JP2016020000A - 見込み金型形状作成方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形品の節点変位ベクトルから取得した変位量を金型修正の見込み量として反映する際の処理が簡易であり、また、プレス成形品と接触していない金型の形状についても滑らかな形状を得ることができる見込み金型形状作成方法及び装置を得る。【解決手段】本発明に係る見込み金型形状作成方法は、金型形状作成工程と、スプリングバック後形状取得工程と、プレス成形品31と当接する金型部分についての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、金型形状29に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、プレス成形品31と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、金型見込み量修正工程及び金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状29を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ金型形状の作成方法及び装置に関する。
近年、自動車部品の開発においては、有限要素法による計算機シミュレーションを活用することにより、実際のプレス成形品の製造時に発生する不具合(割れ、しわ、スプリングバック)を事前に予測し、不具合対策に活用することが一般的に実施されている。
このような、シミュレーションによる予測を用いた不具合対策の例として、金型形状についてスプリングバックを見込んだ形状に最適化することにより、形状不良に関する対策が、例えば特許文献1及び特許文献2において提案されている。
特開2012−119010号公報 特開2006−263788号公報
特許文献1では、スプリングバックによる変形前のプレス成形品解析モデルの節点変位ベクトルに基づいて金型修正の見込みベクトル量を算出し、この見込みベクトル量を用いて金型形状の修正を行う方法が提案されている。
しかし、特許文献1では、見込みベクトルは前記変形前のプレス成形品解析モデルの節点変位ベクトルに基づいて求めているため、前記変形前のプレス成形品解析モデルと接触していない金型の領域には見込みベクトルは設定されず、この領域についての見込みベクトル量の算出ができず、そのため、前記変形前のプレス成形品解析モデルと接触していない金型の形状をどのように修正すればよいかが不明である。
また、前記変形前のプレス成形品解析モデルの節点変位ベクトルから取得した変位量を金型修正の見込み量として反映する際に、前記変形前のプレス成形品解析モデルのどの節点の変位量を金型のどの節点に反映すればよいかという、前記変形前のプレス成形品解析モデルと金型との対応する節点を割り出すための処理が煩雑であるという問題がある。
また、特許文献2には、バネやダンパを介して金型の変形計算を実施することにより見込み量を算出する方法が提案されているが、条件によってはプレス成形品端部の位置で折れ曲がったような金型見込み形状が得られる場合がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、プレス成形品の節点変位ベクトルから取得した変位量を金型修正の見込み量として反映する際の処理が簡易であり、また、プレス成形品と接触していない金型の形状についても滑らかな形状を得ることができる見込み金型形状作成方法及び装置を得ることを目的としている。
(1)本発明に係る見込み金型形状作成方法は、プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、コンピュータが以下の各工程を行うものであって、
金型の初期形状を作成する金型形状作成工程と、該金型形状作成工程で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、該スプリングバック後形状取得工程で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、前記金型見込み量修正工程及び前記金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とするものである。
(2)本発明に係る見込み金型形状作成方法は、プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、実金型を用いて製作されたプレス成形実部品の3次元形状計測とコンピュータによる金型形状の修正を行うものであって、金型の初期形状を作成する初期金型形状作成工程と、該初期金型形状作成工程で作成した前記金型の形状に基づいて実金型を製作する実金型製作工程と、該実金型製作工程で製作された実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品のスプリングバック後における3次元形状計測を行って、スプリングバック後のプレス成形実部品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、該スプリングバック後形状取得工程で得られた前記プレス成形実部品形状と目標形状との偏差を求め、該偏差に基づいて前記実金型の形状の修正すべき量である金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、該金型見込み量を金型形状に対するパラメータ空間において設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間において曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、前記スプライン曲面を用いて、前記プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、該金型見込み量外挿工程及び前記金型見込み量修正工程で得られた金型見込み量に基づいて前記実金型の形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とするものである。
(3)本発明に係る見込み金型形状作成方法は、プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、実金型を用いて実際に製作されたプレス成形実部品の3次元形状計測とコンピュータによる金型形状の修正を組み合わせた方法であって、金型の初期形状を作成する初期金型形状作成工程と、該金型形状作成工程で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、該スプリングバック後形状取得工程で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、前記金型見込み量修正工程及び前記金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正工程と、前記スプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状との比較により、実金型を製作する程度まで前記金型形状が修正されたかどうかの判定を行う実金型製作許容判定工程と、該実金型製作許容判定工程において、実金型を製作する程度まで金型形状が修正されたと判定された場合、前記修正された金型形状に対して実金型を製作し、該実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品のスプリングバック後における3次元形状計測を行って、スプリングバック後の前記プレス成形実部品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、該スプリングバック後形状取得工程で得られた前記プレス成形実部品形状と目標形状との偏差を求め、該偏差に基づいて前記実金型の形状の修正すべき量である金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、該金型見込み量を金型形状に対するパラメータ空間において設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間において曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、前記スプライン曲面を用いて、前記プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、該金型見込み量外挿工程及び前記金型見込み量修正工程で得られた金型見込み量に基づいて前記実金型の形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のものにおいて、前記金型見込み量外挿工程は、スプライン曲面におけるコントロールポイントを直線的に配置することを特徴とするものである。
(5)本発明に係る見込み金型形状作成装置は、プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成装置であって、
金型の初期形状を作成する金型形状作成手段と、該金型形状作成手段で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得手段と、該スプリングバック後形状取得手段で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得手段と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定手段と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正手段と、前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿手段と、前記金型見込み量修正手段及び前記金型見込み量外挿手段で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正手段とを備えたことを特徴とするものである。
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、前記金型見込み量外挿手段は、スプライン曲面におけるコントロールポイントを直線的に配置することを特徴とするものである。
本発明においては、金型の初期形状を作成する金型形状作成工程と、スプリングバック後形状取得工程と、プレス成形品と当接する金型部分についての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、金型見込み量修正工程及び金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことにより、プレス成形品の節点変位ベクトルから取得した変位量を金型修正の見込み量として反映する際の処理が簡易であり、また、プレス成形品と接触していない金型の形状についても滑らかな形状を得ることができて、精度良いスプリングバック対策が可能な金型形状を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る見込み金型形状作成装置の構成を説明するブロック図である。 本発明の一実施の形態に係るスプリングバック後形状取得手段を説明するための図であって、成形解析における下死点状態を示す図である。 本発明の一実施の形態に係るスプリングバック後形状取得手段の説明図であって、スプリングバック解析後のプレス成形品形状の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るパラメータ空間設定手段によるパラメータ空間の設定方法を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係るパラメータ空間の説明図であり、設定したv方向を金型形状上に表現したものである。 本発明の一実施の形態に係るパラメータ空間の説明図であり、設定したu方向を金型形状上に表現したものである。 本発明の一実施の形態に係る金型見込み量修正手段による金型見込み量の修正方法の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る金型見込み量修正手段による金型見込み量の修正方法の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る金型見込み量外挿手段による金型見込み量外挿方法の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る金型形状修正手段による修正後の金型形状の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る見込み金型形状作成方法のフローチャートである。 本発明の他の実施の形態で解決しようとする課題の説明図である(その1)。 本発明の他の実施の形態で解決しようとする課題の説明図である(その2)。 本発明の他の実施の形態に係る金型見込み量修正手段による金型見込み量の修正方法の説明図である(その1)。 本発明の他の実施の形態に係る金型見込み量修正手段による金型見込み量の修正方法の説明図である(その2)。 本発明の他の実施の形態において作成された見込み金型形状の斜視図である。 本発明の他の実施の形態である見込み金型形状作成方法のフローチャートである。 本発明の他の実施の形態に係る実金型形状判定方法又は金型見込み量取得方法に関する説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る実金型形状判定方法又は金型見込み量取得方法の他の態様の説明図である。 本発明の他の実施の形態である見込み金型形状作成方法のフローチャートである。 本発明の実施例に係る金型見込み量修正工程の説明図である(その1)。 本発明の実施例に係る金型見込み量修正工程の説明図である(その2)。 本発明の比較例としての従来の見込み金型形状作成方法の説明図である。 本発明の比較例としての従来の見込み金型形状作成方法によって作成された金型形状の説明図である。 本発明の実施例に係る見込み金型形状作成方法によって作成された金型形状による成形解析の説明図である。 本発明の実施例に係る見込み金型形状作成方法によって作成された金型形状によってプレス成形されたプレス成形品形状の説明図である(その1)。 本発明の実施例に係る見込み金型形状作成方法によって作成された金型形状によってプレス成形されたプレス成形品形状の説明図である(その2)。 本発明の比較例として修正前の金型形状によってプレス成形されたプレス成形品形状の説明図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る見込み金型形状作成方法及び見込み金型形状作成装置について、まず、見込み金型形状作成装置について図1〜図10に基づいて説明した後に、該装置を用いた見込み金型形状作成方法について説明する。
〔見込み金型形状作成装置〕
本発明の一実施の形態に係る見込み金型形状作成装置1は、PC(パーソナルコンピュータ)によって構成され、図1に示す通り、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7と補助記憶装置9及び演算処理部11を有している。
演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7および補助記憶装置9が接続されている。
表示装置3は、モニター等で構成され、解析結果の表示等に用いられる。入力装置5は、キーボードやマウス等で構成され、オペレータの条件入力などに用いられる。主記憶装置7は、RAM等で構成され、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられる。補助記憶装置9は、ハードディスク等で構成され、ファイルの記憶等に用いられる。
演算処理部11はコンピュータのCPUによって構成され、以下に説明する各手段はCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。
演算処理部11によって実現される手段として、金型形状作成手段13と、スプリングバック後形状取得手段15と、金型形状判定手段17と、金型見込み量取得手段19と、パラメータ空間設定手段21と、金型見込み量修正手段23と、金型見込み量外挿手段25と、金型形状修正手段27とを備えている。
以下、各手段についてさらに詳細に説明する。
<金型形状作成手段>
金型形状作成手段13は、見込み金型形状の作成対象となる金型の初期形状を作成するためのものである。
本実施の形態では、金型の初期形状として、図2に示すような、溝形状部品を成形するための金型形状29を作成した。
<スプリングバック後形状取得手段>
スプリングバック後形状取得手段15は、金型形状作成手段13で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するものである。
図2は、見込み金型形状の作成対象となる金型の初期形状(金型形状29)と、金型形状29を用いて成形解析を行った際のプレス成形品31の下死点状態を図示したものである。なお、図2において金型形状29は透視状に図示している。この状態では、プレス成形品31は金型形状29に当接しており、プレス成形品31には残留応力が蓄積されている。
図2に示す状態からスプリングバック解析を行うと、プレス成形品31の残留応力が開放されてスプリングバックが生じ、スプリングバック後のプレス成形品31の形状が取得できる。
図3は、プレス成形品の目標形状33とスプリングバック後のプレス成形品31の形状とを比較したものである。金型を離型すると、プレス成形品31は下死点状態から、図3に示すように両側の溝壁が開く、いわゆる口開きのスプリングバックが生ずる。
<金型形状判定手段>
金型形状判定手段17は、スプリングバック後形状取得手段15で得られたスプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33とを比較して偏差(製品精度)を求め、該偏差が所定の許容値以下であるかどうかを確認することで、スプリングバック後形状取得手段15で用いた金型形状が適正なものかどうか判定するものである。偏差が所定の許容値以下であれば、用いた金型形状は適正であると判断される。
<金型見込み量取得手段>
金型見込み量取得手段19は、スプリングバック後形状取得手段15で得られたスプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33とを比較して、プレス成形品31と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状29の修正すべき量としての金型見込み量を取得するためのものである。以下、本工程で取得された金型見込み量を「取得金型見込み量gI」という。
ここで金型形状29のプレス成形品31と当接する金型部分とは、スプリングバック後形状取得手段15の成形解析における下死点で金型形状29とプレス成形品31とが当接する金型部分であり、この金型部分についてはスプリングバック後のプレス成形品形状に基づき、取得金型見込み量gIを取得することができる。
取得金型見込み量gIとは、x方向、y方向、z方向についての取得金型見込み量gx I、gy I、gz Iをもつベクトル量であり、I=1、2…、Nである。
取得金型見込み量gIは、プレス成形品31の節点変位ベクトルを求め、求めた節点変位ベクトルからプレス成形品31の変位量を求め、このプレス成形品31の変位量をプレス成形品31の節点に対応する金型形状29の節点の修正すべき変位量として得る。
なお、プレス成形品31と金型形状29の対応する節点を割り出すための計算が煩雑になるような場合等には、例えば、一番近い節点同士を対応付けてもよい。このように、簡易的に対応付けを行った場合であっても、金型見込み量修正手段23で取得金型見込み量gIを修正するので、金型見込み量の精度が低下することがない。この点については後に詳細に説明する。
なお、上記のように、取得金型見込み量gIが設定された金型形状29上のN個の点を、以下の説明において、「取得点」という。
<パラメータ空間設定手段>
パラメータ空間設定手段21は、金型形状29に対してパラメータ空間を設定するためのものである。
パラメータ空間は、取得金型見込み量gIを曲面で表現するための空間であり、金型形状29の表面位置を表す2つの方向と、取得金型見込み量gIを表す方向からなる。
以下に、z方向の取得金型見込み量gz Iをパラメータ空間に曲面で表現する場合を例に挙げて説明する。
基準とする金型形状29の表面位置を表す2つの方向(パラメータ方向、ノットベクトル)としては、例えば、図4に示すように、1つを金型形状29の軸方向(v方向)とし、もう一つを、v方向に直交しかつ金型形状29の表面形状に沿う方向(u方向)とする。
次に、設定した各パラメータ方向を所定の大きさに分割することで座標を設定する。分割数はパラメータ方向毎に任意に設定すればよく、複雑に形状変化する方向には細かく設定するとよい。
具体的には、例えば、図4に示すように、基準とする金型形状29の軸方向(v方向)に分割する断面を所定間隔で複数設定し、該各断面上の金型形状29に沿う方向(u方向)に所定間隔で複数に分割する。本例では、u方向に一様の間隔で400分割とし、v方向に一様の間隔で101分割とした。
図5及び図6は、上記方法で設定したu方向及びv方向を、参考のために金型形状29上に表現したものであり、図5はv方向の位置を、図6はu方向の位置をそれぞれコンター表示したものである。
以上のようにして、uv座標(0,0)〜uv座標(400,101)を有する基準とする金型形状29のuv平面(図7参照)が設定され、このuv平面においては、基準とする金型形状29の表面に対応する位置をuv座標で表現することができる。
このように設定されたuv平面に直交する方向が取得金型見込み量gIを表す方向となり、uv平面とこれに直交する方向を有する空間がパラメータ空間である。なお、gIの方向は、u方向がx、y、zの3次元で表されるため、x方向、y方向、z方向がある。
例えば、取得金型見込み量gz Iを曲面で表すパラメータ空間としては、図7に示すように、取得金型見込み量gIを表す方向をuv平面に垂直なz方向とすればよく、以下の説明において、このパラメータ空間をuvz空間という。
パラメータ空間としては他にuvx空間、uvy空間があり、それぞれ取得金型見込み量gx I、取得金型見込み量gy Iをuv平面の垂直方向にとった曲面として表現することができる。
<金型見込み量修正手段>
金型見込み量修正手段23は、金型見込み量取得手段19で取得した取得金型見込み量gIを、パラメータ空間設定手段21で設定されたパラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、金型見込み量の修正を行うためのものである。
例えば、図7は、取得金型見込み量gz Iをuvz空間にgz I曲面として表現したものである。図7において、uv平面上に実線で囲まれた領域(uvz座標(0,0,0)〜uvz座標(400,101,0))は金型の存在する領域であり、そのうち破線で囲まれた領域はプレス成形品31と接触する部分である。取得金型見込み量gz Iはスプリングバック後のプレス成形品形状に基づいて取得されるものであるから、gz I曲面はプレス成形品31と金型が接触する部分と対応している。
近似は、上記のように曲面で表された取得金型見込み量gx I、gy I、gz Iについてそれぞれ行う。例えば、図7に示すようなgz I曲面をスプライン曲面で近似する。
スプライン曲面を規定するスプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)を、下式(1)〜式(3)に示す。
なお、以下の説明において、例えば、スプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)で表されるスプライン曲面を「fx曲面」、「fy曲面」、「fz曲面」という。
上式(1)〜式(3)においてBx i,j、By i,j、Bz i,jはコントロールポイントの3方向成分であり、Ri,j(u,v)は有理化Bスプライン基底関数である。ここで、コントロールポイントとは、スプライン曲面形状を形成するのに用いられる点であり、空間内に複数個(n×m個)配置される。有理化Bスプライン基底関数とは、各コントロールポイントの曲面形状への影響度の強さを表す係数の役割を有するものである。
有理化Bスプライン基底関数Ri,j(u,v)は下式(4)で与えられる。
上式(4)において、Nu i,k(u)はu方向のBスプライン基底関数であり、Nv j,l(v)はv方向のBスプライン基底関数である。Nu i,k(u)及びNv j,l(v)は下式(5)及び式(6)で与えられる。
取得金型見込み量(gx I、gy I、gz I)を近似するスプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)は、取得金型見込み量(gx I、gy I、gz I)と、各取得点(uI,vI)において演算される金型見込み量との差(近似誤差)の二乗和が最小になるようにする(近似)ことで求められる。ここで、各取得点(uI,vI)において演算される金型見込み量は、取得点のuv座標を(uI,vI)とするとfx(uI,vI)、fy(uI,vI)、fz(uI,vI)で表される。
具体的には下式(7)〜式(9)に示す目的関数Fx、Fy、Fzの値がそれぞれ最小になるように、各係数等(式(4)〜式(6)参照)を設定する。あるいは、下式(7)〜式(9)に示す目的関数Fx、Fy、Fzの和を求め、該和が最小になるように各係数等を設定してもよい。
このようにして、取得金型見込み量(gx I、gy I、gz I)を近似するスプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)が得られる。
図8は、図7に示すgz I曲面と、スプライン関数fz(u,v)によって作成されるfz曲面とを同じuvz空間に図示したものである。図8においてfz曲面をgz I曲面より淡い色で示している。fz曲面は図8に示すように、gz I曲面とほぼ一致している。このように、gz I曲面をfz曲面で近似することができた。
なお、上記は、gz I曲面の近似についての説明であったが、gx I曲面及びgy I曲面についても同様である。
以上のように、各取得金型見込み量gIをスプライン曲面で近似することができ、これによって、取得金型見込み量gIを修正(スムージング化)することができる。このため、前述したように、金型見込み量取得手段19において、簡易的な方法で取得金型見込み量gIを取得した場合であっても、金型見込み量の精度が低下することがない。従って、金型見込み量取得手段19の取得金型見込み量gIを取得する際の処理を簡易なものにすることができる。
<金型見込み量外挿手段>
金型見込み量外挿手段25は、金型見込み量修正手段23で得られたスプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)を用いてプレス成形品31と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得するものである。
プレス成形品31と当接しない金型部分についての金型見込み量は、スプライン関数fx(u,v)、fy(u,v)、fz(u,v)に、プレス成形品31と当接しない金型部分におけるuv座標を入力することで取得することができる。
外挿結果の一例として、gzに関してプレス成形品31と当接する金型部分(図2参照)からu方向(図4参照)に延出する部分の金型見込み量を外挿によって取得し、該取得結果をuvz空間に表したものを図9に示す。なお、前述したu方向に延出する部分は、下死点に至るまでにプレス成形品31と当接する金型部分を含んでいるので、スプリングバックに影響する部分である。
<金型形状修正手段>
金型形状修正手段27は、金型見込み量修正手段23及び金型見込み量外挿手段25で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正するためのものである。
図10に、金型見込み量修正手段23で得られた金型見込み量(図8参照)及び金型見込み量外挿手段25で得られた金型見込み量(図9参照)に基づいて、図2に示す金型形状29を修正したものを示す。図10に示す金型形状35は、プレス成形品31と当接する金型部分(図2参照)及び、該金型部分からu方向(図4参照)に延出する金型部分のみを図示したものである。
〔見込み金型形状作成方法〕
次に、以上のように構成された見込み金型形状作成装置1を用いた見込み金型形状作成方法を、初期形状である金型形状29を修正する場合を例に挙げて、見込み金型形状作成装置1の動作と共に説明する。
本発明の一実施の形態に係る見込み金型形状作成方法は、金型形状作成工程と、スプリングバック後形状取得工程と、金型形状判定工程と、金型見込み量取得工程と、パラメータ空間設定工程と、金型見込み量修正工程と、金型見込み量外挿工程と、金型形状修正工程とを備えている。
以下に、上記各工程について図11に基づいて詳細に説明する。
<金型形状作成工程>
金型形状作成工程は、金型形状作成手段13によって、図2に示すような金型の初期形状(金型形状29)を作成する工程である(S1)。
<スプリングバック後形状取得工程>
スプリングバック後形状取得工程は、スプリングバック後形状取得手段15によって、金型形状作成工程で得られた金型を用いてプレス成形品31について成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得する工程である(S3)。
図2は、成形解析における下死点(離型前)のプレス成形品31の状態を示している。この状態からスプリングバック解析を行うと、例えば図3に示すような口開きのスプリングバックが生じ、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得することができる。
<金型形状判定工程>
金型形状判定工程は、金型形状判定手段17によって、スプリングバック後形状取得工程で得られたスプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33とを比較して偏差(スプリングバック誤差)を求め、該偏差が所定の許容値以下であるかどうかを判定する工程である(S5)。
判定の結果、前記偏差が許容値以下である場合、金型形状がスプリングバック防止に最適であるものとして処理が終了し、該偏差が許容値を超える場合、金型形状がスプリングバック防止に最適でないものとされ、次工程以降(金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)、金型形状修正工程(S15))が行われる。
<金型見込み量取得工程>
金型見込み量取得工程は、金型見込み量取得手段19によって、得られたスプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33とを比較して、プレス成形品31と当接する金型部分についての金型形状の修正すべき量としての金型見込み量gIを取得する工程である(S7)。
金型形状29について金型見込み量gIをx方向、y方向、z方向についてそれぞれ取得する(gx I、gy I、gz I)。
<パラメータ空間設定工程>
パラメータ空間設定工程は、パラメータ空間設定手段21を用いて、金型形状29に対してパラメータ空間を設定する工程である(S9)。
金型形状29に対してパラメータ空間として、2つのパラメータ方向(u方向、v方向)と、x方向、y方向又はz方向からなるuvx空間、uvy空間及びuvz空間(図7参照)を設定した。
ここで、v方向は金型形状29の軸方向であり、u方向は金型形状29に沿う方向(図4参照)である。v方向は101分割とし(図5参照)、u方向は400分割とした(図6参照)。
<金型見込み量修正工程>
金型見込み量修正工程は、金型見込み量取得工程(S7)で得られた金型見込み量gIを、金型見込み量修正手段23によって、パラメータ空間設定工程(S9)で設定したパラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、金型見込み量の修正を行う工程である(S11)。
取得した金型見込み量gIのうち、金型見込み量gz Iをuvz空間に曲面(gz I曲面)で表したものを図7に示し、該曲面及び該曲面を近似するスプライン曲面(fz曲面)を図8に示す。
<金型見込み量外挿工程>
金型見込み量外挿工程は、金型見込み量外挿手段25によって、スプライン曲面を用いて、プレス成形品31と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する工程である(S13)。
外挿結果の一例として、gzに関してプレス成形品31と当接する金型部分(図2参照)からu方向(図4参照)に延出する部分の金型見込み量を外挿によって取得し、該取得結果をuvz空間に表したものを図9に示す。
なお、金型見込み量修正工程と金型見込み量外挿工程は、同時に行ってもよい。
<金型形状修正工程>
金型形状修正工程は、金型形状修正手段27によって、金型見込み量修正工程(S11)で得られた金型見込み量及び金型見込み量外挿工程(S13)で得られた金型見込み量に基づいて金型形状29を修正する工程である(S15)。
本例では、金型形状29に対し、プレス成形品31と当接する金型部分と、該金型部分からu方向に延出する部分について修正した(図11参照)。
以上のように、金型形状作成工程(S1)、スプリングバック後形状取得工程(S3)、金型形状判定工程(S5)、金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)及び金型形状修正工程(S15)を行うことで、1回目の修正済み金型形状が得られた。
次に、得られた金型形状でスプリングバック後形状取得工程(S3)及び金型形状判定工程(S5)を行う。
金型形状判定工程で、スプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33との偏差が許容値を超えると判定された場合、一連の処理として、金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)及び金型形状修正工程(S15)、スプリングバック後形状取得工程(S3)、金型形状判定工程(S5)を、金型形状判定工程(S5)で許容値以下と判定されるまで、すなわち金型形状がスプリングバックの防止に最適であると判定されるまで繰り返す。
このように、上記一連の処理を繰り返すことで、金型形状がスプリングバックをより低減させる形状に修正され、最適な金型形状が得られる。
図10に示す金型形状35は、上記一連の処理を1回繰り返して得られたものである。なお、得られた金型形状35は、図10に示すように、従来方法による凹凸や折れがなく、良好な形状を得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、プレス成形品31と当接している金型部分については、金型見込み量修正工程(S11)で取得金型見込み量の修正が行われるため、金型見込み量取得工程(S7)での取得金型見込み量の取得方法を簡易なものにすることができる。
また、プレス成形品31と当接していない金型部分については、金型見込み量取得工程(S7)で得られたプレス成形品31と当接している金型部分における金型見込み量に対して、スプライン関数を用いて金型見込み量外挿工程(S13)において外挿することによって金型見込み量を求めることができ、凹凸や折れがなく滑らかな金型形状を得ることができる。
さらに、金型形状判定工程(S5)で金型形状の判定が行われ、スプリングバック防止に適正と判定されるまで金型見込み量の修正の一連の処理が繰り返し行われるようにしたので、これによってより最適な金型形状を得ることができる。
なお、上記では、パラメータ空間設定手段21でパラメータ方向(u方向及びv方向、ノットベクトル)の分割の間隔(ノットベクトルの増分)は一様としたが、分割の間隔は一様でなくてもよく(非一様)、こうすることでスプライン曲面としてNURBS(Non-Uniform Rational B-Splines、非一様有理Bスプライン)曲面を扱うことができ、複雑な曲面をより正確に近似することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1で得られたスプライン関数fz(u,v)で、プレス成形品31に当接している金型部分だけでなく、当接していないv方向(金型の軸方向)も入れて、金型全体の範囲について外挿を行った結果、上記実施の形態1のみでは、金型見込み量外挿工程(S13)において、外挿の際にスプライン曲面が異常な場合があった。図12にその一例を示すように、fz曲面は、プレス成形品31の幅方向(v方向)端部の近傍部分において異常な振動を生じている。このような結果をそのまま金型形状29に反映すると、図13の金型形状41に示すように一部に異常な凹凸が形成されてしまうという問題がある。
このような問題を改善するための方法を以下に説明する。
まず、上記のようなスプライン曲面の振動について、fx曲面を例に挙げて詳細に説明する。
fx曲面は、uvx空間内に複数配置されるコントロールポイントBxに基づいて形成されており、fx曲面の形状はコントロールポイントBxの配置と密接に関係している。
図14は、fx曲面に関して、あるコントロールポイントBx i,jと該コントロールポイントに隣接するコントロールポイントについて図示したものである。コントロールポイントBx i,jのu方向における両側にはコントロールポイントBx i-1,jとコントロールポイントBx i+1,jが配置されており、コントロールポイントBx i,jのv方向における両側にはコントロールポイントBx i,j-1とコントロールポイントBx i,j+1が配置されている。
fx曲面が図12に示すfz曲面のように振動箇所を有している場合、振動箇所においては、あるコントロールポイントBx i,jとこれに隣接するコントロールポイント(Bx i-1,j、Bx i+1,j、Bx i,j-1、Bx i,j+1)のx座標値は大きく異なっており、そのためfx曲面が振動している。
このことからfx曲面の振動を小さくするには、コントロールポイントBx i,jと該コントロールポイントに隣接する各コントロールポイントのx座標値を同様の値に揃えればよい。
各コントロールポイントのx座標値を同様の値に揃えるためには、u方向においてコントロールポイントBx i-1,j、Bx i,j、Bx i+1,jを直線的に配置し、同様にv方向においてコントロールポイントBx i,j-1、Bx i,j、Bx i,j+1を直線的に配置すればよい。
そこで、金型見込み量修正手段23でスプライン関数を求める際に、上記のように、コントロールポイントBx i,jと該コントロールポイントに隣接する各コントロールポイントをu方向及びv方向に直線的に配置するように規定した。具体的には、式(7)〜式(9)を用いる代わりに下式(10)〜式(12)を用いた。
上式(10)は、式(7)にコントロールポイントBx i,jとそのu方向及びv方向に隣接するコントロールポイントとの配置関係を規定する項(第2項)を加えたものである。式(11)及び式(12)は、式(10)の場合と同様に、式(8)及び式(9)に各コントロールポイントの配置関係を規定する項をそれぞれ加えたものである。
なお、ノットベクトルが一様な場合等には、簡易的にlu i=lv j=1としてもよい。
上記実施の形態1の場合と同様に、例えば式(10)において目的関数Fxを最小化させることで、gx Iがfx曲面で近似される(式(10)の第1項参照)とともに、各コントロールポイントBx ijが直線的に配置されfx曲面の振動を抑えられる(式(10)の第2項参照)。
同様に、式(11)及び式(12)においても、目的関数Fy、Fzをそれぞれ最小化させることで、gy I、gz Iがfy曲面、fz曲面で近似されるとともに、各近似曲面の振動を抑えられる。
なお、目的関数Fx、Fy、Fzの和を求め、この和を最小化させてもよい。
得られたfz(u,v)を用いて、金型見込み量修正工程(S11)及び金型見込み量外挿工程(S13)を行い、得られたfz曲面を図15に示す。図15に示すように、fz曲面には異常な振動が見られず好適であった。
さらに、一連の処理として、金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)及び金型形状修正工程(S15)、スプリングバック後形状取得工程(S3)及び金型形状判定工程(S5)を繰り返したところ、図16に示す金型形状43が得られた。得られた金型形状43は凹凸がなく、良好な形状であった。
以上のように、本実施の形態においては、金型見込み量修正手段23でスプライン関数を求める際に、あるコントロールポイントと該コントロールポイントに隣接する各コントロールポイントをu方向及びv方向に直線的に配置するように規定した(上式(10)〜式(12)参照)ので、スプライン曲面が図12に示すような異常な振動をすることがなく、従って良好な金型形状を得ることができる。
なお、上記実施の形態1及び実施の形態2では、金型見込み量修正手段23により近似する方法として、近似誤差の最小二乗和を求めるものを例に挙げたが、他の方法で行ってもよい。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、金型形状判定工程(S5)を行うものについて説明したが、該工程は行わなくともよい。この場合、金型形状作成工程(S1)、スプリングバック後形状取得工程(S3)、金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)及び金型形状修正工程(S15)が1度ずつのみ行われて、修正済み金型形状が得られる。また、この場合、金型形状判定手段17は不要である。
もっとも、上記実施の形態1及び実施の形態2で説明したように金型形状判定工程(S5)を行うようにした方が、より適正な金型形状が得られスプリングバックをより低減することができる。
[実施の形態3]
上記実施の形態1及び実施の形態2では、成形解析とスプリングバック解析によるシミュレーション結果を基に金型形状修正量を決定しているため、シミュレーション誤差に起因して十分な精度の金型形状43が得られない恐れがある。
そこで、シミュレーション誤差の問題を解消するため、本実施の形態では、実金型を用いたプレス成形実部品の3次元計測による形状データ取得とコンピュータによる金型形状修正量決定を組み合わせることにより、高精度な実金型を製作するための見込み金型形状作成方法について説明する。
本実施の形態に係る見込み金型形状作成方法は、初期金型形状作成工程、実金型製作工程、スプリングバック後形状取得工程、実金型形状判定工程、金型見込み量取得工程、パラメータ空間設定工程、金型見込み量修正工程、金型見込み量外挿工程、金型形状修正工程とを備えている。
以下、上記各工程について図17に基づいて詳細に説明する。
<初期金型形状作成工程>
初期金型形状作成工程は、実部品をプレス成形する際に用いる実金型の初期形状データを作成する工程である(S21)。実金型の該初期形状データはプレス成形品31の目標形状に対してブランク材の板厚分を金型側にオフセットしたものである。(S21)。
<実金型製作工程>
実金型製作工程は、初期金型形状作成工程(S21)で作成又は後述する金型形状修正工程で作成された実金型の形状データを用いて実金型を製作する工程である(S22)。
<スプリングバック後形状取得工程>
スプリングバック後形状取得工程は、前記実金型を用いて製作されたプレス成形実部品を前記実金型から離型した際に生じるスプリングバック後の該プレス成形実部品の3次元形状データを3次元形状測定器等により取得する工程である(S23)。
<実金型形状判定工程>
金型形状判定工程は、スプリングバック後の前記プレス成形実部品の形状データを目標形状データと比較することにより偏差(部品精度)を求め、該偏差の大きさに基づいて金型形状データ修正の要否を判定する工程である(S25)。
前記偏差が所定の許容値以下であるかどうかの判定の結果、前記偏差が所定の許容値以下である場合、金型形状がスプリングバックの防止に最適であるものとして処理を終了する。一方、該偏差が許容値を超える場合、前記金型形状がスプリングバック防止に最適でないものとされ、次工程以降(金型見込み量取得工程(S27)、パラメータ空間設定工程(S29)、金型見込み量修正工程(S31)、金型見込み量外挿工程(S33)、金型形状修正工程(S35))が行われる。
<金型見込み量取得工程>
金型見込み量取得工程は、実施の形態1で示した金型見込み量取得工程(S7)と同様に、金型見込み量取得手段19により、スプリングバック後のプレス成形品31の形状と目標形状33とを比較して、プレス成形品31と当接する金型部分についての金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する(S27)。
プレス成形実部品形状データと目標形状データとの偏差及び金型見込み量の取得においては、プレス成形実部品形状データと目標形状データ、プレス成形実部品形状と金型形状データとの対応付けを行う必要がある。そのためには、例えば、各形状データより3次元メッシュを作成し、これらの3次元メッシュにおいて対応する節点同士を割り出し、金型形状データに対して前記金型見込み量を設定する取得点を決定する方法がある。
以下、プレス成形実部品の3次元メッシュの節点と実金型の3次元メッシュにおいて対応する節点の割り出し方法として、図18及び図19に示す2通りの方法を示す。
1)スプリングバック後プレス成形実部品形状の実金型面への投影による方法
図18に示すように、スプリングバック後のプレス成形実部品表面の節点位置での法線ベクトルを算出する。この法線ベクトルを用いて、実部品表面の節点を金型面に投影し、これを金型面上において対応する節点とする。
2)スプリングバック後プレス成形実部品形状データを用いた成形解析による方法
図19に示すように、プレス成形実部品の3次元メッシュデータを成形解析の初期条件として入力し、シミュレーションを実行する。金型が下死点に達した時に、プレス成形実部品表面の節点が当接している金型面箇所を金型面上において対応する節点とする。
プレス成形実部品形状と目標形状データの比較においては、実金型の初期形状データに対してブランク材の板厚を考慮して適宜オフセットした金型形状データを作成することにより目標形状データを模擬し、該金型形状データの金型面に対して前記1)又は2)の方法により3次元メッシュにおける節点を設定し、プレス成形実部品形状データの3次元メッシュにおける節点との距離を算出することによりプレス成形実部品形状と目標形状の偏差を求めることができる。
<パラメータ空間設定工程>〜<金型形状修正工程>
これらの工程はコンピュータによる金型形状の修正を行うものであり、実施の形態1に記載した内容と同一である。
以上のように、本実施の形態は実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品の形状と目標形状との偏差を基に金型形状を修正することから、実施の形態1及び2で述べた成形解析及びスプリングバック解析におけるシミュレーション誤差の問題を回避することができる。
[実施の形態4]
実施の形態3では、実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品の形状と目標形状との偏差を基に金型形状の修正及び実金型の製作を繰り返すことから、高精度かつ信頼性の高い金型形状を決定することが可能である。しかしながら、実金型の試作を多数回行う必要があるため、製作工期及びコストの増大を招く。
そこで、本実施の形態では、成形解析とスプリングバック解析を基にした実施の形態1及び実施の形態2による金型形状の修正を繰り返すことで金型形状の精度を上げ、該金型形状が実金型を用いた金型形状の修正を許容する予め定めた所定の精度まで修正された時点において、実施の形態3で述べた実金型を用いて製作したプレス成形実部品の形状データを基にした金型形状の修正を適用する方法について説明する。
本実施の形態に係る各工程について図20を用いて説明する。
まず、初期金型形状作成工程(S41)により初期の金型形状データを作成した後、一連の処理として、スプリングバック後形状取得工程(S43)、実金型製作許容判定工程(S46)、金型見込み量取得工程(S47)、パラメータ空間設定工程(S49)、金型見込み量修正工程(S51)、金型見込み量外挿工程(S53)、金型形状修正工程(S55)を繰り返し行い、成形解析及びスプリングバック解析により得られたプレス成形品の形状データから金型形状データの修正を行う。
この一連の処理において、実金型製作許容判定工程(S46)において、実金型を用いた金型形状の修正を許容する精度まで前記金型形状が修正されたかどうかの判定を行う。前記偏差が実金型を用いた金型形状の修正を許容する予め定めた所定の許容値δよりも大きい場合には、実施の形態1又は2と同様、シミュレーション結果に基づいた金型形状修正の一連の処理(S47〜S55)が繰り返し行われる。
一方、プレス成形品形状と目標形状との前記偏差が許容値δよりも小さい場合、実金型製作許容判定工程(S46)において実金型を用いた金型形状の修正を許容する精度まで金型形状の修正が施されたものと判定し、実施の形態3と同様、実金型製作工程(S61)、スプリングバック後形状取得工程(S63)、実金型形状判定工程(S65)、金型見込み量取得工程(S67)、パラメータ空間設定工程(S69)、金型見込み量修正工程(S71)、金型見込み量外挿工程(S73)、金型形状修正工程(S75)の一連の処理が行われる。この一連の処理において、実金型形状判定工程(S65)では、実金型を用いて製作されたプレス成形実部品を実金型から離型した際に生じるスプリングバック後の該プレス成形実部品の形状と目標形状との偏差が所定の許容値δ以下であれば、適正な実金型形状が得られたものと判定して処理を終了する。これに対し、前記偏差が許容値δよりも大きい場合は、スプリングバック後のプレス成形実部品の形状データに基づいた金型形状修正の一連の処理が繰り返し行われる。
以上のように、本実施の形態では、成形解析及びスプリングバック解析によるシミュレーション結果に基づいて金型形状をある精度まで修正し、該修正した金型形状データを用いて実金型を製作してプレス成形実部品の形状を目標形状と比較することにより、実金型製作にかかる製作工期の短縮とコストの低減を実現し、高精度な金型を製作することが可能となる。
本発明の見込み金型形状作成方法による作用効果について確認するための具体的なシミュレーション実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
実験は、見込み金型形状作成方法としてコンピュータにより金型形状を修正し、修正後の金型形状でプレス解析及びスプリングバック解析を行って、スプリングバック量を確認するというものである。
本発明例1及び本発明例2は、図11に示すとおり、金型形状作成工程(S1)、スプリングバック後形状取得工程(S3)、金型形状判定工程(S5)を行った後、金型見込み量取得工程(S7)、パラメータ空間設定工程(S9)、金型見込み量修正工程(S11)、金型見込み量外挿工程(S13)及び金型形状修正工程(S15)、スプリングバック後形状取得工程(S3)、金型形状判定工程(S5)の一連の処理を2回繰り返し行ったところで、最適な金型形状が得られた。
本発明例1では取得金型見込み量修正工程を行う際に式(7)〜式(9)、本発明例2では式(10)〜式(12)をそれぞれ使用した。
本発明例1及び本発明例2において、式(4)〜式(6)中の各係数を以下の通り設定した。
hi,j=1、k=l=3、nu=405、n=402、nv=106、m=103
u1=u2=u3=0、u4=1、u5=2、u6=3、…、u402=399、u403=u404=u405=400
v1=v2=v3=0、v4=1、v5=2、v6=3、…、v103=100、v104=v105=v106=101
本発明例2では、上記設定した係数の他に式(10)〜式(12)中の各係数を以下の通り設定した。
w=1
lu 1=2/3、lu 2=5/6、lu 2=lu 3=...=lu 399=1、lu 400=5/6、lu 401=2/3
lv 1=2/3、lv 2=5/6、lv 2=lv 3=...=lv 100=1、lv 101=5/6、lv 102=2/3
上記各係数を設定することで得られたNu i,k(u)のグラフを図21に、Nv j,l(v)のグラフを図22にそれぞれ参考のために示す。図21において、縦軸はNu i,k(u)の大きさを表し、横軸はuを表している。同様に図22において、縦軸はNv j,l(v)の大きさを表し、横軸はvを表している。
また、比較例1として、取得金型見込み量に基づいて、図23に示すように、プレス成形品31と当接する金型部分に、特許文献2に示されるバネ53を介して金型を変形させるような境界条件を与え、プレス成形品31と当接しない金型部分についての見込み量を求め、該見込み量に基づいて金型形状を修正した。
本発明例1及び本発明例2における修正後の金型形状は、折れや凹凸等の異常が発生することなく、良好な金型形状を得ることができた(図10及び図16参照)。
一方、比較例1における修正後の金型形状51は、図24に示すように、プレス成形品幅方向端部に当接する金型部位で顕著な折れが発生した。
次に得られた金型形状を用いて、本発明例1及び本発明例2における修正後の金型形状(金型形状35及び金型形状43)を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行って、スプリングバック量を確認した。図25は本発明例1の金型形状35(図10参照)を用いて行った成形解析の下死点状態を示したものである。
なお、比較例1では得られた金型形状51に折れが発生していたため解析を行わなかった。
また、比較例2として、修正前の金型形状29(図2参照)を用いて同様に成形解析及びスプリングバック解析を行って、スプリングバックを確認した。
図26は、本発明例1の修正後の金型形状35を用いてプレス成形した製品形状55と目標形状33との差を、製品形状55上にコンター表示したものである。図27は、図26と同様に、本発明例2の修正後の金型形状43を用いてプレス成形した製品形状57と目標形状33との差を、製品形状57上にコンター表示したものである。
また、図28は、比較例2に関する図であり、修正前の金型形状29を用いてプレス成形された製品形状59と目標形状33との差を、製品形状59上にコンター表示したものである。
比較例2では図28に示すように目標形状33との差の最大値は2.2mmであったのに対し、本発明例1及び本発明例2では図26及び図27に示すようにいずれも最大値は0.4mmであり、スプリングバックが大幅に改善された。
実験は、実金型を用いたプレス成形実部品の3次元計測による形状データ取得とコンピュータによる金型形状の修正を組み合わせることによる見込み金型形状作成方法であり、修正後の金型形状で実プレスを行って、スプリングバック量を確認するというものである。
本発明例3は、図17に示すとおり、初期金型形状作成工程(S21)、実金型形状製作工程(S22)、スプリングバック後形状取得工程(S23)、実金型形状判定工程(S25)を行った後、金型見込み量取得工程(S27)、パラメータ空間設定工程(S29)、金型見込み量修正工程(S31)、金型見込み量外挿工程(S33)及び金型形状修正工程(S35)、実金型形状製作工程(S22)、スプリングバック後形状取得工程(S23)、実金型形状判定工程(S25)の一連の処理を3回繰り返し行ったところで、最適な金型形状が得られた。
本発明例3では取得金型見込み量修正工程を行う際に式(7)〜式(9)を使用した。また、式(4)〜式(6)中の各係数を以下の通り設定した。
hi,j=1、k=l=3、nu=405、n=402、nv=106、m=103
u1=u2=u3=0、u4=1、u5=2、u6=3、…、u402=399、u403=u404=u405=400
v1=v2=v3=0、v4=1、v5=2、v6=3、…、v103=100、v104=v105=v106=101
上記各係数を設定することで得られたNu i,k(u)のグラフを図21に、Nv j,l(v)のグラフを図22にそれぞれ参考のために示す。図21において、縦軸はNu i,k(u)の大きさを表し、横軸はuを表している。同様に図22において、縦軸はNv j,l(v)の大きさを表し、横軸はvを表している。
本発明例3における修正後の金型形状は、折れや凹凸等の異常が発生することなく、図10または図16と同様に良好な金型形状を得ることができた。
また、比較例3としては、実施例1と同様に、取得金型見込み量に基づいて、図23に示す特許文献2に示されるバネ53を介して金型を変形させるような境界条件を与えた場合とした。比較例3における修正後の金型形状は、図24と同様に、プレス成形品幅方向端部に当接する金型部位で顕著な折れが発生した。
次に得られた金型形状を用いて実金型を製作し、プレス成形を行って、スプリングバック量を確認した。
その結果、比較例3では目標形状33との差の最大値は2.0mmであったのに対し、本発明例3では最大値が0.2mmであり、スプリングバックが大幅に改善された。
実験は、コンピュータにより金型形状を修正し、修正後の金型形状でプレス解析及びスプリングバック解析を行った後、さらに、実金型を用いたプレス成形実部品の3次元計測による形状データ取得とコンピュータによる金型形状の修正を組み合わせて行った見込み金型形状作成方法であり、修正後の金型形状で実プレスを行って、スプリングバック量を確認するというものである。
本発明例4は、図20に示すとおり、初期金型形状作成工程(S41)、スプリングバック後形状取得工程(S43)、実金型製作許容判定工程(S46)を行った後、金型見込み量取得工程(S47)、パラメータ空間設定工程(S49)、金型見込み量修正工程(S51)、金型見込み量外挿工程(S53)及び金型形状修正工程(S55)、スプリングバック後形状取得工程(S43)、金型形状判定工程(S45)の一連の処理を2回繰り返し行い、続いて、実金型形状製作工程(S61)、スプリングバック後形状取得工程(S63)、実金型形状判定工程(S65)を行った後、金型見込み量取得工程(S67)、パラメータ空間設定工程(S69)、金型見込み量修正工程(S71)、金型見込み量外挿工程(S73)及び金型形状修正工程(S75)、実金型形状製作工程(S61)、スプリングバック後形状取得工程(S63)、実金型形状判定工程(S65)の一連の処理を1回行ったところで、最適な金型形状が得られた。
本発明例4では、取得金型見込み量修正工程を行う際に式(10)〜式(12)を使用した。
また、式(4)〜式(6)中の各係数を以下の通り設定した。
hi,j=1、k=l=3、nu=405、n=402、nv=106、m=103
u1=u2=u3=0、u4=1、u5=2、u6=3、…、u402=399、u403=u404=u405=400
v1=v2=v3=0、v4=1、v5=2、v6=3、…、v103=100、v104=v105=v106=101
さらに、上記設定した係数の他に式(10)〜式(12)中の各係数を以下の通り設定した。
w=1
lu 1=2/3、lu 2=5/6、lu 2=lu 3=...=lu 399=1、lu 400=5/6、lu 401=2/3
lv 1=2/3、lv 2=5/6、lv 2=lv 3=...=lv 100=1、lv 101=5/6、lv 102=2/3
上記各係数を設定することで得られたNu i,k(u)のグラフを図21に、Nv j,l(v)のグラフを図22にそれぞれ参考のために示す。図17において、縦軸はNu i,k(u)の大きさを表し、横軸はuを表している。同様に図18において、縦軸はNv j,l(v)の大きさを表し、横軸はvを表している。
本発明例4における修正後の金型形状は、折れや凹凸等の異常が発生することなく、図10または図16と同様に良好な金型形状を得ることができた。
比較例4としては、実施例1と同様に、取得金型見込み量に基づいて、図23に示す特許文献2に示されるバネ53を介して金型を変形させるような境界条件を与えた場合とした。比較例4における修正後の金型形状は、図24と同様に、プレス成形品幅方向端部に当接する金型部位で顕著な折れが発生した。
次に得られた金型形状を用いて実金型を製作し、プレス成形を行って、スプリングバック量を確認した。
その結果、比較例4では目標形状33との差の最大値は1.8mmであったのに対し、本発明例4では最大値が0.1mmであり、スプリングバックが大幅に改善された。
1 見込み金型形状作成装置
3 表示装置
5 入力装置
7 主記憶装置
9 補助記憶装置
11 演算処理部
13 金型形状作成手段
15 スプリングバック後形状取得手段
17 金型形状判定手段
19 金型見込み量取得手段
21 パラメータ空間設定手段
23 金型見込み量修正手段
25 金型見込み量外挿手段
27 金型形状修正手段
29 金型形状(初期形状)
31 プレス成形品
33 目標形状
35 金型形状(修正後)
41 金型形状(実施の形態2における比較例)
43 金型形状(実施の形態2における本発明例)
51 金型形状(実施例における比較例1)
53 バネ
55 製品形状(実施例における本発明例1)
57 製品形状(実施例における本発明例2)
59 製品形状(実施例における比較例2)

Claims (6)

  1. プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、コンピュータが以下の各工程を行うものであって、
    金型の初期形状を作成する金型形状作成工程と、該金型形状作成工程で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、該スプリングバック後形状取得工程で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、前記金型見込み量修正工程及び前記金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とする見込み金型形状作成方法。
  2. プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、実金型を用いて製作されたプレス成形実部品の3次元形状計測とコンピュータによる金型形状の修正を行うものであって、
    金型の初期形状を作成する初期金型形状作成工程と、
    該初期金型形状作成工程で作成した前記金型の形状に基づいて実金型を製作する実金型製作工程と、
    該実金型製作工程で製作された実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品のスプリングバック後における3次元形状計測を行って、スプリングバック後のプレス成形実部品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、
    該スプリングバック後形状取得工程で得られた前記プレス成形実部品形状と目標形状との偏差を求め、該偏差に基づいて前記実金型の形状の修正すべき量である金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、
    該金型見込み量を金型形状に対するパラメータ空間において設定するパラメータ空間設定工程と、
    前記金型見込み量を前記パラメータ空間において曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、
    前記スプライン曲面を用いて、前記プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、
    該金型見込み量外挿工程及び前記金型見込み量修正工程で得られた金型見込み量に基づいて前記実金型の形状を修正する金型形状修正工程とを備えたことを特徴とする見込み金型形状作成方法。
  3. プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成方法であり、実金型を用いて実際に製作されたプレス成形実部品の3次元形状計測とコンピュータによる金型形状の修正を組み合わせた方法であって、
    金型の初期形状を作成する初期金型形状作成工程と、
    該金型形状作成工程で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、
    該スプリングバック後形状取得工程で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、
    金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定工程と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、
    前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、
    前記金型見込み量修正工程及び前記金型見込み量外挿工程で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正工程と、
    前記スプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状との比較により、実金型を製作する精度まで前記金型形状が修正されたかどうかの判定を行う実金型製作許容判定工程と、
    該実金型製作許容判定工程において、実金型を製作する程度まで金型形状が修正されたと判定された場合、前記修正された金型形状に対して実金型を製作し、該実金型を用いてプレス成形実部品を製作し、該プレス成形実部品のスプリングバック後における3次元形状計測を行って、スプリングバック後の前記プレス成形実部品形状を取得するスプリングバック後形状取得工程と、
    該スプリングバック後形状取得工程で得られた前記プレス成形実部品形状と目標形状との偏差を求め、該偏差に基づいて前記実金型の形状の修正すべき量である金型見込み量を取得する金型見込み量取得工程と、
    該金型見込み量を金型形状に対するパラメータ空間において設定するパラメータ空間設定工程と、
    前記金型見込み量を前記パラメータ空間において曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正工程と、
    前記スプライン曲面を用いて、前記プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿工程と、
    該金型見込み量外挿工程及び前記金型見込み量修正工程で得られた金型見込み量に基づいて前記実金型の形状を修正する金型形状修正工程
    とを備えたことを特徴とする見込み金型形状作成方法。
  4. 前記金型見込み量外挿工程は、スプライン曲面におけるコントロールポイントを直線的に配置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の見込み金型形状作成方法。
  5. プレス成形品のスプリングバック量を見込んだ見込み金型形状作成装置であって、
    金型の初期形状を作成する金型形状作成手段と、該金型形状作成手段で得られた金型を用いて成形解析及びスプリングバック解析を行い、スプリングバック後のプレス成形品形状を取得するスプリングバック後形状取得手段と、該スプリングバック後形状取得手段で得られたスプリングバック後のプレス成形品形状と目標形状とを比較して、プレス成形品と当接する金型部分についてスプリングバックを防止するための金型形状の修正すべき量としての金型見込み量を取得する金型見込み量取得手段と、金型形状に対してパラメータ空間を設定するパラメータ空間設定手段と、前記金型見込み量を前記パラメータ空間に曲面で表し、該曲面をスプライン曲面で近似することで、前記金型見込み量の修正を行う金型見込み量修正手段と、前記スプライン曲面を用いて、プレス成形品と当接しない金型部分についての金型見込み量を外挿によって取得する金型見込み量外挿手段と、前記金型見込み量修正手段及び前記金型見込み量外挿手段で得られた金型見込み量に基づいて金型形状を修正する金型形状修正手段とを備えたことを特徴とする見込み金型形状作成装置。
  6. 前記金型見込み量外挿手段は、スプライン曲面におけるコントロールポイントを直線的に配置することを特徴とする請求項5記載の見込み金型形状作成装置。
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