JP2016036966A - 成形品の製造方法 - Google Patents

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倫之 吉田
Noriyuki Yoshida
倫之 吉田
明 篠崎
Akira Shinozaki
明 篠崎
渡辺 健二
Kenji Watanabe
健二 渡辺
勇 舛澤
Isamu Masuzawa
勇 舛澤
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Abstract

【課題】形状自由度及び外観性が優れて、かつ目的とした機能の付与を安定して達成できる成形品の製造方法を提供する。【解決手段】対向する金型を備える成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂Aを射出する一次射出工程と、成形金型を型閉め圧縮する一次圧縮工程とを経た後、成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程と、少なくとも成形樹脂Bを射出する二次射出工程を行い、シート状インサートと成形樹脂とを一体化する成形品の製造方法であって、前記成形金型において、少なくとも1つの金型Cは、突き出し部を有しており、前記二次射出工程において、前記成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程後に、成形樹脂Aと一体となったシート状インサートが配設されている金型Cの突き出し部の突き出し動作により、前記金型Cの表面と前記シート状インサートの表面の間に空間を設けた後、前記空間に成形樹脂Bを二次射出する成形品の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、成形品の製造方法に関する。
近年顧客のニーズが多岐にわたっているため、一つのものでもより軽く、より多機能、高機能な製品が求められている。軽量化、高機能化の手段として樹脂成形品に、より多くの機能を付与する試みがなされてきている。例えば、軽量化の方法としては樹脂成形品をガラスやカーボン繊維で補強することで金属に比べ軽量化できることが知られている。一方、高機能化に関しては導電性、電磁波遮蔽性、断熱性、意匠性等を持たせた樹脂成形品が考えられる。
樹脂成形品により多くの機能を付与する有効な手段として、シート状の高機能インサートを一体成形する技術が検討されてきている。ここで言うインサートとは成形時に予め型内に配設する挿入物のことである。
このシート状インサートを金型内に配設し、樹脂材料で射出や圧縮成形を行うことで成形品を得るという方法が取られてきた。しかしながら、インサートの固定、位置決め等のほかに、多くの課題があり、効果的な方法がない。射出成形の場合は、高い射出圧力がインサートにかかるために十分な固定がないとインサートの変形、破損、位置ズレなどを発生させてしまう。このためインサートの固定方法は特許文献1記載のように予めインサートに突形状を設けておき、型に設けた凹形状に固定する方法等を用いたりする提案がされている。
しかしながらこの方法では、製品として部分的に突形状が残ったり、孔形状が残ったりする問題があり、多用することは製品形状の自由度を阻害してしまい実用的ではない。
また、特許文献2記載のように開閉する両方の金型面に挟持密着させて固定し成形することも考えられるが、これでは板厚方向にインサート以外の成形材料を流すのが困難となってしまい、やはり製品形状の自由度が不十分である。これらの問題点である形状自由度とインサートの保護をともに満足させる方法として、特許文献3で記載されているような樹脂圧をより低く抑えられる射出圧縮成形が有効と考えられたが、流動長が長くなる場合はインサートの保護がこれでは不十分で、シート状インサートの歪みや位置ズレ、部分的欠損により機能性インサートの欠損を引き起こしやすくなってしまう問題がある。
また、シート状インサートの全体が露出している状態では、機能の保護、信頼性の確保、外観の確保、安全性の確保等の面で不安が残される。そこで露出しているシート状インサートの少なくとも一部を射出樹脂で被覆する必要があるが、従来技術である二色成形、ダイスライドインジェクションなどでは成形設備が大型になってしまうため、自動車のバックドアのような大型の成形品には適用しにくいという問題がある。シートの形状や機能を損なわないまま、かつ安定性・安全性に優れた成形品を安価に得ることが望ましいため、これらの問題を解決する必要がある。
特開2012−86556号公報 特開2005−161541号公報 国際公開第11/118226号
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、形状自由度及び外観性が優れて、かつ目的とした機能の付与を安定して達成できる成形品の製造方法を提供するものである。
本発明は、対向する金型を備える成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂Aを射出する一次射出工程と、成形金型を型閉め圧縮する一次圧縮工程とを経た後、成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程と、少なくとも成形樹脂Bを射出する二次射出工程を行い、シート状インサートと成形樹脂とを一体化する成形品の製造方法であって、前記成形金型において、少なくとも1つの金型Cは、突き出し部を有しており、前記二次射出工程において、前記成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程後に、成形樹脂Aと一体となったシート状インサートが配設されている金型Cの突き出し部の突き出し動作により、前記金型Cの表面と前記シート状インサートの表面の間に空間を設けた後、前記空間に成形樹脂Bを二次射出する成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、突き出し動作の前後において、前記突き出し部が、金型C内に収まっており、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差の無い面一状態、又は、段差を有する状態である前記の成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記突き出し部が、成形樹脂Bの冷却固化前に作動して金型C内に収まる前記の成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、金型C内に収まっている前記突き出し部の少なくとも一部においては、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差を有する状態であり、前記段差の深さが、二次射出される成形樹脂Bの厚みと同等、又は、成形樹脂Bの厚みより大きい前記の成形品の製造方法に関する。
本発明により、形状自由度及び外観性が優れて、かつ目的とした機能の付与を安定して達成できる成形品の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の成形品の製造方法の成形工程を示す模式図である。 本発明に係わる成形品の断面構成を示す模式図である。 本発明に使用したシート状インサートを示す模式図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の成形品の製造方法は、対向する金型を備える成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂Aを射出する一次射出工程と、成形金型を型閉め圧縮する一次圧縮工程とを経た後、成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程と、少なくとも成形樹脂Bを射出する二次射出工程を行い、シート状インサートと成形樹脂とを一体化する成形品の製造方法であって、前記成形金型において、少なくとも1つの金型Cは、突き出し部を有しており、前記二次射出工程において、前記成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程後に、成形樹脂Aと一体となったシート状インサートが配設されている金型Cの突き出し部の突き出し動作により、前記金型Cの表面と前記シート状インサートの表面の間に空間を設けた後、前記空間に成形樹脂Bを二次射出する。
本実施形態において、成形金型とは、対向する金型を2以上備えるものであり、通常、対向する金型とは、キャビティ金型と、コア金型である。そして、本実施形態において、「金型C」とは、突き出し部を有する金型であり、キャビティ金型及びコア金型のいずれか一方でもよく、両方でもよい。なお、突き出し部とは、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」を突き出すことが可能であって、「金型C」表面と、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」表面との間に空間(空隙)を設ける機能を有する部材である。
また、「成形樹脂A」とは一次射出される成形樹脂であり、一次射出ゲートから射出される。「成形樹脂B」とは二次射出される成形樹脂であり、なお、「成形樹脂B」は、二次射出ゲートが設けられている場合は、通常、二次射出ゲートから射出される。
また、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」とは、一次圧縮工程により形成されたシート状インサートであり、その両面、又は、片面が成形樹脂Aで被覆されている。
本実施形態の成形品(複合成形品)の製造方法は、シート状の高機能インサートを高外観に一体成形する成形方法である。そのために成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形樹脂Aを射出する工程と型閉め圧縮する工程とを経た後、成形樹脂Aと一体となったシート状インサート(成形樹脂A及びシート状インサート)が押し付けられた金型Cからの突き出し部の突き出し動作により、金型面とシート状インサート面の間に空間を設けることとしている。
すなわち、本実施形態において、成形樹脂Aを射出する一次射出ゲートは、突き出し部を有する金型Cに対向する金型に備えられており、一次射出工程において、シート状インサートは、一次射出ゲートから射出された成形樹脂Aの樹脂圧により、突き出し部を有する金型Cの表面に押し付けられる。
従って、金型を型開き方向に移動させる工程の直後は、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」は、通常、一次射出ゲートを備えた金型に対向する金型側に配設されており、一次射出ゲートを備えた金型の表面と、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」の表面の間に空間(空隙)が存在するが、一次射出ゲートを備えた金型に対向する金型の表面と、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」の表面の間には、空間(空隙)が存在しない。その場合、一次射出ゲートを備えた金型に対向する金型に設置された突き出し部の突き出し動作により、前記金型の表面と「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」の表面の間に空間を設け、前記空間に成形樹脂Bを二次射出する。
なお、突き出し部は、一次射出ゲートを備えた金型側にも設けられていてもよく、例えば、成形樹脂Bを二次射出した後、さらに、金型を型開き方向に移動させ、一次射出ゲートを備えた金型側に設けた突き出し部の突き出し動作により、「成形樹脂A及び成形樹脂Bと一体となったシート状インサート」の表面と、一次射出ゲートを備えた金型の表面との間に空間を設け、前記空間に成形樹脂を射出してもよい。
あるいは、一次射出ゲートを備えた金型の表面と、「成形樹脂Aと一体となったシート状インサート」の表面の間の空間(空隙)が不十分の場合、突き出し部の突き出し動作により、前記空間(空隙)を広げ、さらに、前記空間に成形樹脂Bを二次射出してもよい。
こうすることで一次射出工程終了後に、成形樹脂Aと一体となったシート状インサートがキャビティ金型側にあってもコア金型側にあってもよくなり、成形自由度を上げることができる。その後、更に前記空間に成形樹脂Bを射出し一体化する。
なお、本実施形態の成形品(複合成形品)の製造方法において、成形樹脂の射出圧縮成形は、2回に限定するものではなく、3回以上の射出圧縮成形にも適用できる。
また突き出し部(部材)は、ピンでもブロックでもよく、サイズ、形状も自由に選択できる。
金型の突き出し部は、シート状インサートに対する二次射出樹脂(成形樹脂B)の流入を遮断するため、シート状インサートにおいて金型の突き出し部と接する場合、接する部分は、成形樹脂Bで被覆されておらず、シート状インサートの表面(片面)は露出する。つまり意匠性を考慮して、シート状インサートを部分的に露出させたい場合は、その部分を、突き出し部に接するように配置すればよい。なお、二次射出樹脂(成形樹脂B)の射出前に、突き出し部を、シート状インサートと接しない位置に移動させれば、シート状インサートの表面は、成形樹脂Bで被覆される。
シート状インサートの配設(挿入)は、キャビティ金型、コア金型いずれでもよい。また、シート状インサートの配設は、金型と直接、接するようにすることが好ましい。なお、成形樹脂の射出ゲートの設置は、キャビティ金型、コア金型いずれでもよく、また、両方でもよい。
図1に示すのは、本実施形態の成形品の製造方法の工程を示す模式図であり、(a)は成形樹脂A(一次射出樹脂)1の一次射出工程、(b)は型閉め圧縮工程、(c)は金型移動工程、(d)は突き出し工程、(e)は成形樹脂B(二次射出樹脂)3の二次射出充填工程である。
シート状インサート2は、キャビティ金型4に配設され、コア金型5に設けられた一次射出ゲート6より、成形樹脂A(一次射出樹脂)1が、シート状インサート2の片面に射出される。なお、二次射出ゲート7は、一次射出工程等の際は、加圧可動式の突き当て部材15で保護(遮蔽)されており、二次射出の際に、突き当て部材15が移動し、成形樹脂Bが二次射出される。
成形樹脂A(一次射出樹脂)1が、充填後、型閉め圧縮され、冷却・固化後、開放方向にキャビティ金型4を移動させ、突き出し部11の突き出し動作により、成形樹脂Aと一体となったシート状インサート12と、キャビティ金型4の間に空間(空隙)8を設けた後、二次射出ゲート7より、成形樹脂B(二次射出樹脂)3が、成形樹脂Aと一体となったシート状インサート12のもう一方の面に、射出・充填される。
図2に示すのは、本実施形態の成形品の製造方法により作製された成形品(一部)の断面構成を示す模式図である。シート状インサート2は、成形樹脂A(一次射出樹脂)1と、成形樹脂B(二次射出樹脂)3に被覆されており、これにより成形品は、機能の保護、信頼性、外観性、安全性等に優れている。
一般的に、シート状インサートは非常に壊れやすく、従来の射出では例えば一般的な射出圧力である20MPa以上の射出では容易に破損、位置ズレが発生してしまうため、本実施形態では、射出圧縮の工法を取っている。また、一次射出時点では金型は型締め完了位置より後退した状態になっており、さらに成形品(製品)の端末部は、食いきり構造としてもよい。また、金型には、シート状インサートを固定するための、加圧可動式の突き当て部材が設けられていることが好ましい。
本実施形態の成形品の製造方法において、成形樹脂Aの一次射出は、単一のゲートでもよいが、多点ゲートで各々のバルブ開閉タイミングを変化させたものでもよく、共に同じ圧縮工程により充填される射出工程群のことである。成形形状やゲート点数にもよるが、一次射出の成形樹脂Aの樹脂圧は10MPa以下が好ましい。
さらにこのときにシート状インサートの片側は金型に当接(配設)されていることで破損、位置ズレに至る応力がかかりにくくなるようにしている。すなわち成形樹脂Aが金型近くで冷却・固化することで、シート状インサートに必要以上の応力がかかりにくいという現象を利用している。成形樹脂Aの樹脂圧を10MPa超とすると、成形樹脂Aが金型に接し、冷却・固化する前に、シート状インサートが金型表面から破損、位置ズレを起こすおそれがある。なお、通常、成形樹脂Aの射出温度は樹脂により適切に選択されるが、例えばポリプロピレンの場合、180〜220℃である。金型の表面温度は30〜70℃である。
又、一次射出後の圧縮工程に関しては、ストロークが長いほど加圧流動に期待できるため射出圧を低減できるが、一方で流動長が長くなる或いは樹脂温降下を招くといったことがあるため、適切な選択が必要となる。本発明では圧縮ストロークを、好ましくは3mm以上、さらに3〜15mmとすることがより好ましい。又、圧縮工程は射出後の加圧タイミング及び速度が速いほど樹脂圧上昇を防ぐことが可能となるため電動によるものが好ましい。
その後、一次射出樹脂の冷却後に二次射出を行うが、冷却時間は必ずしも必要ではない。型締め圧縮工程においてある程度冷却されているためそのまま二次射出を行うこともできる。二次射出の際も、例えば射出圧縮により樹脂を充填することでよりシート状インサートに無駄な破壊・変形応力を与えないことができる。一次射出において冷却が充分な場合は単純な射出のみでも成形を行うことができる。
以上によりシート状インサートを変形させること無く、シート状インサートの両面に樹脂が被覆された成形品を製造することできる。
本実施形態におけるシート状インサートとは、例えば補強用の強化繊維を用いたシート、EMIシールド用シート、加飾シート、導電性シート、断熱用シート等多岐にわたるが、シート状であれば適用可能である。
また、シート状インサートとしては、図3に示したような、網目状(a)のシート、貫通穴9を有する多孔状(b)のシートの形態をとるもの、又は、成形樹脂A又はBと相溶性を持つ樹脂を含浸樹脂とした複合シート(c)などが挙げられる。なお、前記複合シート(c)とは、強化繊維に含浸樹脂(成形樹脂に対し相溶性のある樹脂マトリクス)10を含浸させた補強シートである。
複合シート等における強化繊維とは、樹脂成形体を補強するものであって、その材質は特に限定されるものではない。繊維状の単線或いは束状態で織り込み、編み込むことでクロス状にすることができるものがより使いやすい。具体的にはガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維のほかに樹脂材によるものも使用できる。
樹脂繊維の場合は、含浸する熱可塑性樹脂(含浸樹脂)の溶融温度で溶融、劣化せずに補強効果をもたらすものであればよく、含浸樹脂にもよるがパラ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維等を用いることも可能である。繊維径は特に限定するものではない。しかし、クロス状のものは配向が2方向しかないために細かい強度管理が不十分となる場合もある。また、編みこみ工程を経るために高価となる場合がある。そこでより配向性が優れ、安価な不織布状のものを用いた方が効果的な場合もある。
その他の高機能化シートとして例えば電磁波遮蔽用シートとして、銅粉等導電性粉体を練りこんだシート、又は網目状の金属シート等が考えられる。加飾シートとしては絵や写真さらにはデザインされた柄等が組み込まれたシートが考えられる。
シート状インサートの形態については、網目状又は多孔状、あるいは一次射出樹脂や二次射出樹脂に相溶性のある樹脂をマトリクス(含浸樹脂)としたシートであることが好ましい。網目又は多孔状であることで一次射出樹脂と二次射出樹脂が直接接合することによりシートを固定することができる。また一次射出樹脂や二次射出樹脂に相溶性のある樹脂をマトリクス(含浸樹脂)としたシートであれば、相互に密着するために同様にシートを固定することができる。
本実施形態に使用される成形樹脂A,Bは、熱可塑性樹脂が好ましいが、特に限定するものではない。また、前記複合シートのマトリクス(含浸樹脂)は、限定するものではなく、成形樹脂A又はBと、密着性があればよく、成形樹脂A又はBと、相溶性を有する熱可塑性樹脂が望ましい。
成形品において、成形樹脂部と、シート状インサートは線膨張係数が異なることがある。特に補強シートのような場合は成形収縮時、又は環境下における膨張収縮挙動において所謂熱応力が大きくなることがある。このため、樹脂の伸び特性によっては大きな変形やクラックが発生してしまう問題があることから、成形樹脂に、ガラス繊維あるいはタルク等を含有させた材料を用いることが好ましい。
成形樹脂A(一次射出樹脂)と、成形樹脂B(二次射出樹脂)は、熱可塑性樹脂であることが好ましいが、同一の樹脂でもよく、あるいは、異なる樹脂でもよい。なお、熱可塑性樹脂としては、特に限定しないが、例えば、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られた変性ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
成形樹脂A(一次射出樹脂)と成形樹脂B(二次射出樹脂)は、必ずしも同一の樹脂である必要は無く、異なる樹脂を用いることにより、さらなる機能を持たせることが可能となりうる。
例えば成形樹脂A(一次射出樹脂)に強度を重視したガラス繊維を配合した樹脂とし、成形樹脂B(二次射出樹脂)には外観を重視したタルクのような充填材を配合した樹脂とするような組み合わせが可能となる。このような組み合わせは適宜選択することが可能である。これらの樹脂が互いに接合するためには相溶性を持つことが望ましい。
以上のように本実施形態の二次射出が可能となることで、シート状インサートを配した一体成形品を単一の成形金型を用いて製造することができる。このことで従来の二色成形又はダイスライドインジェクション等で行うよりも型締め機を小型化し、大型成形品にも適用が可能となる。
本実施形態の一例として、金型Cに設けた突き出し部は、成形樹脂Bが冷却固化する前に後退させ、金型C内に収まるものであり、この動作は、油圧または電動等の装置による作動で行う。これによって成形品には突き出し跡となるくぼみを残さずに成形することができる。従って、金型Cに設けた突き出し部を、金型C内に収める動作が完了するのは、二次射出樹脂(成形樹脂B)の射出前、又は、二次射出樹脂(成形樹脂B)を射出し、その樹脂の冷却固化前、いずれでもよい。
本実施形態の成形品の製造方法は、突き出し動作の前後において、前記突き出し部が、金型C内に収まっており、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差の無い面一状態、又は、段差を有する状態である。
また、本実施形態の成形品の製造方法は、金型C内に収まっている前記突き出し部の少なくとも一部においては、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差を有する状態であり、前記段差の深さが、二次射出される成形樹脂Bの厚みと同等、又は、成形樹脂Bの厚みより大きいことが好ましい。前記段差とは、突き出し部が金型Cに収まっている状態では、金型C表面の窪み(凹部)であり、段差の深さとは、窪み(凹部)の深さである。
図1(a)に示すように、本実施形態のキャビティ金型(金型Cに相当)4に設けた突き出し部11は、一次射出成形の時点では、予め二次射出成形の成形樹脂Bの樹脂厚み分後退させてあり、突き出し部11の先端表面と、キャビティ金型(金型Cに相当)4の表面とは、段差13を有する状態であり、一次射出樹脂の冷却固化後に、突き出し部11を突き出し、その後、二次射出成形を行う。なお、図1(b)に示すように、段差13部分は窪んでいるため、一次射出樹脂(成形樹脂A)からなる突部14が形成される。そして、図1(c)に示すように、キャビティ金型(金型Cに相当)4が型開き方向に移動する。
図1(d)に示すように、突き出し部11の突き出し動作の際、前記突部14により、成形樹脂Aと一体となったシート状インサート12が突き出され、空間(空隙)8が形成される。これにより、突き出し部11の先端表面は、キャビティ金型(金型Cに相当)4の表面と、略面一になり、成形品として段差のないものが得られることになる。
また、図1(e)に示すように、一次射出成形時に、突き出し部11を後退させたことでできた突部14は二次成形樹脂へのアンカー効果をもたらし一次成形樹脂と二次成形樹脂の接合を強固にさせることができる。また突き出し部11が成形品に入り込んでいないために、金型は成形品から離型し易い。
本実施形態の一例においては、キャビティ金型(金型Cに相当)4に設けた突き出し部11は、一次射出成形の時点では、予め二次射出成形の成形樹脂Bの樹脂の厚みよりも多く後退させてあり、一次射出樹脂の冷却固化後に突き出し、その後、二次射出成形を行う。突き出し部11の先端表面と、キャビティ金型(金型Cに相当)4の表面とは、段差13を有する状態であり、段差13部分には、一次射出樹脂(成形樹脂A)からなる突部14が形成される。従って、突部14の厚みは、成形樹脂Bの樹脂の厚みよりも大きいため、成形品の表面には、突き出し部11の形状が突部14として残る。
突き出し部11の形状は、ブロックでもよく、板状等の任意の形状が設定できる。例えば、リブ形状を設定することができるため、補強が必要な成形品の場合に有効である。さらにこの場合、突き出し部11の先端表面が、リブ(突部に相当)の天面に位置するため、成形品一般面には、ほとんど突き出し跡が残らないことになる。もちろん突き出し部11は、成形品に入り込むことはないので、金型の離型も容易である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
シート状インサートの補強材にはガラスクロスを用いた。ガラス繊維径17μm、本数2000本のストランドを用いたもので目付け400g/mに平織りしたクロスを用いた。含浸樹脂(熱可塑性樹脂)は、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られた変性ポリプロピレン樹脂を用いた。
ガラスクロスに対して熱ロールで前記変性ポリプロピレン樹脂を250℃で送り速度0.5m/分、面圧0.1〜5MPaで行い、シート状インサートを作製した。
前記シート状インサートを、勾配15度の傾斜部分を持つ成形金型にセットして、前記シート状インサートの片面に、一次射出樹脂として成形樹脂Aを射出し、成形金型を型閉め圧縮し一次圧縮を行い、さらに、成形金型を開放方向に移動させ、成形金型に設けた突き出し部の突き出し動作により、前記シート状インサートのもう一方の面側(成形樹脂Aが射出された面の反対側)に空間を設け、二次射出樹脂として成形樹脂Bを、シート状インサートのもう一方の面側に射出し、成形金型を型閉め圧縮する二次圧縮を行い、成形品を作製した。
成形樹脂Aの一次射出圧力(樹脂圧)は10MPaで行った。一次圧縮の圧縮ストロークは10mmとした。成形樹脂Aは前記変性ポリプロピレン樹脂にチョップドガラス繊維を混練したガラスファイバーレインフォーストプラスチックを用いた。一次圧縮後、金型を開閉方向に2mm移動させ、二次成形樹脂の厚み分(2mm)後退させてあった突き出し部(突き出しピン)を突き出すことによりシート状インサートと金型の間に厚さ2mmの空間(空隙)を作った。その後、前記空間に成形樹脂Bを二次射出した。成形樹脂B(二次射出樹脂)は、成形樹脂A(一次射出樹脂)と同じものを用いた。
(比較例1)
一次射出圧縮成形のみで、二次射出圧縮成形を行わず、一次射出圧縮成形において、成形樹脂の注入ノズル部に分岐を設け、一次射出樹脂である成形樹脂Aと、二次射出樹脂である成形樹脂Bを、シート状インサートの両面に同時に射出できるようにした以外は実施例1と同様にして成形品を作製した。
(シート状インサートの形状保持)
作製した成形品を目視により、観察し、シート状インサートの形状保持を以下のように評価した。結果を表1に示した。
「○」:初期の形状を維持している状態
「×」:初期の形状から変化している状態
(成形品外観)
作製した成形品を目視により、観察し、成形品の外観を以下のように評価した。結果を表1に示した。
「○」:充填不足、ひけ等がない状態
「×」:充填不足、ひけ等がある状態
Figure 2016036966
表1に示したように、比較例1は、シート状インサートの形状保持、成形品外観とも不良であるのに対し、実施例1は、いずれも良好であることがわかる。
本発明による製造方法を用いることで、安定してシート状インサートの位置ズレや変形を防止し、高機能で軽量な成形品を安価に得ることができ、汎く多くの製品分野に適用できる。
1.成形樹脂A(一次射出樹脂)、2.シート状インサート、3.成形樹脂B(二次射出樹脂)、4.キャビティ金型、5.コア金型、6.一次射出ゲート、7.二次射出ゲート、8.空間(空隙)、9.貫通穴、10.成形樹脂に対し相溶性のある樹脂マトリクス(含浸樹脂)、11.突き出し部、12.成形樹脂Aと一体となったシート状インサート、13.段差、14.突部、15.突き当て部材。

Claims (4)

  1. 対向する金型を備える成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、
    成形金型内に成形樹脂Aを射出する一次射出工程と、
    成形金型を型閉め圧縮する一次圧縮工程とを経た後、
    成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程と、
    少なくとも成形樹脂Bを射出する二次射出工程を行い、
    シート状インサートと成形樹脂とを一体化する成形品の製造方法であって、
    前記成形金型において、少なくとも1つの金型Cは、突き出し部を有しており、
    前記二次射出工程において、前記成形金型の一部又は全体を、型開き方向に移動させる工程後に、成形樹脂Aと一体となったシート状インサートが配設されている金型Cの突き出し部の突き出し動作により、前記金型Cの表面と前記シート状インサートの表面の間に空間を設けた後、前記空間に成形樹脂Bを二次射出する成形品の製造方法。
  2. 突き出し動作の前後において、前記突き出し部が、金型C内に収まっており、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差の無い面一状態、又は、段差を有する状態である請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 前記突き出し部が、成形樹脂Bの冷却固化前に作動して金型C内に収まる請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
  4. 金型C内に収まっている前記突き出し部の少なくとも一部においては、前記突き出し部の先端表面と、金型Cの表面とは、段差を有する状態であり、前記段差の深さが、二次射出される成形樹脂Bの厚みと同等、又は、成形樹脂Bの厚みより大きい請求項2又は3に記載の成形品の製造方法。
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