JP2016036026A - 太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステルフィルムと耐候性層との密着性に優れ、裁断時の切り屑の発生が抑制された太陽電池用バックシート及びその製造方法、並びに長期耐久性に優れた太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸し、フィルム面に沿って第1方向と直交する第2方向に延伸することで作製された2軸延伸ポリエステルフィルムと、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層と、下塗り層の上に配置された、アクリル樹脂を含む耐候性層と、を有する太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールである。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールに関する。
結晶シリコン又はアモルファスシリコン等を太陽電池素子とする太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する透明性のフロント基板、光起電力素子としての太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板、及び裏面保護材(いわゆる太陽電池用バックシート)を順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造されている。太陽電池モジュールは、太陽光及び風雨に曝される環境(例えば屋根の上など)に長期間置かれることから、太陽電池モジュールを形成する太陽電池用バックシートには、湿熱環境下での耐久性などの種々の機能が求められる。
近年では、太陽電池モジュールに用いられる透明性のフロント基板又は太陽電池用バックシートとして、樹脂製の支持体(ポリマー支持体)が利用されるに至っている。ポリマー支持体は、機能層を積層する等により様々な機能を付与することができ、太陽電池モジュールの軽量化やコスト削減を実現する観点からも有用とされている。
太陽電池用保護シートは、各種機能を付与する観点から機能層がポリエステルフィルムに積層された積層体として用いられることが多い。代表的な機能層としては、例えば、電池側基板の封止材と密着させるための接着剤層、モジュール内に入射した太陽光の反射機能を高めて発電効率を向上させるための白色層、長期耐久性を付与するための耐候性層などが挙げられる。
一方、上記のような機能層を設ける方法の一つとして、ポリマー支持体の上に塗布により所望の機能を発現する層を形成する方法が知られている。この場合、ポリマー支持体と機能層との密着を向上させるため、あらかじめポリマー支持体に下塗り層を設けておくことがある。具体的な例として、ポリマー支持体を構成するポリマーを含む未延伸シートを供給すること、未延伸シートを第一の方向に延伸すること、第一の方向に延伸されたシートの、少なくとも一表面の上に、下塗り層形成用組成物を付与すること、及び下塗り層形成用組成物が付与されたシートを、第一の方向に直交する方向に延伸することを含む方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1と同様の方法により、ポリオレフィンバインダーを含む下塗り層が形成されたポリエチレンテレフタレートの一方の面に、耐候性層として、ポリシロキサン部位を含む複合ポリマーを用いたポリマー層を設ける例が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも片面側に配置されたオレフィン−アクリル複合ポリマー層とを有し、基材フィルムとオレフィン−アクリル複合ポリマー層との間に、オレフィン樹脂を含む下塗り層を有する易接着シートが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2013/008945号 特開2013−58747号公報 特開2014−74149号公報
フッ素樹脂又はシリコーン樹脂は、太陽電池モジュールの保護シートに耐久性を付与する点で有効な成分である。上記した特許文献2のように、耐候性層の形成にポリシロキサン部位を含む複合ポリマーを用いた場合、水系の塗布液中での複合ポリマーの分散が不十分となりやすいため、下塗り層が形成されたポリエチレンテレフタレートと耐候性層との間の密着性を良好に維持することは難しい。
そのため、裁断加工する過程において、下塗り層又は耐候性層に剥がれが生じ、結果、裁断時に切り屑が発生し、裁断面に部分的に欠損が発生することがある。このような現象は、製品の品質を著しく損なう。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、ポリエステルフィルムと耐候性層との密着性に優れ、裁断時の切り屑の発生が抑制された太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに長期耐久性に優れた太陽電池モジュールを提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
上記の課題を達成するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸し、フィルム面に沿って第1方向と直交する第2方向に延伸することで作製された2軸延伸ポリエステルフィルムと、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層と、下塗り層の上に配置された、アクリル樹脂を含む耐候性層と、を有する太陽電池用保護シートである。
<2> 耐候性層は、厚みが10μm以上である<1>に記載の太陽電池用保護シートである。
<3> 2軸延伸ポリエステルフィルムの耐候性層を有する側とは反対側に、更に、
第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの他方面に、第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層を有する<1>又は<2>に記載の太陽電池用保護シートである。
<4> 2軸延伸ポリエステルフィルムが、白色顔料を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の太陽電池用保護シートである。
<5> 白色顔料が、二酸化チタンである<4>に記載の太陽電池用保護シートである。
<6> 耐候性層が散乱粒子を含み、耐候性層中における散乱粒子の体積比率が10%以上30%以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の太陽電池用保護シートである。
<7> 散乱粒子が、二酸化チタンである<6>に記載の太陽電池用保護シートである。
<8> 耐候性層に含まれるアクリル樹脂は、シリコーン/アクリル複合樹脂及びアクリル/フッ素複合樹脂の少なくとも一方を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の太陽電池用保護シートである。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の太陽電池用保護シートを含む太陽電池モジュールである。
<10> 未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸する工程と、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程と、下塗り層が形成されたポリエステルフィルムを、第1方向と直交する第2方向に延伸する工程と、下塗り層の上にアクリル樹脂を含む耐候性層を形成する工程と、を有する太陽電池用保護シートの製造方法である。
<11> 上記の、第1方向に延伸する工程と第2方向に延伸する工程との間に、更に、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの他方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程を有する<10>に記載の太陽電池用バックシートの製造方法である。
本発明によれば、ポリエステルフィルムと耐候性層との密着性に優れ、裁断時の切り屑の発生が抑制された太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに長期耐久性に優れた太陽電池モジュールが提供される。
以下、本発明の太陽電池用保護シート及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
<太陽電池用保護シート>
本発明の太陽電池用保護シートは、未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸し、フィルム面に沿って第1方向と直交する第2方向に延伸することで作製された2軸延伸ポリエステルフィルムと、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層と、下塗り層の上に配置された、アクリル樹脂を含む耐候性層と、を有している。
本発明の太陽電池用保護シートは、必要に応じて、更に、着色層、紫外線吸収層、ガスバリア層などの公知の機能層が設けられていてもよい。
太陽電池モジュールは、屋外に長期間設置されることで太陽光及び風雨に曝されるため、長期耐久性が要求される。そのため、裏面保護材として使用される太陽電池用保護シート(例えばいわゆる太陽電池用バックシート)も、複数の層が積層された積層部の層間剥がれが生じ難く、湿熱環境に置かれた場合でも層間の密着性に優れ、裁断加工時に切り屑が発生し難いことが望ましい。
一方、太陽電池用バックシートの長期耐久性を向上させるには、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂を用いた耐候性層を設けることが有効である。ところが、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂は疎水的な性質が強いため、水系塗布液の塗布により耐候性層を形成するには、樹脂の水への分散を良好に行う必要がある。そのため、シリコーン成分又はフッ素成分とアクリル成分とを複合化した複合樹脂などのアクリル樹脂が有効である。このような複合樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)に対する界面密着が比較的弱く、太陽電池用保護シートが湿熱環境下に曝された後に裁断加工に供されると、膜剥がれに伴う切り屑が発生しやすい。
他方、例えば特許文献3のように、従来用いられているオレフィン樹脂を用いた下塗り層をPETに付与しても、裁断加工時の膜剥がれの発生は抑えられない。この点は、2方向に延伸する過程で下塗り層を形成する方法によっても改善効果は乏しい。
本発明においては、PET上にアクリル樹脂を含む下塗り層を付与し、更にはこの下塗り層を、二軸延伸PETを作製する際の一軸延伸と二軸延伸との間に形成するインラインコート法によることで、下塗り層上に形成される耐候性層の樹脂成分に、シリコーン成分又はフッ素成分とを複合化成分に含む複合樹脂等のアクリル樹脂を含有した場合でも、PETと耐候性層との密着性に優れたものとなる。結果、裁断時の切り屑の発生が効果的に抑制される。
−2軸延伸ポリエステルフィルム−
本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムは、未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向(例えばフィルム走行方向(MD;Machine Direction))に延伸し、フィルム
面に沿って第1方向と直交する第2方向(例えばフィルム幅方向(TD;Transverse Direction))に延伸することで作製されている。
2軸延伸ポリエステルフィルムを形成する際の延伸方法の詳細については後述する。
ポリエステルフィルムを形成するポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。線状飽和ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。
ポリエステルの種類は、上記に限られるものではなく、公知のポリエステルを使用してもよい。公知のポリエステルとしては、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを用いて合成してもよいし、市販のポリエステルを用いてもよい。
ポリエステルを合成する場合は、例えば、(a)ジカルボン酸成分と、(b)ジオール成分と、を周知の方法でエステル化反応及びエステル交換反応の少なくとも一方により反応させることによって得ることができる。
(a)ジカルボン酸成分としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルインダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸;などのジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
(b)ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオール類;等のジオール化合物が挙げられる。
(a)ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種を用いることが好ましい。より好ましくは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸を主成分として含有する。なお、「主成分」とは、ジカルボン酸成分に占める芳香族ジカルボン酸の割合が80質量%以上であることをいう。芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を含んでもよい。このようなジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸などのエステル誘導体等である。
(b)ジオール成分として、脂肪族ジオールの少なくとも1種を用いることが好ましい。脂肪族ジオールとして、エチレングリコールを含むことができ、好ましくはエチレングリコールを主成分として含有することがよい。なお、主成分とは、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が80質量%以上であることをいう。
脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール)の使用量は、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸)及び必要に応じそのエステル誘導体の1モルに対して、1.015モル〜1.50モルの範囲であるのが好ましい。脂肪族ジオールの使用量は、より好ましくは1.02モル〜1.30モルの範囲であり、更に好ましくは1.025モル〜1.10モルの範囲である。脂肪族ジオールの使用量は、1.015モル以上の範囲であると、エステル化反応が良好に進行し、1.50モル以下の範囲であると、例えばエチレングリコールの2量化によるジエチレングリコールの副生が抑えられ、融点やガラス転移温度、結晶性、耐熱性、耐加水分解性、耐候性など多くの特性を良好に保つことができる。
エステル化反応又はエステル交換反応には、従来から公知の反応触媒を用いることができる。反応触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などが挙げられる。通常、ポリエステルの製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
例えば、エステル化反応工程は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、チタン化合物を含有する触媒の存在下で重合する。このエステル化反応では、触媒であるチタン化合物として、有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体を用い、かつ、工程中に少なくとも、有機キレートチタン錯体と、マグネシウム化合物と、置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルと、をこの順序で添加する過程を設けることがよい。
具体的には、エステル化反応工程では、まず、初めに、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを、リン化合物及びマグネシウム化合物の添加に先立って、チタン化合物である有機キレートチタン錯体を含有する触媒と混合する。有機キレートチタン錯体等のチタン化合物は、エステル化反応に対しても優れた触媒活性を持つので、エステル化反応を良好に行なわせることができる。この場合、芳香族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を混合した中にチタン化合物を加えてもよいし、芳香族ジカルボン酸成分(又は脂肪族ジオール成分)とチタン化合物を混合してから脂肪族ジオール成分(又は芳香族ジカルボン酸成分)を混合してもよい。また、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とチタン化合物とを同時に混合するようにしてもよい。混合は、その方法に特に制限はなく、従来公知の方法により行うことが可能である。
ここで、上記ポリエステルの重合に際し、下記の化合物を加えることも好ましい。
5価のリン化合物として、置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルの少なくとも一種が用いられる。例えば、炭素数2以下の低級アルキル基を置換基として有するリン酸エステル〔(OR)−P=O;R=炭素数1又は2のアルキル基〕が挙げられ、具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが特に好ましい。
リン化合物の添加量としては、リン(P)元素換算値が50ppm〜90ppmの範囲となる量が好ましい。リン化合物の量は、より好ましくは60ppm〜80ppmとなる量であり、さらに好ましくは60ppm〜75ppmとなる量である。
ポリエステルにマグネシウム化合物を含めることにより、ポリエステルの静電印加性が向上する。
マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられる。中でも、エチレングリコールへの溶解性の観点から、酢酸マグネシウムが最も好ましい。
マグネシウム化合物の添加量としては、高い静電印加性を付与するためには、マグネシウム(Mg)元素換算値が50ppm以上となる量が好ましく、50ppm〜100ppmの範囲となる量がより好ましい。マグネシウム化合物の添加量は、静電印加性の付与の点で、好ましくは60ppm〜90ppmの範囲となる量であり、さらに好ましくは70ppm〜80ppmの範囲となる量である。
エステル化反応工程においては、触媒成分であるチタン化合物と、添加剤であるマグネシウム化合物及びリン化合物とを、下記式(i)から算出される値Zが下記の関係式(ii)を満たす範囲で添加し、溶融重合させる場合が特に好ましい。ここで、P含有量は芳香環を有しない5価のリン酸エステルを含むリン化合物全体に由来するリン量であり、チタン(Ti)含有量は、有機キレートチタン錯体を含むTi化合物全体に由来するチタン量である。このように、チタン化合物を含む触媒系でのマグネシウム化合物及びリン化合物の併用を選択し、その添加タイミング及び添加割合を制御することによって、チタン化合物の触媒活性を適度に高く維持しつつも、黄色味の少ない色調が得られ、重合反応時やその後の製膜時(溶融時)などで高温下に曝されても黄着色を生じ難い耐熱性を付与することができる。
(i)Z=5×(P含有量[ppm]/P原子量)−2×(Mg含有量[ppm]/Mg原子量)−4×(Ti含有量[ppm]/Ti原子量)
(ii)0≦Z≦5.0
これは、リン化合物はチタンに作用するのみならずマグネシウム化合物とも相互作用することから、3者のバランスを定量的に表現する指標となるものである。
式(i)は、反応可能な全リン量から、マグネシウムに作用するリン分を除き、チタンに作用可能なリンの量を表現したものである。値Zが正の場合は、チタンを阻害するリンが余剰な状況にあり、逆に負の場合はチタンを阻害するために必要なリンが不足する状況にあるといえる。反応においては、Ti、Mg、Pの各原子1個は等価ではないことから、式中の各々のモル数に価数を乗じて重み付けを施してある。
なお、ポリエステルの合成には特殊な合成等が不要であり、安価でかつ容易に入手可能なチタン化合物、このようなリン化合物、マグネシウム化合物を用いて、反応に必要とされる反応活性を持ちながら、色調及び熱に対する着色耐性に優れたポリエステルを得ることができる。
式(ii)において、重合反応性を保った状態で、色調及び熱に対する着色耐性をより高める観点から、1.0≦Z≦4.0を満たす場合が好ましく、1.5≦Z≦3.0を満たす場合がより好ましい。
エステル化反応工程の好適な態様としては、エステル化反応が終了する前に、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールに、1ppm〜30ppmのクエン酸又はクエン酸塩を配位子とするキレートチタン錯体を添加することがよい。その後、キレートチタン錯体の存在下に、60ppm〜90ppm(より好ましくは70ppm〜80ppm)の弱酸のマグネシウム塩を添加し、添加後にさらに、60ppm〜80ppm(より好ましくは65ppm〜75ppm)の、芳香環を置換基として有しない5価のリン酸エステルを添加することが好ましい。
エステル化反応工程は、少なくとも2個の反応器を直列に連結した多段式装置を用いて、エチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水又はアルコールを系外に除去しながら実施することができる。
エステル化反応工程は、一段階で行なってもよいし、多段階に分けて行うようにしてもよい。
エステル化反応工程を一段階で行う場合、エステル化反応温度は230℃〜260℃が好ましく、240℃〜250℃がより好ましい。
エステル化反応工程を多段階に分けて行う場合、第一反応槽のエステル化反応の温度は230℃〜260℃が好ましく、より好ましくは240℃〜250℃であり、圧力は1.0kg/cm〜5.0kg/cmが好ましく、より好ましくは2.0kg/cm〜3.0kg/cmである。第二反応槽のエステル化反応の温度は230℃〜260℃が好ましく、より好ましくは245℃〜255℃であり、圧力は0.5kg/cm〜5.0kg/cm、より好ましくは1.0kg/cm〜3.0kg/cmである。さらに3段階以上に分けて実施する場合は、中間段階のエステル化反応の条件は、第一反応槽と最終反応槽の間の条件に設定するのが好ましい。
一方、エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させて重縮合物を生成する。重縮合反応は、1段階で行なってもよいし、多段階に分けて行うようにしてもよい。
エステル化反応で生成したオリゴマー等のエステル化反応生成物は、引き続いて重縮合反応に供される。この重縮合反応は、多段階の重縮合反応槽に供給することにより好適に行うことが可能である。
例えば、3段階の反応槽で行う場合の重縮合反応条件は、第一反応槽は、反応温度が255〜280℃、より好ましくは265〜275℃であり、圧力が100〜10torr(13.3×10−3〜1.3×10−3MPa)、より好ましくは50〜20torr(6.67×10−3〜2.67×10−3MPa)であって、第二反応槽は、反応温度が265〜285℃、より好ましくは270〜280℃であり、圧力が20〜1torr(2.67×10−3〜1.33×10−4MPa)、より好ましくは10〜3torr(1.33×10−3〜4.0×10−4MPa)であって、最終反応槽内における第三反応槽は、反応温度が270〜290℃、より好ましくは275〜285℃であり、圧力が10〜0.1torr(1.33×10−3〜1.33×10−5MPa)、より好ましくは5〜0.5torr(6.67×10−4〜6.67×10−5MPa)である態様が好ましい。
上記のようにして合成されたポリエステルには、光安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、易滑剤(微粒子)、核剤(結晶化剤)、結晶化阻害剤などの添加剤を更に含有させてもよい。
ポリエステルの合成では、エステル化反応により重合した後に、固相重合を行うことが好ましい。固相重合することにより、ポリエステルの含水率、結晶化度、ポリエステルの酸価、すなわち、ポリエステルの末端カルボキシル基の濃度、固有粘度を制御することができる。
特に、固相重合開始時のエチレングリコール(EG)ガス濃度を固相重合終了時のEGガス濃度よりも200ppm〜1000ppmの範囲で高くすることが好ましく、より好ましくは250ppm〜800ppm、さらに好ましくは300ppm〜700ppmの範囲で高くして固相重合することが好ましい。この場合、平均EGガス濃度(固相重合開始時と終了時のガス濃度の平均)を添加することでAV(末端COOH濃度)を制御できる。即ちEG添加により末端COOHと反応させAVを低減できる。EGは100ppm〜500ppmが好ましく、より好ましくは150ppm〜450ppm、さらに好ましくは200ppm〜400ppmである。
また、固相重合の温度は180℃〜230℃が好ましく、より好ましくは190℃〜215℃、さらに好ましくは195℃〜209℃である。
また、固相重合時間は10時間〜40時間が好ましく、より好ましくは14時間〜35時間、さらに好ましくは18時間〜30時間である。
ここで、ポリエステルは、優れた耐加水分解性を有することが好ましい。このためポリエステル中のカルボキシル基含量は50当量/t(ここで、tはton(トン)を意味する)以下が好ましく、より好ましくは35当量/t以下であり、さらに好ましくは20当量/t以下である。カルボキシル基含量が50当量/t以下であると、耐加水分解性を保持し、湿熱経時した場合の強度低下を小さく抑制することができる。カルボキシル基含量の下限は、ポリエステルに形成される層(例えば着色層)との間の接着性を保持する点で、2当量/t、より好ましくは3当量/tである。
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)、固相重合、添加剤(末端封止剤等)により調整することが可能である。
(白色顔料)
ポリエステルフィルムの製造にあたっては、ポリエステル原料樹脂と白色顔料を混合して押出機等で混練して製膜することによって、白色顔料が練り込まれた白色ポリエステルフィルムを製造することが可能である。
このように、ポリエステルフィルムに白色顔料を含めることにより、耐候性層等に含有される顔料量が減ることで層間密着がより改善する。これにより、反射率を損なわずに、例えばクロスカット密着が抑えられ、裁断時の切り屑発生をより低減することができる。
白色顔料としては、後述する耐候性層で使用可能な散乱粒子で挙げられている粒子と同様のものを適用することができる。具体的には、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、コロイダルシリカ等の無機顔料を好適に挙げることができ、二酸化チタンが好ましい。
ポリエステルフィルムに白色顔料を含める場合、上記と同様の理由から、白色顔料の量は、ポリエステルフィルムの全固形分に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、1.5質量%〜4.5質量%がより好ましい。
(カルボジイミド化合物、ケテンイミン化合物)
原料樹脂がポリエステルであるポリエステルフィルムは、カルボジイミド化合物及びケテンイミン化合物の少なくとも一方を含有してもよい。カルボジイミド化合物及びケテンイミン化合物は、それぞれ一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これにより、サーモ後のポリエステルの劣化を抑え、サーモ後においても良好な絶縁性を維持するのに有効である。
カルボジイミド化合物又はケテンイミン化合物は、それぞれポリエステルに対して、0.1質量%〜10質量%含有されていることが好ましく、0.1質量%〜4質量%含有されていることがより好ましく、0.1質量%〜2質量%含有されていることがさらに好ましい。カルボジイミド化合物又はケテンイミン化合物の含有量をそれぞれ上記範囲内とすることにより、支持体と隣接する層との間の密着性をより高めることができる。また、支持体の耐熱性を高めることができる。
なお、カルボジイミド化合物とケテンイミン化合物が併用される場合は、2種類の化合物の含有率の合計が、上記範囲内であることが好ましい。
カルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが例示される。ポリカルボジイミド化合物としては、その重合度が、下限が通常2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは、30以下であるものが使用され、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、及びChemical Review 1981、81巻、第4号、p.619−621等に記載された方法により製造されたものが挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物の製造原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートなどが例示される。
工業的に入手可能な具体的なポリカルボジイミド化合物としては、カルボジライト(登録商標)HMV−8CA(日清紡製)、カルボジライト(登録商標)LA−1(日清紡製)、スタバクゾール(登録商標)P(ラインケミー社製)、スタバクゾール(登録商標)P100(ラインケミー社製)、スタバクゾール(登録商標)P400(ラインケミー社製)、スタビライザー9000(ラシヒケミ社製)などが例示される。
カルボジイミド化合物は単独で使用することもできるが、複数の化合物を混合して使用することもできる。
また、ケテンイミン化合物としては、下記一般式(K−A)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。

一般式(K−A)において、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、Rは、アルキル基又はアリール基を表す。
ここで、ケテンイミン化合物の窒素原子と窒素原子に結合している置換基Rを除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。すなわち、一般式(K−A)では、R−C(=C)−R基の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と窒素原子に結合している置換基Rを除く部分の分子量は、320以上であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましく、600〜1000であることがさらに好ましい。このように、窒素原子と窒素原子に結合している置換基Rを除く部分の分子量を上記範囲内とすることにより、支持体とそれと接する層との密着性を高めることができる。これは、窒素原子と窒素原子に結合している置換基Rを除く部分が一定範囲の分子量を有することで、ある程度の嵩高さをもったポリエステル末端が支持体に接する層に拡散し投錨効果を発揮するためである。
本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムは、上記の原料樹脂を用いて製膜されたシート物を、互いに直交する二軸方向(第1方向及び第2方向)に順次延伸させることで作製することができる。延伸方法の詳細については後述する。
−下塗り層−
本発明における下塗り層は、アクリル樹脂を含み、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、第2方向への延伸前に塗布液を塗布した後、第2方向に延伸されること(後述のいわゆるインラインコート)で形成される塗布層(以下、インラインコート層とも称されることがある。)である。一軸延伸されたポリエステルフィルム上に下塗り層を形成した状態で二軸延伸することで、形成される下塗り層のポリエステルフィルムへの密着が高められる。
インラインコートの詳細については、後述する。
本発明における下塗り層は、最終的に2軸延伸ポリエステルフィルムの耐候性層が形成される側とは反対側にも形成(すなわち2軸延伸ポリエステルフィルムの両面に形成)されてもよい。この場合の素材、厚み、及び形成方法等の詳細については、耐候性層が形成される側に設けられる下塗り層と同様である。
2軸延伸ポリエステルフィルムの両面に下塗り層を有する場合、下塗り層は互いに厚み及び組成等が同一でも異なっていてもよい。
下塗り層は、少なくとも、樹脂成分としてアクリル樹脂を含み、このアクリル樹脂の一部に代えて他の樹脂が含有されていてもよい。また、下塗り層には、必要に応じて、更に種々の添加剤が含有されてもよい。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルファインケム(株)製)、ジュリマー(登録商標)ET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)、ボンロンPS−001、ボンロンPS−002(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。
他の樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタンから選ばれる1種類以上のポリマーが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、変性ポリオレフィン共重合体が好ましい。ポリオレフィンとしては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、アローベース(登録商標)SE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(ともにユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(ともに東邦化学(株)製)、ケミパール(登録商標)S−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)などを挙げることができる。その中でも、低密度ポリエチレン、アクリル酸エステル、無水マレイン酸の三元共重合体である、アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが密着性を向上させる上で好ましい。
ポリオレフィンは、単独で用いても二種以上併用して用いてもよい。二種以上を併用する場合は、アクリル樹脂とポリオレフィンの組合せ、ポリエステルとポリオレフィンの組合せ、ウレタン樹脂とポリオレフィンの組合せが好ましく、アクリル樹脂とポリオレフィンの組合せがより好ましい。
アクリル樹脂とポリオレフィンを組合せて用いる場合、下塗り層中のポリオレフィンとアクリル樹脂との合計に対するアクリル樹脂の含有量は、25質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、75質量%〜100質量%が特に好ましい。アクリル樹脂の含有量が25質量%以上であると、裁断時における切り屑耐性を良好に維持することができる。
一方、例えばアクリル樹脂を含まずにポリオレフィンのみを用いた下塗り層を形成すると、インラインコート法で下塗り層を形成しても下塗り層と耐候性層との間の密着の改善効果が乏しく、裁断時における切り屑耐性の改善効果が小さい。
ポリオレフィンに、ポリエステル(例えば、バイロナール(登録商標)MD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく組合せて用いることができる。また、ポリオレフィンにポリウレタンを加えることも好ましく、例えば、カーボネート系ポリウレタンが好ましく、例えば、スーパーフレックス(登録商標)460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等が好ましい。ポリエステルとしては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナール(登録商標)MD−1245(東洋紡
(株)製)を好ましく用いることができる。
ポリウレタンとしては、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂が好ましく、例えば、スーパーフレックス(登録商標)460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
下塗り層が含み得る架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。中でも、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤及びイソシアネート系架橋剤から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、後述の耐候性層において説明したものを下塗り層にも適用できる。
下塗り層の形成方法については、後述する。
下塗り層の厚みとしては、特に制限はなく、10nm〜1000nmの範囲が好ましく、10nm〜500nmの範囲がより好ましく、100nm〜500nmがさらに好ましい。
−耐候性層−
本発明における耐候性層は、下塗り層の上に配置された層であり、少なくともアクリル樹脂を含み、必要に応じて、更に架橋剤、界面活性剤、フィラー、紫外線吸収剤等の他の成分を含んでいてもよい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含むポリマー等が挙げられ、太陽光、風雨等に対する耐候性向上の点で、シリコーンとアクリルとが複合化したシリコーン/アクリル複合樹脂、アクリルとフッ素化合物とが複合化したアクリル/フッ素複合樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルファインケム(株)製)、ジュリマー(登録商標)ET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)、ボンロンPS−001、ボンロンPS−002(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。
また、シリコーン/アクリル複合樹脂としては、例えば、セラネート(登録商標)WSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。アクリル/フッ素複合樹脂としては、例えば、オブリガード(登録商標)SW0011F(AGCコーテック(株)製)、SIFCLEAR F101、F102(JSR(株)製))、KYNAR AQ
UQTEC ARC、FMA−12(ともにアルケマ(株)製)等が挙げられる。
上記のシリコーン/アクリル複合樹脂は、分子鎖中に(ポリ)シロキサン構造とアクリル構造とを有するポリマーである。耐候性層は、シリコーン/アクリル複合樹脂を含むことで、太陽電池用保護シートのポリエステルフィルムなどの隣接材料との接着性、及び湿熱環境下での耐久性、裁断加工時の切り屑の発生抑制により優れたものとなる。
シリコーン/アクリル複合樹脂は、分子鎖中に(ポリ)シロキサン構造とアクリル構造とを有していれば、特に制限はなく、(ポリ)シロキサン構造単位及びアクリル構造を有する化合物の単独重合体(ホモポリマー)、又は(ポリ)シロキサン構造単位とアクリル構造単位とを含む共重合体のいずれでもよい。
シリコーン/アクリル複合樹脂は、(ポリ)シロキサン構造として、下記一般式(1)で表されるシロキサン構造単位を有するものが好ましい。
一般式(1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。ここで、RとRとは同一でも異なってもよく、また、複数存在するR及びRは各々、互いに同一でも異なってもよい。nは、1以上の整数を表す。
シリコーン樹脂中のシロキサン構造単位である「−(Si(R)(R)−O)−」の部分構造は、線状、分岐状あるいは環状の構造を有する各種の(ポリ)シロキサン構造を形成しうるシロキサンセグメントである。
及びRがハロゲン原子を表す場合のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
及びRが1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、Si原子と共有結合可能な基であればいずれでもよく、例えば、アルキル基(例:メチル基、エチル基など)、アリール基(例:フェニル基など)、アラルキル基(例:ベンジル基、フェニルエチルなど)、アルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、アリールオキシ基(例;フェノキシ基など)、メルカプト基、アミノ基(例:アミノ基、ジエチルアミノ基など)、アミド基等が挙げられる。これらの有機基は、無置換でも置換基をさらに有してもよい。
nは、1〜5000であることが好ましく、1〜1000であることがより好ましい。
中でも、ポリエステルフィルム等の隣接材料との接着性及び湿熱環境下での耐久性の点で、R、Rとしては各々独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、無置換の又は置換された炭素数1〜4のアルキル基(特にメチル基、エチル基)、無置換の又は置換されたフェニル基、無置換の又は置換されたアルコキシ基、メルカプト基、無置換のアミノ基、アミド基が好ましく、より好ましくは、湿熱環境下での耐久性の点で、無置換の又は置換されたアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)である。
樹脂中における「−(Si(R) (R)−O)−」の部分(一般式(1)で表される(ポリ)シロキサン構造単位)の比率は、樹脂の全質量に対して、15質量%〜85質量%であることが好ましく、中でも、ポリエステルフィルム表面の強度向上を図り、引っ掻きや擦過等による傷の発生を防ぎ、かつ、ポリエステルフィルム等の隣接材料との接着性及び湿熱環境下での耐久性により優れる観点から、(ポリ)シロキサン構造単位の比率は、20質量%〜80質量%の範囲がより好ましい。(ポリ)シロキサン構造単位の比率が15質量%以上であると、ポリエステルフィルム表面の強度が向上し、引っ掻きや擦過、飛来した小石等の衝突で生じる傷の発生が防止され、また支持体をなすポリエステルフィルム等の隣接材料との接着性に優れる。傷の発生抑止により耐候性が向上し、熱や水分が与えられて劣化しやすい剥離耐性、形状安定性、並びに湿熱環境下に曝された場合の接着耐久性が効果的に高められる。また、(ポリ)シロキサン構造単位の比率が85質量%以下であると、液を安定に保つことができる。
本発明におけるアクリル樹脂が(ポリ)シロキサン構造単位とアクリル構造単位とを有する共重合ポリマーである場合、分子鎖中に一般式(1)で表される(ポリ)シロキサン構造単位を質量比率で15質量%〜85質量%と、アクリル構造単位を質量比率で85質量%〜15質量%とを、含んでいる場合が好ましい。このような共重合ポリマーを含有することにより、ポリエステルフィルムの膜強度が向上し、引っ掻きや擦過等による傷の発生を防ぎ、支持体をなすポリエステルフィルムとの接着性、すなわち熱や水分が与えられて劣化しやすい剥離耐性、形状安定性、並びに湿熱環境下での耐久性を、従来に比べて飛躍的に向上させることができる。
共重合ポリマーとしては、シロキサン化合物(ポリシロキサンを含む)と、アクリル系モノマーと、場合により非シロキサン系モノマー(アクリル系モノマーを除く)及び非シロキサン系ポリマーから選ばれる化合物と、が共重合し、一般式(1)で表される(ポリ)シロキサン構造単位と、アクリル構造単位と、場合により非シロキサン系の構造単位と、を有するブロック共重合体であることが好ましい。
この場合、シロキサン化合物、並びに共重合されるアクリル系モノマー、非シロキサン系モノマー及び非シロキサン系ポリマーは、一種単独でもよく、二種以上であってもよい。
(ポリ)シロキサン構造単位と共重合する非シロキサン系構造単位(アクリル系モノマー、非シロキサン系モノマー及び非シロキサン系ポリマーに由来)は、アクリル系重合体に由来のポリマーセグメントを有していることが好ましい。アクリル系重合体に由来のポリマーセグメントを有することで、調製が容易であることに加え、耐加水分解性、裁断加工時の切り屑防止、ポリエステルフィルムとの密着性に優れたものとなる。
非シロキサン系構造単位を形成する重合体については、アクリル構造単位の一種単独でもよいし、アクリル構造単位を含む2種以上が併用されてもよい。
耐候性層では、アクリル樹脂を一種単独で用いてもよいし、他の樹脂と併用してもよい。他の樹脂を併用する場合、(ポリ)シロキサン構造を含む複合樹脂等のアクリル樹脂の含有比率は、全樹脂量の30質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。アクリル樹脂の含有比率が30質量%以上であることで、ポリエステルフィルムとの密着がより良好になり、裁断加工時における切り屑の発生を効果的に防ぐことができる。また、湿熱環境下での耐久性により優れたものとなる。
樹脂の分子量としては、5,000〜100,000が好ましく、10,000〜50,000がより好ましい。
(ポリ)シロキサン構造単位を有する樹脂の調製には、(i)前駆ポリマーと、一般式(1)で表される構造単位を有するポリシロキサンとを反応させる方法、(ii)前駆ポリマーの存在下に、R及びRの少なくとも一方が加水分解性基である一般式(1)で表される構造単位を有するシラン化合物を加水分解縮合させる方法、等の方法を利用することができる。
(ii)の方法で用いられるシラン化合物としては、各種シラン化合物が挙げられるが、アルコキシシラン化合物が特に好ましい。
(i)の方法により樹脂を調製する場合、例えば、前駆ポリマーとポリシロキサンの混合物に、必要に応じて水と触媒を加え、20℃〜150℃程度の温度で30分〜30時間程度(好ましくは50℃〜130℃で1時間〜20時間)反応させることにより調製することができる。触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物、金属含有化合物等の各種のシラノール縮合触媒を添加することができる。
また、(ii)の方法により樹脂を調製する場合、例えば、前駆ポリマーとアルコキシシラン化合物の混合物に、水とシラノール縮合触媒を添加して、20℃〜150℃程度の温度で30分〜30時間程度(好ましくは50℃〜130℃で1時間〜20時間)加水分解縮合を行うことにより調製することができる。
また、(ポリ)シロキサン構造を有するアクリル樹脂は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、DIC(株)製のセラネートシリーズ(例えば、セラネート(登録商標)WSA1070、同WSA1060等)、旭化成ケミカルズ(株)製のH7600シリーズ(H7650,H7630,H7620等)、JSR(株)製の無機・アクリル複合
エマルジョンなどを使用することができる。
上記のアクリル/フッ素複合樹脂としては、−(CFX−CX)−で表される繰り返し単位とアクリル繰り返し単位とを有するポリマーである。式中の、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。
アクリル/フッ素樹脂の具体的な例としては、オブリガード(登録商標)SW0011F(AGCコーテック(株)製)、SIFCLEAR F101、SIFCLEAR F102(JSR社製)、KYNAR AQUQTEC ARC、FMA−12(ともにアルケマ(株)製)等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、有機溶剤に溶解されて用いるものでも、粒子を水に分散させて用いるものでもよい。環境負荷が小さい点で、後者が好ましい。
アクリル樹脂の水分散物については、例えば、特開2003−231722号公報、特開2002−20409号公報、特開平9−194538号公報等に記載されており、ここに記載のポリマーを本発明に適用しうる。
耐候性層中のアクリル樹脂の含有比率は、耐候性層のポリエステルフィルムとの密着が良化し、裁断加工時の切り屑の発生抑止の点で、0.5g/m〜20.0g/mの範囲が好ましく、8.0g/m〜20.0g/mの範囲がより好ましい。
中でも、耐候性層は、ポリマーとして、DIC(株)製のセラネートシリーズ、JSR(株)製の無機・アクリル複合エマルジョンを用いた形態が好ましい。
耐候性層の樹脂としては、アクリル樹脂を一種単独で用いるほか、二種以上を併用してもよい。
また、全樹脂の50質量%を超えない範囲で、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコーン樹脂などの、アクリル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。アクリル樹脂以外の樹脂の含有比率が、耐候性層中の樹脂成分に対して、50質量%以下であることで、目的とする耐候性向上効果が得られる。
(散乱粒子)
耐候性層は、散乱粒子の少なくとも一種を含むことが好ましい。散乱粒子としては、特に制限はなく、公知の散乱粒子を用いることができる。本明細書中、散乱粒子とは、粒子そのものに、光吸収がほとんどない粒子のことをいい、後述の着色剤は含まれない。本発明においては、散乱粒子としては、白色顔料が好ましい。
散乱粒子として用いうる白色顔料としては、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、コロイダルシリカ等の無機顔料、中空粒子等の有機顔料などが挙げられる。中でも、二酸化チタンが好ましい。
二酸化チタンの結晶系には、ルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型がある。本発明における二酸化チタンとしては、ルチル型が好ましい。二酸化チタンは、必要に応じて酸化アルミニウム(Al)、二酸化珪素(SiO)、アルカノールアミン化合物、ケイ素化合物などで表面処理をしてもよい。
耐候性層がアクリル樹脂に加え、散乱粒子としての白色顔料を含有することで、耐候性層の反射率を高くでき、長期高温高湿試験(85℃、相対湿度85%で2000〜3000時間)及び紫外線(UV)照射試験(IEC61215のUV試験に準じ、総照射量が45Kwh/m)下での黄変を少なくすることができる。さらに、耐候性層に散乱粒子などの白色顔料を添加することで、隣接する他の層との密着性がより改善される。
耐候性層に散乱粒子を用いる場合の含有量は、耐候性層1層当たり1.0g/m〜40g/mであることが好ましい。散乱粒子(好ましくは白色顔料)の含有量が1.0g/m以上であると、反射率や耐UV性(耐候性)を効果的に与えることができる。
また、散乱粒子(好ましくは白色顔料)の耐候性層中における含有量が40g/m以下であると、着色層の面状を良好に維持しやすく、膜強度により優れる。なかでも、耐候性層に含有される散乱粒子の含有量が、2.5g/m〜30g/mの範囲であることがより好ましく、5g/m〜20g/mの範囲が特に好ましい。
また、耐候性層が散乱粒子を含有する場合、耐候性層中における散乱粒子の体積比率としては、耐候性層の全体積に対して10%以上30%以下を占めることが好ましく、20%以上30%以下を占めることがより好ましい。散乱粒子の体積比率が10%以上であると、樹脂量が増え過ぎず、散乱粒子の含有比率を保つことができるので、光の反射率を良好に維持することができる。20%以上であると、さらに高い光の反射率を維持することができる。また、散乱粒子の体積比率が30%以下であると、樹脂量が保たれて層が脆くなり難く、裁断時のクロスカット密着と切り屑耐性をより向上させることができる。
散乱粒子(特に白色顔料)の平均粒径は、体積平均粒径で0.03μm〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15μm〜0.6μmである。平均粒径が上記の範囲内であると、光の反射効率に優れる。平均粒径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)を用いて測定される値である。
(着色剤)
着色剤としては、上記散乱粒子を除く以外は特に制限はなく、公知の染料や公知の顔料などを用いることができる。本発明では、着色剤は、黒色の着色剤、グリーン系の着色剤、ブルー系の着色剤、レッド系の着色剤であることが好ましい。
耐候性層に用いられる着色顔料は、カーボンブラック、チタンブラック、黒色の複合金属酸化物、シアニン系カラー及びキナクリドン系カラーから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい以外は特に限定されず、要求される光学濃度に応じて選択すればよい。
ここで、黒色の複合金属酸化物としては、鉄、マンガン、コバルト、クロム、銅、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種を含む複合金属酸化物が好ましく、鉄、マンガン、コバルト、クロム、銅、及びニッケルから選ばれる少なくとも2種を含む複合金属酸化物がより好ましい。中でも、カラーインデックスがPigment・Black(以下、PBk)26、PBk27、及びPBk28、並びにPigment・Blue(以下、PBr)34から選ばれる少なくとも1つの顔料がより特に好ましい。
なお、上記の顔料のうち、PBk26は、鉄、マンガン、及び銅の複合酸化物であり、PBk27は、鉄、コバルト、及びクロムの複合酸化物であり、PBk−28は、銅、クロム、及びマンガンの複合酸化物であり、PBr34は、ニッケル及び鉄の複合酸化物である。
シアニン系カラー及びキナクリドン系カラーとしては、シアニングリーン、シアニンブルー、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、及びフタロシアニングリーン等が挙げられる。
中でも、光学濃度を上記好ましい範囲に制御しやすい観点及び少量で光学濃度を制御できる観点から、着色剤としてカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックは、粒子径が0.1μm〜0.8μmのカーボンブラックの粒子であることが好ましい。カーボンブラックは、粒子を分散剤とともに水に分散して使用されることが好ましい。
なお、カーボンブラックは、商業的に入手することができるものを使用することができ、例えば、MF−5630ブラック(大日精化(株)製)、及び特開2009−132887号公報の段落[0035]に記載のもの等を用いることができる。
(他の成分)
耐候性層は、必要に応じて、例えば、架橋剤、界面活性剤、フィラー、紫外線吸収剤、着色顔料等の他の成分を含んでいてもよい。中でも、耐候性層は、耐候性層の強度と耐久性をより向上させる観点から、樹脂に架橋剤を添加し、架橋剤由来の架橋構造が形成されていることが好ましい。
[架橋剤]
架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。架橋剤の中でも、耐候性層と下塗り層(インラインコート層)との間、又は耐候性層とポリエステルフィルムとの間の、湿熱経時後の密着性を確保する観点から、特にオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等がある。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
また、オキサゾリン系架橋剤は、市販品を用いてもよく、例えば、エポクロス(登録商標)K2010E、K2020E、K2030E、WS500、WS700〔いずれも日本触媒(株)製〕等を用いることができる。
[架橋剤の触媒]
耐候性層には、架橋剤と共に、架橋剤の触媒をさらに併用してもよい。
架橋剤の触媒を含有することで、バインダー(樹脂)と架橋剤との架橋反応が促進され、耐溶剤性の向上が図られる。また、架橋が良好に進むことで、耐候性層の強度、寸法安定性がより改善できる。特に、架橋剤としてオキサゾリン基を有する架橋剤(オキサゾリン系架橋剤)を用いる場合、架橋剤の触媒を併用することが好ましい。
架橋剤の触媒としては、オニウム化合物を挙げることができる。
オニウム化合物としては、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロニウム塩、ニトロソニウム塩、ジアゾニウム塩等が好適に挙げられる。
オニウム化合物の具体例としては、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、イミドジスルホン酸アンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、四フッ化ホウ素テトラブチルアンモニウム、六フッ化燐テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩;
ヨウ化トリメチルスルホニウム、四フッ化ホウ素トリメチルスルホニウム、四フッ化ホウ素ジフェニルメチルスルホニウム、四フッ化ホウ素ベンジルテトラメチレンスルホニウム、六フッ化アンチモン2−ブテニルテトラメチレンスルホニウム、六フッ化アンチモン3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウム等のスルホニウム塩;
四フッ化ホウ素トリメチルオキソニウム等のオキソニウム塩;
塩化ジフェニルヨードニウム、四フッ化ホウ素ジフェニルヨードニウム等のヨードニウム塩;
六フッ化アンチモンシアノメチルトリブチルホスホニウム、四フッ化ホウ素エトキシカルボニルメチルトリブチルホスホニウム等のホスホニウム塩;
四フッ化ホウ素ニトロニウム等のニトロニウム塩;四フッ化ホウ素ニトロソニウム等のニトロソニウム塩;
塩化4−メトキシベンゼンジアゾニウム等のジアゾニウム塩、
等が挙げられる。
これらの中でも、オニウム化合物としては、硬化時間の短縮の点で、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩がより好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。オニウム化合物は、安全性、pH、及びコストの観点からは、リン酸系、塩化ベンジル系の化合物が好ましい。オニウム化合物の中でも、第二リン酸アンモニウムが特に好ましい。
耐候性層に架橋剤を用いる場合、架橋剤の含有量としては、耐候性層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以上15質量部未満である。架橋剤の含有量が0.5質量部以上であると、耐候性層の強度及び接着性を保持しながら、良好な架橋効果が得られる。また、架橋剤の含有量が30質量%以下であると、耐候性層形成用に調製した塗布液のポットライフを長く保つことができる。架橋剤の含有量が15質量%未満であると、塗布面状が改善される。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤などの公知の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量としては、0.1mg/m〜10mg/mが好ましく、より好ましくは0.5mg/m〜3mg/mである。界面活性剤の含有量が0.1mg/m以上であると、塗布液のハジキの発生を抑えて良好な層を形成しやすい。界面活性剤の含有量が10mg/m以下であると、ポリエステルフィルム等との接着を良好に行うことができる。
[フィラー]
フィラーとしては、コロイダルシリカなどの公知のフィラーを用いることができる。フィラーの含有量は、耐候性層のアクリル樹脂に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーの含有量が20質量%以下であると、耐候性層の面状をより良好に保つことができる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、有機系の紫外線吸収剤及び無機系の紫外線吸収剤のいずれを用いてもよい。
有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系、サリチル酸系、シュウ酸アニリド系、マロン酸エステル系、安息香酸系、ケイ皮酸系、又はジベンゾイルメタン系の紫外線吸収剤を用いることができる。具体的には、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、例えばTinuvin326が挙げられる。トリアジン系の紫外線吸収剤として、例えばTinuvin400、Tinuvin479、Tinuvin400−DW、Tinuvin479−DW(いずれもBASF社製)が挙げられる。シュウ酸アニリド系の紫外線吸収剤として、例えばHostavin3260HP(クラリアント社製)が挙げられる。マロン酸エステル系の紫外線吸収剤として、例えばHostavinPR25(クラリアント社製)が挙げられる。ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として、例えばサイアソーブUV531(サイテックインダストリーズ社製)が挙げられる。
また、紫外線吸収剤に加えて、さらに光安定剤を含んでよい。光安定剤としては、ヒンダードフェノール又はヒンダードアミンを用いてもよい。
無機系の紫外線吸収剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系成分、等が挙げられる。
紫外線吸収剤の耐候性層中における含有量としては、紫外線吸収剤の種類により異なるが、0.2g/m以上5g/m以下の範囲が好ましく、0.3g/m以上3g/m以下の範囲がより好ましい。
耐候性層は、散乱粒子に加えて着色顔料を含有してもよい。着色顔料を含有することで、黒色、青色等に着色された耐候性層を有する太陽電池用保護シートを作製することができる。また、耐候性層は、着色顔料を添加せずに透明にすることもできる。
耐候性層の厚みは、特に制限されるものではないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。耐候性層の厚みが5μm以上であることで、耐候性層の耐溶剤性をより良好に維持でき、耐候性層の厚みが10μm以上であると、耐候性層の耐溶剤性をより向上させることができる。
次に、2軸延伸ポリエステルフィルムの耐候性層を有する側と反対側に配置されてもよい易接着層について説明する。
易接着層は、太陽電池モジュールを作製する際に太陽電池セルを備えた電池側基板(特にEVA)に対する太陽電池用保護シートの接着性を高めるために配置される層をいう。なお、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を封止材として電池セルが封止された電池側基板に接触させて配置される易接着層を「EVA側易接着層」という。
EVA側易接着層は、着色された中間着色層、中間着色層とポリエステルフィルムとの間に配される下塗り層、中間着色層上に更に配されるオーバーコート層などを設けることで形成することができる。
−中間着色層−
本発明の太陽電池用保護シートは、ポリエステルフィルムの上であって、耐候性層を有する側とは反対側に中間着色層を有してもよい。
中間着色層を有することで、太陽電池用保護シートを用いて作製された太陽電池モジュールに入射した太陽光のうち、太陽電池セルを通過して太陽電池用保護シートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことが可能になる。これにより、発電効率をより向上させることができる。
本発明における中間着色層は、ポリエステルフィルムの耐候性層を有しない側に配置することができ、ポリエステルフィルムの表面に直接配置してもよいし、ポリエステルフィルム上に配置した下塗り層の上に配置されてもよい。
中間着色層は、少なくともバインダーと散乱粒子とを含有する層として配置することができ、必要に応じて、更に、架橋剤、界面活性剤、フィラー、紫外線吸収剤等の他の成分を含んでいてもよい。
中間着色層に含有されるバインダーとしては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。中でも、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
中間着色層に含有される散乱粒子としては、耐候性層に使用可能な散乱粒子と同様のものを好ましく用いることができる。
中間着色層が散乱粒子として白色顔料を含有する場合、中間着色層中における白色顔料の体積比率としては、耐候性層の全体積に対して、10%以上30%以下を占めることが好ましく、20%以上30%以下を占めることがより好ましい。白色顔料の体積比率が10%以上であると、樹脂量が増え過ぎず、白色顔料の含有比率を保つことができるので、光の反射率を良好に維持することができる。更に、白色顔料の体積比率が20%以上であると、より高い光の反射率を維持することができる。また、白色顔料の体積比率が30%以下であると、樹脂量が保たれて層が脆くなり難く、接着力の耐久性をより向上させることができる。
中間着色層に含有される架橋剤としては、耐候性層で使用可能な架橋剤と同様である。
架橋剤の中間着色層中における含有量としては、中間着色層中のバインダーに対して、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。架橋剤の含有量が5質量%以上であると、強度及び接着性を保持しつつ、架橋効果に優れた中間着色層が得られる。また、架橋剤の含有量が40質量%以下であると、中間着色層形成用に調製された塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
中間着色層に含まれる、上記以外の他の添加剤としては、耐候性層の項にて既述したものと同様のものを好適に用いることができ、他の添加剤の添加量も、耐候性層の項にて既述した添加量と同様である。
中間着色層は、散乱粒子(例えば酸化チタン)に加えて着色顔料を添加することで、黒色、青色等に着色することができる。また、着色顔料を添加せず、透明にすることもできる。
中間着色層の厚みとしては、3μm以上10μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは4μm以上8μm以下の範囲である。 中間着色層の厚みを3μm以上10μm以下の範囲にすることで、必要な反射率と接着性を両立することができる。
−オーバーコート層−
本発明の太陽電池用保護シートは、ポリエステルフィルム上の中間着色層の上にさらにオーバーコート層を有してもよい。本発明におけるオーバーコート層は、少なくともバインダーを含み、必要に応じて、架橋剤、他の添加剤を用いることができる。
オーバーコート層に含まれるバインダーとしては、中間着色層に使用可能なバインダーと同様のものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層に含まれる架橋剤としては、耐候性層で使用可能な架橋剤と同様である。
架橋剤のオーバーコート層中における含有量としては、オーバーコート層中のバインダーに対して、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。架橋剤の含有量が5質量%以上であると、強度及び接着性を保持しつつ、架橋効果に優れたポリマー層が得られる。架橋剤の含有量が40質量%以下であると、オーバーコート層形成用に調製された塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
オーバーコート層に含まれる、上記以外の他の添加剤としては、耐候性層の項にて既述したものと同様のものを好適に用いることができ、他の添加剤の添加量も、耐候性層の項にて既述した添加量と同様である。
オーバーコート層の厚みは、0.1μm以上1.0μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下の範囲である。オーバーコート層の厚みを0.1μm以上1.0μm以下の範囲にすることで、太陽電池モジュールの作製に用いる電池側基板に配置された封止材との間の接着性が強固なものとなる。
<太陽電池用保護シートの製造方法>
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法は、未延伸ポリエステルフィルムを、第1方向に延伸する工程と、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程と、下塗り層が形成されたポリエステルフィルムを、第1方向と直交する第2方向に延伸する工程と、下塗り層の上にアクリル樹脂を含む耐候性層を形成する工程と、を有している。
−第1延伸工程−
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法は、未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸する工程(以下、第1延伸工程ともいう。)を有する。第1延伸工程を有することで、未延伸のポリエステルフィルムが一方向に延伸(1軸延伸)され、1軸延伸ポリエステルフィルムが得られる。
まず、ポリエステルフィルムを作製する方法の一例を説明する。
ポリエステルフィルムは、例えば、既述のポリエステルを原料樹脂とし、乾燥させた後、溶融混練して得られる溶融樹脂を、ギアポンプや濾過器に通し、ダイを介して冷却ロールに押出し、冷却固化させることで(未延伸)シートとして得られる。
溶融混練は、押出機を用いて行う。押出機は、単軸押出機又は2軸押出機のいずれでもよい。
押出は、真空排気や不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。押出機の温度は、使用するポリエステルの融点から融点+80℃以下で行うことが好ましく、より好ましくは融点+10℃以上、融点+70℃以下、さらに好ましくは融点+20℃以上、融点+60℃以下である。この範囲内であると、樹脂が良好に融解しやすく、ポリエステル等の分解も抑えることができる。なお、押出前は、ポリエステルのマスターバッチを乾燥させておくことが好ましい。好ましい含水率は、10ppm〜300ppmであり、より好ましくは20ppm〜150ppmである。
ポリエステルフィルムの耐加水分解性を向上させる点で、ポリエステルを溶融する際に、ケテンイミン化合物及びカルボジイミド化合物の少なくとも一方を添加してもよい。カルボジイミド化合物及びケテンイミン化合物は、直接押出機に添加してもよいが、予めポリエステルとマスターバッチを形成して押出機に投入することが、押出し安定性の観点から好ましい。マスターバッチを形成する場合は、ケテンイミン化合物を含むマスターバッチの供給量に変動を与えることが好ましい。
なお、マスターバッチは、ケテンイミンを濃縮したものとして使用することが好ましい。マスターバッチのケテンイミン濃度は、コストの観点から、製膜後にポリエステル中に含まれるケテンイミンの濃度の2倍〜100倍に調節されるのが好ましく、より好ましくは5倍〜50倍である。
なお、押出された溶融体は、ギアポンプ、濾過機、多層ダイを通してキャストドラム上に流涎される。多層ダイの方式は、マルチマニホールドダイ又はフィードブロックダイのいずれも好適に用いることができる。
ダイの形状はT−ダイ、ハンガーコートダイ、又はフィッシュテールのいずれでもよい。ダイの先端(ダイリップ)に上述のような温度変動を付与することが好ましい。キャストドラム上では、溶融樹脂(メルト)を、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この場合、キャストドラムの駆動速度に、上記のような変動を与えることが好ましい。
キャストドラムの表面温度は、10℃〜40℃とすることができる。
キャストドラムの直径は、0.5m以上5m以下が好ましく、より好ましくは1m以上4m以下である。
キャストドラムの駆動速度(最外週の線速度)は、1m/分以上50m/分以下が好ましく、より好ましくは3m/分以上30m/分以下である。
本発明では、上記の製造方法などによって形成された未延伸シートに延伸処理を施す。本工程では、延伸を縦方向(MD)又は横方向(TD)の一方に行う。延伸処理は、MDの延伸及びTDの延伸のいずれであってもよい。
延伸処理は、シートのガラス温度(Tg:単位℃)以上(Tg+60℃)以下で行うのが好ましく、より好ましくは(Tg+3℃)以上(Tg+40℃)以下、さらに好ましくは(Tg+5℃)以上(Tg+30℃)以下である。この際、上述のように温度分布を付与することが好ましい。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)}
第1方向に延伸する工程においては、延伸処理前又は延伸処理後(好ましくは延伸処理後)に、未延伸シート又は延伸フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180℃〜240℃程度(更に好ましくは、200℃〜230℃)で1秒間〜60秒間(更に好ましくは2秒間〜30秒間)の熱処理を未延伸シート又は延伸フィルムに施してもよい。
第1方向に延伸する工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜240℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも−1%〜12%であることが好ましく、−0.5%〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表す。
以上の工程を経て、未延伸のポリエステルフィルムが一方向に延伸された一軸延伸フィルムが製造される。
−下塗り層形成工程−
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法は、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程(以下、下塗り層形成工程ともいう)を有する。
塗布は、簡便でかつ均一性の薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
一軸延伸フィルム上へのアクリル樹脂を含む塗布液の塗布は、上記のポリエステルフィルムを第1方向に延伸する工程に引き続き、インラインで行うことが好ましい。
アクリル樹脂を含有する塗布液を塗布する前に、一軸延伸フィルムをコロナ放電処理、グロー処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理、UV処理等の表面処理することも好ましい。
アクリル樹脂を含有する塗布液を塗布して塗布膜を形成した後は、塗布膜を乾燥させる工程を設けることが好ましい。
乾燥工程は、塗膜に乾燥風を供給する工程である。乾燥風の平均風速は、5m/秒〜30m/秒であることが好ましく、7m/秒〜25m/秒であることがより好ましく、9m/秒〜20m/秒以下であることがさらに好ましい。塗膜の乾燥は、熱処理を兼ねることが好ましい。
下塗り層は、ポリエステルフィルムの、耐候性層を有する側と反対側にも形成されていることが好ましい。すなわち、ポリエステルフィルムの両側にそれぞれ下塗り層を有する態様とすることができる。この場合、下塗り層形成工程において、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成した後、更に、第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの上記一方面の反対側となる他方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成することによって、下塗り層をポリエステルフィルムの両面に設けることができる。ポリエステルフィルムの一方面及び他方面にそれぞれ塗布される塗布液の組成、塗布量等は同一でも異なってもよい。
ポリエステルフィルムの耐候性層を有する側と反対側(他方面)に形成される下塗り層について、素材、形成方法、フィルムの前処理、乾燥工程等の詳細は、一方面に形成される下塗り層と同様であり、既述した通りである。
−第2延伸工程−
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法は、下塗り層が形成されたポリエステルフィルムを、第1方向と直交する第2方向に延伸する工程(以下、第2延伸工程ともいう)を有する。下塗り層が形成された後の1軸延伸フィルムが第2の方向に延伸されることで、1軸延伸フィルムが塗液とともに伸ばされ、アクリル樹脂を含む下塗り層が塗設された2軸延伸フィルムが作製される。延伸は、第1方向と異なる方向であれば、縦方向(MD)又は横方向(TD)のいずれに行ってもよい。
ここでいう「第2の方向」とは、上記の第1方向(例えばMD)とは別の方向、つまり第1方向と直交する方向(例えばTD)であることを意味する。
第2延伸工程の好ましい態様は、上記のポリエステルフィルムを第1方向に延伸する工程と同じである。
−耐候性層形成工程−
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法は、下塗り層の上にアクリル樹脂を含む耐候性層を形成する工程(以下、耐候性層形成工程ともいう)を有する。耐候性層は、アクリル樹脂を含む塗布液を、支持体であるポリエステルフィルムの下塗り層の表面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることにより形成することができる。
本発明の太陽電池用保護シートは、耐候性層が、シリコーン/アクリル複合樹脂及びアクリル/フッ素複合樹脂の少なくとも一方を含む耐候性層用塗布液を塗布して形成される塗布層であることが好ましい。
本発明の太陽電池用保護シートの製造方法においては、シリコーン/アクリル複合樹脂及びアクリル/フッ素複合樹脂の少なくとも一方が水中に分散されて含有された水分散液を調製し、この水分散液を水系塗布液として、所望の2軸延伸ポリエステルフィルム上に塗布する態様が好ましい。
また、塗布方法及び塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、バーコーター等を利用した公知の方法が挙げられる。また、塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。環境負荷の観点から、水を溶媒とした水系塗布液に調製されることが好ましい。この場合、全溶媒に対する水の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
塗布後は、所望の条件で塗布膜の乾燥を行う乾燥工程が設けられてもよい。乾燥時の乾燥温度については、塗布液の組成や塗布量などの場合に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明においては、二軸延伸フィルムであるポリエステルフィルムの下塗り層上に、耐候性層を形成するための塗布液を塗布し、塗布により形成された塗布膜を乾燥させてもよい。一軸延伸後のポリエステルフィルムの下塗り膜上に塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥させた後、初めの延伸と異なる方向に延伸する方法でもよい。
−その他の工程−
上記した第1延伸工程、下塗り層形成工程、第2延伸工程、及び耐候性層形成工程のほか、目的又は場合に応じて、ポリエステルフィルムに中間着色層を形成する工程、ポリエステルフィルム上の中間着色層の上にオーバーコート層を形成する工程、等の他の工程をさらに設けてもよい。
中間着色層を形成する場合、中間着色層の形成方法、塗布液に用いる溶媒、乾燥方法等の詳細については、耐候性層の項で既述した方法及び溶媒等と同様である。
また、オーバーコート層を形成する場合、オーバーコート層の形成方法、塗布液に用いる溶媒、乾燥方法等の詳細については、耐候性層の項で既述した方法及び溶媒等と同様である。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の太陽電池用保護シートを備えている。本発明の太陽電池用保護シートを備えるので、長期耐久性に優れ、長期にわたり安定的な発電性能を発揮することができる。
本発明の太陽電池用保護シートは、太陽電池モジュールの製造に好適である。
太陽電池モジュールは、例えば、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性のフロント基板と既述の本発明の太陽電池用保護シートとの間に配置し、フロント基板と保護シートとの間をエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA;以下同様)などの封止材で封止して構成される。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する透明性のフロント基材と、フロント基材の太陽光が入射する側とは反対側に配置されており、太陽電池素子及び太陽電池素子を封止する封止材を含む素子構造部分と、素子構造部分のフロント基材が位置する側とは反対側に配置された太陽電池用バックシート(本発明の太陽電池用保護シート)と、を有している。
透明性のフロント基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、フロント基板の光の透過率は高いほど好ましく、透過率の高い基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。なお、本実施例では、太陽電池用保護シートの一例として、太陽電池用バックシートを作製する場合を中心に示す。
(実施例1)
<PET基材フィルムの作製>
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応
槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルトのエチレングリコール溶液と酢酸マンガンのエチレングリコール溶液とを、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。5分経過後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温し、かつ、圧力を40Paまで下げた。最終温度に到達するまでの時間、及び最終圧力に到達するまでの時間を、ともに60分とした。
あらかじめ定めた攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。
そして、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。
なお、減圧開始から予め定められている撹拌トルクに到達するまでの時間は3時間であった。
但し、チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落番号[0083]の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。
−固相重合−
上記で得られたペレットを、圧力が40Paに保たれた真空容器中で温度220℃で30時間保持し、固相重合を行なった。
−PET基材フィルムの作製−
以上のように固相重合を経た後のペレットを、設定温度280℃の溶融押出機で溶融混練して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約3mmの未延伸ポリエチレンテレフタレートシート(未延伸PETシート)を作製した。
その後、未延伸PETシートを90℃で縦方向(MD;Machine Direction)に3.4倍に延伸(MD延伸)した。次いで、MD延伸の後、MDに直交する横方向(TD;Transverse Direction)に延伸(TD延伸)する前に、下記の下塗り層用塗布液を、MD延伸後のPETシートに塗布量が5.1ml/mとなるように、インラインコート法にて塗布を行い、下塗り層を形成した。次に、下塗り層が形成されたPETシートを、105℃でTDに4.5倍に延伸(TD延伸)した。TD延伸した後の下塗り層の厚み(乾燥厚み)は、80nmであった。
その後、膜面を200℃として15秒間の熱処理を行った。さらに、190℃でMD緩和率を5%とし、TD緩和率を11%としてMD、TDに熱緩和を施した。
以上のようにして、厚み250μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルム(以下、「PET基材フィルム」という。)を得た。
<下塗り層用塗布液の組成>
・アクリル樹脂水分散液 ・・・0.3部
〔AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分28質量%のラテックス〕
・水溶性オキサゾリン系架橋剤 ・・・0.85部
〔エポクロス(登録商標)WS−700、日本触媒(株)製、固形分25質量%〕
・蒸留水 ・・・100部
<太陽電池用バックシートの作製>
上記のように得られたPET基材フィルムを用い、以下に示すようにしてPET基材フィルム上に耐候性層を形成することにより、太陽電池用保護シートの例として太陽電池用バックシートを作製した。
−耐候性層の形成−
(1)二酸化チタン分散物の調製
ダイノミル分散機を用いて二酸化チタンを分散し、二酸化チタンの平均一次粒子径が0.42μmである二酸化チタン分散液を調製した。なお、二酸化チタンの平均一次粒子径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)を用いて測定した。
<二酸化チタン分散液の組成>
・二酸化チタン ・・・455.8部
(白色顔料(散乱粒子);平均一次粒子径:0.42μm、タイペーク(登録商標)CR−95、石原産業(株)製、粉体)
・ポリビニルアルコール水溶液 ・・・227.9部
(PVA−105、(株)クラレ製、固形分10質量%)
・界面活性剤 ・・・5.5部
(デモール(登録商標)EP、花王(株)製、固形分25質量%)
・蒸留水 ・・・310.8部
(2)耐候性層用塗布液の調製
下記組成中の各成分を混合し、耐候性層用塗布液を調製した。
<耐候性層用塗布液の組成>
・二酸化チタン分散液 ・・・494部
・シリコーン/アクリル複合樹脂(アクリル樹脂) ・・・364部
(セラネート(登録商標)WSA1070、DIC社製)
・界面活性剤 ・・・20部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95の1質量%水溶液、三洋化成工業(株)製)・架橋剤(オキサゾリン系化合物) ・・・112部
(エポクロス(登録商標)WS700、固形分40質量%、日本触媒(株)製)
・蒸留水 ・・・塗布液の全体が1000部になる量
(3)耐候性層の形成
得られた耐候性層用塗布液を、PET基材フィルムの下塗り層上に、二酸化チタンの塗布量が25g/mとなるように塗布し、170℃で2分間乾燥して、厚み20μmの耐候性層を形成した。なお、形成された耐候性層中に占める白色顔料の含有量は、体積比率で、耐候性層の全体積に対して24体積%であった。
<評価>
(1)密着(接着性)
得られた太陽電池用バックシートを、温度120℃、相対湿度100%の湿熱条件の雰囲気中で60時間処理した。その後、太陽電池用バックシートの耐候性層の表面にカミソリを用いて1mm間隔で縦横それぞれ6本ずつの傷をつけた。その上に、幅20mmのマイラーテープを貼って、90°方向にすばやく剥離した。剥離後、太陽電池用バックシートから剥がれたマス目の数をカウントし、以下の評価基準にしたがって評価した。
なお、評価ランクA〜Bが、実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
A:全く剥離が起こらなかった。
B:剥離したマス目はゼロであるが、キズ部分が僅かに剥離していた。
C:剥離したマス目が1マス以上であった。
(2)切り屑
送り出し装置、巻き取り装置、及び裁断機構を備えた加工機を使用し、得られた太陽電池用バックシートを下記の条件にて裁断した。裁断部の下刃側端面(製品の裁断面)を顕微鏡(50倍)で観察し、下塗り層及び耐候性層に発生している欠け(欠損)の最大長さを測定した。測定値をもとに、下記の評価基準にしたがって切り屑の発生の程度を評価した。
<条件>
・刃形状:丸刃(上刃角度:30°、下刃角度:90°、刃物材質:SKH)
・裁断方向:水平
・裁断速度:100m/min
・テンション:40kg/m
<評価条件>
A:裁断面における欠けの長さが250μm未満である。
B:裁断面における欠けの長さが250μm以上500μm未満である。
C:裁断面における欠けの長さが500μm以上750μm未満である。
D:裁断面における欠けの長さが750μm以上である。
(3)耐溶剤性
得られた太陽電池用バックシートの耐候性層の表面を、エタノールを染み込ませた綿棒で擦り、耐候性層の溶解(剥離)が生じた擦り回数を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。評価ランクA〜Bが、実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
A:擦り回数が100以上であるか、又は全く溶解しない(剥離の発生がない)。
B:擦り回数が50回以上100回未満である。
C:擦り回数が50回未満である。
(4)反射率
得られた太陽電池用バックシートに対して、分光光度計UV−3100((株)島津製作所製)にて550nmの光を、耐候性層を有しない側から入射(太陽電池モジュールとした際の電池セル側からの入射)し、入射光に対する反射率を測定した。具体的には、リファレンスとして硫酸バリウム標準板の反射率を測定し、この測定値を基準(100%)として、太陽電池用バックシートの反射率を算出した。反射率の算出値に基づいて、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価条件>
A:反射率が80%以上である。
B:反射率が60%以上80%未満である。
C:反射率が60%未満である。
(実施例2〜3)
実施例1において、下塗り層の厚みを下記表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(実施例4〜6)
実施例1において、下塗り層用塗布液に用いたアクリル樹脂の一部をオレフィン系樹脂に代え、アクリル樹脂とオレフィン系樹脂との含有比率を下記表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
なお、使用したオレフィン系樹脂は、下記の通りである。
[オレフィン系樹脂]
・ポリオレフィン水分散液(含有量は表1に示す)
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20.2質量%〕
(実施例7〜8)
実施例1において、耐候性層の厚みを下記表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(実施例9)
実施例1において、未延伸PETシートを作製するに際し、固相重合を経た後のペレットと白色顔料(二酸化チタン(TiO)、平均一次粒子径:0.3μm)とを混練して作製したマスターバッチを、固相重合後のペレットとともに溶融押出機に投入し、PETシートの全体に対する酸化チタンの含有量を4.5質量%に調整したこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(実施例10〜12)
実施例9において、耐候性層の厚みを下記表1に示すように変更したこと以外、実施例9と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(実施例13〜16)
実施例1において、耐候性層中に含まれる二酸化チタン(白色顔料)の体積分率を下記表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(実施例17)
実施例1において、耐候性層の形成に用いたシリコーン/アクリル複合樹脂を、フッ素系ポリマーに代えたこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
なお、使用したフッ素系ポリマーは、下記の通りである。
[フッ素系ポリマー]
・アクリル/フッ素複合樹脂(含有量は表1に示す)
(オブリガード(登録商標)SW0011F、AGCコーテック社製)
(比較例1)
実施例1において、MD延伸とTD延伸との間に下塗り層を形成しなかったこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(比較例2)
実施例1のPET基材フィルムの作製において、MD延伸とTD延伸との間に下塗り層を形成しなかったこと以外は同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムを作製した。この2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムの表面に、実施例1で用いた下塗り層用塗布液を、塗布量が5.1ml/m2となるように塗布(オフライン塗布)し、厚み80nmの下塗り層を形成した。このようにして、下塗り層付の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムを得た。
そして、実施例1において、PET基材フィルムを、上記で得た下塗り層付の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムに代えたこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
(比較例3)
実施例1において、下塗り層用塗布液に用いたアクリル樹脂(シリコーン/アクリル複合樹脂)を、オレフィン系樹脂に代えたこと以外、実施例1と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
なお、使用したオレフィン系樹脂は、下記の通りである。
[オレフィン系樹脂]
・ポリオレフィン水分散液(含有量は表1に示す)
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20.2質量%〕

表1に示すように、実施例では、比較例に比べて、湿熱環境下に置かれた後でも基材フィルムと耐候性層との間の密着が良好に維持されており、裁断加工時の切り屑の発生の程度も抑えられていた。
実施例を比較例1と対比すると明らかなように、下塗り層を形成することで密着が改善され、裁断時の切り屑発生の程度が飛躍的に改善する。また、比較例2のように、下塗り層を形成しても、インラインコート法を適用しない場合は、下塗り層と耐候性層とにアクリル樹脂を用いても所望とする効果は期待できない。更に、比較例3に示されるように、インラインコート法を適用して形成した下塗り層の主成分がオレフィン系の樹脂であると、やはり所望とする効果は得られないことが分かる。
(実施例18〜24)
実施例7において、下塗り層用塗布液に用いたアクリル樹脂を下記表2に示す他のアクリル樹脂に代え、下塗り層の厚み(TD延伸後の乾燥厚み)が下記表2に示す厚みになるように塗布し延伸することで、下塗り層を形成した。形成された下塗り層の上に、耐光性層用塗布液を、酸化チタンの塗布量が12.5g/mとなるように塗布し、乾燥させて厚み10μmの耐候性層を形成したこと以外は、実施例7と同様にして、太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
なお、使用したアクリル樹脂の詳細は、下記の通りである。
[アクリル樹脂]
(アクリル樹脂A−2の水分散液)
ジュリマー(登録商標)ET−410、日本純薬工業(株)製、固形分:30.0質量%
(アクリル樹脂A−3の水分散液)
ボンロン(登録商標)PS−001、三井化学(株)製、固形分:50.0質量%
(アクリル樹脂A−4の水分散液)
ボンロン(登録商標)PS−002、三井化学(株)製、固形分:45.0質量%
表2に示すように、実施例18〜24では、下塗り層の素材として、実施例1等とは別のアクリル樹脂A−2、A−3、及びA−4を用いた場合にも、湿熱環境下に置かれた後においてPET基材フィルムと耐候性層との間の密着が良好に維持されており、裁断加工時の切り屑の発生の程度も抑えられていた。
また、実施例19〜23では、アクリル樹脂A−3を用いて、厚み40nm〜1000nmの範囲で変化させても、湿熱環境下に置かれた後のPET基材フィルムと耐候性層との間の密着は良好に維持されており、裁断加工時の切り屑の発生の程度も抑えられていた。
(実施例25〜48)
実施例1〜24の「−PET基材フィルムの作製−」において、未延伸PETシートを縦方向(MD;Machine Direction)に延伸(MD延伸)し、MD延伸の後、MDに直交する横方向(TD;Transverse Direction)に延伸(TD延伸)する前に、下塗り層用塗布液を、塗布量が5.1ml/mとなるようにPETシートの一方面にインラインコート法にて塗布し、さらに同じ下塗り層用塗布液を、塗布量が5.1ml/mとなるようにPETシートの他方面にもインラインコート法にて塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、PET基材フィルムを作製し、太陽電池用バックシートを得た。
得られた太陽電池用バックシートに対して、実施例1〜24と同様の方法で評価を行った結果、実施例1〜24と同じ結果が得られた。
(実施例49)
実施例18において、耐候性層として、以下の耐候性層用塗布液を用いて、酸化チタンの塗布量を4g/mとし、カーボンブラックの塗布量を1.0g/mとしたこと以外は、実施例18と同様にして、黒色の耐候性層を有する太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
<耐候性層用塗布液の組成>
・上記で得られた二酸化チタン分散液 ・・・170部
・カーボンブラック分散液 ・・・60部
(MFブラック5630(登録商標)、固形分31.5質量%、大日精化(株)製)
・シリコーン/アクリル複合樹脂(アクリル樹脂) ・・・364部
(セラネート(登録商標)WSA1070、DIC社製)
・界面活性剤 ・・・20部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95の1質量%水溶液、三洋化成工業(株)製)・架橋剤(オキサゾリン系化合物) ・・・112部
(エポクロス(登録商標)WS700、固形分40質量%、日本触媒(株)製)
・蒸留水 ・・・塗布液の全体が1000部になる量
(実施例50)
実施例18において、耐候性層として、以下の耐候性層用塗布液を用いて、酸化チタンの塗布量を1.5g/mとし、カーボンブラックの塗布量を0.3g/mとし、フタロシアニンブルー顔料の塗布量を0.5g/mとし、キナクリドンレッド顔料の塗布量を0.8g/mとしたこと以外は、実施例18と同様にして、青(濃紺)色の耐候性層を有する太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
<耐候性層用塗布液の組成>
・上記で得られた二酸化チタン分散液 ・・・75部
・カーボンブラック分散液 ・・・15部
(MFブラック5630(登録商標)、固形分31.5質量%、大日精化(株)製)
・フタロシアニンブルー顔料分散液 ・・・30部
(EP700ブルー、大日精化(株)製、固形分:35質量%)
・キナクリドンレッド顔料分散液 ・・・40部
(NAF1032、大日精化(株)製、固形分:45質量%)
・シリコーン/アクリル複合樹脂(アクリル樹脂) ・・・400部
(セラネート(登録商標)WSA1070、DIC社製)
・界面活性剤 ・・・5部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95の1質量%水溶液、三洋化成工業(株)製)・架橋剤(オキサゾリン系化合物) ・・・210部
(エポクロス(登録商標)WS700、固形分40質量%、日本触媒(株)製)
・蒸留水 ・・・塗布液の全体が1000部になる量
(実施例51)
実施例18において、耐候性層として、以下の耐候性層用塗布液を用いて、紫外線吸収剤(TINUVIN(登録商標)479―DW、BASF社製、固形分:40質量%)の塗布量を1.0g/mとなるようにしたこと以外は、実施例18と同様にして、透明の耐候性層を有する太陽電池用バックシートを作製し、同様の評価を行った。
<耐候性層用塗布液の組成>
・紫外線吸収剤分散液 ・・・100部
(TINUVIN479−DW、固形分40質量%、BASF製)
・シリコーン/アクリル複合樹脂(アクリル樹脂) ・・・550部
(セラネート(登録商標)WSA1070、DIC社製)
・界面活性剤 ・・・10部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95の1質量%水溶液、三洋化成工業(株)製)・架橋剤(オキサゾリン系化合物) ・・・170部
(エポクロス(登録商標)WS700、固形分40質量%、日本触媒(株)製)
・蒸留水 ・・・塗布液の全体が1000部になる量
表3に示すように、実施例49〜51では、耐候性層の着色顔料として黒色顔料、もしくは青色顔料と赤色顔料と黒色顔料(濃紺)を含有した場合、又は透明(顔料非含有)とした場合にも、湿熱環境下に置かれた後において、PET基材フィルムと耐候性層との間の密着が良好に維持されており、裁断加工時の切り屑の発生の程度も抑えられていた。
(実施例52〜102)
<EVA側易接着層の形成>
−中間着色層用塗布液及びオーバーコート層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、中間着色層用塗布液、及びオーバーコート層用塗布液を調製した。
<中間着色層用塗布液の組成>
・上記にて得られた二酸化チタン分散物 ・・・305部
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・442部
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20.2質量%)
・アクリル樹脂水分散液 ・・・35部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分:28質量%のラテックス)
・水溶性オキサゾリン化合物 ・・・99部
(エポクロス(登録商標)WS700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・106部
・フッ素系界面活性剤 ・・・4.3部
(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度2質量%)
・第2リン酸アンモン ・・・23部
(食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35%水溶液)
<オーバーコート層用塗布液の組成>
・ポリオレフィン樹脂 ・・・211部
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ社製)
・水溶性オキサゾリン化合物 ・・・43部
(エポクロス(登録商標)WS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・蒸留水 ・・・734部
・フッ素系界面活性剤 ・・・2.4部
(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度2質量%)
・ノニオン系界面活性剤 ・・・9.6部
(ナロアクティー(登録商標)CL95、三洋化成工業(株)製、固形分1質量%の水溶液)
−中間着色層及びオーバーコート層の形成−
実施例1〜51で作製した太陽電池用バックシートを搬送速度80m/分で搬送し、太陽電池用バックシートの耐候性層形成面と反対側に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、着色顔料である二酸化チタンの塗設量が5.5g/mとなるように、上記の中間着色層用塗布液をバーコート法により塗布して塗布膜を形成した。この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、中間着色層を形成した。
次いで、中間着色層上にオーバーコート層用塗布液を、バーコート法により塗布量が0.5g/mとなるように塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を170℃で2分間乾燥した。
これにより、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、乾燥厚みが6μmの白色の中間着色層(オレフィン−アクリル複合樹脂の層)、及び乾燥厚みが0.5μmのオーバーコート層(オレフィン系樹脂の層)がこの順で積層されたEVA側易接着層を有する太陽電池用バックシートを得た。
(実施例103)
<EVA側易接着層の形成>
−黒色の中間着色層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、中間着色層用塗布液を調製した。
<中間着色層用塗布液の組成>
・カーボンブラック分散液 ・・・6.2部
(MFブラック5630(登録商標)、固形分31.5質量%、大日精化(株)製)
・アクリル樹脂水分散液 ・・・100部
(ボンロン(登録商標)PS−002、三井化学(株)製、固形分:45.0質量%)
・水溶性オキサゾリン化合物 ・・・42部
(エポクロス(登録商標)WS700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・580部
・フッ素系界面活性剤 ・・・6.7部
(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度2質量%)
・コロイダルシリカ ・・・315部
(スノーテックスC(登録商標)、固形分20.0質量%、日産化学(株)製)
−中間着色層及びオーバーコート層の形成−
実施例49で作製した黒色の太陽電池用バックシートを搬送速度80m/分で搬送し、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、カーボンブラックの塗設量を20mg/mとして上記の中間着色層用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を形成した。この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、中間着色層を形成した。次いで、上記のオーバーコート層用塗布液をバーコート法により、塗布量が0.5g/mとなるように中間着色層上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、オーバーコート層を形成した。
これにより、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、乾燥厚みが6μmの黒色の中間着色層(オレフィン−アクリル複合樹脂の層)、及び乾燥厚みが0.5μmのオーバーコート層(オレフィン系樹脂の層)がこの順で積層されたEVA側易接着層を有する、黒色の太陽電池用バックシートを得た。
(実施例104)
<EVA側易接着層の形成>
−青色の中間着色層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、中間着色層用塗布液を調製した。
<中間着色層用塗布液の組成>
・上記にて得られた二酸化チタン分散物 ・・・75部
・カーボンブラック分散液 ・・・20部
(MFブラック5630(登録商標)、固形分31.5質量%、大日精化(株)製)
・フタロシアニンブルー顔料分散液 ・・・30部
(EP700ブルーGA、大日精化(株)製、固形分:35質量%)
・キナクリドンレッド顔料分散液 ・・・40部
(NAF1032、大日精化(株)製、固形分:45質量%)
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・400部
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20.2質量%)
・アクリル樹脂水分散液 ・・・80部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分:28質量%のラテックス)
・水溶性オキサゾリン化合物 ・・・205部
(エポクロス(登録商標)WS700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・140部
・フッ素系界面活性剤 ・・・5部
(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度2質量%)
・第2リン酸アンモン ・・・5部
(食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35質量%水溶液)
−中間着色層及びオーバーコート層の形成−
実施例50で作製した青色の太陽電池用バックシートを搬送速度80m/分で搬送し、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、着色顔料である、二酸化チタンの塗設量を1.5g/mとし、カーボンブラックの塗設量を0.3g/mとし、フタロシアニンブルー顔料の塗設量を0.5g/mとし、キナクリドンレッド顔料の塗設量を0.8g/mとして、上記の中間着色層用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を形成した。この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、中間着色層を形成した。次いで、上記のオーバーコート層用塗布液をバーコート法により、塗布量が0.5g/mとなるように中間着色層上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、オーバーコート層を形成した。
これにより、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、乾燥厚みが6μmの青色の中間着色層(オレフィン−アクリル複合樹脂の層)、及び乾燥厚みが0.5μmのオーバーコート層(オレフィン系樹脂の層)がこの順で積層されたEVA側易接着層を有する、青色の太陽電池用バックシートを得た。
(実施例105)
<EVA側易接着層の形成>
−透明の中間層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、中間着色層用塗布液を調製した。
<中間層用塗布液の組成>
・紫外線吸収剤分散液 ・・・40部
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・80部
(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20.2質量%)
・アクリル樹脂水分散液 ・・・520部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分:28質量%のラテックス)
・水溶性オキサゾリン化合物 ・・・160部
(エポクロス(登録商標)WS700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・180部
・フッ素系界面活性剤 ・・・5.0部
(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度2質量%)
・第2リン酸アンモン ・・・15部
(食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35質量%水溶液)
−中間着色層及びオーバーコート層の形成−
実施例51で作製した透明な太陽電池用バックシートを搬送速度80m/分で搬送し、太陽電池用バックシートにおけるPET基材フィルムの耐候性層形成面の反対側に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、紫外線吸剤の塗設量が1.0g/mとなるように、上記の中間層用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を形成した。この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、中間着色層を形成した。次いで、上記のオーバーコート層用塗布液をバーコート法により、塗布量が0.5g/mとなるように中間着色層上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を170℃で2分間乾燥し、オーバーコート層を形成した。
これにより、太陽電池用バックシートの耐候性層形成面と反対側に、乾燥厚みが6μmの透明の中間着色層(オレフィン−アクリル複合ポリマー層)、及び乾燥厚みが0.5μmのオレフィン系ポリマー層がこの順で積層されたEVA側易接着層を有する、透明の太陽電池用バックシートを得た。
<太陽電池発電モジュールの作製>
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、実施例52〜105で得られたいずれかの太陽電池用バックシートとを、太陽電池用バックシートのEVA側オーバーコート層を太陽電池素子の封止材であるEVAシートと接触させてこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。接着方法は、以下の通りである。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
以上のようにして、結晶系の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを作製した。
作製された太陽電池モジュールを120℃、相対湿度100%の環境条件下に60時間放置した後、発電運転させたところ、実施例52〜105で得られた太陽電池用バックシート(実施例1〜51の太陽電池用バックシートを含む)が耐候性に優れるため、いずれの太陽電池モジュールも、発電性能を長期に亘って安定的に得ることができた。

Claims (11)

  1. 未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸し、フィルム面に沿って前記第1方向と直交する第2方向に延伸することで作製された2軸延伸ポリエステルフィルムと、
    前記第1方向に延伸された前記ポリエステルフィルムの一方面に、前記第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、前記第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層と、
    前記下塗り層の上に配置された、アクリル樹脂を含む耐候性層と、
    を有する太陽電池用保護シート。
  2. 前記耐候性層は、厚みが10μm以上である請求項1に記載の太陽電池用保護シート。
  3. 前記2軸延伸ポリエステルフィルムの前記耐候性層を有する側とは反対側に、更に、
    前記第1方向に延伸された前記ポリエステルフィルムの他方面に、前記第2方向への延伸前に塗布液を塗布し、前記第2方向に延伸されることで形成された、アクリル樹脂を含む下塗り層を有する請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用保護シート。
  4. 前記2軸延伸ポリエステルフィルムが、白色顔料を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池用保護シート。
  5. 前記白色顔料が、二酸化チタンである請求項4に記載の太陽電池用保護シート。
  6. 前記耐候性層が散乱粒子を含み、耐候性層中における散乱粒子の体積比率が10%以上30%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池用保護シート。
  7. 前記散乱粒子が、二酸化チタンである請求項6に記載の太陽電池用保護シート。
  8. 前記耐候性層に含まれる前記アクリル樹脂は、シリコーン/アクリル複合樹脂及びアクリル/フッ素複合樹脂の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池用保護シート。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用保護シートを含む太陽電池モジュール。
  10. 未延伸のポリエステルフィルムを、第1方向に延伸する工程と、
    前記第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの一方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程と、
    前記下塗り層が形成されたポリエステルフィルムを、フィルム面に沿って前記第1方向と直交する第2方向に延伸する工程と、
    前記下塗り層の上にアクリル樹脂を含む耐候性層を形成する工程と、
    を有する太陽電池用バックシートの製造方法。
  11. 前記第1方向に延伸する工程と前記第2方向に延伸する工程との間に、更に、
    前記第1方向に延伸されたポリエステルフィルムの他方面に、アクリル樹脂を含む下塗り層を塗布により形成する工程を有する請求項10に記載の太陽電池用バックシートの製造方法。
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