JP2016203419A - 成形体の製造方法ならびに射出圧縮成形体 - Google Patents

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Kenji Watanabe
健二 渡辺
晋吾 塙
Shingo Hanawa
晋吾 塙
健児 古賀
Kenji Koga
健児 古賀
勇 舛澤
Isamu Masuzawa
勇 舛澤
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Abstract

【課題】成形体に高機能を付与するシート一体化を可能にしたもので、特に、弾性率、引張強度、衝撃強度等の機械的強度を高めると同時に、生産性を改善した連続繊維強化樹脂材料による成形体の技術を提供する。
【解決手段】成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、成形金型の一部又は全体を、型閉め圧縮する圧縮工程を行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形体の製造方法であって、シート状インサートは少なくとも2枚用いて、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、これらのシート状インサートに挟まれた空間に成形樹脂が射出される成形体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は成形体の製造方法ならびに射出圧縮成形体、特に、シート状インサートを使用した成形体に関する。
近年顧客のニーズが多岐にわたっているため、一つのものでもより軽く、より多機能、高機能な製品が求められている。軽量化、高機能化の手段として樹脂成形品により多くの機能を付与する試みがなされてきている。例えば、軽量化としては、ガラスクロスやカーボン繊維を挿入(インサート)させて樹脂成形品を補強することで、金属に比べ軽量化できることが知られている。
一方、高機能化に関しては導電性、電磁波遮蔽性、断熱性、意匠性等を持たせた樹脂成形品などが考えられ、今後も期待されている。
樹脂成形品に、より多くの機能を付与する有効な手段として、シート状の高機能インサートを一体成形する技術が検討されてきている。ここで言う、インサートとは成形時に予め型内に配設する挿入物のことである。
このシート状インサートを金型内に配設し、樹脂材料で射出や圧縮成形を行うことで成形品を得るという方法が取られてきた。しかしながら、インサートの固定、位置決め等のほかに、多くの課題があり、効果的な方法がない。射出成形の場合は、高い射出圧力がインサートにかかるために十分な固定がないとインサートの変形、破損、位置ズレなどを発生させてしまう。このためインサートの固定方法は特許文献1記載のように予めインサートに突形状を設けておき、型に設けた凹形状に固定する方法等を用いたりする提案がされている。
しかしながらこの方法では、製品として部分的に突形状が残ったり、孔形状が残ってしまう問題があり、多用することは製品形状の自由度を阻害してしまい実用的ではない。
この対応として、例えば、特許文献2に記載のように、開閉する両方の金型面に挟持密着させて固定し成形することも考えられるが、これでは板厚方向にインサート以外の成形材料を流すのが困難となってしまい、やはり製品形状の自由度が不十分である。
これらの問題点である形状自由度とインサートの保護をともに満足させる方法として、例えば、特許文献3に記載されているような、樹脂の射出圧力をより低く抑えられる射出圧縮成形が有効と考えられるが、流動長が長くなると、インサートの保護が不十分な場合があり、シート状インサートの歪みや位置ズレ、部分的欠損により機能性インサートの欠損を引き起こしやすくなってしまう問題がある。
また、シート状インサートが表面に露出している状態では、機能の保護、信頼性の確保、外観の確保、安全性の確保等の面で不安が残る。そこで露出しているシート状インサートの表面を被覆する必要があるが、従来技術である二色成形、ダイスライドインジェクション等では成形設備が大型になってしまうため、自動車のバックドアのような大型の成形品には適用しにくいという問題がある。シートの形状や機能を損なわないまま、かつ安定性・安全性に優れた成形品を安価に得ることが望ましいため、これらの問題を解決する必要がある。
さらに、自動車分野に限らず移動や動きを伴うものは、より軽くすることが要求される。特に、近年は省エネルギーや耐環境性の意識が高まり、より効率的な軽量化のために、構造部材でも様々な取り組みがなされている。
この点で、軽量化指標である比剛性、比強度の高い樹脂複合材料は効果的な材料として注目されている。従来の構造材の主体であったスチール(金属)に対し、比剛性が倍近い複合材は以前からも知られていたが、衝撃強度、加工性、生産性等の観点で十分でない面が指摘され、適用が限定されたままである。
具体的には、例えば、熱硬化樹脂材料をマトリクスとした複合材料については、弾性率や引張強度の機械特性が優れているものの、リサイクル性、加工性等の観点で問題がある。加熱溶融できないためリサイクル材の取り扱いに工数が多くなる、接合加工は接着剤に頼ることが多くなり、成形加工に反応が絡むため成形自由度が低くなり、加工サイクルが長くなってしまう。
一方、熱可塑性樹脂材料をマトリクスとしている複合材料については、リサイクル性、加工性は良好であるものの、衝撃特性が不十分であり、衝撃特性を改善したものは成形自由度が低いという問題があった。汎用性の高い分野では、加工性、リサイクル性は重要であることから、熱可塑性樹脂材料をマトリクスとした複合材料における形状自由度と衝撃強度の両立が極めて重要となっている。熱可塑材料による複合材料としては、数mmから5mm程度の大きさのペレットサイズとして射出成形に使用されるものが一般的である。射出成形によるものは成形性が良く、形状自由度が高い反面、強化繊維の繊維長が短いために衝撃強度が低いという問題がある。特に、近年は長繊維熱可塑化(Long Fiber Thermoplastics:LFT)としてペレット内の長繊維化が計られているものの、成形機内のスクリュー及びノズル或いは成形型のゲート部における折損の為に強化繊維の繊維長は成形後には1〜数mm程度以下になるため、衝撃強度はどうしても限定されるものとなってしまう。
そこで、高い衝撃強度と弾性率等を両立させるために、連続繊維体に熱可塑樹脂を溶融含浸させた材料で成形体を設ける必要性が出てくる。ところが、成形工程となるプレス成形や射出成形において、直接連続繊維体を配設し工程内でマトリクス樹脂を含浸する方法では、含浸が不十分だったり、工程時間が長くなって効率が悪くなるため、予め連続繊維体に熱可塑性樹脂を含浸させたシートを設けておき、これらを用いた成形が考えられてきた。例えば、特許文献4では平板状の構成や接着が開示されているが、成形方法としては生産性のある汎用的なものがまだ少ない。
特許文献5には強化繊維部分を配置した成形工程の発明で、具体的成形製品に適用するために、共に1次成形又は仮成形により基材を型形状に追従させることが開示されているものの、まだ生産性が充分なものとなっていない。これは、成形温度程度の高温の型を用いているためにインサートされる補強シートの加熱、成形後の冷却時間が必要となり、所謂熱可塑樹脂成形のメリットであるハイサイクル性が活かされていない。一方、シート状インサートの配置構成としては、板厚方向の両サイドに配置される三層構造をとることで効果的に強度を活かせることが知られているが、プリプレグ形態が取れて、反応時の粘度が含浸に充分なほど低い熱硬化樹脂材料によるものが殆どであった。熱可塑性樹脂材料の場合は、溶融状態の確保がポイントになるため、シート状インサート自体が溶融可塑化状態で型内に供給されるか、型内で溶融可塑化状態にされることが必要となるが、シート状インサートとコア部の板を重ねて加熱プレス成形するしか方法がなく、成形自由度はきわめて低くハイサイクルも期待できない。射出成形機を用いて三層状態を形成するためには、文献6のように2種の成形材料をスキン層とコア層に分けて順次射出する方法や、コア部をインサートしておきスキン層を成形する方法となっており、インサートを成形型内で固定する難しさから高強度部材をスキン層に配置する提案が無かった。又、サンドイッチ構造の積層体をインサートとして一体成形する提案もあるが、充分な溶融密着が期待できないため文献7、8ように機械的段差での固定及び後加工での溶着を必要としていた。又、文献8もサンドイッチ構造を利用しながらも実際の成形体のために枠部分と接合する工程を必要とするような方法となってしまい、生産性が高いとはいい難いものであった。
特開2012−86556号公報 特開2005−161541号公報 国際公開第11/118226号 特開2007−38519号公報 特開2012−153069号公報 特開2007−182057号公報 特開2010−46941号公報 特許5034502号公報
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、成形体に高機能を付与するシート一体化を可能にしたもので、特に、弾性率、引張強度、衝撃強度等の機械的強度を高めると同時に、生産性を改善した連続繊維強化樹脂材料による成形体の技術を提供するものである。
本発明は、(1)成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、成形金型の一部又は全体を、型閉め圧縮する圧縮工程を行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形体の製造方法であって、シート状インサートは少なくとも2枚用いて、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、これらのシート状インサートに挟まれた空間に成形樹脂が射出される成形体の製造方法に関する。
(2)成形樹脂の射出ゲート部の少なくとも1つは、金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部側或いはこれと対向する側の型から圧縮方向に可動なピンで、片方のシート状インサートを貫通し、他方のシート状インサートを対向する金型面に押し付けるように固定しながら成形樹脂の射出を行う(1)に記載の成形体の製造方法に関する。
(3)成形樹脂の射出ゲート部の少なくとも1つは、金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部周囲は金型上で凸に設けられ、片方のシート状インサートに設けられた孔が、この凸部に嵌合される(1)または(2)に記載の成形体の製造方法に関する。
(4)成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、成形金型の一部又は全体を、型閉め圧縮する圧縮工程とを行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形体の製造方法であって、シート状インサートは少なくとも2枚用いて、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、複数のシート状インサートに挟まれた空間に1次の射出及び1次の圧縮工程を行い、その後、型の全体或いは一部を後退させ、2次の射出工程或いは射出及び圧縮工程を行う成形体の製造方法に関する。
(5)シート状インサートが、連続強化繊維からなるシート状体に熱可塑性樹脂を含浸させたシートである(1)〜(4)に記載の成形体の製造方法に関する。
(6)成形体の断面構造が、最低でもシート状インサート、射出成形樹脂、シート状インサートの三層構造になっている射出圧縮成形品に関する。
(7)シート状インサートの断面方向の厚さが0.1mm〜0.4mmである(6)に記載の射出圧縮成形品に関する。
(8)シート状インサート表面の一部又は全部が熱可塑性樹脂の複合材料で被覆されている(6)又は(7)に記載の射出圧縮成形体に関する。
本発明によれば、従来のような多くの工数をかけなくても、成形体に高機能を付与する複数シート一体化を可能にした。又、特に弾性率、曲げ強度、衝撃強度等の機械的強度が高い連続繊維強化樹脂材料による成形体を得ることができ、様々な分野への適用できる。
本発明に係わる成形体製造方法の模式図1である。 本発明に係わる成形断面例1である。 本発明に係わる成形断面例2である。 本発明に係わる成形断面例3である. 本発明に係わる成形体製造方法の模式図2である。
本発明の成形品の製造方法は、シート状の高機能インサートを成形品の表裏に一体成形する成形方法である。そのために成形金型内にシート状インサートを少なくとも2枚用い、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、これらのシートに挟まれた空間に成形樹脂を射出し、成形金型の一部又は全体を型閉め圧縮する圧縮工程とを行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する。模式図を図1に示す。
本発明におけるシート状インサートとは、例えば、補強用の強化繊維を用いたシート、EMIシールド用シート、加飾シート、導電性シート、断熱用シート等、多岐にわたるシートが使用でき、シート状であれば適用可能である。但し、一体化される成形樹脂と相溶性を持ち溶融密着することが必要なことから、成形樹脂と相溶性を持つ樹脂に対し、機能材料が複合、印刷等により、機能付与された状態のものが好ましい。具体的には、成形樹脂がポリプロピレン系樹脂であれば、シート状インサートはポリプロピレン系樹脂に機能性粒子を混合した材料をシート化したものが好適である。成形樹脂層の厚みは機能を満たすに充分であれば特に限定されない。シート体と成形樹脂との密着は成形樹脂の溶融熱量により、シート体の樹脂と成形樹脂とが相溶しあう必要があるが、型温度やシート状インサートの予熱により厚みの自由度は得られる。但し、成形体の仕上がり厚みに対しシート状インサート体が厚すぎると成形肉厚が薄くなりすぎ圧縮工程による成形流動自体が不十分となる可能性があるので適性化は必要である。又、樹脂で複合化されてない場合でもメッシュ状のものであれば、成形樹脂が貫通し固着できるため、薄い金網、パンチングメタルなども機能部材として使用できる。
本発明の成形樹脂とは熱可塑性樹脂であり、特に、樹脂の種類を限定するものではない。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の汎用樹脂からポリアミド系材料、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート等の耐熱材料などの加熱溶融可能なものが適用できる。一方、成形品において、成形樹脂部とシート状インサートは線膨張係数が異なることがある。特に、補強シートのような場合は、成形収縮時又は環境下における膨張収縮挙動において所謂熱応力が大きいことがある。このため、樹脂の伸び特性によっては変形やクラックが発生してしまう問題があることから、成形樹脂に、ガラス繊維あるいはタルク等を含有させた複合材料を用いることが好ましい。
本発明の射出工程はシート状インサートに挟まれた空間に行われ、これにより型内で不安定となりがちなシート状インサートが射出樹脂により強制的に型面に押し付けられる。この際、射出樹脂を挟み込んだシート状インサートがある部分の金型は圧縮動作前であるので広い空間を有している。このため樹脂の射出圧力は低くシート状インサートに与えるストレスも低く抑えられる。次の圧縮工程でのストロークは樹脂の冷却も考慮し大きく取りすぎる必要はないが1〜10mm程度が好ましい。縦型締め、横型締め共にこの数値の範囲であれば賦形及び密着に好ましいが、シート状インサートのサイズによってはこれ以上が好ましい場合も充分考えられる。すなわち、成形体に応じて最適化することが好ましい。この圧縮工程は、シート状インサートと成形樹脂の密着と共にシート状インサートの保護に大きく寄与する。通常の射出成形では高い樹脂の射出圧力によってシート状インサートを変形、破壊してしまうが、本発明の方法であれば両サイドのシート状インサートを破壊せず安定して密着させることができる。尚、金型の圧縮動作は一部の駒によるものでも良く、方向も全体の型締め方向に限定されるものでもない。
本発明の特徴は、シート状インサートを成形体の両面に密着させるものを一回の射出成形工程で得られるところであるが、この構造の特長によりこの両シートが夫々異なる機能、つまり、2つの機能を持たせることができる。例えば、電磁シールド特性と高強度特性を共に持たせること等が可能となる。
次に、射出ゲートの少なくとも1つは金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部側或いはこれと対向する側の型から圧縮方向に可動なピンで、片方のシート状インサートを貫通し、他方のシート状インサートを対向する金型面に押し付けるように固定しながら成形樹脂の射出を行うことが好ましい。可動なピンは圧縮動作に応じて圧縮できるスプリングで支持されたものでも、シリンダ作動によるものでも良い。又、スプリング式の場合、スプリングの付勢圧力を適正にすることで成形樹脂の射出圧力により可動ピンを後退させることも可能になる。シリンダ動作の場合でも、圧縮時又は圧縮前に可動ピンを後退させることが可能である。これらの動作は成形品に孔を残さない点で効果的である。シートの面に平行方向から樹脂を供給する場合、シートの末端を乗り越える必要があるが、末端部分の射出樹脂がキャビティ面から離れた状態で射出樹脂に触れると、樹脂流動に任せてシートは押し流され大変形、破損を起こしてしまうおそれがある。シート状インサートの末端部分は金型内で不安定に変形する場合があるため、この破損を防ぐために末端部分を固定しておく必要があるが、固定範囲が広いため固定に時間が掛かり、事前準備が必要になってしまう。そこで、金型に設けた圧縮方向に可動なピンにより、片方のシート状インサートを貫通し、他方のシート状インサートを対向する型面に押し付けるように固定することで、射出樹脂が安定して両方のシート状インサートの挟まれた空間に送り込まれる。ここで金型に設ける圧縮方向に可動なピンはゲート側に設けても、ゲートと対向する側に設けても良い。図2と図3に断面例を示す。
更に、本発明の成形樹脂の射出ゲート部の少なくとも1つは金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部周囲は金型上で凸に設けられ、片方のシート状インサートに設けられた孔がこの凸部に嵌合されることが好ましい。これにより、シート状インサートの固定は容易になり、また吐出樹脂の圧力が型面に押し付けるように働くため、より破損が無く、安定して樹脂を供給できる。又、固定用のピンが減らせることで成形体に残るピンの跡や窪み等を減らすことができる。図4に断面例を示す。
本発明では、更にシート状インサートを内包することが可能である。成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、成形金型の一部又は全体を型閉め圧縮する圧縮工程とを行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形において、シート状インサートは少なくとも2枚用い、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設され、これらのシート状インサートに挟まれた空間に1次の射出及び1次の圧縮工程を行い、その後、型の全体或いは一部を後退させ、2次の射出或いは射出及び圧縮工程を行う。これにより、シート状の高機能インサートが両面に密着した成形体に更に表面を被覆する成形を施すことができる。高機能インサートは必ずしも外観が良好なものではなく、色相も様々であり、隠した方が好ましい場合も多い。例えば、電磁シールド特性を持つシートと繊維補強した高強度特性を持つシートを両面に密着させた成形体を用意しても、ケースとして使用する場合は、少なくとも片面が外観面となるため塗装等の加飾をすることが好ましい。本発明の成形体は2種の高機能化が可能なばかりではなく、これを外観面に使用すること、絶縁被覆を施すことを可能にしている。図5に断面例を示す。又、この際、2次の射出の樹脂はシート状インサートに使用される樹脂と相溶性があれば良く、必ずしも1次の成形樹脂と同じものでなくても良い。複数のシリンダを持つ成形機で、色相や触感を変えた樹脂を組み合わせることも可能である。
シート状インサートは、特に補強用シートの場合に強度的な効果が大きい。前述したように、2つのシート状インサートと成型樹脂で三層構造をとることができるため、剛性や強度を効果的に発揮し、軽量化部材として最適となる。本発明のシート状インサートは連続強化繊維からなるシート状体に熱可塑性樹脂を含浸させたものであり、成形樹脂と相溶性のある樹脂を選択することで溶融密着し、強固な三層構造をもたらす。連続強化繊維とは、その材質は特に限定されるものではない。繊維状の束状態で織り込み、編み込むことでクロス状にすることができるものがより使いやすい。
具体的にはガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維の他に、樹脂材によるものも使用できる。樹脂繊維の場合は、含浸する熱可塑性樹脂(含浸樹脂)の溶融温度で溶融、劣化せずに補強効果をもたらすものであればよく、含浸樹脂にもよるがパラ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維等を用いることも可能である。
繊維径は特に限定するものではない。しかしながら、クロス状のものは配向が二方向しかないために細かい強度管理が不十分となる場合もある。又、編み込み工程を経るために高価な場合がある。そこで、より配向性に優れ、安価な不織布状のものを用いた方が効果的な場合もある。
以上のように効果的な発明により、今まで得られなかった、一部又は全体の両面が、連続強化繊維からなるシート状体に熱可塑性樹脂を含浸させたシート状インサートにより補強された射出圧縮成形品を得られる。
又、本発明のシート状インサートは断面方向の厚みが0.1mm〜0.4mmであり、このシート状インサートが熱可塑性樹脂からなる厚み1mm以上の複合材料層の両側に配された射出圧縮成形品であることが好ましい。連続強化繊維によるシート状インサートの特性は、強化繊維体と樹脂の特性とこれらの配合率によって決まるが、より強化繊維の配合率が高いほど高強度になるものの、実際には生産上の限界がある。例えばガラス繊維(ガラスクロス)でもカーボン繊維でも樹脂を含浸させたシート状インサートの場合、繊維体の体積率は60体積%程度が限界である。繊維体の中への樹脂含浸は樹脂の粘性が影響することは知られているが、特に熱可塑性樹脂の粘度レベルでは、含浸を助ける加圧含浸工程が重要となっている。筆者らもより高い含浸を試したが特性が最も高くなるのがこの配合状態であった。
一方、三層構造体における成形樹脂とシート状インサートの関係も適切な構成比が存在する。三層構造の場合、成形樹脂とシート状インサートの各弾性率と断面2次モーメントが決まると、全体の剛性が算出されるが、更に密度が判っていれば比剛性も算出できる。つまり、成形樹脂及びシート状インサートの特性把握により、最も軽量化が図れる構成を選択できることになる。前述したシート状インサートの検討並びに成形樹脂を検討した結果、シート状インサートの弾性率は20GPa程度以上が得られること、成形樹脂は弾性率が1.5〜5GPa程度(配向による特異なものを除く平均特性)であること等から、シート状インサートの厚みは0.1mm〜0.4mmが適切であり、2つのシート状インサート同士の間の成形樹脂層は厚みが1mm以上であることが好ましいことがわかった。更に、2つのシート状インサート同士の間成形樹脂層は複合材であり補強シート部との線膨張差を小さくしたものが好ましい。
又、本発明の成形体は、シート状インサート表面の一部又は全部が熱可塑性樹脂の複合材料で被覆されているので外観改善を可能にできるため好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1は、本実施形態の成形品の製造方法を示す模式図である。
1はゲート5側に設けた可動ピン6によりゲート5と対向する側に押し付けられている。2には孔7、孔8が設けてあり、ゲートのある側に固定されている。金型4は型締めされ所定の位置に停止し、成形樹脂3を1と2の間に射出し、直後に型締め圧縮動作を行い、冷却後に脱型し成形体9を得た。シート状インサート1,2に関しては線径約20μmのガラス繊維による平織りクロスにポリプロピレン樹脂を含浸させたものを用いた。ガラス配合率は55体積%とし、厚みは0.3mmのものを用いた。又、成形樹脂はポリプロピレン樹脂に短繊維のガラス繊維を13体積%配合した成形品を用いた。
〔実施例2〕
図5は、本実施形態の成形品の製造方法の工程を示す模式図である。実施例1と同様にゲート5を用い、両面にシート状インサートを設けた1次成形を行う、このとき2次成形用のゲート12については、保護用の作動ピンを用いて1次成形樹脂の回り込みを防止してある。続いて、型の片方を後退させた状態にしてゲート12を用いた2次成形にて成形体を得た。
〔比較例1〕
比較として、従来材のガラスマットポリプロピレン材料によるプレス成形法にて、成形体を作成した。
〔比較例2〕
次の比較例としては、従来材の短繊維ガラス繊維強化ポリプロピレン材料による射出成形方法にて、成形体を作製した。
表1に成形条件を示す。表2に本発明の実施例の成形体と従来例の成形体の比較結果を示す。
Figure 2016203419
Figure 2016203419
表2に示したように、本発明による成形体は極めて優れた特性を持つことが判ると同時に、比較例試料と対比して成形工数に大きな遜色がない。
1.シート状インサートA、2.シート状インサートB、3.成形樹脂(1次成形用)、4.成形金型、5.ゲート(1次成形用)、6.固定用可動ピン、7.孔(ピン貫通用)、8.孔(ゲート部貫通用)、9.成形体、10.成形樹脂(2次成形用)、11.インサート固定用ピン、12.ゲート(2次成形用)、13.ゲート部保護用作動ピン

Claims (8)

  1. 成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、
    成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、
    成形金型の一部又は全体を、型閉め圧縮する圧縮工程を行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形体の製造方法であって、
    前記シート状インサートは少なくとも2枚用いて、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、これらのシート状インサートに挟まれた空間に前記成形樹脂が射出される成形体の製造方法。
  2. 成形樹脂の射出ゲート部の少なくとも1つは、金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部側或いはこれと対向する側の型から圧縮方向に可動なピンで、片方のシート状インサートを貫通し、他方のシート状インサートを対向する金型面に押し付けるように固定しながら成形樹脂の射出を行う請求項1に記載の成形体の製造方法
  3. 成形樹脂の射出ゲート部の少なくとも1つは、金型の圧縮方向に略平行方向に設けられており、このゲート部周囲は金型上で凸に設けられ、片方のシート状インサートに設けられた孔が、この凸部に嵌合される請求項1または2に記載の成形体の製造方法
  4. 成形金型内にシート状インサートを配設する工程と、
    成形金型内に成形樹脂を射出する射出工程と、
    成形金型の一部又は全体を、型閉め圧縮する圧縮工程を行い、シート状インサートと成形樹脂を一体化する成形体の製造方法であって、
    前記シート状インサートは少なくとも2枚用いて、圧縮動作をする両型面付近に夫々に配設し、複数のシート状インサートに挟まれた空間に1次の射出及び1次の圧縮工程を行い、その後、型の全体或いは一部を後退させ、2次の射出工程或いは2次の射出及び圧縮工程を行う成形体の製造方法。
  5. シート状インサートが、連続強化繊維からなるシート状体に熱可塑性樹脂を含浸させたシートである請求項1〜4に記載の成形体の製造方法
  6. 成形体の断面構造が、最低でもシート状インサート、射出成形樹脂、シート状インサートの三層構造になっている射出圧縮成形品。
  7. シート状インサートの断面方向の厚さが0.1mm〜0.4mmである請求項6に記載の射出圧縮成形品。
  8. シート状インサート表面の一部又は全部が熱可塑性樹脂の複合材料で被覆されている請求項6又は7に記載の射出圧縮成形体。
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