JP2016034249A - 酵母の培養方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産等を効率的に行うことができる酵母の培養技術を提供することを目的とする。
【解決手段】硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩を含む培地を用いて酵母を培養することによって、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産、及び酵母によるエタノール生産を効率的に行うことが可能になる。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵母の培養方法に関する。より具体的には、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産等を効率的に行うことができる酵母の培養方法に関する。
酵母は、ビール、ワイン、焼酎、日本酒、醤油、味噌、パン等の発酵食品の他、工業用エタノールの製造にも利用されている。更に、酵母は、乾燥酵母や酵母エキスにして、食品原料、医薬品原料、化粧品原料等としても利用されている。このように、酵母は、人類にとって不可欠な微生物であり、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産は現代社会を支える重要な技術になっている。
このような背景の下、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産等を短時間で効率的に行う技術を構築することが非常に重要になっている。酵母菌体の生産性や酵母によるエタノール生産性を向上させるには、使用する酵母を変異又は改質させる方法も有効であるが、このような方法では、使用する酵母毎に煩雑な操作が必要となるため、汎用性の点で欠点がある。一方、培養環境を制御することによって酵母の生育を促進させることができれば、使用する酵母毎に煩雑な操作を必要とすることもないため、酵母菌体の生産や酵母によるエタノール生産等を短時間で効率的に行う上で、汎用性がある有効な手法になり得る。
従来、酵母の生育には、培養方式、培地中の溶存酸素濃度や炭素源濃度等が影響することが知られており、商業的な酵母の培養では、これらを制御することによって酵母の生育促進が図られている。しかしながら、従来の培養条件を制御する方法では、酵母の生育促進効果の点で限界があり、更なる技術の開発が望まれている。
一方、微生物は、硫黄源の非存在下では生育できないため、微生物を培養する上で、硫黄源は必須の栄養源となっている。微生物の培養において、硫黄源として一般的に硫酸塩が使用されているが、含硫黄化合物を微生物で効率的に産生させる際に、硫酸塩以外の硫黄源の使用が有効になる場合があることも報告されている。例えば、特許文献1には、L−システイン生産能を有し、且つ、亜硫酸還元に関与する遺伝子の発現が増大するように改変された腸内細菌科に属する細菌を、チオ硫酸を含有する培地で培養することによって、L−システインもしくはその関連物質の製造効率が向上することが開示されている。
しかしながら、含硫黄化合物の物質生産を目的とする場合以外で、使用する硫黄源の種類が、微生物の培養に及ぼす影響については明らかにされていない。更に、酵母の培養において、硫黄源として硫酸及び/又はその塩が一般的に使用されているが、使用する硫黄源の種類と酵母の生育の関係についても検討されておらず、酵母がチオ硫酸及び/又はその塩を単一硫黄源として使用できるか否かも明らかにされていない。
国際公開第2012/137689号
本発明は、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産等を効率的に行うことができる酵母の培養技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩を含む培地を用いて酵母を培養することによって、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産、及び酵母によるエタノール生産を効率的に行うことが可能になることを見出した。更に、培地中に含まれる硫黄源の中でチオ硫酸及び/又はその塩が占める割合を高めること、特にチオ硫酸及び/又はその塩を単一硫黄源として使用することによって、酵母の生育促進効果が向上し、酵母の菌体生産、及び酵母によるエタノール生産をより一層効率的に行うことが可能になることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の培養方法及び培地を提供する。
項1. チオ硫酸及び/又はその塩を含む培地で酵母を培養することを特徴とする、酵母の培養方法。
項2. 前記酵母が、エタノール産生酵母である、項1に記載の培養方法。
項3. エタノールの製造に適用される、項2に記載の培養方法。
項4. 前記培地中に含まれる硫黄源の総量当たり、チオ硫酸及び/又はその塩がモル比で1%以上である、項1〜3のいずれかに記載の培養方法。
項5. 前記培地中において、チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源である、項1〜4のいずれかに記載の培養方法。
項6. チオ硫酸及び/又はその塩を含むことを特徴とする、酵母培養用の培地。
項7. エタノール産生酵母の培養に使用される、項6に記載の培地。
項8. エタノールの製造に使用される、項7に記載の培地。
項9. 硫黄源の総量当たり、チオ硫酸及び/又はその塩をモル比で1%以上含む、項6〜8のいずれかに記載の培地。
項10. チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源である、項6〜9のいずれかに記載の培地。
本発明によれば、硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩を含む培地を用いて酵母を培養することによって、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産、及び酵母によるエタノール生産を効率的に行うことが可能になる。そのため、本発明によれば、酵母を使用した各種発酵生産における接種酵母の調製や発酵工程を効率的に行うことが可能となり、更には酵母エキス等の酵母由来物質の生産の効率化も図られ、酵母を利用する産業分野におけるコスト削減に貢献することができる。
なお、限定的な解釈を望むものではないが、硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩を使用することによって、酵母の生育が促進される作用機序については、以下のように類推される。酵母は、硫酸をアデノシン5'−ホスホ硫酸、3'−ホスホアデノシン−5'−ホスホ硫酸、亜硫酸、硫化水素、ホモシステインの順で変換する代謝経路を有している(図1参照)。この代謝経路では、1モルのホモシステインを生成するのに必要とされるエネルギーは、ATP換算で14モルに相当している。一方、本発明の研究成果から、酵母には、チオ硫酸を亜硫酸又は硫化水素に変換するチオ硫酸硫黄転移酵素(GlpE)が存在していることが予測され、チオ硫酸を硫黄源として使用することにより、ATP換算で6モル程度のエネルギーで1モルのホモシステインを生成することが可能になっていると類推される(図2参照)。そのため、硫黄源としてチオ硫酸を使用すると、硫酸を使用した場合よりもエネルギー効率が向上し、酵母の生育促進、ひいては増殖速度の向上やエタノール産生能の向上が認められると考えられる。
酵母における硫酸の代謝経路を示す図である。 酵母におけるチオ硫酸の代謝経路の推測図である。 試験例1において、硫黄源としてチオ硫酸塩単独又は硫酸塩単独を使用して酵母の生育を測定した結果である。 試験例2において、硫黄源として、チオ硫酸塩単独、チオ硫酸塩と硫酸塩の混合、又は硫酸塩単独を使用して、酵母の生育、グルコースの消費量、及びエタノールの産生量を測定した結果である。
1.培養方法
本発明の培養方法は、チオ硫酸及び/又はその塩を含む培地で酵母を培養することを特徴とする。以下、本発明の培養方法について説明する。
[培地]
本発明の培養方法では、硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩を含む培地を使用する。このように、チオ硫酸及び/又はその塩を硫黄源として使用することにより、酵母の生育を促進させ、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産を効率的に行うことが可能になる。
本発明で使用されるチオ硫酸塩としては、培地中でチオ硫酸イオンを遊離可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらのチオ硫酸塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのチオ硫酸塩の中でも、好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。
また、本発明の培養方法で使用される培地には、チオ硫酸又はチオ硫酸塩のいずれか一方のみが含まれていてもよく、これらの双方が含まれていてもよい。
本発明の培養方法において、培地中のチオ硫酸及び/又はその塩の濃度については、培地の種類や培養方式等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.001〜100mM、好ましくは0.01〜50mM、更に好ましくは0.1〜10mMが挙げられる。
更に、本発明の培養方法で使用される培地には、チオ硫酸及び/又はその塩以外の硫黄源が含まれていてもよい。このような硫黄源としては、特に制限されないが、例えば、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸これらの塩等の無機硫黄化合物が挙げられる。硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩の種類については、特に制限されないが、例えば、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
但し、チオ硫酸及び/又はその塩以外の硫黄源は、酵母の生育促進には寄与せず、チオ硫酸及び/又はその塩による生育促進効果を減弱させることがあるので、酵母の生育をより一層効率的に促進させるという観点から、培地に含まれる硫黄源の内、チオ硫酸及び/又はその塩が占める割合が高いことが望ましい。より具体的には、培地に含まれる硫黄源の総量当たり、チオ硫酸及び/又はその塩がモル比で1%以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、より一層好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上を占めていることが望ましく、とりわけ、チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源であることが好適である。ここで、「チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源である」とは、硫黄源としてチオ硫酸及び/又はその塩以外の含硫黄化合物は、不可避的に微量に混入している場合を除いて実質的に含まれていないことを意味する。
本発明の培養方法で使用される培地には、チオ硫酸及び/又はその塩以外に、酵母の生育で必要とされる栄養源が含まれる。このような栄養源としては、具体的には、炭素源、窒素源、ミネラル等が挙げられる。
前記炭素源としては、使用する酵母の種類、培養目的等に応じて、酵母が資化可能な含炭素化合物を適宜選定すればよいが、例えば、グルコース、フラクトース、シュクロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、でんぷんの加水分解物、バイオマスの加水分解物等の糖類;フマル酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類;メタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの炭素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、培地中の炭素源の濃度は、通常の酵母の培養の場合と同様の範囲に設定すればよい。
前記窒素源についても、使用する酵母の種類、培養目的等に応じて、酵母が資化可能な含窒素化合物を適宜選定すればよいが、例えば、アンモニア;、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩;アミノ酸、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆加水分解物等の有機窒素等が挙げられる。これらの窒素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、培地中の窒素源の濃度は、通常の酵母の培養の場合と同様の範囲に設定すればよい。
前記ミネラルについても、使用する酵母の種類、培養目的等に応じて適宜選定すればよいが、例えば、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛等の塩類が挙げられる。これらのミネラルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、培地中のミネラルの濃度は、通常の酵母の培養の場合と同様の範囲に設定すればよい。
更に、本発明の培養方法で使用される培地には、必要に応じて、ビタミンB1等のビタミンを含んでいてもよい。また、本発明の培養方法を発酵工程に使用する場合であれば、製造目的となる発酵物の種類に応じて、各種食物素材を含んでいればよい。
また、本発明の培養方法で使用される培地のpHについては、使用する酵母が生育可能な範囲であればよいが、例えばpH5〜10、好ましくはpH6〜9が挙げられる。
本発明の培養方法で使用される培地は、液状、固体状、半固体状のいずれであってもよく、培養目的等に応じて適宜設定すればよい。
[酵母]
本発明の培養方法が適用される酵母の種類については、特に制限されず、例えば、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎、清酒、味噌、醤油等の醸造用酵母(エタノール産生酵母を含む);パン酵母;工業用エタノールの製造に使用されるエタノール産生酵母;有機酸産生酵母;酵母エキスの原料酵母等が挙げられる。
本発明の培養方法が適用される酵母として、具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、カンディダ(Candida)属、ピヒア(Pichia)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属等の属に属する酵母が挙げられる。サッカロマイセス属の酵母としては、より具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・パラドキサス(Saccharomyces paradoxus)、サッカロマイセス・ミカタエ(Saccharomyces mikatae)、サッカロマイセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロマイセス・クドリアヴゼヴィイ(Saccharomyces kudriavzevii)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)等が挙げられる。また、チゴサッカロミセス属の酵母としては、より具体的には、チゴサッカロミセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)、チゴサッカロミセス・メーリス(Zygosaccharomyces mellis)等が挙げられる。シゾサッカロマイセス属の酵母としては、より具体的にはシゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ジャポニカス(Schizosaccharomyces japonicus)、シゾサッカロミセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)等が挙げられる。カンディダ属の酵母としては、より具体的には、カンディダ・ユティリス(Candida utilis)、カンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンディダ・リポリティカ(Candida lypolitica)、カンディダ・サケ(Candida sake)、カンデイダ・ベルサチルス(Candida versatilis)等が挙げられる。ピヒア属の酵母としては、より具体的には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等が挙げられる。ハンゼヌラ属の酵母としては、より具体的には、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)等が挙げられる。
本発明の培養方法によれば、酵母の生育を促進することにより、酵母によるエタノール生産も効率的に行うことが可能になるので、このような本発明の効果を鑑みれば、本発明の培養方法が適用される酵母として、好ましくはアルコール産生酵母、更に好ましくはサッカロマイセス属の酵母、特に好ましくはサッカロマイセス・セレビシエが挙げられる。
また、本発明の培養方法は、野生株及び変異株のいずれの酵母に対しても適用することができる。ここで、「野生株」とは、遺伝子に対して人工的な変異処理を施しておらず、自然界に存在していた酵母を意味し、「変異株」とは、遺伝子に対して人工的な変異処理を施した酵母を意味する。
[培養条件]
本発明の培養方法における培養方式は、回分培養、流加培養、連続培養等のいずれで行ってもよく、使用する酵母の種類、培養目的等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の培養方法における培養温度については、酵母が生育可能であることを限度として特に制限されず、使用する酵母の種類、培養目的等に応じて適宜設定すればよい。また、本発明の培養方法における培養時間については、酵母の濃度、培養液中に残存する炭素源濃度、培養目的等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の培養方法は、酵母の生育を促進することによって、酵母菌体の生産性を向上させ得るので、醸造用酵母の生産、パン酵母の生産、工業用エタノールの製造に使用される酵母の生産、有機酸の製造に使用される酵母の生産、酵母エキスの原料酵母の生産等、酵母の菌体生産の目的で行われる酵母の培養に適用することができる。
また、本発明の培養方法は、エタノール産生酵母によるエタノール産生効率を向上させ得るので、エタノールの製造目的で行われる酵母の培養に適用することもでき、更には、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎、清酒等のアルコール飲料の製造における発酵工程で行われる酵母の培養に適用することもできる。
2.酵母培養用の培地
本発明の培地は、酵母を培養するために使用される培地であって、チオ硫酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする。本発明の培地を使用することにより、酵母の生育を促進でき、酵母の菌体生産や酵母によるエタノール生産を効率的に行うことが可能になる。
本発明の培地において、配合される成分、適用対象となる酵母等については、前記「1.培養方法」の欄に記載の通りである。
次に、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
試験例1
硫黄源として、チオ硫酸ナトリウム又は硫酸ナトリウムを使用し、出芽酵母の生育特性とエタノール産生能を評価した。
先ず、前培養として、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)をYPD培地で1日半、30℃で振盪し、定常期まで培養した。その後、5,500rpm、5分、4℃で集菌し、脱イオン水で菌を3回洗った。そして、OD600を測定し、OD600=0.1になるように、表1に示す組成のSD培地30mLに植菌して30℃にて培養を行った。植菌後、0,6,12,18,24,30時間目に、1mLサンプリングし、その内、100μLを900μLの脱イオン水と混ぜOD600で生育度を測定した。
なお、本試験例1において、出芽酵母の培養に使用したSD培地の組成は、以下の通りであり、硫黄源は、硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム以外には含まれていない。
得られた結果を図3に示す。この結果から、硫黄源を含まない培地では、出芽酵母は生育できなかったが(比較例1)、チオ硫酸ナトリウムを硫黄源として使用すると、出芽酵母は良好な生育を示すことが明らかとなった(実施例1)。更に、チオ硫酸ナトリウムを単一硫黄源として使用した場合では、硫酸ナトリウムを単一硫黄源として使用した場合に比べて、酵母の生育が促進されており、増殖速度が速くなっていることも明らかとなった(実施例1及び比較例2)。
試験例2
硫黄源として、チオ硫酸ナトリウム単独、硫酸ナトリウム単独、又はこれらの混合物を使用し、エタノール産生酵母の生育特性とエタノール産生能を評価した。本試験例2で使用したエタノール産生酵母は、前記試験例1で使用した出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)と同様である。
具体的には、前記試験例1と同条件で出芽酵母の前培養を行って集菌した後に、OD600を測定し、OD600=0.1になるように、表2に示す組成のSD培地30mLに植菌して30℃にて培養を行った。植菌後、0,6,12,18,24,30時間目に、1mLサンプリングし、その内、100μLを900μLの脱イオン水と混ぜOD600で生育度を測定した。残りの900μLは、5,500rpm、5分、4℃で遠心し、上清を回収して、グルコースとエタノールの測定のために、-20℃で保存した。
培地中のグルコース残量の測定には、グルコースキット グルコースCII-テストワコー(和光純薬工業株式会社)を使用した。また、エタノールの測定は、1サンプル150μL及び内部標準として0.6重量%の1-プロパノール450μLをバイアル瓶に入れ、30分間50℃の恒温槽で温め、ガスクロマトグラフィー(GC-14B、SHIMADZU)で測定した。
なお、本試験例2において、出芽酵母の培養に使用したSD培地の組成は、以下の通りであり、硫黄源は、硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム以外には含まれていない。
得られた結果を図4に示す。この結果から、硫黄源としてチオ硫酸ナトリウムを含む場合(実施例2及び3)には、硫黄源として硫酸ナトリウムを単独で含む場合(比較例3)に比べて、出芽酵母の生育が促進されており、増殖速度及び培地中のグルコース消費速度が向上しており、更にエタノール産生量も向上していた。また、チオ硫酸ナトリウムを単独硫黄源として使用した場合(実施例2)では、硫黄源としてチオ硫酸ナトリウムと硫酸ナトリウムを組み合わせて使用した場合(実施例3)よりも、出芽酵母の増殖速度、グルコース消費速度、及びエタノール産生量が向上しており、チオ硫酸ナトリウムを単独硫黄源として使用することにより、出芽酵母の増殖やエタノール産生能をより一層効果的に向上させ得ることも明らかとなった。

Claims (10)

  1. チオ硫酸及び/又はその塩を含む培地で酵母を培養することを特徴とする、酵母の培養方法。
  2. 前記酵母が、エタノール産生酵母である、請求項1に記載の培養方法。
  3. エタノールの製造に適用される、請求項2に記載の培養方法。
  4. 前記培地中に含まれる硫黄源の総量当たり、チオ硫酸及び/又はその塩がモル比で1%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の培養方法。
  5. 前記培地中において、チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源である、請求項1〜4のいずれかに記載の培養方法。
  6. チオ硫酸及び/又はその塩を含むことを特徴とする、酵母培養用の培地。
  7. エタノール産生酵母の培養に使用される、請求項6に記載の培地。
  8. エタノールの製造に使用される、請求項7に記載の培地。
  9. 硫黄源の総量当たり、チオ硫酸及び/又はその塩をモル比で1%以上含む、請求項6〜8のいずれかに記載の培地。
  10. チオ硫酸及び/又はその塩が単一硫黄源である、請求項6〜9のいずれかに記載の培地。
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