JP2016030752A - ペースト性状の劣化を軽減した歯科用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、シラン処理フィラーと重合性単量体とを混合して用いる複合材料を、歯科医師や技工士が安定的に使用して頂くために、複合材料の使用感を良好に一定とすることが求められている。【解決手段】混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることで課題を解決する複合材料を得ることができる。【選択図】 なし

Description

歯科分野における充填または補綴修復、仮封、仮着、補綴物の作製、接着・合着、小窩裂溝封鎖に用いられる歯科用の複合材料に関する。
具体的には、コンポジットレジン(前装冠用や保存修復用などを含む)、仮封・仮着材、レジンセメント、接着材、フィッシャーシーラントなどに用いられるシラン処理フィラーと重合性単量体とを混合して製造するペースト状の複合材料に関する。
歯科分野において、複合材料はシラン処理フィラーと重合性単量体とを混合してペースト状に複合材料を製造し、そのペーストを包装容器に充填した状態で使用者である歯科医師や技工士に提供される。複合材料は、使用用途により接着性モノマーや顔料などを配合するが、基本的にシラン処理フィラーと重合性単量体を適した配合量で混合してペースト状にし、その後包装容器に充填されている。
ペースト化した複合材料は、ペースト性状を安定させることが難しく、たとえば、シリンジ容器に充填された複合材料では、シリンジから排出された初期のペーストに比べ、シリンジから排出された終期のペーストは異なるペースト性状であった。また、製造直後の複合材料に比べ、一定期間保存された複合材料は異なるペースト性状であった。
ペースト性状が安定していない複合材料は、包装容器が変更されると大きく性状が変化していた。
ペーストの製造方法は、混合する手順や方法によりペースト性状や品質が変わる事が知られているが、特定の混合する手順や混合する方法によりペースト性状が安定することは知られていなかった。
従来のペーストは、気泡の混入や、ペースト性状のバラツキが発生して重合が不均一になったり、また製造後のフロー値が大きく変動するなど、最終製品の品質おいてバラツキが大きかった。
歯科に用いられる複合材料は歯科医師や技工士が一定の使用感で常に利用できることが求められる。
特許文献1には、ペースト性状を安定にするために、シランカップリング材を配合することが記載されているが、シランカップリング材の配合では、十分に性状安定性を解決することができなかった。具体的には、ペーストの使用感の指標となるペーストのフロー値などを安定にすることはできなかった。
特開平09-194674
歯科医師や技工士は安定なペースト性状の複合材料を求めている。安定なペースト性状の複合材料とは使用感を良好且つ一定の状態に保つことである。
ペースト状の複合材料が、形態の異なる数々のシリンジ容器に充填しても、安定したペースト性状を保つことが求められていた。
シリンジ容器に充填されたペースト状の複合材料が、シリンジから排出された初期の複合材料と、シリンジから排出された終期の複合材料とが同じペースト性状を得られることが求められていた。また、製造直後の複合材料と、一定期間保存された複合材料と同じペースト性状を得られることが求められていた。
シリンジからペースト状の複合材料を排出して、常に同じペースト性状を得ることはできなかった。
シリンジから排出された複合材料中に斑があり、安定なペースト性状を保つことができなかった。
シリンジに充填された複合材料の使用方法、例えば、連続的な使用、断続的な使用あるいは暫く未使用期間がある場合などによって安定なペースト性状を一定に保つことができなかった。
シリンジに充填された複合材料は、充填された容器ごとにペースト性状が異なり、異なる容器に充填された複合材料であっても安定なペースト性状が得られることが求められていた。
シリンジに充填された複合材料に気泡の巻き込みが見られ、その為、シリンジに複合材料を充填する包装作業時に気泡を取り除く作業を加える必要があった。
複合材料を製造する過程において、検査工程を設けることは一般的であったが、ペースト状の複合材料を安定的に製造する為に検査する工程を実施する適切な時期は知られていなかった。更に、安定な複合材料を製造するためには、検査工程の時期を見出すことが課題であった。そこで本発明は生産工程中の適切な検査工程を適切な時期に実施することを見出し、安定なペースト性状を有する複合材料を製造できることを可能としたものである。
本発明は、シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
重合性単量体と重合開始剤を混合し混合重合性単量体を作製する混合重合性単量体作製工程、
混合重合性単量体を保存容器内で保存する混合重合性単量体保存工程、
混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混合し複合材料を製造する複合材料製造工程、
複合材料を保存容器内で保存する複合材料保存工程、
複合材料を少量保存容器に充填する複合材料充填工程、
充填された少量保存容器で保存する少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする複合材料である。
本発明は、シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
重合性単量体と重合開始剤を混合し混合重合性単量体を作製する混合重合性単量体作製工程、
混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混合し複合材料を製造する複合材料製造工程、
複合材料を少量保存容器に充填する複合材料充填工程、
充填された少量保存容器で保存する少量保存容器保存工程を順次経て得られる複合材料であって、
複合材料製造工程に、微粒子フィラー混練工程及び微粒子フィラー混練後脱泡工程、シラン処理フィラー混練工程およびシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程を順次経ることを特徴とする複合材料である。
混合重合性単量体保存工程中に、混合重合性単量体評価工程を有することが好ましく、この時点で評価工程を実施することは複合材料の安定的供給に寄与するものである。
また、複合材料保存工程中に、複合材料評価工程を有することが好まく、しこの時点で評価工程を実施することは複合材料をより安定的製造することができる。
更に、少量保存容器がシリンジ容器であることが好ましく、ユーザの手元に渡る最終容器であるシリンジ容器に一定期間保存されることで複合材料が安定する。
本発明は、シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
下記に示される混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることで得られた複合材料である。
混合重合性単量体作製工程とは、混合容器中の重合性単量体に重合開始剤を投入し、混合温度は1〜60℃であり、混合時間は1分〜24時間の条件下で、混合重合性単量体を作製する工程である。
混合重合性単量体保存工程とは、混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存単位は1〜50リットルであり、保存温度は1〜23℃であり、保存期間は10日〜1.5年の条件下で保存する工程である。
複合材料製造工程とは、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位で混練工程および脱泡工程を行う工程であり、混合重合性単量体にシラン処理フィラーを投入し行われる工程である。
微粒子を有する場合は微粒子フィラー混練工程、微粒子フィラー混練後脱泡工程を先に行い、続いて、シラン処理フィラー混練工程、シラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う。
微粒子フィラーの投入後、混練を行うが、混練温度は5〜60℃で、混練時間は5〜30分間の条件で微粒子フィラー混練工程を行う。その後に脱泡工程を行うが、真空度は5〜200Torrで、脱泡時間は5〜30分の条件で微粒子フィラー混練後脱泡工程を行う。その後、シラン処理フィラーの投入後、混練温度は5〜60℃で、混練温度は5〜40分間の条件下でシラン処理フィラー混練工程を行い、その後に真空度は5〜200Torrで、脱泡時間は5〜30分のシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う。
複合材料保存工程とは複合材料製造工程で製造された複合材料を保存単位は0.3〜8リットルにて、保存温度は1〜25℃で、保存期間は10日〜1.5年にて保存する工程である。
複合材料充填工程とは、充填機を用いてノズルから押し出された複合材料を保存単位が0.3〜50ccである少量保存容器に充填する工程である。
少量保存容器保存工程とは、少量保存容器内で保存温度は1〜40℃、保存期間は10日〜5年間とする工程である。
前記工程に加え、下記の評価工程を加えることは、ペーストの生産上、不良な製品を早期に見つけることができるため、不良な製品を製造することを抑制でき、更に本発明の安定したペースト性状をえる為には重要な工程である。
混合重合性単量体保存工程中に行われる混合重合性単量体評価工程とは、示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、粘度試験の内、少なくとも1つ以上を実施する工程である。好ましくは示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、粘度試験の3つの試験を実施することが好ましい。
複合材料保存工程中に行われる複合材料評価工程とは示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、流動性(フロー)試験の内、少なくとも1つ以上を実施する工程である。好ましくは示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、流動性(フロー)試験の3つの試験を実施することが好ましい。
少量保存容器保存工程中に行われる最終評価工程とは、示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、流動性(フロー)試験の内、少なくとも1つ以上を実施する工程である。好ましくは示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化試験、流動性(フロー)試験の3つの試験を実施することが好ましい。
ペースト状の複合材料を安定的に供給することを目的とした本発明の方法を用いて製造された複合材料は下記の効果を得ることができる。
シリンジ容器から排出される複合材料において、初期、中期、終期に排出された複合材料のいずれの複合材料でも、同様な操作性で複合材料を使用することでき、複合材料中にバラツキがなく、安定的に複合材料の性状を保つことができる。
複合材料を連続的に使用する場合や断続的に使用する場合、もしくは使用せずに暫く放置しておく等の未使用期間が長い場合に、シリンジ容器から排出された複合材料が同様な操作性で複合材料を使用することができる。
容器内に納められた複合材料に加圧等することで、静止状態にある複合材料に力を加えることになり、チクソトロピーが低下したペースト状の複合材料となる。その後、圧力を逃がす為に排出口から複合材料が排出される。複合材料に加える力の量によって、徐々にチクソトロピーが低下する。
一旦、チクソトロピーが低下した複合材料は圧力等の力を無くしても、暫くの間チクソトロピーが低下した状態は続き、静止状態が継続的に続くことで複合材料のチクソトロピーが高くなる。チクソトロピーが完全に低下していない複合材料に新たに圧力等の力を加えた場合は、更にチクソトロピーが低下する。従来から複合材料のチクソトロピー性の制御が難しく、排出された複合材料のペースト性状を一定にすることは難しかったが、本発明により解決することができた。即ち、本発明の複合材料は一旦容器から絞り出されるとチクソトロピーが低下した一定のペースト性状を一定時間保つことができるものである。
また、少量保存容器への充填時に複合材料への気泡の巻込みを防止する。これは生産時の複合材料保存工程で保存された複合材料は保存容器で保存されるが、少量保存容器に比べ多量の複合材料を同時に保存することになる。これはペーストの外界と接する表面積を減らすことで、ペーストの初期の性状変化を抑えている。しかし、多量で保存されたペーストは性状変化を抑えられる傾向にあるが、そうであっても表面の性状変化である「固化」する現象は抑えることが難しい。本発明により、ペーストの初期の性状変化を抑えつつ、「固化」する現象の前に、少量保存容器への充填を行えるため、複合材料への気泡の巻込みを防止することができる。
複合材料保存工程の保存容器から充填機に複合材料を移し、少量保存容器に連続的に充填されるが、充填機内の複合材料が少なくなった時に、複合材料保存工程の保存容器から複合材料を補充することが行われる。この複合材料保存工程の保存容器から複合材料を補充する場合に、前記の表面が固化することに起因する気泡の巻き込みが多くなる。この場合でであっても、本発明の複合材料は気泡が巻込みが軽減できる。
複合材料を製造する工程中に、検査工程を導入することにより、容易に安定した複合材料を製造することができる。安定的に複合材料を製造するためには、最低限必要な検査工程を見出した。検査工程を多く実施することは安定的な複合材料を製造することができるが、過剰な検査は複合材料を消費するばかりか、生産工数を多くする結果となる。適切な検査工程数や検査工程の時期が存在することを見出したものである。その結果、不良品を早期に発見することで、不良となる最終複合材料を製造することなく、効率よく、複合材料を製造することができる。
微粒子フィラー混練工程及び微粒子フィラー混練後脱泡工程、シラン処理フィラー混練工程およびシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行うことは、複合材料のチクソトロピーを安定させ、複合材料の均一なペースト性状を得ることができる。
本発明に用いられるシラン処理前のフィラーは特に限定されず、公知のフィラー、例えば無機フィラーおよび/または有機フィラーおよび/または有機−無機複合フィラー等が何等制限なく用いることができる。これらシラン処理前のフィラーの形状は球状、塊状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状でよく特に限定されない。よりペーストの安定性を得るためにには、シラン処理前のフィラーは球状であることが好ましい。シラン処理前のフィラーの球状を示す円形度は、0.7〜1.0の範囲であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.95〜1.00の範囲にある。
円形度の算出方法は光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)の撮影像を画像解析装置で処理することにより求めることができる。画像処理するサンプル数はフィラー50個以上とし、シラン処理前のフィラーの面積とフィラーの周囲長から算出する。算出する計算式は円形度e=(4・π・S)/(L)であり、画像処理で得られたシラン処理前のフィラーの面積S、およびシラン処理前のフィラーの周囲長Lから算出する。
無機フィラーとして具体的に例示すれば、石英、無定形シリカ、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、種々のガラス類(溶融法によるガラス、ゾルーゲル法による合成ガラス、気相反応により生成したガラスなどを含む)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの中でもナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属および/またはフッ素を含むアルミノシリケートガラス、ボロシリケート、アルミノボレート、ボロアルミノシリケートガラス等が好ましい。これら無機フィラーの平均粒径は特に制限はないが、0.5〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜5μmの範囲である。
また、気相法により生成したアエロジルまたはゾル−ゲル反応等の溶液中から生成したシリカ−ジルコニア酸化物粒子等の超微粒子無機フィラーも用いることができる。また、それらの超微粒子を凝集させた凝集性無機フィラー等を用いても何等問題はない。ここで、凝集性無機フィラーが複合材料混練時に解砕され平均粒径が1nm〜300nmとなる場合は超微粒子無機フィラーに分類され、平均粒径が1nm〜300nmに解砕されない場合は無機フィラーに分類される。
超微粒子無機フィラーは平均粒径が1nm〜300nmである。超微粒子無機フィラーは、限定するものではないが、コロイダルシリカ(商品名:アエロジルR972、アエロジル200、アエロジル380、アエロジル50、日本アエロジル社製、5〜50nm)が好ましい。
また、有機フィラーとしては重合性基を有する単量体を重合することによって得ることができ、その種類は特に限定されない。有機フィラーを具体的に例示すると、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;ブタジエン、イソプレン等の重合性基を有する単量体を単独でまたは複数で(共)重合させたものが挙げられる。特に好ましくは、歯科分野で既に公知の前述の重合性基を有する単量体を重合させたものである。有機フィラーの製造方法においても特に制限はなく、重合性基を有する単量体の乳化重合、懸濁重合および分散重合等のいずれの方法でもよく、また、予め生成した重合体バルクを粉砕する方法でも行なう事ができる。また、有機重合体中に無機粒子を含有した有機−無機複合フィラーを用いることもできる。有機重合体中に含有させる無機粒子としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、例えば上述した無機フィラー等が挙げられる。有機−無機複合フィラーの製造方法においても、特に制限はなく、いずれの方法を採用することもできる。例えば、無機粒子の表面を有機物でのマイクロカプセル化やグラフト化する方法および無機粒子の表面に重合性官能基や重合性開始基を導入後ラジカル重合させる方法、予め生成した無機粒子を含む重合体バルクを粉砕する方法等が挙げられる。
有機フィラーまたは有機−無機複合フィラーの平均粒径は1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。これらの無機、有機および有機−無機複合フィラーはそれぞれ単独で、または数種を組み合わせて用いることもできる。
無機、有機および有機−無機複合フィラー等のフィラーは公知の方法により、その粒子表面を表面処理して、複合材料に用いることができる。例えば界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ポリシロキサン等が挙げられる。これらの表面処理法は樹脂成分とフィラー表面の濡れ性を向上させ、複合材料に優れた諸特性を付与する点で好ましく、その要求特性に応じて適宜表面処理を選択することができる。また、それらフィラーを多機能化する目的でフィラー表面を特殊な表面処理剤および/または特殊な表面処理法により表面処理を行っても何等制限はない。
好ましくはシランカップリング剤で処理するシラン処理工程を経て得られるシラン処理フィラーを用いることが好ましい。また、シラン処理フィラーを一定期間保存するシラン処理フィラー保存工程を得ることが好ましい。
シラン処理工程とは、シランカップリング剤を1〜40%、有機溶媒及び/または水を60〜99%を含むシラン処理液を作製しフィラーを処理するものである。処理容器中にフィラーとシラン処理液を投入し、その時の処理温度が1〜60℃の範囲で、処理時間(処理時間)は1分〜24時間である。フィラーの量に対してシランカップリング剤を1〜15%に相当するシラン処理液を混合中に投入する。結果として、シラン処理フィラーのスラリーが作製されてもよい。また、シラン処理液は滴下もしくは噴霧することが好ましい。
処理物を60〜200℃で、1〜120時間乾燥することで、凝集物を得ることができ、凝集物を解砕することでシラン処理フィラーを得ることができる。
好ましいシラン処理液として、シランカップリング剤は5〜30%、有機溶媒を50〜70%及び/または水を0.5〜25%を含むことができる。
シランカップリング剤としては、特に限定するものではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられ、特に好ましくは、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンが用いられる。
有機溶媒としては、揮発性の水溶性有機溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する毒性を考慮すると、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンが好ましい。
シラン処理フィラー保存工程とは、シラン処理されたシラン処理フィラーを30〜600日保存する工程である。保存期間が短い場合は、樹脂とのなじみがわるくなり、滑らかなペーストを製造することができないばかりか、安定したペーストを製造することができない。
保存期間が長期に亘るとシランカップリング剤の効果が薄れ、安定したペーストを製造することができない。
シラン処理フィラーの保存は、密閉容器内で保存するが、容器は10〜50リットル容器であり、樹脂性が好ましくポリエチレン製の袋状であることが好ましい。
保存温度は1〜50℃である。好ましくは5〜25℃である。高温での保存はシランカップリング剤の効果を阻害するものである。
これらシラン処理フィラーの複合材料中に占める割合は複合材料に求める材料特性の要求に応じてそれらの充填量を任意に設定することができる。歯科分野で一般に用いられるシーラント材、ボンディング材、プライマー、歯面処理剤、オペーク材およびセメント等の低粘性材料においては、材料の要求特性として高い流動性が必要とされることから、充填量を比較的低く設定する必要がある。そのため、複合材料全成分に対し5.0〜80.0重量部の範囲が好ましく、より好ましくは30.0〜70.0重量部の範囲である。また、コンポジットレジンおよび前層冠レジン等の高粘性材料においては、材料の要求特性として形態調整後の形崩れが起らない形態賦与性が必要とされることから、充填量を比較的高く設定する必要がある。そのため、複合材料全成分に対し50.0〜98.0重量部の範囲が好ましく、より好ましくは75.0〜98.0重量部の範囲である。
本発明に用いられる重合性単量体は、限定するものではないが、一般に複合材料に用いられる公知の単官能性および/または多官能性の重合性単量体を使用することができる。好ましい重合性単量体としては、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体である。
酸性基を有しない重合性単量体類の例としては、
単官能性単量体(未架橋性モノマー):メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物等、
芳香族系二官能性単量体(架橋性モノマー):2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等、
脂肪族系二官能性単量体(架橋性モノマー):2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等、
三官能性単量体(架橋性モノマー):トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等、
四官能性単量体(架橋性モノマー):ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体とメチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明にかかる複合材料の重合性単量体は、目的に応じて、上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体、オリゴマーまたはポリマーを用いてもよい。(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体は、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。本発明において、重合性単量体は、単一成分であってもよいし、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物であってもよい。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、当該重合性単量体を低粘度の重合性単量体と組み合わせ、重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。前記の組み合わせにおいて、重合性単量体は、2種類または3種類以上を用いてもよい。
本発明にかかる複合材料の重合性単量体は、単官能性重合性単量体のみを含んでいてもよく、多官能性重合性単量体をさらに含んでいてもよい。好ましい重合性単量体は、二官能性重合性単量体の芳香族化合物および二官能性重合性単量体の脂肪族化合物を含む。より好ましくは、本発明の重合性単量体は、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)を含む。
本発明において、重合性単量体は、歯質または卑金属接着性を、本発明の複合材料に付与するために、重合性単量体の一部または全部としてリン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有した重合性単量体を含んでよい。また、貴金属接着を向上させるために、本発明にかかる重合性単量体は、硫黄原子を分子内に含有した重合性単量体を含んでよい。
本発明にかかる前述の重合性単量体としては、カルボン酸基含有重合性単量体:(メタ)アクリル酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸等;リン酸基含有単量体:2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート等;スルホン酸基含有単量体:2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等;ならびに硫黄原子を含有する重合性単量体:トリアジンチオール基を有する(メタ)アクリレート、メルカプト基を有する(メタ)アクリレート、ポリスルフィド基を有する(メタ)アクリレート、チオリン酸基を有する(メタ)アクリレート、ジスルフィド環式基を有する(メタ)アクリレート、メルカプトジアチアゾール基を有する(メタ)アクリレート、チオウラシル基を有する(メタ)アクリレート、チイラン基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら重合性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に用いられる重合開始剤は、公知のラジカル発生剤を用いることができる。一般に、重合開始剤は、使用直前に混合することにより重合を開始させる化学重合開始剤、加熱や加温により重合を開始させる熱重合開始剤、光照射により重合を開始させる光重合開始剤に大別される。
本発明に用いられる重合開始剤の中でも化学重合開始剤としては、有機過酸化物/アミン化合物または有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩、有機過酸化物/アミン化合物/ボレート化合物からなるレドックス型の重合開始剤系、酸素や水と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤系等が挙げられる。
上記有機過酸化物の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられる。
上記アミン化合物の例としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが挙げられ、具体的には、p−N,N’−ジメチル−トルイジン、N,N’−ジメチルアニリン、N’−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、p−N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−トルイジン、N−メチル−アニリン、p−N−メチル−トルイジン等が挙げられる。
上記スルフィン酸塩類の例としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記ボレート化合物の例としては、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
また、上記有機金属型の重合開始剤の例としては、トリフェニルボラン、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類等が挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤の中でも熱重合開始剤としては、上記有機過酸化物に加えて、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類を用いることができる。‌
本発明に用いられる重合開始剤の中でも光重合開始剤は、光増感剤単独で用いてもよいし、光増感剤と光重合促進剤とを併用してもよい。上記光増感剤の例としては、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;2−ベンジル―ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル―ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα−アミノアセトフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類;ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル]−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類等が挙げられる。
上記光重合促進剤の例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、p−N,N−ジメチル−トルイジン、m−N,N−ジメチル−トルイジン、p−N,N−ジエチル−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−N,N−ジヒドロキシエチル−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類;N−フェニルグリシン等の第二級アミン類;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジオクチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)塩、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のスズ化合物類;ラウリルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物類;ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサリチル酸等の含イオウ化合物等が挙げられる。
本発明の複合材料に更に光重合促進能を向上させるために、さらにクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類を含んでいてよい。
本発明において用いられるこれらの重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの重合開始剤は、重合形態や重合開始剤の種類に限定されず、組み合わせて用いることもできる。重合開始剤の添加量は、使用用途に応じて適宜選択することができる。一般には、重合開始剤の添加量は、重合性単量体に対して0.1〜10重量部の範囲から選択される。
本発明において、好ましい重合開始剤は光重合開始剤である。光重合開始剤を含む複合材料は、空気の混入が少ない状態で、重合させることが比較的容易である。本発明の好ましい光重合開始剤は、α−ジケトンと第三級アミンとの組合せであり、さらに好ましくはカンファーキノンとp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基がベンゼン環に直結した芳香族アミンまたはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の分子内に二重結合を有する脂肪族アミン等との組合せである。本発明にかかる複合材料は、使用用途に応じて、クマリン系、シアニン系、チアジン系等の増感色素類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジフェニルヨードニウム塩化合物等の光照射によりブレンステッド酸またはルイス酸を生成する光酸発生剤、第四級アンモニウムハライド類、遷移金属化合物類等も適宜使用することができる。
複合材料は、前記シラン処理フィラー、前記重合性単量体、前記重合開始剤を混合して製造される。
尚、これらの複合材料には製品特性に合わせて、着色顔料により着色されていてよい。前記の着色顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。無機顔料の例としては、黄鉛、亜鉛鉛、バリウム黄等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物;硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩;亜鉛華、チタン白、ベンガラ、鉄黒、酸化クロム等の酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;ケイ酸カルシウム、群青等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト等の炭素等が挙げられる。有機顔料の例としては、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料;ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料;リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料;ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。本発明の好ましい実施形態において、着色顔料は無機顔料であり、好ましくはチタン白、ベンガラ、鉄黒または黄酸化鉄等である。
本発明にかかる複合材料は、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等の重合禁止剤、変色防止剤、抗菌剤、その他の公知の添加剤等の成分をさらに含んでいてもよい。本発明の複合材料の包装形態は、特に限定されず、重合開始剤の種類、または使用目的により、1パック包装形態および2パック包装形態、またはそれ以外の形態のいずれの形態であってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明は混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程という工程を少なくとも順次経ることで発明の効果が成立するものである。
各工程について順次説明を行う。
混合重合性単量体作製工程とは、少なくとも重合性単量体および重合開始剤を混合する工程であり、特に混合する方法は特定するものではない。ただし、混合重合性単量体作製工程から得られた混合重合性単量体は混合後均一な状態である必要があり、重合開始剤などの溶け残りが無いように混合する必要がある。更に混合重合性単量体作製工程では脱泡作業を行わない方が良い。脱泡作業とは通常、大気圧下で混合を行うが、混合後に気泡を抜く為に大気圧下に減圧し、気泡を抜く工程である。脱泡工程を行うことは重合性単量体に劣化を与え、物性の特性を低下させる原因にもなり、一部の重合性単量体が硬化する可能性もある。
また、重合性単量体に重合開始剤を投入する必要がある。重合開始剤に重合性単量体を投入することにより、物性を低下させる原因にもなり、一部の重合性単量体が硬化する可能性もある。そのため、過剰な量の重合開始剤を混合することはできない。
混合重合性単量体の一回の混合量は1〜50リットルであり、5〜11リットルとすることが好ましく、混合量が少なければ、生産工程が長くなるばかりか、混合重合性単量体の安定した生産も難しくなる。また、混合量が多い場合は重合性単量体の劣化を招くことも多く、ペーストの性状安定性にも影響を与える。
混合機は特に限定されるものではないが、重合性単量体および重合開始剤を入れた混合容器の中でブレードにて混合するミキサータイプのものがよい。また、重合性単量体および重合開始剤を入れた混合容器を回転や揺動することにより混合するタンブラーミキサーなどが更に好ましい。タンブラーミキサーは内容物の劣化を軽減でき、容易に混合することができる。混合時間は混合機により変わるものの、1分〜24時間程度が適切である。より好ましくは15分〜10時間である。混合温度は1〜60℃であり、好ましくは5〜30℃である。
本発明に用いる重合開始剤が化学重合開始剤である場合は、低温での混合が好まれ、5〜10℃で混合する。
本工程の混合時に、重合禁止剤、変色防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤などの添加剤を同時に混合することが好ましい。複合材料の劣化を防止し、安定性にも寄与する。
混合重合性単量体の透過性は、80〜100%であることが好ましい。歯科材料として用いる場合は、着色材で着色した場合でも、安定した色再現性が必要になり、ロット間での色のバラツキも問題となる。透過性が高いほど安定した色調安定性が得られる。
混合重合性単量体保存工程とは、前記混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存する工程である。混合重合性単量体は混合重合性単量体保存容器にて保存され、保存単位は1〜50リットルで行うことが好ましく、より好ましくは5〜11リットルである。
混合重合性単量体作製工程時に用いた混合方法がタンブラーミキサーの場合は混合した容器をそのまま混合重合性単量体保存容器として用いることが好ましい。
混合重合性単量体保存容器は樹脂性が好ましく、ポリエチレン製であることが好ましい。更に、不透明であることが好ましく、遮光性に優れていることが好ましい。遮光率99.99%以上であることが好ましいが、アルミホイルなどで遮光性を高め遮光率99.99%以上を再現してもよい。また、密閉容器であることが好ましい。
混合重合性単量体保存容器の保存温度は1〜35℃であり、好ましくは1〜10℃の冷暗所で保存をすることが好ましい。混合重合性単量体保存容器の保存期間は10日〜1.5年であり、より好ましくは30日〜1年である。
保存することにより、混合重合性単量体を安定化させ、均一な混合重合性単量体を得ることができる。更にシラン処理フィラーとの混練時間を短縮することができ、安定したペーストを製造することができる。1.5年を越えると混合重合性単量体の劣化が発生し、混合重合性単量体が不均一な状態となる。1年以内に使用することで、劣化が見られず、均一な混合重合性単量体が得られ、安定した複合材料を製造することができる。
混合重合性単量体保存工程中に、混合重合性単量体評価工程を設けることが好ましい。生産工程における半製品を検査し不良な製品の原因となる半製品を検出することは、最終製品の歩留を向上させることができる。
混合重合性単量体保存工程中に行われる混合重合性単量体評価工程は、混合重合性単量体保存工程中に行う混合重合性単量体の評価のことである。混合重合性単量体作製工程の混合後であって、混合重合性単量体保存容器以外の混合重合性単量体評価容器に混合重合性単量体を取り分ける。混合重合性単量体保存容器から直接取り分けることもよい。混合重合性単量体作製工程の混合後すぐに、混合重合性単量体評価容器に取り分けることが好ましく、混合重合性単量体保存容器からすぐに取り分けたとしても、問題なく評価することができる。
混合重合性単量体評価項目としては、示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化性試験、粘度試験(B型粘度計)等を実施することが好ましい。測定方法はそれぞれ通常の方法で試験を行い、合否を判断する。合否は予め決められた範囲にあるかどうかで判断を行う。硬化性試験、粘度試験の試験方法については、後述する「特性確認試験の方法」の部分で詳細に説明する。
また、これらの数値は混合重合性単量体の安定性を判断する上で重要な数値であるが、重合性単量体の種類などでこの範囲は大きき変わるものである。
別に取り分けた混合重合性単量体評価容器の混合重合性単量体を評価することにより、混合重合性単量体保存容器に保存されている混合重合性単量体の評価をすることができる。
複合材料製造工程とは混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混合し複合材料を製造する工程である。特に混練する方法は特定するものではない。ただし、複合材料製造工程から得られた複合材料は混合後均一な状態である必要がある。
混練機は通常の混練機を用いることができる。粘度の高い複合材料を得るためにはニーダー(井上製作所製など)を用い、粘度の低い複合材料の場合はプラネタリーミキサー(井上製作所製など)を用いることが好ましい。
混練容器は混練機に付随するものであるが、その容積は0.5〜50リットルのもの、好ましくは2〜20リットルのものを用いる。
混練機への仕込み量は、混練機の容積の30〜70%、より好ましくは、40〜60%で混練する。仕込み量が多い場合も少ない場合も、混練が適正に行われず、複合材料にバラツキが生じる。
混合重合性単量体とシラン処理フィラーの投入割合は目的のペースト性状にもよるが、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位であり、微粒子フィラーが0.01〜0.2重量単位である。
より具体的には、混合重合性単量体1〜3リットル、シラン処理フィラー1〜6kg、微粒子フィラー30〜500gである。
複合材料製造工程には混練工程および脱泡工程を有し、その手順は以下の通りとなる。
複合材料製造工程では混練容器中に、混合重合性単量体を投入した後に、シラン処理フィラーを投入し、混練、脱泡を行う。混練作業を行う工程が混練工程であり、脱泡作業を行う工程が脱泡工程である。
シラン処理フィラーの投入前に混合重合性単量体を投入することが重要であり、混練時間を短縮しペーストのバラツキの発生を防止することができる。
複合材料を製造する場合は微粒子フィラーを用いることが好ましいが、その場合は混合重合性単量体を投入した後に、微粒子フィラーを投入し、微粒子フィラー混練工程、微粒子フィラー混練後脱泡工程を行い、その後に、更にシラン処理フィラーを投入し、シラン処理フィラー混練工程、シラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う。
超微粒フィラー及びシラン処理フィラーの投入は複数に分けて行うことで混練を容易にすることができる。シラン処理フィラーの投入を複数回に分けた場合、その都度、混練後に脱泡してもよいが、全てのシラン処理フィラーの投入後に脱泡を行うことが好ましい。
超微粒子フィラーは混合重合性単量体との混練性が悪く、十分に混練されないことがある。そこで場合によっては、超微粒子フィラー混練工程及び、超微粒子フィラー混練後脱泡工程後に得られた混練物が透明性を有し、十分に混練や脱泡が行われていることを確認する超微粒子フィラー混練確認工程を設けることが好ましい。この超微粒子フィラー混練確認工程を行わずに複合材料を製造すると、超微粒子フィラーが十分に混合されていない部分ができることから、最終生産物である複合材料のバラツキにつながり、安定したペーストを得ることができない。超微粒フィラーの混練前にシラン処理フィラーを投入することは超微粒子フィラー混練確認工程を行えず好ましくない。超微粒フィラーの混練後にシラン処理フィラーを投入することが好ましい。
混合重合性単量体と微粒子フィラーの混練は全体が均一になるまで行う必要があるが、均一であるかどうかは微粒子フィラー混練後脱泡工程後にペーストが透明性を有していれば均一になったと判断することができる。もし、均一でない場合は混練及び脱泡を繰り返し行い、それでも透明でない微粒子フィラーが混練したペーストに残っている場合はその微粒子フィラーが残っている部分を取り除くことやその混練物の生産を中止する必要がある。この工程で完全な透明でなくても、半透明であっても同様な作業が行える。
シラン処理フィラー混練工程にて、シラン処理フィラーは混合重合性単量体もしくは混合重合性単量体と超微粒子フィラーとの混練物と均一なペースト状になるまで混練する。脱泡工程は複合材料内の空気を抜く必要があり、混合しながら脱泡することが好ましい。
複合材料の中から気泡を抜く為にはシラン処理フィラー混練後脱泡工程が必要となる。脱泡工程は混練容器中の真空度を5〜200Torrに下げることにより脱泡される工程である。本脱泡工程中は複合材料の内部の気泡が膨張し、複合材料が発泡する。この気泡を破壊させる為に混練と同時に行うことが一般的である。気泡を崩壊させる為の混練スピードは気泡の破壊に合わせて行うことが好ましく、減圧スピードと共に調整を行いながら、混練条件を決定するか、減圧度合いを調整しながら混練することが好ましい。
前記、混練の時間や温度は任意であるが、微粒子フィラーの投入後、混練温度は5〜60℃にて混練時間は5〜30分間の条件下で微粒子フィラー混練工程を実施し、その後に真空度は5〜200Torrにて、混練時間は5〜30分の条件下で微粒子フィラー混練後脱泡工程を実施する。その後、シラン処理フィラーの投入後、混練温度は5〜60℃にて、混練時間は5〜40分間の条件下でシラン処理フィラー混練工程を実施し、その後に真空度は5〜200Torrにて混練時間は5〜30分のシラン処理フィラー混練後脱泡工程を実施することが好ましい。
本発明に用いる重合開始剤が化学重合開始剤である場合は、低温での混練が好まれ、混練工程では混練温度は5〜10℃であり且つ混練時間は5〜30分で、脱泡工程においても5〜10℃であり且つ混練時間は5〜30分で真空度は60〜200Torrに減圧し実施することが好ましい。
これらの混練時間や温度はニーダーやプラネタリーミキサーの種類によっても異なる。
複合材料保存工程とは、複合材料製造工程で得られた複合材料を保存する工程である。
複合材料は複合材料保存容器にて保存され、保存単位は1〜8リットルで行うことが好ましく、より好ましくは2〜5リットルである。
複合材料製造工程時に用いた混合容器から複合材料保存容器に複合材料を取り分ける。
複合材料保存容器は樹脂性が好ましく、ポリエチレン製であることが好ましい。更に、不透明であることが好ましく、遮光性に優れていることが好ましい。遮光率99.99%以上であることが好ましいが、アルミホイルなどで遮光性を高め遮光率99.99%以上を再現してもよい。また、密閉容器であることが好ましい。
複合材料製造工程で得られた複合材料を保存する複合材料保存容器の保存温度は1〜25℃であり、好ましくは1〜8℃の冷暗所で保存をすることが好ましい。複合材料製造工程で得られた複合材料を保存した複合材料保存容器の保存期間は10日〜1.5年であり、より好ましくは30日〜1年である。
保存することにより、複合材料を安定させ、均一なペースト性状の複合材料を得ることができる。複合材料保存容器の保存期間が、複合材料保存容器に複合材料を充填した時点から数えて1.5年を越える場合は、最終ユーザである歯科医師や歯科技工士が使用する少量保存容器での保存期間が短くなり、重合性単量体の劣化が発生し、複合材料が不均一な状態となる。複合材料保存容器に複合材料を充填した時点から数えて1年以内に使用することで、劣化が見られず、均一な複合材料が得られ、安定したペーストを製造することができる。
複合材料保存工程中に、複合材料評価工程を設けることが好ましい。生産工程における半製品を検査し不良な製品の原因となる半製品を検出することで、最終製品の歩留を向上させることができる。
複合材料評価工程中の複合材料評価は、以下の様に行われる。複合材料製造工程の混練後であって、複合材料保存容器以外の複合材料評価容器に複合材料を取り分ける。複合材料製造工程の混練後すぐに、複合材料評価容器に取り分けすることが好ましい。混練容器から直接に取り分けたとしても、問題なく評価することができる。
複合材料評価項目としては、示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化性試験、流動性(フロー)試験等を実施することが好ましい。測定方法はそれぞれ通常の方法で試験を行い、合否を判断する。合否は予め決められた範囲にあるかどうかで判断を行う。また、これらの範囲は複合材料の安定性を判断する上で重要な範囲であるが、複合材料の種類などでこの範囲は大きく変わるものである。硬化性試験、流動性(フロー)試験の試験方法については、後述する「特性確認試験の方法」の部分で詳細に説明する。
別で取り分けた複合材料評価容器の複合材料を評価することにより、複合材料保存容器の複合材料の評価をすることができる。
複合材料充填工程とは、複合材料保存容器に保存された複合材料を少量保存容器に充填する工程のことである。
少量保存容器とは最終ユーザの手元に亘る容器のことであり、一般的にシリンジ容器と呼ばれている。シリンジ容器は1〜200ccの容器である。低粘度の複合材料に用いるシリンジ容器の場合はシリンダ状の注射器型で押し棒を押すことで先端のノズルから、複合材料を排出する。高粘度の複合材料に用いるシリンジ容器は低粘度と同じ様にシリンダ状の注射器型であるが押し棒は螺合により押し出すようになっている。また、少量のものはコンピュールと呼ばれ、1回の操作で窩洞充填するための容器などを指す。いずれの容器もシリンダ状でピストンで複合材料を押して排出する容器である。シリンダ状容器は、複合材料の排出口が細くなっている場合が本発明の効果を顕著に表れる。
複合材料は少量保存容器にて保存され、好ましい保存単位は1〜50ccで行うことが好ましく、より好ましくは2〜5ccである。
複合材料保存容器は樹脂性が好ましく、ポリエチレン製であることが好ましい。更に、不透明であることが好ましく、遮光性に優れていることが好ましい。遮光率99.99%以上であることが好ましいまた、密閉容器であることが好ましい。
ペーストの粘度により、シリンダの押棒は押圧することで複合材料が押し出される仕組みでもよいが、螺合により複合材料を押し出す仕組みのものでもよい。近年、電動式、卓上式のものも見られ、これらのシリンジ状の容器であってもよい。
複合材料保存容器から少量保存容器への充填方法は既存の方法で行ってもよい。
通常は充填機を用いて充填することができ、既存の充填機で充填することができる。
充填機の一例を以下に示す。
充填機は複合材料を入れるフィーダと複合材料を排出するノズルからなり、フィーダに投入された複合材料はノズルから排出され少量保存容器に充填される。フィーダはピストン機構やスクリューフィーダーを用いてもよい。
複合材料保存容器に保存された複合材料を充填機に入れるにあたって、複合材料保存容器に保存された複数の複合材料を充填機に入れる。その為今までは複合材料間に空気の混入が見られた。しかし、本発明の複合材料が複合材料保存工程や少量保存容器保存工程を経ることでこれらの気泡の混入を軽減、防止することができることを見出した。
充填時に複合材料を加温することができ、15〜45℃に加温することが好ましい。
少量保存容器保存工程とは、複合材料充填工程にて充填された少量保存容器で一定の期間を定めて保存する工程である。
少量保存容器の保存温度は1〜40℃であり、好ましくは1〜25℃の冷暗所で保存をすることが好ましい。複合材料保存容器の保存期間は50日〜5年である。好ましくは100日〜3年である。
保存することにより、複合材料を安定化させ、均一な複合材料を得ることができる。更に安定したペースト性状を製造することができる。保存期間が5年を越える場合は複合材料の劣化が発生し、複合材料が不均一な状態となる。5年以内に使用することで、劣化が見られず、均一な複合材料が得られ、安定したペースト性状の複合材料を製造することができる。
少量保存容器保存工程中に、最終評価工程を設けることが好ましい。生産工程における最終製品を検査し、出荷の適合性を確認する。
最終評価工程中の最終評価は、少量保存容器保存工程中に実施する複合材料の評価である。複合材料充填工程後であって、多くの少量保存容器に充填された中から任意の少量保存容器にて評価を行う。
複合材料評価項目としては、示差走査熱量測定(DSC)試験、硬化性試験、流動性(フロー)試験等を実施することが好ましい。測定方法はそれぞれ通常の方法で試験を行い、合否を判断する。合否は予め決められた範囲にあるかどうかで判断を行う。また、これらの範囲は複合材料の安定性を判断する上で重要な範囲であるが、複合材料の種類などでこの範囲は大きく変わるものである。硬化性試験、流動性(フロー)試験の試験方法については、後述する「特性確認試験の方法」の部分で詳細に説明する。
少量保存容器保存工程中に、出荷され、使用ユーザである、歯科医師や技工士が使用する。
次に、と本発明の効果を確認する特性確認試験の方法を以下に示す。また、混合重合性単量体評価項目及び複合材料評価項目の試験項目での具体的な試験方法について同時に記載する。
(粘性試験:本試験は混合重合性単量体評価項目でもある)
混合重合性単量体250gを褐色ガラス容器に入れ、23±1℃の恒温室に24時間放置後B型粘度計(BL型3号ロ−タ)を使用し5分後の粘度値を測定した。
5000〜10000mPa・sの粘度であり、7000〜9000mPa・sであることが好ましい。この範囲に入ることで良好なペーストを得られる。
評価基準:
十分に混合され、斑の無いものを「○」とし、混合が不十分で溶け残りがあるものを「×」とした。
(硬化性試験:本試験は混合重合性単量体評価項目及び複合材料評価項目でもある)
混合重合性単量体または複合材料を厚さ2mm、直径15mmの穴の空いた金型に充填し、充填した混合重合性単量体または複合材料の表面に透明な板ガラスを圧接し、任意の重合方法で硬化させる。例えば、歯科用光照射器(松風社製、「ソリデライトII」)にて金型内の複合材料に180秒間光照射して、混合重合性単量体または複合材料を重合硬化させ、得られた硬化物のビッカース硬度(kgf/mm2 )を、下記の測定方法により求めた。
圧接した板ガラスを取り除き、板ガラスを圧接した側の硬化物(混合重合性単量体または複合材料)の表面に、微小硬度計(明石製作所社製、商品コード「MVK−E」)にて荷重200gを10秒間かけてビッカース硬度を測定した。場所を変えて計3回測定し、3回の平均値を硬化物のビッカース硬度とした。
(透過率)
硬化性試験で作製した方法と同一の方法で作製した硬化物を用いて透過率を測定した。透過率は、〔スペクトロフォトメーターU−3200〕(株式会社日立製作所製)を用い、780nm〜380nmの波長範囲で測定した。
95%以上の透過率が必要であり、99%以上の透過率であることが好ましい。
(性状・外観試験)
複合材料保存容器に保存された複合材料は、表面の複合材料及び内部の複合材料を取り出し、樹脂性スパチュラで引っ掻き、表面のなじみ状況を5人の技工士が確認し、最も多い評価結果で判断した。
評価基準:
◎:表面の複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。内部の複合材料も同様に樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。
○:表面の複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が若干の光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが馴染んでいる。内部の複合材料は樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。
△:表面の複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が少し白くなり、重合性単量体とシラン処理フィラーが馴染んでいる。内部の複合材料は樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。表面と内部の性状が異なる。
×:表面の複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が白くなり、重合性単量体とシラン処理フィラーのなじみが良くない。内部の複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が若干の光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが馴染んでいる。表面と内部の性状が全く異なる。
(少量性状・外観試験)
120日間少量保存容器中に保存された複合材料の全てを押し出し、樹脂性スパチュラで引っ掻き、表面のなじみ状況を5人の技工士が確認し、最も多い評価結果で判断した。
評価基準:
◎:複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。
○:複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が若干の光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが馴染んでいる。
△:複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が少し白くなり、重合性単量体とシラン処理フィラーが馴染んでいる。
×:複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が白くなり、重合性単量体とシラン処理フィラーのなじみが良くない。
(ロット間性状バラツキ評価)
120日間少量保存容器中に保存されたロットの異なる複合材料を20個準備し、前記「少量性状・外観試験」と同様に試験を行い、バラツキを評価した。ここでの評価は押し出された複合材料の性状・外観試験を比較したもので、前記「少量性状・外観試験」の結果の範囲であることが前提であり、その範囲の中で少量保存容器間で感覚的に性状が異なっているかを評価した。
具体的にはたとえば「少量性状・外観試験」で「◎:複合材料を樹脂性スパチュラで引っ掻いた後が光沢を見せ、重合性単量体とシラン処理フィラーが良く馴染んでいる。」と評価した場合で説明すると、少量保存容器を20個すべてが「◎」の評価であることは当然であるが、少量保存容器を20個が感覚的に性状の違いを感じるかどうかで評価する。
評価基準:
○:少量保存容器を20個すべてのバラツキが無い。
△:少量保存容器を20個の内、いくつかがバラツキ。
×:少量保存容器を20個のほとんどがバラツキを感じる。
(シリンジ内性状バラツキ評価)
120日間保存した少量保存容器を1個準備し、複合材料を全て押し出し4分割し、前記「少量性状・外観試験」と同様の試験を行い、バラツキを評価した。ここでの評価は押し出された複合材料の内の性状・外観試験を比較したもので、前記「少量性状・外観試験」の結果の範囲であることが前提であり、その範囲の中で少量保存容器内で感覚的に性状が異なっているかを評価した。
評価基準:
◎: バラツキが無い。
△:ほぼ、バラツキが無い。
×:バラツキを感じる。
(気泡混入試験)
120日保存した少量保存容器を1個準備し、複合材料を全て押し出し、歯科用光照射器(松風社製、「ソリデライトII」)にて複合材料に180秒間光照射して、試料全てを1ミリ毎に切断し、気泡の有無を確認した。
◎: 気泡の混入が見られない。
△:小さな気泡の混入が確認できるが、使用に問題がない。
×:大きな気泡が混入し、使用に問題がある。
(流動性(フロー)試験:本試験は混合重合性単量体評価項目及び複合材料評価項目でもある)
複合材料を0.5ml取り、ガラス板上に乗せた。複合材料の上にもう一枚の前記と同じガラス板を乗せ、さらに静かにガラス板の重さも含めて400gの分銅を乗せた。分銅を乗せてから10分後に重りを外し、歯科用光照射器(松風社製、「ソリデライトII」)にて複合材料に180秒間光照射した後に、パソコンで画像解析を行い、広がり面積(mm2)を算出し、これをフロー値とした。この値の大きいものほど流動性良好と判断した。
本試験は10回行い、サンプル10個の標準偏差(mm)を算出した。
(断続押出し試験)
120日保存した少量保存容器から、複合材料を0.5mlずつ24時間に1回採取し、遅延なく、流動性(フロー)試験を行い、24時間ごとに採取した試料の流動性の数値の変化を評価した。
評価基準:
流動性の数値の変化(最小値と最大値の差)が、小さい(1mm以下のもの)ものを「○」とし、大きい(1mm以上のもの)ものを△とし、途中で押し出せなくなったものを「×」とした。

実施例中に使用されるした成分の略称を以下に示す。
重合性単量体:
・Bis−GMA:2,2-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシ‐2-ヒドロキシプロ ポキシ)フェニル)プロパン60重量部
・UDMA:ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン70重量部、
・TEGDM:リエチレングリコールジメタクリレート30重量部
・3G:トリエチレングリコール(メタ)アクリレート 40重量部
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート:
〔リン酸エステル基を有する重合性単量体〕
・2−MEP: 2−(メタクリロキシ)エチルホスフェート
・Bis−MEP: ビス〔2−(メタクリロキシ)エチル〕ホスフェート
・6−MHPA: (6−メタクリロキシ)ヘキシルホスホノアセテート
〔2塩基酸のカルボキシル基を有する重合性単量体〕
・4−AET: 4−アクリロキシエチルトリメリット酸
・4−MET: 4−メタクリロキシエチルトリメリット酸
〔フィラー〕
・ASGフィラー:アルミノシリケートガラスフィラー(平均粒径5μm)
・FASGフィラー:フルオロアルミノシリケートガラスフィラー(平均粒径1.8μm)
〔超微粒子フィラー〕
・R−972
〔重合促進剤〕
・BBA・Na: 5−n−ブチルバルビツール酸ナトリウム塩
・EB:p-N,N‐ジメチルアミノ安息香酸エチル 1重量部
・OT:ジオクチルスズジラウレート2重量部
〔重合開始剤〕・CQ: カンファーキノン
〔重合禁止剤〕
・BHT: ブチル化ヒドロキシトルエン
本発明の複合材料の製造は表1記載に材料を同記載の条件で製造し、同記載の評価を得たものである。
具体的には、以下の通りである。
(混合重合性単量体の調製)
表1記載の重合性単量体および重合開始剤を、ブレードにて混合するミキサー(愛工舎製:BM)もしくはタンブラーミキサー(セイワ技研製:TM)にて混合する。各混合時間と混合温度は表1の通りである。
(混合重合性単量体の保存)
混合後、遮光率99.99%のポリエチレン製の蓋付ボトル型容器(容量10リットル)である混合重合性単量体保存容器に充填し、23℃の条件で保存した。
(混合重合性単量体の評価)
保存している混合重合性単量体の粘度試験、硬化性試験、透過率の測定を行った。試験結果を表1に示す。
(シラン処理方法)
シラン処理調整製品:
シラン混合液a:シランカップリング剤のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3%、エチルアルコール77%、水20%
シラン混合液b:シランカップリング剤のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30%、エチルアルコール69%、水1%
上記シラン混合液を作製し、40℃に加温したフィラー10kgに対して、シラン混合液aを10kgまたはシラン処理液bを2kgで処理するが、それぞれを噴霧して約90分間処理容器中で撹拌し混合した。使用した混合機械は表2、3の通りである。混合後、シラン処理フィラーを熱風乾燥機中で、50℃で40時間熟成した後、120℃までの昇温及び6時間係留を行ない、その後冷却させ、シラン処理フィラー凝集物を得た。得られた熱処理物をヘンシェルミキサー中に入れ、1800rpmで5分間解砕を行うことで、表面がポリ(オルガノ)シロキサンで被覆されたシラン処理フィラーa,bを作製した。
(シラン処理保存方法)
ポリエチレン製の袋に25kg単位で、10〜25℃の間で、保存期間は表1に記載の通りポリ(オルガノ)シロキサンで被覆されたシラン処理フィラーを保存した。
(複合材料の製造)
表1記載の通りの保存していた混合重合性単量体およびシラン処理フィラーを、表2、3記載の通りの所定量をニーダー(井上製作所製:ND)もしくはプラネタリーミキサー(井上製作所製:PM)にて混合した。混合方法は混合重合性単量体を先に入れ、表2、3記載の条件で行い複合材料を得た。
(複合材料の複合材料保存容器への保存)
前記複合材料を遮光率99.99%のポリエチレン製の蓋付トレイ型容器(容量4リットル)の複合材料保存容器に充填し、表2、3記載の条件で保存した。
(複合材料の評価)
保存している複合材料の硬化性試験、性状・外観試験を行った。試験結果を表2、3に示す。
(複合材料の少量保存容器への充填)
複合材料保存容器の複合材料を、充填機のシリンダ内に入れ、充填機のノズルにシリンジを設置し、充填機のピストン機構を用いて複合材料を少量保存容器であるシリンジ内に3g充填した。複合材料保存容器の複合材料を全てシリンダに充填した後、連続して複合材料保存容器の複合材料をシリンダ内に入れシリンジへの充填を続け、2000本の少量保存容器であるシリンジを得た。本シリンジに押棒、ノズル、キャップなどを装着し少量保存容器への充填を完成した。
少量保存容器への充填後、少量性状・外観試験、ロット間性状バラツキ評価、シリンジ内性状バラツキ評価、気泡混入試験、流動性(フロー)試験、断続押出し試験を行った。試験結果を表2、3に示す。
本発明の方法で製造されたペーストは、120日〜3年の間は特に性状変化は見られず、また3年〜5年の間も性状変化は若干みられるものの安定したペースト性状である。60日以内では、ペーストが安定せず大きな性状変化が見られた。また、5年を経過した後も、大きな経年変化によるものと思われる性状変化を確認した。
本発明にかかる混合方法であれば、60日〜5年、更に好ましくは120日〜3年の性状安定性を得ることができる。
表4に、少量保存容器保存時の流動性試験結果の前回測定との差を示しているが、本発明の複合材料は安定していることがわかる。「前回測定との差」とは60日後の欄には、充填直後から60日後の差を見ており、120日後の欄には60日後から120日後の差を見ており、3年後の欄には120日後から3年後の差を見ており、5年後の欄には3年後から5年後の差を見ており、6年後の欄には5年後から6年後の差を見ている。本発明の範囲内は100mm以内に収まっており安定した流動性を保っているが、本発明の範囲外になれば、100mmを超えて安定性が保てなくなることがわかる。
本発明を用いれば、ペースト材料の安定した性状を確保でき、特に歯科材料については歯科医師や技工士が安定して複合材料を用いることができる。

Claims (9)

  1. シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
    下記に示される混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする複合材料。
    ・ 混合重合性単量体作製工程とは、混合容器の中に重合性単量体に重合開始剤を投入し、混合温度は1〜60℃、混合時間は1分〜24時間の条件で、混合重合性単量体を混合する工程、
    ・ 混合重合性単量体保存工程とは、混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存単位は1〜50リットルであり、保存期間は10日〜1.5年間以内の条件で保存する工程、
    ・ 複合材料製造工程とは、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位で混練工程および脱泡工程を行う工程であり、混合重合性単量体中にシラン処理フィラーの投入後、5〜60℃にて混合時間は5〜40分間の条件でシラン処理フィラー混練工程を行い、その後に5〜200Torrにて脱泡時間は5〜30分の条件で、混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混練し、その後、脱泡を行う工程、
    ・ 複合材料保存工程とは、複合材料製造工程で製造された複合材料を保存単位は1〜8リットルにて、保存温度は1〜25℃、保存期間は10日〜1.5年以内にて保存する工程、
    ・ 複合材料充填工程とは、充填機を用いてノズルから押し出された複合材料を保存単位が1〜50ccである少量保存容器に充填する工程、
    ・ 少量保存容器保存工程とは、少量保存容器内で保存温度は1〜40℃、保存期間は50日〜5年間以内の条件で保存する工程、
  2. 微粒子フィラー、シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
    下記に示される混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする複合材料。
    ・ 混合重合性単量体作製工程とは、混合容器の中に重合性単量体に重合開始剤を投入し、混合温度は1〜60℃、混合時間は1分〜24時間の条件で、混合重合性単量体を混合する工程、
    ・ 混合重合性単量体保存工程とは、混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存単位は1〜50リットルであり、保存期間は10日〜1.5年間以内の条件で保存する工程、
    ・ 複合材料製造工程とは、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位で、微粒子フィラーが0.01〜0.2重量単位で、微粒子フィラー混練工程及び微粒子フィラー混練後脱泡工程、シラン処理フィラー混練工程およびシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程であり、混合重合性単量体中に微粒子フィラーの投入後、5〜60℃にて混合時間は5〜30分間の条件で混合重合性単量体と微粒子フィラーの混練を行い、その後に5〜200Torrにて脱泡時間は5〜30分の条件で混合重合性単量体と微粒子フィラーの脱泡を行い、更にシラン処理フィラーの投入後、5〜60℃にて混合時間は5〜40分間の条件で混合重合性単量体と微粒子フィラー、シラン処理フィラーの混練を行い、その後に5〜200Torrにて脱泡時間は5〜30分の条件で混合重合性単量体と微粒子フィラー、シラン処理フィラーを混練しながら脱泡を行う工程、
    ・ 複合材料保存工程とは、複合材料製造工程で製造された複合材料を保存単位は1〜8リットルにて、保存温度は1〜25℃、保存期間は10日〜1.5年以内にて保存する工程、
    ・ 複合材料充填工程とは、充填機を用いてノズルから押し出された複合材料を保存単位が1〜50ccである少量保存容器に充填する工程、
    ・ 少量保存容器保存工程とは、少量保存容器内で保存温度は1〜40℃保存期間は50日〜5年間以内を保存期間とする工程、
  3. シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
    重合性単量体と重合開始剤を混合し混合重合性単量体を作製する混合重合性単量体作製工程、
    混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混合し複合材料を製造する複合材料製造工程、
    複合材料を少量保存容器に充填する複合材料充填工程、
    充填された少量保存容器で保存する少量保存容器保存工程を順次経て得られる複合材料であって、
    複合材料製造工程に、微粒子フィラー混練工程及び微粒子フィラー混練後脱泡工程、シラン処理フィラー混練工程およびシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程を順次経ることを特徴とする請求項1又は2記載の複合材料。
  4. シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料において、
    重合性単量体と重合開始剤を混合し混合重合性単量体を作製する混合重合性単量体作製工程、
    混合重合性単量体を保存容器内で保存する混合重合性単量体保存工程、
    混合重合性単量体とシラン処理フィラーを混合し複合材料を製造する複合材料製造工程、
    複合材料を保存容器内で保存する複合材料保存工程、
    複合材料を少量保存容器に充填する複合材料充填工程、
    充填された少量保存容器で保存する少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする請求項3記載の複合材料。
  5. 請求項4記載の混合重合性単量体保存工程中に、混合重合性単量体評価工程を有することを特徴とする複合材料。
  6. 請求項4記載の複合材料保存工程中に、複合材料評価工程を有するを特徴とする複合材料。
  7. 請求項4〜6記載の複合材料が歯科用であることを特徴とする歯科用複合材料。
  8. シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料の作成方法において、
    下記に示される混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする複合材料の製造方法。
    ・ 混合重合性単量体作製工程とは、混合容器の中に重合性単量体に重合開始剤を投入し、混合温度は1〜60℃、混合時間は1分〜24時間であり、混合重合性単量体を作製する工程、
    ・ 混合重合性単量体保存工程とは、混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存単位は1〜50リットルであり、保存期間は10日〜1.5年間以内の保存する工程、
    ・ 複合材料製造工程とは、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位で混練工程および脱泡工程を行う工程であり、混合重合性単量体中にシラン処理フィラーの投入後、5〜60℃にて5〜40分間のシラン処理フィラー混練工程を行い、その後に5〜200Torrにて5〜30分のシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程、
    ・ 複合材料保存工程とは、複合材料製造工程で製造された複合材料を保存単位は1〜8リットルにて、保存温度は1〜25℃、保存期間は10日〜1.5年以内にて保存する工程、
    ・ 複合材料充填工程とは、充填機を用いてノズルから押し出された複合材料を保存単位が1〜50ccである少量保存容器に充填する工程、
    ・ 少量保存容器保存工程とは、少量保存容器内で保存温度は1〜40℃保存期間は50日〜5年間以内を保存期間とする工程、
  9. 微粒子フィラー、シラン処理フィラー、重合性単量体、重合開始剤を含む複合材料の製造方法において、
    下記に示される混合重合性単量体作製工程、混合重合性単量体保存工程、複合材料製造工程、複合材料保存工程、複合材料充填工程、少量保存容器保存工程を順次経ることを特徴とする複合材料の製造方法。
    ・ 混合重合性単量体作製工程とは、混合容器の中に重合性単量体に重合開始剤を投入し、混合温度は1〜60℃、混合時間は1分〜24時間であり、混合重合性単量体を作製する工程、
    ・ 混合重合性単量体保存工程とは、混合重合性単量体作製工程にて作製された混合重合性単量体を保存単位は1〜50リットルであり、保存期間は10日〜1.5年間以内の保存する工程、
    ・ 複合材料製造工程とは、混合重合性単量体1重量単位に対して、シラン処理フィラーが0.1〜9重量単位で、微粒子フィラーが0.01〜0.2重量単位で、微粒子フィラー混練工程及び微粒子フィラー混練後脱泡工程、シラン処理フィラー混練工程およびシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程であり、混合重合性単量体中に微粒子フィラーの投入後、5〜60℃にて5〜30分間の微粒子フィラー混練工程を行い、その後に5〜200Torrにて5〜30分の微粒子フィラー混練後脱泡工程を行い、次にシラン処理フィラーの投入後、5〜60℃にて5〜40分間のシラン処理フィラー混練工程を行い、その後に5〜200Torrにて5〜30分のシラン処理フィラー混練後脱泡工程を行う工程、
    ・ 複合材料保存工程とは、複合材料製造工程で製造された複合材料を保存単位は1〜8リットルにて、保存温度は1〜25℃、保存期間は10日〜1.5年以内にて保存する工程、
    ・ 複合材料充填工程とは、充填機を用いてノズルから押し出された複合材料を保存単位が1〜50ccである少量保存容器に充填する工程、
    ・ 少量保存容器保存工程とは、少量保存容器内で保存温度は1〜40℃保存期間は50日〜5年間以内を保存期間とする工程、
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