JP2016030920A - 対震ストライク付引戸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対震ストライク付引戸15は、枠部材2、引戸部材3、ストライク11、鎌錠12、台座16、支持部材17、及び、リベット(連結部材)18を有する。枠部材2が戸先方向へ層間変形したことに伴って戸先方向へ移動した引戸部材3によって台座16が戸先方向へ押圧され、且つ、リベット18が破断したときに、ストライク11は戸先方向へ移動可能となる。このため、鎌錠12の鎌状部材13の先端部分13aの、ストライク11の内側面11eに対する側圧の増加が緩和され、解錠可能となる。
【選択図】図7
Description
図1は、一つの錠前が設けられた、いわゆる1ロックタイプの引戸の構成例を示す正面図である。
引戸1は、枠部材2と引戸部材3とから概略構成されている。枠部材2は、無目と称される上枠4、戸先側竪枠5、戸尻側竪枠6、上枠4の中央部分に配設された竪額縁7、及び、戸袋8を備えている。この戸袋8は、竪額縁7と戸尻側竪枠6との間に設けられ、且つ、引戸部材3を収容する。引戸部材3は、枠部材2の戸先側竪枠5と戸尻側竪枠6との間に、枠部材2の上枠4の下部又は建物の出入口の床上に配設されたレール(図示せず)に沿って往復移動可能に配設されている。引戸部材3の戸先側には、把手9、及び、その下に一つの錠前10が設けられている。
図2に示すように、引戸用錠前10は、枠部材2の戸先側竪枠5内に配設されたストライク11と、引戸部材3の戸先側に配設された鎌錠12を有している。ストライク11は、錠受けとなる略半円筒部11aと、この略半円筒部11aの直径よりも長い矩形状の板部11bと、この板部11bの両端に形成された貫通孔11cと、板部11bのうち、略半円筒部11aの一方の半径部分に相当する位置に形成された矩形の開口部11dと、板部11bのうち、略半円筒部11aの他方の半径部分に相当する内側面11eを有している。鎌錠12は、ストライク11の開口部11dから略半円筒部11a内に旋回しながら挿入される鎌状部材13と、この鎌状部材13を旋回させるサムターン14を備えている。
このような引戸用錠前10では、鎌錠12の鎌状部材13がストライク11の開口部11d内に旋回しながら挿入され、且つ、その鎌状部材13の先端部分13aがストライク11の内側面11eに当接し、係合することによって施錠され、引戸部材3の面内方向への移動が規制されるように構成されている。尚、面内とは、枠部材2により規定される面の内側をいい、以下において、単に、戸尻方向あるいは戸先方向というときは、いずれも、面内の方向を指すものとする。
図3に示すように、引戸1の枠部材2が戸先方向へ層間変形した状態において、その枠部材2の戸先側竪枠5に施錠された引戸部材3は、層間変形しないものの、枠部材2の層間変形時に戸先方向へ移動する引戸部材3によって戸先側竪枠5が戸先方向に押圧される。
施錠時では、ストライク11の内側面11eに鎌錠12の鎌状部材13の先端部分13aが係合しているため、ストライク11の位置が、層間変形時に枠部材2に加わる荷重の支点となる。この場合、支点の下側における、枠部材2の戸先側竪枠5の戸尻側端面と引戸部材3の戸先側端面との距離(引出し距離)は、枠部材2の層間変形前よりも長くなる。
2ロックタイプでは、図5に示すように、引戸部材3の把手9の上下に、上部錠前10a及び下部錠前10bが設けられている。この場合、上部錠前10a及び下部錠前10bのいずれかのストライク11の位置が、層間変形時に枠部材2に加わる荷重の支点となる。図6に示した構成例では、下部錠前10aのストライク11の位置を支点としている。この場合、下部錠前10bの下側における、枠部材2の戸先側竪枠5の戸尻側端面と引戸部材3の戸先側端面との距離(引出し距離)は、図3に示した1ロックタイプの場合よりも長くなる。
また、側圧が増加した状態で、ユーザーがサムターン14を操作して、無理に解錠しようとすると、場合によっては、サムターン14やその周辺部品の破損を招く可能性もある。この場合には、さらに、引戸の開閉が困難になり、退避行動が制限される。
また、側圧の増加を緩和できるので、平時におけるユーザーによる操作によって、解錠できることから、無理な解錠操作を避けることができるため、ユーザーの操作によるサムターンやその周辺部品の破損を防止できる。
本発明の実施の形態による対震ストライク付引戸について、図7〜図10を参照して説明する。但し、その説明においては、図1〜図6と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態による対震ストライク付引戸15は、施錠時において、枠部材2が戸先方向へ層間変形した状態で、ストライク11が戸先方向へ移動可能となるように、枠部材2の戸先側竪枠5内に配設されるための配設構造を有する点に特徴がある。この配設構造は、台座16、支持部材17、及び、リベット(連結部材)18を有している(図7参照)。
以下、配設構造の各部品について説明する。
この台座16は、図7に示すように、その板部16aが枠部材2の戸先側竪枠5内の凹部5aに戸先側竪枠5の長さ方向に延在した状態で、且つ、板部16aが戸先側竪枠5の内部空間を戸先側の領域と戸尻側の領域に隔てるように配設されるため、柱部16bは戸尻方向に延在する。柱部16bは、後述する支持部材17の貫通孔17c内を戸先方向へ摺動可能である。柱部16bの長さは、ストライク11の戸先方向への最大移動距離に相当する。尚、凹部5aは、台座16及び支持部材17を収容するための戸先側竪枠5の内部空間であり、支持部材17の戸先側部分及びリベット18が凹部5aの底面から戸先方向へ突出されるように配設される。
リベット18の破断強度は、平時における防犯性能を維持するため、不用意に、引戸部材3によって枠部材2の戸先側竪枠5が押圧されても、破断せずに、台座16が移動しない程度の下限値と、地震等の影響により枠部材2が戸先方向へ層間変形した状態(層間変形角:1/120rad)で、引戸部材3によって枠部材2の戸先側竪枠5が押圧された際に、確実に破断して台座16が戸先方向へ押圧されて移動する程度の上限値との範囲内で、適宜設定されることが望ましい。
リベット18の設置位置は、上述したように、層間変形時に受ける戸先方向への荷重を受け易い位置とされ、当該荷重が印加される台座16の柱部16b基部近傍であることが望ましい。また、リベット18の材質、サイズ、設置本数は、上述した範囲の破断強度を得るために必要な範囲で決められ、当該3条件は、各条件を相互に勘案して適宜決められる。
先ず、図8(b)に示した台座16の各柱部16bを、図9に示した支持部材17の貫通孔17cに挿通し、二つの支持部材の固定用板部17bを台座16の板部16aの両端側に向けた状態で、各摺動用板部17dを台座16の板部16aの戸尻側面に接触させる。この状態で、リベット18の胴部を台座16の板部16aの連結孔16c及び支持部材17の連結用貫通孔(図示せず)に挿通して突出させ、その突出端を加締めて塑性変形させることによって、台座16と二つの支持部材17を連結する。
その後、図7(a)に示すように、支持部材17の固定用板部17bを枠部材2の戸先側竪枠5の凹部5aに接触させた状態で、ネジ20により固定する。
その後、図7(a)に示すように、ネジ19を化粧板21の貫通孔(図示せず)及びストライク11の貫通孔11cに挿通し、そのネジ19を支持部材17のネジ孔17aに螺合する。これによって、リベット18が破断したときに、台座16が支持部材17から離間し、台座16の柱部16bが支持部材17の貫通孔17c内を戸先方向へ摺動するため、ストライク11は、戸先方向へ移動可能となるように、枠部材2の戸先側竪枠5内に配設される。
図7に示すように、平時において、ストライク11は、上述したように、枠部材2の戸先側竪枠5に固定された支持部材17に対してリベット18を介して連結された台座16の柱部16bに固定されている。この状態では、リベット18の破断強度を超える荷重をリベット18に印加しない限り、ストライク11は戸先方向へ移動しない。このため、施錠時における、鎌錠12の鎌状部材13の先端部分13aの、ストライク11の内側面11eに対する側圧は、所定範囲内にあるため、ユーザーは、サムターン14を時計回りに旋回させることによって、ストライク11と鎌錠12との干渉を解消でき、容易に解錠できる。
一方、図10に示すように、例えば、地震等の影響により枠部材2が戸先方向へ層間変形したことに伴って戸先方向へ移動した引戸部材3によって台座16が戸先方向へ押圧され、且つ、リベット18が破断したときに、台座16が支持部材17から離間し、台座16の柱部16bが支持部材17の貫通孔17c内を戸先方向へ摺動するため、ストライク11は、戸先方向へ移動可能となる。図10では、設置時に上部となる2本のリベット18のみが破断し、ストライク11の上部のみが戸先方向へ移動している。このようにストライク11が戸先方向へ移動するため、施錠時における、鎌錠12の鎌状部材13の先端部分13aの、ストライク11の内側面11eに対する側圧の増加が緩和されるので、この場合においても、平時の施錠時と同様に、ストライク11と鎌錠12との干渉を避けることができ、容易な解錠を期待することができる。
上述したように、枠部材2の戸先方向への層間変形後における引出し距離(枠部材2の戸先側竪枠5の戸尻側端面と引戸部材3の戸先側端面との距離)は、1ロックタイプでは、層間変形前よりも長くなり、2ロックタイプでは、1ロックタイプよりも長くなる。このため、従来の引戸1では、いずれの場合においても、施錠時における、鎌錠12の鎌状部材13の先端部分13aの、ストライク11の内側面11eに対する側圧の増加によって、ストライク11と鎌錠12が強固に干渉するため、容易には解錠できない可能性があった。
これに対し、この実施の形態による対震ストライク付引戸15は、ストライク11を戸先方向へ移動可能とする配設構造を有しているので、上述の引出し距離を見合った、戸先方向への移動距離をストライク11に許容することで、上述の側圧の増加を緩和でき、ストライク11と鎌錠12との干渉を避けることができ、容易な解錠を期待することができる。
また、側圧の増加を緩和できるので、平時におけるユーザーによる操作によって、解錠できることから、無理な解錠操作を避けることができるため、ユーザーの操作によるサムターン14やその周辺部品の破損を防止できる。
さらに、ストライク11は、その戸先方向への移動時においても、枠部材2の戸先側竪枠5に対して戸先方向へ移動する台座16に固定されたままであるので、鎌錠12との係合状態を維持したまま、ストライク11が脱落し、その開口部11dが落下することがない。このため、ストライク11の開口部11dと鎌錠12の鎌状部材13との上下方向の位置関係を維持することができるので、サムターン14の旋回操作によって解消が困難な、位置変動したストライク11と鎌錠12との干渉を生じることを防止できる。
また、この実施の形態では、連結部材としてリベット18を用いて説明したが、台座16の板部16aと支持部材17の摺動用板部17dを連結する部材であって、地震等の影響により枠部材2が戸先方向へ層間変形したことに伴って戸先方向へ移動した引戸部材3によって台座16が戸先方向へ押圧されたときに、破断可能なものであれば、その連結部材は上述したようなリベット18に限定されるものではない。
さらに、設置時に上部となるリベット18及び下部となるリベット18の設置本数をそれぞれ2本としたが、設置本数に制限はない。例えば、上部及び下部において、それぞれ1本ずつであってもよく、それぞれ3本以上であってもよい。さらに、リベット18の設置本数を上部及び下部で同数としたが、上部及び下部の設置本数を異ならせてもよい。
4 上枠, 5 戸先側竪枠, 5a 凹部, 6 戸尻側竪枠,
7 竪額縁, 8 戸袋, 9 把手,
10 引戸用錠前, 10a 上部錠前, 10b 下部錠前,
11 ストライク, 11a 略半円筒部, 11b 板部,
11c 貫通孔, 11d 開口部, 11e 内側面,
12 鎌錠, 13 鎌状部材, 14 サムターン,
15 対震ストライク付引戸,
16 台座, 16a 板部, 16b 柱部,
16c 連結孔, 16d ネジ孔,
17 支持部材, 17a ネジ孔, 17b 固定用板部,
17c 貫通孔, 17d 摺動用板部, 17e 連絡用板部,
18 リベット(連結部材), 19,20 ネジ,
21 化粧板, 21a 戸当たり部。
Claims (3)
- 上枠、戸先側竪枠及び戸尻側竪枠を有する枠部材と、
該枠部材の前記両竪枠間に往復移動可能に配設された引戸部材と、
前記枠部材の前記戸先側竪枠内に該戸先側竪枠の長さ方向に延在する状態で配設された板部、及び、該板部から戸尻方向に延在する柱部を有する台座と、
該台座を前記枠部材の前記戸先側竪枠に固定し、且つ、前記台座の前記柱部を摺動可能な状態で受け入れる貫通孔を有する支持部材と、
該支持部材と前記台座の前記板部を連結し、且つ、破断可能な連結部材と、
前記枠部材の前記戸先側竪枠内に配設され、且つ、前記台座の前記柱部の戸尻側端部に固定されたストライクと、
前記引戸部材の戸先側に設けられ、且つ、施錠時に、前記ストライクに係合可能な鎌状部材を有する鎌錠と、を有し、
前記枠部材が層間変形したことに伴って移動した前記引戸部材によって前記台座が戸先方向へ押圧され、且つ、前記連結部材が破断したときに、前記ストライクは戸先方向へ移動可能となることを特徴とする対震ストライク付引戸。 - 前記連結部材は、リベットであることを特徴とする請求項1記載の対震ストライク付引戸。
- 前記ストライクと前記鎌錠は、少なくとも一対設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の対震ストライク付引戸。
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- 2014-07-28 JP JP2014152740A patent/JP6356001B2/ja active Active
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