JP2016020864A - 潤滑油劣化度推定方法および潤滑油劣化度推定装置 - Google Patents

潤滑油劣化度推定方法および潤滑油劣化度推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮する。
【解決手段】潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、酸化劣化試験が行われた試験油のRPVOT残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報とが対応付けられた複数組の試験データを取得する工程S502と、取得した複数組の試験データに基づいて、RPVOT残存率と色情報との対応関係を示す検量線を作成する作成工程S503と、回転機械に用いられる潤滑油をメンブランフィルタによってろ過するとともに、フィルタの色情報を取得する測色工程と、測色工程にて取得された色情報と作成工程にて作成された検量線とに基づいて、潤滑油のRPVOT残存率を推定する推定工程S504とを備える潤滑油劣化度推定方法を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、潤滑油劣化度推定方法および潤滑油劣化度推定装置に関する。
タービン等の回転機械の潤滑に用いられる潤滑油は、使用に伴って酸化し、徐々に劣化していく。回転機械が故障し、或いは寿命が短くなるのを避けるためには、潤滑油の劣化度を適切に推定し、適切なタイミングで潤滑油の補充や交換をすることが求められる。
潤滑油等の劣化度の管理に関して、ASTM D4378(American Society for Testing and Materials D4378)には、複数の管理項目が推奨されている。ASTM D4378で推奨される管理項目の1つに、RPVOT(Rotating Pressure Vessel Oxdation Test)がある。RPVOTは、油等の酸化劣化試験を行い、測定対象の油が酸素を急激に吸収し始めるまでの時間(誘導期間)を示す値である。ASTM D4378では、RPVOT残存率を、劣化油のRPVOT値を新油のRPVOT値で除した値で定義し、RPVOT残存率が25%を下回らないように管理することが推奨されている。
特許文献1には、油の酸化劣化試験を行って劣化させた油のRPVOT残存率を求め、油のスラッジ生成性を適切に判定する技術が開示されている。
特許第4209093号公報
タービン油の余寿命評価に用いられるRPVOT値の測定は、例えば、ASTM D2272にその方法が規定されている。この方法では、測定対象の油に酸素圧を加えて高温な状態に保持し、測定対象の油に酸素が吸収されて酸素圧が急激に低下(最高圧力より1.75kgf/cm低下)するまでの時間を計測するものである。
近年の潤滑油の中には、高性能化によって、RPVOT値の測定に数十時間以上の長時間を要するものも存在する。したがって、回転機械に使用中の潤滑油の劣化度を推定するために、数十時間以上の試験時間を要する場合がある。
また、RPVOT値の測定には、測定対象の油に酸素圧を加えて高温な状態に保持する特殊な測定装置が必要である。そのため、RPVOT値の測定を行うためには、回転機械に使用中の潤滑油を採取し、採取した潤滑油を測定装置が設置された場所まで持ち運ぶ必要もある。
以上のように、測定装置を用いて潤滑油中のRPVOT値を求める場合、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに長時間が必要であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法および潤滑油劣化度推定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明に係る潤滑油劣化度推定方法は、回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定方法であって、前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、該酸化劣化試験が行われた試験油のRPVOT残存率と、該試験油をろ過したフィルタの色情報とが対応付けられた複数組の試験データを取得するデータ取得工程と、前記データ取得工程で取得した前記複数組の試験データに基づいて、前記RPVOT残存率と前記色情報との対応関係を示す検量線を作成する作成工程と、前記回転機械に用いられる前記潤滑油をフィルタによってろ過するとともに、該フィルタの色情報を取得する測色工程と、前記測色工程にて取得された前記色情報と前記作成工程にて作成された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油のRPVOT残存率を推定する推定工程と、を備える。
本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定するのに先立ち、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を予め行って、試験油のRPVOT残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線が作成される。この検量線の作成にはRPVOT値の測定が必要であるため、数十時間の試験時間が必要となるが、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後にRPVOT値の測定を行う必要はない。
そして、本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後は、潤滑油がフィルタによってろ過されて、フィルタの色情報が取得される。そして、この色情報と、予め作成された検量線とに基づいて、潤滑油のRPVOT残存率が推定される。潤滑油のRPVOT残存率の推定にあたっては、数十時間の試験時間が必要なRPVOT値の計測は不要であるので、潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間は短時間で済む。
このように、本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法を提供することができる。
本発明の第1態様の潤滑油劣化度推定方法は、前記データ取得工程が、前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、劣化度の異なる複数の前記試験油を作成し、前記複数の試験油のそれぞれを複数のフィルタによってろ過するとともに、該複数のフィルタのそれぞれの色情報を取得し、前記複数の試験油のRPVOT残存率をそれぞれ計測し、前記色情報と前記RPVOT残存率とを対応付けた複数組の試験データを取得する。
本態様の潤滑油劣化度推定方法によれば、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、劣化度の異なる複数の試験油が作成される。劣化度の異なる複数の試験油は、それぞれが複数のフィルタによってろ過されて色情報が取得される。また、劣化度の異なる複数の試験油のRPVOT残存率がそれぞれ計測される。これにより、フィルタの色情報とRPVOT残存率とを対応付けた複数組の試験データが取得される。
このようにすることで、劣化度の異なる複数の試験油を作成し、フィルタの色情報とRPVOT残存率とをそれぞれ取得することにより、検量線を作成するために用いられる複数組の試験データを取得することができる。
本発明の第2態様の潤滑油劣化度推定方法は、前記データ取得工程が取得する前記色情報が、基準色と前記試験油をろ過した前記フィルタの色との色差を示す値であり、前記測色工程が取得する前記色情報が、基準色と前記潤滑油をろ過した前記フィルタの色との色差を示す値である。
このようにすることで、色情報として基準色と試験油をろ過したフィルタの色との色差を用いて検量線を適切に作成するとともに、色情報として基準色と潤滑油をろ過したフィルタの色との色差を用いて潤滑油の劣化度を適切に判定することができる。
本発明の第3態様の潤滑油劣化度推定方法は、前記回転機械に用いられる前記潤滑油のRPVOT残存率を取得するRPVOT残存率取得工程を備える。
このようにすることで、酸化劣化試験を行わずに検量線を用いて短時間で潤滑油のRPVOT残存率を推定する工程と、実際に潤滑油のRPVOT残存率を取得する工程とを併用し、より確実な潤滑油の劣化度の推定を行うことができる。
上記態様においては、前記RPVOT残存率取得工程にて前記RPVOT残存率を取得する間隔よりも、前記推定工程にて前記RPVOT残存率を推定する間隔の方が短いようにしてもよい。
このようにすることで、酸化劣化試験を行わずに検量線を用いて短時間で潤滑油のRPVOT残存率を推定する頻度を高め、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮することができる。
本発明に係る潤滑油劣化度推定装置は、回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定装置であって、前記潤滑油のRPVOT残存率と、前記潤滑油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線を記憶する記憶部と、前記回転機械に用いられる前記油をろ過したフィルタの色情報を取得する測色部と、前記測色部により取得された前記色情報と前記記憶部に記憶された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油のRPVOT残存率を推定する推定部と、を備える。
本発明に係る潤滑油劣化度推定装置によれば、試験油のRPVOT残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線を記憶する記憶部を備える。この検量線の作成にはRPVOT値の測定が必要であるため、数十時間の試験時間が必要となるが、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後にRPVOT値の測定を行う必要はない。
そして、本発明に係る潤滑油劣化度推定装置によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後は、潤滑油がフィルタによってろ過されて、フィルタの色情報が取得される。そして、この色情報と、予め作成された検量線とに基づいて、潤滑油のRPVOT残存率が推定される。潤滑油のRPVOT残存率の推定にあたっては、数十時間の試験時間が必要なRPVOT値の計測は不要であるので、潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間は短時間で済む。
このように、本発明に係る潤滑油劣化度推定装置によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定装置を提供することができる。
本発明に係る潤滑油劣化度推定方法は、回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定方法であって、前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、該酸化劣化試験が行われた試験油の酸化防止剤残存率と、該試験油をろ過したフィルタの色情報とが対応付けられた複数組の試験データを取得するデータ取得工程と、前記データ取得工程で取得した前記複数組の試験データに基づいて、前記酸化防止剤残存率と前記色情報との対応関係を示す検量線を作成する作成工程と、前記回転機械に用いられる前記潤滑油をフィルタによってろ過するとともに、該フィルタの色情報を取得する測色工程と、前記測色工程にて取得された前記色情報と前記作成工程にて作成された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油の酸化防止剤残存率を推定する推定工程と、を備える。
本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定するのに先立ち、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を予め行って、試験油の酸化防止剤残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線が作成される。この検量線の作成には酸化防止剤の測定が必要であるため、数十時間の試験時間が必要となるが、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後に酸化防止剤残存率の測定を行う必要はない。
そして、本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後は、潤滑油がフィルタによってろ過されて、フィルタの色情報が取得される。そして、この色情報と、予め作成された検量線とに基づいて、潤滑油の酸化防止剤残存率が推定される。潤滑油の酸化防止剤残存率の推定にあたっては、数十時間の試験時間が必要な酸化防止剤残存率の計測は不要であるので、潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間は短時間で済む。
このように、本発明に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法を提供することができる。
本発明によれば、回転機械に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法および潤滑油劣化度推定装置を提供することができる。
本実施形態の潤滑油劣化度推定システムを示す構成図である。 図1に示すろ過装置の構成図である。 図1に示す油状態監視部の構成図である。 油状態監視部が実行する油状態監視方法を示すフローチャートである。 本実施形態の潤滑油劣化度推定方法を示すフローチャートである。 図5のデータ取得工程を示すフローチャートである。 図5のRPVOT残存率の推定工程を示すフローチャートである。 RPVOT値の計測における経過時間と酸素圧力の関係を示すグラフである。 図5に示す処理により作成される検量線の一例を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態の潤滑油劣化度推定システムについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の潤滑油劣化度推定システム500は、回転機械であるガスタービン100と、ガスタービン100に用いられる潤滑油をメンブランフィルタでろ過するろ過装置200と、潤滑油劣化度推定装置300と、酸化劣化装置400と、RPVOT測定装置600と、を備える。
潤滑油劣化度推定装置300は、記憶部301と、油状態監視部(測色部)302と、推定部303と、入力部304とを備える。記憶部301は、後述する検量線の作成処理により作成される検量線を示すデータ等の各種のデータを記憶する。油状態監視部302は、ろ過装置200にて油のろ過に用いられたメンブランフィルタ210を測色するのに用いられる。推定部303は、油状態監視部302により取得された色情報と記憶部301に記憶された検量線とに基づいて、潤滑油に含まれるRPVOT残存率を推定する。入力部304は、潤滑油劣化度推定装置300の操作者による各種の入力を受け付けるものであり、例えば、RPVOT測定装置600により取得された潤滑油のRPVOT残存率の入力を受け付ける。
図2に示すように、ろ過装置200は、防塵用蓋202と、シリンダ204と、フラスコ206と、真空ポンプ208とを備える。シリンダ204とフラスコ206との間には、メンブランフィルタ210が取り付けられる。酸化劣化試験に用いられる油(後述する試験油および潤滑油)のろ過は、油25mlをシリンダ204に注入し、真空ポンプ208を使用してフラスコ206内を減圧することにより行われる。ろ過装置200によりろ過された油はフラスコ206の底部に滴下する。また、油に含まれる汚染物は、メンブランフィルタ210によってシリンダ204側の表面およびメンブランフィルタ210の内部に捕捉された状態となる。
メンブランフィルタ210としては、種々のものを用いることが可能であるが、例えば、孔径0.8μm,直径25mmのセルロースアセテート製のメンブランフィルタ210(アドバンテック東洋株式会社製,製品名:C080A025A)を用いることができる。
図3に示すように、油状態監視部302は、第1光源120,122と第1カラーセンサ104とを備える。また、油状態監視部302は、第2光源124,126と第2カラーセンサ108とを備える。さらに、油状態監視部302は、メンブランフィルタ210をセットするための設置部110を備える。第1光源120,122は、油の劣化の状態を監視するために油状態監視部302にセットされた、具体的には、設置部110にセットされたメンブランフィルタ210の第1面212の側に設けられる。第1光源120,122は、セットされたメンブランフィルタ210に投射される第1光を発光する。ここで、第1光は、可視光線である。なお、第1面212は、ろ過前の油が存在した側に配置されていたメンブランフィルタ210の面である。
第2光源124,126は、設置部110にセットされたメンブランフィルタ210の第1面212の裏側の面である第2面214の側に設けられる。第2光源124,126は、セットされたメンブランフィルタ210に投射される第2光を発光する。ここで、第2光は、可視光線である。第1光源120,122および第2光源124,126は、例えば白色LEDによって構成される。第1光源120,122および第2光源124,126は、それぞれ、設置部110にセットされたメンブランフィルタ210の所定の範囲を照らす。
設置部110には、空洞部114が形成されている。空洞部114によって、第1光源120,122からの第1光に基づく第1透過光は、第1カラーセンサ104側に遮断されず、かつ第2光源124,126からの第2光は、第2面214に到達する。メンブランフィルタ210は、メンブランフィルタ210のうち、油をろ過した部分、つまり汚染物を捕捉した部分が空洞部114に合致するよう、セットされる。
第1カラーセンサ104は、第2面214の側に設けられる。第1カラーセンサ104は、第1光が設置部110にセットされたメンブランフィルタ210を透過した第1透過光、つまり第1面212から入射し、第2面214から出射した第1透過光の色成分を検出する。また、第1カラーセンサ104は、第2光が設置部110にセットされたメンブランフィルタ210の第2面214で反射した第2反射光の色成分を検出する。
第2カラーセンサ108は、第1面212の側に設けられる。第2カラーセンサ108は、第2光が設置部110にセットされたメンブランフィルタ210を透過した第2透過光、つまり第2面214から入射し、第1面212から出射した第2透過光の色成分を検出する。また、第2カラーセンサ108は、第1光が設置部110にセットされたメンブランフィルタ210の第1面212で反射した第1反射光の色成分を検出する。
第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108は、RGBカラーセンサによって構成され、波長が380nm〜780nmの範囲の可視光線領域を、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分(色信号)に分けて検出する。検出される各色成分は、256階調の各値で表される。以下、赤(R)、緑(G)、青(B)の各値を総称して「RGB値」ともいう。
第1光源120,122と、第1カラーセンサ104と、第2光源124,126と、第2カラーセンサ108とは、ケース体130に収納された状態で、油状態監視部302に設置されている。ケース体130は、図1で不図示の開閉扉を備える。油状態監視部302のユーザは、開閉扉を開き、油状態監視部302の内部の設置部110に、油をろ過したメンブランフィルタ210をセットし、開閉扉を閉じる。開閉扉が閉じられた状態で、油状態監視部302の内部、具体的にはケース体130の内部は、外部から光(外界光)の侵入が遮断された状態、すなわち、暗室状態となる。
ここで、メンブランフィルタ210は、その表面が波打ちせずに設置面112と略平行な面を形成するように、リング状ホルダ213により保持されている。リング状ホルダ213は、互いに連結される一対の部材からなり、一対の部材の間にメンブランフィルタ210の外周縁部が挟まれた状態で保持される。
図3のうち、設置部110、メンブランフィルタ210、リング状ホルダ213を示す部分は、直線3を通過する平面における断面図となっている。メンブランフィルタ210は平面視が略円板状の部材であり、設置部110に形成される空洞部114は平面視が略円形状の貫通穴となっている。図3に示すように、メンブランフィルタ210の中心軸と、空洞部114の中心軸とは、直線3と一致して配置される。
空洞部114が設けられているので、直線3の近傍において、第1光源120,122および第2光源124,126からの光は、設置部110により遮断されることはない。
ここで、第1光源120と第1カラーセンサ104とは、非対向状態で油状態監視部302に設けられている。第1光源122と第1カラーセンサ104とについても、同様の位置関係である。すなわち、第1カラーセンサ104は、メンブランフィルタ210の第1面212,第2面214、具体的には、メンブランフィルタ210をセットする設置部110において、メンブランフィルタ210がセットされる面である設置面112に対して、垂直な直線3上に配置される。一方、第1光源120は、この直線3に所定の角度(例えば、45度)をもって交差する直線1上に配置される。また、第1光源122は、この直線3に所定の角度(例えば、45度)をもって交差する直線2上に配置される。直線1および直線3がなす角度と、直線2および直線3がなす角度とは、同一(略同一)に設定される。
同じく、第2光源124と第2カラーセンサ108とは、非対向状態で油状態監視部302に設けられている。第2光源126と第2カラーセンサ108とについても、同様の位置関係である。すなわち、第2カラーセンサ108は、メンブランフィルタ210の第1面212,第2面214、具体的には、メンブランフィルタ210をセットする設置部110の設置面112に対して、垂直な直線3上に配置される。一方、第2光源124は、この直線3に所定の角度(例えば、45度)をもって交差する直線4上に配置される。また、第2光源126は、この直線3に所定の角度(例えば、45度)をもって交差する直線5上に配置される。直線4および直線3がなす角度と、直線5および直線3がなす角度とは、同一(略同一)に設定される。
第1面212の側に配置される第1光源120,122と、第2面214の側に配置される第2光源124,126とは、設置部110の設置面112内の直線またはこの設置面112に平行な水平面内の直線を基準として、線対称に配置されている。第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108についても、設置部110の設置面112内の直線またはこの設置面112に平行な水平面内の直線を基準として、線対称に配置されている。なお、設置面112に平行な水平面内の直線は、例えば設置面112に水平にセットされたメンブランフィルタ210内の直線である。このような構成によって、第1面212から第2面214の側に透過する第1透過光と、これとは逆に、第2面214から第1面212の側に透過する第2透過光とを、それぞれ、同一の条件(同一の状態)で、第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108で検出することができる。また、第1反射光および第2反射光についても、それぞれ、同一の条件(同一の状態)で、第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108で検出することができる。
この他、油状態監視部302は、制御装置と、所定の情報を出力、例えば表示するモニタ(以下、「表示」を例として説明する。)とを備える。なお、図1では、制御装置およびモニタなどに関する図示は、省略している。制御装置は、油状態監視方法(油寿命予測)を実行するためのプログラムを読み込み、各種演算処理を実行する。なお、制御装置などは、油状態監視部302が内蔵した構成とすることができる。この場合、制御装置などは、油状態監視部302の一部である。また、制御装置などは、油状態監視部302が備える図1で不図示の接続インターフェースを介して、パーソナルコンピュータなどのような装置を接続して、構成することもできる。
次に、図4を用いて、油状態監視部302が実行する油状態監視方法について説明する。
油状態監視方法は、第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108によって検出された各色成分に基づき行われる。なお、フローチャートに記載の処理は、制御装置によって制御される。
油状監視方法の開始の指示を取得した制御装置は、メンブランフィルタ210が設置部110にセットされていることを、所定のセンサによって検出する(ステップS100)。そして、制御装置は、第1光源120,122と第2光源124,126と第1カラーセンサ104と第2カラーセンサ108とを較正、つまり初期設定する(ステップS102)。すなわち、ステップS102では、自己診断機能が実現される。
具体的にステップS102では、第1光源120,122と第2光源124,126との状態、例えば輝度または光度が、所定のセンサによって検出され、検出された状態が所定のレベルであるか否かが判定される。検出された状態が所定のレベルでない場合、第1光源120,122と第2光源124,126との状態が調整され、制御装置は、調整後の状態を記憶する。また、第1カラーセンサ104と第2カラーセンサ108とが、所定の基準値に基づき調整され、制御装置は、調整後の状態を記憶する。すなわち、自己診断機能によって調整された、第1光源120,122と、第2光源124,126と、第1カラーセンサ104と、第2カラーセンサ108とは、それぞれ調整後の状態に設定される。
ステップS104では、第1光源120,122が発光し、第1光源120,122からの第1光が、メンブランフィルタ210の第1面212に入射し、第2面214から出射される。すなわち、第1光源120,122からの第1光が、メンブランフィルタ210を透過する。
ステップS106で、メンブランフィルタ210を透過した第1透過光は、第1カラーセンサ104で、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分に分けて検出される。
ステップS108では、第1光源120,122からの第1光がメンブランフィルタ210の第1面212で反射した第1反射光が、第2カラーセンサ108で、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分に分けて検出される。
ステップS110では、第2光源124,126が発光し、第2光源124,126からの第2光が、メンブランフィルタ210の第2面214に入射し、第1面212から出射される。すなわち、第2光源124,126からの第2光が、メンブランフィルタ210を透過する。
ステップS112で、メンブランフィルタ210を透過した第2透過光は、第2カラーセンサ108で、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分に分けて検出される。
ステップS114では、第2光源124,126からの第2光がメンブランフィルタ210の第2面214で反射した第2反射光が、第1カラーセンサ104で、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分に分けて検出される。
ステップS116で制御装置は、第1カラーセンサ104および第2カラーセンサ108のそれぞれによって検出された、第1透過光の各色成分(RGB値)と、第2反射光の各色成分(RGB値)と、第2透過光の各色成分(RGB値)と、第1反射光の各色成分(RGB
値)とを用いて、第1透過光、第2透過光、第1反射光および第2反射光のそれぞれについて、最大色差を演算する。
ここで、最大色差は、RGB値の各値のうち、最大値と最小値との差であり、これにより、汚染物の性状を大まかに分類できることがわかっている。最大色差が大きい場合は、汚染物中のトルエンに可溶なスラッジなどの酸化生成物が多く、油をろ過したメンブランフィルタ210の色は茶系に変化する。最大色差が小さい場合は、メンブランフィルタ210の色が黒系、白系のときである。黒系に変化する場合、トルエンに不溶な摩耗粉や混入物が多量に混入している。白系は逆に劣化が進んでいない清浄な油である。
第1透過光を例にすれば、第1透過光のR値が「235」で、G値が「219」で、B値が「190」である場合、R値とG値との差(絶対値。以下同じ)は「16」であり、R値とB値との差は「45」であり、G値とB値との差は「29」である。したがって、最大色差は、「45」である。すなわち、制御装置は、第1透過光の最大色差について、「45」を演算結果として取得する。なお、第2透過光などについても、同様に演算される。その説明(例示)は省略する。
ステップS116を実行した制御装置は、つづけて、ΔERGBを演算する(ステップS118)。油をろ過したメンブランフィルタ210の色は、油の汚れとともに濃色化し、白(255,255,255)から離れてゆくことから、白(255,255,255)と任意のメンブランフィルタ210との2色間距離をΔERGBと定義した。ΔERGBは、白(255,255,255)である場合に、最小値(0)となり、色が濃くなり黒(0,0,0)となると最大値(441.67)を示す。
なお、ステップS118で制御装置は、ステップS116と同じく、第1透過光の各色成分(RGB値)と、第2反射光の各色成分(RGB値)と、第2透過光の各色成分(RGB値)と、第1反射光の各色成分(RGB値)とを用いて、第1透過光、第2透過光、第1反射光および
第2反射光のそれぞれについて、ΔERGBを演算する。また、油の酸化生成物の色は、R値≧G値≧B値である。
また、ステップS119で、制御装置はステップS116での最大色差の演算結果と、ステップS118でのΔERGBの演算結果を記憶部301に記憶させ、この処理を終了する。
酸化劣化装置400は、測定対象の油を強制的に劣化させる酸化劣化試験を行う試験装置である。酸化劣化装置としては、ASTM D943に示される95℃TOST試験や、ASTM D7873に示される120℃Dry TOST試験、あるいはJIS K2514で規定される試験に準拠した試験装置を用いるのが望ましい。酸化劣化装置400を用いた酸化劣化試験としては、前述した各試験に準拠した条件で行うことや、試験温度を95℃〜130℃の範囲で任意に設定した条件で行うことが可能である。測定対象の油を複数用意してそれぞれ異なる試験時間を設定して強制的に劣化させることにより、劣化度の異なる複数の油を生成することができる。
RPVOT測定装置600は、測定対象の油に酸素が吸収されて酸素圧が急激に低下するまでの誘導期間を示すRPVOT値を計測する装置である。RPVOT値を計測する際の計測条件がASTM D2272に規定されている。本実施形態のRPVOT測定装置600は、ASTM D2272に規定された条件に基づいて酸化劣化試験を行う。
具体的には、測定対象の油50gと、蒸留水5mlと、銅触媒(長さ3mで直径1.63mmの鋼線)とを蓋付きガラス製容器に入れ、酸素を圧入して酸素圧を6.3kgf/cmとしたボンベに封入する。そして、ボンベを、150℃に保温された恒温槽中のボンベ保持器に取り付ける。ボンベは、毎分100±5回転で回転させられる。ボンベがボンベ保持器に取り付けられてから計測開始となり、ボンベに取り付けられた圧力計の計測値が最高圧力より1.75kgf/cm降下した時点で計測終了となる。図8に示すように、計測開始から計測終了に至るまでの誘導期間(分)が、RPVOT値として計測される。
次に、本実施形態の潤滑油劣化度推定方法について、図5から図7のフローチャートを用いて説明する。
図5に示すフローチャートは、潤滑油劣化度推定方法を示すフローチャートである。図5に示す各工程のうち、ステップS502については図6に詳細な処理が示されている。また、ステップS504については図7に詳細な処理が示されている。
図5に示すように、本実施形態の潤滑油劣化度推定方法は、ステップS501、ステップS502(データ取得工程)、ステップS503(作成工程)までの工程により検量線を作成し、その後のステップS504(推定工程)でメンブランフィルタ210の色情報に基づいて潤滑油のRPVOT残存率の推定を行う。
ステップS501からステップS503までの各工程は、ガスタービン100に実際に用いられる潤滑油を用いるのではなく、実際に用いられる潤滑油と同性状の試験油を用いて行う処理である。
ステップS504の処理は、ガスタービン100に実際に用いられる潤滑油を用いて行う処理である。
本実施形態では、長時間を要するRPVOT値の計測を伴う検量線の作成までの工程を、試験油を用いて予め行っておくことで、ガスタービン100の運用中に行うRPVOT残存率の検出に要する時間を短縮している。
図5に示すステップS501の試験油の強制劣化工程について説明する。
試験油の強制劣化工程は、酸化劣化装置400を用いて行われる処理である。酸化劣化装置400による酸化劣化試験は、測定対象の油である試験油(後述する潤滑油と同性状)を、あらかじめ定められた試験条件で、試験時間を異ならせて複数回に渡って行われる。試験時間を異ならせることにより、劣化度の異なる複数の試験油が生成される。
次に、図5に示すステップS502のデータ取得工程について、図6を用いて説明する。
ステップS601で、潤滑油劣化度推定システム500の操作者は、ろ過装置200を用いて、ガスタービン100に用いられる潤滑油と同性状の試験油をメンブランフィルタ210でろ過する。ここでいう試験油とは、ステップS501で強制劣化された劣化度の異なる複数の試験油である。操作者は、複数種類の試験油をろ過した複数のメンブランフィルタ210のそれぞれを潤滑油劣化度推定装置300の油状態監視部302に設置する。油状態監視部302は、複数のメンブランフィルタ210を測色し、それぞれの最大色差およびΔERGB(色情報)を取得する。最大色差およびΔERGBの取得方法については、図4で説明した通りである。
ステップS602で、操作者は、図5のステップS501で強制劣化された劣化度の異なる複数の試験油と、強制劣化されていない試験油(新油)を、それぞれRPVOT測定装置600にセットする。RPVOT測定装置600は、セットされた複数種類の試験油のRPVOT値を測定するとともに、測定結果に基づいて、強制劣化された複数の試験油のRPVOT残存率をそれぞれ計測する。
強制劣化された複数の試験油のRPVOT残存率は、以下の式(1)により算出される。
RPVOT残存率=(強制劣化された試験油のRPVOT残存率/新油のRPVOT残存率)・100 (1)
ステップS603で、潤滑油劣化度推定装置300は、RPVOT測定装置600が計測した劣化度の異なる複数種類の試験油それぞれのRPVOT残存率と、各試験油について油状態監視部302で得られたメンブランフィルタ210の色情報とを対応付けた試験データを記憶部301に記憶させる。
次に、図5のステップS503に示される検量線の作成工程について説明する。前述した図6に示す工程により、記憶部301に記憶された、複数組の試験データは、例えば、図9に示されるデータとなる。すなわち、試験データを(RPVOT残存率,色差ΔERGB)と示す場合、複数組の試験データは、(R1,ΔE1),(R2,ΔE2),(R3,ΔE3),(R4,ΔE4)となる。
ステップS503では、これら4組の試験データに基づいて、RPVOT残存率と色差ΔERGBとの対応関係を示す検量線を作成する。具体的には、図9に示す4点の試験データの間を補間するように、図9に実線で示すようなRPVOT残存率と色差ΔERGBとの対応関係を示す関数を作成する。ステップS503で作成された関数は、記憶部301に記憶される。
例えば、4点の試験データと関数により与えられる座標との距離の自乗の和が最小となるように、最小自乗法を用いた1次関数や2次関数を作成するようにしてもよい。また、例えば、4点の試験データの間をそれぞれ補間するような値を与える1次関数や2次関数を作成するようにしてもよい。その他、4点の試験データに基づいて、これらの対応関係を示す関数を作成するために、各種の方法を用いることができる。
以上の図5に示すステップS501からステップS503により、RPVOT残存率と色差ΔERGBとの対応関係を示す検量線が作成される。なお、図9に示す例では、RPVOT残存率と色差ΔERGBとの対応関係を示す検量線を作成したが、色差ΔERGBに替えて、最大色差を採用してもよい。
次に、作成された検量線を用いて、ガスタービン100に実際に用いられる潤滑油のRPVOT残存率を推定する処理について説明する。
潤滑油のRPVOT残存率を推定する処理は、図5のステップS504に示す処理であり、図7の各工程にその処理の詳細が示されている。
ステップS701で、潤滑油劣化度推定装置300は、油の使用開始から所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過したと判定した場合はステップS702に処理を進める。ここで、所定時間としては、任意の時間を設定することが可能である。例えば、3ヶ月毎に潤滑油のRPVOT残存率を確認したい場合は、3ヶ月を設定すればよい。
ステップS702(測色工程)で、潤滑油劣化度推定システム500の操作者は、ろ過装置200を用いて、ガスタービン100で使用中の潤滑油を採取してメンブランフィルタ210でろ過する。操作者は、潤滑油をろ過したメンブランフィルタ210を潤滑油劣化度推定装置300の油状態監視部302に設置する。油状態監視部302は、メンブランフィルタ210を測色し、色情報を取得する。
ステップS703で、推定部303は、ステップS702にて取得された色情報に含まれる色差ΔERGBと、ステップS503で作成した検量線に基づいて、潤滑油のRPVOT残存率を推定する。
具体的には、図9に実線で示される検量線にステップS702にて取得された色差ΔERGBを代入し、代入した色差ΔERGBに対応するRPVOT残存率を推定する。
ステップS704で、潤滑油劣化度推定装置300は、ステップS705で推定されるRPVOT残存率が所定値以下であるかどうかを判定し、所定値以下である場合はステップS705へ処理を進め、そうでなければステップS701に処理を進める。
ステップS705で、潤滑油劣化度推定装置300は、潤滑油のRPVOT残存率が所定値以下となった旨を潤滑油劣化度推定システム500の操作者に警告し、図7に示す処理を終了する。
ステップS704からステップS701に処理を進めた場合、潤滑油劣化度推定装置300は、ステップS704で潤滑油のRPVOT残存率が所定値以下となったと判定されるまで、ステップS701からステップS703までの処理を繰り返す。
このようにして、潤滑油のRPVOT残存率が所定値以下となるまで、所定時間が経過する毎に、潤滑油のRPVOT残存率が推定される。
以上説明した本実施形態の潤滑油劣化度推定方法が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、ガスタービン100(回転機械)に用いられる潤滑油の劣化度を推定するのに先立ち、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を予め行って、試験油のRPVOT残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線が作成される。この検量線の作成にはRPVOT値の測定が必要であるため、数十時間の試験時間が必要となるが、ガスタービン100に使用中の潤滑油を採取した後にRPVOT値の測定を行う必要はない。
そして、本実施形態に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、ガスタービン100に使用中の潤滑油を採取した後は、潤滑油に含まれる汚染物がメンブランフィルタ210によってろ過されて、汚染物が捕捉されたメンブランフィルタ210の色情報が取得される。そして、この色情報と、予め作成された検量線とに基づいて、潤滑油のRPVOT残存率が推定される。潤滑油のRPVOT残存率の推定にあたっては、数十時間の試験時間が必要なRPVOT値の計測は不要であるので、潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間は短時間で済む。
このように、本実施形態に係る潤滑油劣化度推定方法によれば、ガスタービン100に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法を提供することができる。
本実施形態の潤滑油劣化度推定方法によれば、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、劣化度の異なる複数の試験油が作成される。劣化度の異なる複数の試験油は、それぞれが複数のメンブランフィルタ210によってろ過されて色情報が取得される。また、劣化度の異なる複数の試験油のRPVOT残存率がそれぞれ計測される。これにより、メンブランフィルタ210の色情報とRPVOT残存率とを対応付けた複数組の試験データが取得される。
このようにすることで、劣化度の異なる複数の試験油を作成し、メンブランフィルタ210の色情報とRPVOT残存率とをそれぞれ取得することにより、検量線を作成するために用いられる複数組の試験データを取得することができる。
本実施形態の油劣化度推定方法では、取得工程が取得する色情報が、基準色である白(0,0,0)と試験油をろ過したメンブランフィルタ210の色との色差ΔERGBを示す値であり、測色工程が取得する色情報は、基準色であり白(0,0,0)と潤滑油をろ過したメンブランフィルタ210の色との色差ΔERGBを示す値である。
このようにすることで、色情報として基準色と試験油をろ過したメンブランフィルタ210の色との色差ΔERGBを用いて検量線を適切に作成するとともに、色情報として基準色と潤滑油をろ過したメンブランフィルタ210の色との色差ΔERGBを用いて潤滑油の劣化度を適切に判定することができる。
〔他の実施形態〕
本実施形態においては、回転機械としてガスタービンを採用した例を示したが、他の態様であってもよい。例えば、蒸気タービン、コンプレッサ等、潤滑油を用いる機器であれば、他の回転機械であってもよい。
本実施形態においては、ガスタービン100で使用される潤滑油のRPVOT残存率は、色差ΔERGBを算出して検量線に基づいて推定するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、ガスタービン100で使用される潤滑油のRPVOT残存率を、色差ΔERGBを算出して検量線に基づいて推定する工程と、RPVOT測定装置600を用いて算出する工程とを併用するようにしてもよい。
この場合、RPVOT測定装置600を用いて潤滑油のRPVOT残存率を算出する工程は、図6のステップS602で説明した処理と同様となる。RPVOT残存率の計測処理は長時間を要するが、色差ΔERGBを算出して検量線に基づいてRPVOT残存率を算出する工程が併用される。そのため、RPVOT測定装置600で常にRPVOT残存率を算出する場合に比べ、ガスタービン100で使用される潤滑油のRPVOT残存率を検出するのに要する時間を短縮することができる。
また、色差ΔERGBを算出して検量線に基づいて推定する工程と、RPVOT測定装置600を用いて算出する工程とを併用するにあたっては、例えば、後者の工程を実行する間隔よりも前者の工程を実行する間隔の方が短いようにするのが望ましい。
このようにすることで、RPVOT測定装置によるRPVOT値の測定を行わずに検量線を用いて短時間で潤滑油のRPVOT残存率を推定する頻度を高め、ガスタービン100に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態においては、検量線として、酸化劣化した潤滑油の色情報とRPVOT残存率とを対応付けた関数を用いることとしたが、他の態様であってもよい。例えば、RPVOT残存率に替えて、酸化防止剤残存率を用いるようにしてもよい。この場合の潤滑油劣化度推定システムは、本実施形態のRPVOT測定装置の代わりに酸化防止剤残存率測定装置を備えたものとなる。ここで、酸化防止剤残存率の測定は、ASTM D6810とASTM D6971に規定される方法で測定するのが望ましい。
このような態様によれば、ガスタービン(回転機械)に用いられる潤滑油の劣化度を推定するのに先立ち、潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を予め行って、試験油の酸化防止剤残存率と、試験油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線が作成される。この検量線の作成には酸化防止剤の測定が必要であるため、数十時間の試験時間が必要となるが、回転機械に使用中の潤滑油を採取した後に酸化防止剤残存率の測定を行う必要はない。
そして、本態様の潤滑油劣化度推定方法によれば、ガスタービン(回転機械)に使用中の潤滑油を採取した後は、潤滑油がメンブランフィルタによってろ過されて、メンブランフィルタの色情報(最大色差およびΔERGB)が取得される。そして、この色情報と、予め作成された検量線とに基づいて、潤滑油の酸化防止剤残存率が推定される。潤滑油の酸化防止剤残存率の推定にあたっては、数十時間の試験時間が必要な酸化防止剤残存率の計測は不要であるので、潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間は短時間で済む。
このように、本態様の潤滑油劣化度推定方法によれば、ガスタービン(回転機械)に使用中の潤滑油を採取してから、潤滑油の劣化度を判定するまでに要する時間を短縮した潤滑油劣化度推定方法を提供することができる。
100 ガスタービン(回転機械)
200 ろ過装置
210 メンブランフィルタ(フィルタ)
300 潤滑油劣化度推定装置
301 記憶部
302 油状態監視部(測色部)
303 推定部
304 入力部
400 酸化劣化装置
500 潤滑油劣化度推定システム
600 RPVOT測定装置

Claims (7)

  1. 回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定方法であって、
    前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、該酸化劣化試験が行われた試験油のRPVOT残存率と、該試験油をろ過したフィルタの色情報とが対応付けられた複数組の試験データを取得するデータ取得工程と、
    前記データ取得工程で取得した前記複数組の試験データに基づいて、前記RPVOT残存率と前記色情報との対応関係を示す検量線を作成する作成工程と、
    前記回転機械に用いられる前記潤滑油をフィルタによってろ過するとともに、該フィルタの色情報を取得する測色工程と、
    前記測色工程にて取得された前記色情報と前記作成工程にて作成された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油のRPVOT残存率を推定する推定工程と、
    を備える潤滑油劣化度推定方法。
  2. 前記データ取得工程は、
    前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、劣化度の異なる複数の前記試験油を作成し、
    前記複数の試験油のそれぞれを複数のフィルタによってろ過するとともに、該複数のフィルタのそれぞれの色情報を取得し、
    前記複数の試験油のRPVOT残存率をそれぞれ計測し、
    前記色情報と前記RPVOT残存率とを対応付けた複数組の試験データを取得する請求項1に記載の潤滑油劣化度推定方法。
  3. 前記データ取得工程が取得する前記色情報は、基準色と前記試験油をろ過した前記フィルタの色との色差を示す値であり、
    前記測色工程が取得する前記色情報は、基準色と前記潤滑油をろ過した前記フィルタの色との色差を示す値である請求項1または請求項2に記載の潤滑油劣化度推定方法。
  4. 前記回転機械に用いられる前記潤滑油のRPVOT残存率を取得するRPVOT残存率取得工程を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の潤滑油劣化度推定方法。
  5. 前記RPVOT残存率取得工程にて前記RPVOT残存率を取得する間隔よりも、前記推定工程にて前記RPVOT残存率を推定する間隔の方が短い請求項4に記載の潤滑油劣化推定方法。
  6. 回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定装置であって、
    前記潤滑油のRPVOT残存率と、前記潤滑油をろ過したフィルタの色情報との対応関係を示す検量線を記憶する記憶部と、
    前記回転機械に用いられる前記潤滑油をろ過したフィルタの色情報を取得する測色部と、
    前記測色部により取得された前記色情報と前記記憶部に記憶された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油のRPVOT残存率を推定する推定部と、
    を備える潤滑油劣化度推定装置。
  7. 回転機械に用いられる潤滑油の劣化度を推定する潤滑油劣化度推定方法であって、
    前記潤滑油と同性状の試験油の酸化劣化試験を行って、該酸化劣化試験が行われた試験油の酸化防止剤残存率と、該試験油をろ過したフィルタの色情報とが対応付けられた複数組の試験データを取得するデータ取得工程と、
    前記データ取得工程で取得した前記複数組の試験データに基づいて、前記酸化防止剤残存率と前記色情報との対応関係を示す検量線を作成する作成工程と、
    前記回転機械に用いられる前記潤滑油をフィルタによってろ過するとともに、該フィルタの色情報を取得する測色工程と、
    前記測色工程にて取得された前記色情報と前記作成工程にて作成された前記検量線とに基づいて、前記潤滑油の酸化防止剤残存率を推定する推定工程と、
    を備える潤滑油劣化度推定方法。
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