JP2016027929A - 積層構造を持つミッドソール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的はミッドソールの機能を向上させることである。【解決手段】第1発泡体Nと第2発泡体Sとは互いに機械的性質が異なり、前足部1F、中足部1M、後足部1Rの領域のうちいずれか1つにおいて、前記第1発泡体Nの厚さが足の内側Mと外側Lとで異なっており、かつ、前記第1発泡体Nの厚さの異なっている前記領域において第2発泡体Sの厚さが足の裏側を支える内側部SMと外側部SLで異なっており、上層2における内側部SMと外側部SLとの間には、内側Mから外側Lに延びるに従い厚さの変化するテーパ部STが設けられ、前記テーパ部STの厚さの変化の度合が前記内側部SMの厚さの変化の度合、あるいは、前記外側部SLの厚さの変化の度合いよりも大きい。【選択図】図4

Description

本発明は積層構造を持つミッドソールに関する。
前足部は一般に厚さが小さい。一方、前足部はMP関節等において大きく、かつ、繰り返し屈曲される。この屈曲が繰り返される部分において、ミッドソールはやがて永久変形を呈する。特に、前足部の上層において前記永久変形が生じ易い。
中足部は足のアーチを支える。このアーチは個人差が大きい。アーチの低い着用者はアーチに突き上げを感じ易く、一方、アーチの高い着用者はアーチが落ち込むことがある。
靴が着地する際、後足部の外側に最も大きな衝撃荷重がソールを介して足裏に負荷される。これを1stストライクというが、この1stストライクの衝撃を緩衝することは重要である。
積層構造のミッドソールは単層構造のそれに比べ別の機能を発揮し易い。
JP58−190401A(図面) JP05−69521A(コラム13) JP07−125107A(要約) JP08−168402A(要約) JP11−266905A(要約) JP2003−79402A(要約) JP2009−178594A(要約) JP2010−525917W(要約) JP2010−94480A(要約)
ミッドソールは反発力の豊かな発泡体で形成される場合が多い。前記各文献においては硬度が互いに異なる前記発泡体等が用いられている。しかし、一般的なミッドソールに用いる発泡体と、この発泡体よりも低反発の発泡体とを広い領域にわたって積層したミッドソールは知られていない。
したがって、本発明の目的は低反発の発泡体を広い領域に配置してミッドソールの機能を向上させることである。
本発明のミッドソールは第1の局面において、
接地面を有するアウトソールの上に配置されるミッドソールであって、
前記ミッドソールは上層と下層とを有し、
前記上層又は下層のうちの一方が熱可塑性の樹脂成分を含む第1発泡体の層を包含し、
前記上層又は下層のうちの他方における前足部の平面領域の大半、中足部の平面領域の大半または後足部の平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を含む第2発泡体の層を包含し、
前記第2発泡体は前記第1発泡体よりも比重が大きく、かつ、変形した後に元の形状に復元する速度が小さい低反発材で形成され、
前記第2発泡体SのアスカーC硬度Lcと前記第1発泡体NのアスカーC硬度Ncとの関係が下記の(1)式に設定されている
Lc≦Nc+10…(1)。
本発明のミッドソールは別の局面において、
接地面を有するアウトソールの上に配置されるミッドソールであって、
前記ミッドソールは上層と下層とを有し、
前記下層が熱可塑性の樹脂成分を含む第1発泡体の層を包含し、
前記上層における前足部の平面領域の大半、中足部の平面領域の大半または後足部の平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を含む第2発泡体の層を包含し、
前記第2発泡体は前記第1発泡体よりも比重が大きく、かつ、変形した後に元の形状に復元する速度が小さい低反発材で形成され、
前記第2発泡体のアスカーC硬度Lcと前記第1発泡体NのアスカーC硬度Ncとの関係が下記の(1)式に設定されている
Lc≦Nc+10…(1)。
比重の大きい低反発の第2発泡体は、気泡間の距離が第1発泡体の気泡間の距離に比べ大きい。そのため、座屈が生じにくく、荷重の増大と歪みの増大とが比例し易い。つまり、第2発泡体は比重は大きいが、変形の線形性(linearity)が強い。したがって、第2発泡体は比較的低硬度の発泡体でも採用することができる。
一方、比重の小さい第1発泡体は気泡間の距離が第2発泡体のそれに比べ小さい。そのため、小さな所定以下の荷重下では、線形性を呈するものの、所定以上の荷重が負荷されると、前記樹脂組織に座屈が生じると考えられ、小さな荷重の増加で歪みが急激に増大する応力域が存在する。つまり、第1発泡体は比重は小さいが非線形性が強い。したがって、第1発泡体は比較的高硬度の発泡体を用いるのが好ましい。
ここで、両者を上下に積層した積層体は、両者の持つ機械的(物理的)性質を重ね合わせた性質に近くなる。そのため、前記積層体は線形性を呈する荷重の領域が第1発泡体よりも大きくなり、かつ、重量も然程増大しない。
したがって、上下層の硬度や厚さを適宜に設定することにより、これまでには得られなかった新しい衝撃緩衝性(クッション性)と安定性を発揮する可能性がある。
低反発の第2発泡体は、変形した後に元の形状に復元する速度が小さく、したがって、一般に、外力が負荷された場合の変形速度も小さい。そのため、エネルギーを吸収し易く、クッション性の向上が期待できる。
一方、負荷が大きい場合にも、走行や歩行のように、負荷の加わる時間が短い動荷重の場合、低反発の第2発泡体は変形の遅れにより、然程大きな変形が生じにくく、安定性の向上が期待できる。
特に、第1発泡体との積層により、低反発の第2発泡体が厚くなりすぎるのを抑制でき、低反発の第2発泡体の過大な変形を抑制できる。そのため、クッション性および安定性の双方の向上が期待できる。
以上の効果は、第1および第2発泡体を上下のいずれに配置しても期待できる。
たとえば、第2発泡体の前記硬度が第1発泡体のそれよりも小さい場合は、変形の遅れが生じる第2発泡体がアウトソールの直ぐ上にあると、アウトソールの一部に局所的に水平方向に大きな摩擦力が働いた際に、第2発泡体が大きく剪断変形(スベリ)を生じ、そのため、第2発泡体が厚すぎると、路面と第1発泡体との間が大きくズレ、安定性が低下するかもしれない。これに対し、下層が第1発泡体であれば、第2発泡体の硬度が小さくても、このような安定性の低下は生じにくいだろう。
したがって、前記第2の局面においては、前記安定性が低下しにくく、第1発泡体の厚さを十分に大きくすることができ、クッション性の更なる増大を図り得るだろう。
本発明において、前記第2発泡体のアスカーC硬度Lcと前記第1発泡体のアスカーC硬度Ncとの関係は下記の(1)式に設定されている
Lc≦Nc+10…(1)。
このように、設定した理由は、低反発材である第2発泡体のアスカーC硬度Lcが第1発泡体NのアスカーC硬度Ncよりも10°以上大きいと、低反発材の変形が小さくなりすぎて衝撃を十分に吸収できなかったり、あるいは、第1発泡体の硬度Ncが小さくなりすぎて、第1発泡体の変形が大きくなりすぎ、安定性や緩衝性が低下すると考えられるからである。
ここで、本発明において、第2発泡体を構成する低反発材は、比重および復元速度で定義されている。
一般に、低反発材は貯蔵弾性率Gωで定義される場合が多い。しかし、実際の製品から試験片を切り出し、前記貯蔵弾性率Gωを測定することは困難を伴う。
一方、低反発材は一般のミッドソールの発泡体に比べ比重が大きく、かつ、復元速度が小さい。これらの物理量は貯蔵弾性率Gωに比べ測定が超かに容易である。
そこで、本発明においては、低反発材を比重と復元速度で定義した。
周波数10Hz、23℃における低反発材の発泡前の形成材料の貯蔵弾性率Gωは第1発泡体のそれよりも小さく、一般に0.01〜15MPaで、好ましくは0.5〜13MPaであり、より好ましくは0.5〜10MPaである。このような貯蔵弾性率Gωを有する形成材料を発泡させて得た低反発材は、柔軟性に優れる。前記貯蔵弾性率Gωの下限値は、理論上、0(零)である。もっとも、現実的には、その貯蔵弾性率Gωは0を超えている。実際に市場で入手できる形成材料は、その貯蔵弾性率Gωが、例えば0.01MPa以上である。
周波数10Hz、23℃における第1発泡体の発泡前の形成材料の貯蔵弾性率Gωは、第2発泡体のそれよりも大きく、一般に20MPa以上で好ましくは30〜300MPaであり、より好ましくは40〜200MPaである。このような貯蔵弾性率Gωを有する形成材料を発泡させて得た第1発泡体は反発性、安定性、クッション性に優れる。
低反発材の発泡倍率は、特に限定されないが、好ましくは、1.2倍〜10倍であり、より好ましくは、1.5倍〜7倍である。前記発泡倍率は、発泡前の密度を発泡後の密度により除算して求められる。
軽量化の観点から、前記第2発泡体(低反発材)の比重は、好ましくは0.7以下であり、より好ましくは0.6以下であり、更に好ましくは0.55以下である。また、第2発泡体の比重の下限は、出来るだけ小さいことが好ましい。たとえば、第2発泡体の比重は、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.2以上である。
第1発泡体の発泡倍率は、特に限定されないが、好ましくは、1.2倍〜200倍であり、より好ましくは、10倍〜100倍である。
軽量化の観点から、前記第1発泡体の比重は、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.5以下であり、更に好ましくは0.4以下である。また、第1発泡体の比重の下限は、出来るだけ小さいことが好ましい。たとえば、第1発泡体の比重は、0.05以上が好ましく、より好ましくは0.15以上である。
第1および第2発泡体は、熱可塑性の樹脂成分と任意の適宜の他の成分とを含む。前記熱可塑性の樹脂成分としては、例えば、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーの種類としては、例えば、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)などのスチレン系エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体系エラストマーなどを用いることができる。
前記熱可塑性樹脂の種類としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの酢酸ビニル系樹脂やポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂などを用いることができる。
以上の樹脂成分は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
アウトソールはミッドソールよりも耐摩耗性の大きい接地底で、一般に、ミッドソールの第1発泡体より硬度が大きく、かつ、前記復元する速度も大きい。また、アウトソールは一般にゴムの発泡体やゴム又はウレタンの非発泡体で形成される。
本発明において、低反発の第2発泡体は、前足部、中足部、または後足部のうちのいずれか1以上の部位の大半に設けられていればよい。局部的でなければ、積層効果が得られると推測されるからである。
なお、大半とは各平面領域の半分以上という意味である。
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、足の骨格を示す平面図および内側面図である。 図2A、図2Bおよび図2Cは、それぞれ、発泡体または積層発泡体の圧縮応力−歪線図である。 図3Aは本発明の実施例にかかるミッドソールを示す概略斜視図、図3Bは第2発泡体の平面図である。 図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、それぞれ、図3BのA−A線、B−B線、C−C線、D−D線およびE−E線におけるソールの断面図である。 図5Aおよび図5Bはex.A〜Dおよびノーマルサンプル(比較例)のクッショニングテストの結果を示す図表、図5Cは前記テストex.A〜Dおよびノーマルサンプルの積層体の構成を示す図表である。 図6Aおよび図6Bは、それぞれ、1stストライク時のピーク値およびピーク角度を示す図表である。 図7Aはミッドソールの横断面をモデル化した概念図、図7Bはミッドソールに負荷されるであろう荷重曲線を示す図表である。 図8A、図8Bおよび図8Cは、積層体の構造および圧縮歪曲線の変化を示す図表である。 図9AはCase1の積層体の構造を示す断面図、図9Bは評価結果を示す図表、図9Cは評価基準を示す図表である。 図10A、図10B、図10Cおよび図10Dは、Case11〜15および21〜25の積層体の構造を示す概念図である。 図11Aはミッドソールの横断面をモデル化した概念図、図11Bは1stストライクにおいてミッドソールに生じる変形量を示す概念図である。 図12A、図12B、図12C、図12D、図12Eおよび図12Fは、それぞれ、Case11,12,13,21,22および23の積層体の構造および評価結果を示す図表である。 図13A、図13B、図13Cおよび図13Dは、それぞれ、Case14,15,24および25の積層体の構造および評価結果を示す図表である。 図14Aおよび図14Bは、それぞれ、第1および第2発泡体を拡大して示す模式的な拡大断面図である。
好ましくは、前記第1および第2発泡体が、それぞれ、少なくとも後足部の平面領域の大半に設けられ、
前記後足部において前記第2発泡体の層は、足の内側の平均厚さよりも外側の平均厚さが大きく、かつ、
前記後足部において前記第1発泡体の層は、足の外側の平均厚さよりも内側の平均厚さが大きい。
より好ましくは、前記後足部の前記平面領域の大半には前記第1発泡体が下層に配置され、かつ、前記後足部の前記平面領域の大半には前記第2発泡体が上層に配置され、かつ、
前記後足部において前記上層の前記第2発泡体の層は、足の内側の平均厚さよりも外側の平均厚さが大きく、かつ、
前記後足部において前記下層の前記第1発泡体の層は、足の外側の平均厚さよりも内側の平均厚さが大きい。
靴が着地する際、後足部の外側に最も大きな衝撃荷重がソールを介して足裏に負荷される。これを1stストライクというが、この1stストライクが低反発の第2発泡体に負荷されることで、衝撃を緩衝することができる。
しかも、1stストライクの大きな荷重は短時間に負荷される故、第2発泡体が低硬度でも変形の遅い第2発泡体の変形が大きくなりすぎるのを抑制して、足の支持の安定性が向上することが期待できる。
すなわち、この場合、低反発材は1stストライクが大きい外側の後足部が厚く、一方、1stストライクが小さい内側の後足部を薄くすることができる。そのため、1stストライクに対する高い緩衝性と安定性が期待できる。
以上の効果は、第1および第2発泡体を上下のいずれに配置しても期待できる。
特に、比較的硬度の大きい第1発泡体を下層に配置している場合、1stストライク時に、アウトソールの後足部の外側に負荷されるであろう前方への動的な剪断力が前記第1発泡体で吸収および散逸されるだろう。そのため、上層の柔軟な第2発泡体に負荷される動的な剪断力が小さくなると考えられ、その結果、クッション性だけでなく、安定性も向上し得る。
より好ましくは、前記後足部において足裏の外側の下面を支持する前記第2発泡体の厚い外側部と、前記後足部において足裏の内側の下面を支持する前記第2発泡体の薄い内側部との間には、前記第2発泡体が内側に延びるに従い前記第2発泡体の厚さが薄く変化するテーパ部が設けられ、
前記後足部の後半部において前記テーパ部の厚さの変化の度合が前記外側部の厚さの変化の度合よりも大きく、かつ、前記テーパ部の厚さの変化の度合が前記内側部の厚さの変化の度合よりも大きい。
ここで、内側部又は外側部に局所的な凹凸による厚さの大きな変化があっても、安定性およびクッション性の機能を大きく損なわない限り本態様に含まれる。また、外側部および内側部は、それぞれ、足裏を支持するものであるから内外縁の巻上部を含まない。
足の内外で機械的性質の異なる素材の厚さが急激に変化すると、境界部分に違和感が生じ易い。
これに対し、本態様では、互いに異なる機械的性質を持つ第1および第2発泡体を上下に積層し、かつ、内側から外側に延びるに従い徐々に厚さの変化するテーパ部が設けられている。そのため、前記違和感を感じることなく、内外で互いに特性の異なるミッドソールを形成することができる。
また、2つの発泡体はテーパ部だけではなく、内側および外側においても面で接合され得るから、接着ないし溶着の確実性も向上する。
更に好ましくは、前記後足部の後半部の少なくとも一部の横断面において、前記テーパ部が内側と外側の中心よりも内側寄りに配置されている。
1stストライクの荷重中心は後足部の後半部において内外の中心よりも若干外側寄りに位置する。そのため、前記1stストライクの衝撃は外側が大きい。
したがって、前記テーパ部が中心よりも内側寄りに配置されていることで、前記1stストライクの衝撃を厚い低反発材で緩衝することができる。
別の更に好ましい例において、前記後足部における前記第2発泡体の上層の前記内側と前記外側の間の中心を含む中央部の平均厚さが前記後足部において足裏の内側の下面を支持する前記第2発泡体の薄い内側部の平均厚さよりも大きい。
この場合、後足部の上層の低反発材は足の外側だけでなく、内外の中央部においても厚い。したがって、中心よりも外側寄りの1stストライクの衝撃を厚い低反発材で緩衝することができる。
更に別の好ましい例では、前記第1および第2発泡体がそれぞれ中足部に更に設けられ、
前記中足部における前記第2発泡体の層の平均厚さは、前記後足部の内側部の第2発泡体の層の最小厚さよりも大きく、かつ、前記後足部の前記外側部の第2発泡体の最大厚さよりも小さい。
中足部の足のアーチの高さは、個人差が大きい。したがって、後足部の内側部よりも厚い第2発泡体の層は中足部に設けられていることで、低反発材の硬度が小さい場合、中足部において圧迫や突き上げを感じるのを防止し得る。
特に、中足部が後足部の外側部よりも薄いことで、低反発材の硬度が小さい場合でも、オーバープロネーションの抑制にも役立つだろう。
好ましくは、前記第1発泡体のアスカーC硬度が50°〜65°に設定され、
前記第2発泡体のアスカーC硬度が35°〜60°に設定されている。
第1発泡体の硬度がアスカーC硬度で50°未満であったり、第2発泡体の硬度がアスカーC硬度で35°未満であると、歩行や走行の大きい荷重により、ミッドソールの変形が大きくなりすぎる。
一方、第1発泡体の硬度がアスカーC硬度で65°を超えたり、第2発泡体の硬度がアスカーC硬度で60°を超えると、変形が小さくなりすぎて、クッション性が低下する。
図2Aは硬度が40°の低反発材(L.R.foam:第2発泡体)と一般的なミッドソール材として用いられるノーマルフォーム(第1発泡体)についての応力−歪曲線を示す。
図2Aにおいて、実線で示す低反発材は一点鎖線で示す第1発泡体(Normal foam)に比べ線形性が強い。したがって、低反発材は低硬度でも高硬度でも座屈することなく、急激に大きく変形するおそれがない。
より好ましくは、前記第1発泡体の硬度がアスカーC硬度で50°〜60°に設定され、前記第2発泡体の硬度がアスカーC硬度で40°〜50°に設定され、
前記第2発泡体の硬度が前記第1発泡体の硬度よりも小さい。
低反発の第2発泡体は変形の速度が小さい。また、第2発泡体は前述のように応力―歪曲線における線形性が強い。そのため、比較的低硬度であってもミッドソールの一部に用い易い。この低硬度・低反発の第2発泡体はクッション性を向上させる役割を果たす。
一方、第1発泡体は硬度が第2発泡体のそれよりも大きいことで、過度の変形防止や軽量化に役立つ。
更に好ましくは、前記第1発泡体の前記アスカーC硬度の値が、第2発泡体の前記アスカーC硬度の値に比べ、5°〜15°大きい。
両発泡体の硬度差が5°よりも小さいと、実際に用いることのできる硬度の範囲が極めて限られたものとなり、所期の特性を得るのが難しい場合が多くなるだろう。
一方、両発泡体の硬度差が15°よりも大きいと、両発泡体の応力―歪曲線の相違が多きくなり、荷重が負荷された際の、変形の挙動が不安定になり易いだろう。
別の好ましい例では、前記第1および第2発泡体の硬度が互いに同等で、かつ、アスカーC硬度で50°〜55°に設定されている。
50°〜55°の硬度範囲はミッドソールに用い易く、両者の硬度が同等であることにより、両発泡体の応力−歪曲線の相違が小さく、そのため、変形の挙動が安定し易いだろう。
ここで、「硬度が互いに同等」とは、両発泡体の硬度差が2°以内の場合を含む。製造上2°程度の誤差が生じるし、この程度の硬度差であれば、前記効果が損なわれないだろう。
後足部における上層の第2発泡体の外側が内側に比べ厚いミッドソールにおいて、好ましくは前記第1発泡体の硬度がアスカーC硬度で50°〜65°に設定され、
前記第2発泡体の硬度がアスカーC硬度で35°〜50°に設定され、
前記第1発泡体の前記アスカーC硬度の値が、第2発泡体の前記アスカーC硬度の値に比べ、8°〜15°大きい。
かかる硬度範囲および硬度差で、低反発の第1発泡体を上層の外側で厚く、かつ、内側で薄く配置した場合、後述するように、1stストライクに対する緩衝性と安定性の双方が従来のノーマルフォーム(Normal foam)のミッドソールに比べ向上するだろう。
後足部における上層の第2発泡体の外側が内側に比べ厚いミッドソールにおいて、前記第1発泡体の硬度がアスカーC硬度で53°〜57°に設定され、
前記第2発泡体の硬度がアスカーC硬度で43°〜57°に設定され、
前記第2発泡体の硬度が前記第1発泡体の硬度よりも小さいか、あるいは、前記第1発泡体の硬度と同等である。
この場合も、後述するように、前記緩衝性と安定性の双方が従来のノーマルフォームのミッドソールに比べ向上するだろう。
本ミッドソールにおいて、前記第1および第2発泡体の層が少なくとも前記後足部の大半に配置されている場合、前記安定性と緩衝性を発揮し易い。
別の好ましい例では、前記上層の第2発泡体は足の内側の裏面を支持するための内側部と、足の外側の裏面を支持するための外側部と、足の内側の側面を支持するための内巻上部とを一体に備え、
前記内巻上部が前記内側部から内側の縁に向かって延びるに従い前記内巻上部は前記第1発泡体の上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
内巻上部は足の内側面を支え、足の内側への振れ(ブレ)に対し、足の支持を安定させる。特に、低反発の厚さの大きい内巻上部は変形速度が小さく、足が内側へ振れ(ブレ)るのを抑制し易い。
低反発の第2発泡体の硬度が小さい場合、第2発泡体は通常の第1発泡体よりも傷付き易く、そのため、第2発泡体が薄いと第2発泡体が使用に伴い劣化し、ひび割れや亀裂の生じるおそれがある。これに対し、これらの態様では前記内巻上部が厚く、ひび割れや亀裂の発生を防止し得る。
更に別の好ましい例では、前記上層の第2発泡体は足の内側の裏面を支持するための内側部と、足の外側の裏面を支持するための外側部と、足の外側の側面を支持するための外巻上部とを一体に備え、
前記外巻上部が前記外側部から外側の縁に向かって延びるに従い前記外巻上部は前記第1発泡体の上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
同様に、外巻上部は足の外側面を支え、足の外側への振れ(ブレ)に対し、足の支持を安定させ、足が外側へブレるのを抑制し易い。また、外巻上部が厚く、ひび割れや亀裂の発生を防止し得る。
本発明は更に別の局面において、接地面を有するアウトソールの上に配置されるミッドソールであって、
前記ミッドソールは上層と下層とを有し、
前記上層又は下層のうちの一方における前足部の平面領域の大半、中足部の平面領域の大半または後足部の平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を有する第発泡体の層を包含し、
前記上層又は下層のうちの他方における前記第1発泡体の層が配置された前足部の平面領域の大半、中足部の平面領域の大半または後足部の平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を有する第2発泡体の層を包含し、
前記第1発泡体と前記第2発泡体とは互いに機械的性質が異なり、
前記3つの領域のうちいずれか1つにおいて、前記第1発泡体の厚さが足の内側と外側とで異なっており、かつ、前記第1発泡体の厚さの異なっている前記領域において第2発泡体の厚さが足の裏側を支える内側部と外側部で異なっており、
前記上層2における内側部と外側部との間には、内側から外側に延びるに従い厚さの変化するテーパ部が設けられ、
前記テーパ部の厚さの変化の度合が前記内側部の厚さの変化の度合、あるいは、前記外側部の厚さの変化の度合いよりも大きい。
図1Aに示すように、足は内側と外側とで構造が著しく異なる。
たとえば、後足5Rは外側に大きな1stストライクが負荷される。中足5Mは足のアーチを形成するが、アーチの高さの個人差が大きい。前足5Fはトウオフの際の母趾と小趾とで力の加え方が大きく異なる。
したがって、ソールも内外で互いに機械的性質の互いに異なる素材を採用するのが好ましい場合がある。
しかし、足の内外で機械的性質の異なる素材を突き合わせ接合すると、接合部分に素材の相違による違和感が生じ易い。
これに対し、本局面では、2つの機械的性質を持つ第1および第2発泡体を上下に積層し、かつ、内側から外側に延びるに従い厚さの変化するテーパ部が設けられている。そのため、前記違和感を感じることなく、内外で互いに特性の異なるミッドソールを形成することができる。
また、2つの発泡体はテーパ部だけでなく、内側および外側においても面で接合され得るから、接着ないし溶着の確実性も向上する。
かかる局面において、好ましくは少なくとも前記後足部の平面領域の大半に前記第1および第2発泡体の層が配置され、
前記後足部において前記第2発泡体の層は、足の内側の平均厚さよりも外側の平均厚さが大きく、かつ、
前記後足部において前記第1発泡体の層は、足の外側の平均厚さよりも内側の平均厚さが大きく、
前記第1発泡体は前記第2発泡体よりもアスカーC硬度が大きい。
1stストライクの荷重中心Gは内外の中心よりも若干外側寄りに位置する。そのため、前記1stストライクの衝撃は外側が大きい。したがって、前記1stストライクの衝撃を硬度が小さく、かつ、厚い第2発泡体の外側部で緩衝することができる、
より好ましくは、前記後足部の後半部の少なくとも一部の横断面において、前記テーパ部が内側と外側の中心よりも内側寄りに配置されている。
前記テーパ部が中心よりも内側寄りに配置されていることで、前記1stストライクの衝撃を硬度の小さい、かつ、厚い第2発泡体の外側部で緩衝できる可能性が高まる。
好ましくは、少なくとも前記中足部の平面領域の大半に前記第1および第2発泡体の層が配置され、
前記中足部において前記第2発泡体の層は、足の内側の平均厚さよりも外側の平均厚さが大きく、かつ、
前記中足部において前記第1発泡体の層は、足の外側の平均厚さよりも内側の平均厚さが大きく、
前記第1発泡体は前記第2発泡体よりもアスカーC硬度が大きい。
この場合、プロネーションの抑制を図り得る。
好ましくは、前記上層における前記第2発泡体は足の内側の裏面を支持するための内側部と、足の外側の裏面を支持するための外側部と、足の内側の側面を支持するための内巻上部とを一体に備え、
前記内巻上部が前記内側部から内側の縁に向かって延びるに従い前記内巻上部は前記第2発泡体の上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
この場合、内巻上部は足の内側面を支え、足の支持を安定させる。
好ましくは、前記上層における前記第2発泡体は足の内側の裏面を支持するための内側部と、足の外側の裏面を支持するための外側部と、足の外側の側面を支持するための外巻上部とを一体に備え、
前記外巻上部が前記外側部から外側の縁に向かって延びるに従い前記外巻上部は前記第2発泡体の上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
この場合、外巻上部は足の外側面を支え、足の支持を安定させる。
本発明は、添付の書類を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
図3Aに示すミッドソール1は、図4A〜図4Eのように、アウトソール4の上に配置される。図3A、図4A〜図4E、図9A、図12A〜図12Fおよび図13A〜図13Dにおいて、低反発材つまり第2発泡体Sの部位には網点が施され、第1発泡体Nの部位には太線と細線でハッチングが施されている。
なお、図4A〜図4Eのアウトソール4は接地面4sを有する。
図3Aにおいて、前記ミッドソール1は上層2と下層3とを有する。
前記下層3は熱可塑性の樹脂成分を有する第1発泡体Nの層からなる。上層2は熱可塑性の樹脂成分を有する第2発泡体Sの層からなる。
前記上層2における前足部1Fの平面領域の大半、中足部1Mの平面領域の大半および後足部1Rの平面領域の大半又は全部の部位において、第2発泡体Sが連なって配置されている。
前記下層3における前足部1Fの平面領域の大半、中足部1Mの平面領域の大半および後足部1Rの平面領域の大半又は全部の部位において、第1発泡体Nが連なって配置されている。
前記前足部1F、中足部1Mおよび後足部1Rとは、それぞれ、図1Aの足の前足5F中足5Mおよび後足5Rを覆う部位を意味する。
前記前足5Fは5本の中足骨と14個の趾骨からなる。前記中足5Mは舟状骨、立方骨および3個の楔状骨からなる。前記後足5Rは距骨および踵骨からなる。
前記第2発泡体Sを形成する低反発材は、第1発泡体Nよりも粘性が大きく、貯蔵弾性率Gωが小さい。本発明においては、低反発材は前記第1発泡体Nよりも比重が大きく、かつ、変形した後に元の形状に復元する速度が小さい発泡体と定義されている。
図14Aは第2発泡体Sの拡大された概念的な断面を示し、一方、図14Bは第1発泡体Nの拡大された概念的な断面を示す。
図14Aおよび図14Bにおいて気泡As間の距離Δs,Δnに対する気泡の径Ds,Dnの比は、下記の(2)式で表されるように、第2発泡体Sよりも第1発泡体Nの方が大きい。
Ds/Δs<Dn/Δn…(2)
つまり、ミクロの細長比R(slenderness ratio)に対応する値が、第2発泡体Sよりも第1発泡体Nの方が大きい。ここで、前記細長比Rが一定以上になると構造物には弾性限界以下の応力でも座屈が生じる。したがって、本発明の第2発泡体Sおよび第1発泡体Nは、前記(2)式のように、気泡As間の距離に対する気泡Asの径の大小によって定義することも可能である。
図4A〜図4Eに示すように、上層2の第2発泡体Sは、内巻上部2M、外巻上部2L、内側部SM、外側部SLおよび中央部SCとを一体に有する。すなわち、上層2は内巻上部2Mから外巻上部2Lまで一体に連なっている。
前記内側部SMにおいて、前記上層2の第2発泡体Sは足の内側の裏面を支持する。前記外側部SLの第2発泡体Sは足の外側の裏面を支持する。
前記内巻上部2Mは、足の内側Mの側面を支持する。前記内巻上部2Mは前記内側部SMから内側Mの縁に向かって延びるに従い、前記内巻上部2Mは前記第1発泡体Nの上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
前記外巻上部2Lは、足の外側Lの側面を支持する。前記外巻上部2Lは前記外側部SLから外側Lの縁に向かって延びるに従い前記外巻上部2Lは前記第1発泡体Nの上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
図4Aおよび図4Bの前記後足部1Rにおいて、前記第2発泡体Sで形成される上層2は、足の内側Mの平均厚さよりも外側Lの平均厚さが大きい。一方、前記後足部1Rにおいて、前記第1発泡体Nで形成される下層3は、足の外側Lの平均厚さよりも内側Mの平均厚さが大きい。ここで、「内側Mの平均厚さ」とは、足の内外中心線よりも内側部分の平均厚さをいい、「外側Lの平均厚さ」とは、足の内外中心線よりも外側部分の平均厚さをいう。なお、本発明において、「平均厚さ」は、例えば、断面を直接測定する方法に加え、切り出した部位の体積から上面からの投影面積を除することで算出することができる。
前記中央部SCは第2発泡体Sの上層2の内側Mと外側Lの間の中心を含み、前記内側部SMと外側部SLとの間に配置されている。前記後足部1Rにおいて中央部SCはテーパ部STを形成する。
前記テーパ部STは前記第2発泡体Sの厚い外側部SLと、前記第2発泡体Sの薄い内側部SMとの間において、前記第2発泡体Sが内側Mに延びるに従い前記第2発泡体Sの厚さが薄く変化する。
図4Aの前記後足部1Rの後半部1Rrにおいて、前記テーパ部STの厚さの変化の度合は前記外側部SLの厚さの変化の度合よりも大きく、かつ、前記テーパ部STの厚さの変化の度合は前記内側部SMの厚さの変化の度合よりも大きい。
図4Aにおいて、前記後足部1Rの後半部1Rrの少なくとも一部の横断面において、前記テーパ部STは内側Mと外側Lの中心よりも内側寄りに配置されている。したがって、第2発泡体Sの厚い部分は前記内側Mと外側Lの中心よりも内側に向かって延びている。
図4Aおよび図4Bに示すように、前記テーパ部STを含む中央部SCの平均厚さは、前記後足部1Rにおいて、第2発泡体Sの薄い内側部SMの平均厚さよりも大きい。また、前記中央部SCの平均厚さは、後足部1Rにおいて、第2発泡体Sの厚い外側部SLの平均厚さよりも小さい。
図4Cの前記中足部1Mにおける前記第2発泡体Sの層の平均厚さは、図4Aの前記後足部1Rの内側部SMの第2発泡体Sの層の最小厚さよりも大きく、かつ、前記後足部1Rの前記外側部SLの第2発泡体Sの最大厚さよりも小さい。
前記第2発泡体Sの平均厚さは、図4Aおよび図4Bの後足部1Rよりも図4Cの中足部1Mの方が小さく、前記中足部1Mよりも図4Dおよび図4Eの前足部1Fの方が更に小さい。
一方、前記第2発泡体Sのミッドソール1に対する厚さの比は、図4Dおよび図4Eの前足部1Fが、図4A〜図4Cの後足部1Rおよび中足部1Mに比べ大きい。
このような第2発泡体Sの厚さの分布は、後足部1Rにおける緩衝性を高める。
また、前足5F(図1)を蹴り出す際にミッドソール1が繰り返し大きく屈曲することによる前足部1Fの永久変形の生じるのを抑制し得るだろう。また、比重の大きい第2発泡体Sによるミッドソール1の重量の増大を小さくする。
前記上層2、下層3およびアウトソール4は互いに接着ないし溶着されて積層される。たとえば、上層2と下層3とは、二次成型品が互いに接着されてもよいし、あるいは、一次成型品を二次成型する際に互いに溶着されてもよい。
前記ミッドソール1の上には、図示しないインソール(中底)が接着される。なお、前記インソールの更に上にはソックライナー(中敷き)がアッパー内に装着される。
つぎに、本発明の積層体の機械的性質、作用および効果について説明される。
図2Aの一点鎖線は、一般的なミッドソール材としての発泡体(以下、「ノーマルフォーム」という。)の圧縮応力−歪曲線を示す。一方、同図の実線は、本発明に用いられる低反発材(L.R.foam)の圧縮応力−歪曲線を示す。なお、両者のアスカーC硬度はいずれも40°である。
図2Aの一点鎖線で示すように、ノーマルフォームにおいては、変形の初期に圧縮応力と歪みが比例し易い線形性を呈する。しかし、応力が0.1MPa程度になると、わずかな圧縮応力の増加に対し歪みが著しく増大する。
このような現象を呈する理由について以下に説明する。
図14Bの前記ノーマルフォームNは気泡Anの平均径Dnに対する隣接する気泡An間の各距離Δnつまり、ミクロの樹脂組織Rnの肉厚Δnに対する前記径Dnの値(Dn/Δn)が、図14Aの低反発材Sのそれ(Ds/Δs)に比べ大きい。そのため、小さな所定以下の荷重下では、線形性を呈するものの、所定以上の荷重が負荷されると、前記樹脂組織Rnに座屈が生じると考えられ、図2Aのように、小さな荷重の増加で歪みが急激に増大する応力域が存在する。つまり、ノーマルフォームNは比重は小さく非線形性が強い。したがって、前記座屈を生じにくくするために、ノーマルフォームNは比較的高硬度の発泡体を用いるのが好ましい。
なお、前記各径Dn,Dsは、それぞれ、多数の気泡An,Asの平均値が採用され、また、各距離Δn,Δsは、それぞれ、隣接する気泡間の最短距離の平均値が用いられるべきである。
一方、図14Aの比重の大きい低反発材Sは、気泡Asの径に対する気泡As間の距離Δsつまりミクロの樹脂組織Rsの最小肉厚Δsに対する前記平均径Dsの値(Ds/Δs)がノーマルフォームのそれ(Dn/Δn)に比べ小さい。そのため、前記座屈が生じにくく、荷重が増大すると、それに比例して歪も増大し易い。つまり、低反発材Sは比重が大きく線形性が強い。たとえば、図2Aの40°(以下、硬度表示「°」はアスカーC硬度の値を示す)の例の場合、低反発材はノーマルフォームNに比べ2倍程度の応力域まで線形性を呈する上、圧縮応力が想定よりも大きくなっても歪みが急激に増大するおそれがない。したがって、第2発泡体は比較的低硬度の発泡体でも、所期のクッション性が得られ易い。
しかし、低反発材は比重が大きい。そのため、ミッドソール全体が低反発材で形成されると、ソールが重くなりすぎる。そこで、本発明者は、前記ノーマルフォームと低反発材とを積層することで、軽量で、かつ、クッション性等に優れたミッドソールを発明した。
以下、積層体の機械的性質について、コンピュータによるシミュレーションで計算した結果について説明する。
なお、計算には単純な重ね合わせの原理を用いた。
図2Bおよび図2Cの一点鎖線は、硬度が互いに異なる(40°と53°)ノーマルフォーム同士が積層された積層体の圧縮応力−歪線図を示す。一方、図2Bおよび図2Cの実線は、硬度が互いに異なるノーマルフォーム(53°)と低反発材(40°)とが積層された積層体の圧縮応力−歪線図を示す。
図2Bおよび図2Cの一点鎖線で示すノーマルフォーム同士の同種積層体は、図2Aの単一硬度のノーマルフォームに比べ、圧縮応力と歪みの線形性が若干改善されている。
一方、図2Bおよび図2Cの実線で示す低反発材とノーマルフォームの異種積層体は、前記同種積層体に比べ、前記線形性が大きく改善されている。また、図2Bの低反発材とノーマルフォームとの厚さ比が25%:75%の場合でも線形性が改善されているが、前記厚さ比が75%:25%の場合には、線形性が著しく大きく改善されており、応力値が約0.3MPa程度まで線形性を保ち、単一の低反発材に比べ著しく前記線形性が向上していることが分かる。
したがって、大きな荷重が負荷される部位においては、ノーマルフォームNに対する低反発材Sの厚さの割合が1/3以上3倍以下であれば用い易いと推測される。同部位としてはたとえば、歩行および走行の際に繰り返し大きく屈曲されるMP関節を含む前足部や、大きな1stストライクが負荷される後足部の外側部が挙げられる。
つぎに、本発明の効果を明瞭にするために、試験例および比較例について説明する。
図3A、図4A〜図4Eの構造を有するミッドソール1を5種類用意した。
図5Cは前記5種類のミッドソール1のノーマルフォーム(第1発泡体N)と低反発材(第2発泡体S)のアスカーC硬度を示す。図5Cのテストex.A〜Dについては積層構造であるが、比較例としてのNormalについては一般的なミッドソールのようなノーマルフォームの単層構造である。
つぎに、テスト方法について簡単に説明する。
前記5種類のミッドソール1のうちの1つを備えた各靴を複数の被験者(成人)が順次着用し、前記各被験者の下腿に加速度計を装着した状態で、落垂落下テストを行い、公知の周波数解析により、図5Aの前足のクッション性、図5Bの後足のクッション性を測定した。また、下腿の足に対する内反方向への角度の変化量βを測定し、図6Aの1stストライクのピーク値を算出した。更に、同テストにおいて下腿の足に対する外旋方向への角度の変化量γを測定し、そのピーク値を算出した。その評価値を各図に示す。
図5A〜図5Cから分かるように、ノーマルフォームのサンプル(比較例)に比べ、35°〜45°の低反発材と55°〜65°のノーマルフォームを積層したテストex.A〜Dのミッドソールは、前足および後足の双方においてクッション性が向上することが分かる。
図6Aの縦軸の数値は前記変化量βのピーク値を示す。前記変化量βが小さい場合、後足の足裏に負荷される1stストライクの衝撃が小さいと評価し得る。
図6Aに示されているように、テストex.CおよびDでは変化量βの1stピークが表れておらず、1stストライクの衝撃を大きく緩衝し得ると推定される。一方、テストex.AおよびBでは同ピーク値がノーマルフォームの比較例のそれよりも大きい。
以下、その理由について考察する。
テストex.CおよびDは後足部1Rの上層2(図4A)にアスカーC硬度が45°の低反発材が配置されており、圧縮応力が増加しても線形性を保ちながら変形すると考えられる。かかる線形性を保った変形は低反発材Sの緩衝機能を発揮させる。そのため、テストex.CおよびDにおいては変化量βの明確な1stピークが表れなかったと推測される。
一方、テストex.AおよびBは後足部1Rの上層2(図4A)にアスカーC硬度が35°の低反発材Sが配置されている。図2Aから分かるように低反発材Sは圧縮応力の増大に伴って変形の割合が小さくなる。したがって、低反発材Sの硬度が負荷に比べ小さすぎる場合、低反発材Sの緩衝機能が発揮されず、そのため、ノーマルフォームの比較例よりも変化量βのピーク値が大きくなったものと推測される。
本テストは成人を被験者としたため、ソールに大きな負荷が加えられたであろう。しかし、子供、女性、中高年者が着用する場合、前記負荷は小さくなるであろう。その場合、低反発材Sの硬度が35°であっても、ノーマルフォームの比較例に比べ1stストライク(変化量β)のピーク値が小さくなることが十分に期待できる。
つぎに、前記安定性の評価について説明する。
図6Bの縦軸の数値は前記変化量γのピーク値を示す。前記変化量γのピーク値が小さい場合、足の内反りや外反りが生じにくく、安定性が高いと評価し得る。
図6Bのテストex.Cはノーマルフォームの比較例に比べ前記変化量γのピーク値が小さい。その理由は上層2の低反発材Sには変形の遅れが生じ、そのため、内反りや外反りが生じにくいためであると考えられる。したがって、テストex.Cは安定性においても優れていると考えられる。
一方、図6Bのテストex.Dは前記テストex.Cと同じ45°の低反発材を用いているにもかかわらず、変化量γのピーク値がノーマルフォームの比較例に比べ大きい。その理由について考察する。
前記テストex.Cの下層3のノーマルフォームが通常用いられる55°であるのに対し、前記テストex.Dのそれが通常よりも硬い65°である。そのため、各被験者にとってソール全体が硬く感じられ、前記変化量γのピーク値が大きくなったものと考えられる。したがって、大型選手で、かつ、脚力が強い着用者の場合、テストex.Dにおいても前記変化量γのピーク値が小さく、安定性が高くなり得ると推測される。
但し、大型選手で体重が重い着用者の場合、前記1stストライクにおける前記変化量βのピーク値が増大すると考えられ、したがって、下層3のノーマルフォームの硬度が65°の場合、それに合わせて、上層2の低反発材の硬度も50°〜55°程度とするのが好ましいと考えられる。
他方、図6Bのテストex.Bは前記テストex.Dに比べ、前記変化量γのピーク値が若干小さい。これは図5Cのテストex.Bがテストex.Dに比べ上層2の低反発材Sの硬度が小さく、ミッドソール全体の剛性が低下し、そのため、ソール全体の硬さがノーマルフォームの比較例に近くなったためと推測される。
図6Bのテストex.Aは前記テストex.BおよびDよりも更に変化量γのピーク値が大きい。その理由は、図5Cのテストex.Aの下層3の硬度が通常用いられる55°で、かつ、上層2の硬度が35°であり、被検者にとってミッドソール全体の剛性が小さすぎるためであると考えられる。
しかし、前述の子供、女性、中高年者などの体重が軽い着用者の場合、前記変化量γのピーク値が小さく、安定性が向上するかもしれない。また、前記テストex.Cと前記テストex.Aとの結果から、下層3にノーマルフォームの55°程度を配置し、上層2に低反発材の40°以上ないし41°以上45°以下を配置すれば前記安定性の向上する可能性が高まるものと考えられる。
つぎに、図4Aのテーパ部STに関し行った、コンピュータによるシミュレーションについて説明する。
積層体の変形状態の推測を行うため、図7Bに示すように内外が均等で中央部が大きい分布荷重に対する変形状態の算出を行った。荷重は図7Aに示す10本の各弾性要素6に対して与え、算出されたひずみ値を用い、変形状態を推測した。
図8A〜図8Cに境界面の傾斜状態の異なる場合の各仮想の積層体の変形状態を示す。図8Aに示す直線状の傾斜の場合は、歪みの最大値の発生位置の内外への変位は少ないが、図8Bの階段状にテーパ部STを設けた場合は、歪みの最大値の発生位置の内外への変位が大きい。また、図8Cのように傾斜がない場合には、歪みの最大値の発生位置に変化は生じない。このように同硬度でも初期剛性の低い低反発材Sと高硬度のノーマルフォームNを図8Aおよび図8Bに示すように積層することにより、変形モードが変化するなど、特性の変化が発現することが確認できた。特に、図8Bのテーパ部STをシューズの幅方向に適用した場合には、グラフ右側を外側Lat.とすれば、低荷重では外側の変形が大きく足の動きを妨げることがなく、足当たりが良い。一方、高荷重が作用した場合には、内側の変形が小さくなり、踵の倒れこみが少なく、したがって、安定性が高くなると推測される。
つぎに、本発明において、各発泡体の硬度、厚さおよびテーパ部の有無に関して行ったコンピュータによるシミュレーションについて説明する。
まず、用意した仮想の積層体1Vについて説明する。
前記積層体1Vとして、図9AのCase1,図12A〜図12FのCase11〜13,Case21〜23および図13A〜図13DのCase14,15,24,25を想定した。
各Caseにおける上層および下層の厚さT(単位:mm)は、図9Aおよび図10A〜図10Dに示すとおりである。
つぎに、前記各種積層体1Vを図11AのS0−S10に対応する位置に非線形の各弾性要素6を配置した仮想のモデルに置き換えた。かかる仮想のモデルに前記1stストライクにおいて想定される仮想の偏心荷重を負荷し、各弾性要素6の変位量から各積層体1Vの上面の変形量を算出した。
図11Bは前記変形量と当該変形量の図心(図の中心)Oの一例を示す。前記図6Bの実際のシューズにおいて示した安定性の評価において、つまり、前記実際テストex.A〜Dを用いた安定性の評価において、高評価を得たテストex.Cと対比し、前記図心Oの位置がテストex.Cに比べ小さい程、安定性が高いと評価することとした。その評価基準のデジタル値とシンボルとの関係を図9Cに示す。
図9Cの各デジタル値は図11BのS0からの距離Pを示し、図9Cにおいて、二重丸はbest、一重丸はbetter、三角は従来と同等、Xは従来よりも劣ると判断した。
つぎに、各Caseの発泡体の機械的性質および形状と各Caseについて得られた評価結果について説明する。
図9BのCase1、図12A〜図12FのCase11〜13および21〜23については、各図表に示すとおり、低反発材Sについて35°〜60°まで5°ごとに想定し、一方、ノーマルフォームNについては50°〜65°まで想定した。
図9AのCase1は下層3のノーマルフォームNに上層2の低反発材Sが積層されている。下層3のノーマルフォームNの厚さは15mmで、上層2の低反発材Sの厚さは5mmに設定されている。
図12Aおよび図12DのCase11およびCase21では下層3のノーマルフォームNに上層2の低反発材Sが積層されている。これらのCase11,21においては上層2の中央部にテーパ部STが設けられている。
前記図9BのCase1および図12AのCase11の結果から、ミッドソール1において、前記両発泡体N,Sの硬度が互いに同等(以下、「同程度の硬度」という)で、かつ、アスカーC硬度で50°〜55°に設定されている場合には、クッション性だけでなく安定性の向上が期待できる。
一方、図12DのCase21においては、互いに同硬度では安定性が期待できない。その理由はCase21は図10Cに示すとおり上層2の低反発材Sの厚さが大きいためであると推測される。したがって、前記50°〜55°で同程度の硬度の場合には、下層3のノーマルフォームNに比べ上層2の低反発材Sの厚さが小さいのが好ましいことが分かる。
他方、図12EのCase22においては、下層3の低反発材Sの上に上層2のノーマルフォームNが積層されている。このCase22では、50°〜55°で同程度の硬度の場合、やはり、クッション性だけでなく、安定性の向上が期待できる。
また、図12BのCase12においては、下層3の厚い低反発材Sの上に上層2の薄いノーマルフォームNが積層されている。このCase12では、ノーマルフォームNの硬度よりも低反発材Sの硬度が5°〜10°大きくてもクッション性だけでなく、安定性の向上が期待できることが分かる。
また、前記12AのCase11においても、55°で同程度の硬度の場合には前記機能の向上が期待できることが分かる。
更に、同Case11においても、ノーマルフォームNの硬度が55°で低反発材Sの硬度が55°よりも5°大きい60°であっても機能の向上が期待できることが分かる。
また、図12Aの同Case11において、下記の関係を有するミッドソールは前記機能の向上が期待できることが分かる。すなわち、ミッドソール1において、前記ノーマルフォームNの硬度がアスカーC硬度で50°〜65°に設定され、
前記低反発材Sの硬度がアスカーC硬度で35°〜50°に設定され、
前記ノーマルフォームNの前記アスカーC硬度の値が、低反発材Sの前記アスカーC硬度の値に比べ、10°〜15°大きい場合、前記機能の向上が期待できる。
ここで、発泡体の測定上や製造上の誤差を考慮すると、前記硬度差10°〜15°は8°〜15°であっても機能向上が期待できる。
また、図12Aの同Case11について詳しく検討すると、前記ノーマルフォームNの硬度がアスカーC硬度で55°に設定され、
前記低反発材Sの硬度がアスカーC硬度で45°〜55°に設定されている場合、前記機能の向上が期待できることが分かる。
更に、発泡体の製造上の誤差を考慮すると、同Case11のミッドソール1において、ノーマルフォームNの硬度がアスカーC硬度で53°〜57°に設定され、
前記低反発材Sの硬度がアスカーC硬度で43°〜57°に設定され、
前記低反発材Sの硬度Lcが前記ノーマルフォームNの硬度Ncよりも小さいか、あるいは、前記ノーマルフォームNの硬度Ncと同等である場合であっても前記機能向上が期待できる。
また、図12Aの同Case11においては、つまり、外側Latが内側Medに比べ上層2の低反発材Sが厚く、かつ、テーパ部STを有している場合には、下記の条件においても、前記機能の向上が期待できる。すなわち、ミッドソール1において、
前記ノーマルフォームNのアスカーC硬度で50°〜65°に設定され、
前記低反発材SのアスカーC硬度で35°〜50°に設定され、
前記ノーマルフォームNの前記アスカーC硬度の値が、低反発材Sの前記アスカーC硬度に比べ、5°〜15°大きい場合にも前記機能の向上が期待できる。
更に、前述の図5Aの実際のシューズを用いたテストにおいて、図5Cのテストex.Cの結果が最も優れていることに照らして考えれば、ミッドソール1において、
前記ノーマルフォームNの硬度がアスカーC硬度で50°〜60°に設定され、
前記低反発材Sの硬度がアスカーC硬度で40°〜50°に設定され、
前記ノーマルフォームNの前記アスカーC硬度の値が低反発材Sの前記アスカーC硬度の値に比べ、5°〜15°大きい場合には前記機能の更に大きな向上が期待できる。
つぎに、上層2および下層3にそれぞれノーマルフォームNおよび低反発材Sを配置しても、前記機能の向上が期待できることについて説明する。
図12DのCase21と図12FのCase23とを比較すると、図表中の評価から分かるように、上層2にノーマルフォームNを配置し、下層3に低反発材Sを配置した図12FのCase23と、これとは逆の配置である図12DのCase21とで、同等の評価が得られた。
但し、Case23のように、下層3に低反発材Sを配置した場合、柔軟な低反発材Sの直下にアウトソール4が配置される。そのため、低反発材Sの変形の遅れにより、激しい左右の動作には不向きかもしれない。
したがって、下層3に低反発材Sを配置する場合、特に前足部1Fにおいては低反発材Sの厚さが薄い方が左右の振れ(ブレ)に対する安定性が期待できる。
また、図12CのCase13から分かるように、下層3の低反発材Sが内外にわたって著しく厚い場合、良い評価は得られていない。更に、図12BのCase12から分かるように、下層3の低反発材Sが内外にわたって著しく厚いミッドソールでは、良い評価を得るには低反発材Sの硬度がノーマルフォームNよりも大きいことが条件となっている。
こうした考察から、後足部の下層3に低反発材Sを配置する場合、少なくとも内側部SMの低反発材Sの厚さをノーマルフォームNよりも薄くするのが望ましいと思われる。
つぎに、低反発材Sの厚さについて検討する。
図12BのCase12および図12CのCase13のように、低反発材Sの厚さが図10Aおよび図10Bの13mm〜17mmであると、硬度の小さい低反発材Sは採用しにくいだろう。
一方、図9AのCase1、図12AのCase11、図12Dおよび図12FのCase21およびCase23のように、低反発材Sの厚さが図10A、図10Bおよび図10Cのように、3mm〜15mmの場合には、ノーマルフォームNの硬度よりも小さい硬度の低反発材Sを用いることができる。
これらの結果から、後足部の外側部が厚く、かつ、ノーマルフォームNの硬度よりも硬度が小さい低反発材Sは用いることができると推測される。
その場合、厚さの好ましい範囲は、図9A、図9BのCase1の厚さ5mm〜図12DのCase21の厚さ15mm程度と推測される。
しかし、5mmより薄い場合でも製造の可能な2mm以上であれば機能の向上の度合い小さいものの、ある程度の機能向上が期待できるだろう。したがって、本発明は低反発材Sの層の厚さを特に限定するものではないが、2mm〜15mm程度の範囲であれば、十分に採用し得ると思われる。
つぎに、低反発材Sを含まずノーマルフォームNを積層した図13A〜図13DのCase14,15,24および25について言及する。
これらのCaseでは殆ど良い評価が得られなかった。しかし、図13AのCase14のように、上層2のノーマルフォームNの硬度が下層3のノーマルフォームNの硬度よりも小さい場合、たとえば、上層が45°で、下層が55°および60°の場合には若干ながら機能の改善される可能性がある。
つぎに、低反発材Sの配置領域について考察する。
図5Aの前足、図5Bの後足および図6Bの中足についての結果から、本低反発材Sは前記図3Aの前足部1F、中足部1M、後足部1Rのいずれか1以上に配置されていれば、当該部位における機能の向上が期待できることが分かる。
また、低反発材Sは各領域1F,1M,1Rにおいて、全域にわたって設けられている必要はなく、平面領域の大半つまり、平面領域の半分以上に設けられていればよい。
たとえば、後足部1Rの場合、少なくとも後半部1Rrに設けられている場合や、あるいは、少なくとも外側部SLおよび中央部SCに設けられている場合も、前記1stストライクの緩衝機能を発揮するだろう。
また、中足部1Mにおいては、突き上げ防止用に低反発材Sが内側部SMのみに設けられてもよいし、逆に、プロネーションの抑制のために硬度の小さい低反発材Sが外側部SLのみに設けられてもよい。
前足部1Fについては、低反発材Sは大きく屈曲する少なくとも中足趾節関節(MP関節)の部位を含む大半部分や大きな踏み出し力を発揮する母趾球の部位を含む大半部分に配置されてもよい。
前記低反発材Sは前足部1F、中足部1M、後足部1Rのうちの2つの領域に配置されてもよい。たとえば、低反発材Sは少なくとも前足部1Fおよび中足部1Mに配置されてもよい。また、低反発材Sは少なくとも前足部1Fおよび後足部1Rに配置されてもよい。また、低反発材Sは少なくとも中足部1Mおよび後足部1Rに配置されてもよい。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、上層及び/又は下層の発泡体の硬度は内外で互いに異なっていてもよい。
また、上層及び/又は下層に発泡体以外の緩衝要素、たとえば非発泡体のゲルやエアが充填された鞘様のポッズが含まれていてもよい。
また、上層の下面及び/又は下層の上面に溝が形成されてもよいし、ミッドソールの側面に上下に延びる溝が形成されていてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、本発明の範囲のものと解釈される。
本発明は靴底のミッドソールに適用できる。
1:ミッドソール 1F:前足部 1M:中足部 1R:後足部
1Rr:後半部
2:上層 21:上面 2M:内巻上部 2L:外巻上部
3:下層
4:アウトソール 4s:接地面
5F:前足 5M:中足 5R:後足
6:弾性要素
N:第1発泡体(ノーマルフォーム) S:第2発泡体(低反発材)
SM:内側部 SL:外側部 ST:テーパ部 SC:中央部
M:足の内側 L:足の外側
O:図心
β:内反方向への角度の変化量 γ:外旋方向への角度の変化量

Claims (6)

  1. 接地面を有するアウトソール4の上に配置されるミッドソール1であって、
    前記ミッドソール1は上層2と下層3とを有し、
    前記上層2又は下層3のうちの一方における前足部1Fの平面領域の大半、中足部1Mの平面領域の大半または後足部1Rの平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を有する第1発泡体Nの層を包含し、
    前記上層2又は下層3のうちの他方における前記第1発泡体Nの層が配置された前足部1Fの平面領域の大半、中足部1Mの平面領域の大半または後足部1Rの平面領域の大半のうちの1又は2以上の部位が熱可塑性の樹脂成分を有する第2発泡体Sの層を包含し、
    前記第1発泡体Nと前記第2発泡体Sとは互いに機械的性質が異なり、
    前記3つの領域のうちいずれか1つにおいて、前記第1発泡体Nの厚さが足の内側Mと外側Lとで異なっており、かつ、前記第1発泡体Nの厚さの異なっている前記領域において第2発泡体Sの厚さが足の裏側を支える内側部SMと外側部SLで異なっており、
    前記上層2における内側部SMと外側部SLとの間には、内側Mから外側Lに延びるに従い厚さの変化するテーパ部STが設けられ、
    前記テーパ部STの厚さの変化の度合が前記内側部SMの厚さの変化の度合、あるいは、前記外側部SLの厚さの変化の度合いよりも大きい。
  2. 請求項1のミッドソール1において、少なくとも前記後足部1Rの平面領域の大半に前記第1および第2発泡体N,Sの層が配置され、
    前記後足部1Rにおいて前記第2発泡体Sの層は、足の内側Mの平均厚さよりも外側Lの平均厚さが大きく、かつ、
    前記後足部1Rにおいて前記第1発泡体Nの層は、足の外側Lの平均厚さよりも内側Mの平均厚さが大きく、
    前記第1発泡体Nは前記第2発泡体SよりもアスカーC硬度が大きい。
  3. 請求項2のミッドソール1において、前記後足部1Rの後半部の少なくとも一部の横断面において、前記テーパ部STが内側Mと外側Lの中心よりも内側寄りに配置されている。
  4. 請求項1のミッドソール1において、少なくとも前記中足部1Mの平面領域の大半に前記第1および第2発泡体N,Sの層が配置され、
    前記中足部1Mにおいて前記第2発泡体Sの層は、足の内側Mの平均厚さよりも外側Lの平均厚さが大きく、かつ、
    前記中足部1Mにおいて前記第1発泡体Nの層は、足の外側Lの平均厚さよりも内側Mの平均厚さが大きく、
    前記第1発泡体Nは前記第2発泡体SよりもアスカーC硬度が大きい。
  5. 請求項1のミッドソール1において、前記上層2における前記第2発泡体Sは足の内側Mの裏面を支持するための内側部SMと、足の外側Lの裏面を支持するための外側部SLと、足の内側Mの側面を支持するための内巻上部2Mとを一体に備え、
    前記内巻上部2Mが前記内側部SMから内側の縁に向かって延びるに従い前記内巻上部2Mは前記第2発泡体Sの上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
  6. 請求項1のミッドソール1において、前記上層2における前記第2発泡体Sは足の内側Mの裏面を支持するための内側部SMと、足の外側Lの裏面を支持するための外側部SLと、足の外側Lの側面を支持するための外巻上部2Lとを一体に備え、
    前記外巻上部2Lが前記外側部SLから外側の縁に向かって延びるに従い前記外巻上部2Lは前記第2発泡体Sの上面に直交する法線方向の厚さが大きい。
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