近年、ナノ粒子すなわち粒子サイズが5nm(ナノメートル)とか30nmといった100nm以下のナノメートルオーダーの粒子の利用可能性が注目されている。燃料電池や排ガス浄化装置への利用をはじめとする触媒への利用の試み、磁気媒体への利用の試み、半導体への利用の試みなど多くの改善がなされようとしている。
金属ナノ粒子の製造方法にはいくつかの異なる方法が提案されている。それらを大別すると、溶液中での化学反応を利用した化学的な方法と真空中で金属粒子を蒸発などにより微粒子状態にさせて捕獲する物理的な方法がある。
それらの提案としては、還元反応を利用した化学的な製造に関する提案が圧倒的に多く、これらに関する研究も圧倒的に多い。
化学的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドは、製造工程が多段階にわたり複雑であること、pHの精密な制御や熱処理が必要であること、製造コストが高く非能率的であることなどその製造上の難しさ、製造された金属ナノ粒子コロイド中に化合物が入るなど、いくつかの重要なことに関して物理的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドとは事情が異なる。
本発明の金属ナノ粒子は粒径が100nm以下の超微粒子で、例えば粒径が200nm以上の粒子とはその物性を大きく異にするものであることが知られている。
本発明は、後述する複合金属ナノ粒子に関する発明で、本発明の複合金属ナノ粒子の主要部分を構成する複合ナノ粒子を形成するのに物理的な製造方法を利用することをその特徴の一つとしているが、本発明をより明確にするために、提案の多い化学的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドについても簡単に記すことにする。
特許文献1には、アルカンチオール等のチオール化合物の存在下で、Co塩とPd塩など2種類の金属塩を高温でポリオール還元して得た二元金属ナノ粒子と製造方法が記載されている。
特許文献2には、溶媒中の金属塩を還元反応させてFe/Pd複合ナノ粒子を得る方法が記載されている。
特許文献3には、金属イオン含有液を還元するという化学的製造方法用いたAg/Pd等の複合ナノ粒子の製造方法が記載されている。
特許文献5には物理的な製造方法に基づいたナノ粒子コロイドの例が記載されている。これは、特許文献4に記載された磁性流体の製造装置と同様の装置を用いて、真空中で無機材料を蒸発させ、その蒸気を、円筒状の回転する真空チャンバーの内壁に沿って内壁とともに回転する界面活性剤を溶媒に溶かした膜状液体媒質に捕捉させ、コロイド状にして製造するものである。
特許文献1〜3に記載のナノ粒子の製造方法は、製造プロセスが複雑で、化学的還元反応を経由するため、還元剤や溶媒の濃度や温度などを精密に制御する必要があり、その制御が難しく、粒子サイズや結晶状態の均一なものを得るのが難しい。
特許文献1に記載のナノ粒子の化学的製造においてはチオール化合物が不可欠で、製造環境上の問題もある。
特許文献1に記載の方法は、金属塩がアセチルアセトナート塩、酢酸塩、塩化物、硫化物で、金属塩、貴金属塩に制約が大きい。また、アルカンチオールの炭素数が8以上で、溶解させる溶媒などにも制約がり、高沸点の溶媒が要求される。
特許文献1の段落0014に記載されているように、得られるナノ粒子として異方的に相分離した含硫黄CoPdナノ粒子(ナノドングリ)が得られ、これは硫化物よりなるナノ粒子である。
特許文献2に記載の方法は、Fe/Pd二元金属のナノ粒子であるが、化学的還元反応を経由して作製するため、反応温度、反応物の濃度などを精密に制御する必要があり、工程が複雑で非効率的である。また、高価な錯体原料を使用しなければならず、この面からの製造コストが高いことでも不利である。さらに、還元剤の種類によっては相分離せず、二相分離構造のナノ粒子を効率よく安価に製造することは困難である。
このように、この化学的な製造方法によるナノ粒子の製造は、製品の形態や金属の種類にも大きな制約があり、反応の制御に難しさがある。
また、化学的な製造方法によるコア/シェルナノ粒子に関しては特許文献6〜8に記載されている。
特許文献6には2原子以上の原子集団ならなるナノオーダーのコア/シェルナノ粒子が記載されている。
特許文献7には2種類の粒子のコア/シェルコロイドと1種類のナノ粒子コロイドとを混合してコア/シェルナノ粒子を作製することが記載されており、このコロイドから作製した触媒は触媒活性が極めて高いことが記載されている。
特許文献8には銀(コア)/銅のコア/シェルナノ粒子が記載されている。
特許文献6〜8に記載の各ナノ粒子は化学的な製造方法によるナノ粒子で、その製造には前記の如き大きな制約があるのに加えて、コアとシェルの各原子にも、化学反応でできないものがあるなど、極めて大きな制約がある。
特許文献5に記載のナノ粒子は、物理的な製造方法によるもので、原料金属を回転する真空槽内で蒸発させて、それを真空槽内に装填した界面活性剤ポリブテニルコハク酸テトラミンイミドの7.1%アルキルナフタリン溶液120gを回転する真空槽内壁に沿って薄い膜状にして回転させた液体媒質により蒸発金属を捕捉させて製造したものである。
物理的な製造方法は工程数が少なく、コロイド製造後の分離・濃縮を入れても二工程でよいので簡単である。
特許文献5の方法は界面活性剤を溶媒で希釈して流動化させ、回転する真空槽内壁につけて真空槽内壁とともに回転させ、溶媒中の界面活性剤で捕捉するという発想に基づいた製造方法であり、界面活性剤の溶媒は真空中で使える溶媒きり使えない。
このように、種々のナノ粒子の製造方法が提案されているが、工業的な利用面においては多くの問題がある。
たとえば、銅のナノ粒子を前記物理的な方法で製造した場合、真空中から銅ナノ粒子コロイドを大気中に取り出して後、銅の酸化現象が強く進み、界面活性剤を種々工夫しても銅の酸化現象を20日間押さえることは到底無理である。また、化学的方法で製造した銅のナノ粒子コロイドは、銅の酸化を止められず、使用するときに還元工程を入れて使用しているのが現状である。
以上説明したように、粒径が100nm以下の金属ナノ粒子は、粒径が200nm以上の金属粒子とは異なり、新たな性質とその利用に大きな期待が寄せられ、前記のように、その金属ナノ粒子コロイドの製造方法が種々提案されている。しかしながら、それらの方法でつくられた金属ナノ粒子コロイドは多くの難しい問題を抱えている。
前記化学的方法による金属ナノ粒子コロイドの製造では、化合物や副生成物の問題があり、さらに、製造プロセスが複雑で、製造における難しさ、製造コストが高いことなどの問題がある。
これに対して、前記物理的方法による金属ナノ粒子コロイドの製造では、化学的方法による金属ナノ粒子コロイドの製造における前記のような問題は基本的にはないが、現実にはいくつかの解決すべき問題がある。
たとえば、前記特許文献5に記載の物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドは、蒸発させた金属を収集する媒体として、界面活性剤を真空中で使える溶媒で希釈したものを用いているため、製造された金属ナノ粒子コロイドをユーザーに供給するときには、多くの場合、界面活性剤の前記溶媒を除去して溶媒を置換して供給することになり、その手間とコストが大きな問題になっている。
さらに、前記物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドは、蒸発させた金属を、界面活性剤を溶媒に溶かした移動する膜状液体媒質に捕捉させて収集させているため、膜状液体媒質中の金属の濃度を高くすることができない。その大きな理由の一つは、溶媒に溶かして希釈して用いざるを得なかったため界面活性剤の濃度が薄いことにある。すなわち、蒸発した金属は界面活性剤によってナノコロイドとして収集できるが、界面活性剤を溶かしている溶媒では蒸発した金属粒子を収集することができない。
また、特許文献5に記載の方法においては、膜状液体媒質中の金属粒子の濃度がある程度以上になると、前記回転する真空チャンバーの内壁上方で、金属粒子を含んだ膜状液体媒質が真空チャンバーの内壁から離れて落下してしまうことが多く、その落下物が蒸発源が入っている坩堝(ルツボ)中に落ちて、製造中止を余儀なくされるという問題がある。
金属ナノ粒子の実用化が期待されているが、この物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドを用いて製造された多元金属ナノ粒子コロイドはまだない。
その他にも、金属ナノ粒子の実用化には解決すべき問題がある。たとえば、前記物理的な方法で製造された銅ナノ粒子コロイドを真空チャンバーから大気中に取り出すと酸化してしまい、界面活性剤を種々工夫していくらか酸化の速度を遅らせることができたにしても20日間は持ちこたえられず、この変化をいかにしてくい止めるかはまだ解決されていない。
本発明は、これらの課題のいくつかを解決せんとしてなされたもので、本発明の目的の一つは、金属ナノ粒子の物性を良好に発揮させることができる複合金属ナノ粒子を量産レベルで安価に提供することにある。そして、そのための改良された製造方法と製造装置を提供するところにある。
本発明は前記の状況に鑑みて、ナノ粒子としての性能を充分に発揮することができる高品質の複合金属ナノ粒子コロイドおよび複合金属ナノ粒子を量産レベルで、安価に提供することを目的になされたもので、あわせてその製造方法および製造装置を提供するものである。
以下、課題を解決するためになした本発明についてさらに具体的に説明する。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第1の発明(以下、発明1という)は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の金属微粒子(以下、金属ナノ粒子という)を主成分として含む複合金属ナノ粒子コロイドの発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(以下、取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であって、前記第一の金属ナノ粒子は、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第2の発明(以下、発明2という)は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の金属微粒子(以下、金属ナノ粒子という)を主成分として含む複合金属ナノ粒子コロイドの発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(以下、取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であって、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子は、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、前記第一の金属ナノ粒子を捕捉した減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1または2を展開してなされた本発明の例としての第3の発明(以下、発明3という)は、発明1または2に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の金属ナノ粒子に最も近い前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子を第二の金属ナノ粒子と呼称し、次に近い前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子を第三の金属ナノ粒子と呼称することにして(以下同様)、前記第二の金属ナノ粒子の粒径が前記第一の金属ナノ粒子の粒径より小さく、前記第三の金属ナノ粒子の粒径が前記第二の金属ナノ粒子の粒径より小さいことを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜3を展開してなされた本発明の例としての第4の発明(以下、発明4という)は、発明1〜3のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体は、当該界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜4を展開してなされた本発明の例としての第5の発明(以下、発明5という)は、発明1〜4のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子が全て減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜5を展開してなされた本発明の例としての第6の発明(以下、発明6という)は、発明1〜5のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子が全て同種の界面活性剤を使用して製造されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜6を展開してなされた本発明の例としての第7の発明(以下、発明7という)は、発明1〜6のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数のナノ粒子は、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程あるいは同一工程で、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明3〜7を展開してなされた本発明の例としての第8の発明(以下、発明8という)は、発明3〜7のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子は、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子と前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子が混在する部分があることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明3〜8を展開してなされた本発明の例としての第9の発明(以下、発明9という)は、発明3〜8のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置し、前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子の外側に前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置して各集合を形成した複合金属ナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜9を展開してなされた本発明の例としての第10の発明(以下、発明10という)は、発明1〜9のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子は、固相反応の活性度が前記第一の金属ナノ粒子よりも低い金属ナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜10を展開してなされた本発明の例としての第11の発明(以下、発明11という)は、発明1〜10のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径は10nmより小さいことを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明11を展開してなされた本発明の例としての第12の発明(以下、発明12という)は、発明11に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径は5nm以下であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜12を展開してなされた本発明の例としての第13の発明(以下、発明13という)は、発明1〜12のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の金属が銅またはニッケルであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された各取り巻きナノ粒子のうちの少なくとも1種類の取り巻きナノ粒子の金属が銀であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
発明1〜13を展開してなされた本発明の例としての第14の発明(以下、発明14という)は、発明1〜13のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子の少なくとも1種類は、減圧雰囲気中あるいは真空中で昇華により当該金属を移動可能状態にしたものを、移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第15の発明(以下、発明15という)は、複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法は、前記第一の金属ナノ粒子を、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成する取り巻きナノ粒子形成工程を有することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第16の発明(以下、発明16という)は、複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法は、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子を、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、前記第一の金属ナノ粒子を捕捉した減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成する取り巻きナノ粒子形成工程を有することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15または16を展開してなされた本発明の例としての第17の発明(以下、発明17という)は、発明15または16に記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第二の金属ナノ粒子の粒径が前記第一の金属ナノ粒子の粒径より小さく、前記第三の金属ナノ粒子の粒径が前記第二の金属ナノ粒子の粒径より小さいように形成する工程を有するを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜17を展開してなされた本発明の例としての第18の発明(以下、発明18という)は、発明15〜17のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤を、当該界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状にして用いることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜18を展開してなされた本発明の例としての第19の発明(以下、発明19という)は、発明15〜18のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子を全て、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜19を展開してなされた本発明の例としての第20の発明(以下、発明20という)は、発明15〜19のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子を全て同種の界面活性剤を使用して製造することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜20を展開してなされた本発明の例としての第21の発明(以下、発明21という)は、発明15〜20のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程あるいは同一工程で、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜21を展開してなされた本発明の例としての第22の発明(以下、発明22という)は、発明15〜21のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、同一の装置を用いて、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜22を展開してなされた本発明の例としての第23の発明(以下、発明23という)は、発明17〜22のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子は、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子と前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子が混在する部分を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜23を展開してなされた本発明の例としての第24の発明(以下、発明24という)は、発明17〜23のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置し、前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子の外側に前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置するように各集合を形成して複合金属ナノ粒子を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜24を展開してなされた本発明の例としての第25の発明(以下、発明25という)は、発明15〜24のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径が10nmより小さくなるように形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明25を展開してなされた本発明の例としての第26の発明(以下、発明26という)は、発明25に記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径が5nm以下であるように前記複合ナノ粒子を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜26を展開してなされた本発明の例としての第27の発明(以下、発明27という)は、発明15〜26のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の金属が銅またはニッケルであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された各取り巻きナノ粒子のうちの少なくとも1種類の取り巻きナノ粒子の金属が銀であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
発明15〜27を展開してなされた本発明の例としての第28の発明(以下、発明28という)は、発明15〜27のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子の少なくとも1種類は、減圧雰囲気中あるいは真空中で昇華により当該金属を移動可能状態にしたものを、移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第29の発明(以下、発明29という)は、複合金属ナノ粒子コロイドを用いて製造する複合金属ナノ粒子の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であって、前記第一の金属ナノ粒子は、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子は、前記複合金属ナノ粒子を担持する担体に前記複合金属ナノ粒子コロイド中の複合金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第30の発明(以下、発明30という)は、複合金属ナノ粒子コロイドを用いて製造する複合金属ナノ粒子の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であって、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子は、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、前記第一の金属ナノ粒子を捕捉した減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子は、前記複合金属ナノ粒子を担持する担体に前記複合金属ナノ粒子コロイド中の複合金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29または30を展開してなされた本発明の例としての第31の発明(以下、発明31という)は、発明29または30に記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第二の金属ナノ粒子の粒径が前記第一の金属ナノ粒子の粒径より小さく、前記第三の金属ナノ粒子の粒径が前記第二の金属ナノ粒子の粒径より小さいことを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜31を展開してなされた本発明の例としての第32の発明(以下、発明32という)は、発明29〜31のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体は、当該界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜32を展開してなされた本発明の例としての第33の発明(以下、発明33という)は、発明29〜32のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子が全て減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜33を展開してなされた本発明の例としての第34の発明(以下、発明34という)は、発明29〜33のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子が全て同種の界面活性剤を使用して製造されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜34を展開してなされた本発明の例としての第35の発明(以下、発明35という)は、発明29〜34のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子は、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程あるいは同一工程で、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜35を展開してなされた本発明の例としての第36の発明(以下、発明36という)は、発明31〜35のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子は、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子と前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子が混在する部分があることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜36を展開してなされた本発明の例としての第37の発明(以下、発明37という)は、発明31〜36のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置し、前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子の外側に前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置して各集合を形成した複合金属ナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜37を展開してなされた本発明の例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明29〜37のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子は、固相反応の活性度が前記第一の金属ナノ粒子よりも低い金属ナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜38を展開してなされた本発明の例としての第39の発明(以下、発明39という)は、発明29〜38のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径は10nmより小さいことを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明39を展開してなされた本発明の例としての第40の発明(以下、発明40という)は、発明39に記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径は5nm以下であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜40を展開してなされた本発明の例としての第41の発明(以下、発明41という)は、発明29〜40のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の金属が銅またはニッケルであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された各取り巻きナノ粒子のうちの少なくとも1種類の取り巻きナノ粒子の金属が銀であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
発明29〜41を展開してなされた本発明の例としての第42の発明(以下、発明42という)は、発明29〜41のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子において、前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子の少なくとも1種類は、減圧雰囲気中あるいは真空中で昇華により当該金属を移動可能状態にしたものを、移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第43の発明(以下、発明43という)は、複合金属ナノ粒子の製造方法の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法として、前記第一の金属ナノ粒子を、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成するナノ粒子形成工程を有しており、複合金属ナノ粒子の製造方法として、前記方法に加えてさらに、前記複合金属ナノ粒子を担持する担体に前記複合金属ナノ粒子コロイド中の前記複合金属ナノ粒子を担持させる工程を有することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第44の発明(以下、発明44という)は、複合金属ナノ粒子の製造方法の発明で、前記複合金属ナノ粒子コロイドは、前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合ナノ粒子であり、前記複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法として、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子を、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、前記第一の金属ナノ粒子を捕捉した減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成するナノ粒子形成工程を有しており、複合金属ナノ粒子の製造方法として、前記方法に加えてさらに、前記複合金属ナノ粒子を担持する担体に前記複合金属ナノ粒子コロイド中の前記複合金属ナノ粒子を担持させる工程を有することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43または44を展開してなされた本発明の例としての第45の発明(以下、発明45という)は、発明43または44に記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第二の金属ナノ粒子の粒径が前記第一の金属ナノ粒子の粒径より小さく、前記第三の金属ナノ粒子の粒径が前記第二の金属ナノ粒子の粒径より小さいように形成する工程を有するを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜45を展開してなされた本発明の例としての第46の発明(以下、発明46という)は、発明43〜45のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤を、当該界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状にして用いることを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜46を展開してなされた本発明の例としての第47の発明(以下、発明47という)は、発明43〜46のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子を全て、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜47を展開してなされた本発明の例としての第48の発明(以下、発明48という)は、発明43〜47のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子を全て同種の界面活性剤を使用して製造することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜48を展開してなされた本発明の例としての第49の発明(以下、発明49という)は、発明43〜48のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程あるいは同一工程で、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜49を展開してなされた本発明の例としての第50の発明(以下、発明50という)は、発明43〜49のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、同一の装置を用いて、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明45〜50を展開してなされた本発明の例としての第51の発明(以下、発明51という)は、発明45〜50のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子は、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子と前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子が混在する部分を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明45〜51を展開してなされた本発明の例としての第52の発明(以下、発明52という)は、発明45〜51のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の金属ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置し、前記第二の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子の外側に前記第三の金属ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置するように各集合を形成して複合ナノ粒子を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜52を展開してなされた本発明の例としての第53の発明(以下、発明53という)は、発明43〜52のいずれかに記載の金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径が10nmより小さくなるように形成することを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
発明53を展開してなされた本発明の例としての第54の発明(以下、発明54という)は、発明53に記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径が5nm以下であるように前記複合ナノ粒子を形成することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜54を展開してなされた本発明の例としての第55の発明(以下、発明55という)は、発明43〜54のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の金属が銅またはニッケルであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された各取り巻きナノ粒子のうちの少なくとも1種類の取り巻きナノ粒子の金属が銀であることを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
発明43〜55を展開してなされた本発明の例としての第66の発明(以下、発明66という)は、発明43〜55のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子の製造方法において、前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子の少なくとも1種類は、減圧雰囲気中あるいは真空中で昇華により当該金属を移動可能状態にしたものを、移動する膜状の界面活性剤の移動体に捕捉させて収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造方法である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第57の発明(以下、発明57という)は、複合金属ナノ粒子コロイドを製造する複合金属ナノ粒子の製造装置の発明で、前記複合金属ナノ粒子の製造装置は、真空排気系に接続される真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に配置される少なくとも1つの坩堝(ルツボ)と、前記ルツボ内に入れられた金属を加熱して蒸発させる加熱手段と、前記真空チャンバーの外周壁を回転させる駆動手段と、前記真空チャンバーの外周壁の回転を制御する回転制御手段と、界面活性剤を入れることができる前記真空チャンバーの外周壁の一部に設けられた空間(以下、界面活性剤スペースという)と、前記界面活性剤スペースに入れられた界面活性剤の温度を制御する温度制御手段とを有しており、前記界面活性剤スペースに入れられる界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状態にして前記回転する真空チャンバーの外周壁の内壁に沿って膜状の移動体として前記回転する真空チャンバーの外周壁とともに移動させてそこに飛来する金属微粒子を捕捉して収集することを繰り返し行って、100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の金属ナノ粒子の周りに、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の金属ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を複数個配置したものの集合(取り巻きナノ粒子)を少なくとも1種類設けて成る複合金属ナノ粒子を製造することを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造装置である。
発明57を展開してなされた本発明の例としての第58の発明(以下、発明58という)は、発明57に記載の複合金属ナノ粒子の製造装置において、前記ルツボが複数あり、前記複数のルツボは、前記核ナノ粒子用の金属と前記取り巻きナノ粒子用の金属のうちの少なくとも2種類の金属用のルツボの形状と寸法の少なくとも一方が異なるとともに、前記ルツボ毎に加熱手段の制御を異なる条件でも行えることを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造装置である。
発明57または58を展開してなされた本発明の例としての第59の発明(以下、発明59という)は、発明57または58に記載の複合金属ナノ粒子の製造装置において、前記真空チャンバーを複数段連結したことを特徴とする複合金属ナノ粒子の製造装置。
本件の前回の分割出願において、上記の発明と後述の発明を実施するための形態に基づいて、以下の請求項を出願した。
本発明の課題を解決するためになされた前回提出した手続補正書により補正された前回の請求項(以下、前回提出した手続補正書により補正された前回の請求項を旧請求項という)1は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の金属微粒子(以下、金属ナノ粒子という)を主成分として含む複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子コロイドのうちの少なくとも1種類の複合金属ナノ粒子は、粒径が100nmより小さい第一の金属ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記核ナノ粒子の周辺に、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが前記核ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を配置したものの集合(以下、核ナノ粒子の周辺に配置した金属ナノ粒子を取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合金属ナノ粒子で、少なくとも1種類の前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子の少なくとも一方が、減圧雰囲気中あるいは真空中で当該金属を移動可能状態にしたものを、常温において固体であるかあるいは回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できないほど高粘度である界面活性剤の温度をそれが流動化して回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できる温度に制御して前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体にした界面活性剤の膜状移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子(以下、減圧雰囲気中作製ナノ粒子という)であるとともに、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子の平均粒径が前記核ナノ粒子の平均粒径よりも小さく、複合金属ナノ粒子コロイドのうちの前記減圧雰囲気中作製ナノ粒子コロイドの組成が、界面活性剤の溶剤を含まない前記界面活性剤の組成と前記核ナノ粒子の組成と前記取り巻きナノ粒子の組成から成ることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドであって、前記取り巻きナノ粒子が、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが互いに異なる少なくとも前記第一の金属に平均的に近く形成されている第二の金属ナノ粒子と前記第一の金属から平均して遠く形成されている第三の金属ナノ粒子の少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子で構成されていることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
旧請求項1を展開してなされた旧請求項2は、旧請求項1に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、少なくとも1種類の前記取り巻きナノ粒子を構成する金属ナノ粒子は、固相反応の活性度が前記第一の金属ナノ粒子よりも低い金属ナノ粒子であることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
旧請求項1または2を展開してなされた旧請求項3は、旧請求項1または2に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子を構成する前記第一の金属ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の金属ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各金属ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子の平均粒径は10nmより小さいことを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
旧請求項1を展開してなされた旧請求項4は、旧請求項1に記載の複合金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合金属ナノ粒子は、前記第一の金属ナノ粒子の外側に、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが互いに異なる取り巻きナノ粒子が混在する部分があることを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドである。
旧請求項1〜4を展開してなされた旧請求項5は、旧請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイド中の複合金属ナノ粒子を担持する担体に担持させたことを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
旧請求項5を展開してなされた旧請求項6は、旧請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合金属ナノ粒子コロイド中の複合金属ナノ粒子を担持する担体に担持させたことを特徴とする複合金属ナノ粒子である。
本発明の課題を解決するためになされた旧請求項7は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の金属微粒子(以下、金属ナノ粒子という)を主成分として含む複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、
前記複合金属ナノ粒子コロイド中の主たる複合金属ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい金属微粒子を核ナノ粒子として、前記核ナノ粒子の周辺に、金属の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記核ナノ粒子とは異なる金属ナノ粒子を配置したものの集合(以下、核ナノ粒子の周辺に配置した金属ナノ粒子を取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合金属ナノ粒子であり、
前記複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法が、金属ナノ粒子の原料金属を減圧雰囲気中あるいは真空中(以下、減圧雰囲気中あるいは真空中となる環境のことを真空室という)で当該金属を移動可能状態にする手段を用意する工程と、常温において固体であるかあるいは回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できないほど高粘度の界面活性剤を真空室内に用意する工程と、前記界面活性剤を、その溶剤で溶解させずに、前記真空室内の界面活性剤の温度をそれが流動化する温度以上に制御して、前記真空室で回転する真空室の内壁に沿って移動する膜状の界面活性剤の移動体にする工程と、前記真空室で当該金属を移動可能状態にしたものを、前記回転する真空室の内壁に沿って移動する溶剤で溶解させていない前記膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行ってナノ粒子コロイドを形成する工程と、
前記複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程で形成する工程を有することを特徴とする複合金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
さらに、今回の分割出願において、上記の発明と後述の発明を実施するための形態に基づいて、以下の請求項を分割出願した。
課題を解決するためになされた本件分割出願においてなされた請求項1は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の無機物微粒子(以下、無機物ナノ粒子という)を主成分として含む複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子コロイドのうちの少なくとも1種類の複合無機物ナノ粒子は、粒径が100nmより小さい第一の無機物ナノ粒子を主成分とする核ナノ粒子と、前記核ナノ粒子の周辺に、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが前記核ナノ粒子とは異なる無機物ナノ粒子を配置したものの集合(以下、核ナノ粒子の周辺に配置した無機物ナノ粒子を取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合無機物ナノ粒子で、少なくとも1種類の前記複合無機物ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子の少なくとも一方が、減圧雰囲気中あるいは真空中で当該無機物を移動可能状態にしたものを、常温において固体であるかあるいは回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できないほど高粘度である界面活性剤の温度をそれが流動化して回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できる温度に制御して前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体にした界面活性剤の膜状移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子(以下、減圧雰囲気中作製ナノ粒子という)であり、複合無機物ナノ粒子コロイドのうちの前記減圧雰囲気中作製ナノ粒子コロイドの組成が、界面活性剤の溶剤を含まない前記界面活性剤の組成と当該核ナノ粒子の組成及び/又は当該取り巻きナノ粒子の組成から成り、核ナノ粒子を構成する第一の無機物が金属以外の無機物であることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項1を展開してなされた請求項2は、請求項1に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子コロイドの少なくとも一部にマイクロ波を照射したことを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイド。
請求項1または2を展開してなされた請求項3は、請求項1または2に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記取り巻きナノ粒子が、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが互いに異なる少なくとも前記第一の無機物に平均的に近く形成されている第二の無機物ナノ粒子と前記第一の無機物から平均して遠く形成されている第三の無機物ナノ粒子の少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子で構成されていることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項1〜3を展開してなされた請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記取り巻きナノ粒子が、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが互いに異なる複数の取り巻きナノ粒子が混在していることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項1〜4を展開してなされた請求項5は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子を構成する第一の無機物ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の無機物ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各無機物ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の無機物ナノ粒子の平均粒径は10nmより小さいことを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項5を展開してなされた請求項6は、請求項5に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子を構成する前記第一の無機物ナノ粒子の平均粒径が10nm〜100nmであり、前記第一の無機物ナノ粒子の周囲に配置された前記取り巻きナノ粒子を構成する各無機物ナノ粒子のうちの少なくとも1種類の無機物ナノ粒子の平均粒径は5nm以下であることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項1〜6を展開してなされた請求項7は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、前記第一の無機物ナノ粒子が最も内側にあり、その外側に前記第二の無機物ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置し、前記第二の無機物ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子の外側に前記第三の無機物ナノ粒子で構成される取り巻きナノ粒子を配置して各集合を形成した複合無機物ナノ粒子であることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
請求項1〜7を展開してなされた請求項8は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合無機物ナノ粒子コロイド中の複合無機物ナノ粒子を担持する担体に担持させたことを特徴とする複合無機物ナノ粒子である。
請求項8を展開してなされた請求項9は、請求項8に記載の複合無機物ナノ粒子において、前記複合無機物ナノ粒子は、前記核ナノ粒子の周囲に少なくとも2種類の取り巻きナノ粒子が配置されており、第二の無機物ナノ粒子の粒径が前記第一の無機物ナノ粒子の粒径より小さく、前記第三の無機物ナノ粒子の粒径が前記第二の無機物ナノ粒子の粒径より小さいことを特徴とする複合無機物ナノ粒子である。
課題を解決するためになされた本件分割出願においてなされた請求項10は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の無機物微粒子(以下、無機物ナノ粒子という)を主成分として含む複合無機物ナノ粒子コロイドの製造方法において、
前記複合無機物ナノ粒子コロイド中の主たる複合無機物ナノ粒子が、粒径が100nmより小さい無機物ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記核ナノ粒子の周辺に、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記核ナノ粒子とは異なる無機物ナノ粒子を配置したものの集合(以下、核ナノ粒子の周辺に配置した無機物ナノ粒子を取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合無機物ナノ粒子であり、
前記複合無機物ナノ粒子コロイドの製造方法が、金属ナノ粒子の原料金属を減圧雰囲気中あるいは真空中(以下、減圧雰囲気中あるいは真空中となる環境のことを真空室という)で当該無機物を移動可能状態にする手段を用意する工程と、常温において固体であるかあるいは回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できないほど高粘度の界面活性剤を真空室内に用意する工程と、前記界面活性剤を、その溶剤で溶解させずに、前記真空室内の界面活性剤の温度をそれが流動化する温度以上に制御して、前記真空室で回転する真空室の内壁に沿って移動する膜状の界面活性剤の移動体にする工程と、前記真空室で当該無機物を移動可能状態にしたものを、前記回転する真空室の内壁に沿って移動する溶剤で溶解させていない前記膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行ってナノ粒子コロイドを形成する工程と、
前記複合無機物ナノ粒子を構成する核ナノ粒子及び/又は取り巻きナノ粒子のうちの複数の種類のナノ粒子を、減圧雰囲気あるいは真空の状態を破らずに連続した工程で形成する工程を有することを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドの製造方法である。
課題を解決するためになされた本件分割出願においてなされた請求項11は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の無機物微粒子(以下、無機物ナノ粒子という)を主成分として含む複合無機物ナノ粒子コロイドを製造する複合無機物ナノ粒子の製造装置において、前記複合無機物ナノ粒子の製造装置は、真空排気系に接続される真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に配置される少なくとも1つの無機物ナノ粒子を真空チャンバー内において移動可能にする手段と、前記真空チャンバーの外周壁を回転させる駆動手段と、前記真空チャンバーの外周壁の回転を制御する回転制御手段と、界面活性剤を入れることができる前記真空チャンバーの外周壁の一部に設けられた空間(以下、界面活性剤スペースという)と、前記界面活性剤スペースに入れられた界面活性剤の温度を制御する温度制御手段とを有しており、前記界面活性剤スペースに入れられる界面活性剤を溶媒に溶解させずに流動状態にして前記回転する真空チャンバーの外周壁の内壁に沿って膜状の移動体として前記回転する真空チャンバーの外周壁とともに移動させてそこに飛来する無機物微粒子を捕捉して収集することを繰り返し行って、100nmより小さい金属以外の第一の無機物ナノ粒子を核ナノ粒子として、前記第一の無機物ナノ粒子の周りに、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも一つが前記第一の無機物ナノ粒子とは異なる無機物ナノ粒子を配置したものの集合(以下、取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合無機物ナノ粒子を製造することを特徴とする複合無機物ナノ粒子の製造装置である。
請求項11を展開してなされた請求項12は、請求項11に記載の複合無機物ナノ粒子の製造装置において、マイクロ波照射手段を有することを特徴とする複合無機物ナノ粒子の製造装置である。
請求項11または12を展開してなされた請求項13は、請求項11または12に記載の複合無機物ナノ粒子の製造装置において、前記真空チャンバーを複数段連結したことを特徴とする複合無機物ナノ粒子の製造装置である。
課題を解決するためになされた本件分割出願においてなされた請求項14は、分散剤中に粒子のサイズが100nm(ナノメーター)以下の無機物微粒子(以下、無機物ナノ粒子という)を主成分として含む複合無機物ナノ粒子コロイドにおいて、前記複合無機物ナノ粒子コロイドのうちの少なくとも1種類の複合無機物ナノ粒子は、粒径が100nmより小さい第一の無機物ナノ粒子を主成分とする核ナノ粒子と、前記核ナノ粒子の周辺に、無機物の種類と粒径と形状と固相反応の活性度のうちの少なくとも1つが前記核ナノ粒子とは異なる無機物ナノ粒子を配置したものの集合(以下、核ナノ粒子の周辺に配置した無機物ナノ粒子を取り巻きナノ粒子という)を少なくとも1種類設けて成る複合無機物ナノ粒子で、少なくとも1種類の前記複合無機物ナノ粒子を構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子の少なくとも一方が、減圧雰囲気中あるいは真空中で当該無機物を移動可能状態にしたものを、常温において固体であるかあるいは回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できないほど高粘度である界面活性剤の温度をそれが流動化して回転する真空室の内壁に沿って膜状界面活性剤層を形成できる温度に制御して前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体にした界面活性剤の膜状移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って形成されたナノ粒子(以下、減圧雰囲気中作製ナノ粒子という)であり、複合無機物ナノ粒子コロイドのうちの前記減圧雰囲気中作製ナノ粒子コロイドの組成が、界面活性剤の溶剤を含まない前記界面活性剤の組成と前記核ナノ粒子の組成及び/又は前記取り巻きナノ粒子の組成から成ることを特徴とする複合無機物ナノ粒子コロイドである。
以上説明したように、 本発明による、核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子のうちの少なくとも1種類の金属ナノ粒子を、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により当該金属を移動可能状態にしたものを、前記減圧雰囲気中あるいは真空中で移動する膜状の界面活性剤の移動体によって捕捉して収集することを繰り返し行って作製した複合金属ナノ粒子コロイドは、その物性を安定に示すことができる。
たとえば、減圧雰囲気中あるいは真空中で作製した銅ナノ粒子を核ナノ粒子とし、その周囲に減圧雰囲気中あるいは真空中で取り巻きナノ粒子として銀ナノ粒子を配置した本発明の複合金属ナノ粒子コロイドを大気中で3ヶ月を超えて保存しても従来のような酸化の問題は生じないことがわかった。
また、本発明の複合金属ナノ粒子コロイドは、それらの製造過程において、金属ナノ粒子を捕捉する界面活性剤に関して、界面活性剤を溶媒で希釈せずに界面活性剤だけで金属ナノ粒子を捕捉させるのに用いることができるので、界面活性剤だけで製造した複合金属ナノ粒子コロイドを溶媒に分散させずにそのままで、あるいは、ユーザーの要望に合わせ親水性の溶媒や疎水性の溶媒に分散させて提供することが可能になる。
さらに、本発明の好ましい例による複合金属ナノ粒子は、還元反応を用いる化学的な方法によらずに、コロイド中に硫化物のような化合物、不純物、副生成物の混入を心配しなくても良い、高純度で、高濃度の複合金属ナノ粒子コロイドおよび複合金属ナノ粒子として量産することができ、安価に提供することができる。
そして、本発明は、化学反応の制約にとらわれずに、化学的方法では作製が無理な種類の金属を組み合わせた複合金属ナノ粒子をも作製することができるという従来にはない極めて大きな効果を奏する。
本発明による複合金属ナノ粒子コロイド、複合金属ナノ粒子は、自動車、電池、エレクトロニクス、バイオテクノロジーの各業界等広い分野の工業的発展に大きく寄与するという多大な効果を奏するものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、説明の重複を避けることもある。
前記のように本発明に用いている技術の基本思想の特筆すべき特徴は、複合金属ナノ粒子コロイドを、減圧雰囲気中あるいは真空中(以下、代表して真空中ともいう)において蒸発あるいは昇華させた金属粒子を、界面活性剤の溶媒を用いずに流動化させた界面活性剤そのものによる膜状移動体によって捕捉する方法を用いることにより製造したところにある。この従来とは異なる製造方法を用いたことによって、従来は無理と思われていたほどの高純度で高濃度で粒径の極めて高度に制御された金属ナノ粒子コロイドを量産できるようになり、更に、化学反応の制約によらない組成の複合金属ナノ粒子を製造できるようになったことである。
後述するように、本発明の複合金属ナノ粒子コロイドは、界面活性剤を流動状態で減圧あるいは真空状態の回転する真空室(真空チャンバー)の内壁に沿って、内壁の回転とともに回転させ、蒸発あるいは昇華した金属(以下、蒸発あるいは昇華のことを、特に区別する必要がある場合を除いて、蒸発ということもある)を真空チャンバー内壁の前記界面活性剤によって捕捉してコロイド状態にするものである。
本発明によって界面活性剤の溶媒に関する従来の制約を一掃することができ、界面活性剤を希釈剤としての溶媒で溶かして希釈するという手段を用いなくても複合金属ナノ粒子コロイドを製造することができるようになったため、複合金属ナノ粒子コロイドの製造能力を従来の十倍以上にすることができ、その製造コストを従来のコストより大幅に低減することができる。
以下、本発明の実施の形態例を図を用いて詳細に説明する。本発明は、複合金属ナノ粒子コロイド、複合金属ナノ粒子、それらの製造方法およびその製造装置に関する発明であるが、説明の重複を避けるために、以下の説明において、たとえば複合金属ナノ粒子コロイドの製造の説明で複合金属ナノ粒子コロイドや複合金属ナノ粒子の説明も兼ねるなど、誤解を生じない範囲において、1つの形態の説明で他の形態の説明も兼ねることがある。
図1は、本発明における核ナノ粒子、取り巻きナノ粒子あるいは複合ナノ粒子コロイドとなった複合金属ナノ粒子コロイドの製造装置の例の要部の断面を模式的に示す図である。符号21は真空チャンバー、21aは真空チャンバー(真空槽)の内壁、21bは真空チャンバーの外壁、22は金属を蒸発させるルツボ、23は蒸発させる原料金属、24はルツボから蒸発した金属線束、25と26は界面活性剤、27は金属ナノ粒子コロイド、28と29は矢印である。
まず、本発明の主要部分に用いることができる技術を明らかにするために、単一金属の金属ナノ粒子コロイドを製造する場合を例にとって説明する。この製造方法は、前記本発明の複合金属ナノ粒子を構成する核ナノ粒子を真空中でつくる場合や核ナノ粒子の周辺に取り巻きナノ粒子を形成する場合のそれぞれの製造工程に、そのナノ粒子に必要な固有の条件を設定することにより適用することができるものである。
図1において、真空チャンバー21の下方に、適量の界面活性剤25を液状にしてためておき、真空チャンバー21をルツボ内の原料金属を蒸発あるいは昇華させるのに適した所定の真空度に排気し、真空チャンバー21を矢印28の方向に回転させる。液状になっている界面活性剤25は、回転する真空チャンバー21の内壁21aについて膜状の界面活性剤26となって液状で真空チャンバーの内壁21aに沿って矢印28方向に移動する。ルツボ22の発熱源(図示せず)に電流を通じると、ルツボ内の原料金属が蒸発あるいは昇華し、蒸発あるいは昇華した金属は金属線束24となって真空チャンバー21の上方に向けて飛んで、真空チャンバー21の内壁21aに沿って移動している膜状の界面活性剤26の位置に到達し、界面活性剤26に捕捉されて金属ナノ粒子コロイドの状態となる。金属ナノ粒子を捕捉した膜状の界面活性剤26はそのまま矢印29の方向に移動し続け、真空チャンバー21の下方にたまっている液状の界面活性剤25にとけ込む。
前記界面活性剤25にとけ込んだ金属ナノ粒子コロイドを含んだ界面活性剤は、回転する真空チャンバー21の内壁21aについて金属ナノ粒子コロイドを含んだ膜状の界面活性剤26となって真空チャンバーの内壁21aに沿って矢印28方向に移動する。
この操作を所定時間続け、移動する膜状の界面活性剤26は蒸発してくる金属を捕捉し続けて、界面活性剤中の金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子の濃度が高められる。
ルツボ22に製造計画に合わせた量の原料金属を入れ、真空チャンバー21の下方に製造計画に合わせた量の界面活性剤を入れて前記工程を行うが、従来の方法とは異なり、界面活性剤25と26中の金属ナノ粒子の濃度が、従来ならば溶媒に希釈された界面活性剤が真空チャンバー21の上方に達したときに界面活性剤が真空チャンバー21の内壁についていることができずに落下してしまう恐れのある濃度(溶媒に希釈された界面活性剤に対する金属ナノ粒子の重量濃度)を大幅に上まわる濃度になっても、本願の方法では落下させずに生産を続けることができ、金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子の濃度を従来に比較して大幅に高め続けることができる。
ルツボ内の原料金属が所定量の残量になるまで装置の作動を止めないで界面活性剤による金属ナノ粒子の捕捉を続けることができるので、段取り工程が短時間で済み、製造コストを大幅に低減することができる。そして、この方法により製造した金属ナノ粒子コロイドは、不純物が少なく高濃度の金属ナノ粒子コロイドであり、製造後市場に出すときに、界面活性剤だけで製造した金属ナノ粒子コロイドを溶媒に分散させずにそのままで供給することができ、あるいは、ユーザの要望に合わせて、ヘキサンやトルエンなどの疎水性溶媒に分散させたり、水やアルコールなどの親水性溶媒に分散させたり、多くの溶媒を用いて供給することができる。これは、従来は溶媒が真空中で使える溶媒に限られていたこと、ユーザーの使用条件によって真空中で使えない溶媒に分散させた状態で供給する場合は製造時に使用した溶媒を除去する必要があったのに比べて大きな利点である。
界面活性剤25,26は適切な粘度の液状にするのが好ましい。簡便な一つの方法として、界面活性剤の流動状態を制御することができる温度の液体を利用することができる。
前記実施の形態例における界面活性剤の特に好ましい例として、ポリオキシアルキレンアミンを用いることができる。この界面活性剤は常温において固体あるいは高粘度の液体であるが、界面活性剤の流動状態を制御することができる温度以上の温度に制御することによって適度な粘度を有する液状になる。この方法を用いて、界面活性剤を低粘度の液状にすることができ、所定量の界面活性剤が液状で真空チャンバー21の下部にたまっている状態にすることができる。液状の界面活性剤25の量を作製したい金属ナノ粒子コロイドに適した量にして真空チャンバー21の下部に入れ、真空チャンバー21を所定の速度で回転させると、界面活性剤25の一部が真空チャンバー21の内壁21aに引っ張られて、内壁21aとともに図1の矢印28の方向に膜状の界面活性剤26として真空チャンバー21内を移動する。
界面活性剤ポリオキシアルキレンアミンを前記のような液状にするにはいくつかの方法がある。安価で簡便な方法の一例は、真空チャンバー21の外側下方に、真空チャンバー21の下部の界面活性剤25が入っている部分に対応する真空チャンバー21の外壁21bの少なくとも一部が浸るような浴槽(液貯め)を設け、真空チャンバー21の外壁21bの上方から界面活性剤が流動化する温度よりも高い温度の液体をかけて界面活性剤の温度の制御をすることによって実現することができる。
この実施の形態例における検討の結果、初期状態における界面活性剤の粘度は、真空チャンバー21の内壁についていることができる範囲内で100センチポアズ以下にするのが好ましいことがわかった。これを超えた粘度にすると、蒸発金属を捕捉した膜状の界面活性剤26が真空チャンバーの上部内壁から落下しやすくなり、膜状の界面活性剤26の厚みの均一性が損なわれるなど最善の状態ではなくなる恐れがある。
ルツボから蒸発した金属は、真空チャンバー21の上部内壁の液状で膜状の界面活性剤26の位置に到達し、界面活性剤26に捕捉される。界面活性剤26は、移動しながら蒸発金属を捕捉し、真空チャンバー21の下方に溜まっている液状の界面活性剤25に混ざる。これを繰り返し、粒径がそろった極めて均質で濃度の高い金属ナノ粒子コロイドを製造することができる。
本発明の一つの好適な例では、前記界面活性剤に捕捉された金属ナノ粒子の量は、界面活性剤100%の分散剤の量に対して、径が2〜6nmのナノ粒子が20%の含有量のものを得ることができる。これは、特許文献5に記載された製造方法と比較して、10倍以上の高い濃度で、得られたナノ粒子コロイドの品質の良さのみならず、量産コストの大幅な低減をもたらすものである。
本発明の一つの好適な例では、前記界面活性剤に捕捉された金属ナノ粒子の量は、界面活性剤100%の分散剤の量に対して、径が2〜6nmのナノ粒子が20%の含有量のものを得ることができる。これは、特許文献5に記載された製造方法と比較して、10倍以上の高い濃度で、得られたナノ粒子コロイドの品質の良さのみならず、量産コストの大幅な低減をもたらすものである。
従来の界面活性剤を溶媒で希釈したものを使用した場合は粒子の形状と粒子サイズのバラツキが大きく、真空チャンバーの回転速度を高速にしてナノ粒子のサイズを揃えることが特許文献5に記載されている。特許文献5には、金属が金の場合、真空チャンバーの回転速度を遅くすると粒子の形状が細長く大きい状態でバラツキが大きいが、回転速度を高めて81mm/s(秒)にすると線状のものが減り5〜7nmの球状のものが多くなり、100mm/sにすると5〜7nmの球状のものになり、金属が銅の場合、回転速度を190mm/sに高めると粒径が2nmに収束すると記載されている。内径が200〜300mmの円筒型の真空チャンバーの場合、この回転速度は真空系としてかなり高速であり、真空系を良好に保つための部品寿命が短くなること、粒子サイズのばらつきを充分に押さえることが難しいことなど、大きな問題があり、量産は難しい。
これに対して、本発明の界面活性剤100%のものを使用した製造方法によると、回転速度を従来の半分以下にしても粒子サイズの成長現象を効果的に抑えることができ、たとえば、20nm以下で粒子サイズが極めてよく制御された金や錫などのナノ粒子コロイドを量産レベルで得ることができる。
本発明の製造方法を用いれば、コバルト、ニッケル、白金について界面活性剤としてポリオキシアルキレンアミンを用いて、前記の条件を制御して粒径が2〜3nmのナノ粒子コロイドを安定して作製することができる。
白金、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、金、銀、ゲルマニウム、インジウム、錫など多くの金属ナノ粒子コロイドを作製し、各コロイド中の金属ナノ粒子の粒径を電子顕微鏡により調べたところ、2〜6nmの粒径のよく揃った、高濃度の金属ナノ粒子コロイドを量産レベルで作製できることがわかった。
本発明の製造方法を用いて作製できるナノ粒子の種類はこれらの金属に限定されるものではなく、前記金属以外の多くの金属のナノ粒子コロイドを作製することができる。さらに、金属の他に、酸化亜鉛など蒸発させることができる多くの無機物のナノ粒子コロイドを作製することができる。
図2は、本発明の製造方法を用いて作製した例として、蒸発金属の捕捉媒体として100%界面活性剤を用いて製造した金属ナノ粒子コロイドの例の透過型電子顕微鏡写真で、倍率は30万倍である。図中に5nmの指標が記載されており、概ね3nm以下の極めてよくそろった粒径の金属ナノ粒子が界面活性剤中に均質に分布しているのがわかる。この場合の界面活性剤はポリオキシアルキレンアミンで金属はニッケルである。
図3は、本発明の実施の形態例として、図2の金属ナノ粒子コロイドの例を150度Cで2時間加熱処理したものの透過型電子顕微鏡写真で、倍率は30万倍である。10nm以下の粒子が大半で、均質に分布している。
以上、単一金属の金属ナノ粒子コロイドを製造する場合を説明した。つぎに、この技術を用いる本発明の複合ナノ粒子コロイドとしての複合金属ナノ粒子コロイドの製造について説明する。
図4は前記複合金属ナノ粒子について説明する図である。
図4は核ナノ粒子の周囲に配置された取り巻きナノ粒子が1種類である場合の複合金属ナノ粒子の例を説明する図で、符号51Aは複合金属ナノ粒子、52Aは核ナノ粒子、53Aは取り巻きナノ粒子を示す。
図5は取り巻きナノ粒子が2種類の複合金属ナノ粒子の例を説明する図で、符号51Bは複合金属ナノ粒子、52Bは核ナノ粒子、53Bは1種類目の取り巻きナノ粒子、54Bは2種類目の取り巻きナノ粒子を示す。
図6は図4の複合金属ナノ粒子51Aに熱処理を施して合金化した例を説明する図で、符号51Cは合金化した複合金属ナノ粒子を示す。
まず、図4の複合金属ナノ粒子51Aについて説明する。複合金属ナノ粒子51Aは、図示のように、核ナノ粒子52Aの周囲に1種類の取り巻きナノ粒子53Aが核ナノ粒子52Aを取り囲むように配置さている。取り巻きナノ粒子53Aの粒径は核ナノ粒子52Aの粒径よりも十分に小さく形成されている。
つぎに、複合金属ナノ粒子51Aの製造方法を説明する。
まず、図1を用いて説明した金属ナノ粒子コロイドの製造装置を用いて核ナノ粒子を製造する。具体的には、真空チャンバー21の中に、図1を用いて説明したように、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアミンを適量入れる。この時、界面活性剤は溶媒に溶かさず、界面活性剤だけを前記のようにして流動状態にする。ルツボ22には蒸発させる原料金属23としての銅を製造予定による所定量入れてから真空チャンバー21を閉じる。真空チャンバー21を回転させながら、真空チャンバー21内を排気して、所定の真空度にする。
ルツボを加熱してルツボ内の銅を蒸発させ、蒸発した銅の金属線束24を、回転する真空チャンバー21の内壁21aについて膜状の界面活性剤26となって液状で真空チャンバーの内壁21aに沿って矢印28方向に移動する界面活性剤ポリオキシアルキレンアミンによって捕捉される。これをルツボに入れた原料金属銅の全量(この例では予定した量)が蒸発しきるまで続けて、銅ナノ粒子コロイドを作製する。
銅ナノ粒子の粒径が比較的大きい所定の大きさの銅ナノ粒子コロイドを作製し、つぎに、空のルツボに原料金属23としての銀を製造予定による所定量入れる。
ここで、銅ナノ粒子の粒径が比較的大きい所定の大きさの銅ナノ粒子コロイドに関しては、例えば、平均粒径が15nmで粒径分布が±5nmの銅ナノ粒子を含む銅ナノ粒子コロイドのように、用途に適した条件のコロイドである。
この銅ナノ粒子コロイドを核ナノ粒子として用いる場合、ナノ粒子に要求される粒径等の条件によっては前記図1を用いて説明した所定の大きさの銅ナノ粒子コロイドをそのまま用いることができる。
前記図1を用いて説明した所定の大きさの銅ナノ粒子コロイドの銅ナノ粒子よりも大きい粒径を要求される場合には、一つの方法として、前記作製した銅ナノ粒子コロイドに熱処理を施して10〜100nmの範囲で粒径を大きくして用いることもできる。
たとえば、核ナノ粒子として粒径が大きい銅ナノ粒子を要求される場合には、前記作製した銅ナノ粒子コロイドに対してヒーター加熱やマイクロ波による加熱を行い、銅ナノ粒子の粒径を大きくする。特に、マイクロ波による加熱はナノ粒子の粒径を均一に大きくすることができるという利点がある。
また、核ナノ粒子として、たとえばニッケルとコバルトの合金ナノ粒子や異方性相分離構造の多元金属ナノ粒子のように多元金属ナノ粒子を要求される場合には、前記図1を用いて説明した銅の場合と同様な方法で作製した例えばニッケルとコバルトの各単一金属ナノ粒子コロイドを混合して熱処理を施し、合金タイプの多元金属ナノ粒子コロイドや異方性相分離構造の多元金属ナノ粒子コロイドを作製することができる。
また、作製したナノ粒子コロイドの界面活性剤(以下、リガンドともいう)を交換してから核ナノ粒子として用いることもできる。
なお、単一金属のナノ粒子での銅ナノ粒子コロイドは前記のように極めて強く酸化されやすい。前記のように真空中から取り出して各種処理をする場合に、不活性雰囲気中で行うなど、ナノ粒子の状態に適した雰囲気中で行うようにするのが好ましい。
このようにして作製した核ナノ粒子としての銅ナノ粒子コロイドを入れた真空チャンバー21内の排気状態と真空チャンバー21の回転状態などを所定の状態にして、前記銀を入れたルツボを銀を昇華させる温度まで加熱する。銀を昇華させる温度は銀を蒸発させる温度よりも低い温度である。ルツボから昇華した銀は銀の金属線束24となって真空チャンバーの内壁21aに到達すると、真空チャンバーの内壁21aに沿って矢印28方向に移動している前記銅を捕捉した界面活性剤ポリオキシアルキレンアミンによって捕捉される。所定量の銀を昇華させて捕捉することを続け、図4のような、銅ナノ粒子52Aを核ナノ粒子としてその周囲を銀ナノ粒子53Aが取り巻きナノ粒子として取り囲んだ状態の複合ナノ粒子のコロイドとしての複合金属ナノ粒子コロイドを作製することができる。
このようにして作製した複合金属ナノ粒子コロイドを真空チャンバー21から取り出し、所定の容器に保管する。
作製した前記複合金属ナノ粒子コロイド中の複合金属ナノ粒子の状態を電子顕微鏡等を使って調べたところ、複合金属ナノ粒子は、銅ナノ粒子を中心にその周囲に銀ナノ粒子が配置された状態で粒径が概ね15〜20nmの金属ナノ粒子になっていることが確認された。
図7は複合金属ナノ粒子コロイドの透過型電子顕微鏡写真である。
銀ナノ粒子の粒径は10nm以下にすることが好ましく、5nm以下にするのが特に好ましい。ベストモードの一つとして、条件制御によって2〜3nmの揃った粒径の銀ナノ粒子を取り巻きナノ粒子にして、優れた特性の銅−銀複合金属ナノ粒子コロイドを量産レベルで安価に作製することができる。
なお、核ナノ粒子の周囲に複数個のナノ粒子を取り巻きナノ粒子として配置した複合金属ナノ粒子の例を図4と図5を用いて説明したが、本発明の複合金属ナノ粒子の構造はこれに狭く限定されるものでなく、多くのバリエーションを可能とするものである。例えば、図4において、核ナノ粒子2Aの周りに1種類の取り巻きナノ粒子53Aが核ナノ粒子2Aを覆うように層状に配置されている例を説明したが、これに限られず、核ナノ粒子2Aの周りに1種類の取り巻きナノ粒子53Aが隙間をつくって島状に配置されてもよく、また、図4の取り巻きナノ粒子53Aが、2種類の層状の金属粒子を交互に配置してもよく、あるいは複数種類の島状の取り巻きナノ粒子が配置されていても良い。図5の構造についても同様にバリエーションを可能としている。
図8は、本発明の実施の形態の他の例において、前記銅を核ナノ粒子とし銀を取り巻きナノ粒子とした複合金属ナノ粒子コロイドを作製した場合と同様の装置を用いて作製した複合ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。取り巻きナノ粒子としての銀ナノ粒子は昇華させて移動状態にしたものを、前記銅の場合と同様に、ニッケルを捕捉した界面活性剤ポリオキシアルキレンアミン(界面活性剤は溶媒に希釈せずに前記と同様にして流動化させて用いている)によって捕捉させたものである。この例では、ニッケルナノ粒子は粒径が2〜3nmのものあるいはそれが集合したものを核ナノ粒子として、その周囲に粒径が2〜3nmの銀ナノ粒子が配置されて、複合ナノ粒子を構成している。
本発明の複合金属ナノ粒子コロイドは、これまで実現できなかった極めて高い純度で、優れた物性を示すことがわかった。たとえば、単体の銅ナノ粒子コロイドは真空状態から大気中に取り出すとすぐに酸化を始めて変色するが、前記銅と銀の複合ナノ粒子を形成した複合金属ナノ粒子コロイドは、真空状態から大気中に取り出して3ヶ月以上大気中で保管しても酸化現象が見られず、従来のように酸化を全く心配せずに長期間安定した状態で保管することができることがわかった。また、単体のニッケルナノ粒子コロイドはアルコールや水に分散させると水酸化ニッケルになってすぐに緑色に変色するが、本発明のニッケルを核ナノ粒子、銀を取り巻きナノ粒子とした複合ナノ粒子コロイドは、変色しないことが確かめられた。
この例でもわかるように、本発明によれば、金属ナノ粒子表面の酸化・変質の防止、触媒作用の著しい向上などナノ粒子界面の利用効果の大幅な向上を実現することが期待できる。
この複合金属ナノ粒子コロイドに熱処理を施すことにより、含まれる複合金属ナノ粒子の状態を制御することができる。
熱処理温度を高めることによって複合金属ナノ粒子を合金状態にすることができる。図6は合金化した金属ナノ粒子を説明する図で、符号52A0は核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子の界面、51Cは合金化した本発明の金属ナノ粒子を示す。熱処理は、ヒーター加熱によって行うことができるが、マイクロ波による加熱で極めて均質な合金化を行うことができる。
作製した前記複合金属ナノ粒子コロイドに対して、ユーザーの要望に対応して、粒径の制御、リガンドの交換など、製品として必要な処理を行う。
図9は、本発明の複合金属ナノ粒子コロイドの製造装置の他の例の要部の断面を模式的に示す図で、複数のルツボを使って複合金属ナノ粒子コロイドを製造する装置の例である。符号22A,22Bはルツボ、24A,24Bはそれぞれルツボ22A、22Bから蒸発あるいは昇華した金属線束を示す。
図9の製造装置を用いることによって、核ナノ粒子とその周囲に配置する取り巻きナノ粒子を、真空を破らずに連続した製造工程で作製することができる。
図9の製造装置を用いて本発明の複合金属ナノ粒子コロイドをつくる方法を前記銅のナノ粒子を核ナノ粒子とし、銀のナノ粒子を取り巻きナノ粒子とする例を説明する。
ルツボ22A、22Bには、装置の外部から制御システムを使ってそれぞれ独立に開閉することができる蓋がついており、一方のルツボからの蒸発金属あるいは昇華金属が他方のルツボに入らないように、一方のルツボを使用しているときは他方のルツボに蓋をしておく。
ルツボ22Aに原料金属として銅を、ルツボ22Bに原料金属として銀をそれぞれ計画量入れ、それぞれ蓋を閉める。前記と同じ種類の界面活性剤を計画量入れ、真空チャンバーを閉じる。真空チャンバーを回転させながら、真空チャンバー内を排気して、所定の真空度にする。
まず、ルツボ22Aの蓋を開け、加熱して銅を蒸発させ、前記と同様にして回転する真空チャンバーの内壁について移動している膜状の界面活性剤に蒸発して飛来した銅を捕捉させ、銅ナノ粒子コロイドをつくる。所定量の銅を蒸発させて前記と同様の核ナノ粒子としての銅ナノ粒子コロイドを作製して、ルツボ22Aの電源を切り、ルツボ22Aの温度が所定の温度まで下がったらルツボ22Aの蓋を閉める。
つぎに、ルツボ22Bの蓋を開け、加熱して銀を昇華させ、回転する真空チャンバーの内壁について移動している銅ナノ粒子コロイドを含んだ膜状の界面活性剤に昇華して飛来した銀を捕捉させ、銅ナノ粒子を核ナノ粒子としてその周囲に取り巻きナノ粒子としての銀ナノ粒子を配置するようにする。
このようにして、銅ナノ粒子を核ナノ粒子としてその周囲に銅ナノ粒子より充分に粒径の小さい銀ナノ粒子を配置させた本発明の複合金属ナノ粒子コロイドができる。
図9の製造装置では、ルツボの数が2つの場合を示したが、ルツボの数は3つ以上にすることができる。
図5に示した取り巻きナノ粒子が2種類の複合ナノ粒子を作製する場合、第1の例として、前記図1の装置を用いて説明した複合ナノ粒子の製造方法に準じて、まず取り巻きナノ粒子が1種類の複合ナノ粒子を作製し、ルツボに2種類目の取り巻きナノ粒子用の原料金属を入れ、同様にして取り巻きナノ粒子が2種類の複合ナノ粒子を作製することができる。第2の例として、図9の製造装置を用いて説明した複合ナノ粒子の製造方法に準じてルツボを3個使用して、まず核ナノ粒子コロイドを作製し、つぎに1種類目の取り巻きナノ粒子を作製し、つぎに2種類目の取り巻きナノ粒子を作製して取り巻きナノ粒子が2種類の複合金属ナノ粒子を作製することができる。
図9の製造装置には、図示していないが、真空チャンバー内のナノ粒子コロイドに熱処理を施す機能が付けられている。熱処理の手段としてはヒーターによる加熱手段やマイクロ波によす熱処理手段など多くの手段が使用できるが、マイクロ波による熱処理が特に好ましく、粒径分布がそろったナノ粒子コロイドになるように、簡単に、確実に粒径を制御できる。そして、マイクロ波による熱処理を用いて、例えば酸化を効果的に防いで、ナノ粒子の物性を安定化させるなど、優れた特性のナノ粒子コロイドを作製することができる。
図9の製造装置は、前記真空チャンバーを複数段連結したものにすることによって、たとえば、原料金属の異なるナノ粒子毎に専用の真空チャンバーを用いて製造することができ、高純度のナノ粒子を作製でき、複合金属ナノ粒子の製造能力を高めることができる。
本発明による複合金属ナノ粒子の製造方法等は、前記の例に狭く限定されず、多くのバリエーションを可能とするものである。
また、本発明の最大の特徴は、複合金属ナノ粒子コロイドを構成する核ナノ粒子と取り巻きナノ粒子の少なくとも1種類のナノ粒子の作製に、溶媒に希釈しないで流動化させた界面活性剤を用いてナノ粒子を捕捉する物理的方法を用いたところにあり、このようにすることで、化学的方法では必須の条件となる化合物の制約による金属の組み合わせの制限を乗り越えて複合金属ナノ粒子コロイドを作製することができることである。すなわち、本発明は、化学的方法では作製困難とされている組成の複合金属ナノ粒子を作製することもできるという極めて大きな効果をもたらすものである。
図10は担体により金属ナノ粒子あるいは複合金属ナノ粒子が担持されている様子を説明する模式図で、符号46は金属ナノ粒子あるいは複合金属ナノ粒子を担持した状態の担体、47は担体、48は金属ナノ粒子あるいは複合金属ナノ粒子である。
前記担体としては、ジルコニア、アルミナ、セリアなどのセラミック、酸化鉄、カーボン、テフロン(登録商標)系の担体など、金属ナノ粒子の使用環境やユーザの要望によって適切なものを用いることができる。
本発明の複合金属ナノ粒子コロイド中に複合金属ナノ粒子を担持する担体を入れて複合金属ナノ粒子を担体に担持させ、その担体を、たとえば自動車の排気ガス処理装置に使用し触媒作用で排ガス浄化を行うことができる。
以上、新しい物理的方法を用いて本発明の複合金属ナノ粒子コロイドを説明したが、前記説明でも明かなように、本発明は前記実施の形態例に狭く限定されるものでなく、多くのバリエーションを可能とするものである。
たとえば、前記の説明では核ナノ粒子およびその周囲に配置する取り巻きナノ粒子を全て新しい物理的方法を用いて作製することを中心に説明したが、核ナノ粒子として、他の方法で作製した金属ナノ粒子を用い、取り巻きナノ粒子を前記新しい物理的方法を用いて作製することができる。他の方法で作製した金属ナノ粒子として、化学的方法で作製した金属ナノ粒子を用いる場合、少なくとも副生成物など望ましくない混入物を除去したり、リガンドを交換したり、必要な処理を行って後、前記本発明によって複合金属ナノ粒子コロイドを作製することができる。
また、核ナノ粒子として銅の場合とニッケルの場合を、顕著な効果をもたらす取り巻きナノ粒子の例として銀の場合を例に挙げて説明したが、前記説明の趣旨からも明らかなように、これに限定されるものではなく、多くの金属を用いることができる。
本発明によって、高純度で高濃度の複合金属ナノ粒子コロイドを安価に提供することができ、また、金属に限定されず、無機物を用いた高品質の複合ナノ粒子コロイドを安価に提供することができる。