JP2016027306A - 断線検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構成で、配電線を構成する各線の断線を検出することができる断線検出装置を提供する。【解決手段】高圧配電線103の末端105に、無効電力を発生する無効電力発生部として、たとえばコンデンサ112を接続する。無効電力を発生させる電流であってコンデンサ112に流れる電流の値を、無効電力の電流値として、電流センサ111によって検出する。電流センサ111によって検出された無効電力の電流値に基づいて、高圧配電線103が断線しているか否かを断線判定部113によって判定する。断線判定部113は、無効電力の電流値が基準電流値未満であると判断すると、高圧配電線103が断線していると判定し、無効電力の電流値が基準電流値以上であると判断すると、高圧配電線103が断線していないと判定する。【選択図】図1
Description
本発明は、三相の高圧配電線の断線を検出する断線検出装置に関する。
高圧配電線および特別高圧配電線(以下、まとめて「高圧配電線」という)の断線は、大規模停電および感電事故などを引き起こすおそれがあるので、早期に検出する必要がある。しかし、高圧配電線には被覆電線が使われているので、断線が発生しても、従来の地絡リレーなどでは検出することができない場合がある。そこで、大規模停電および感電事故などを引き起こす前に高圧配電線の断線を検出する技術が考えられている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
たとえば特許文献1に開示される商用電源回路の断線・停電判別回路では、高圧配電線を構成する単相3線のうち、電源線である2線の間に第1のコンデンサが接続され、2線ある電源線のうちの1線と残りの1線である接地線との間に第2のコンデンサが接続される。断線・停電判別回路は、第1のコンデンサの電圧波形と、第2のコンデンサの電圧波形とを検出して、これらの電圧波形を比較することによって、単相3線式の商用交流電源の異常を、断線と停電とに区別して判別する。
特許文献1に開示される断線・停電判別回路では、電圧波形を計測する装置、および電圧波形を比較する装置を設置する必要があり、多大な費用がかかる。
特許文献2に開示される配電線の断線区間検出装置は、高圧配電線の相間に重畳して、商用周波と異なる所定周波数の電流を流し、電流検出装置で所定周波数の電流の大きさを検出して、検出した電流の大きさによって断線区間を判定するように構成される。
特許文献2に開示される断線区間検出装置では、高圧配電線の相間に重畳して所定周波数の電流を流す電圧発生装置、および相間に流れる所定周波数の電流の大きさを検出する電流検出装置を設置する必要があり、多大な費用がかかる。
このように特許文献1,2に開示される技術では、構成が複雑であり、多大な費用がかかる。したがって、比較的簡単な構成で、費用を抑えて、断線を検出することができる技術が求められる。
このような技術として、スマートメータを用いて断線を検出する技術が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。スマートメータは、通信機能を備える検針端末装置であり、需要家と電力事業者との間で、電力使用量などのデータを送受信する。スマートメータを用いることによって検針の費用を抑えられることから、スマートメータの普及が進んでいる。
スマートメータを用いた断線検出を行う場合、スマートメータを備えるシステム(以下「スマートメータシステム」という場合がある)には、停電時用のバックアップ蓄電池は搭載されない。停電時用のバックアップ蓄電池を搭載しないスマートメータシステムでは、停電時にはスマートメータと通信不能となるので、スマートメータの通信状態に基づいて、遠隔で、通電状態であるのか、または停電状態であるのかを確認することができる。したがって、スマートメータの通信状態に基づいて断線を検出することができる。
特許文献3に開示される停電判定装置は、スマートメータに相当する通信端末を用いて、電柱に取付けられる柱上変圧器単位での停電を検出するように構成される。停電判定装置は、停電時に通信不能となる通信端末を対象として、中央装置からの通信確認結果に基づいて停電を判定する。
スマートメータシステムで用いられるスマートメータの大半は単相用であるので、スマートメータが接続する単相用の柱上変圧器の接続相の断線、すなわち高圧配電線を構成する3線のうちの2線の断線については、特許文献3に開示される技術を用いて検出することができる。しかし、残り1線の断線については、さらに末端側に異なる接続相のスマートメータがない場合には、検出することができないという問題がある。
本発明の目的は、比較的簡単な構成で、配電線を構成する各線の断線を検出することができる断線検出装置を提供することである。
本発明の断線検出装置は、配電線の末端に接続され、無効電力を発生する無効電力発生部と、前記無効電力を発生させる電流であって、前記無効電力発生部に流れる電流の値を検出する電流検出部と、前記電流検出部によって検出される前記電流の値に基づいて、前記配電線が断線しているか否かを判定する断線判定部とを備え、前記断線判定部は、前記電流検出部によって検出される前記電流の値が、予め定める基準電流値未満であると判断すると、前記配電線が断線していると判定し、前記電流検出部によって検出される前記電流の値が、前記基準電流値以上であると判断すると、前記配電線が断線していないと判定することを特徴とする。
本発明の断線検出装置によれば、配電線の末端に接続される無効電力発生部によって無効電力が発生される。この無効電力を発生させる電流であって、無効電力発生部を流れる電流の値が電流検出部によって検出される。検出された電流の値に基づいて、配電線が断線しているか否かが断線判定部によって判定される。断線判定部は、検出された電流の値が基準電流値未満であると判断すると、配電線が断線していると判定し、検出された電流の値が基準電流値以上であると判断すると、配電線が断線していないと判定する。このようにして配電線が断線しているか否かを判定することによって、比較的簡単な構成で、配電線を構成する各線の断線を検出することができる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態である断線検出装置1を備える配電系統システム10の構成を示すブロック図である。配電系統システム10は、配電変電所101、遮断器102、高圧配電線103、単相配電用変圧器106および末端センサ110を備えて構成される。末端センサ110は、電流センサ111、コンデンサ112、断線判定部113および出力部114を備える。本実施の形態の断線検出装置1は、末端センサ110によって構成される。
図1は、本発明の第1の実施の形態である断線検出装置1を備える配電系統システム10の構成を示すブロック図である。配電系統システム10は、配電変電所101、遮断器102、高圧配電線103、単相配電用変圧器106および末端センサ110を備えて構成される。末端センサ110は、電流センサ111、コンデンサ112、断線判定部113および出力部114を備える。本実施の形態の断線検出装置1は、末端センサ110によって構成される。
高圧配電線103は、遮断器102を介して、配電変電所101から延設される。高圧配電線103は、分岐点104において、複数の高圧配電線103に分岐、すなわち枝分かれする。枝分かれした先の高圧配電線103には、さらに分岐点104が存在する場合がある。高圧配電線103は、放射状の構造になっている。分岐点104を経由して高圧配電線103を辿ると、最終的には高圧配電線103の末端105に到達する。
高圧配電線103は、配電変電所101の引き出し口を根とする木構造となっている。また、分岐点104に着目すると、分岐点104よりも負荷側の高圧配電線103は、分岐点104を根とする木構造となっている。
配電変電所101および遮断器102などの設備は、配電系統を構成する。各高圧配電線103には、配電系統から、位相が異なる複数の単相交流電力で構成される多相交流電力が送り出される。本実施の形態では、3つの単相交流電力で構成される三相交流電力が高圧配電線103に送り出される。
遮断器102は、配電変電所101から延設される高圧配電線103の本数と同数が設けられており、各高圧配電線103に直列に接続されている。遮断器102は、高圧配電線103の導通を制御する。遮断器102は、高圧配電線103の導通を可能とする閉路状態と、高圧配電線103の導通を遮断する開路状態とに切り替え可能に構成される。遮断器102は、配電時には閉路状態となる。すなわち、遮断器102が閉路状態であるとき、高圧配電線103には電流が流れる。遮断器102が閉路状態から開路状態に切替わると、高圧配電線103に流れる電流が遮断される。
高圧配電線103には、複数の単相配電用変圧器106が接続される。多相交流電力は、高圧配電線103および単相配電用変圧器106を介して、末端センサ110に供給される。多相交流電力を相ごとに供給するために、高圧配電線103は、複数の電線で構成される。多相交流電力は、配電系統から相ごとに、高圧配電線103の対応する電線(以下「単相配線」という場合がある)に供給される。本実施の形態では、高圧配電線103は、3本の単相配線を含む。これらの3本の単相配線に、三相交流電力が相ごとに供給される。
単相配電用変圧器106は、高圧配電線103を構成する複数の単相配線のうちのいずれか、または全てに接続される。本実施の形態では、単相配電用変圧器106は、三相交流電力の各相が供給される3本の単相配線のうちの2本に接続される。
末端センサ110は、高圧配電線103の末端部に設けられ、高圧配電線103の末端105に接続される。ここで、「末端部」とは、末端およびその周辺の部分をいう。末端センサ110は、末端検出部に相当する。
末端センサ110の電流センサ111は、高圧配電線103、コンデンサ112および断線判定部113に接続されている。コンデンサ112は、高圧配電線103の末端105に接続されている。コンデンサ112は、電流センサ111と高圧配電線103の末端105との間に介在される。電流センサ111は、コンデンサ112よりも配電系統側の高圧配電線103に直列に接続されている。断線判定部113は、出力部114に接続されている。
コンデンサ112は、無効電力を発生する。電流センサ111は、無効電力を発生させる電流であって、コンデンサ112に流れる電流の値(以下「無効電力の電流値」という場合がある)を計測する。電流センサ111は、計測した無効電力の電流値を断線判定部113に与える。コンデンサ112は、無効電力発生部に相当する。電流センサ111は、電流検出部に相当する。
断線判定部113は、たとえば中央演算処理装置(Central Processing Unit;略称:CPU)およびダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory;略称:DRAM)によって実現される。
断線判定部113は、電流センサ111から与えられた無効電力の電流値に基づいて、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線しているか否かを判定する。
さらに具体的に述べると、断線判定部113は、電流センサ111によって計測された無効電力の電流値が、予め定められる基準電流値未満であると判断すると、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線していると判定する。断線判定部113は、計測された無効電力の電流値が、予め定められる基準電流値以上であると判断すると、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線していないと判定する。基準電流値は、たとえば、コンデンサ112の定格電流値の半分の値に設定される。
断線判定部113は、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果を表す信号(以下「判定信号」という場合がある)を出力部114に与える。
出力部114は、断線判定部113によって判定される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果を出力する。具体的には、出力部114は、断線判定部113から与えられる判定信号に基づいて、末端センサ110が接続される高圧配電線103の断線の状況を出力する。
出力部114は、たとえばディスプレイ装置によって実現される。出力部114がディスプレイ装置によって実現される場合、出力部114は、末端センサ110が接続される高圧配電線103の断線の状況を表す文字または画像を表示画面に表示する。
出力部114は、ディスプレイ装置に限らず、LED(Light Emitting Diode)、スピーカなどの音声発生装置、携帯電話端末装置または特定小電力無線機などによって実現されてもよい。
出力部114が、LEDによって実現される場合は、たとえばLEDを点灯または点滅させる、あるいはLEDの発光色を変えることによって、高圧配電線103の断線の状況を使用者に通知する。
出力部114が、音声発生装置によって実現される場合は、たとえば音声発生装置から出力する音声の種類を変えることによって、高圧配電線103の断線の状況を使用者に通知する。出力部114が、携帯電話端末装置または特定小電力無線機によって実現される場合は、たとえば断線の状況を上位システムに通知する。
末端センサ110の内部には、電流センサ111、断線判定部113および出力部114の電源として、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から、電流センサ111、断線判定部113および出力部114に、電力がそれぞれ供給される。充電池が設けられる場合は、充電池の比較的近い場所に設けられている単相配電用変圧器106の二次側から充電池に電力を供給するように構成することによって、充電池の充電を行う。
末端センサ110は、内部に電池または充電池を設けずに、末端センサ110が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106の二次側から、電流センサ111、断線判定部113および出力部114に直接電力をそれぞれ供給するように構成されてもよい。
この場合に、電流センサ111、断線判定部113および出力部114に、末端センサ110が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給する理由は、以下の通りである。末端センサ110が接続される高圧配電線103と同じ相、たとえばR相を含む2線に接続する単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給すると、R相が断線したときに、電流センサ111、断線判定部113および出力部114への電力の供給も停止してしまう。これによって、高圧配電線103の断線を検出することができなくなるからである。
図2は、本発明の第1の実施の形態における断線検出処理に関する断線検出装置1の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの各処理は、断線検出装置1、具体的には、断線検出装置1である末端センサ110を構成する電流センサ111、断線判定部113および出力部114によって実行される。図2に示すフローチャートでは、断線検出装置1である末端センサ110に電力が供給されると処理が開始され、ステップS1に移行する。
ステップS1において、電流センサ111は、コンデンサ112に流れる電流の値を無効電力の電流値として計測して、計測した電流値を表す電流値信号を断線判断部113に与える。無効電力の電流値を計測すると、ステップS2に移行する。
ステップS2において、断線判定部113は、電流センサ111によって計測された無効電力の電流値と、予め定められる基準電流値とを比較して、ステップS3に移行する。基準電流値は、たとえば、コンデンサ112の定格電流値の半分の値に設定される。
ステップS3において、断線判定部113は、ステップS2における比較結果に基づいて、電流センサ111によって計測された無効電力の電流値が、基準電流値未満であるか否かを判断する。断線判定部113は、計測された無効電力の電流値が基準電流値未満であると判断すると、ステップS4に移行し、計測された無効電力の電流値が基準電流値以上であると判断すると、ステップS5に移行する。
ステップS4において、断線判定部113は、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線していると判定して、断線している旨の判定結果を表す判定信号を出力部114に与える。出力部114がディスプレイ装置によって実現される場合、断線判定部113は、判定信号とともに、ステップS1で計測された無効電力の電流値と、ステップS2で用いた基準電流値とを出力部114に与える。ステップS4の処理が終了すると、ステップS6に移行する。
ステップS5において、断線判定部113は、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線していないと判定して、断線していない旨の判定結果を表す判定信号を出力部114に与える。出力部114がディスプレイ装置によって実現される場合、断線判定部113は、判定信号とともに、ステップS1で計測された無効電力の電流値と、ステップS2で用いた基準電流値とを出力部114に与える。ステップS5の処理が終了すると、ステップS6に移行する。
ステップS6において、出力部114は、断線判定部113から与えられる判定信号に基づいて、断線の状況を出力する。たとえば、出力部114がディスプレイ装置によって実現される場合、出力部114であるディスプレイ装置は、断線の有無、計測された無効電力の電流値、および基準電流値を、表示画面に表示する。
出力部114がLEDによって実現される場合、出力部114は、たとえば、断線しているときには発光し、断線していないときには発光しないように構成される。すなわち、末端センサ110は、自センサ110が接続している高圧配電線103が断線しているときには、出力部114であるLEDを点灯させ、自センサ110が接続している高圧配電線103が断線していないときには、出力部114であるLEDを点灯させないように構成される。
また出力部114が音声発生装置によって実現される場合、出力部114は、たとえば、断線しているときには警告音を発生し、断線していないときには警告音を発生しないように構成される。すなわち、末端センサ110は、自センサ110が接続している高圧配線電103が断線しているときには、出力部114である音声発生装置から警告音を発生させ、自センサ110が接続している高圧配電線103が断線していないときには、出力部114である音声発生装置から警告音を発生させないように構成される。
出力部114が携帯電話端末装置、または特定小電力無線機によって実現される場合、出力部114は、たとえば、断線しているときにはその旨を上位システムに通知し、断線していないときにはその旨を上位システムに通知するか、または通知自体を行わないように構成される。
以上のように本実施の形態によれば、高圧配電線103の末端105に接続される無効電力発生部であるコンデンサ112によって、無効電力が発生される。この無効電力を発生させる電流であってコンデンサ112に流れる電流の値が、無効電力の電流値として、電流センサ111によって検出される。検出された無効電力の電流値に基づいて、高圧配電線103が断線しているか否かが断線判定部113によって判定される。
断線判定部113は、無効電力の電流値が基準電流値未満であると判断すると、末端センサ110が接続されている高圧配電線103が断線していると判定する。断線判定部113は、無効電力の電流値が基準電流値以上であると判断すると、末端センサ110が接続される高圧配電線103が断線していないと判定する。
このようにして高圧配電線103が断線しているか否かを判定することによって、比較的簡単な構成で、高圧配電線103を構成する各線の断線を検出することができる。具体的には、高圧配電線103の末端105に取付けた無効電力発生部であるコンデンサ112に流れる電流の値を検出するだけで、その高圧配電線103が断線しているか否かを判定することができる。
高圧配電線103の断線の検出は、本実施の形態の構成に限らず、高圧配電線103の末端105で、電圧または電流の有無を検出することができれば可能である。しかし、電圧を計測する場合には、電圧計が必要である。さらに電圧計だけでなく、6600Vから200Vに降圧させる変圧器も必要となる。また、電流センサを取付けて電流を検出する場合には、高圧配電線103の末端105に負荷がかかっていなければならない。このような負荷は、電力を消費するだけでなく、熱および光を常時発生させてしまうという問題がある。
これに対し、本実施の形態では、前述のように、高圧配電線103の末端105に取付けたコンデンサ112に流れる無効電力の電流値を検出するだけで、その高圧配電線103が断線しているか否かを判定することができるので、高圧配電線103の断線を検出するときに電圧計は不要である。また変圧器も不要となるので、電圧計および変圧器を設置する費用が不要となる。したがって、比較的安価に、高圧配電線103の断線を検出することができる。
また本実施の形態では、高圧配電線103の断線を検出するために、余分な電力を消費する必要がないので、消費電力の増加を抑えて、高圧配電線103の断線を検出することができる。また本実施の形態では、高圧配電線103を検出するときの熱および光の発生を抑えることができる。
また本実施の形態では、末端センサ110は、出力部114を備える。これによって、断線判定部113によって判定される、高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果、すなわち高圧配電線103の断線の状況を、使用者または上位のシステムに通知することができる。
<第2の実施の形態>
図3は、本発明の第2の実施の形態である断線検出装置2を備える配電系統システム11の構成を示すブロック図である。本実施の形態の配電系統システム11は、前述の第1の実施の形態の配電系統システム10と構成が類似しているので、同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施の形態である断線検出装置2を備える配電系統システム11の構成を示すブロック図である。本実施の形態の配電系統システム11は、前述の第1の実施の形態の配電系統システム10と構成が類似しているので、同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述の第1の実施の形態では、末端センサ110が設置されている場所で個別に断線の状況を出力するように構成される場合について説明した。本発明の第2の実施の形態では、以下の構成によって、各末端センサの情報を収集し、リアルタイムで遠隔かつ広範囲にわたる断線検出を可能としている。
配電系統システム11は、配電変電所101、遮断器102、高圧配電線103、単相配電用変圧器106、末端センサ120、通信網124および断線検出サーバ125を備えて構成される。本実施の形態の断線検出装置2は、末端センサ120および断線検出サーバ125を含んで構成される。断線検出サーバ125は、末端センサ120から離隔して設けられる。
本実施の形態の末端センサ120は、前述の第1の実施の形態の末端センサ110と構成が異なる。本実施の形態では、末端センサ120は、電流センサ111、コンデンサ112および通信機123を備える。末端センサ120は、末端検出部に相当する。通信機123は、末端通信部に相当する。
断線検出サーバ125は、通信部126、データ記憶部127、断線判定部128および出力部129を備える。断線検出サーバ125の通信部126は、サーバ通信部に相当する。
末端センサ120は、高圧配電線103の末端105に接続されている。末端センサ120の電流センサ111は、コンデンサ112および通信機123に接続されている。通信機123は、通信網124を介して、断線検出サーバ125の通信部126に接続されている。
電流センサ111は、コンデンサ112に流れる電流の値を無効電力の電流値として計測し、計測した無効電力の電流値を通信機123に与える。
通信機123は、たとえば、携帯電話端末装置または特定小電力無線機によって実現される。通信機123は、末端センサを識別するための識別子(Identifier;略称:ID)を表す末端センサIDを有している。通信機123は、末端センサIDと、電流センサ111から与えられた無効電力の電流値とを、通信網124を経由して、断線検出サーバ125の通信部126に送信する。
末端センサ120の内部には、電流センサ111および通信機123の電源として、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から、電流センサ111および通信機123に、電力がそれぞれ供給される。充電池が設けられる場合は、充電池の比較的近い場所に設けられている単相配電用変圧器106の二次側から充電池に電力を供給するように構成することによって、充電池の充電を行う。
末端センサ120は、内部に電池または充電池を設けずに、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106の二次側から、電流センサ111および通信機123に直接電力をそれぞれ供給するように構成されてもよい。
電流センサ111および通信機123に、末端センサ120が接続する高圧配電線103と異なる相の2線に接続する単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給する理由は、以下の通りである。末端センサ120が接続する高圧配電線103と同じ相、たとえばR相を含む2線に接続する単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給すると、R相が断線したときに、電流センサ111および通信機123への電力の供給も停止してしまう。これによって、高圧配電線103の断線を検出することができなくなるからである。
断線検出サーバ125は、たとえばパーソナルコンピュータ(Personal Computer;略称:PC)などの計算機によって実現される。通信部126は、たとえばネットワークインターフェース装置によって実現される。通信部126は、データ記憶部127に接続されている。通信部126は、末端センサ120の通信機123から送信される末端センサIDと、無効電力の電流値とを受信する。通信部126は、受信した末端センサIDと、無効電力の電流値とを、データ記憶部127に与える。
データ記憶部127は、たとえば磁気ディスク装置によって実現される。データ記憶部127は、断線判定部128に接続されている。データ記憶部127は、通信部126から与えられた末端センサIDと、無効電力の電流値とを記憶する。
断線判定部128は、たとえばCPUおよびDRAMによって実現される。断線判定部128は、出力部129に接続されている。断線判定部128は、データ記憶部127に記憶されている各末端センサ120における無効電力の電流値に基づいて、末端センサ120が接続する高圧配電線103が断線しているか否かを判定する。
断線判定部128は、前述の第1の実施の形態における断線判定部113と同様に、無効電力の電流値が、予め定められる基準電流値未満であると判断すると、末端センサ120が接続される高圧配電線103が断線していると判定する。断線判定部128は、無効電力の電流値が、予め定められる基準電流値以上であると判断すると、末端センサ120が接続される高圧配電線103が断線していないと判定する。断線判定部128は、末端センサ120が接続される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果を表す判定信号を出力部129に与える。
出力部129は、断線判定部128によって判定される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果を出力する。具体的には、出力部129は、断線判定部128から与えられる判定信号に基づいて、末端センサ120が接続する高圧配電線103の断線の状況を出力する。
出力部129は、たとえばディスプレイ装置、印刷装置または磁気ディスク装置によって実現される。出力部129が、たとえばディスプレイ装置によって実現される場合は、末端センサ120が接続する高圧配電線103の断線の状況を表す文字または画像をディスプレイ装置に表示する。
出力部129が、印刷装置によって実現される場合は、末端センサ120が接続する高圧配電線103の断線の状況を表す文字または画像を、印刷装置によって印刷媒体である記録紙などに印刷する。出力部129が、磁気ディスク装置によって実現される場合、出力部129は、末端センサ120が接続する高圧配電線103の断線の状況を表す情報を、磁気記録媒体である磁気ディスクに記録する。
図4は、本発明の第2の実施の形態における断線検出処理に関する断線検出装置2の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの各処理は、断線検出装置2、具体的には末端センサ120を構成する電流センサ111および通信機123、ならびに断線検出サーバ125を構成する通信部126、データ記憶部127、断線判定部128および出力部129によって実行される。図4に示すフローチャートでは、断線検出装置2を構成する末端センサ120および断線検出サーバ125に電力が供給されると処理が開始され、ステップS11に移行する。
ステップS11において、電流センサ111は、コンデンサ112に流れる電流の値を無効電力の電流値として計測する。電流センサ111によって計測された無効電力の電流値は、通信機123に与えられる。無効電力の電流値を計測すると、ステップS12に移行する。
ステップS12において、通信機123は、末端センサ120の末端センサIDと、電流センサ111から与えられた無効電力の電流値とを、通信網124を介して、断線検出サーバ125の通信部126に送信する。通信機123の通信頻度は、たとえば1分間に1回とする。末端センサIDと、無効電力の電流値とを断線検出サーバ125の通信部126に送信すると、ステップS13に移行する。
ステップS13において、断線検出サーバ125の通信部126は、末端センサ120の通信機123から送信された、末端センサ120の末端センサIDと、無効電力の電流値とを受信する。通信部126は、受信した末端センサIDと、無効電力の電流値とを、データ記憶部127に与える。末端センサIDと、無効電力の電流値とを受信すると、ステップS14に移行する。
ステップS14において、データ記憶部127は、通信部126から与えられる末端センサ120の末端センサIDと、無効電力の電流値とを、記憶する。末端センサIDと、無効電力の電流値とを記憶すると、ステップS15に移行する。
ステップS15において、断線判定部128は、データ記憶部127に記憶した末端センサ120の末端センサID毎に、データ記憶部127に記憶された無効電力の電流値と、予め定められる基準電流値とを比較して、ステップS16に移行する。基準電流値は、たとえば、コンデンサ112の定格電流値の半分に設定される。基準電流値は、末端センサ120毎に決められてもよいし、全ての末端センサ120で共通した値としてもよい。
ステップS16において、断線判定部128は、各末端センサIDについて、電流センサ111によって計測された電流値が、基準電流値未満であるか否かを判断する。計測された電流値が基準電流値未満であると判断された場合は、ステップS17に移行し、計測された電流値が基準電流値以上であると判断された場合は、ステップS18に移行する。
ステップS17において、断線判定部128は、末端センサ120が接続する高圧配電線103が断線していると判定して、断線している旨の判定結果を表す判定信号を出力部129に与える。末端センサ120が接続する高圧配電線103が断線していると判定すると、ステップS19に移行する。
ステップS18において、断線判定部128は、末端センサ120が接続する高圧配電線103が断線していないと判定して、断線していない旨の判定結果を表す判定信号を出力部129に与える。末端センサ120が接続する高圧配電線103が断線していないと判定すると、ステップS19に移行する。
ステップS19において、出力部129は、断線判定部128から与えられる判定信号に基づいて、断線の状況を出力する。表1に、出力部129によって出力されるデータの一例を示す。たとえば、出力部129がディスプレイ装置によって実現される場合、出力部129は、以下の表1に示すようなデータリストを出力して表示画面に表示させる。これによって、いずれの末端センサ120に接続する高圧配電線103が断線しているかを、使用者に通知することができる。
以上のように本実施の形態によれば、高圧配電線103の末端部に設けられる末端センサ120と、末端センサ120から離隔して設けられる断線検出サーバ125とを備えて、断線検出装置2が構成される。これによって、各末端センサ120で取得される情報を、断線検出サーバ125によって収集することができる。したがって、第1の実施の形態の効果に加えて、リアルタイムで遠隔かつ広範囲にわたって、比較的安価に、高圧配電線103の断線検出を行うことができる。
また本実施の形態では、断線検出サーバ125は、出力部129を備える。これによって、断線判定部128によって判定される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果、すなわち高圧配電線103の断線の状況を、使用者または上位のシステムに通知することができる。
以上に述べた本実施の形態では、末端センサ120の通信機123は、電流センサ111によって計測される無効電力の電流値を、断線検出サーバ125に送信するように構成される。末端センサ120の通信機123は、これに限定されず、第1の実施の形態における断線判定部113と同様の断線判定部を備えて、断線判定部によって判定される高圧配電線103が断線しているか否かの判定結果を、断線検出サーバ125に送信するように構成されてもよい。
この場合、断線検出サーバ125は、断線判定部128を備えなくてよい。断線検出サーバ125の出力部129は、末端センサ120から送信されて通信部126で受信された判定結果を出力する。
<第3の実施の形態>
図5は、本発明の第3の実施の形態である断線検出装置2を備える配電系統システム12の構成を示すブロック図である。本実施の形態の配電系統システム12は、前述の第2の実施の形態の配電系統システム11と構成が類似しているので、同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明の第3の実施の形態である断線検出装置2を備える配電系統システム12の構成を示すブロック図である。本実施の形態の配電系統システム12は、前述の第2の実施の形態の配電系統システム11と構成が類似しているので、同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
配電系統システム12は、配電変電所101、遮断器102、高圧配電線103、単相配電用変圧器106、需要家107、末端センサ120、通信網124および断線検出サーバ125を備えて構成される。需要家107は、通信機能付検針端末装置(以下「通信機能付検針端末」という場合がある)108および負荷設備109を備える。単相配電用変圧器106は、変圧部に相当する。通信機能付検針端末108は、検針部に相当し、スマートメータとして機能する。末端センサ120および断線検出サーバ125は、断線検出装置2を構成する。
高圧配電線103には、単相配電用変圧器106が接続されている。単相配電用変圧器106の二次側は、需要家107の通信機能付検針端末108に接続されている。通信機能付検針端末108は、負荷設備109に接続されている。
通信機能付検針端末108は、通信機能を備える検針端末装置であり、需要家107が消費した有効電力量を、予め定める周期で計測する。需要家107が消費した有効電力量は、具体的には、需要家構内に設けられる負荷設備109が消費した有効電力量である。有効電力量は、多相交流電力の相ごとに計測される。すなわち通信機能付検針端末108は、負荷設備109で消費された有効電力量である消費電力量を、多相交流電力の相ごとに周期的に計測する。
通信機能付検針端末108は、通信機能を備える。通信機能付検針端末108は、予め定める通信回線によって、たとえば、電力事業者の営業所などに設けられる自動検針親局に接続されている。通信機能付検針端末108は、計測した有効電力量の計測値、すなわち消費電力量の計測結果を、通信回線を介して、自動検針親局に送信する。これによって通信機能付検針端末108は、有効電力量の計測値を自動検針親局に通知する。自動検針親局は、通信機能付検針端末108から通信回線を介して送信された有効電力量の計測値を受信する。自動検針親局は、受信した有効電力量の計測値を記録する。
需要家107の内部には電池または充電池を設けずに、通信機能付検針端末108が接続される単相配電用変圧器106から、通信機能付検針端末108に電力を供給するようにする。停電によって単相配電用変圧器106への電力の供給が停止した場合、単相配電用変圧器106の二次側への電力の供給も停止するので、通信機能付検針端末108は、通信が不可能な状態となる。
したがって、図示しない上位の検針システムでは、通信機能付検針端末108の通信状態から、高圧配電線103を構成する3本の単相配線(以下「単相3線」という場合がある)のうち、単相配電用変圧器106が接続される2本の単相配線(以下「2線」という場合がある)の電源側の断線を確認することができる。
図6は、末端センサ120の接続状態の一例を示す図である。図6では、高圧配電線103の末端105aに単相配電用変圧器106aが接続されていて、かつ単相配電用変圧器106aの二次側に通信機能付検針端末108を介して負荷設備109を備える需要家107が接続されている場合を示している。この場合、高圧配電線103を構成する単相3線のうち、単相配電用変圧器106aが接続される2線については、通信機能付検針端末108の通信状態によって断線を検出することができるので、残り1線の末端に末端センサ120を接続する。
この場合、電流センサ111および通信機123の電源として、末端センサ120の内部に、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から、電流センサ111および通信機123に、電力がそれぞれ供給される。充電池が設けられる場合は、単相配電用変圧器106aの二次側から充電池に電力を供給するように構成することによって、充電池の充電を行う。
末端センサ120は、内部に電池または充電池を設けずに、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106aの二次側から、電流センサ111および通信機123に直接電力をそれぞれ供給するように構成されてもよい。
図7は、末端センサ120の接続状態の他の例を示す図である。図7では、高圧配電線103の末端105bに単相配電用変圧器106bが接続されているが、単相配電用変圧器106bの二次側に、通信機能付検針端末108を介して負荷設備109を備える需要家107が接続されていない場合を示している。
この場合、高圧配電線103を構成する3線の末端にそれぞれ末端センサ120を接続する。図7では、高圧配電線103を構成する3線のうちの1線の末端105bに末端センサ120が接続されるように記載しているが、実際には、3線の末端にそれぞれ末端センサ120が接続される。
高圧配電線103を構成する単相3線のうち、単相配電用変圧器106bが接続される2線のいずれかに接続する末端センサ120については、電流センサ111および通信機123の電源として、末端センサ110の内部に、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から電流センサ111および通信機123に、電力がそれぞれ供給される。充電池が設けられる場合は、単相配電用変圧器106bから電力を供給することによって、充電を行う。
残り1線に接続する末端センサ120については、電流センサ111および通信機123の電源として、末端センサ120の内部に、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から電流センサ111および通信機123に、電力がそれぞれ供給される。充電池が設けられる場合は、充電池の比較的近い場所に設けられている単相配電用変圧器106の二次側から電力を供給することによって、充電を行う。
末端センサ120は、内部に電池または充電池を設けずに、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続する単相配電用変圧器106の二次側から、電流センサ111および通信機123に直接電力をそれぞれ供給するように構成されてもよい。
この場合、電流センサ111および通信機123に、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給する理由は、以下の通りである。末端センサ120が接続される高圧配電線103と同じ相、たとえばR相、S相およびT相のうちのR相を含む2線に接続する単相配電用変圧器106の二次側から直接電力を供給すると、R相が断線したときに、電流センサ111および通信機123への電力の供給も停止してしまう。これによって、高圧配電線103の断線を検出することができなくなるからである。
図8は、末端センサ120の接続状態のさらに他の例を示す図である。図8では、配電線の末端105cに単相配電用変圧器106が接続されていない場合を示している。この場合、高圧配電線103の3線の末端にそれぞれ末端センサ120を接続する。図8では、高圧配電線103を構成する3線のうちの1線の末端105cに末端センサ120が接続されるように記載しているが、実際には、3線の末端にそれぞれ末端センサ120が接続される。
この場合、通信機123の電源として、末端センサ120の内部に、電池または充電池が設けられる。これによって、電池または充電池から通信機123に、電力が供給される。充電池が設けられる場合は、充電池の比較的近い場所に設けられる単相配電用変圧器106cの二次側から電力を供給することによって、充電を行う。
末端センサ120は、内部に電池または充電池を設けずに、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続する単相配電用変圧器106cの二次側から、通信機123に直接電力を供給するように構成されてもよい。
この場合、通信機123に、末端センサ120が接続される高圧配電線103と異なる相の2線に接続される単相配電用変圧器106cの二次側から直接電力を供給する理由は、以下の通りである。末端センサ120が接続される高圧配電線103と同じ相、たとえばR相を含む2線に接続する単相配電用変圧器106cの二次側から直接電力を供給すると、R相が断線したときに、電流センサ111および通信機123への電力の供給も停止してしまう。これによって、高圧配電線103の断線を検出することができなくなるからである。
図9は、本発明の第3の実施の形態における断線検出処理に関する断線検出装置2の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートの各処理は、検針システムおよび断線検出装置2によって実行される。具体的には、検針システムと、末端センサ120を構成する電流センサ111および通信機123と、断線検出サーバ125を構成する通信部126、データ記憶部127、断線判定部128および出力部129とによって実行される。
図9に示すフローチャートでは、検針システムと、断線検出装置2を構成する末端センサ120および断線検出サーバ125とに電力が供給されると処理が開始され、ステップS21に移行する。
ステップS21において、検針システムは、スマートメータを用いた断線検出を行う。具体的には、検針システムは、スマートメータである通信機能付検針端末108の通信状態から、高圧配電線103の断線検出を行う。
通信機能付検針端末108が接続する単相配電用変圧器106は、高圧配電線を構成する単相3線のうち、2線に接続している。電源側で、この2線のうちの少なくとも1線が断線すると、単相配電用変圧器106への電力の供給が停止し、通信機能付検針端末108も電力の供給が停止されて、通信ができなくなる。
上位の検針システムでは、通信機能付検針端末108と通信ができなくなった場合に、その通信機能付検針端末108およびそれに接続される単相配電用変圧器106が停電したものと判定し、通信不可となった通信機能付検針端末108の電源側の高圧配電線103が断線したものと判定する。
ステップS22において、検針システムは、ステップS21で断線を検出した通信機能付検針端末108が接続する単相配電用変圧器106を特定する。本実施の形態では、この単相配電用変圧器106は、停電していると判定する。
ステップS23において、断線検出装置2は、前述の第2の実施の形態で示した末端センサ120による断線検出を行う。
ステップS24において、断線検出装置2は、断線を検出した末端センサ120が接続する高圧配電線103を特定する。本実施の形態では、この高圧配電線103は断線していると判定する。
ステップS25において、配電系統システム12は、ステップS22で特定された停電している単相配電用変圧器106と、ステップS24で特定された断線している高圧配電線103と、上位の配電系統管理システムに記憶されている配電系統の接続情報とから、断線エリアを特定する。
図10は、高圧配電線103の断線状況の一例を示す図である。図10では、末端センサ120bでR相の断線が検出され、それ以外では断線および停電が検出されなかった場合、すなわち、末端センサ120bのみでR相の断線が検出され、他の末端センサ120aで断線が検出されず、いずれの単相配電用変圧器106d〜106iの停電も検出されなかった場合を示している。この場合、少なくとも末端センサ120bよりも電源側のR相で断線しているが、単相配電用変圧器106hの電源側では、R相は断線していないことがわかる。
したがって、エリア201のどこかでR相が断線していると推測することができる。仮に、末端センサ120bが設置されていなければ、この断線は検出することができないので、末端センサ120bによって、断線を検出可能なエリアを拡大する効果があることがわかる。
図11は、高圧配電線103の断線状況の他の例を示す図である。図11に示すように、末端センサ120bでR相の断線が検出され、かつ単相配電用変圧器106gおよび単相配電用変圧器106hの停電が検出され、それ以外では断線および停電が検出されなかった場合、少なくとも単相配電用変圧器106gよりも電源側でR相が断線しているが、末端センサ120dよりも電源側では、R相は断線していないことがわかる。
したがって、エリア202のどこかでR相が断線していると推測することができる。仮に、末端センサ120dが設置されていなければ、この断線は、エリア202に加えてエリア203も断線のエリアの候補となるので、末端センサ120dによって、断線のエリアをより詳細に特定する効果があることがわかる。
ステップS26において、断線の状況を出力する。たとえば、出力部129がディスプレイ装置である場合は、断線しているエリアと、単相3線のうちのいずれの高圧配電線103が断線しているかを、使用者に提示する。
以上のように本実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本実施の形態では、スマートメータを用いた断線検出では検出できないエリアについても、末端センサによる断線検出で断線を検出することができる。したがって、安価な構成で、断線を検出可能なエリアを拡大するとともに、断線エリアのより詳細な特定を行うことができる。
本発明の第3の実施の形態では、前述の第2の実施の形態と異なる部分について述べたが、これに限らず、需要家107、通信機能付検針端末108、負荷設備109以外を第1の実施の形態と同様に構成して実現されてもよい。
以上に述べた第1〜第3の実施の形態では、末端センサ110,120は、無効電力発生部として、コンデンサ112を備える。無効電力発生部は、コンデンサ112に限定されない。無効電力発生部として、コンデンサ112に代えて、たとえば、リアクトルなどを備えてもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能である。また、各実施の形態の任意の構成要素を適宜、変更または省略することが可能である。
10,11,12 配電系統システム、101 配電変電所、102 遮断器、103 高圧配電線、104 分岐点、105 配電線の末端、106 単相配電用変圧器、107 需要家、108 通信機能付検針端末装置、109 負荷設備、110,120 末端センサ、111 電流センサ、112 コンデンサ、113,128 断線判定部、114,129 出力部、123 通信機、124 通信網、125 断線検出サーバ、126 通信部、127 データ記憶部。
Claims (5)
- 配電線の末端に接続され、無効電力を発生する無効電力発生部と、
前記無効電力を発生させる電流であって、前記無効電力発生部に流れる電流の値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部によって検出される前記電流の値に基づいて、前記配電線が断線しているか否かを判定する断線判定部とを備え、
前記断線判定部は、
前記電流検出部によって検出される前記電流の値が、予め定める基準電流値未満であると判断すると、前記配電線が断線していると判定し、
前記電流検出部によって検出される前記電流の値が、前記基準電流値以上であると判断すると、前記配電線が断線していないと判定することを特徴とする断線検出装置。 - 前記断線判定部によって判定される、前記配電線が断線しているか否かの判定結果を出力する出力部を備えることを特徴とする請求項1に記載の断線検出装置。
- 前記配電線の末端部に設けられ、前記無効電力発生部と、前記電流検出部と、前記電流検出部によって検出される前記電流の値を送信する末端通信部とを含む末端検出部と、
前記末端検出部から離隔して設けられ、前記末端通信部から送信される前記電流の値を受信するサーバ通信部と、前記サーバ通信部によって受信される前記電流の値に基づいて、前記配電線が断線しているか否かを判定する前記断線判定部とを含む断線検出サーバとを備えることを特徴とする請求項1に記載の断線検出装置。 - 前記断線検出サーバは、前記断線判定部によって判定される前記配電線が断線しているか否かの判定結果を出力する出力部を含むことを特徴とする請求項3に記載の断線検出装置。
- 前記配電線は、位相が異なる3つの単相交流電力で構成される三相交流電力の各相の単相交流電力を伝送する3本の単相配線を含み、
前記3本の単相配線のうち、
2本の単相配線の末端には、前記三相交流電力を変圧して負荷設備に供給する変圧部と、前記変圧部から与えられる電力で駆動され、前記負荷設備で消費される電力量を計測する検針部とが接続され、前記検針部の通電状態に基づいて、前記2本の単相配線が断線しているか否かが判定され、
前記2本の単相配線を除く残余の1本の単相配線の末端には、前記無効電力発生部が接続され、前記断線判定部によって、前記残余の1本の単相配線が断線しているか否かが判定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の断線検出装置。
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