JP2016023377A - 長さ方向に異色模様をもつ複合糸の製造装置、同複合糸の製造方法と、その製造方法により得られる複合糸及び同複合糸を使ったパイル繊維製品 - Google Patents

長さ方向に異色模様をもつ複合糸の製造装置、同複合糸の製造方法と、その製造方法により得られる複合糸及び同複合糸を使ったパイル繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】不規則な長さをもつ異色の色彩を表出美しい繊細な色彩模様が鮮明に得られる複合糸、その製造装置、製造方法及び同複合糸を使ったパイル繊維製品の提供。【解決手段】複合糸1は、並列して引き揃えられた少なくとも2本以上の異色の糸条2,3と、これらの糸条2,3の周りに巻き付けられたカバーリング糸4とを有している。各々が0〜10T/mの下撚りを有する2本以上の異色糸2,3を、高速で回転する中空円筒状のスピンドル13の上端糸条導入口13aに引き揃えて導入すると同時に、中空スピンドルに装着固定されたカバーリング糸4の巻体から引き出されるカバーリング糸4を上端糸条導入口13aに送り込み、2本以上の異色糸2,3に100〜300/mで巻き付けながら中空スピンドル13の下端糸条導出口13bに装着固定された捻転管理調整具17の中心を通して下方に配された巻取り部のボビン7に所定の張力で巻き取って製造する複合糸1。【選択図】図2

Description

本発明は、下撚りがなされた2本以上の異色糸が並列して引き揃えられた状態にある複合糸条が、各異色糸の前記下撚りが潜在的にもつ解撚方向のトルクにより撚合されると同時にカバーリング糸の巻き付きにより外形を保持され、糸条長さ方向に異なる長さの2色以上の異色繊維を混繊することなく鮮明にかつランダムに表出させた複合糸と、その複合糸の製造装置及び製造方法と、同複合糸がパイル糸として使われたカーペットやダストコントロールマットに代表されるパイル織物などからなる各種敷物、或いは自動車用内装品などのパイル繊維製品に関する。
カットパイルを含むパイル織物を使った代表的な製品としては、カーペットやダストコントロールマットなどの各種敷物(タフト、ウイルトン、アキスミンスター、ミシンタフト)及び自動車用の内装品がある。これらの製品には、各種のパイル糸が使用されており、近年はポリアクリルの他、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどの熱可塑性合成繊維素材からなる2本又は3本のマルチフィラメント糸条が多用されている。これらの複数のマルチフィラメント糸条が撚り合わされ、もしくはマルチフィラメント繊維をインターレース加工することにより複合糸を製造することが主流となっている。この際、通常は色相の異なる、あるいは同色の2本又は3本の糸を使用するが、それらの糸には基本的にその加工性に共通性が求められ、もしくは要求される敷物の風合いに適合する同種の素材を使うのが一般的である。
この場合、紡績糸に見られる、優れた機能、物性等を確保すると同時に、色彩模様の斬新性があるカーペットや内装品の得られる、特に多彩なパイル用複合糸が数多く提案されている。例えば、特開2000−17542号公報(特許文献1)によれば、短繊維のスライバーによって構成され、糸条の長さ方向に2cm以上連続するごとに色彩の異なるスライバーが所定の長さに継ぎ接がれており、その変化する色彩の区切れ目において前後する一方の色彩領域の短繊維と他方の色彩領域の短繊維との2種類の短繊維が区切れ目に混在し、その区切れ目に混在する2種類の短繊維の混合する同色の色彩が全長にわたって表出する部分異色糸が提案されている。この2種類の短繊維が混在する混在領域は、3本以上の異色の短繊維からなるスライバーを用いて、3種類以上の異なる色彩をもつスライバーのうち2本以上のスライバーを選択的に切り換え、単一のスピンドルに巻き付けることにより継ぎ接ないでいる。
また例えば、特表2002−523648号公報(特許文献2)によれば、異色の少なくとも2つの連続ヤーンが仮撚り用の中空スピンドルの内部で一緒に仮撚りされてコアヤーンを形成し、そのコアヤーンの回りに単一のラッパヤーンをらせん状にラップしてカーペットスタイリングヤーンを形成することが開示されている。このとき、単一ラッパヤーンの長さは、カーペットスタイリングヤーンの任意の所与の単位長さに対して、コアの長さより長くしている。前記仮撚りは加撚と解撚とによるか、或いは交互撚りプライジェットによってなされる。この嵩高性を有する前記連続ヤーンの少なくとも2つが、異なる色に着色されているか、または異なる色に着色が可能である。連続ヤーンは、連続バルキー連続フィラメントヤーン及び/又は連続ステープルスパンヤーンのどちらかである。ラッパヤーンが巻き付けられ、コアヤーンが仮撚りされたカーペットスタイリングヤーンは、アキュムレータを経てワインダにより巻き取られる。
一方、例えば米国特許第6,536,200号明細書(特許文献3)には、色が異なる複数のマルチフィラメント糸が糸条長さ方向に交互に表出し、その色の切り替え部には前述の異なる色のマルチフィラメント糸が混在する混在領域が形成され、そのマルチフィラメント糸にカバー糸が巻き回されて、糸条の長さ方向に異なる色を交互に表出する多色複合糸が開示されている。この複合糸の製造は、異色のマルチフィラメント糸をスタッファボックスに供給してクリンプを付与したのち、各マルチフィラメント糸ごとに張力変更ができる張力変更装置に送られ、そこで各マルチフィラメント糸単位で交互に張力が変更され、張力の高いマルチフィラメント糸を張力の低いマルチフィラメント糸で包み込み、これを交互に行ったのち、カバー糸を巻き付けてカバーすることによりなされる。
また例えは、特表2007−500796号公報(特許文献4)にも、多色効果糸の製造方法が開示されている。この製造方法は、少なくとも1本が他のいずれとも異なる色をもつ、複数の連続捲縮糸(BCF)のシングルス・ヤーンを、第1の周期及び第1の交絡度で、個別にエアジェット交絡させ、このエアジェット交絡させた各BCFシングルス・ヤーンを、実質的にゼロ撚りで、平行な束に合わせる。この平行な束を、一緒に第2の周期と第2の交絡度でエアジェット交絡させる。このときの第2の周期及び第2の交絡度は、いずれも前記第1の周期及び前記第1の交絡度よりも低くされ、直接諸撚り設備によって、前記コア糸の周りにラッパー糸をらせん状にラッピングしてから巻き取っている。このときのラッパー糸は、複数の前記BCFシングルス・ヤーンのいずれかと同じか又はいずれとも異なる色であってよい。前記ラッパー糸の繊度は、前記BCFシングルス・ヤーンの繊度のいずれよりも低くされる。
特開2000−17542号公報 特表2002−523648号公報 米国特許第6,536,200号明細書 特表2007−500796号公報
ところで、上記特許文献1に開示された部分異色糸は、異色のスライバー同士の色彩の区切れ目における2色以上の短繊維が交絡しているため、区切れ目がはっきりとしておりその区切れ目を利用して、カーペットなどのパイル模様を明確に描出することができるとしている。しかしながら、パイル面に区切れ目がしっかりした大きな幾何学的模様を描出することは可能であっても、パイル面全体にわたって色彩が微妙に変化する新鮮な印象を与える斬新で特異な色彩模様を表現することは難しい。
また、上記特許文献2に開示された嵩高性を有するカーペットスタイリングヤーンは、その製造工程では、常時、緊張と熱収縮とが繰り返されることが多く、仮にカーペットスタイリングヤーンの原料糸に仮撚りがなされていたとしても、続く染色工程や乾燥工程などの加熱と冷却、或いは撚糸工程、巻取工程、更には延伸工程などによる緊張と弛緩の繰り返しによって、先になされた仮撚りによる形態が崩れやすく、捲縮加工により付与された繊維形態を100%回復させることは難しい。このことは、敷物類の主原料の一つとして期待されているポリプロピレン繊維やポリエステル繊維の販路拡大を妨げる要因の一つともなっている。しかも、このカーペットスタイリングヤーンは2色以上の糸条が仮撚りされて交絡状態にあり、その各糸条を構成する単繊維多色複合糸間の交絡はバラバラであって、パイル面に表出する色彩模様も規則性がなく単なる霜降り模様となり、興趣に富んだ斬新な模様が得にくい。
一方、上記特許文献3により提案された多色複合糸は、上記特許文献1に開示された部分異色糸と同様に、同複合糸の長手方向に2本の異なる色彩をもつ糸条による異なる色彩を任意の長さで交互に表出させることができるものの、複雑でかつ斬新な意匠性に富む複合糸を得ようとすると、色彩の選択のため各糸条の張力を切り替える煩雑な切替え操作と、その張力の継続時間の選択操作とが必要となり、コスト増につながる。また、この特許文献3により提案された多色複合糸は、張力切替装置に導入される前にスタッファボックスを通されて捲縮加工がなされ嵩高性が付与されるが、一部の素材を除くと、上述の特許文献2に開示されたカーペットスタイリングヤーンと同様の理由から、それらの嵩高性を保持することがむずかしく、糸条自体の収縮性や伸縮性も乏しくなりやすく、パイル製品となったときの膨み感や風合い、更には弾性回復率に関してあまり期待することができない。
また、上記特許文献4に開示された多色効果糸は、2本以上の異色のBCFシングルス・ヤーンを個別に第1の周期及び第1の交絡度をもってエアジェット交絡させたのち、2本以上の異色のBCFシングルス・ヤーンを一緒に第2の周期及び第2の交絡度をもってエアジェット交絡するとともに、その周辺にラッパー糸をらせん状に巻き付けている。こうして得られる多色効果糸をカーペットなどのパイル糸として使うと、そのパイル面には従来のスペース染色糸と殆ど変わらぬ模様が表出されるとしている。しかして、従来のスペース染色糸を使ったパイル面の模様は、上記特許文献1にも記載されているように、異色の色彩領域を連続して長くし色分けができる反面、色彩が変わる区切り目は、その区切れ目で異色の繊維同士が混合するため、色彩が不鮮明となりやすいという課題があった。
更には、この特許文献4によって提案された多色効果糸にあっては、特に上記特許文献1や特許文献3に開示された複合糸と同様に、糸条の長さ方向に表出する色彩を変更するには、そのための高精度の調整(制御)操作が必要であり、その結果、異色の糸条が表出する長さや順序が規則的で単調な模様になりやすく、偶然に生じる自然な感じの色彩の変化を期待することはできない。
本発明は、こうした従来の課題を克服すべくなされたものであり、特に敷物に使用されるパイル糸にあって、そのパイル列方向及びパイル列の横断方向における不規則な長さと並びとをもつ異色の色彩をランダムに表出するだけでなく、その表出する色彩のピッチも人為的には制御し得ない変化に富んでおり、意匠的にも斬新で極めて美しい繊細な縞模様状の色彩模様が得られる複合糸と、その複合糸の効率的な製造装置及び製造方法と、同複合糸を使った繊細で且つ斬新な色彩の変化に富んだ縞模様状の高品位なパイル繊維製品を提供することを目的としている。
かかる目的の一つは、本発明の基本構成である、独立して引き揃えられた状態にある異色の少なくとも2本以上の糸条と、これらの糸条の全体の周りに等ピッチで巻き付けられたカバーリング糸とを有し、前記異色の各糸条は混繊することなく引き揃え状態を維持して、それぞれが糸条長さ方向にほぼ一定のピッチと長さで下撚りがなされており、前記異色の各糸条の下撚りの撚り数は0〜10T/mであり、前記異色の糸条に巻き付けられる前記カバーリング糸の巻き付き回数は100〜300回/mであり、捻転状態にある複合糸は、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、糸条の長さ方向に沿って異色の各糸条が不規則なピッチ及び長さをもって、かつその切り替わり部分が混繊することなく各糸条ごとに鮮明に順次表出されてなる、ことを特徴とする異色模様をもつ複合糸により達成される。
本発明の最も好ましい態様によれば、異色の前記2本以上の各糸条が合成樹脂製のマルチフィラメント糸からなり、前記カバーリング糸がモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸から構成されている。ただし、本発明は、異色の前記2本以上の各糸条のうち一部の糸条として紡績糸を含んでもよく、この場合も前記紡績糸以外の異色の前記糸条は合成樹脂製のマルチフィラメント糸であることが好ましく、このとき前記カバーリング糸はモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸から構成されていることが好ましい。
2本以上の前記異色の各糸条の繊度は300〜2200dTexの範囲にあり、2本以上の前記糸条の総繊度は5000dTex以下であって、前記カバーリング糸の総繊度は30〜50dTex/(1〜10f)であることが望ましい。このカバーリング糸は無色透明な合成樹脂製のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなることが好ましい。
こうした形態と色彩模様とをもつ複合糸は、以下に述べる本発明の異色模様をもつ複合糸の製造装置及び製造方法により効率的に連続して製造される。
その製造装置の基本的構成は、50〜5000回転/minの回転数で積極的に駆動回転する中空スピンドルと、それぞれが0〜10T/mの下撚りを有し引き揃えられた状態にある異色の2本以上の各糸条を、それぞれ独立して前記中空スピンドルの一端開口部の糸条導入口へと供給する異色糸供給部と、この中空スピンドルに装着固定され、2本以上の異色の前記糸条とともに前記糸条導入口に供給されるカバーリング糸の巻体と、中空スピンドルの内部を通って他端開口部の前記糸条導出口からカバーリング糸とともに引き出される複合糸を所要の張力をもって巻き取る巻取部と、前記糸条導出口と前記巻取部との間にあって、前記糸条導出口の下流側に近接して配され、引き揃え状態で捻転された上記複合糸の糸条長さ方向に不規則なピッチ及び長さをもって順次表出する異色の各糸条の色彩模様のピッチ及び長さを管理調整する捻転管理調整具と、を備えていることを特徴としている。
前記中空スピンドルに対する前記巻体の装着固定は、前記中空スピンドルの外径を前記糸条導入口の端部から前記糸条導出口の端部にかけて僅かな傾斜角度をもって漸次大きくし、一方の前記中空スピンドルを挿入固定する巻体の中空巻芯の中心孔径を、その軸心に沿って前記中空スピンドルの外径より一律に僅かに大きくするとともに、前記中空スピンドルの外径と同じ傾斜角度をもつ裁頭円錐形に形成することが好ましい。このように、中空スピンドルと巻芯とを組み合わせると同時に、前記捻転管理調整具を前記中空スピンドルの前記糸条導出口に固設すると、中空スピンドルに巻体を嵌着固定することにより、中空スピンドルと巻体と捻転管理調整具とが同一回転数で回転する。
また上記製造方法の基本的構成は、高速回転する中空スピンドルにカバーリング糸の巻体を装着固定すること、0〜10T/mの下撚りを有する個々に分離した2本以上の異色の糸条とともに、駆動回転する前記中空スピンドルの上記糸条導入口へとガイド部材を介して独立して引き揃えられた状態で導入すること、前記巻体に巻かれた前記カバーリング糸の引き出し端を、独立して導入される2本以上の前記異色の各糸条とともに、回転する前記中空スピンドルの前記糸条導入口に導入すること、前記中空スピンドルの糸条導入口に導入された実質的に加撚されずに並列状態にある2本以上の異色の前記糸条の周囲に、前記巻体から巻き戻される前記カバーリング糸を巻き付けること、このカバーリング糸が巻き付けられた複合糸を前記中空スピンドルの軸線方向の他端に開口する糸条導出口から捻転管理調整具の構成部材の一つである第1リング状部材の中心を通して所定の張力を付与しながら引き出すこと、及び前記第1リング状部材の中心を通って引き出された前記複合糸を所定の張力下で伸長状態を維持しつつ巻取りボビンに巻き取ることを含んでいる。
前記捻転管理調整具は、前記中空スピンドルの軸線上に回転中心を有するとともに、同中空スピンドルと一体に回転する第1リング状部材を有しており、前記巻取りボビンに巻き取られた前記複合糸を、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、引き揃え状態にある前記異色の各糸条が糸条長さ方向に不規則なピッチと長さで捻転がなされており、異色の各糸条は色彩模様の切り替え部分が混繊することなく、各糸条の色彩ごとに鮮明に順次表出している、ことを特徴としている。
上記製造装置に係る発明にあって、好ましくは中空スピンドルの上記糸条導入口の上流側近傍に2本以上の異色の糸条を独立分離させて糸条導入口へと案内する分離部材が配されている。また、上記捻転管理調整具の好ましい態様によれば、前記中空スピンドルの軸心上に回転中心を有し、同中空スピンドルと一体に回転する第1リング状部材を有している。この第1リング状部材は、好ましくは前記中空スピンドルの前記糸条導出口に外嵌固定される第2リング状部材と、該第2リング状部材の径方向周面に一端が保持され、その他端が前記第1リング状部材の径方向周面の2点で保持される一対の支持杆とを有している。更に、前記第1リング状部材は真円状を呈し、前記一対の支持杆による支持点を中心に0°〜90°の間を任意の回転角度で回動可能であり、その傾斜角度を選択固定して調整できるようにされていることが望ましい。
また、上記異色模様をもつ複合糸の製造方法に係る発明の好ましい態様によれば、前記2本以上の異色の各糸条の繊度が300〜2200dTex/本であり、2本以上の異色の糸条の総繊度は5000dTex以下であって、カバーリング糸の総繊度は30〜50dTex/(1〜10f)であることが望ましい。一方、異色の前記糸条が2本であるとき、2本の異色糸を三角形の二辺となるように上記ガイド部材を介してガイドし、前記糸条導入口に導入することを含んでいることが好ましい。このとき、2本以上の異色の前記糸条の少なくとも1本が紡績糸からなってもよい。この場合、他の異色の糸条が合成樹脂製のマルチフィラメント糸からなり、前記カバーリング糸は無色透明なモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなることが望ましい。
また、上記中空スピンドルの糸条導入口に導入されるときの紡績糸を除く他の異色の各糸条の撚り数が0〜10T/mであることが好ましく、紡績糸を含む同異色の糸条に対するカバーリング糸の巻き付け回数は100〜300回/mであることが望ましい。
更に異色模様をもつ上記複合糸がパイル糸として使われたパイル繊維製品に係る発明は、そのパイル繊維製品を表面から見たとき、引き揃え状態で捻転された前記異色の各糸条が糸条長さ方向に不規則なピッチと長さをもって表出する複合糸により形成されるパイル列が、異色の各糸条の捻転による表出色の切り替え領域において混繊することなく各糸条ごとの色彩を切り替えながら鮮明に順次表出して、全体にパイル列方向に延びる不規則なピッチと長さとをもつ興趣に富んだ斬新な縞模様が形成されていることを特徴とする。
発明の作用効果
本発明に係る異色模様をもつ複合糸は、2本以上の異色の糸条を芯糸として、その周囲をカバーリング糸がコイル状に巻き付けられている。2本以上の異色の糸条が無撚りのマルチフィラメント糸の場合であっても、本発明の製造装置に掛けられる糸条には、それまでの前工程(染色、巻取り、巻戻しなど)において何らかの原因で入った撚りとボビンからの縦取りで入る撚りのため、無撚りに近い(0〜10T/m)甘撚りが入っている。本発明に係る複合糸にあっては、この下撚りのもつ潜在的な解撚トルクに着目するとともに、前記カバーリング糸による2本以上の異色の糸条に対する巻き付けトルクと、駆動回転する中空スピンドルの糸条導入口の直前と、同中空スピンドルの糸条導出口の下方に配される巻取装置との間の張力(複合糸の巻取り速度)に着目した。
この張力を付与すると、下撚りが入った2本以上の異色の各糸条が伸長すると同時に、その下撚りが撚り戻されるため各糸条の撚り数は−2〜+5T/mと少なくなる。このとき、2本以上の異色の各糸条には、下撚りとは反対方向へと戻ろうとする解撚方向のトルクが作用している。このとき、2本以上の異色の各糸条には巻取り装置に巻き取られるときに微小な張力変化が生じる。この張力が大きいと、下撚りは伸ばされピッチも伸びるが、この延びた状態で前記張力が低下すると、下撚りとは逆の前記解撚方向に撚り戻しが生じて、2本以上が引き揃えられて中空スピンドルの内部を移動する異色の各糸条同士に撚合が生じて撚り合わせられる。この撚合に加えて、2本以上の前記糸条は、回転する中空スピンドルの内周面や後述する捻転管理調整具の第1リング状部材の内周面の一部と繰り返し瞬時的に摺接し、引き揃えられた状態を維持しながら、その摺接部分における滑りの有無によって、撚りが加えられたり、加えられなかったりする。このときの2本以上の異色糸条の捻転数は、6〜12回/mの範囲内で不規則に分布する。
ここで同時に、前記2本以上が撚り合わされた糸条の外周にカバーリング糸がスパイラル状に巻き付けられる。この巻き付け時にも前記2本以上が撚り合わされた糸条に対して、カバーリング糸による巻き付けトルクが働き、更なる撚りが付与される。このカバーリングがなされた本発明の複合糸は、カバーリング糸によって前記撚合形態を保持したままテンショナーを介して巻取り部に巻き取られる。この巻取り部の巻取り速度は予め調整されており、前記2本以上が撚合された異色の糸条には、巻取り部の細部の構造的要因による僅かな作動変動に基づく細かな張力変動が生じるが、その張力変動を除けばほぼ一定の張力がかけられている。
こうして得られる本発明の複合糸は、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、糸条の長さ方向に沿って異色の各糸条が不規則なピッチ及び長さをもって交互に表出する。その撚りの切り替わり部分は混繊することなく各糸条ごとに色彩が鮮明に順次発現する。ここで、本発明にあって、複合糸における2本以上の異色糸の前記表出ピッチ及び長さは、総じて複合糸にかかる張力の大小に依存する傾向がある。すなわち、張力が高ければ異色糸の前記表出ピッチ及び表出長さは短くなり、張力が低ければ異色糸の前記表出ピッチ及び表出長さは長くなる。こうした異色糸の表出ピッチ及び表出長さの変化がランダムに現れる2本以上の異色の糸条の撚り形態は、その回りに巻き付けられるカバーリング糸により、巻取り後も保持される。
このときの各異色糸の表出ピッチ及び表出長さを、製造工程の途中において人為的に変更調整することは、その変更する要因が解明されていないためかなり難しい。このような各異色糸の表出長さ及びピッチを変更させる要因は種々考えられるが、その最も大きな要因の一つに上記張力とその変動があり、この変動を人為的に発生させるため、上記捻転管理調整具が採用される。この捻転管理調整具を使用するとき、中空スピンドルの軸線に対する前記捻転管理調整具の第1リング状部材の傾斜角度も前記張力変動の要因の一つとなり、更には2本以上の異色糸の周囲に巻き付けられるカバーリング糸の巻き付け時の巻き付けトルクも一つの要因となる。ただし、このカバーリング糸の巻き付け時の巻き付けトルクは異色糸の表出長さ及びピッチの直接的な変更要因とはならない。こうした状況下で、様々な実験を実施した結果、新たな複合糸の生産開始時の巻取り速度の調整や、中空スピンドルの回転軸線に対する上記第1リング状部材の傾斜角度を変更調整することが、各異色糸条の表出ピッチ及び表出長さを調整するために特に有効であることを知った。
例えば、3本のマルチフィラメント糸からなる異色糸条を使って、1本のカバーリング糸を巻き付ける本発明の複合糸を製造する場合を例にとって、その製造方法の概要を説明する。この製造には、通常のカバーリング機が使われる。床面上に縦置きされた3個のチーズから殆ど無撚りに近い3本の異色糸を個別に縦取りしたのち、前記チーズになる以前の糸条製造工程にて付与された撚りと前記縦取りにより生じる撚りとを加えた0〜10T/m程度の下撚りをもつ各糸条を、引き揃えた状態で分離ガイドを含めた複数の各種案内部材を介して中空スピンドルの上端糸条導入口へと導く。糸条導入口に導かれる3本の異色糸は、上記分離ガイドによりそれぞれが分離独立して並列状態で糸条導入口から中空スピンドル内へと導入される。このときの各糸条の撚り回数は、せいぜい2〜8T/m程度であって殆ど無撚りに近い。この3本の異色糸を上端糸条導入口に導入するとき、引き揃えて単に横に並べて中空スピンドルに送り込むのではなく、各異色糸で三角筒体形状に案内したのちに中空スピンドルに送り込むとよい。そのため、上端糸条導入口の直前に三角形の頂点に3個の糸目ガイドを配するようにするとよい。
中空スピンドルは駆動ベルトにより高速で回転しており、該中空スピンドルにはカバーリング糸をコーン状に巻いた巻体が装着固定されている。中空スピンドルの回転に応じて回転する巻体から巻き戻されるカバーリング糸は、中空スピンドルの上端部外周面に沿って糸条導入口に直接導かれ、糸状導入口の開口縁に沿って回転しながら、同中空スピンドルの上端糸条導入口から内部へと導入される3本の異色糸の外周面にスパイラル状に巻き付く。
3本の異色糸の周面にカバーリング糸が巻き付くとき、3本の異色糸にはカバーリング糸により、その中心線回りに巻き付けトルクが作用して、中空スピンドルの上端糸条導入口において3本の異色糸が一緒に一方向に捻じられると同時に、巻き付けられるカバーリング糸が3本の異色糸の捻じられた形態を保持して中空スピンドル内を通って下端の糸条導出口へと移動し、トラバースドラムを介して横取りされてボビンに巻き取られる。完成後の複合糸を糸中心に直交する特定の方向から見たときの複合糸上に表出する色彩のピッチ及び長さは概して長く単調ではあるが、その表出する色彩も鮮明でかつ色の切り替えも明確になされている。これに対して、中空スピンドルの下端糸条導出部に上記捻転管理調整具を装着固定すると、製造される複合糸を糸中心に直交する特定の方向から見たときの複合糸上に表出する色彩のピッチ及び長さは、捻転管理調整具を装着しないときと比べると、大幅に短くなるばかりでなく、その配列も不規則性が増加し、これをパイル糸としてカーペットに織り上げると、捻転管理調整具を装着しないときと比べて色彩の切り替わり及び配列において異色糸による縞模様に複雑性が増し、見た目がすっきりとした斬新で美しいカーペットが得られる。
ここで、上記3本の異色糸の材料は特に限定するものではないが、一般的には熱可塑性合成樹脂からなるマルチフィラメント糸が主な材料となるが、他の材料として、例えば一部に合成樹脂製又は天然繊維の短繊維を使った紡績糸とすることもできる。
なお、上述の本発明に係る異色模様をもつ複合糸とその複合糸の製造装置及び製造方法、並びに同複合糸を使ったパイル繊維製品の具体的構成及び作用効果は以降に述べる本発明の実施形態により更に詳しく説明される。
2本の異色糸を使ったときの本発明に係る異色模様の複合糸に係る第1実施形態の構造例を模式的に示す部分外面図である。 3本の異色糸を使ったときの本発明に係る異色模様の複合糸に係る第2実施形態の構造例を模式的に示す部分外面図である。 第1実施形態の2本の異色糸を使ったときの本発明に係る異色模様の複合糸の製造工程の一例を概略で示す工程説明図である。 前記工程におけるカバーリング糸巻き付け部の拡大図である。 第2実施形態における中空スピンドル直前に配される分離バーの代表例の配置を模式的に示す拡大図である。 同第2実施形態のカバーリング糸巻き付け部の拡大図である。 中空スピンドルの糸条導出口に配される捻転管理調整具の拡大正面図である。 中空スピンドルの糸条導出口に配される捻転管理調整具の拡大側面図である。 本発明の異色模様の複合糸をパイル糸として使ったパイルカーペットの部分拡大平面図である。
本発明にあって、異色の色彩模様をもつ複合糸の主な特徴点は、並列して配される2本以上の異なる色彩をもつ糸条が糸軸中心に捻転した状態にあり、その外周面にフィラメント糸よりも細い合成樹脂製フィラメントからなるカバーリング糸がコイル状に巻き付けられて、2本以上の異色の糸条の捻転形態を維持しており、糸条全体をその長手方向に直交する特定の方向から見たとき、異色の各糸条の表面が不規則なピッチ及び長さで独立して順次鮮明に表出している点にある。かかる異色模様をもつ複合糸は、カーペット類や自動車用内装材のパイル糸に好適に適用される。
前記複合糸は、合成樹脂製に限らず、一部に例えば羊毛、麻などの天然繊維や半合成繊維から構成されてもよく、合成繊維としてはポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などを単独に又はそれらを組み合わせて使うことができる。なお、2本以上の異色の糸条に巻き付けられるカバーリング糸は、合成樹脂製の無色透明なモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸から構成されることが望ましく、その糸条太さは2本以上の各異色糸条の太さと比較して十分に細くされる。好ましくは、異色の各単糸の繊度は300〜2200dTexであり、2本以上の異色の糸条の総繊度は5000dTex以下であって、カバーリング糸の総繊度は30〜50dTex/(1〜10f)とされる。しかし、ここに挙げた繊度は典型的な繊度を示すに過ぎず、これらに限定されるものではない。
以下、本発明を代表的な実施形態に基づいて図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る二色模様の複合糸の第1実施形態を模式的に示している。また図2は、本発明に係る三色模様の複合糸の第2実施形態を模式的に示している。前記第1実施形態に係る複合糸1は、引き揃えられた2本の異色糸2,3と、1本のカバーリング糸4とから構成される。同複合糸1は、図3に概略を示すカバーリング機10を使って製造できる。
このカバーリング機10の最上段には第1の横ガイドバー11が配されており、カバーリング機10の背面下方から送り込まれる2本の異色糸2,3が、櫛状の糸条案内部材12の間を分離した状態で前記第1の横ガイドバー11により分離して案内され、下方へと導かれる。この2本の異色糸2,3は、カバーリング機10の図示せぬ架台上に巻軸を垂直に載置された図示せぬチーズから垂直上方へと巻き戻されて、前記第1の横ガイドバー11及び複数のガイド部材を介して、その下方に設置されて所要の回転数で駆動回転する中空スピンドル13の上端糸条導入口13aに向けて送り込まれる。このときの2本の異色糸2,3は、本来、無撚りであるはずであるべきところ、通常は、それらの糸条を製造する工程(染色、乾燥、仕上げ、巻取り、巻戻し等)にて自然と付与される撚りや、前記チーズから縦取りで垂直上方に巻き戻されるときに付与される撚りなどの甘い下撚り(0〜10T/m)が入っている。
左右に分離して並列状態にある2本の異色糸2,3は、多数の中空スピンドル13の上方直近に配された第2の横ガイドバー(分離バー)14を前後で挟むようにして前後左右に分離して下方へ案内され、図4に拡大して示すように、前後左右に分離されたのち、前記中空スピンドル13の上端糸条導入口13aに並列して挿入され、中空スピンドル13の中空部内を所定の巻取り速度で移動する。
このとき、中空スピンドル13にはコーン6が装着固定されており、コーン状に巻かれたカバーリング糸4は、駆動回転する中空スピンドル13と同一回転数で回転するコーン6の周面から引き出される。上述のように案内される2本の上記異色糸2,3は、中空スピンドル13の前記上端糸条導入口13aに並列して導入される。2本の異色糸2,3が前記上端糸条導入口13aに導入されるとともに、カバーリング糸4は中空スピンドル13の内部を巻取り方向に走行する2本の異色糸2,3の周面にスパイラル状に巻き付く。ここで、上端糸条導入口13aに導入されるカバーリング糸4は、導入時に前記上端糸条導入口13aの開口縁に摺接しながら回転し、2本の異色糸2,3の周面に巻き付く。このとき、異色糸2,3に巻き付くカバーリング糸の巻付き回数はコーン6の回転数を大幅に下回る。
本発明にあって、カバーリング糸4の巻き付け回数と、中空スピンドル13の回転数と、複合糸1の巻き取り速度との間には、スピンドル回転数÷巻き付け回数=巻き取り速度の関係にある。例えば、巻き取り速度を一律に40m/minとして、スピンドル回転数を2800回転/min、5760回転/min、7200回転/minの3通りとすると、カバーリング糸4の巻き付け回数は、70回、144回、180回となる。このように、カバーリング糸4の巻き付け回数と、中空スピンドル13の回転数と、複合糸1の巻き取り速度との関係から、二つの設定値を変更することにより、残る一つの設定値が得られることから、前述の具体的数値に限定されるものではない。ここで、スピンドル回転数は駆動系のギア比を変更することにより変更することができる。
一方、カバーリング糸4が巻き付けられる2本の異色糸2,3は、前記上端糸条導入口13aに導入されて走行する間も巻取り張力がかかり続けて上記下撚りとともに糸の伸長方向に伸ばされ続けるはずであるが、巻取り張力の僅かな変動の影響を受けて糸の長さ方向に僅かな伸縮が生じる。このとき2本の各異色糸2,3には上記下撚りを解こうとする解撚方向のトルクが働く。この解撚方向のトルクが働いているとき、2本の異色糸2,3が接近すると、前記解撚方向のトルクが働き互いに絡み合って下撚りとは逆方向に甘く撚り合わされる。このとき、中空スピンドル13の糸条導入口13aではコーン6から巻き戻されるカバーリング糸4が、前述のような撚合し走行する2本の異色糸2,3の周面に所定の巻き付け力をもって巻き付く。この巻付き時にも、前記カバーリング糸4の巻付きトルクが働いて2本の異色糸2,3に追撚が付与される。
このカバーリング糸4による追撚は2本の異色糸2,3の切替え時におけるピッチや長さに直接影響するとは考えられないが、前記巻取り速度の僅かな変動は2本の異色糸2,3に対する張力の変動を招き、走行する異色糸2,3に伸縮や波打ち状の動きをもたらす。この伸縮や波打ち状の動きにより、走行する異色糸2,3の一部が中空スピンドル13の内部周壁面の一部に瞬時接触したり摺接したりする。この摺接時に、異色糸2,3と中空スピンドル13の内部周壁面との摺接抵抗を受けると、異色糸2,3に加撚トルクが働き、異色糸2,3に仮撚り様の撚りが与えられる。この撚りは、異色糸2,3が分離バー14と巻取り部の巻取りボビン7との間で端部が把持された状態で走行を継続するため、解撚されるべきところが、解撚される前に前記撚りの状態を維持したまま撚りが固定される。しかも、前記撚りのかかる位置は一定でなく、異色糸2,3の長さ方向に不規則な周期で不規則な位置に異なる長さでランダムに出現する。
仮に異色糸2,3に対する張力が一定であれば、2本の異色糸2,3には格別の解撚力が作用せず、積極的に撚られることなく巻取り部へと達することになる。しかるに、巻取り部の各構成部材間には、上述のとおり、通常は加工精度や組付け精度などに差があり、この差によって要求どおりの巻取り精度で作動させることは難しい。その結果、巻取り部が一定速度で作動されず、僅かではあるが巻取り速度が変動する。
異色糸2,3が巻取り部に巻き取られるときの挙動の一例は、以上述べたとおりであるが、その他の要因、例えば中空スピンドル13の内面が平滑であり、異色糸2,3と中空スピンドル13との間で滑りがあるときは、異色糸2,3に上記撚りは入りにくくなる。こうしたことから、上述の機構では、例えば異色糸2,3間の上記撚り間隔(ピッチ)や撚りの長さを複合糸の製造工程中に調整したり制御することは極めて難しく、得られる複合糸も特殊な用途をもつカーペット以外にはなかなか満足できる製品が得られなかった。
そこで、本発明者等は、2本以上の異色糸間の上記撚り間隔(ピッチ)や撚りの長さを複合糸の製造工程中でも調整可能な機構を見出すべく、更なる検討と実験とを重ねた。その結果、本発明における特異な構造をもつ捻転管理調整具17を、図3及び図4に示すように、中空スピンドル13の下端糸条導出口13bに装着固定するとともに、その捻転管理調整具17を、図8に示すように、中空スピンドル13の中心軸線に対する傾斜角度を、例えば0°〜90°の範囲内で、任意の傾斜角度に調整できるようにすると、カバーリング機10の稼働中は無理であっても、非稼働時であれば、2本以上の異色糸間の撚り間隔(ピッチ)や撚りの長さを調整管理することができることを知った。
前記捻転管理調整具17は、図7及び図8に示すように合成樹脂製の第1リング状部材17aと、同じく合成樹脂製の第2リング状部材17bと、第1及び第2リング状部材17a,17bの中心を同一直線上に配して第1及び第2リング状部材17a,17bを所要の間隔を開けて両端に固設する2本一組の平行な支持杆である杆状金属板片17cとを備えている。ここで、一対の前記杆状金属板片17cの一端が回動可能に装着固定されている。図示例によれば、一対の前記杆状金属板片17cの一端において、第1リング状部材17aの任意の直径上にあって同第1リング状部材17aの外周面上を、前記直径回りに、例えば0°〜90°を10°単位で回動可能に且つ各々の傾斜角度で固定可能に装着されている。また、一方の第2リング状部材17bは、前記一対の前記杆状金属板片17cの他端に固設されており、上記中空スピンドル13の糸条導出口13b側の外周端部に密嵌固定される。
以上の簡単な構成をもつ捻転管理調整具17の第2リング状部材17bを、前述のとおり、中空スピンドル13の糸条導出口13b側の外周端部に密嵌固定して、次の条件下で本発明の異色模様をもつ複合糸1の製造試験を行った。
第1リング状部材17aの傾斜角度を10°と90°の二通りに調整し、各傾斜角度について中空スピンドル13の回転数を3040回転/min、5760回転/minの二通りに設定し、各中空スピンドル13の回転数についてカバーリング糸4の巻き付け回数を76回/mと144回/mとの二通りとして、その二通りのカバーリング糸4の各巻き付け回数76回/m、144回/mごとに、表出模様の長さとピッチとを測定した。この実験に使用した異色の糸条2,3はマルチフィラメントから構成された各単糸繊度が1200dTexの赤と白の二色の糸条からなり、一方のカバーリング糸4は無色透明な繊度が40dTex/8fのマルチフィラメントから構成されている。これらの使用糸はいずれもポリプロピレン繊維から構成される。中空スピンドル13に導入されるときの二色の糸条2,3の各下撚り数は7〜15T/mの範囲である。
この製造試験の結果、捻転管理調整具17の第1リング状部材17aの傾斜角度を10°とした場合の、スピンドル回転数が3040回転/minと5760回転/minとでは、前者により得られた複合糸1に表出した各色彩模様の長さは16mm〜120mmの範囲内をランダムに分布しており、その平均長さは51mmであった。一方、後者により得られた複合糸1に表出した各色彩模様の長さは11mm〜96mmの範囲内をランダムに分布しており、その平均長さは41mmであった。
更に、捻転管理調整具17の第1リング状部材17aの傾斜角度を90°とした場合の試験結果は、スピンドル回転数が3040回転/minと5760回転/minとでは、前者から得られた複合糸1の各色彩模様の長さは12mm〜155mmの広範囲にわたってランダムに分布しており、その平均長さも56mmと傾斜角度が10°の場合の51mmに比較すると5mmも長かった。一方、後者により得られた複合糸1に表出する各色彩模様の長さも1mm〜135mmの広範囲でランダムに分布しており、その平均長さは48mmであり、前者の平均長さが41mmであるのと較べると7mmも長い。いずれにしても、上記傾斜角度が10°と90°とでは、90°とした場合に色彩模様の長さが長すぎることから、カーペットとしたときの模様に複雑性が得られず単調となりやすくなる。
また、上述のようにして製造された異色模様をもつ複合糸1における同一色彩の表出する間のピッチについて見ると、スピンドル回転数が同じ3040回転/minであっても上記第1リング状部材17aの傾斜角度が10°と90°とでは、傾斜角度が10°のとき前記ピッチは30mm〜180mmの範囲内でランダムに表出しているのに対して、前記傾斜角度が90°では前記ピッチは30mm〜200mmの広い範囲内を同じくランダムに表出していることが分かる。一方、スピンドル回転数が上記回転数のほぼ2倍である5760回転/minとしたときの、上記第1リング状部材17aの傾斜角度が10°と90°とでは、前記傾斜角度が10°では前記ピッチの範囲は30mm〜100mmの適度の範囲内をランダムに表出するが、前記傾斜角度を90°に変更した場合には前記ピッチは30mm〜130mmの広い範囲内でランダムに分布しており、このピッチについても、第1リング状部材17aの傾斜角度が10°の場合の方が、上記一つの色彩模様の長さと同様に、90°の場合に較べてピッチの長さが適度な長さとなり、この複合糸1から得られるカーペットの模様も適当な複雑性を持つようになる。
以上の製造試験の結果から、第1リング状部材17aが水平状態に固定され、2本の異色糸2,3と捻転管理調整具17との干渉が殆どない、中空スピンドル13の軸線に対する第1リング状部材17aの傾斜角度が90°の場合は、カバーリング糸4の巻き付け回数が76回/m(スピンドル回転数:3040回転/min)と144回/m(スピンドル回転数:5760回転/min)との二通りによる差に基づく捻転数の差があるに過ぎず、敢えて第1リング状部材17aを配設したことによる格別の差異は見受けられなかった。これに対して、中空スピンドル13の軸線に対する第1リング状部材17aの傾斜角度が10°の場合は、スピンドル13の軸線上を走行する2本の異色糸は第1リング状部材17aの上部周面の一部に僅かに接触したのち、僅かに屈曲しながら第1リング状部材17aの中心を通り抜けて、第1リング状部材17aの下部周面の一部に接触しながら、第1リング状部材17aの同周面の一部を潜るようにして巻き取り方向へと走行を続ける。この僅かな接触と屈曲の影響を受けて、2本の異色糸2,3には追撚方向の捻転が入り、上述のとおり、上記2本の異色糸2,3の切替えピッチ及びその切替え長さがともに相対的に短く、適度な長さが得られる。更に加えて、2本の異色糸2,3に加わる追撚は糸条長さ方向に一定の周期でなされず、不規則な間隔で追撚されるため、前記切替えピッチ及びその切替え長さが共に一律ではなくランダムなものとなり、この複合糸1を使用して得られるカーペットの表面模様も適度な複雑性を持ち、パイル列19aの方向に沿って適度な模様長さとピッチ長さとをランダムに持つ興趣に優れた縞模様が得られる。
図9は、上記捻転管理調整具17の第1リング状部材17a中空スピンドル13の軸線に対する傾斜角度を10°とし、カバーリング糸4の巻き付け回数を144回/mとした以外は既述した条件下で製造された2色の色彩模様をもつ複合糸をパイル糸として使って織られたタフトカーペット19の表面の一部を拡大して模式的に描いた平面図である。この図から理解できるように、本実施形態によるタフトカーペット19は、表面から見たときそのパイル列19aの方向に多数の異なる大小の長さとともに色彩の異なる2本の糸条からなる異色模様が、不規則に表面に順次現れた、興趣に富んだ斬新で且つ色彩の切替えが鮮明なパイル列19aによる縞模様を形成している。
本実施形態では、前記2本以上の異色糸2,3における各単糸の繊度は2200dTexであり、その総繊度は4400dTexであって、通常のカーペットに用いられる繊度の糸条を採用している。これら異色糸2,3の太さは前述の繊度に限定されるものではなく、そのパイル製品の用途によって単糸の繊度を300〜2200dTex、2本以上からなる構成糸条の総繊度は2000〜5000dTexの範囲から適宜選択することができる。一方、上記カバーリング糸4には総繊度が44dTex/8fの透明なマルチフィラメント合撚糸が使われているが、このカバーリング糸4にあっても、その総繊度は、例えば30〜50dTexの範囲で任意に選択できる。
次に、図2及び図3を参照しながら3本の異色糸2,3,5からなる異色模様の複合糸と、その製造方法の第2実施形態を、具体的に説明する。なお、この第2実施形態において、上記第1実施形態と主に異なる点は異色糸の本数を2本から3本としたこと、それらの異色糸2,3,5を中空スピンドル13の糸条導入口13aに送り込むときの各糸条2,3,5の配置関係を規定しているに過ぎず、その他の点は第1実施形態と本質的に異なるところはない。そのため、以下の第3実施形態の説明にあっても、上記第1実施形態と実質的に一致する部材には同一符号を付しており、同一符号を付した部材の細かな説明及び同じ製造手順については説明を省略している。
第2実施形態に係る複合糸1は、引き揃えられた3本の異色糸2,3,5と、1本のカバーリング糸4とから構成される。同複合糸1は、上記第1実施形態と同様に、図3に概略を示すカバーリング機10を使って製造できる。この3本の異色糸2,3,5も、カバーリング機10の背面部に設置された図示せぬ架台上に縦に載置された図示せぬボビンから垂直上方へと巻き戻されて、第1の横ガイドバー11と前記分離バー14とを介して並列に分離された状態で下方に配された駆動回転する中空スピンドル13に向けて送り込まれる。
左右前後に分離して並列状態にある3本の異色糸2,3,5は、多数の中空スピンドル13の上方直近に配された分離バー14を前後で挟むようにして案内され、図5に拡大して示すように、前後左右に分離された異色糸2,3,5は、前記中空スピンドル13の上端糸条導入口13aの近傍に三角形の頂点に配された3個の糸目をもつガイド部材15(15a〜15c)を介して上端糸条導入口13aの開口内へと挿入され、中空スピンドル13の中空部内を下方へと移動する。
このとき、中空スピンドル13にはコーン6が装着固定されており、コーン6から引き出されるカバーリング糸4は、図6に示すように、駆動回転する中空スピンドル13の上端糸条導入口13aの開口縁に沿って回転しながら引き取られる。3本の異色糸2,3,5は、無撚り状態で中空スピンドル13の前記上端糸条導入口13aに近づき、そこで三角形状の頂点部分に配された3つの上記ガイド部材15a〜15cに3本が並べられて導入される。3本の異色糸2,3,5が前記上端糸条導入口13aに導入される瞬間に、カバーリング糸4が走行する3本の異色糸2,3,5の周面にスパイラル状に巻き付く。
ここで、上記3つのガイド部材15a〜15cにより、3本の異色糸2,3,5が三角形状に引き揃えられた形態で案内されて中空スピンドル13の上端糸条導入口13aへと導かれるため、異色糸同士の構成繊維は混合することなく三角筒状の配置を変えることなく、既述した要因により、上記第1実施形態と同様に糸軸線回りに適当なピッチと長さをもって捻転しつつ、中空スピンドル13の下端糸条導出口13bから引き出されたのち、カバーリング機10の下端巻取り部においてトラバースドラム16によりに案内されて図示せぬ紙管に巻き取られてボビン7とされる。しかして、本第2実施形態に係る3色模様の複合糸1は、上記第1実施形態において使われるカバーリング機10と実質的に同一のカバーリング機10を使って、工業的に連続して効率よく製造できる。こうして得られる本第2実施形態に係る複合糸1をパイル糸として使ったパイル製品は、従来にない新鮮でかつ斬新な色彩模様を鮮明に表出した縞模様状の高品位の製品が得られる。
本発明では、前記3本の異色糸2,3,5における各単糸の繊度は700dTexであり、その総繊度は2100dTexであって、通常のカーペットに用いられる繊度の糸条を採用している。これら異色糸2,3,5の太さは前述の繊度に限定されるものではなく、そのパイル製品の用途によって単糸の繊度を200〜1600dTex、3本からなる構成糸条の総繊度は2000〜5000dTexの範囲から適宜選択することができる。一方、上記カバーリング糸4には総繊度が44dTex/8fの透明なマルチフィラメント合撚糸が使われているが、このカバーリング糸4にあっても、その単繊維繊度及び総繊度は、例えば30〜50dTex/(1〜10f)の範囲で任意に選択できる。
また、3本の異色糸2,3,5には、合成樹脂製のマルチフィラメント糸が使われている。そして、中空スピンドル13の糸条導入口13aに導入されるときの異色の各単糸の撚り数は0〜8T/mのほとんど撚りのない糸条であり、3本の異色糸2,3,5に対するカバーリング糸4の巻き付け回数は、第1実施形態と同じ60〜150回/mであることが好ましい。
以上は本発明の好適な実施形態について述べたものであるが、本発明は、その複合糸の適用するパイル製品の構造や用途により、例えば使用異色糸の本数や太さ、各糸条の種類、材質などを、多様に組み合わせることが可能であり、また異色模様の表出長さやピッチを更に変更させたいときは、新たな色彩模様をつ複合糸製造開始時において、上述のように中空スピンドルの回転数と複合糸の巻取り速度、捻転管理調整具の第1リング状部材の傾斜角度などを適宜調整・変更することができる。
1 (異色模様の)複合糸
2,3 2本の異色糸条(異色糸)
2,3,5 3本の異色糸条(異色糸)
4 カバーリング糸
6 コーン
7 ボビン
10 カバーリング機
11 第1の横ガイドバー
12 櫛状の糸条案内部材
13 中空スピンドル
13a (上端)糸条導入口
13b (下端)糸条導出口
14 分離バー
15(15a〜15c)ガイド部材
16 トラバースドラム
17 捻転管理調整具
17a 第1リング状部材
17b 第2リング状部材
17c 一対の支持杆(杆状金属板片)
18 テンショナー
19 カーペット
19a パイル列
本発明は、下撚りがなされた2本以上の異色糸が並列して引き揃えられた状態にある複合糸条が、各異色糸の前記下撚りが潜在的にもつ解撚方向のトルクにより撚合されると同時にカバーリング糸の巻き付きにより外形を保持され、糸条長さ方向に異なる長さの2色以上の異色繊維を混繊することなく鮮明にかつランダムに表出させた複合糸の製造装置及びその製造方法と、前記製造方法により製造される前記複合糸と、その複合糸を使ったパイル織物などからなる各種敷物、或いは自動車用内装品などのパイル繊維製品に関する。
また、上記特許文献2に開示された嵩高性を有するカーペットスタイリングヤーンは、その製造工程では、常時、緊張と熱収縮とが繰り返されることが多く、仮にカーペットスタイリングヤーンの原料糸に仮撚りがなされていたとしても、続く染色工程や乾燥工程などの加熱と冷却、或いは撚糸工程、巻取工程、更には延伸工程などによる緊張と弛緩の繰り返しによって、先になされた仮撚りによる形態が崩れやすく、捲縮加工により付与された繊維形態を100%回復させることは難しい。このことは、敷物類の主原料の一つとして期待されているポリプロピレン繊維やポリエステル繊維の販路拡大を妨げる要因の一つともなっている。しかも、このカーペットスタイリングヤーンは2色以上の糸条が仮撚りされて交絡状態にあり、その各糸条を構成する単繊維多色複合糸間の交絡はバラバラであって、パイル面に表出する色彩の変わり目の鮮明性に欠け、各色彩模様の長さ及びピッチにある程度の規則性がある単なる霜降り模様となり、興趣に富んだ斬新な模様が得にくい。
かかる目的の一つは、本発明の基本構成の一つであって、後述する本発明の製造装置及び製造方法によって得られる、独立して引き揃えられた状態にある異色の少なくとも2本以上の糸条と、これらの糸条の全体の周りに等ピッチで巻き付けられたカバーリング糸とを有し、前記異色の各糸条は混繊することなく引き揃え状態を維持して、それぞれが糸条長さ方向にほぼ一定のピッチと長さで下撚りがなされており、前記異色の各糸条の下撚りの撚り数は0〜10T/mであり、前記異色の糸条に巻き付けられる前記カバーリング糸の巻き付回数は100〜300回/mであり、捻転状態にある複合糸は、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、糸条の長さ方向に沿って異色の各糸条が不規則なピッチ及び長さをもって、かつその切り替わり部分が混繊することなく各糸条ごとに鮮明に順次表出されてなる、ことを特徴とする異色模様をもつ複合糸により達成される。

Claims (17)

  1. 独立して引き揃えられた状態にある異色の少なくとも2本以上の糸条と、これらの糸条の全体の周りに等ピッチで巻き付けられたカバーリング糸とを有し、
    前記異色の各糸条は混繊することなく引き揃え状態を維持して、それぞれが糸条長さ方向に不規則なピッチと長さで下撚りがなされてなり、
    前記異色の各糸条の撚り数は0〜10T/mであり、
    前記異色の糸条に巻き付けられる前記カバーリング糸の巻き付き回数は100〜300回/mであり、
    捻転状態にある複合糸は、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、糸条の長さ方向に沿って異色の各糸条が不規則なピッチ及び長さをもって、かつその撚りの切り替わり部分で混繊することなく各糸条ごとに鮮明に順次表出されてなる、
    ことを特徴とする異色模様をもつ複合糸。
  2. 異色の前記2本以上の各糸条が合成樹脂製のマルチフィラメントからなり、
    前記カバーリング糸がモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる、
    請求項1記載の複合糸。
  3. 異色の前記2本以上の各糸条のうち一部の糸条は紡績糸を含み、
    前記紡績糸以外の糸条は合成樹脂製のマルチフィラメント糸であり、
    前記カバーリング糸はモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる、
    請求項1記載の複合糸。
  4. 2本以上の前記異色の各糸条の繊度は300〜2200dTexであり、2本以上の前記糸条の総繊度は5000dTex以下であって、前記カバーリング糸の総繊度は30〜50dTex/(1〜10f)である、
    請求項1〜3のいずれかに記載の複合糸。
  5. 前記カバーリング糸が無色透明な合成樹脂製のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる請求項1〜4のいずれかに記載の複合糸。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された異色模様をもつ複合糸の製造装置であって、
    50〜5000回転/minの回転数で積極的に駆動回転する中空円筒状の中空スピンドルと、
    それぞれが0〜10T/mの下撚りを有し引き揃えられた状態にある異色の2本以上の各糸条を、それぞれ独立して前記中空スピンドルの一端開口部の糸条導入口へと供給する異色糸供給部と、
    前記中空スピンドルに装着固定され、2本以上の異色の前記糸条とともに前記糸条導入口に供給されるカバーリング糸の巻体と、
    中空スピンドルの内部を通って他端開口部の糸条導出口からカバーリング糸とともに引き出される複合糸を所要の張力をもって巻き取る巻取部と、
    前記糸条導出口と前記巻取部との間にあって、前記糸条導出口の下流側に近接して配され、引き揃え状態で捻転された上記複合糸の糸条長さ方向に不規則なピッチ及び長さをもって順次表出する異色の各糸条の色彩模様のピッチ及び長さを管理調整する捻転管理調整具と、
    を備えてなることを特徴とする異色模様をもつ複合糸の製造装置。
  7. 前記糸条導入口の上流側近傍に、異色の2本以上の各糸条を独立分離して案内する分離部材が配されてなる、請求項6記載の製造装置。
  8. 前記捻転管理調整具は、前記中空スピンドルの軸心上に中心を有し、同中空スピンドルと一体に回転する第1リング状部材を有してなる、
    請求項6又は7に記載の複合糸の製造装置。
  9. 前記第1リング状部材は、前記中空スピンドルの前記糸条導出口に外嵌固定される第2リング状部材と、該第2リング状部材の径方向周面の相対する一部にそれぞれの一端が保持され、他端が前記第1リング状部材の径方向周面を2点で保持する平行な一対の支持杆とを有してなる、
    請求項8記載の複合糸の製造装置。
  10. 前記第1リング状部材は、前記一対の支持杆による支持点間を結ぶ直線を中心に0°〜90°の間を任意の回転角度に選択調整が可能とされてなる、
    請求項9記載の複合糸の製造装置。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の複合糸の製造装置を使用して得られる複合糸の製造方法であって、
    駆動回転する上記中空スピンドルにカバーリング糸の巻体を装着固定すること、
    それぞれが0〜10T/mの下撚りを有する2本以上の異色の糸条を、駆動回転する前記中空スピンドルの軸線方向の一端に開口する糸条導入口へとガイド部材を介して分離して引き揃えた状態で導入すること、
    前記巻体に巻かれた前記カバーリング糸の引き出し端を、引き揃えた状態で分離して導入される2本以上の前記異色の前記糸条とともに、回転する前記中空スピンドルの前記糸条導入口に導入すること、
    前記中空スピンドルの糸条導入口に実質的に加撚されずに並列状態で分離して導入される2本以上の異色の糸条の周囲に前記カバーリング糸を巻き付けること、及び
    このカバーリング糸が巻き付けられた複合糸を前記中空スピンドルの軸線方向の他端に開口する糸条導出口から上記捻転管理調整具の第1リング状部材の中心を通して所定の張力を付与しながら引き出して巻取りボビンに連続して巻き取ること、を含んでなり、
    異色の2本以上の各糸条は前記張力を付与されて伸長するとともに、上記下撚りとは反対方向の解撚トルクが作用して各糸条の並列状態を維持して施撚されると同時に、上記中空スピンドルの内周面及び前記捻転管理調整具の第1リング状部材の内周面の一部との不規則な接触の繰り返しにより、前記巻取りボビンに巻き取られる前記複合糸を、その長手方向に直交する特定の方向から見たとき、引き揃え状態にある前記異色の各糸条が糸条長さ方向に不規則なピッチと長さで捻転がなされており、異色の各糸条の長さ方向に沿って、模様の切り替え部分で混繊することなく各糸条ごとに鮮明に順次表出してなる、
    ことを特徴とする異色模様をもつ複合糸の製造方法。
  12. 前記2本以上の異色の各糸条の繊度は300〜2200dTex/本であり、2本以上の異色の糸条の総繊度は5000dTex以下であって、カバーリング糸の総繊度は30〜50dTex/(1〜10f)である、請求項11記載の複合糸の製造方法。
  13. 異色の前記糸条が2本であるとき、2本の異色糸断面を相対する側縁において三角形の二辺とするように上記ガイド部材を介して前記糸条導入口に導入することを含んでなる請求項11記載の複合糸の製造方法。
  14. 異色の前記糸条が3本以上であるとき、上記ガイド部材を介して3本以上の異色糸を多角状に並列して前記糸条導入口に導入することを含んでなる請求項11記載の複合糸の製造方法。
  15. 2本以上の異色の前記糸条の少なくとも1本が紡績糸からなり、他の異色の糸条が合成樹脂製のマルチフィラメント糸からなり、前記カバーリング糸は無色透明なモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる、請求項11記載の複合糸の製造方法。
  16. 中空スピンドルの糸条導入口に導入されるときの紡績糸を除く他の異色の各糸条の撚り数が0〜10T/mであり、紡績糸を含む同異色の糸条に対するカバーリング糸の巻き付け回数が100〜300回/mである、請求項15記載の複合糸の製造方法。
  17. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合糸がパイル糸として使われたパイル繊維製品であって、
    そのパイル繊維製品を表面から見たとき、各複合糸により得られるパイル列方向に、引き揃え状態にある2本以上の異色の各糸条が糸条長さ方向に不規則なピッチと長さで捻転がなされており、異色の各糸条の切り替え部分が混繊することなく各糸条ごとにその形態を鮮明に順次表出して、全体にパイル列方向に延びる不規則なピッチと長さとをもつ縞模様を有してなることを特徴とするパイル繊維製品。
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