JP2016035400A - 潤滑油の品質評価方法及び品質評価装置 - Google Patents

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昭彦 矢野
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泰広 小林
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【課題】潤滑油のRPVOT残存率を精度よく推定することで、良好な品質評価が可能な潤滑油の品質評価方法及び該方法を実施するための品質評価装置を提供する。【解決手段】回転機器に使用される潤滑油の品質評価方法であって、予め酸化劣化試験を行うことにより検量線を作成する工程S10と、潤滑油をフィルタでろ過する工程S20と、ろ過後のフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法を用いて分光分析を実施する工程S30と、吸収スペクトルに基づいて酸化率を算出する工程S40と、検量線に基づいて酸化率に対応するRPVOT残存率を推定する工程S50とを備える。【選択図】図3

Description

本開示は、回転機器に使用される潤滑油の品質評価方法及び当該方法を実施するための品質評価装置に関する。
タービンのような回転機器には、軸受の潤滑や冷却のために潤滑油が用いられる。潤滑油は、回転機器の使用や時間経過によって劣化が進行する。潤滑油の劣化は機器性能低下の要因となるため、適切なタイミングで補充・交換を行い、メンテナンス管理をする必要がある。
ところで、潤滑油の管理規格であるASTM D4378(American Society for Testing and Materials D4378)では、推奨される管理項目が複数規定されており、その1つは、RPVOT(Rotating Pressure Vessel Oxdation Test)である。RPVOTは、潤滑油について酸化劣化試験を行い、測定対象の潤滑油が酸素を急激に吸収し始めるまでの時間(誘導期間)として定義されている。ASTM D4378では、劣化した潤滑油のRPVOT値を未使用の潤滑油(新油)のRPVOT値で除することによりRPVOT残存率を算出し、当該RPVOT残存率が25%を下回らないように管理することが推奨されている。
特許文献1では、劣化にともなってスラッジの重量が増加する点に着目し、新油を酸化劣化試験によって劣化させ、劣化後の潤滑油をフィルタろ過し、当該フィルタのろ過残渣量に基づいてスラッジ生成性を評価する方法が開示されている。
特許第4209093号
しかしながら特許文献1は、フィルタ上の残渣量に基づいた評価であるため、例えば潤滑油の劣化初期段階において残渣量が微量である場合や残渣の前駆体しか存在しない場合には、十分な品質評価を行うことが難しいという問題がある。
また、潤滑油の他の品質評価方法として、潤滑油をろ過したフィルタの着色状態を分析する、いわゆるMPC法が知られている。MPC法は、上記方法とは異なり、潤滑油中のバーニッシュを基準に評価する手法である。しかしながら、MPC法では、潤滑油の種類によって着色の程度が異なるため、十分な評価精度を得ることが難しい。
また、いずれの方法においても、仮に潤滑油中に摩耗粉のような異物が混在する場合には、評価結果が異物の影響を受けてしまい、評価精度の低下、或いは、評価自体が困難になってしまう場合がある。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、潤滑油のRPVOT残存率を精度よく推定することで、良好な品質評価が可能な潤滑油の品質評価方法及び該方法を実施するための品質評価装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る潤滑油の品質評価方法は、回転機器に使用される潤滑油の品質評価方法であって、前記潤滑油に対応する試験油について予め酸化劣化試験を行うことにより、RPVOT残存率と酸化状態との対応関係を示す検量線を作成する検量線作成工程と、前記潤滑油をフィルタでろ過するろ過工程と、前記潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法を用いて分光分析を実施する分析工程と、前記分光分析によって得られた吸収スペクトルに基づいて、前記潤滑油の酸化状態を算出する算出工程と、前記検量線に基づいて、前記算出された酸化状態に対応するRPVOT残存率を推定する工程とを備えることを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、評価対象である潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法(以下、適宜「FTIR」と称する)を用いて分光分析を実施することによって、潤滑油の酸化状態を算出できる。酸化状態とRPVOT残存率との対応関係は、予め検量線として実験的、理論的或いはシミュレーション的な方法によって用意しておき、上記酸化状態の算出値を当該検量線に当てはめることで、対応するRPVOT残存率を推定できる。
このように本実施形態では、FTIRに基づいて算出された酸化状態に基づいてRPVOT残存率を推定することで、潤滑油の品質評価ができる。この手法によれば、例えば劣化初期段階(例えば潤滑油中にスラッジやバーニッシュが生成されておらず、それらの前駆体のみが存在するため、潤滑油をろ過したフィルタに色彩的な変化が見られない場合など)であっても、潤滑油に含まれる酸化成分を検出し、RPVOT残存率を推定できる。また、このようなFTIRは、仮に潤滑油中に摩耗粉のような異物が混在する場合であっても、異物の影響を受けないため、精度のよい評価が可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、従来に比べて精度のよいRPVOT残存率の推定が可能であり、高品質な潤滑油の品質評価方法を提供できる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記算出工程は、前記吸収スペクトルからC=O基に対応する吸収スペクトルを抽出し、前記抽出された吸収スペクトルの吸収度に基づいて、前記酸化状態を酸化度として算出する。
上記(2)の構成によれば、抽出工程では、酸化劣化の進行に伴って発生する酸化成分に含まれるC=O基に対応する吸収スペクトルを抽出し、その吸収度に基づいて酸化度を算出できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記算出工程は、前記吸収スペクトルからC=O基、及び、C−H基に対応する吸収スペクトルを抽出し、前記抽出された吸収スペクトルのピーク強度比に基づいて、前記酸化状態として酸化率を算出する。
上記(3)の構成によれば、評価対象である潤滑油の主成分に含まれるC−H基、及び、酸化劣化の進行に伴って発生する酸化成分に含まれるC=O基に対応する吸収スペクトルが、それぞれ抽出される。そして、これら抽出された吸収スペクトルに基づいて、C−H基の赤外線スペクトルのピーク強度PC−H、C=O基の赤外線スペクトルのピーク強度PC=Oが求められ、次式に基づいて酸化率Rが算出される。
R=PC=O/PC−H (式1)
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)のいずれかの構成において、前記フィルタは、銀フィルタである。
上記(4)の構成によれば、評価対象である潤滑油をろ過するフィルタは、固有の吸収スペクトルを有する材料から形成される。一般的なフィルタは有機物から構成されているため、様々な波長帯に吸収スペクトルを有しており、ろ過によって得られるスラッジやバーニッシュのような残渣、及び、これらの前駆体による吸収スペクトルと重なってしまう場合がある。これに対し、銀フィルタは吸収スペクトルを持たないため、残渣や前駆体に起因する吸収スペクトルを精度よく検知できる。
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る潤滑油の品質評価装置は、回転機器に使用される潤滑油の品質評価装置であって、前記潤滑油に対応する試験油について予め酸化劣化試験を行うことにより作成された、RPVOT残存率と酸化状態との対応関係を示す検量線を記憶する記憶部と、前記潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法を用いた分光分析を実施する分析部と、前記分光部で得られた吸収スペクトルに基づいて、前記潤滑油の酸化状態を算出する算出部と、前記検量線に基づいて、前記算出された酸化状態に対応するRPVOT残存率を推定する推定部とを備えることを特徴とする。
上記(5)の構成によれば、上記(1)乃至(4)記載の潤滑油の品質評価方法を好適に実施可能である。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、潤滑油のRPVOT残存率を精度よく推定することで、良好な品質評価が可能な潤滑油の品質評価方法及び品質評価装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る品質評価装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る品質評価装置によって実行される処理内容を示すフローチャートである。 図2の検量線作成工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 ろ過装置の概略構成を示す模式図である。 フーリエ変換赤外分光法で得られる吸収スペクトルの一例を示す図である。 図2の記憶部に記憶された検量線の一例を示すグラフである。 潤滑油のRPVOT残存率とスラッジ量との関係を示すグラフである。 図7のA点及びB点における吸収スペクトルを示す測定結果である。 酸化率とRPVOT残存率との関係を示す検量線の一例である。 図2のろ過工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2の分析工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2の酸化度算出工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2の酸化度算出工程の他のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2の劣化度推定工程のサブルーチンを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る品質評価装置(以下、適宜「装置」と称する)の全体構成を示すブロック図である。図2は、本発明の一実施形態に係る品質評価装置によって実行される処理内容を示すフローチャートである。図3は、図2の検量線作成工程のサブルーチンを示すフローチャートである。図4は、ろ過装置の概略構成を示す模式図である。図5は、フーリエ変換赤外分光法で得られる吸収スペクトルの一例を示す図である。図6は、図2の記憶部に記憶された検量線の一例を示すグラフである。図7は、図2のろ過工程のサブルーチンを示すフローチャートである。図8は、図2の分析工程のサブルーチンを示すフローチャートである。図9は、図2の酸化度算出工程のサブルーチンを示すフローチャートである。図10は、図2の酸化度算出工程の他のサブルーチンを示すフローチャートである。図11は、図2の劣化度推定工程のサブルーチンを示すフローチャートである。
品質評価対象である潤滑油は、タービンのような回転機器に使用される潤滑油である。以下の説明では、各工程において、様々な劣化状態にある潤滑油を取り扱う。これらの潤滑油には、例えば、未使用状態の潤滑油(新油)や、使用済みの潤滑油(使用油)や、新油・使用油を実験的に強制劣化させた試験油等が含まれる。これら各種潤滑油を総称する場合には、適宜、単に「油」と表記することとする。
図1に示すように、装置10は、入力部12、記憶部14、演算部16及び表示部18を備えたコンピュータなどの電子演算器として構成されている。
入力部12は、装置10の処理に必要な各種情報を入力可能な入力デバイスであり、例えばキーボード、マウス、タッチパネルである。また入力部12は、外部の関連装置からデータを取得可能な入力インターフェイスであってもよい。また入力部12による装置10への情報の入力動作は、手動であってもよいし、自動であってもよい。
記憶部14は、装置10の処理に要する各種情報を記憶可能な記憶デバイスであり、ハードディスク、USBメモリ、フラッシュメモリのような記憶媒体であるROM、RAMを問わない。記憶部14には、装置10が後述する制御を実行するための制御プログラムや当該制御に必要な各種情報が記憶されている。また記憶部14は、入力部12から入力された各種情報を記憶可能に構成されていてもよい。
本実施形態では特に、記憶部14には検量線30(潤滑油に対応する試験油について予め酸化劣化試験を行い、RPVOT残存率と酸化率との対応関係を取得することによって作成されたもの)が記憶されているが、検量線の詳細については後述することとする。
演算部16は、入力部12及び記憶部14から取得した各種情報に基づいて演算を実行することにより品質評価処理を実施する演算デバイスであって、例えばマイクロプロセッサのような半導体デバイスによって構成されている。本実施形態では特に、演算部16は後述する品質評価方法の各工程に対応した機能ブロックから構成されており、分析部20と、酸化率算出部22と、推定部24とを備える。これら各機能ブロックの詳細については後述する。
表示部18は、演算部16による演算結果を表示可能な表示デバイスであって、例えばディスプレイであるが、オペレータの五感に認識可能な各種態様で演算結果を出力可能なデバイスを広く採用可能である。
続いて図2を参照して、上記構成を有する装置10によって実施される品質評価方法の具体的な内容について説明する。本実施形態に係る品質評価方法は、検量線作成工程S10と、ろ過工程S20と、分析工程S30と、酸化率算出工程S40と、劣化度推定工程S50と、表示工程S60とを備える。
まず検量線作成工程S10では、サブルーチンとして図3に示す処理が実施される。
検量線作成工程S10では、酸化劣化装置によって、劣化度の異なる複数の試験油が生成される(ステップS11)。酸化劣化装置は、例えばASTM D943に示される95℃TOST試験や、ASTM D7873に示される120℃Dry TOST試験、あるいはJIS K2514で規定される試験に準拠した試験装置を用いる。本実施形態では、評価対象の潤滑油と同タイプの油を複数用意し、酸化劣化装置においてそれぞれ異なる試験時間を設定して強制的に劣化させることにより、劣化度の異なる複数の試験油を生成する。
続いて劣化度の異なる複数の試験油について、RPVOT残存率を測定する(ステップS12)。
RPVOT残存率は、RPVOT測定装置を用いて測定される。RPVOT測定装置は、測定対象の油に酸素が吸収されて酸素圧が急激に低下するまでの誘導期間を示す指標RPVOTを計測する装置である。本実施形態では、RPVOTの計測条件は、ASTM D2272の規定内容に準拠するものとした。
具体的には、測定対象の油50gと、蒸留水5mlと、銅触媒(長さ3mで直径1.63mmの鋼線)とを蓋付きガラス製容器に入れ、酸素を圧入して酸素圧を6.3kgf/cm2としたボンベに封入する。そして、ボンベを、150℃に保温された恒温槽中のボンベ保持器に取り付ける。ボンベは、毎分100±5回転で回転させられる。ボンベがボンベ保持器に取り付けられてから計測開始となり、ボンベに取り付けられた圧力計の計測値が最高圧力より1.75kgf/cm2降下した時点で計測終了となる。
各試験油のRPVOT残存率は、それぞれの試験油のRPVOTを、新油(劣化度=0)のRPVOTで除したものに100を乗ずることにより、次式で得られる。
RPVOT残存率=試験油(劣化度≠0)のRPVOT/新油(劣化度=0)×100 (式2)
ここで図7は、RPVOT残存率とスラッジ生成量(mg/kg)との関係の測定例である。図7によれば、RPVOT残存率が減少するに従って、スラッジ生成量が増加しており、劣化が進行していることが示されている。
続いて劣化度の異なる複数の試験油について、酸化度が測定される(ステップS13)。酸化度の測定は、前処理としてフィルタによる潤滑油のろ過が行われる。図4はろ過装置50の概略構成を示しており、防塵用蓋52と、シリンダ54と、フラスコ56と、真空ポンプ58とを備える。シリンダ54とフラスコ56との間には、メンブランフィルタ60が取り付けられる。試験対象である油はシリンダ54に注入され、真空ポンプ58によってフラスコ56が減圧されることによって、メンブランフィルタ60によってろ過され、フラスコ56の底に滴下する。このとき、油に含まれる汚染物は、メンブランフィルタ60に捕捉される。
本実施形態では、メンブランフィルタ60は、吸収スペクトルを有さない材料で形成されているものを採用している。具体的には、ミリポア社製の銀メンブレンフィルタ(孔径0.45μm)を用いている。
そして、潤滑油をろ過した後のフィルタに対してフーリエ変換赤外分光法(FTIR)による吸収スペクトルの測定を実施する。図5は、このように測定された吸収スペクトルの一例である。本実施形態では、C=O基に対応する吸収スペクトル(1710cm−1)の吸収度に基づいて、酸化度が算出される。
続いて各試験油について、ステップS21で取得したRPVOT残存率と、ステップS22で取得した酸化度とに基づいて検量線30を求める(ステップS14)。検量線30の算出は、図6に示すように、各試験油のRPVOT残存率と、ステップS12で取得した酸化度をプロットし、近似関数を求めることによって行われる。
このようにして求められた検量線30は、記憶部12に記憶される(ステップS15)。
尚、本実施形態では、記憶部12に検量線30が記憶されているが、これに変えて、又はこれに加えて、検量線30を求める元データ(すなわち、異なる劣化度を有する複数の試験油の各々における、RPVOT残存率と酸化率の生データ)を記憶しておき、演算部16において適宜検量線30の算出を実施するようにしてもよい。
尚、検量線30の算出の際には、酸化度に代えて酸化率(%)を算出してもよい。この場合、C−H基に対応する吸収スペクトル(2900−3000cm−1)のピーク強度PC−Hと、C=O基に対応する吸収スペクトル(1710cm−1)のピーク強度PC=Oとを用いて、酸化率Rを上記式1に基づいて算出できる。
ここで、図7乃至図9を参照して、実際の測定データに基づいて説明する。図7は、潤滑油のRPVOT残存率とスラッジ量との関係を示すグラフであり、図8は図7のA点(RPVOT残存率=65%)及びB点(RPVOT残存率=3%)における吸収スペクトルを示す測定結果であり、図9は酸化率とRPVOT残存率との関係を示す検量線30の一例である。
図8(a)は、図7のA点(RPVOT残存率=65%)における吸収スペクトルであり、C−H基に対応する吸収スペクトルのピーク強度PC−H=0.097、及び、C=O基に対応する吸収スペクトルのピーク強度PC−O=0.023が示されている。従って、A点における酸化率はR=PC−O/PC−H=0.237となる。
また図8(b)は、図7のB点(RPVOT残存率=3%)における吸収スペクトルであり、C−H基に対応する吸収スペクトルのピーク強度PC−H=0.077、及び、C=O基に対応する吸収スペクトルのピーク強度PC−O=0.027が示されている。従って、B点における酸化率はR=PC−O/PC−H=0.351となる。
ここで、RPVOT残存率=100%(すなわち、劣化なしの状態)における酸化率をゼロと規定し、これらの点をグラフ上にプロットすると図9が得られる。図9では、これら3点の近似曲線として算出された検量線30が示されている。
続いて、ろ過工程S20のサブルーチンについて、図10を参照して説明する。
まず評価対象となる潤滑油が使用されている回転機器から、潤滑油を取り出す(ステップS21)。取り出された潤滑油は、図1を参照して前述したように、フィルタでろ過される(ステップS22)。ろ過後のフィルタは、溶剤で洗浄したのち乾燥することで、銀メンブレンパッチとして作成する(ステップS23)。
続いて、分析工程S30のサブルーチンについて、図11を参照して説明する。
図11では、評価対象の潤滑油に対して、回転機器から取り出した潤滑油をろ過したフィルタに対して、上述したステップS13(図3を参照)と同様に、FTIRにフィルタをセットし(ステップS31)、分析部20によって吸収スペクトルの測定が実施される(ステップS32)。
続いて、酸化率算出工程S40のサブルーチンについて、図12を参照して説明する。
酸化率算出部22は、ステップS32で取得した吸収スペクトルを読み込み(ステップS41)、当該吸収スペクトルから、吸収スペクトルからC=O基に対応する吸収スペクトルを抽出する(ステップS42)。そして、当該吸収スペクトルの吸収度に基づいて酸化度として算出する(ステップS43)。
尚、他の実施形態として、酸化度に代えて酸化率を用いる場合には、図12に代えて図13に示すサブルーチン40‘を実行するとよい。サブルーチン40’では、酸化率算出部22は、ステップS32で取得した吸収スペクトルを読み込み(ステップS41‘)、当該吸収スペクトルから、吸収スペクトルからC=O基に対応する吸収スペクトルと、C−H基に対応する吸収スペクトルとを抽出する(ステップS42’、S43’)。そして、当該吸収スペクトルの吸収率を、上記式1に基づいて算出する(ステップS44‘)。
続いて、劣化度推定工程S50のサブルーチンを、図14を参照して説明する。
RPVOT推定部24は、記憶部14にアクセスすることにより検量線30を取得する(ステップS51)。続いて、酸化率算出部22からステップS43で算出した酸化度を取得する(ステップS52)。そして、ステップS52で取得した酸化度を、ステップS51で取得した検量線30に当てはめることによって(ステップS53)、対応するRPVOT残存率を推定する(ステップS54)。このように推定されたRPVOT残存率は、潤滑油の品質評価指標の一つとして表示部18に出力される(ステップS60)。
以上説明したように、本実施形態によれば、評価対象である潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法(以下、適宜「FTIR」と称する)を用いて分光分析を実施することによって、潤滑油の酸化率が算出される。酸化率とRPVOT残存率との対応関係は、予め検量線として実験的、理論的或いはシミュレーション的な方法によって用意される。そして、算出した酸化率を、予め用意された検量線に当てはめることで、対応するRPVOT残存率が推定される。
このように本実施形態では、FTIRによって得られる吸収スペクトルに基づいて算出された酸化率に基づいてRPVOT残存率を推定することで、潤滑油の品質評価ができる。そのため、例えば潤滑油をろ過したフィルタに色彩的な変化が見られないような劣化初期段階(例えばフィルタにスラッジやバーニッシュが生成されておらず、それらの前駆体のみが存在するような段階)であっても、FTIRによって光学的に潤滑油に含まれる酸化成分を検出して、その結果に基づいてRPVOT残存率を推定できる。また、このようなFTIRで得られる吸収スペクトルは、仮に潤滑油中に摩耗粉のような異物が混在する場合であっても、異物の影響を受けることない。
以上説明したように、本実施形態によれば、従来に比べて精度のよいRPVOT残存率の推定が可能であり、高品質な潤滑油の品質評価方法を提供できる。
本開示は、潤滑油の品質評価方法及び当該方法を実施するための品質評価装置に利用可能である。
10 品質評価装置
12 入力部
14 記憶部
16 演算部
18 表示部
20 分析部
22 酸化率算出部
24 推定部
30 検量線
50 ろ過装置
52 防塵用蓋
54 シリンダ
56 フラスコ
58 真空ポンプ
60 メンブランフィルタ

Claims (5)

  1. 回転機器に使用される潤滑油の品質評価方法であって、
    前記潤滑油に対応する試験油について予め酸化劣化試験を行うことにより、RPVOT残存率と酸化状態との対応関係を示す検量線を作成する検量線作成工程と、
    前記潤滑油をフィルタでろ過するろ過工程と、
    前記潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法を用いて分光分析を実施する分析工程と、
    前記分光分析によって得られた吸収スペクトルに基づいて、前記潤滑油の酸化状態を算出する算出工程と、
    前記検量線に基づいて、前記算出された酸化状態に対応するRPVOT残存率を推定する工程と
    を備えることを特徴とする潤滑油の品質評価方法。
  2. 前記算出工程は、前記吸収スペクトルからC=O基に対応する吸収スペクトルを抽出し、前記抽出された吸収スペクトルの吸収度に基づいて、前記酸化状態を酸化度として算出することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油の品質評価方法。
  3. 前記算出工程は、前記吸収スペクトルからC=O基、及び、C−H基に対応する吸収スペクトルを抽出し、前記抽出された吸収スペクトルのピーク強度比に基づいて、前記酸化状態として酸化率を算出することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油の品質評価方法。
  4. 前記フィルタは、銀フィルタであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の潤滑油の品質評価方法。
  5. 回転機器に使用される潤滑油の品質評価装置であって、
    前記潤滑油に対応する試験油について予め酸化劣化試験を行うことにより作成された、RPVOT残存率と酸化状態との対応関係を示す検量線を記憶する記憶部と、
    前記潤滑油をろ過したフィルタについて、フーリエ変換赤外分光法を用いた分光分析を実施する分析部と、
    前記分光部で得られた吸収スペクトルに基づいて、前記潤滑油の酸化状態を算出する算出部と、
    前記検量線に基づいて、前記算出された酸化状態に対応するRPVOT残存率を推定する推定部と
    を備えることを特徴とする潤滑油の品質評価装置。
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CN111238881A (zh) * 2020-03-11 2020-06-05 内蒙古电力(集团)有限责任公司内蒙古电力科学研究院分公司 一套润滑及液压系统在用油漆膜倾向指数在线监测系统

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CN111238881A (zh) * 2020-03-11 2020-06-05 内蒙古电力(集团)有限责任公司内蒙古电力科学研究院分公司 一套润滑及液压系统在用油漆膜倾向指数在线监测系统
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