JP2016037610A - 円筒形スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒形の短尺ターゲット材11の内周にボンディング材12により円筒形の短尺バッキングチューブ13を接合してなる複数のターゲットユニット2と、これらターゲットユニット2が相互に隣接状態にかつ導電性介在物3を介して外周に取り付けられた円筒形の長尺バッキングチューブ21とを有する。
【選択図】 図1
Description
特許文献2はアークイオンプレーティングに用いられるロッド形蒸発源に関するものであるが、このロッド形蒸発源では、円筒形ターゲットの中空部にバッキングチューブである金属管が挿入され、これらターゲット材内周面と金属管外周面との間に円筒状の金属製バネが介在されている。
特許文献3のスパッタリング用ターゲットでは、バッキングチューブである柱状の基体の外周面に、溶射法により、Mo,Ti,W,Ni等の金属製中間層を介してAl含有Si合金がターゲット層として設けられている。
特許文献5の円筒形スパッタリングターゲットでは、円筒形基材の外周面にインジウム等の接合材を介して円筒形ターゲット材が複数接合され、円筒形ターゲット材どうしが間隔をあけて接合されている。この間隔により、スパッタリング時の熱膨張によるターゲット材の割れを防止できると記載されている。
特許文献1のシート状のカーボンフェルトや特許文献2の金属製バネを設ける場合は、長尺になるほど、ターゲット材とバッキングチューブとの間にカーボンフェルトや金属製バネを挿入することが難しくなり、無理に挿入すると、セラミックス製ターゲット材の場合には割れが生じるおそれがある。また、特許文献3記載のように溶射法によって形成するのは作業性が悪い。特許文献4記載の技術では長尺のものが製造できるが、ネジ部による連結部分が複数生じるため、長尺になると剛性が不足する。特許文献5に記載の構造は熱膨張対策には優れているが、長尺のバッキングチューブの端から嵌合される各ターゲット材のそれぞれに接合材を隙間なく介在させることは難しい。また、ターゲット材のいずれかに損傷等の不具合が生じた場合であっても全体を交換する必要が生じる。
短尺ターゲット材と短尺バッキングチューブとはボンディング材により接合され、短尺バッキングチューブと長尺バッキングチューブとの間には導電性介在物が介在しているので、これらの間の導電性並びに熱伝達性も十分に確保することができる。導電性液体としては市販の導電性グリスを適用することができる。
これらの何れかの導電性介在物を接合材料として用いることにより、DCスパッタリングの際には電極として機能し、また、ターゲット材がセラミックス系の場合のRFスパッタリング時にも、電荷が溜まってアーク放電の原因になることを防ぐことができるため、何れのスパッタリング装置で使用する場合にも好適となる。
弾性シール部材により、長尺バッキングチューブと短尺バッキングチューブとの間からの導電性液体の漏れを防止することができる。
図1及び図2は円筒形スパッタリングターゲット1の断面図を示しており、図3は円筒形スパッタリングターゲット1に用いられるターゲットユニット2の断面図を示している。
円筒形スパッタリングターゲット1は、円筒形の短尺ターゲット材11の内周にボンディング材12により円筒形の短尺バッキングチューブ13を接合してなる複数のターゲットユニット2と、これら複数のターゲットユニット2を導電性介在物3を介して外周に保持する円筒形の長尺バッキングチューブ21とを有している。
そして、これら短尺ターゲット材11と短尺バッキングチューブ13とを一体化したターゲットユニット2では、短尺ターゲット材11と短尺バッキングチューブ13との両端が揃えられた状態で、両者の間に気密に介在させたボンディング材12によって一体化されている。ただし、各ターゲットユニット2は隣接するユニットに押圧されるため、短尺ターゲット材11がセラミック系等の割れ易い材料の場合、その長さは短尺バッキングチューブ13よりも若干短く製造され、短尺ターゲット材11同士が直接接触しないようにすることが望ましい。
ボンディング材12は、In系低融点はんだ材のような金属系材料を使用可能であり、導電性を有し、スパッタリング中の熱膨張差を吸収できるものが用いられる。
短尺バッキングチューブ13と長尺バッキングチューブ21の直径は、これらの間に導電性介在物3を介在するためのクリアランスが確保できる寸法とされる。
長尺バッキングチューブ21と各ターゲットユニット2との間に介在される導電性介在物3は、導電性液体、導電性ペースト、金属製筒状バネ、導電性シートなどにより構成され、前述の特許文献1記載のカーボンフェルト、特許文献2記載の金属製バネを適用することができる。導電性液体を用いる場合、具体的には、鉱物油、合成油を基油とした、市販されている一般的な導電性グリスでよい。その際の導電性としては、体積抵抗率が1.0×1010Ω・cm以下であることが望ましい。
図示例は、導電性介在物3として導電性液体を用いた例を示しており、各ターゲットユニット2は、相互に弾性シール部材16を介して隣接され、長尺バッキングチューブ21の両端部でナット等の締結具5により軸方向に押圧された状態で保持されている。
そして、長尺バッキングチューブ21の一端部側の雄ネジ部に抜け止め用として締結具5を固定しておき、他端側からターゲットユニット2を一個ずつ装着して嵌合させる。このとき、ターゲットユニット2と長尺バッキングチューブ21との間に導電性介在物3を両者の隙間を塞ぐように介在させる。この導電性介在物3が導電性シート等である場合、長尺バッキングチューブ21に導電性介在物3を介してターゲットユニット2を取り付ける際に大きな抵抗が作用することがあるが、ターゲットユニット2は短尺ターゲット材11が短尺バッキングチューブ13によって補強されているので、短尺ターゲット材11に割れ等が生じることはない。
また、導電性介在物3が導電性液体または導電性ペーストの場合、図2に示すように、隣接するターゲットユニット2の短尺バッキングチューブ13間には、環状の弾性シール部材16を介在する。
最後に、長尺バッキングチューブ21の他端部の雄ネジ部22に締結具5を螺合して、ターゲットユニット2を軸方向に押圧することにより、弾性シール部材16を緊密に挟持した状態に固定するとともに、ターゲットユニット2を抜け止めする。
なお、必ずしも最初に一端側に締結具5を固定しておく必要はなく、すべてのターゲットユニット2を取り付けた後に、長尺バッキングチューブ21の両端部に締結具5を固定してもよい。
したがって、DCスパッタリングに用いる場合は電極として良好に機能し、また、ターゲット材として酸化物系セラミックスを用いる場合にも、RFスパッタリング時に電荷が蓄積することが抑制され、アーク放電の発生を防止することができる。
また、長尺バッキングチューブ21によって高い剛性を発揮することができるので、スパッタリング装置に取り付けたときのたわみの発生を防止でき、高精度の成膜を行うことができる。各短尺ターゲット材11は、短尺バッキングチューブ13の外周にインジウム等のボンディング材12によって接合されているので、スパッタリング時の熱膨張率差に起因する割れや剥離等が生じにくい。
2 ターゲットユニット
3 導電性介在物
5 締結具
11 短尺ターゲット材
12 ボンディング材
13 短尺バッキングチューブ
15 環状溝
16 弾性シール部材
21 長尺バッキングチューブ
22 雄ネジ部
Claims (4)
- 円筒形の短尺ターゲット材の内周にボンディング材により円筒形の短尺バッキングチューブを接合してなる複数のターゲットユニットと、これらターゲットユニットが相互に隣接状態にかつ導電性介在物を介して外周に取り付けられた円筒形の長尺バッキングチューブとを有する円筒形スパッタリングターゲット。
- 前記導電性介在物は、導電性液体、導電性ペースト、金属製バネ、又は導電性シートの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の円筒形スパッタリングターゲット。
- 前記導電性介在物は、導電性液体または導電性ペーストであり、前記短尺バッキングチューブどうしの間に弾性シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の円筒形スパッタリングターゲット。
- 円筒形の短尺ターゲット材の内周にボンディング材により円筒形の短尺バッキングチューブを接合してなる複数のターゲットユニットを作製しておき、これらターゲットユニットを円筒形の長尺バッキングチューブの外周に相互に隣接状態にかつ導電性介在物を介して取り付けることを特徴とする円筒形スパッタリングターゲットの製造方法。
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