共に燃料ガスを供給する燃料ガス通路と酸化剤ガスを供給する空気通路とを形成し、かつ、隣り合う発電セルを電気的に接続する。
このセパレータ3は、電極との接合を完全にして集電効率を向上させるため平面接合部を有する。また、上記発電セル2は、図示しない燃料極、電解質、空気極が順に積層されたものであり、多孔質のメタルサポート上に設けられてもよい。
そして、燃料電池の作動による熱膨張によってセパレータが塑性変形した後、燃料電池を停止すると、図2(C)中矢印の方向に引張応力が生じ、接点材5の端部がセパレータ3に引きずられ、図2(C)の拡大図のように、接点材5の端部から亀裂が生じる。
図4(A)に示すように、平面接合部3Aの端部から立ち上がる屈曲部間に、屈曲部を有さない波型セパレータであってもよいが、図4(B)に示すような、平面接合部3Aの端部から立ち上がる屈曲部間に、複数の屈曲部を有する段付きセパレータであることが好ましい。
複数の屈曲部を有することで、温度変化による膨張・収縮によって生じる応力が屈曲部に吸収されてセパレータの塑性変形が低減され、接点材の亀裂・剥離が防止されると共に、組み立て積層の際にセパレータを押し付けることで、発電セルを損傷させることを防止できる。
図5(A)に示す、波型セパレータでは、押圧により接合部となる下端の平面部が凸状に変形し、接合部が剥離する方向の応力が生じると共に、接合部端部には大きな押圧力がかかっており、塑性変形しやすいことがわかる。一方、図5(B)の段付きセパレータでは、屈曲部が多く、弾性変形して押圧力を吸収しているため、セパレータの接合部の平面性が維持され、局所的な押圧力がかからず、塑性変形を低減できることがわかる。
本発明の燃料電池の製造方法は、セパレータの平面接合部のみを接合し、該平面部の端から立ち上がる屈曲部に対応する接点材部分に逃げを設けるものである。
セパレータの平面接合部から立ち上がる屈曲部を可燃性コート材で被覆し、ペースト状の接点材を介して電極とセパレータとを接合した後、焼成する。この方法によれば、図6に示すように、セパレータ3の屈曲部が可燃性コート材6で被覆されているため、屈曲部には接点材5が付着せず、該屈曲部は電極と接合されず、屈曲部に対応する接点材が可燃性コート材6に押し退けられて逃げが形成される。そして、可燃性コート材6は、焼成により揮発して除去される。
上記水溶性のマスキング材としては、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を主成分とするものが挙げられる。
発電セルの電極面にセパレータの平面接合部に対応する幅の線状凸部を設けることで、図7に示すように、凸部の上部から余剰の接点材がこぼれて逃げが形成され、セパレータの平面接合部以外に、接点材が付着することを防止できる。
本発明において、上記凸部とは、電極面に設けられたセパレータとの接合箇所が、その周囲よりも高ければたり、電極面上に凸部を形成するだけでなく、電極面の接合箇所に沿って凹部を形成することで、該凹部よりも相対的に高い凸部を形成してもよい。
上記凸部は、電極面に電極材粉末粒子を選択的に吹き付けることで形成してもよく、電極を切削して凹部を形成することで凸部を形成してもよい。
電極面に凸部を設けることで、焼成処理によらず屈曲部に対応する接点材部分に逃げを設けることができる。
セパレータの屈曲部を撥水化処理することで、撥水化処理部7の表面エネルギーが低下して接点材が忌避されて付着せず、焼成により接点材が収縮して剥がれて逃げが形成され、図8に示すように、屈曲部と電極とが接合されることを防止できる。
上記撥水化処理による接点材ペーストとセパレータとの接触角は、90°を超えることが好ましい。
発電セルは、電解質の一方の面に燃料極を有し、他方の面に空気極を有する。
なお、燃料極の電解質と反対側の面には、多孔質のメタルサポートを設けてもよい。
厚さ0.1mmのフェライト板材をプレス法によって段付きセパレータに成型した。この段付セパレータの平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部に、ガスデポジション法を用いた衝撃法で凹凸を形成した。
上記凹凸の形成は以下のようにして行った。
ステンレス鋼(SUS)のマスクを用いて、セパレータの平面接合部をカバーして、真空チャンバー内にセットして減圧し、常温で、ステンレス鋼(SUS)粒子を超音速ノズルによって800m/s以上のN2ガス流に乗せて吹き付け、フェライト板材にステンレス鋼(SUS)粒子を付着させてセパレータの屈曲部に凹凸を形成した。
ポリプロピレン樹脂を有機溶媒に溶かした樹脂溶液をセパレータに噴霧し、常温で24時間以上の乾燥処理を実施することで可燃性樹脂をコーティングした。
可燃性樹脂をコーティングしたセパレータを30〜45℃程度の水に浸漬させて、超音波処理を実施することで水溶性マスクを水に溶出させ、水溶性マスク上の可燃性樹脂と共に除去し、可燃性樹脂をコーティングしたセパレータを作製した。
このセパレータを確認したところ、屈曲部をコートした可燃性樹脂の剥離はなかった。
焼結後(樹脂コート焼結除去後)に集電体屈曲部を観察した結果、凹凸が確認された。さらに、焼結後の接点材厚みは約100μmであった。
屈曲部に凹凸が形成された段付きセパレータを実施例1と同様にして作製した。
このセパレータに、ポリプロピレン樹脂を有機溶媒に溶かした樹脂溶液を噴霧し、常温24hr以上の乾燥処理を実施することで可燃性樹脂をコーティングした。
このセパレータの平面接合部と屈曲部の境にカッターを押付けて可燃性樹脂を裁断し、平面接合部の可燃性樹脂のみに60〜100℃程度の熱風を吹付けて軟化させ、平面接合部の可燃性樹脂を捲り剥離させ、可燃性樹脂をコーティングしたセパレータを作製した。
このセパレータを用いる他は、実施例1と同様にして、固体酸化物形燃料電池を作製した。
アノード側メタルサポート、アノード、固体電解質(YSZ)が積層された部材の固体電解質を上面にして真空チャンバーに入れ、チャンバーを負圧にした後、噴霧ノズルを用いて、電極粉末粒子(LSCF粉)を高速のHeガスに乗せて吹き付け、平面状のカソード電極を作製した。
さらに、ノズル径を変更して、先に成膜したカソード電極上に、幅がセパレータの平面接合部の幅よりも狭くなるように、線状に電極粉末粒子(LSCF粉)を吹付けて、線状の凸部を形成した。
厚さ0.1mmのフェライト板材をプレス法によって成形した段付きセパレータの平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部にフッ素系のガスを用いたプラズマを照射し、フッ素コートして撥水化処理を行った。
このセパレータを用いる他は、実施例1と同様にして、固体酸化物形燃料電池を作製した。
厚さ0.1mmのフェライト板材をプレスし、実施例1で用いた段付きセパレータの平面接合部の幅と、屈曲部まで接点材を付着させたときに、接点材と接触する幅とが同じになるように、実施例1よりも平面接合部の幅を狭くした段付きセパレータを得た。
アノード側メタルサポート、アノード、固体電解質(YSZ)、カソードが順に積層された発電セルのカソード上に、接点材(LSCFペースト)を塗布し、セパレータの平面接合部を押し付け、大気中において800℃で焼成し固体酸化物形燃料電池を作製した。
焼結後の接点材厚みは約100μmであった。
上記固体酸化物形燃料電池の接触抵抗を以下の条件で測定した。
測定条件:
発電セル下のメタルサポートと、セパレータ上のメタルサポートとの、間の抵抗を、4Vとして一定電圧負荷において電流最大1Aまで変化させ、850℃で稼働させ、停止後再稼働させて接触抵抗を測定した。
測定結果を図9に示す。なお、図9には、実施例1と比較例1のみを記載したが、実施例2〜4は、実施例1と同じ結果が得られた。
比較例1は、停止・再始動後に接触抵抗が増加した。これは起動停止による接点時部のクラックによる集電部の電子パス減少によるものであると思われる。
一方、実施例1〜4は停止・再始動後に顕著な接触抵抗の上昇は見られなかった。
図10から、比較例1は接点材内にクラックが発生しているが、実施例1は接点材内にクラック等が発生しておらず、セパレータの平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部を固定しないことによる効果が確認された。
2 発電セル
3 セパレータ
3A 平面接合部
3B 逃げ
4 筐体
5 接点材
6 可燃性コート材
7 撥水処理部
Claims (14)
- 隣り合う発電セル間にセパレータを有する燃料電池ユニットであって、
上記セパレータが、平面接合部と傾斜部とが上記平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部で連続した断面形状を有するものであり、
上記平面接合部のみが接点材で発電セルに接合されて上記発電セルとで燃料ガス通路及び空気通路を形成し、
上記屈曲部に対応する接点材部分に逃げを設けたことを特徴とする燃料電池ユニット。 - 上記セパレータが、傾斜部に複数の屈曲部を有する段付きセパレータであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。
- 発電セルの電極面に線状の凸部を有し、該凸部の上部とセパレータの平面部のみが接合したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池ユニット。
- 上記請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池ユニットの製造方法であって、
セパレータの平面接合部以外を可燃性コート材で被覆し、接点材を付与して焼成し、電極とセパレータを接合することを特徴とする燃料電池ユニットの製造方法。 - 平面接合部をマスキングし、可燃性コート材で被覆した後、マスキング材と共に可燃性コート剤を剥離することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記可燃性コート剤を吹き付けて被覆することを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 平面接合部の端部から立ち上がる屈曲部に凹凸を形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つの項に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記凹凸が、微粒子を衝突・付着させて形成したものであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記凹凸が、腐食処理により形成したものであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池ユニットの製造方法であって、電極面に線状の凸部を形成し、該凸部とセパレータの平面接合部とを接点材を介して接合することを特徴とする燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記凸部が電極材の微粒子を電極面に吹き付けて形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池ユニットの製造方法であって、平面接合部以外を撥水化処理し、接点材を付与して電極とセパレータを接合することを特徴とする燃料電池ユニットの製造方法。
- 上記撥水化が、フッ素コートであることを特徴とする請求項12に記載の燃料電池ユニットの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池ユニットが、複数積層されたことを特徴とする燃料電池スタック。
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