JP2016024314A - 1軸延伸多層積層フィルム、それからなる液晶ディスプレイ用偏光板、液晶ディスプレイ用光学部材および液晶ディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルである1軸延伸多層積層フィルムによって得られる。
【選択図】なし
Description
例えば特許文献2には、液晶層に電解を印加して液晶のリタデーション値を変化させて液晶層に入射する偏光の位相差を一定量シフトさせる液晶表示装置において、液晶層の両側に用いる偏光板の一例として光源側に複屈折性を有するフィルムを3層以上積層した平面状多層構造の反射型偏光板、また液晶層を介した反対側に吸収型偏光板を開示している。
しかしながら、従来検討されているような複屈折性の多層構造を用いた反射偏光性ポリマーフィルム(例えば特許文献4〜6)は、多層ポリマー間の密着性が十分とはいえず、加工などの際に多層部が剥離してしまうことがあった。
しかし、上述のポリマーの組合せでは、偏光板として使用するには偏光度が十分とはいえず、層間の密着性に関しても不十分であった。
しかしながら、特許文献7で提案されている反射偏光フィルムは97〜98%前後の高偏光度を実現しているものの、層間の密着性がいまだ十分とはいえず、さらなる改善が求められている。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層が第2層よりも相対的に高屈折率特性を有する層、第2層が第1層よりも相対的に低屈折率特性を有する層であり、それぞれの層に以下の特定の種類のポリエステルを用いることによって、かかる屈折率の関係が発現する。
また、本発明において1軸延伸方向をX方向、フィルム面内においてX方向と直交する方向をY方向、フィルム面に対して垂直な方向をZ方向と称する。
本発明におけるP偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義される。また本発明におけるS偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
本発明において、延伸方向(X方向)の屈折率はnX、延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率はnY、フィルム厚み方向(Z方向)の屈折率はnZと記載することがある。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを構成する第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有する。
第1層のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸成分を含有し、その含有量は該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として50モル%以上100モル%以下である。
ナフタレンジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらの組み合わせから誘導される成分、もしくはそれらの誘導体成分が挙げられ、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはその誘導体成分が好ましく例示される。
一方、ナフタレンジカルボン酸成分の割合が下限値に満たないと、非晶性の特性が大きくなり、延伸フィルムにおける延伸方向(X方向)の屈折率nXと、Y方向の屈折率nYとの差異が小さくなるため、P偏光成分について十分な反射性能が得られないことがある。
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分が用いられ、その含有量は該ポリエステルを構成するシオール成分を基準として50モル%以上100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは75モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下、特に好ましくは90モル%以上98重量%以下である。該ジオール成分の割合が下限値に満たない場合は、前述の1軸配向性が損なわれることがある。
第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール成分以外にさらに本発明の目的を損なわない範囲でトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールなどを含有してもよい。
第1層を構成するポリエステルには、さらに第2のジカルボン酸成分が用いられることが好ましく、下記式(A)で表される成分を、0モル%を超え、50モル%以下含有するか、
あるいは下記式(B)で表される成分を、0モル%を超え、50モル%以下含有することが好ましい。
以下に、下記式(A)で表される成分をさらに含む芳香族ポリエステル(I)(以下、芳香族ポリエステル(I)と称することがある)、下記式(B)で表される成分をさらに含む芳香族ポリエステル(II)(以下、芳香族ポリエステル(II)と称することがある)について説明する。
第1層を形成するポリエステルの1つとして、下記の特定構造の芳香族系共重合成分をジカルボン酸成分に有する芳香族ポリエステル(I)が例示される。
本発明において芳香族ポリエステル(I)を構成するジカルボン酸成分の好ましい例として、50モル%以上100モル%未満のナフタレンジカルボン酸成分と、0モル%を超え50モル%以下の下記式(A)で表される成分を特定量ずつ含有することが好ましい。
式(A)で表される成分について、式中、RAは炭素数2〜10のアルキレン基を表している。かかるアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
式(A)で表される酸成分は、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、あるいは6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分が好ましい。これらの中でも式(A)におけるRAの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分が好ましい。
一方、本発明における芳香族ポリエステル(I)のジオール成分は脂肪族系であるため、ジオール成分が第1層の屈折率特性に与える影響は本発明のジカルボン酸成分にくらべて小さい。
芳香族ポリエステル(I)の融点は、好ましくは200〜260℃の範囲、より好ましくは205〜255℃の範囲、さらに好ましくは210〜250℃の範囲である。融点はDSCで測定して求めることができる。
一般的に共重合体は単独重合体に比べて融点が低く、機械的強度が低下する傾向にある。しかし、ナフタレンジカルボン酸成分および式(A)の成分を含有する共重合体である場合、ナフタレンジカルボン酸成分のみを有する単独重合体、あるいは式(A)の成分のみを有する単独重合体に比べて融点が低いものの機械的強度は同程度であるという優れた特性を有する。
ナフタレンジカルボン酸成分および式(A)で表される成分を含む場合の芳香族ポリエステル(I)の製造方法は、例えば国際公開第2008/153188号パンフレットの第9頁に記載されている方法に準じて製造することができる。
かかる特定の共重合成分を含む芳香族ポリエステル(I)を第1層に用いて1軸延伸を施す場合、第1層のX方向の屈折率nXが1.80〜1.90の高屈折率特性を有する。第1層におけるX方向の屈折率がかかる範囲にある場合、第2層との屈折率差が大きくなり、十分な反射偏光性能を発揮することができる。
また、Y方向の1軸延伸後の屈折率nYとZ方向の1軸延伸後の屈折率nZとの差は0.05以下であることが好ましい。
本発明の第1層を構成するポリエステルとして、芳香族ポリエステル(I)以外に以下の芳香族ポリエステル(II)の態様も好ましく例示される。
具体的には、芳香族ポリエステル(I)の式(A)で表される成分に代わり、ジカルボン酸成分として下記式(B)で表される成分を用い、0モル%を超え50モル%以下の範囲で含有する芳香族ポリエステルが挙げられる。
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの第2層を形成するポリマーとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルを用いることが必要である。
本発明における共重合成分とは共重合ポリエステルを構成するいずれかの成分であることを意味しており、従たる成分としての共重合成分に限定されず、主たる成分も含めて用いられる。
反射偏光機能を発現するために、本発明の高屈折率層としてエチレンナフタレート単位を所定量含むポリエステルを第1層に用いており、第2層のポリマー成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含まないと第1層との相溶性が低くなり、層間剥離が生じるため、第1層との層間密着性が低下する。
本発明における第2層の共重合ポリエステルは、さらにジオール成分としてトリメチレングリコール成分を含有する。トリメチレングリコール成分を含まないと、層構造の弾性が不足し、層間剥離が生じる。
さらに本発明における第2層の共重合ポリエステルは脂環族ジオール成分を含有する。脂環族ジオール成分を含有することにより、特にY方向について第1層の屈折率特性に応じて層間屈折率差をより小さくすることが可能となり、偏光性能を高めることができる。同時に十分な耐熱性を発現しうるガラス転移点を得ることができる。
該脂環族ジオール成分として、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく例示される。
脂環族ジオール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の3モル%〜40モル%であることが好ましく、さらに3モル%〜30モル%であることが好ましい。脂環族ジオール成分の含有量が下限に満たないと、所望の屈折率とガラス転移点の樹脂とすることが難しく、上限を超えると密着性確保が難しくなる。
トリメチレングリコール成分は、第2層の共重合ポリエステルを構成する全ジオール成分の5モル%〜47モル%であることが好ましく、さらに10モル%〜40モル%であることが好ましい。トリメチレングリコール成分の含有量が下限に満たないと密着性の確保が難しく、上限を超えると所望の屈折率とガラス転移点の樹脂とすることができない。
第2層についての平均屈折率は、第2層を構成する共重合ポリエステルを単独で溶融させ、ダイより押出して未延伸フィルムを作成し、1軸方向に(第2層の共重合ポリエステルのガラス転移温度)+20℃で5倍延伸を行って1軸延伸フィルムを作成し、得られたフィルムのX方向、Y方向、Z方向それぞれの方向について、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定し、それらの平均値を平均屈折率として規定したものである。
また、光学等方性とは、これらX方向、Y方向、Z方向の屈折率の2方向間の屈折率差がいずれも0.05以下、好ましくは0.03以下であることをいう。
さらに第1層の共重合成分として式(A)あるいは式(B)で表される成分を用いた場合、各方向の層間の屈折率差について前記X方向、Y方向の特徴のみならず、Z方向の屈折率差も小さくなり、さらに斜めからの入射角よる色相ずれを低減でき、好ましい。
本発明における第2層は、本発明の偏光度に影響を及ぼさない範囲であれば、第2層の重量を基準として10重量%以下の範囲内で該共重合ポリエステル以外の熱可塑性樹脂を第2のポリマー成分として含有してもよい。
かかる屈折率特性を有する共重合ポリエステルの中でも、高熱処理で結晶化によるヘーズ上昇が全く起きない点から、非晶性の共重合ポリエステルであることが好ましい。ここでいう非晶性とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度20℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
第2層の共重合ポリエステルは、o−クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.55〜0.75dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.60〜0.70dl/gである。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、下記式(1)で表される偏光度(P)が90.0%以上であることが好ましく、さらに95.0%以上であることが好ましい。また、かかる偏光度は、99.0%以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは99.5%以上、最も好ましくは99.9%以上である。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
上式(1)で特定される偏光度が高いほど、反射偏光成分の透過を抑制し、その直交方向の透過偏光成分の透過率が高いことを意味しており、偏光度が高いほど反射偏光成分のわずかな光漏れも低減できる。本発明の1軸延伸多層積層フィルムが98.0%以上の偏光度を有することにより、輝度向上部材などの用途として好適に用いることができる。また、99.5%以上の偏光度を有することにより、従来は吸収型偏光板でなければ適用が難しかったコントラストの高い液晶ディスプレイの偏光板として、反射偏光板単独で適用することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムの400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率Tsは60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明におけるS偏光平均透過率は、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分について、入射角0度での該入射偏光に対する波長400〜800nmの平均透過率を表している。
該S偏光平均透過率が下限に満たないと、反射型偏光板として用いた場合、反射偏光を偏光板で吸収せずに光源側に反射させ、再度その光を有効活用する光リサイクル機能を考慮しても、吸収型偏光板と較べて輝度向上効果の優位性が十分ではないことがある。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、かかる第1層、第2層以外に、中間層を含んでいてもよい。中間層は層厚みが2μm以上30μm以下の厚さであることが好ましく、かかる中間層を第1層と第2層の交互積層構成の内部に有していてもよい。
該中間層は本発明において内部厚膜層などと称することがあるが、本発明において交互積層構成の内部に存在する厚膜の層を指す。また本発明において、多層積層フィルムの製造の初期段階で300層以下の交互積層体の両側に厚膜の層(厚み調整層、バッファ層と称することがある)を形成し、その後ダブリングにより積層数を増やす方法が好ましく用いられるが、その場合はバッファ層同士が2層積層されて中間層が形成される方法が好ましい。
該中間層の厚さが下限に満たないと交互積層構成部の層構成に乱れが生じることがあり、反射性能が低下することがある。一方、該中間層の厚さが上限を超えると、積層後の1軸延伸多層積層フィルム全体の厚みが厚くなり、薄型の液晶表示装置の偏光板や輝度向上部材として用いた場合に省スペース化しにくいことがある。また、1軸延伸多層積層フィルム内に複数の中間層を含む場合には、それぞれの中間層の厚みがかかる範囲内にあることが好ましい。
該中間層の形成方法は特に限定されないが、例えば1軸延伸多層積層フィルムの製造方法欄において説明する、ダブリングを行う前の300層以下の範囲の交互積層体の両側に厚膜の層(バッファ層)を設け、それをレイヤーダブリングブロックと呼ばれる分岐ブロックを用いて2分割し、それらを再積層することで内部厚膜層(中間層)を1層設けることができる。同様の手法で3分岐、4分岐することにより中間層を複数設けることもできる。
(積層数)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上述の第1層および第2層が交互に合計251層以上積層されていることが好ましい。積層数が251層未満であると、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmにわたり一定の平均反射率が得られないことがある。
積層数の上限値は、生産性およびフィルムのハンドリング性など観点から2001層以下が好ましいが、目的とする平均反射率特性が得られれば生産性やハンドリング性の観点からさらに積層数を減らしてもよく、例えば1001層、501層、301層であってもよい。
第1層および第2層の各層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また第1層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.1μm以下、第2層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.3μm以下である。各層の厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、液晶ディスプレイの反射型偏光板や輝度向上部材として用いる場合、その反射波長帯は可視光域から近赤外線領域であることが好ましく、第1層および第2層の各層の厚みをかかる範囲とすることにより、かかる波長域の光を層間の光干渉によって選択的に反射することが可能となる。一方、層厚みが0.5μmを超えると反射帯域が赤外線領域になる。他方、層厚みが0.01μm未満であると、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなる。
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層および第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0以上5.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.0以上3.5以下、特に好ましくは2.0以上3.0以下である。かかる層厚みの比率は、具体的には最小層厚みに対する最大層厚みの比率で表わされる。第1層、第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
多層積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、層の厚みによって反射する波長が決まるが、積層された第1層および第2層のそれぞれが一定の厚みでは、特定の波長のみしか反射することができず、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmの幅広い波長帯にわたって均一に平均反射率を高めることができないため、厚みの異なる層を用いることが好ましい。
第1層および第2層の層厚みは、段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよい。このように積層された第1層および第2層のそれぞれが変化することで、より広い波長域の光を反射することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムにおける多層構造を積層する方法は特に限定されないが、例えば、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた第1層と第2層が交互に積層され、その流路が連続的に2.0〜5.0倍までに変化する多層フィードブロック装置を使用する方法が挙げられる。
本発明における1軸延伸多層積層フィルムは、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比が0.5倍以上4.0倍以下の範囲であることが好ましい。第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の下限値は、より好ましくは0.8である。また、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の上限値は、より好ましくは3.0である。最も好適な範囲は、1.1以上3.0以下である。
第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比を最適な厚み比にすることにより、多重反射による光漏れをより改良できる。ここでいう最適な厚み比とは、(第1層の延伸方向の屈折率)×(第1層の平均層厚み)で表される値と、(第2層の延伸方向の屈折率)×(第2層の平均層厚み)で表される値(光学厚さ)とが均等になる厚みであり、本発明の各層の屈折率特性から換算すると、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の好ましい範囲は1.1〜3.0程度である。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、目的とする反射偏光フィルムとしての光学特性を得るために、少なくとも1軸方向に延伸されている。本発明における1軸延伸には、1軸方向にのみ延伸したフィルムの他、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムも含まれる。1軸延伸方向(X方向)は、フィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。また、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムの場合は、より延伸される方向(X方向)はフィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよく、延伸倍率の低い方向は、1.05〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが偏光性能を高める点で好ましい。2軸方向に延伸され、一方向により延伸されたフィルムの場合、偏光や屈折率との関係での「延伸方向」とは、より延伸された方向を指す。
延伸方法としては、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
第1層と第2層のX方向の屈折率差は0.10〜0.45であることが好ましい。X方向の屈折率差がかかる範囲にあることにより、反射特性を効率よく高めることができ、より少ない積層数で高い反射率を得ることができるので好ましい。
また、第1層と第2層のY方向の屈折率差は0.05以下であることが好ましい。Y方向の層間の屈折率差がかかる範囲にあることにより、偏光性能が高まり好ましい。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのフィルム厚みは15μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに50μm以上180μm以下であることが好ましい。
つぎに、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法について詳述する。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを溶融状態で交互に重ね合わせて合計で300層以下の交互積層体を作成し、その両面に膜厚の層(バッファ層)を設け、レイヤーダブリングと呼ばれる装置を用いて該バッファ層を有する交互積層体を例えば2〜4分割し、該バッファ層を有する交互積層体を1ブロックとしてブロックの積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる。かかる方法により、多層構造の内部にバッファ層同士が2層積層された中間層を有する1軸延伸多層積層フィルムを得ることができる。
上述した方法で所望の積層数に積層化された多層未延伸フィルムは、製膜方向、またはそれに直交する幅方向の少なくとも1軸方向(フィルム面に沿った方向)に延伸される。延伸温度は、第1層のポリマーのガラス転移点の温度(Tg)〜(Tg+20)℃の範囲で行うことが好ましい。従来よりも低めの温度で延伸を行うことにより、フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
また、延伸後にさらに(Tg)〜(Tg+30)℃の温度で熱固定を行いながら、5〜15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させることにより、得られた1軸延伸多層積層フィルムの配向特性を高度に制御することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムのうち、99.5%以上の高偏光度を有するものについて、吸収型偏光板を併用することなく、単独で液晶セルに隣接して用いられる液晶ディスプレイの偏光板として用いることができる。
本発明には、本発明の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層された液晶ディスプレイ用光学部材も発明の一態様として含まれる。かかる光学部材は液晶パネルとも称される。かかる光学部材は図2における5に相当し、第1の偏光板は3、液晶セルは2、第2の偏光板は1に相当する。
従来は液晶セルの両側の偏光板として、吸収型偏光板を少なくとも有することにより高い偏光性能が得られていたところ、本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いた偏光板であれば、従来の多層積層フィルムでは到達できなかった高偏光性能が得られるため、吸収型偏光板に代えて液晶セルと隣接して用いられる偏光板として用いることができるものである。
液晶セルの種類は特に限定されず、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)など、任意のタイプのものを用いることができる。その中でも本発明は一般的に斜め45°方位からの視野角特性の要求が高いVAモードやIPSモードに使用されるのが特に好ましい。
本発明の液晶ディスプレイ用光学部材は、第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層されることが好ましく、これらの各部材同士は直接積層されてもよく、また粘着層や接着層と称される層間の接着性を高める層(以下、粘着層と称することがある)、保護層などを介して積層されてもよい。
液晶セルに偏光板を配置する方法としては、両者を粘着層によって積層することが好ましい。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤のように透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を有し、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましい。また、粘着層は異なる組成又は種類の層を複数設けてもよい。
液晶セルと偏光板とを積層する際の作業性の観点において、粘着層は、予め偏光板、あるいは液晶セルの一方または両方に付設しておくことが好ましい。粘着層の厚みは、使用目的や接着力等に応じて適宜決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
また、粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的として離型フィルム(セパレータ)が仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。離型フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体などを、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデンなどの剥離剤でコート処理したものを用いうる。
本発明には、光源と本発明の液晶ディスプレイ用光学部材とを備え、第1の偏光板が光源側に配置されてなる液晶ディスプレイも発明の一態様として含まれる。
図2に本発明の実施形態の1つである液晶ディスプレイの概略断面図を示す。液晶ディスプレイは光源4および液晶パネル5を有し、さらに必要に応じて駆動回路等を組込んだものである。液晶パネル5は、液晶セル2の光源4側に第1の偏光板3を備える。また、液晶セル2の光源側と反対側、すなわち、視認側に第2の偏光板1を備えている。液晶セル2としては、例えばVAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)などの任意なタイプのものを用いうる。本発明はVAモードやIPSモードに使用されるのが特に好ましい。
また、通常は図2に示すように、液晶セル2の視認側に第2の偏光板1が配置される。第2の偏光板1は特に制限されず、吸収型偏光板など公知のものを用いることができる。外光の影響が非常に少ない場合には、第2の偏光板として第1の偏光板と同じ種類の反射型偏光板を用いてもかまわない。また、液晶セル2の視認側には、第2の偏光板以外にも、例えば光学補償フィルム等の各種の光学層を設けることができる。
液晶ディスプレイ用光学部材(液晶パネル)と光源とを組合せ、さらに必要に応じて駆動回路等を組込むことによって本発明の液晶ディスプレイが得られる。また、これら以外にも液晶ディスプレイの形成に必要な各種部材を組合せることができるが、本発明の液晶ディスプレイは光源から射出される光を第1の偏光板に入射させるものであることが好ましい。
このようにして得られた液晶ディスプレイは、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機等のOA機器、携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ,テレビ,電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター,医療用モニター等の介護・医療機器等、種々の用途に用いることができる。
なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
得られた1軸延伸多層積層フィルムを偏光度測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いてP偏光の透過率、S偏光の透過率、および偏光度を測定した。
偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向(X方向)と合わせるように配置した場合の測定値をP偏光とし、偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向と直交するように配置した場合の測定値をS偏光としたときの偏光度(P,単位%)は以下の式(1)で表される。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
なお、測定光の入射角は0度に設定して測定を行った。
得られた1軸延伸多層積層フィルムを用い、碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
◎:剥離面積が0%以上5%未満 (接着力が極めて良好)
○:剥離面積が5%以上20%未満 (接着力が良好)
×:剥離面積が20%を超える (接着力が不良)
各層試料を10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC Q400)を用い、20℃/min.の昇温速度で、各層を構成するポリマーの融点およびガラス転移点を測定する。
フィルムの各層について、1H−NMR測定よりポリマー成分ならびに共重合成分および各成分量を特定した。
各層を構成する個々の樹脂について、それぞれ溶融させてダイより押出し、キャスティングドラム上にキャストしたフィルムをそれぞれ用意した。また、得られたフィルムを(樹脂のガラス転移温度)+20℃にて一軸方向に5倍延伸した延伸フィルムを用意した。得られたキャストフィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定して求め、延伸前、延伸後の屈折率とした。
第1層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸前のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。また第2層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸後のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。
1軸延伸多層積層フィルムをフィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断し、5nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
1μm以上の厚さの層について、多層構造の内部に存在しているものを中間層、最表層に存在しているものを最外層とし、それぞれの厚みを測定した。また中間層が複数存在する場合は、それらの平均値より中間層厚みを求めた。
また、得られた各層の厚みをもとに、第1層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率、第2層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率をそれぞれ求めた。
また得られた各層の厚みをもとに、第1層の平均層厚み、第2層の平均層厚みをそれぞれ求め、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みを算出した。
なお、第1層と第2層の厚みを求めるに際し、中間層および最外層は第1層と第2層から除外した。
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
VA型液晶ディスプレイパネル(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)を用いて、その中の下側偏光板(光源側偏光板)と光学補償フィルムを取り除き、多層積層フィルムサンプルと置き換え、白色表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、比較例1に対する輝度の上昇率を算出し、輝度向上効果を下記の基準で評価した。
○:輝度向上効果が160%以上
△:輝度向上効果が140%以上、160%未満
×:輝度向上効果が140%未満
パソコンの表示ディスプレイとして得られた液晶ディスプレイを用い、パソコンにより白色および黒画面を表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、白画面より明輝度を、また黒画面より暗輝度をそれぞれ求め、明輝度/暗輝度より求められるコントラストを以下の基準で評価した。
◎: コントラスト(明輝度/暗輝度) 2000以上
○: コントラスト(明輝度/暗輝度) 1000以上2000未満
×: コントラスト(明輝度/暗輝度) 1000未満
(偏光子の作成)
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度99.9モル%)」]を周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送した。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。なお、偏光子の厚みは30μm、水分率は14.3重量%であった。
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5モル%、アセトアセチル化度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製した。この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて接着剤水溶液を調製した。接着剤溶液の粘度は9.6mPa・sであり、pHは4〜4.5の範囲であり、アルミナコロイドの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して74重量部であった。
厚み80μm、正面レターデーション0.1nm、厚み方向レターデーション1.0nmの光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」の片面に、上記のアルミナコロイド含有接着剤を、乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布し、これを上記の偏光子の片面に両者の搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。続いて、偏光子の反対側の面にも同様にして光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」)の片面に上記のアルミナコロイド含有接着剤を乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布したものを、これらの搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。その後55℃で6分間乾燥させて偏光板を得た。この偏光板を「偏光板X」とする。
VAモードの液晶セルを備え、直下型のバックライトを採用した液晶テレビ(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板および光学補償フィルムを取り除いて、該液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。続いて、上記液晶セルの光源側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた光源側偏光板の吸収軸方向と同じ吸収軸方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。
次いで、液晶セルの視認側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた視認側偏光板の吸収軸方向と同じ吸収軸方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。このようにして、液晶セルの一方主面に偏光板X、他方主面に偏光板Xが配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶テレビに組込み、液晶テレビの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面を表示して、液晶ディスプレイの輝度を評価した。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.63dl/gで、酸成分の70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の30モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分(表中、ENAと記載)、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(表中、ENA30PENと記載)を第1層用ポリエステルとし、第2層用ポリエステルをとして2,6−ナフタレンジカルボン酸75mol%、テレフタル酸25mol%、エチレングリコール62mol%、トリメチレングリコール33mol%、スピログリコール5mol%からなる共重合ポリエステル(固有粘度0.70dl/g)を準備した。
この多層未延伸フィルムを115℃の温度で幅方向に5.0倍に延伸し、さらに115℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは105μmであった。
前記比較例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた反射偏光フィルムを用いた以外は比較例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた反射偏光フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
このようにして得られた1軸延伸多層積層フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴を表1に、1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
表1に示すとおり、各層の樹脂組成や層厚み、延伸条件を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。このようにして得られた1軸延伸多層積層フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴を表1に、1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
実施例2では、第1層用ポリエステルにENA40PEN(酸成分の60モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の40モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Bを用い、延伸温度120℃、延伸倍率5.1倍に条件を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
実施例4では、第1層ポリエステルにBB30PEN(酸成分の70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の30モル%がジフェニルジカルボン酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Dを用い、延伸温度125℃、延伸倍率4.6倍で幅方向に延伸し、さらに125℃で同方向に10%延伸しながら125℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
第1層用ポリエステルにENA35PEN(酸成分の65モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の35モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Eを用い、延伸温度135℃、延伸倍率6.0倍で幅方向に延伸し、さらに135℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
第1層用ポリエステルにENA21PEN(酸成分の79モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の21モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル)を用い、第2層用ポリエステルとして表3に示す共重合ポリエステル樹脂Fを用い、延伸温度120℃、延伸倍率5.2倍で幅方向に延伸し、さらに120℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムを得た。
上記の液晶パネルを元の液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイの光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの物性および液晶ディスプレイの物性を表2に示す。
2 液晶セル
3 第1の偏光板
4 光源
5 液晶パネル
Claims (15)
- 第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)該第1層はポリエステルを含む層であって、該ポリエステルを構成する繰り返し単位を基準としてエチレンナフタレート単位を50モル%以上100モル%以下の範囲で含有し、2)該第2層を形成するポリマーが2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、エチレングリコール成分、脂環族ジオール成分およびトリメチレングリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステルであることを特徴とする1軸延伸多層積層フィルム。
- 該1軸延伸多層積層フィルムの下記式(1)で表される偏光度(P)が99.5%以上である、請求項1に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す) - 該第1層は、さらにジカルボン酸成分として下記式(A)で表される成分を0モル%を超え、50モル%以下の範囲で含有する、請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 該第1層は、さらにジカルボン酸成分として下記式(B)で表される成分を0モル%を超え、50モル%以下の範囲で含有する、請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 前記脂環族ジオール成分がスピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 該第2層を形成する共重合ポリエステルがさらに下記式(A)で表されるジカルボン酸成分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 該1軸延伸多層積層フィルムの積層数が251層以上である請求項1〜6のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 液晶セルと隣接する液晶ディスプレイ偏光板として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルムからなる液晶ディスプレイ用偏光板。
- 請求項9に記載の液晶ディスプレイ用偏光板からなる第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層されてなる液晶ディスプレイ用光学部材。
- 請求項10に記載の液晶ディスプレイ用光学部材であって、ただし第1の偏光板が吸収型偏光板と積層された構成を除く液晶ディスプレイ用光学部材。
- 第2の偏光板が吸収型偏光板である請求項10または11に記載の液晶ディスプレイ用光学部材。
- 第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板が積層されてなり、第1の偏光板および第2の偏光板が請求項9に記載の液晶ディスプレイ用偏光板からなる、液晶ディスプレイ用光学部材。
- 光源と請求項10〜13のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用光学部材とを備え、第1の偏光板が光源側に配置されてなる液晶ディスプレイ。
- 光源と第1の偏光板との間にさらに反射型偏光板を有していない請求項14に記載の液晶ディスプレイ。
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