JP2016033375A - フィードパイプ取り付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィードパイプとケース及びシャフトとの嵌め合いに関しケース及びシャフトの嵌合部位に対し高い寸法精度および面粗度を要求することがなく且つ変速機の組立て時及び動作時においてメタルダストが発生することがない信頼性の高いフィードパイプ取り付け構造を提供する。【解決手段】フィードパイプ3の外周面においてケース1に対向する位置に第1周溝3aを、中空回転軸2に対向する位置に第2周溝3bを、第1周溝3aと第2周溝3bとの間に第3周溝3cをそれぞれ設ける。そして、第1周溝3aにOリング4を、第2周溝3bにCリング5を、第3周溝3cに邪魔板6をそれぞれ設ける。なお、フィードパイプ3が中空回転軸2側に最大変位した時の軸端面3eとケース1との離間距離Xを、邪魔板6と第3周溝3cとの間の軸方向間隔Yより大きくする。更にOリング4のシール外径φ1をCリング5のシール外径φ2に等しくする。【選択図】図1
Description
本発明はフィードパイプ取り付け構造に関し、より詳細にはフィードパイプとケース及びシャフトとの嵌め合いに関しケース及びシャフトの嵌合部位に対し高い寸法精度および面粗度を要求することがなく且つ変速機の組立て時及び動作時においてメタルダストが発生することがない信頼性の高いフィードパイプ取り付け構造に関するものである。
フィードパイプは、変速機ケース側から、例えばプーリー機構の回転軸(中空シャフト)内へオイルを供給するための部品であると同時に、オイルの漏洩を防止するシールリングを保持するための部品でもある。フィードパイプの変速機ケースに対する取り付け構造として、主に以下に記す2通りの構造が知られている。先ず、構造A(図4(a))として、鋼製のフィードパイプを穴(外筒)とする一方、アルミ製ケースから突出した吐出ポートを軸(内筒)として、フィードパイプ内周面に吐出ポート外周面を圧入嵌め合いする構造である。次に、構造B(図4(b))として、鋼製のフィードパイプを軸(内筒)とする一方、アルミ製のケースから突出した吐出ポートを穴(外筒)として、吐出ポート内周面にフィードパイプ外周面を圧入嵌め合いする構造である(例えば、特許文献1を参照。)。なお、構造A及び構造Bのどちらの場合も、フィードパイプの回転軸に対する取り付け構造は、フィードパイプを軸(内筒)とする一方、変速機の回転軸を穴(外筒)として、変速機の回転軸の内周面にフィードパイプ外周面を圧入嵌め合いする構造である。
上記構造Aの場合、ケース側の吐出ポート(丸軸)について、圧入嵌め合いが可能となるように、吐出ポートの鋳造面(外周面)を所定の寸法精度と面粗度で切削加工によって仕上げる必要がある。丸軸の切削加工は、旋盤を用いるのが最も容易である。
しかし、ケースが大きい場合は旋盤に置くことが出来ないため加工が出来ず、そのためボーリングカッター等の特殊工具が必要になるという問題があった。
また、上記構造Bの場合、ケースは鉄系材料に比べ強度に劣るアルミ系材料によって作られているため、フィードパイプをケースに圧入することによって、ケース内周面が削られる。そして、フィードパイプの圧入嵌め合いによってケース内周面から削り取られたアルミはメタルダスト(アルミダスト)としてフィードパイプ端部の面取り部にたまるようになる。このようにアルミダストは油路内部に位置したフィードパイプの面取り部にたまり、油路内部へ放出され、最悪の場合、アルミダストが油圧制御バルブの隙間にはさまれる可能性があり、結果的に変速機の信頼性を損なうという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、フィードパイプとケース及びシャフトとの嵌め合いに関しケース及びシャフトの嵌合部位に対し高い寸法精度および面粗度を要求することがなく且つ変速機の組立て時及び動作時においてメタルダストが発生することがない信頼性の高いフィードパイプ取り付け構造を提供することにある。
しかし、ケースが大きい場合は旋盤に置くことが出来ないため加工が出来ず、そのためボーリングカッター等の特殊工具が必要になるという問題があった。
また、上記構造Bの場合、ケースは鉄系材料に比べ強度に劣るアルミ系材料によって作られているため、フィードパイプをケースに圧入することによって、ケース内周面が削られる。そして、フィードパイプの圧入嵌め合いによってケース内周面から削り取られたアルミはメタルダスト(アルミダスト)としてフィードパイプ端部の面取り部にたまるようになる。このようにアルミダストは油路内部に位置したフィードパイプの面取り部にたまり、油路内部へ放出され、最悪の場合、アルミダストが油圧制御バルブの隙間にはさまれる可能性があり、結果的に変速機の信頼性を損なうという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、フィードパイプとケース及びシャフトとの嵌め合いに関しケース及びシャフトの嵌合部位に対し高い寸法精度および面粗度を要求することがなく且つ変速機の組立て時及び動作時においてメタルダストが発生することがない信頼性の高いフィードパイプ取り付け構造を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るフィードパイプ取り付け構造では、油圧源からの作動油が流れる油路(1a)ならびに作動油が外部に吐出する吐出ポート(1b)を有するケース(1)と、前記ケース(1)に回転自在に支持される中空回転軸(2)と、前記吐出ポート(1b)と前記中空回転軸(2)を接続するフィードパイプとしての中間パイプ(3,3’)と、前記中空回転軸(2)上に設けられた油圧作動機構(10)とを備えた変速機構において、
前記中間パイプ(3,3’)は、軸端面(3e,3e’)が前記ケース(1)に対し常時離間した状態で一端が前記吐出ポート(1b)に嵌合される一方、他端が前記中空回転軸(2)に挿入されると共に、
前記中間パイプ(3,3’)の外周面または内周面には前記ケース(1)の前記吐出ポート(1b)に対向する位置に第1周溝(3a,3a’)、前記中空回転軸(2)の内周面に対向する位置に第2周溝(3b)、ならびに前記第1周溝(3a,3a’)と前記第2周溝(3b)との間に第3周溝(3c)がそれぞれ形成され、
前記第1周溝(3a,3a’)には前記吐出ポート(1b)からの作動油の漏洩を防止する変形可能なOリング(4)が、前記第2周溝(3b)には前記中間パイプ(3,3’)に対する前記中空回転軸(2)の差回転を許容する変形可能なシールリング(5)がそれぞれ設けられ、且つ前記第3周溝(3c)には前記中間パイプ(3,3’)の軸方向に対する摺動を規制する邪魔板(6)がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
前記中間パイプ(3,3’)は、軸端面(3e,3e’)が前記ケース(1)に対し常時離間した状態で一端が前記吐出ポート(1b)に嵌合される一方、他端が前記中空回転軸(2)に挿入されると共に、
前記中間パイプ(3,3’)の外周面または内周面には前記ケース(1)の前記吐出ポート(1b)に対向する位置に第1周溝(3a,3a’)、前記中空回転軸(2)の内周面に対向する位置に第2周溝(3b)、ならびに前記第1周溝(3a,3a’)と前記第2周溝(3b)との間に第3周溝(3c)がそれぞれ形成され、
前記第1周溝(3a,3a’)には前記吐出ポート(1b)からの作動油の漏洩を防止する変形可能なOリング(4)が、前記第2周溝(3b)には前記中間パイプ(3,3’)に対する前記中空回転軸(2)の差回転を許容する変形可能なシールリング(5)がそれぞれ設けられ、且つ前記第3周溝(3c)には前記中間パイプ(3,3’)の軸方向に対する摺動を規制する邪魔板(6)がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
上記構成では、上記Oリング(4)及びシールリング(5)がケース(1)及び中空回転軸(2)に対する嵌め合い寸法調整代となるため、ケース(1)及び中空回転軸(2)の各嵌合部位に対する中間パイプ(3,3’)の嵌め合いに係る寸法を緩くすることが可能となる。この場合、上記シールリング(5)を中間パイプ(3,3’)と中空回転軸(2)との間におけるシール部材として使用することにより、中空回転軸(2)が回転した場合であっても、上記シールリング(5)は中空回転軸(2)の中間パイプ(3,3’)に対する差回転を許容するため、中間パイプ(3,3’)は回転方向に関し静止状態を保持することが可能となる。なお、軸方向に関しても後述する通り、中間パイプ(3,3’)の両側における静油圧が作用する受圧面積を等しくすることにより、静止状態を保持することが可能となる。その結果、ケース(1)と中間パイプ(3,3’)との間におけるシール部材として、Oリング(4)を使用することが可能となり、ケース(1)と中間パイプ(3,3’)との間におけるシール性を向上させることが可能となる。更に、上記邪魔板(6)によって油の流れによる力が発生する場合であっても中間パイプ(3,3’)が軸方向に変位しケース(1)に当接することがなくなり、変速機の動作時におけるケース(1)の摩耗が好適に抑制され、メタルダストの発生を好適に抑制することが可能となる。
本発明に係るフィードパイプ取り付け構造の第2の特徴は、前記中間パイプ(3,3’)が前記中空回転軸(2)側に最大変位した時の前記軸端面(3e,3e’)と前記ケース(1)との離間距離(X)は、前記邪魔板(6)と前記第3周溝(3c)との間の軸方向間隔(Y)より大きい、ことである。
上記構成では、中間パイプ(3,3’)は第3周溝(3c)と邪魔板(6)との間における最大軸方向間隔(Y)分だけケース(1)側に近接することが出来るが、前記軸端面(3e,3e’)と前記ケース(1)との離間距離(X)は上記最大軸方向間隔(Y)より大きくなるように設定されているため、中間パイプ(3,3’)がケース(1)に当接することはなくなる。
本発明に係るフィードパイプ取り付け構造の第3の特徴は、前記Oリング(4)のシール外径(φ1)又は前記中間パイプ(3’)の内部軸端面(3e’)の外径(φ1’)は前記シールリング(5)のシール外径(φ2)に等しい、ことである。
上記構成では、中間パイプ(3,3’)において作動油の静油圧が作用する受圧面積がケース(1)側と中空回転軸(2)側とで等しくなるため、作動油が中間パイプ(3,3’)内を流れる場合であっても、中間パイプ(3,3’)は軸方向に関し静止状態を保持することが可能となる。
本発明のフィードパイプ取り付け構造(100)によれば、上記Oリング(4)及びシールリング(5)がケース(1)及び中空回転軸(2)に対する嵌め合い寸法調整代となるため、中間パイプ(3,3’)のケース(1)及び中空回転軸(2)に対する嵌め合いに係る寸法要求を緩くすることが可能となる。その結果、中間パイプ(3,3’)をケース(1)及び中空回転軸(2)に嵌合する際、中間パイプ(3,3’)の外周面がケース(1)及び中空回転軸(2)によって削られることがなくなり、メタルダストが発生しなくなる。また、上記シールリング(5)によって中間パイプ(3,3’)は中空回転軸(2)の差回転を許容するようになり、中空回転軸(2)が回転する場合であっても中空パイプ(3)は回転方向に関し静止状態を保持することが可能となる。更に、中間パイプ(3,3’)の両側における静油圧が作用する受圧面積を等しくすることにより、中間パイプ(3,3’)は軸方向に関しても静止状態を好適に保持することが可能となる。その結果、作動油のケース(1)からの漏洩を防止するシール部材として上記Oリング(4)を使用することが可能となり、ケース(1)と中間パイプ(3,3’)との間におけるシール性が向上するようになる。
また、油の流れによる力が発生する場合であっても、上記邪魔板(6)によって中間パイプ(3,3’)が軸方向に変位しケース(1)に当接することがなくなり、変速機の動作時におけるケース(1)の摩耗が好適に抑制され、メタルダストの発生を好適に抑制することが可能となる。
また、油の流れによる力が発生する場合であっても、上記邪魔板(6)によって中間パイプ(3,3’)が軸方向に変位しケース(1)に当接することがなくなり、変速機の動作時におけるケース(1)の摩耗が好適に抑制され、メタルダストの発生を好適に抑制することが可能となる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明のフィードパイプ取り付け構造100を示す説明図である。なお、図1(a)は要部断面図であり、同(b)は同(a)のA部拡大図である。また本実施例において本発明が適用される変速機としてはCVT(ベルト式無段変速機)とし、特にドリブンプーリー10に本発明に係るフィードパイプ3を取り付ける構造を例示することとする。
このフィードパイプ取り付け構造100は、中空回転軸2を回転自在に支持すると共に、油圧ポンプ(図示せず)から圧送される作動油(以下、「オイル」という。)が流れる油路1aを内部に有するケース1と、固定ドリブンプーリー10aが一体化されると共に内部にオイルが流れる油路を有する中空回転軸2と、ケース1の吐出ポート1bから供給されるオイルを中空回転軸2の内部に導入するフィードパイプ3と、オイルのケース1からの漏洩を防止するシール部材としてのOリング4と、フィードパイプ3に対する中空回転軸2の差回転(相対回転)を許容するCリング5と、フィードパイプ3の軸方向に対する摺動を規制する邪魔板6と、邪魔板6をケース1に係止するボルト7とを具備して構成されている。以下、各構成について更に説明する。
このフィードパイプ取り付け構造100は、中空回転軸2を回転自在に支持すると共に、油圧ポンプ(図示せず)から圧送される作動油(以下、「オイル」という。)が流れる油路1aを内部に有するケース1と、固定ドリブンプーリー10aが一体化されると共に内部にオイルが流れる油路を有する中空回転軸2と、ケース1の吐出ポート1bから供給されるオイルを中空回転軸2の内部に導入するフィードパイプ3と、オイルのケース1からの漏洩を防止するシール部材としてのOリング4と、フィードパイプ3に対する中空回転軸2の差回転(相対回転)を許容するCリング5と、フィードパイプ3の軸方向に対する摺動を規制する邪魔板6と、邪魔板6をケース1に係止するボルト7とを具備して構成されている。以下、各構成について更に説明する。
ドリブンプーリー10の構成は、固定ドリブンプーリー10aと可動ドリブンプーリー10bとから成り、固定ドリブンプーリー10aは中空回転軸2に固定され中空回転軸2に対し軸方向に摺動(相対変位)することは出来ないが、可動ドリブンプーリー10bにはシリンダ室(図示せず)が設けられ、そのシリンダ室に供給されるオイルの油圧(側圧)に応じて中空回転軸2に対し軸方向に摺動することが可能である。従って、そのシリンダ室に供給されるオイルの油圧(側圧)を変えることにより、固定ドリブンプーリー10aと可動ドリブンプーリー10bとのプーリー幅(溝幅)を変えることが可能である。なお、入力段のドライブプーリー(図示せず)についても、同様に、オイルの側圧に応じてプーリー幅(溝幅)を変えることが可能である。
また、ドライブプーリーとドリブンプーリー10との間には回転動力を伝達するVベルト11が巻き掛けられている。Vベルト11は多数のエレメント11aとその両側に嵌め込まれた2本のリング11bから成り、エレメント11aに形成されたV字面がリング11bによって各プーリー面に押圧され、そのV字面とプーリー面との摩擦力によってエンジンからの回転動力をドライブプーリーからドリブンプーリー10に伝達する。従って、ドライブプーリーとドリブンプーリー10の両側圧をそれぞれ増減させることによって各プーリー幅を変化させ、Vベルト11の両プーリーに対する巻き付け半径を変化させることにより、例えばトルクコンバータ(図示せず)及び前後進切換機構(図示せず)を介して入力されるエンジンからの回転駆動力を巻き付け半径の比に応じた変速比でドライブプーリーからドリブンプーリー10に伝達することが可能となる。
ケース1には中空回転軸2を回転自在に支持するためのベアリング12が設けられている。そのベアリング12は、例えば中空回転軸2の内周面に設けられた複数の貫通穴2aを介してケース1側から供給されるオイルによって潤滑される。
図1(b)に示すように、フィードパイプ3の外周面には、ケース1の吐出ポート1bの内周面に対向する位置に第1周溝3a、中空回転軸2の内周面に対向する位置に第2周溝3b、ならびに第1周溝3aと第2周溝3bとの間に第3周溝3cがそれぞれ形成されている。第1周溝3aにはOリング4が嵌め込まれ、Oリング4はオイルがケース1(油路1a)から漏洩することを防止する。また、第2周溝3bにはCリング5が嵌め込まれ、Cリング5は中空回転軸2がフィードパイプ3に対し差回転(相対回転)することを許容する。つまり、中空回転軸2とフィードパイプ3とのシール部材としてCリング5を使用することにより中空回転軸2が回転する場合であっても、フィードパイプ3はケース1及び中空回転軸2に対し回転方向に関し静止状態を保つことが可能となる。これにより、ケース1とフィードパイプ3とのシール部材としてOリング4を使用することが可能となり、ケース1のオイルに対するシール性が向上する。なお、Oリング4及びCリング5は、例えば耐油性を有する合成樹脂製である。
また、図1(b)に示すように、ケース1の吐出ポート1bの穴径(Oリング4のシール外径)φ1と、Cリング5のシール径φ2との間には、φ1=φ2という関係が成り立つ。この関係により、オイルの静油圧によるフィードパイプ3の軸方向の荷重はゼロとなる。即ち、フィードパイプ3のケース1側においてオイルが作用する受圧面積と中空回転軸2側においてオイルが作用する受圧面積がそれぞれ等しくなり、オイルの静油圧によるフィードパイプ3の軸方向の荷重はゼロとなる。その結果、フィードパイプ3はケース1及び中空回転軸2に対し軸方向に関し静止状態を保つことが可能となる。従って、フィードパイプ3はケース1及び中空回転軸2に対し軸方向および回転方向に関し静止状態を保つことが可能となる。
他方、第3周溝3cには邪魔板6が嵌め込まれ、フィードパイプ3が軸方向に変位すること防止する。図2に示すように、邪魔板6の上部にはフィードパイプ3の第3周溝3cに嵌る半円弧状の切欠き6aが形成され、その切欠き6bの下方には邪魔板6をケース1に固定するボルト7が通る貫通穴6bが形成されている。
また、図1(b)に示すように、フィードパイプ3が中空回転軸2側に最大変位した時、フィードパイプ3のケース1側の軸端面3eとケース1との最大離間距離Xと、邪魔板6の第3周溝3cに対する軸方向間隔(ガタ)Yとの間には、X>Yという関係が成り立つ。この関係により、油の流れによる力が大きくなりフィードパイプ3が軸方向に変位する場合であっても、フィードパイプ3とケース1が当接することはなく、これにより、油の流れによる力によるケース1の摩耗およびメタルダストの発生を防止することが可能となる。
図3は、本発明に係るフィードパイプの他の例を示す要部断面説明図である。
このフィードパイプ3’のケース1に対する嵌合形態は、上記フィードパイプ3のケース1に対する嵌合形態(ケース1の吐出ポート1bが穴となり且つフィードパイプ3が軸となる穴−軸の嵌合形態)とは異なり、ケース1の吐出ポート1bが軸となり且つフィードパイプ3’が穴となる軸−穴の嵌合形態である。そのため、このフィードパイプ3’では、Oリング4が嵌る第1周溝3a’は外周面ではなく内周面に形成され、更にオイルの静油圧が作用するケース1側の受圧面に係る穴径としては、内部のパイプ軸端面の最大径φ1’となる。なお、中空回転軸2側の受圧面に係る穴系としてはフィードパイプ3と同じCリング5のシール外径φ2である。
このフィードパイプ3’のケース1に対する嵌合形態は、上記フィードパイプ3のケース1に対する嵌合形態(ケース1の吐出ポート1bが穴となり且つフィードパイプ3が軸となる穴−軸の嵌合形態)とは異なり、ケース1の吐出ポート1bが軸となり且つフィードパイプ3’が穴となる軸−穴の嵌合形態である。そのため、このフィードパイプ3’では、Oリング4が嵌る第1周溝3a’は外周面ではなく内周面に形成され、更にオイルの静油圧が作用するケース1側の受圧面に係る穴径としては、内部のパイプ軸端面の最大径φ1’となる。なお、中空回転軸2側の受圧面に係る穴系としてはフィードパイプ3と同じCリング5のシール外径φ2である。
以上の通り、本発明のフィードパイプ取り付け構造100によれば、上記Oリング4及びCリング5がケース1及び中空回転軸2に対する嵌め合い寸法調整代となるため、フィードパイプ3,3’のケース1及び中空回転軸2に対する嵌め合いに係る寸法要求を緩くすることが可能となる。その結果、フィードパイプ3,3’をケース1及び中空回転軸2に嵌合する際、フィードパイプ3,3’の外周面がケース1及び中空回転軸2によって削られることがなくなり、メタルダストが発生しなくなる。また、上記Cリング5によってフィードパイプ3,3’は中空回転軸2の差回転を許容するようになり、中空回転軸2が回転する場合であってもフィードパイプ3,3’は回転方向に関し静止状態を好適に保持することが可能となる。更に、フィードパイプ3,3’の両側における静油圧が作用する受圧面積を等しくすることにより、フィードパイプ3,3’は軸方向に関しても静止状態を保持することが可能となる。その結果、作動油のケース1からの漏洩を防止するシール部材として上記Oリング4を使用することが可能となり、ケース1とフィードパイプ3との間におけるシール性が向上するようになる。
また、油の流れによる力が発生する場合であっても、上記邪魔板6によってフィードパイプ3,3’が軸方向に変位しケース1に当接することがなくなり、変速機の動作時におけるケース1の摩耗が好適に抑制され、メタルダストの発生を好適に抑制することが可能となる。
また、油の流れによる力が発生する場合であっても、上記邪魔板6によってフィードパイプ3,3’が軸方向に変位しケース1に当接することがなくなり、変速機の動作時におけるケース1の摩耗が好適に抑制され、メタルダストの発生を好適に抑制することが可能となる。
1 ケース
1a 油路
1b 吐出ポート
2 中空回転軸
3 フィードパイプ
3a 第1周溝
3b 第2周溝
3c 第3周溝
3e 軸端面
3e’ 軸端面
4 Oリング
5 Cリング
6 邪魔板
7 ボルト
100 フィードパイプ取り付け構造
1a 油路
1b 吐出ポート
2 中空回転軸
3 フィードパイプ
3a 第1周溝
3b 第2周溝
3c 第3周溝
3e 軸端面
3e’ 軸端面
4 Oリング
5 Cリング
6 邪魔板
7 ボルト
100 フィードパイプ取り付け構造
Claims (3)
- 油圧源からの作動油が流れる油路ならびに作動油が外部に吐出する吐出ポートを有するケースと、前記ケースに回転自在に支持される中空回転軸と、前記吐出ポートと前記中空回転軸を接続するフィードパイプとしての中間パイプと、前記中空回転軸上に設けられた油圧作動機構とを備えた変速機構において、
前記中間パイプは、軸端面が前記ケースに対し常時離間した状態で一端が前記吐出ポートに嵌合される一方、他端が前記中空回転軸に挿入されると共に、
前記中間パイプの外周面または内周面には前記ケースの前記吐出ポートに対向する位置に第1周溝、前記中空回転軸の内周面に対向する位置に第2周溝、ならびに前記第1周溝と前記第2周溝との間に第3周溝がそれぞれ形成され、
前記第1周溝には前記吐出ポートからの作動油の漏洩を防止するOリングが、前記第2周溝には前記中間パイプに対する前記中空回転軸の差回転を許容するシールリングがそれぞれ設けられ、且つ前記第3周溝には前記中間パイプの軸方向に対する摺動を規制する邪魔板がそれぞれ設けられていることを特徴とするフィードパイプ取り付け構造。 - 前記中間パイプが前記中空回転軸側に最大変位した時の前記軸端面と前記ケースとの離間距離は、前記邪魔板と前記第3周溝との間の軸方向間隔より大きいことを特徴とする請求項1に記載のフィードパイプ取り付け構造。
- 前記Oリングのシール外径又は前記中間パイプの内部軸端面の外径は前記シールリングのシール外径に等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィードパイプ取り付け構造。
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