JP2016035278A - サイクロイド減速機およびこれを備えたインホイールモータ駆動装置 - Google Patents

サイクロイド減速機およびこれを備えたインホイールモータ駆動装置 Download PDF

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    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating

Abstract

【課題】音響性能および耐久寿命等に優れたサイクロイド減速機を提供する。
【解決手段】偏心部25a,25bを有する入力軸25と、該入力軸25を出力軸28に対して回転自在に支持する転がり軸受37,37とを備え、入力軸25に、その内部を軸方向に延びる潤滑油路25cと、径方向に延び、潤滑油路25c内を流通する潤滑油を曲線板26a,26bを支持する転がり軸受41,41に供給する第1給油孔P1とが設けられたサイクロイド減速機であって、転がり軸受37,37が入力軸25に対してすきま嵌めで嵌合され、入力軸25が、径方向に延び、内径端部が潤滑油路25cに開口すると共に外径端部が転がり軸受37,37との嵌合部M1,M2に開口した第2給油孔P2をさらに有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、サイクロイド減速機およびこれを備えたインホイールモータ駆動装置に関する。
周知のように、インホイールモータ駆動装置は、装置全体がホイールの内部に収容され、あるいはホイール近傍に配置される関係上、その重量や大きさが車両のばね下重量(走行性能)や客室スペースの広さに影響を及ぼす。このため、インホイールモータ駆動装置は、できるだけ軽量・コンパクト化する必要がある。その一方、インホイールモータ駆動装置は、車輪を駆動するために大きなトルクを必要とする。これらの要請を同時に満足すべく、例えば下記の特許文献1には、駆動力を発生させるモータ部に、例えば15000rpm程度の高回転型のモータを採用すると共に、モータ部と車輪を連結固定する車輪用軸受部との間に設けるべき減速部に、コンパクトで高い減速比が得られるサイクロイド減速機を採用したインホイールモータ駆動装置が提案されている。
上記のサイクロイド減速機は、主に、偏心部を有する入力軸と、偏心部の外周に回転自在に嵌合され、入力軸の回転に伴ってその回転軸心を中心とする公転運動を行う曲線板と、曲線板の外周部に係合して曲線板に自転運動を生じさせる複数の外ピンと、曲線板の自転運動を出力軸の回転運動に変換する運動変換機構とを備える。入力軸は、モータ部の回転軸とトルク伝達可能に連結され、転がり軸受(入力軸支持軸受)を介して出力軸に対して回転自在に支持されている。
入力軸には、入力軸の内部を軸方向に延びた軸方向油路と、径方向に延び、軸方向油路内を流通する潤滑油を減速機の内部に吐出・供給する給油孔とが設けられる。給油孔は、曲線板を支持する転がり軸受に対して効率的に潤滑油を供給するために、入力軸のうち、例えば偏心部の外径面に開口するように設けられる(特許文献1の図13および図15を参照)。
特開2012−141028号公報
ところで、出力軸および入力軸に対する入力軸支持軸受の嵌め合いを何れもしまり嵌めとした場合、減速機の組立性が悪化する他、入力軸支持軸受の組込み過程で軸受軌道面に圧痕等が生じて入力軸支持軸受の軸受性能や耐久寿命に悪影響が及ぶおそれがある。そのため、出力軸および入力軸に対する入力軸支持軸受の嵌め合いを、それぞれ、しまり嵌めおよびすきま嵌めとすることが検討されている。
しかしながら、入力軸に対する入力軸支持軸受の嵌め合いをすきま嵌めとした場合、入力軸に上記のような給油孔を設けていても、高トルク出力での運転や長時間の高速運転、あるいは旋回走行の繰り返しにより、入力軸のうち、その支持軸受が嵌合される部位(支持軸受嵌合部)や、入力軸支持軸受の内輪内径面等が摩耗し易く、この原因が支持軸受嵌合部近傍に供給される潤滑油量が少ない為であると判明した。支持軸受嵌合部や入力軸支持軸受の内輪内径面が摩耗すると、入力軸支持軸受による入力軸の支持位置が初期位置からずれ易くなるため、ミスアライメントにより減速機から生じる異音・振動が増加するおそれが高まる。また、各部の摩耗に伴って生じた摩耗粉が潤滑油と共に減速機内部に拡散し、更なる摩耗や圧痕の発生原因、ひいては異音・振動等の発生原因となるおそれがある。
上記の実情に鑑み、本発明が解決すべき課題は、入力軸とその支持軸受との嵌合部における摩耗、さらには入力軸支持軸受の内輪内径面の摩耗等を効果的に抑制し得るサイクロイド減速機を実現し、これを通じて、音響性能や耐久寿命等に優れたサイクロイド減速機、ひいてはこれを搭載したインホイールモータ駆動装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、偏心部を有する入力軸と、偏心部の外周に第1転がり軸受を介して回転自在に嵌合され、入力軸の回転に伴ってその回転軸心を中心とする公転運動を行う曲線板と、曲線板の外周部に係合して曲線板に自転運動を生じさせる複数の外ピンと、曲線板の自転運動を出力軸の回転運動に変換する運動変換機構と、入力軸を出力軸に対して回転自在に支持する第2転がり軸受とを備え、入力軸に、その内部を軸方向に延びた軸方向油路と、径方向に延び、軸方向油路内を流通する潤滑油を第1転がり軸受に供給する第1給油孔とが設けられたサイクロイド減速機であって、第2転がり軸受を入力軸に対してすきま嵌めで嵌合し、入力軸に、径方向に延び、内径端部が軸方向油路に開口すると共に外径端部が第2転がり軸受との嵌合部に開口した第2給油孔を設けたことを特徴とする。なお、本発明でいう「第1転がり軸受」および「第2転がり軸受」は、それぞれ、上述した「曲線板を支持する転がり軸受」および「入力軸支持軸受」に対応する。
上記構成によれば、入力軸の軸方向油路内を流通する潤滑油を、入力軸と第2転がり軸受との嵌合部(第2転がり軸受を入力軸に対してすきま嵌めで嵌合することにより形成される半径方向すきま)、ひいては、第2転がり軸受の内部に効率良く供給することができる。これにより、入力軸のうち第2転がり軸受との嵌合部の摩耗や、第2転がり軸受の内輪内径面の摩耗を効果的に防止して、ミスアライメントによる異音・振動の発生を防止することができる他、第2転がり軸受の内部摩耗を効果的に防止して、第2転がり軸受の内部摩耗に起因した異音・振動の発生を防止することができる。そのため、音響性能や耐久寿命等に優れたサイクロイド減速機を実現することができる。
第2給油孔の外径端部は、上記嵌合部の軸方向中央部に開口させるのが好ましい。このようにすれば、上記嵌合部の全域に潤滑油を行き渡らせ易くなるので、上記嵌合部の摩耗を一層効果的に防止できる。
上記構成において、入力軸の振れ回り、およびこれに起因した入力軸の偏摩耗を可及的に防止するため、偏心部は、入力軸の軸方向二箇所に位相を180°異ならせて設けるのが好ましい。
第2給油孔は、偏心部の偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた位置(二箇所)に設けることができる。このようにすれば、入力軸の回転方向に関わらず、何れか一方の第2給油孔の外径端部を第2転がり軸受の荷重負荷域の入口側に位置させることができる(詳細は後述する)。そのため、第2給油孔を介して軸受嵌合部に供給された潤滑油を、入力軸の回転に伴って、上記嵌合部のうち実質的に荷重が負荷される領域に効率良く供給することができる。
第2転がり軸受としては、ボールを介して相対回転する内輪および外輪を有する玉軸受を使用することができる。この場合、第2給油孔の加工性等を確保しつつ、上記嵌合部の摩耗や、第2転がり軸受の内輪(特に内側軌道面)の変形に起因した異音・振動等の発生を可及的に防止するため、第2給油孔の外径端部の開口径は、ボール直径の10%以上40%以下に設定するのが好ましい。
上記構成において、入力軸としては、肌焼き鋼で形成され、熱処理として浸炭焼入れ焼戻しが施されたものを使用するのが好ましい。その理由は以下のとおりである。
まず、低炭素鋼の一種である肌焼き鋼は、熱処理前の段階では比較的軟質で加工性に優れるため、所定の形状を簡便かつ高精度に得ることができる。その一方、肌焼き鋼からなるワークに、熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを施せば、芯部に必要とされる靱性を確保しつつ、表層部の耐摩耗性および強度向上を実現できる表面硬化層を形成することができる。しかも、浸炭焼入れ焼戻しは、上記同様の表面硬化層を形成することができる他の熱処理方法(具体的には高周波熱処理)と比較して形状の小変更に対する柔軟性を有するので、熱処理に要するコストは少なくて済む。以上より、低コストに作製可能でありながら、軸受嵌合部等の耐摩耗性が高められると共に芯部に必要とされる靱性が確保された入力軸を得ることができる。
以上で説明した本発明に係るサイクロイド減速機は、モータ部、減速部および車輪用軸受部を有するインホイールモータ駆動装置を構成する減速部に好ましく適用することができる。この場合、サイクロイド減速機の入力軸を、モータ部の回転軸にトルク伝達可能に連結すれば、音響性能や耐久寿命に優れたインホイールモータ駆動装置を実現することができる。
以上より、本発明によれば、入力軸とその支持軸受との嵌合部における摩耗、さらには入力軸支持軸受の内輪内径面の摩耗等を効果的に抑制し得るサイクロイド減速機を実現することができる。これにより、音響性能や耐久寿命等に優れたサイクロイド減速機、ひいてはこれを搭載したインホイールモータ駆動装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るサイクロイド減速機を減速部に適用したインホイールモータ駆動装置の一例を示す図である。 (a)図は図1に示す入力軸の縦断面図、(b)図は(a)図のZ1−Z1線矢視断面図、(c)図は(a)図のZ2−Z2線矢視断面図である。 図1のZ−Z線矢視断面図である 図1に示すサイクロイド減速機を構成する曲線板に作用する荷重を示す説明図である。 図1に示すインホイールモータ駆動装置に組み込まれた回転ポンプの横断面図である。 (a)図は図1に示す入力軸の拡大図、(b)図〜(e)図は、それぞれ、(a)図のZ11−Z11線矢視断面図、Z12−Z12線矢視断面図、Z13−Z13線矢視断面図、およびZ14−Z14線矢視断面図である。 インホイールモータ駆動装置が搭載される電気自動車の概略平面図である。 図7の電気自動車を後方から見た概略断面図である。
まず、図7および図8に基づいてインホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車11の概要を説明する。図7に示すように、電気自動車11は、シャシー12と、操舵輪として機能する一対の前輪13と、駆動輪として機能する一対の後輪14と、左右の後輪14のそれぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21とを備える。図8に示すように、後輪14は、シャシー12のホイールハウス12aの内部に収容され、懸架装置12bを介してシャシー12の下部に固定されている。
懸架装置12bは、左右に延びるサスペンションアームによって後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、後輪14が路面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等の車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられる。懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
この電気自動車11では、左右のホイールハウス12aの内部に、左右の後輪14それぞれを回転駆動させるインホイールモータ駆動装置21が組み込まれるので、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなる。そのため、この電気自動車11は、客室スペースを広く確保でき、しかも、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
電気自動車11の走行安定性および騒音・振動・ハーシュネス特性(NVH特性)を向上するためには、ばね下重量を抑える必要がある。また、電気自動車11の客室スペースを拡大するためには、インホイールモータ駆動装置21を小型化する必要がある。そこで、図1に示すようなインホイールモータ駆動装置21を採用する。
本発明の実施形態に係るサイクロイド減速機を減速部に適用したインホイールモータ駆動装置21の一例を図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すように、インホイールモータ駆動装置21は、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bの出力を後輪14(図7、8参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備え、これらはケーシング22に保持されている。詳細は後述するが、このインホイールモータ駆動装置21は、モータ部Aおよび減速部Bの各所に潤滑油を供給する潤滑機構を有する。モータ部Aと減速部Bはケーシング22に収納された状態で電気自動車11のホイールハウス12a(図8参照)内に取り付けられる。
モータ部Aは、ケーシング22に固定されているステータ23aと、ステータ23aの内側に径方向の隙間を介して対向配置されたロータ23bと、外周にロータ23bを装着した中空構造のモータ回転軸24とを備えるラジアルギャップモータであり、モータ回転軸24は15000rpm程度の回転数で回転可能とされている。
モータ回転軸24は、その軸方向一方側(図1の右側であり、以下「インボード側」ともいう)および他方側(図1の左側であり、以下「アウトボード側」ともいう)の端部にそれぞれ配置された転がり軸受36,36によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。転がり軸受36は、いわゆる玉軸受であり、ケーシング22の内径面に嵌合固定された外輪と、モータ回転軸24の外径面に嵌合固定された内輪と、外輪と内輪との間に配置された複数のボールと、複数のボールを周方向に離間した状態で保持する保持器とを備える。
車輪用軸受部Cは、中空構造のハブ輪32と、ハブ輪32をケーシング22に対して回転自在に支持する車輪用軸受33とを備える。ハブ輪32は、減速部Bを構成する出力軸28の軸部28bに連結された円筒状の中空部32aと、中空部32aのアウトボード側の端部から径方向外向きに延びたフランジ部32bとを一体に有する。フランジ部32bにはボルト32cによって後輪14(図7,8参照)が連結固定されるので、ハブ輪32の回転時には後輪14がハブ輪32と一体回転する。
車輪用軸受33は、ハブ輪32の外径面に直接形成された内側軌道面33fおよび外径面の小径段部に嵌合された内輪33aを有する内方部材と、ケーシング22の内径面に嵌合固定された外輪33bと、内方部材と外輪33bの間に配置された複数のボール33cと、ボール33cを周方向に離間した状態で保持する保持器33dと、車輪用軸受33の軸方向両端部を密封するシール部材33eとを備えた複列アンギュラ玉軸受である。
減速部Bは、その主要部がサイクロイド減速機で構成され、モータ部Aにより回転駆動される入力軸25と、入力軸25と同軸に配置された出力軸28と、入力軸25の回転を減速した上で出力軸28に伝達する減速機構とを備える。出力軸28は、減速機構により減速された入力軸25の回転を車輪用軸受部Cに伝達する。
図2(a)にも示すように、入力軸25の軸方向二箇所には、軸心が入力軸25の回転軸心に対して偏心した偏心部25a,25bが設けられており、本実施形態ではこれら2つの偏心部25a,25bが入力軸25と一体に設けられている。2つの偏心部25a,25bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うため(入力軸25の振れ回りを防止するため)に、位相を180°異ならせて設けられている。
入力軸25は、軸方向二箇所に離間して配置された転がり軸受(入力軸支持軸受)37,37によって出力軸28に対して回転自在に支持されている。従って、転がり軸受37,37が本発明でいう第2転がり軸受に相当する。一方の転がり軸受37は偏心部25aよりもインボード側に配置されて入力軸25の軸方向略中央部を支持し、他方の転がり軸受37は偏心部25bよりもアウトボード側に配置されて入力軸25のアウトボード側の端部を支持している。各転がり軸受37は、いわゆる玉軸受(深溝玉軸受)であり、図2(a)に示すように、入力軸25の外径面に嵌合された内輪37aと、出力軸28の内径面に嵌合された外輪37bと、内輪37aの内側軌道面と外輪37bの外側軌道面の間に配置された複数のボール37cと、複数のボール37cを周方向に離間した状態で保持する保持器(図示せず)とを備える。
各転がり軸受37(の外輪37b)と出力軸28との間の嵌め合い、および各転がり軸受37(の内輪37a)と入力軸25との間の嵌め合いは、何れもしまり嵌めとしても良いが、この場合、サイクロイド減速機の組立が困難となる他、転がり軸受37の組込み過程で転がり軸受37の軌道面に圧痕等が形成され、転がり軸受37の軸受性能や耐久寿命に悪影響が及ぶおそれがある。そのため、転がり軸受37の外輪37bと出力軸28との間の嵌め合いはしまり嵌めとし、転がり軸受37の内輪37aと入力軸25との間の嵌め合いはすきま嵌めとしている。
入力軸25は、そのインボード側の端部外周に形成したスプライン25g(セレーションを含む。以下同じ。)を、モータ回転軸24のアウトボード側の端部内周に形成したスプラインに嵌合する、いわゆるスプライン嵌合によってモータ回転軸24と連結されている。これにより、モータ部Aの駆動力が減速部Bに伝達される。
以上の構成を有する入力軸25は、例えば、SCM415、SCM420、SCr420等の肌焼き鋼で形成され、熱処理としての浸炭焼入れ焼戻しが施されることにより形成された硬化層(表面硬化層)Hを有する。本実施形態では入力軸25全体に浸炭焼入れ焼戻しを施している。硬化層Hの硬度はビッカース硬さ(Hv)で660〜780程度であり、芯部(硬化層Hが形成されていない部分)の硬度はロックウェル硬さCスケール(HRC)で25〜38程度である。
出力軸28は、図1に示すように、軸部28bとフランジ部28aとを有する。フランジ部28aには、後述する内ピン31のアウトボード側の端部が嵌合固定される孔部(図示例は貫通孔)が形成されており、孔部は、減速機出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に等間隔で複数形成されている。軸部28bは、車輪用軸受部Cを構成するハブ輪32にスプライン嵌合によって連結されている。出力軸28は、転がり軸受46,46を介して外ピンハウジング60に対して回転自在に支持されている。
減速機構は、転がり軸受41,41(図3参照)を介して偏心部25a,25bの外周に回転自在に嵌合された曲線板26a,26bと、外ピンハウジング60の固定位置に保持され、曲線板26a,26bの外周部と係合する複数の外ピン27と、曲線板26a,26bの自転運動を出力軸28の回転運動に変換する運動変換機構とを備える。従って、転がり軸受41が本発明でいう第1転がり軸受を構成する。
図3に示すように、曲線板26aは、その外周部にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形を有する。また、曲線板26aは、その両端面に開口する軸方向の貫通孔30a,30bを有する。貫通孔30aは、曲線板26aの自転軸心を中心とする円周上に等間隔で複数設けられており、後述する内ピン31を1本ずつ受け入れる。貫通孔30bは、曲線板26aの中心に設けられており、減速機入力軸25の偏心部25a(転がり軸受41)に嵌合される。
転がり軸受41は、図3に示すように、外径面に内側軌道面42aを有し、偏心部25aの外径面に嵌合した内輪42と、曲線板26aの貫通孔30bの内径面に直接形成された外側軌道面43と、内側軌道面42aと外側軌道面43の間に配置される複数の円筒ころ44と、円筒ころ44を保持する保持器(図示せず)とを備える円筒ころ軸受である。内輪42は、内側軌道面42aの軸方向両端部から径方向外側に突出する鍔部42bを有する。本実施形態の転がり軸受41では、偏心部25aとは別体に設けた内輪42に内側軌道面42aを形成しているが、偏心部25aの外径面に内側軌道面を直接形成することで内輪42を省略してもよい。なお、詳細な説明は省略するが、曲線板26bは、曲線板26aと同様の構造を有しており、曲線板26aを支持する転がり軸受41と同様の転がり軸受41によって偏心部25bに対して回転自在に支持されている。
図3に示すように、外ピン27は、減速機入力軸25の回転軸心を中心とする円周上に等間隔で複数設けられている。入力軸25が回転するのに伴って曲線板26a,26bが公転運動すると、曲線板26a,26bの外周部と外ピン27とが周方向で係合し、曲線板26a,26bに自転運動を生じさせる。各外ピン27は、図1に示すように、そのインボード側およびアウトボード側の端部にそれぞれ配された一対の転がり軸受(針状ころ軸受)61,61、および一対の針状ころ軸受61,61を内周に保持した外ピンハウジング60を介してケーシング22に回転自在に支持されている。かかる構成により、外ピン27と曲線板26a,26bとの間の接触抵抗が低減される。
詳細な図示は省略しているが、外ピンハウジング60は、弾性支持機能を有する回り止め手段(図示せず)によってケーシング22に対してフローティング状態に支持されている。これは、車両の旋回や急加減速等によって生じる大きなラジアル荷重やモーメント荷重を吸収して、曲線板26a,26bの自転運動を減速機出力軸28の回転運動に変換する運動変換機構の構成部品の損傷を防止するためである。
偏心部25a,25bの軸方向外側には、それぞれ、カウンタウェイト29が隣接配置されている。カウンタウェイト29は略扇形状で、入力軸25の外周に嵌合固定されている。各カウンタウェイト29は、曲線板26a,26bの回転によって生じる不釣合い慣性偶力を打ち消すために、軸方向に隣接する偏心部25a(又は25b)と180°位相を変えて配置される。
図1および図3に示すように、運動変換機構は、複数の内ピン31と、曲線板26a,26bに設けられた複数の貫通孔30aとで構成される。貫通孔30aは、複数の内ピン31それぞれに対応する位置に設けられている。内ピン31は、出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に配置されており、そのアウトボード側の端部が出力軸28のフランジ部28aに設けた孔部に固定されている。出力軸28は入力軸25と同軸上に配置されているので、曲線板26a,26bの自転運動は、入力軸25の回転軸心を中心とする回転運動に変換された上で出力軸28に伝達される。また、内ピン31と曲線板26a,26bとの摩擦抵抗を低減するため、曲線板26a,26bの貫通孔30aに挿入された内ピン31の外周には針状ころ軸受31aが設けられている。貫通孔30aの内径寸法は、内ピン31の外径寸法(「針状ころ軸受31aを含む最大外径」を指す。以下同じ。)よりも所定寸法大きく設定されている。
減速部B(サイクロイド減速機)は、スタビライザ31bをさらに有する。スタビライザ31bは、円環形状の円環部31cと、円環部31cの内径面からインボード側に延びる円筒部31dとを一体に有し、各内ピン31のインボード側の端部は、円環部31cに固定されている。
ここで、モータ部Aの駆動時に曲線板26aに作用する荷重の状態を図4に基づいて説明する。なお、モータ部Aの駆動時には、曲線板26bにも以下に説明するのと同様にして荷重が作用する。
入力軸25に設けられた偏心部25aの軸心O2は、入力軸25の軸心(回転軸心)Oから偏心量eだけ偏心している。偏心部25aは、転がり軸受41を介して曲線板26aを回転自在に支持するので、その軸心O2は曲線板26aの軸心でもある。曲線板26aの外周部は波形曲線で形成され、径方向内向きに窪んだ凹部34を周方向等間隔に有する。曲線板26aの周囲には、凹部34と周方向で係合する外ピン27が、入力軸25の軸心Oを中心として周方向に複数配設されている。
図4において、入力軸25が紙面上で反時計周りに回転すると、偏心部25aは入力軸25の軸心Oを中心とする公転運動を行うので、曲線板26aの凹部34が外ピン27と周方向に順次当接・係合する。この結果、曲線板26aは、複数の外ピン27から図中矢印で示すような荷重Fiを受けて、時計回りに自転する。
また、曲線板26aには貫通孔30aが軸心O2を中心として周方向に複数配設されており、各貫通孔30aには、入力軸25と同軸に配置された出力軸28に固定される内ピン31が挿通されている。貫通孔30aの内径は内ピン31の外径よりも所定寸法大きいため、内ピン31は、曲線板26aの公転運動の障害とはならず、曲線板26aの自転運動を取り出して出力軸28を回転させる。このとき、出力軸28は、入力軸25よりも高トルクかつ低回転数になり、曲線板26aは、複数の内ピン31から図中矢印で示すような荷重Fjを受ける。これらの複数の荷重Fi、Fjの合力Fsが転がり軸受41,37を介して入力軸25の各転がり軸受41,37との嵌合部に作用する。
合力Fsの方向は、曲線板26aの波形形状や凹部34の数などの幾何学的条件の他、遠心力の影響により変化する。具体的には、自転軸心O2を通り、自転軸心O2と軸心Oとを結ぶ直線Yに対して90°の方向に延びる基準線Xと、合力Fsとがなす角度αは概ね30°〜60°で変動する。上記の複数の荷重Fi、Fjは、入力軸25が1回転する間に荷重の方向や大きさが変化し、その結果、入力軸25に作用する合力Fsも荷重の方向や大きさが変動する。そして、入力軸25が1回転すると、曲線板26aの凹部34が減速されて1ピッチ時計回りに回転し、図4の状態になり、これを繰り返す。
次に潤滑機構を説明する。潤滑機構は、モータ部Aおよび減速部Bの各所に潤滑油を供給するものであって、図1および図2(a)に示すように、モータ回転軸24に設けた潤滑油路24a,24bと、入力軸25に設けた軸方向に延びる潤滑油路25c,25eと、入力軸25の軸方向各所に設けられて径方向に延びる潤滑油路25a1,25b1,25d1,25d2と、スタビライザ31bの内部に設けた潤滑油路(図示せず)と、内ピン31の内部に設けた潤滑油路(図示せず)と、ケーシング22に設けた潤滑油排出口22b、潤滑油貯留部22d、潤滑油路22eおよび潤滑油路45と、ケーシング22内に配置され、潤滑油を循環油路45に圧送する回転ポンプ51とを主な構成とする。図1中に示した白抜き矢印は潤滑油の流れる方向を示している。
モータ回転軸24に設けた潤滑油路24a,24bは、それぞれ、モータ回転軸24の内部を軸方向および径方向に延びており、潤滑油路24aには、入力軸25の内部に設けられて軸方向に延びた潤滑油路25cが接続されている。図2(a)に示すように、入力軸25に設けられて径方向に延びた潤滑油路25a1,25b1は、それぞれ、内径端部が潤滑油路25cに開口すると共に、外径端部が偏心部25a,25bの外径面に開口している。また、潤滑油路25d1,25d2は、それぞれ、内径端部が潤滑油路25cに開口すると共に、外径端部が、入力軸25の外径面のうち転がり軸受(第2転がり軸受)37の内輪37aが嵌合された嵌合部M1,M2に開口している。潤滑油路25eは、潤滑油路25cのアウトボード側の端部から軸方向に延び、入力軸25のアウトボード側の外端面に開口している。以上の構成から、潤滑油路25c、潤滑油路25a1,25b1および潤滑油路25d1,25d2が、それぞれ、本発明でいう軸方向油路、第1給油孔P1および第2給油孔P2として機能する。
第2給油孔P2として機能する潤滑油路25d1の外径端部は、インボード側の嵌合部M1の軸方向中央部に開口している。この潤滑油路25d1は、図2(c)に示すように、偏心部25a(および25b)の偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた位置(二箇所)に設けられる。また、第2給油孔P2として機能する潤滑油路25d2の外径端部は、アウトボード側の嵌合部M2の軸方向中央部に開口している。この潤滑油路25d2は、図2(b)に示すように、偏心部25b(および25a)の偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた位置に設けられる。
図1に示すように、ケーシング22に設けられた潤滑油排出口22bは、減速部B内部の潤滑油を排出するものであって、減速部Bの位置におけるケーシング22の少なくとも1箇所に設けられている。潤滑油排出口22bとモータ回転軸24の潤滑油路24aとは、潤滑油貯留部22d、潤滑油路22eおよび潤滑油路45を介して接続されている。そのため、潤滑油排出口22bから排出された潤滑油は、潤滑油路22eや循環油路45等を経由してモータ回転軸24の潤滑油路24aに還流する。なお、潤滑油貯留部22dは、潤滑油を一時的に貯留する機能を有する。
図1に示すように、ケーシング22に設けた循環油路45は、ケーシング22の内部を軸方向に延びる軸方向油路45aと、軸方向油路45aのアウトボード側およびインボード側の端部にそれぞれ接続されて径方向に延びる径方向油路45b,45cとで構成される。径方向油路45bは回転ポンプ51から圧送された潤滑油を軸方向油路45aに供給し、軸方向油路45aに供給された潤滑油は、径方向油路45cを介してモータ回転軸24の潤滑油路24a、さらには減速機入力軸25の潤滑油路25cに供給される。
回転ポンプ51は、潤滑油貯留部22dに接続された潤滑油路22eと循環油路45との間に設けられている。回転ポンプ51をケーシング22内に配置することによって、インホイールモータ駆動装置21が全体として大型化するのを防止することができる。
図5に示すように、回転ポンプ51は、出力軸28の回転を利用して回転するインナーロータ52と、インナーロータ52の回転に伴って従動回転するアウターロータ53と、両ロータ52,53間の空間に設けられた複数のポンプ室54と、潤滑油路22eに連通する吸入口55と、循環油路45の径方向油路45bに連通する吐出口56とを備えるサイクロイドポンプである。インナーロータ52は、回転中心c1を中心として回転し、アウターロータ53は、インナーロータ52の回転中心c1と異なる回転中心c2を中心として回転する。このように、インナーロータ52およびアウターロータ53はそれぞれ異なる回転中心c1、c2を中心として回転するので、ポンプ室54の容積は連続的に変化する。これにより、吸入口55からポンプ室54に流入した潤滑油は吐出口56から循環油路45の径方向油路45bに圧送される。
以上の構成を有する潤滑機構は、以下のようにしてモータ部Aおよび減速部Bの各所を潤滑・冷却する。
まず、モータ部Aのうち、ロータ23bおよびステータ23aの潤滑は、図1に示すように、主に、ケーシング22の循環油路45を介してモータ回転軸24の潤滑油路24aに供給された潤滑油の一部が、モータ回転軸24の回転に伴って生じる遠心力および回転ポンプ51の圧力の影響を受けて潤滑油路24bの外径端部から吐出されることにより行われる。すなわち、潤滑油路24bの外径端部から吐出された潤滑油はロータ23bに供給され、その後、ステータ23aに供給される。モータ回転軸24のインボード側の端部を支持する転がり軸受36は、主に、循環油路45を流れる潤滑油の一部がケーシング22とモータ回転軸24との間から滲み出ることにより潤滑される。モータ回転軸24のアウトボード側の端部を支持する転がり軸受36は、主に、潤滑油路24bから吐出され、ケーシング22のうち、モータ部Aを収容した部分のアウトボード側内壁面を伝い落ちてきた潤滑油により潤滑される。
次に、モータ回転軸24の潤滑油路24aを経由して入力軸25の潤滑油路25c(軸方向油路)に流入し、該潤滑油路25c内を流通する潤滑油は、入力軸25の回転に伴う遠心力および回転ポンプ51の圧力の影響を受けて第1給油孔P1としての潤滑油路25a1,25b1および第2給油孔P2としての潤滑油路25d1,25d2の外径端部から減速部B内部(減速機構)に吐出される。吐出された潤滑油は、主に遠心力により減速部B内の各所に供給されて減速部B内の各所を潤滑・冷却する。
より詳細には、第1給油孔P1としての潤滑油路25a1,25b1の外径端部から吐出された潤滑油は、曲線板26a,26bを支持する転がり軸受41,41(図3参照)に供給され軌道面42a,43と円筒ころ44を潤滑する。さらに、遠心力の作用により、曲線板26a,26bと内ピン31との当接部分や、曲線板26a,26bと外ピン27との当接部分等を潤滑しながら径方向外側に移動する。
一方、第2給油孔P2としての潤滑油路25d1,25d2の外径端部から吐出された潤滑油は、入力軸25の外径面のうち、入力軸25を支持する転がり軸受(第2転がり軸受)37,37との嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面を潤滑しつつ、遠心力の作用により、転がり軸受37,37の内部に供給されて軌道面を潤滑する。また、特に、潤滑油路25d1の外径端部から吐出された潤滑油は、スタビライザ31b内の潤滑油路(図示せず)および内ピン31内の潤滑油路(図示せず)を介して内ピン31を支持する転がり軸受31aに供給される。さらに、潤滑油路25a1,25b1から吐出された潤滑油と同様に、遠心力により、曲線板26a,26bと内ピン31との当接部分、曲線板26a,26bと外ピン27との当接部分、外ピン27を支持する転がり軸受61、減速機出力軸28を支持する転がり軸受46などを潤滑しながら径方向外側に移動する。
そして、ケーシング22の内壁面に到達した潤滑油は、潤滑油排出口22bから排出されて潤滑油貯留部22dに貯留される。このように、潤滑油排出口22bと回転ポンプ51に接続された潤滑油路22eとの間に潤滑油貯留部22dが設けられているので、特に高速回転時などに潤滑油が撹拌により減速機内部に滞留し潤滑油排出口22bに到達する潤滑油量が一時的に少なくなっても、潤滑油貯留部22dに貯留されている潤滑油を潤滑油路24a,25cに還流することができるので、モータ部Aおよび減速部Bに安定して潤滑油を供給することができる。その結果、減速部Bの各所における発熱を防止することができる。
なお、減速部B内部の潤滑油は、遠心力に加え、重力によっても外側に移動する。したがって、このインホイールモータ駆動装置21は、潤滑油貯留部22dがインホイールモータ駆動装置21の下部に位置するように、電気自動車11に取り付けるのが望ましい。
以上で説明したように、本実施形態のサイクロイド減速機(減速部B)では、入力軸25を支持する転がり軸受(第2転がり軸受)37,37の内輪37aが入力軸25に対してすきま嵌めで嵌合され、かつ、入力軸25が、径方向に延び、外径端部が転がり軸受37,37との嵌合部M1,M2に開口した第2給油孔P2(潤滑油路25d1,25d2)を有する。このようにすれば、入力軸25の潤滑油路25c(軸方向油路)内を流通する潤滑油を、入力軸25と転がり軸受37,37との嵌合部M1,M2(転がり軸受37を入力軸25に対してすきま嵌めで嵌合することにより形成される半径方向すきま)、ひいては、転がり軸受37の内部に効率良く供給することができる。これにより、入力軸25の外径面のうち、転がり軸受37,37との嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面の摩耗を効果的に防止して、ミスアライメントによる異音・振動の発生を防止することができる他、転がり軸受37,37の内部摩耗を効果的に防止して、転がり軸受37,37の内部摩耗に起因した異音・振動の発生を防止することができる。
特に、第2給油孔P2の外径端部を、嵌合部M1,M2の軸方向中央部に開口させているので、転がり軸受37,37との嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面の全域に潤滑油を行き渡らせ易くなる。これにより、嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面の摩耗を一層効果的に防止することができる。なお、特に、第2給油孔P2の外径端部を嵌合部M1,M2の軸方向中央部に開口させた場合には、転がり軸受37の内側軌道面の直下位置に第2給油孔P2の外径端部が位置することになるため、サイクロイド減速機の作動に伴って転がり軸受37に径方向内向きの荷重が作用すると、転がり軸受37の軌道面(特に内側軌道面)が変形する可能性がある。転がり軸受37の軌道面が変形すると、異音・振動の発生原因となる他、転がり軸受37の短寿命化を招来する一因ともなる。
このような不具合発生を可及的に防止するため、第2給油孔P2の外径端部の開口径は、転がり軸受37のボール37c直径の40%以下とするのが好ましい。但し、第2給油孔P2の外径端部の開口径が小さ過ぎると、加工性が低下する他、嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面を十分に潤滑できるだけの潤滑油を吐出することが難しくなる。そのため、第2給油孔P2の外径端部の開口径は、ボール37cの直径の10%以上とするのが好ましい。
ここで、図4を参照して説明したように、入力軸25が回転するのに伴って、転がり軸受41,37、さらには入力軸25の転がり軸受41,37との嵌合部に荷重(合力Fs)が作用するが、荷重の方向や大きさは種々の条件により変化し、実際には周方向一部領域に荷重が作用する。具体的に述べると、入力軸25がアウトボード側から見て反時計回りに回転する本実施形態では、入力軸25が回転するのに伴って、入力軸25のアウトボード側の端部を支持する転がり軸受37の内輪37a(およびその嵌合部M2)、曲線板26bを支持する転がり軸受41の内輪42(およびその嵌合部)、曲線板26aを支持する転がり軸受41の内輪42(およびその嵌合部)、並びに入力軸25の軸方向略中央部を支持する転がり軸受37の内輪37a(およびその嵌合部M1)のそれぞれには、図6(b)〜図6(e)のそれぞれに斜線ハッチングで示す荷重負荷域Eに荷重が作用する。
そして、本実施形態では、上述したように、嵌合部M2に開口した潤滑油路25d2(第2給油孔P2)は、偏心部25a,25bの偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた二箇所に設けられており、この場合、一方の潤滑油路25d2の外径端部は、入力軸25のアウトボード側の端部を支持する転がり軸受37の荷重負荷域Eの入口側に開口する[図6(b)を参照]。また、嵌合部M1に開口した潤滑油路25d1(第2給油孔P2)は、偏心部25a,25bの偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた二箇所に設けられており、この場合、一方の潤滑油路25d1の外径端部は、入力軸25の軸方向略中央部を支持する転がり軸受37の荷重負荷域Eの入口側に開口する[図6(e)を参照]。図示は省略するが、入力軸25がアウトボード側から見て時計回りに回転する場合、荷重負荷域Eは偏心部25a,25bの偏心方向と入力軸の回転軸心を含む対称面に対して鏡面対象の位置に設けられることになり、この場合、他方の潤滑油路25d2,25d1の外径端部が荷重負荷域Eの入口側に開口することになる。
要するに、第2給油孔P2を、偏心部25a,25bの偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた二箇所に設けておけば、入力軸25の回転方向に関わらず、何れか一方の第2給油孔P2の外径端部を各転がり軸受37の荷重負荷域Eの入口側に位置させることができる。そのため、入力軸25の回転時には、第2給油孔P2を介して嵌合部M1,M2に供給された潤滑油を、転がり軸受37との嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面のうち実質的に荷重が負荷される領域に効率良く供給することができる。これにより、入力軸25の外径面のうち、第2転がり軸受(転がり軸受37)との嵌合部M1,M2、および各転がり軸受37の内輪37a内径面が摩耗するのを一層効果的に防止することができる。また、第2給油孔P2を上記態様で形成すれば、(1)第2給油孔P2を設けることによる入力軸25の重量バランスの崩れを回避できるので入力軸25の振れ回りを防止する上でも有利となる、(2)回転方向に応じた二種類の入力軸25を作り分け・使い分けする必要がなくなるので、管理工数の低減、さらには入力軸25の誤組込み防止を達成することができる、などというメリットも享受できる。
また、本実施形態では、第1給油孔P1として機能する潤滑油路25a1,25b1を、偏心部25a,25bの偏心方向に対して位相を180°異ならせた位置に設けており、この場合、潤滑油路25a1,25b1の外径端部は、入力軸25の外径面のうち、曲線板26a,26bを支持する転がり軸受41,41の荷重負荷域Eの入口側付近に開口する[図6(d)および図6(c)を参照]。そのため、第1給油孔P1と、転がり軸受41の内輪42に設けられた油孔を介して転がり軸受41の軌道面42a,43に供給された潤滑油を、入力軸25の回転に伴って、実質的に荷重が負荷される荷重負荷域Eに効率良く供給することができる。
さらに、本実施形態では、入力軸25が、浸炭焼入れ焼戻しが施されることにより形成された硬化層Hを表層部に有するので、減速機入力軸25の外径面の表面硬度が十分に高められている。そのため、減速部Bの作動に伴って、曲線板26a,26bを支持する転がり軸受(第1転がり軸受)41,41や、入力軸25を支持する転がり軸受(第2転がり軸受)37,37を介して入力軸25に荷重が負荷されても、入力軸25の外径面の摩耗・損傷を防止することができる。
また、減速部Bにサイクロイド減速機を採用した本実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、モータ部Aの駆動時に、入力軸25に対して曲線板26a,26bから荷重の方向や大きさが変動するラジアル荷重やモーメント荷重が作用する。このため、モータ回転軸24に形成したスプラインと入力軸25に形成したスプライン25gとを嵌合することで形成されるスプライン嵌合部におけるトルク伝達は、モータ回転軸24と入力軸25の軸心がある程度傾いた状態、あるいは芯ずれした状態の中で行われる場合が多い。そのため、入力軸25とモータ回転軸24のスプライン嵌合部には比較的大きな摩擦力や荷重が作用するが、入力軸25の表層部にはスプライン25gの形成部位を含めて硬化層Hが形成されているので、スプライン25gの耐摩耗性等を高めてスプライン25gの摩耗や損傷を可及的に防止することができる。
また、肌焼き鋼で形成された入力軸25の芯部には硬化層Hが形成されていないので、入力軸25は靱性を有する。これにより、車両の運転走行時に車輪用軸受部Cを介して入力軸25に入力される瞬間的な衝撃荷重にも耐えることができる。
また、特に本実施形態の入力軸25は、偏心部25a,25bを一体に有し、かつ、潤滑機構を構成する軸方向油路としての潤滑油路25c、第1給油孔P1としての潤滑油路25a1,25b1、および第2給油孔P2としての潤滑油路25d1,25d2などを有する関係上、形状が複雑で加工コストの増大が懸念される。これに対し、入力軸25の形成材料として、浸炭焼入れ焼戻し前の段階では比較的軟質で加工性に富む肌焼き鋼を選択しているので、入力軸25の作製コストを効果的に抑制することができる。
以上より、本発明によれば、入力軸25とその支持軸受37,37との嵌合部M1,M2における摩耗、さらには支持軸受37,37の軌道面の摩耗等を効果的に抑制し得るサイクロイド減速機を実現することができる。これにより、音響性能や耐久寿命等に優れたサイクロイド減速機、ひいてはこれを搭載したインホイールモータ駆動装置21を提供することができる。
以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を、図1および図2を参照しながら説明する。
モータ部Aでは、例えば、ステータ23aのコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石又は磁性体によって構成されるロータ23bが回転する。これに伴って、モータ回転軸24に連結された減速機入力軸25が回転すると、曲線板26a、26bは減速機入力軸25の回転軸心を中心として公転運動する。このとき、外ピン27は、曲線板26a,26bの外周部に設けられた曲線形状の波形と周方向で係合し、曲線板26a、26bを減速機入力軸25の回転方向とは逆向きに自転回転させる。
貫通孔30aに挿通された内ピン31は、曲線板26a,26bの自転運動に伴って貫通孔30aの内壁面と当接する。これにより、曲線板26a,26bの公転運動が内ピン31に伝わらず、曲線板26a,26bの自転運動のみが出力軸28を介して車輪用軸受部Cに伝達される。このとき、入力軸25の回転が減速部Bによって減速された上で出力軸28に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、駆動輪(後輪)14に必要なトルクを伝達することが可能となる。
上記構成の減速部Bの減速比は、外ピン27の数をZA、曲線板26a,26bの外周部に設けた波形の数をZBとすると、(ZA−ZB)/ZBで算出される。図3に示す実施形態では、ZA=12、ZB=11であるので、減速比は1/11と非常に大きな減速比を得ることができる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速部Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン27および内ピン31を回転自在に支持する転がり軸受(針状ころ軸受)61,31aを設けたことにより、曲線板26a,26bと外ピン27および内ピン31との間の摩擦抵抗が低減されるので、減速部Bにおける動力伝達効率が向上する。
上述したように、本実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、装置全体として軽量・コンパクト化が図られている。そのため、このインホイールモータ駆動装置21を電気自動車11に搭載すれば、ばね下重量を抑えることができるので、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を実現することができる。
以上、本発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21について説明を行ったが、インホイールモータ駆動装置21には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、以上で説明した実施形態においては、モータ回転軸24の形成材料について特に言及していないが、モータ回転軸24は、入力軸25と同様に、浸炭焼入れ焼戻しが施された肌焼き鋼で形成することができる。この場合、モータ回転軸24と入力軸25の熱膨張量が概ね等しくなるので、モータ部Aの駆動時においても上記二軸24,25の連結状態が変化するのを可及的に防止することができる。これにより、上記二軸24,25間における動力伝達を安定的に行うことができる。なお、モータ回転軸24が上記材料で形成されていれば、モータ回転軸24を簡便に作製可能でき、しかも他部材(転がり軸受36やロータ23b)の嵌合部における表面硬度や耐摩耗性に優れると共に、必要とされる靱性を具備するモータ回転軸24を実現することができる。
また、以上では、回転ポンプ51としてサイクロイドポンプを採用したが、これに限ることなく、出力軸28の回転を利用して駆動するあらゆる回転型ポンプを採用することができる。さらには、回転ポンプ51を省略して、遠心力のみによって潤滑油を循環させるようにしてもよい。
また、以上では、入力軸25の軸方向二箇所に偏心部25a,25bを設けたが、偏心部の形成個数は任意に設定することができる。例えば、偏心部は、入力軸25の軸方向三箇所に設けることができ、この場合、各偏心部は、入力軸25の回転に伴って生じる遠心力を打ち消し合うように120°位相を変えて設けるのが好ましい。
また、以上では、一端が出力軸28のフランジ部28aに固定された内ピン31と、曲線板26a,26bに設けた貫通孔30aとで運動変換機構を構成したが、運動変換機構は、減速部Bの回転をハブ輪32に伝達可能な任意の構成とすることができる。
本実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから後輪14に伝達される。したがって、上述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。
また、モータ部Aに電力を供給してモータ部Aを駆動させ、モータ部Aからの動力を後輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、後輪14側からの動力を減速部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電するように構成することもできる。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、モータ部Aの駆動用電力や、車両に備えられた他の電動機器の作動用電力として活用することもできる。
また、以上では、モータ部Aにラジアルギャップモータを採用したインホイールモータ駆動装置21に本発明を適用したが、本発明は、モータ部Aに、ステータとロータとを軸方向の隙間を介して対向させるアキシャルギャップモータを採用したインホイールモータ駆動装置にも好ましく適用できる。
さらに、本発明に係るサイクロイド減速機を減速部Bに適用したインホイールモータ駆動装置は、後輪14を駆動輪とした後輪駆動タイプの電気自動車11のみならず、前輪13を駆動輪とした前輪駆動タイプの電気自動車や、前輪13および後輪14を駆動輪とした4輪駆動タイプの電気自動車に適用することもできる。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含む。
また、本発明に係るサイクロイド減速機は、インホイールモータ駆動装置以外の電気自動車用の駆動装置、例えばオンボード駆動装置の減速部にも好ましく適用することができる(図示省略)。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の有用性を実証するため、本発明の構成を有する減速機供試体(実施例)と、本発明の構成を有しない減速機供試体(比較例)とで、入力軸のうち、その支持軸受との嵌合部における摩耗量、および支持軸受の内輪内径面の摩耗量にどの程度差が生じるのかを確認した。実施例と比較例の相違点は、入力軸に、その支持軸受との嵌合部に開口した径方向に延びる給油孔(第2給油孔P2)を設けたか否かのみであり、その他の構成は実施例および比較例で共通である。具体的には、以下に示すような入力軸および支持軸受を使用して実施例および比較例に係る供試体を作製した。なお、実施例に係る入力軸における第2給油孔P2の形成態様は図2に示したものと同様で、かつ、第2給油孔P2の開口径は2mmとした。また、入力軸とその支持軸受との間の嵌め合いは、0〜0.015mm程度の嵌め合いすきまが形成されるすきま嵌めとした。
(1)入力軸:肌焼き鋼で形成され、かつ浸炭焼入れ焼戻しを施すことにより表層部に硬化層を設けたもの。表面硬度はビッカース硬さで660〜780HV程度である。
(2)支持軸受:直径が7.9375mmのボールを使用した深溝玉軸受であって、各部材を、ずぶ焼入れが施されたSUJ2材で形成したもの(表面硬度はビッカース硬さCスケールで58〜63程度)。
そして、車両の旋回走行時に相当する荷重を各供試体に負荷したところ、比較例に係る供試体では、入力軸の支持軸受嵌合部における摩耗量および支持軸受の内輪内径面における摩耗量が、それぞれ、半径方向寸法で最大約30μmおよび約20μm程度であった。これに対し、実施例に係る供試体では、入力軸の支持軸受嵌合部における摩耗量および支持軸受の内輪内径面における摩耗量が、何れも、半径方向寸法で1μm未満であった。また、比較例に係る供試体では、入力軸の支持軸受軌道面は摩耗粉を噛み込み摩耗していたが、実施例に係る供試体では、入力軸の支持軸受軌道面の表面状態は良好であった。
また、実施例に係る供試体として、ボール直径が5.55625mmである深溝玉軸受を使用し、かつ第2給油孔P2の開口径を1mmとしたものについても摩耗量の確認を行った。この場合も上記同様に、入力軸の支持軸受嵌合部における摩耗量および支持軸受の内輪内径面における摩耗量は、何れも、半径方向寸法で1μm未満であった。また、入力軸の支持軸受軌道面の表面状態も、上記同様に、良好であった。
以上より、本発明は、入力軸とその支持軸受との嵌合部における摩耗、さらには支持軸受の軌道面の摩耗等を効果的に抑制し得るサイクロイド減速機を実現する上で極めて有益であることが確認された。
11 電気自動車
21 インホイールモータ駆動装置
25 入力軸
25a,25b 偏心部
25a1,25b1 潤滑油路(第1給油孔)
25c 潤滑油路(軸方向油路)
25d1,25d2 潤滑油路(第2給油孔)
26a,26b 曲線板
27 外ピン
28 出力軸
31 内ピン
37 第2転がり軸受
41 第1転がり軸受
A モータ部
B 減速部(サイクロイド減速機)
C 車輪用軸受部
E 荷重負荷域
H 硬化層
M1,M2 嵌合部
1 第1給油孔
2 第2給油孔

Claims (7)

  1. 偏心部を有する入力軸と、第1転がり軸受を介して前記偏心部の外周に回転自在に嵌合され、前記入力軸の回転に伴ってその回転軸心を中心とする公転運動を行う曲線板と、該曲線板の外周部に係合して前記曲線板に自転運動を生じさせる複数の外ピンと、前記曲線板の自転運動を出力軸の回転運動に変換する運動変換機構と、前記入力軸を前記出力軸に対して回転自在に支持する第2転がり軸受とを備え、前記入力軸に、その内部を軸方向に延びる軸方向油路と、径方向に延び、前記軸方向油路内を流通する潤滑油を前記第1転がり軸受に供給する第1給油孔とが設けられたサイクロイド減速機であって、
    前記第2転がり軸受を前記入力軸に対してすきま嵌めで嵌合し、
    前記入力軸に、径方向に延び、内径端部が前記軸方向油路に開口すると共に外径端部が前記第2転がり軸受との嵌合部に開口した第2給油孔をさらに設けたことを特徴とするサイクロイド減速機。
  2. 前記第2給油孔の外径端部を、前記嵌合部の軸方向中央部に開口させたことを特徴とする請求項1に記載のサイクロイド減速機。
  3. 前記偏心部は、前記入力軸の軸方向二箇所に位相を180°異ならせて設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイクロイド減速機。
  4. 前記第2給油孔を、前記偏心部の偏心方向に対して周方向一方側および他方側に位相を90°異ならせた位置に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のサイクロイド減速機。
  5. 前記第2転がり軸受は、ボールを介して相対回転する内輪および外輪を有する玉軸受であり、前記第2給油孔の外径端部の開口径を、前記ボールの直径の10%以上40%以下に設定したことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のサイクロイド減速機。
  6. 前記入力軸が肌焼き鋼で形成され、熱処理として浸炭焼入れ焼戻しが施されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のサイクロイド減速機。
  7. モータ部、減速部および車輪用軸受部を有するインホイールモータ駆動装置であって、
    前記減速部に請求項1〜6の何れか一項に記載のサイクロイド減速機が適用され、該サイクロイド減速機を構成する前記入力軸を、前記モータ部の回転軸にトルク伝達可能に連結してなるインホイールモータ駆動装置。
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