JP2016027064A - 塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】塩化ビニル系樹脂に対して、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく付与する塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。【解決手段】ペンタエリスリトールと混合カルボン酸との混合エステルからなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、前記混合カルボン酸が、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とからなる混合カルボン酸であり、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が35〜65モル%の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂組成物は、社会と暮らしのあらゆるところにあるプラスチック製品等に広く使用されている。このような塩化ビニル系樹脂組成物は、通常、塩化ビニル系樹脂に、可塑剤、安定剤、充填剤、顔料等の各種添加剤を適切に添加され用いられる。そのような添加剤の中でも、可塑剤は、塩化ビニル系樹脂に柔軟性をはじめとする種々の性能を付与するとともに、塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工時の加工温度を低下させ、加工を容易にするために不可欠な添加剤である(非特許文献1、非特許文献2)。
このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる可塑剤に求められる性能としては、該組成物を原料として成型加工品とした場合の、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等がある。
特に、壁紙、床材等の建材、車両、航空機、船舶等の輸送機器用部材、家具、事務用具、家電等では、火炎時に大量の発煙が生じることで、避難や消火活動に支障をきたすだけでなく、二次災害の可能性も高まるため、低発煙性が求められる(非特許文献3)。
また、電線、ケーブル、シース等の電線被覆材では、漏電を防ぐために、電気絶縁性が求められる(非特許文献4)。
このような塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる代表的な可塑剤としては、フタル酸エステルやアジピン酸エステル等の二塩基酸の高級アルキルエステルがある。中でも、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルは、柔軟性など諸物性のバランスが良いことから、広く使用されているが、更なる耐熱性、低発煙性および電気絶縁性の要求には対応が困難である。
一方、フタル酸エステルの使用は、玩具や育児用品等では制限され[例えば、食品、添加物等の規格基準の改正(平成22年厚生労働省告示第336号)等]、将来は種々の用途においても制限されることが予想される。従って、基本骨格がフタル酸エステルを含まず、フタル酸エステルと同等以上の性能を有する、可塑剤の開発が必要とされている。
特許文献1には、ペンタエリスリトールと無水プロピオン酸とのエステルが可塑剤として使用できることが記載されているが、可塑剤が配合された塩化ビニル系樹脂組成物としての耐熱性、電気絶縁性、低発煙性などの効果については記載されていない。
特開2012−31220号公報
「暮らしの中の可塑剤」,可塑剤工業会,2004年 「可塑剤50年史」,可塑剤工業会,2007年 「塩ビの防火性と火災時の安全性」,塩ビ工業・環境協会,塩化ビニル環境対策協議会,2007年 「塩ビと建設材料」,塩ビ工業・環境協会,塩化ビニル環境対策協議会,2007年
本発明の目的は、塩化ビニル系樹脂に対して、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく付与する塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]ペンタエリスリトールと混合カルボン酸との混合エステルからなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、前記混合カルボン酸が、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とからなる混合カルボン酸であり、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が35〜65モル%の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[2]炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸が、2−エチルヘキサン酸または3,5,5−トリメチルヘキサン酸である[1]に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
[3]塩化ビニル系樹脂と、[1]または[2]に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物であって、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、[1]または[2]に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を10〜100重量部含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
本発明により、塩化ビニル系樹脂に対して、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく付与する塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。
<塩化ビニル系樹脂用可塑剤>
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、ペンタエリスリトールと混合カルボン酸との混合エステルからなり、前記混合カルボン酸は、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とからなる混合カルボン酸であり、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合は、35〜65モル%の範囲である。本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤は、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が35モル%以上であるため、塩化ビニル系樹脂との相溶性が良く、塩化ビニル系樹脂組成物を調製する際に、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤が分離することはない。また、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が65モル%以下であるため、十分な分子量を確保でき、低揮発性にも優れる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルにおいて、該混合エステルがペンタエリスリトールとイソ酪酸と炭素数8の脂肪族モノカルボン酸との混合エステルであるとき、該混合エステルには、下記(i)〜(iii):
(i)同一分子における構成カルボン酸がイソ酪酸および炭素数8の脂肪族モノカルボン酸の双方からなる混合エステル
(ii)ペンタエリスリトールとイソ酪酸とのエステル、およびペンタエリスリトールと炭素数8の脂肪族モノカルボン酸とのエステルの混合物
(iii)上記(i)および(ii)の混合物
の各態様が包含される。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルにおいて、該混合エステルがペンタエリスリトールとイソ酪酸と炭素数9の脂肪族モノカルボン酸との混合エステルであるとき、該混合エステルには、下記(iv)〜(vi):
(iv)同一分子における構成カルボン酸がイソ酪酸および炭素数9の脂肪族モノカルボン
酸の双方からなる混合エステル
(v)ペンタエリスリトールとイソ酪酸とのエステル、およびペンタエリスリトールと炭
素数9の脂肪族モノカルボン酸とのエステルの混合物
(vi)上記(iv)および(v)の混合物
の各態様が包含される。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルには、ペンタエリスリトールの水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のまま残っている部分エステルが不純物として含まれていても良い。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルを構成する炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸としては、直鎖または分岐脂肪族モノカルボン酸のいずれでもよい。例えば、オクタン酸、2−エチル−2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、6−メチルヘプタン酸、イソオクタン酸(炭素数8の脂肪族モノカルボン酸の異性体混合物)、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2,2−ジメチルヘプタン酸、2−メチルオクタン酸、7−メチルオクタン酸、イソノナン酸(炭素数9の脂肪族モノカルボン酸の異性体混合物)等が挙げられ、中でも、2−エチルヘキサン酸または3,5,5−トリメチルヘキサン酸が好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルは、塩化ビニル系樹脂に対して、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく付与する。本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルが、ペンタエリスリトールと、イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸の混合カルボン酸とからなる混合エステルであって、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が50〜65モル%の範囲である混合エステルであるとき、上記の優れた性能を特にバランスよく付与するため、より好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤である混合エステルは、例えば、ペンタエリスリトールと、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とを、120〜250℃で、5〜60時間反応させることにより製造することができる。
前記反応において触媒を用いてもよく、触媒としては、例えば、鉱酸、有機酸、ルイス酸、有機金属、固体酸等が挙げられる。鉱酸の具体例としては、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。有機酸の具体例としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタン等が挙げられる。有機金属の具体例としては、例えば、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン等が挙げられる。固体酸の具体例としては、例えば、陽イオン交換樹脂等が挙げられる。
イソ酪酸の使用量と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸の使用量との和が、使用するペンタエリスリトールの水酸基に対して、1.1〜1.4倍モルであるのが好ましい。
前記反応において、反応により生成する水を反応混合物から取り除きながら反応を行うことが好ましい。反応により生成する水を反応混合物から取り除くとき、同時にイソ酪酸も反応混合物から取り除いてしまうことがある。
前記反応において溶媒を用いてもよく、溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、イソヘキサン、イソオクタン、イソノナン、デカン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒を用いることで、反応により生成する水を反応混合物から効率よく取り除くことができ、反応時間を短縮することができる。
また、ペンタエリスリトールに対する、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸との反応性の差から、得られた混合エステルを構成するイソ酪酸と炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とのモル比が、混合エステルの製造に使用した量におけるそれとは異なることがある。
反応後、必要に応じて、該混合エステルを有機合成化学で通常用いられる方法(水および/またはアルカリ水溶液を用いた洗浄、活性炭、吸着剤等による処理、各種クロマトグラフィー、蒸留等)で精製してもよい。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物である。前記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと共重合可能な単量体との塩化ビニル共重合体、前記塩化ビニル共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させた塩化ビニルグラフト共重合体、これらを主成分とする樹脂組成物、及びこれらの混合物からなる樹脂組成物等が挙げられる。前記塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等いずれの重合方法で製造してもよい。
前記塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に重合性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。これらの単量体は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
前記塩化ビニル共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよく、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの共重合体は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物において、塩化ビニル系樹脂用可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10〜100重量部である。本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂組成物の用途により適切に調整され得る。塩化ビニル系樹脂用可塑剤の含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10重量部未満の場合には、該可塑剤によって示される柔軟性または加工性を十分に実現できない。また、塩化ビニル系樹脂用可塑剤の含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、100重量部より多い場合には、必要な機械的特性を確保することが難しく、また、成形加工品の表面へのブリードが激しくなる傾向にあるため問題となる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤以外の添加剤を含有してもよい。例えば、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤以外の可塑剤、熱安定剤、熱安定化助剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、抗菌・抗カビ剤、滑剤、着色剤、防曇剤、防霧剤、加工助剤、充填剤、顔料等が挙げられる。
前記熱安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、炭酸水酸化鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、
ジブチルビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルチオ)スズ(IV)、ジブチル
ビス(イソオクチルオキシカルボニルメチルチオ)スズ(IV)、マレイン酸ジブチルスズ
(IV)、マレイン酸ジ−n−オクチルスズ(IV)等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤以外の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル、フタル酸ジウンデシル、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル類;トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等のトリメリット酸エステル類;リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤以外の添加剤の含有量は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能を損なわない範囲であればよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、前記塩化ビニル系樹脂、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤、及び必要に応じて本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤以外の添加剤を、スーパーミキサー等の通常用いられる混合装置に投入し、加熱、撹拌、冷却することにより得られる。加熱温度や撹拌時間は、監視窓等から混合状態を見ながら決定することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、例えば、壁紙、床材等の建材、車両、航空機、船舶等の輸送機器用部材、電線、ケーブル、シース等の電線被覆材、家具、事務用具、家電、食品包装用ラップ、玩具、農業用資材、合成皮革、ホース、ガスケット等に成形して用いることができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を成形する方法としては、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、射出ブロー成形法、圧縮成形法、回転成形法等があり、成形品の形状、大きさに応じて、成形方法を適宜選択することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10〜100重量部含有しているから、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく有している。
一般に、塩化ビニル系樹脂組成物を高温で成形加工する場合は、塩化ビニル系樹脂組成物に含まれる可塑剤が空気中へ揮発し、成形品の品質や作業環境が悪化することがあるため、塩化ビニル系樹脂組成物の低揮発性が求められる。
また、塩化ビニル系樹脂組成物を食品包装用ラップとして用いる場合は、食品包装用ラップが食品に接触することから、食品包装用ラップに含まれる可塑剤の食品への低移行性が求められる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10〜100重量部含有しているから、優れた低揮発性や食品等に対する低移行性も有している。
以下、製造例、実施例、参考例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の製造例1〜3で得られた混合エステルにおいて、以下の測定機器、測定条件により、核磁気共鳴スペクトルを測定し、該混合エステルを構成する混合カルボン酸のモル比を算出した。
測定機器;GSX−400(400MHz)(日本電子社製)
測定条件;
・核種;1
・標準物;テトラメチルシラン
・溶媒;CDCl3またはd6−DMSO
[製造例1]
[イソ酪酸と2−エチルヘキサン酸のモル比(イソ酪酸/2−エチルヘキサン酸比)が38/62であるペンタエリスリトールとイソ酪酸と2−エチルヘキサン酸との混合エステル(混合エステル1)の製造]
ディーンスタークトラップの付いた反応器にペンタエリスリトール340.4g(2.5モル、広栄パーストープ社製)、イソ酪酸396.8g(4.5モル、東京化成社製)および2−エチルヘキサン酸1081.8g(7.5モル、KHネオケム社製)を仕込み、混合液を52kPaの減圧下、室温で15分間窒素バブリングを行うことで脱気した。次いで、脱気後の混合液を常圧下、163〜218℃で38時間窒素バブリングを行いながら撹拌した。反応後、反応液を1.3kPaの減圧下、195℃で1時間濃縮した。濃縮液を、濃縮液の酸価に対して2倍モルの水酸化ナトリウムを含むアルカリ水溶液500mLで1回、水500mLで4回洗浄した。有機層を1.3kPaの減圧下、105℃で1時間、窒素バブリングを行いながら脱水した。次いで、吸着剤26g(協和化学工業社製、製品名;キョーワード500)と活性炭52g(日本エンバイロケミカルズ社製、製品名;白鷺P)を加え、0.8kPaの減圧下、100℃で1時間撹拌した。次いで、濾過助剤(昭和化学工業社製、製品名;ラヂオライト#500)を用いて濾過することにより、混合エステル1を1159.5g得た。
[製造例2]
[イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸のモル比(イソ酪酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸比)が61/39であるペンタエリスリトールとイソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合エステル(混合エステル2)の製造]
2−エチルヘキサン酸の代わりに3,5,5−トリメチルヘキサン酸(KHネオケム社製)を用い、ペンタエリスリトール、イソ酪酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸の使用量のモル比(ペンタエリスリトール/イソ酪酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸比)を1.00/2.95/1.85にする以外は、製造例1と同様に操作して、混合エステル2を得た。
[製造例3]
[イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸のモル比(イソ酪酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸比)が24/76であるペンタエリスリトールとイソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合エステル(混合エステル3)の製造]
イソ酪酸の代わりに無水イソ酪酸(東京化成社製)を用い、2−エチルヘキサン酸の代わりに3,5,5−トリメチルヘキサン酸(KHネオケム社製)を用い、ペンタエリスリトール、無水イソ酪酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸の使用量のモル比(ペンタエリスリトール/無水イソ酪酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸比)を1.00/0.50/3.00にする以外は、製造例1と同様に操作して、混合エステル3を得た。
[実施例1]
[塩化ビニル系樹脂組成物1の調製および評価用シート1の作製]
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、製品名;大洋PVC TH−1300)100重量部、三塩基性硫酸鉛(NIケミテック社製、製品名;BS−T)3重量部および混合エステル1を50重量部、室温で混合し、95℃で1時間静置し、塩化ビニル系樹脂組成物1を得た。得られた塩化ビニル系樹脂組成物1を、混練・押出成形評価試験装置(イプロス社製、ロールサイズ;6×16インチ)を用いて、170〜190℃で5分間混練し、その後、押出成形(プレス温度;180℃、予熱時間;5分間、加圧時間;1分間、冷却時間;5分間)し、厚さ1mmの評価用シート1を作製した。
[実施例2]
[塩化ビニル系樹脂組成物2の調製および評価用シート2の作製]
混合エステル1の代わりに混合エステル2を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、塩化ビニル系樹脂組成物2を得た。また、塩化ビニル系樹脂組成物1の代わりに塩化ビニル系樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、評価用シート2を得た。
[参考例1]
[塩化ビニル系樹脂組成物Bの調製および評価用シートの作製]
混合エステル1の代わりに混合エステル3を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、塩化ビニル系樹脂組成物Bを得た。また、塩化ビニル系樹脂組成物1の代わりに塩化ビニル系樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様に操作して評価用シートの作製を試みたが、混練時に混合エステル3が分離したため、評価用シートは得られなかった。
[比較例1]
[塩化ビニル系樹脂組成物Aの調製および評価用シートAの作製]
混合エステル1の代わりにフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(ジェイプラス社製)を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、塩化ビニル系樹脂組成物Aを得た。また、塩化ビニル系樹脂組成物1の代わりに塩化ビニル系樹脂組成物Aを用いた以外は、実施例1と同様に操作して、評価用シートAを得た。
(試験例1)柔軟性の評価(引張試験)
JIS K6723:1995の方法に準じて、評価用シート1、評価用シート2および評価用シートAの引張強さと伸びを測定した。結果を表1に示す。引張強さと伸びが大きい程、柔軟性に優れていることを示す。
(試験例2)耐熱性の評価(加熱後引張試験)
JIS K6723:1995の方法に準じて、評価用シート1、評価用シート2および評価用シートAの加熱前後の引張強さと伸びを測定し、加熱後の引張強さの残率と加熱後の伸びの残率を算出した。結果を表1に示す。加熱後の引張強さの残率と加熱後の伸びの残率が100%に近い程、耐熱性に優れていることを示す。
(試験例3)低発煙性の評価(発煙性試験)
ASTM E662−05(有炎)の方法に準じて、評価用シート1、評価用シート2および評価用シートAの煙濃度の最大値を測定した。結果を表1に示す。煙濃度の最大値が小さい程、低発煙性に優れていることを示す。
(試験例4)電気絶縁性の評価(体積抵抗率試験)
JIS K6723:1995の方法に準じて、評価用シート1、評価用シート2および評価用シートAの体積抵抗値を測定した。結果を表1に示す。体積抵抗値が大きい程、電気絶縁性に優れていることを示す。
Figure 2016027064
表1より、本発明の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂組成物(実施例1および2)は、従来から可塑剤として用いられているフタル酸ジ−2−エチルヘキシルを含む塩化ビニル系樹脂組成物(比較例1)と比較して、同等の優れた柔軟性を有することが分かる。また、実施例1は引張強さの残率が101%、伸びの残率が96%であり、実施例2は引張強さの残率が96%、伸びの残率が67%であり、優れた耐熱性を有することが分かる。また実施例1は煙濃度の最大値が466であり、実施例2は煙濃度の最大値が427であり、優れた低発煙性を有することが分かる。また、実施例1は体積抵抗値が3.0×1014であり、実施例2は体積抵抗値が4.8×1014であり、優れた電気絶縁性を有することが分かる。実施例1および2は、柔軟性、耐熱性、低発煙性および電気絶縁性がバランスよく優れていることが分かる。
これに対して、比較例1は引張強さの残率が181%、伸びの残率が4%、煙濃度の最大値が623、体積抵抗値が2.5×1013であり、耐熱性、低発煙性および電気絶縁性が悪く、物性値のバランスが取れていない。
本発明により、塩化ビニル系樹脂に対して、柔軟性、耐熱性、低発煙性、電気絶縁性等の優れた性能をバランスよく付与する塩化ビニル系樹脂用可塑剤およびそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。

Claims (3)

  1. ペンタエリスリトールと混合カルボン酸との混合エステルからなる塩化ビニル系樹脂用可塑剤であって、前記混合カルボン酸が、イソ酪酸と、炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸とからなる混合カルボン酸であり、前記混合カルボン酸にしめるイソ酪酸の割合が35〜65モル%の範囲であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  2. 炭素数8または炭素数9の脂肪族モノカルボン酸が、2−エチルヘキサン酸または3,5,5−トリメチルヘキサン酸である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤。
  3. 塩化ビニル系樹脂と、請求項1または2に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物であって、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、請求項1または2に記載の塩化ビニル系樹脂用可塑剤を10〜100重量部含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
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