JP2016019291A - 振動型アクチュエータ及びその制御方法、撮像装置 - Google Patents

振動型アクチュエータ及びその制御方法、撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部を被駆動部材に接触させることにより、駆動速度の速い振動型アクチュエータを提供すること。
【解決手段】超音波モータは、圧電素子を有する振動子と、振動子に設けた接触部と圧接し、振動子に対して相対移動する被駆動部材を備える。駆動部は、接触部が被駆動部材の相対移動方向と平行な方向に振動する送り振動と、接触部が被駆動部材との当接方向と平行な方向に振動する第1突き上げ振動及び第2突き上げ振動を励振する。第2突き上げ振動の励振周波数は、第1突き上げ振動の励振周波数の整数倍である。突き上げ振動として、複数の振動モードを合成した振動を用いることにより、高速な駆動が可能である。
【選択図】図4

Description

本発明は、振動型アクチュエータの駆動制御に関するものであり、撮像装置のレンズ鏡筒等に適用可能である。
圧電素子の超音波振動を利用した超音波モータは、小型で高出力が得られ、広い速度レンジに対応でき、低振動かつ低騒音であるという特徴を有する。このような特徴を持つ超音波モータは、用途に合わせて様々な原理、形状のものが知られている。例えば、被駆動部材との接触部が設けられた直方体形状のチップ型振動子に複数の振動モードを同時に励振する方式がある。この方式では複数の振動モードを組み合わせることで接触部に楕円運動を発生させて被駆動部材に伝達して駆動する。特許文献1や特許文献2には、チップ型振動子を用いた超音波モータが開示されている。この方式の特徴は、超音波モータの中でも振動子が比較的小型であることと、回転駆動及び直進駆動の両駆動方式への応用が容易なことである。そのため、チップ型振動子を用いた超音波モータは、小型で高トルクのモータが求められるカメラ等のレンズ鏡筒内にて、フォーカスレンズの直進駆動やカム筒の回転駆動等に使用される。
さらに、近年の一眼レフカメラ等の光学機器においては、フォーカス駆動の高速化が求められている。これに伴って、レンズやカム筒を駆動する超音波モータにおいても、鏡筒内に配置できるように小型で高速な駆動が求められている。
特開2011−254587号公報 特開平11−32491号公報
チップ型振動子を用いた超音波モータは、直方体形状の振動子に超音波振動を励振し、振動子に設けられた接触部に楕円運動を発生させる。この楕円運動を接触部に圧接された被駆動部材に伝達することにより、摩擦力で物体が駆動される。被駆動部材の駆動速度は接触部と被駆動部材が接触している間の接触部の駆動方向の速度(以下、送り速度という)に依存する。しかし、接触部と被駆動部材が接触している間、接触部の送り速度は一定ではなく、大きく変動している。そのため、被駆動部材の駆動速度を速くするためには、接触部の軌道のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部が被駆動部材と接触することが好ましい。しかし、従来のチップ型振動子を用いた超音波モータは、接触部の軌跡が単純な楕円形状であり、接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで選択的に被駆動部材と接触することは困難である。接触部の軌跡にて送り速度が遅い範囲でも接触部が被駆動部材と接触してしまうため、摩擦力が被駆動部材に対してブレーキ(制動力)として働き、駆動速度を減速させる原因となる。
本発明の目的は、接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部を被駆動部材に接触させることにより、駆動速度の速い振動型アクチュエータを提供することである。
前記課題を解決するために、本発明に係る装置は、圧電素子を有する振動子と、前記振動子に設けられた接触部と、前記接触部と圧接して、前記振動子に対して相対的に移動する被駆動部材と、前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記振動子に対して複数の振動を励振する駆動手段と、を備える。前記駆動手段は、前記振動子に対して、前記接触部が第1の方向に振動する第1の振動と、前記接触部が前記第1の方向と異なる第2の方向に振動する第2の振動と、前記第2の振動の励振周波数に対して整数倍の励振周波数で前記接触部が前記第2の方向に振動する第3の振動とを同時に励振する。
本発明によれば、接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部を被駆動部材に接触させることにより、駆動速度の速い振動型アクチュエータを提供できる。
図2から図11と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、振動型モータの構成例を示す図である。 第1実施形態の駆動原理を説明する図である。 比較例として印加電圧と楕円状の軌跡を説明する図である。 印加電圧と接触部の軌跡を説明する図である。 第2突き上げ振動の励振周波数を、第1突き上げ振動の励振周波数の2倍にした例(A)と、3倍にした例(B)を説明する図である。 第2突き上げ振動の励振周波数を、第1突き上げ振動の励振周波数の4倍にした例(A)と、5倍にした例(B)を説明する図である。 第1突き上げ振動と第2突き上げ振動の位相差を説明する図である。 振動型モータの駆動制御部の構成を示すブロック図である。 第1突き上げ振動の振幅に対する第2突き上げ振動の振幅の割合を大きくする方法を説明する図である。 第1突き上げ振動の振幅に対して第2突き上げ振動の振幅を十分に大きくするための励振方法を説明する図である。 第1実施形態の振動型モータを用いたモータユニットの構成図である。 本発明の第2実施形態に係る振動型モータの構成図である。 第2実施形態の駆動原理を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る振動型モータの構成図である。 第3実施形態の駆動原理を説明する図である。
以下、本発明の各実施形態について、添付図面を参照して説明する。各実施形態に係る振動型アクチュエータは、小型で高出力なモータが求められる撮像装置のレンズ鏡筒内において、フォーカスレンズの直線駆動やカム筒の回転駆動等に適用可能である。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る超音波モータ1を示す。図1(A)は超音波モータ1の側面図である。図1(A)にて左右方向に示すd1方向を第1の方向とし、d1方向に直交するd2方向を第2の方向と定義する。図2(B)は振動子11の斜視図である。
超音波モータ1は、振動子11と被駆動部材12によって構成される。振動子11は、例えば平板形状の圧電素子111と平板形状の平板部材113を貼り付けた構造を有する。圧電素子111には、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を使用し、平板部材113には、例えばステンレス鋼を使用する。平板部材113には、被駆動部材12と接触する2つの接触部112が設けられている。接触部112は、例えば平板部材113に対するプレス加工により形成されるか、または別部材の接着等により形成される。被駆動部材12には、例えばステンレス鋼が用いられ、接触部112との接触面は適切な表面粗さと摩擦力が得られるように研磨等の表面加工が施されている。振動子11は、不図示の加圧手段によって、図1(A)に矢印fで示す方向に圧力を受ける。これにより、振動子11に設けた接触部112が被駆動部材12に対して圧接される。
圧電素子111は、例えば1つの圧電素子層で構成され、その各面(図1(A)の第1の面A及び第2の面B参照)には電圧を印加するための電極が形成されている。図1(C)及び(D)は圧電素子111に設けた電極形状を表す。図1(C)は、圧電素子111のうち、平板部材113に対して反対側の第1の面Aの電極形状を表している。図1(D)は、圧電素子111のうち、平板部材113側の第2の面Bの電極形状を表している。
図1(C)に示すように、圧電素子111の第1の面Aには短辺方向に3分割され、かつ、長辺方向に6分割された、複数の電極が配置されている。これらの電極は、長辺を2分割する中心線(図1(C)の一点鎖線参照)を境にして、2つの電極群にそれぞれ分けられている。各電極群の中では、隣り合う電極同士が異なる電極群に属するように区分されて、更に2つの電極群に分けられる。つまり、圧電素子111の表面の電極は、4つの電極群111a、111b、111c、111dに区分される。同じ電極群に属する電極は振動子11の外部で導通される。各電極群には駆動部100(図1(A)参照)からの電圧がそれぞれ印加される。
一方、図1(D)に示すように、圧電素子111の第2の面Bには全面に亘って電極111eが形成されている。第2の面Bは平板部材113との接着面であり、電極111eに対して直接的に外部から電圧を印加できない。このため、電極111eには配線取り出し部111fが設けられている。配線取り出し部111fは圧電素子111の側面に突出しており、外部からの導通が可能である。電極111eに対する電圧の印加は、配線取り出し部111fを通して行う。また、圧電素子111には、面Bの電極111eを接地電極として、面Aの各電極群に駆動部100が同一の高電圧を印加することで、予め全電極群において同一方向に分極している。
前記の構成の超音波モータ1において、圧電素子111上の各電極群111a〜111dに交流電圧を印加すると振動子11が振動し、後述の駆動原理により被駆動部材12が振動子12に対して図1(A)のd1方向に相対移動を行う。d1方向は、矢印fの方向に対して直交する方向である。
次に、超音波モータ1の駆動原理について説明する。
図1(A)で示した構成において被駆動部材12を相対移動させるためには、以下の2種類の振動を振動子11に対して同時に励振する必要がある。
(1)接触部112が被駆動部材12の相対移動方向と平行な方向(図1(A)のd1方向)に振動する第1の振動(以下、送り振動という)。
(2)接触部112が被駆動部材12との当接方向と平行な方向(図1(A)のd2方向)に振動する第2の振動(以下、第1突き上げ振動という)及び第3の振動(以下、第2突き上げ振動という)。
従来のチップ型振動子を用いた超音波モータは、1つの送り振動と1つの突き上げ振動を交互に振動子11に加えて、接触部112に楕円運動を発生させる。これに対して、本発明の超音波モータ1では、振動子11に対する1つの送り振動と、2つの突き上げ振動の励振により、接触部112に楕円運動とは異なる運動を発生させる。
図2は、各電極群111a〜111dへの印加電圧と、励振により発生する振動を誇張的に表した図である。なお、各電極群111a〜111dには、電極111eを接地電極とした電圧が印加されるものとする。
図2(A)は、送り振動を励振させるための各電極群111a〜111dへの印加電圧と、励振により生じる振動を表す。送り振動を発生させるために、第1の電極群111a及び第2の電極群111bには、同一(同位相)の交流電圧が印加される。第3の電極群111c及び第4の電極群111dには、電極群111a及び111bに印加した電圧とは逆位相の交流電圧が印加される。この時、振動子11には長辺方向において3つの節(図2(A)の破線N参照)を持つ、長辺方向の曲げ2次屈曲振動が励振される。接触部112は振動の節となる位置の近傍にそれぞれ配置されている。この振動により振動子11の長辺方向と平行な方向(図中x方向)に接触部112が振動する。
図2(B)は、第1突き上げ振動を励振するための各電極群111a〜111dへの印加電圧と、励振により生じる振動を表す。第1突き上げ振動を発生させるために、電極群111a、111b,111c、111dには同一(同位相)の交流電圧がそれぞれ印加される。また、第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数は、送り振動を励振する交流電圧の周波数と同じである。この時、振動子11には短辺方向において2つ節(図2(B)の破線N参照)を持つ、短辺方向の曲げ1次屈曲振動が励振される。接触部112は振動の腹となる位置の近傍にそれぞれ配置されている。この振動により振動子11の長辺と短辺がなす面に対して垂直な方向(図中z方向)に接触部112が振動する。
図2(C)は、第2突き上げ振動を励振するための各電極群111a〜111dへの印加電圧と、励振により生じる振動を表す。第2突き上げ振動を発生させるために、第1の電極群111a及び第3の電極群111cには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第2の電極群111b及び第4の電極群111dには、電極群111a及び111cに印加した電圧とは逆位相の交流電圧が印加される。第2突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数(第2周波数)は、第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数(第1周波数)の整数倍である。図2(C)に示す超音波モータ1は、第2周波数を、第1周波数の3倍とした例である。この時、振動子11には複数の破線Nで示すように、長辺方向において4つの節を持ち、短辺方向において2つ節を持つ定常波振動が励振される。接触部112は振動の腹となる位置の近傍にそれぞれ配置されている。この振動により振動子11の長辺と短辺がなす面に対して垂直な方向(図中z方向)に接触部112が振動する。
振動子11の寸法は、図2(A)から(C)にそれぞれ示す送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数が、各振動を励振するために印加する交流電圧の周波数に近い値となるように設計される。これにより、各振動の共振が発生し、より大きな振動振幅を得ることができる。
以下、図3と図4を参照して超音波モータ1の作用及び効果を説明する。図3は、超音波モータ1に対して、送り振動と第1突き上げ振動のみを励振し、第2突き上げ振動を励振しない場合の比較例を示す。また、図4は、超音波モータ1に対して、本発明の特徴である送り振動と第1突き上げ振動と第2突き上げ振動を励振した場合を示す。
まず、図3を参照して比較例を説明する。図3(A)は超音波モータに対し、送り振動と第1突き上げ振動を励振するための各電極群111a〜111dへの印加電圧を表す。横軸は時間軸であり、縦軸は電圧軸である。送り振動を発生させる電圧Ea(図3(A)の点線参照)に対し、第1突き上げ振動を発生させる電圧Eb(図3(A)の破線参照)は90度の位相遅れをもつ。2つの電圧EaとEbを重ね合わせた電圧Et(図3(A)の太線参照)が各電極群に印加される。この時、接触部112には図3(B)の(B−1)に示す楕円運動が発生する。
図3(B−1)は、各電極群111a〜111dに対し、図3(A)に示す電圧をそれぞれ印加した時の接触部112の軌跡を示す。図3(B−2)は接触部112の軌跡に関し、突き上げ方向の変位の時間的変化を示す。図3(B−3)は接触部112の軌跡に関し、送り方向の変位の時間的変化を示す。また、図3(B−4)は接触部112の送り速度の時間的変化を示す。
各電極群111a〜111dに対し、図3(A)に示す電圧Etをそれぞれ印加した時、図3(B−2)、(B−3)に示すように送り方向と突き上げ方向の振動は位相が90度ずれた正弦波振動となる。よって、接触部112には図3(B−1)に示す楕円運動が発生する。図3(B−1)にて、突き上げ方向の負方向には被駆動部材12が配置されており、接触部112は被駆動部材12と接触する。Fは接触部112が被駆動部材12に接触した時の反力を表す。この時、図1(A)に示した振動子11への加圧力fの力積と、反力Fの力積とが釣り合う。図3(B−1)に示す接触部112の軌跡のうち、接触している範囲において接触部112が送り振動の中心cの近傍に位置する点をP1と記し、接触部112が被駆動部材12との接触を開始した点をP2と記す。接触部112が被駆動部材12との接触を終えた点をP3と記す。
図3(B−3)に示す送り振動において、接触部112が被駆動部材12に接触している接触時間をTaで表す。接触時間Taにおいて、接触部112が点P1、P2、P3にそれぞれ位置する時刻をt1、t2、t3で表す。時刻t1、t2、t3におけるそれぞれの瞬間での接触部112の送り速度を、図3(B−4)にてv1、v2、v3で表す。図3(B−4)に示すように、接触時間Taにおいて送り速度は大きく変動しており、中でも速度v1が最も大きく、速度v2とv3はv1と比べて小さい。つまり、点P1の近傍は接触部112の軌跡のうちで送り速度が速い範囲であり、点P2、点P3の近傍は接触部112の軌跡のうち送り速度が相対的に遅い範囲である。被駆動部材12がv2、v3以上の速度で移動している場合、点P2、点P3の近傍では摩擦力がブレーキとして働くので、結果として被駆動部材12の駆動速度はv1より小さくなる。このように、接触部112の軌跡のうちで、送り速度が相対的に小さい範囲で接触部112が被駆動部材12に接触すると、被駆動部材12の駆動速度は遅くなってしまう。
次に、図4を参照して本実施形態の場合を説明する。図4(A)は超音波モータに対し、送り振動と第1突き上げ振動と第2突き上げ振動を励振するための各電極群111a〜111dへの印加電圧を表す。送り振動を発生させる電圧Ea(図4(A)の点線参照)と、第1突き上げ振動を発生させる電圧Eb(図4(A)の破線参照)と、第2突き上げ振動を励振させる電圧Ec(図4(A)の細線参照)をそれぞれ示す。各電圧Ea、Eb、Ecを重ね合わせた電圧Et(図4(A)の太線参照)が各電極群に印加される。これにより、図3(B−1)に示す接触部112の楕円運動に対し、整数倍の周波数の第2突き上げ振動が重ね合わされる結果、接触部112には図4(B)の(B−1)に示す運動が発生する。
図4(B−1)は、各電極群111a〜111dに対し、図4(A)に示す電圧をそれぞれ印加した時の接触部112の軌跡を示す。図4(B−2)は接触部112の軌跡に関し、突き上げ方向の変位の時間的変化を示す。図4(B−3)は接触部112の軌跡に関し、送り方向の変位の時間的変化を示す。また、図4(B−4)は接触部112の送り速度の時間的変化を示す。
各電極群111a〜111dに図4(A)に示す電圧Etをそれぞれ印加した時、送り方向の振動は図4(B−3)に示す通り、図3(B−3)と同様に正弦波振動となる。また、突き上げ方向の振動は図4(B−2)に示す通り、図3(B−2)に示す正弦波振動に、3倍の周波数の正弦波振動を足し合わせた振動となる。図4(B−1)にて、突き上げ方向の負方向には被駆動部材12が配置されており、接触部112は被駆動部材12と接触する。接触部112の軌跡は、接触中にて接触部112が送り振動の中心cの近傍に位置する時に突き上げ方向の負方向に突出した形状となる。接触部112にこのような運動を発生している場合、接触部112が送り振動の中心cに近い時のみ、接触部112と被駆動部材12が接触する。Fは接触部112が被駆動部材12に接触した時の反力を表す。この時、図1(A)に示した振動子11への加圧力fの力積と、反力Fの力積とが釣り合う。
図4(B−3)に示す送り振動において、接触部112が被駆動部材12に接触している接触時間をTaで表す。接触部112の軌跡において、接触部112が送り振動の中心cの近傍に位置する点をP1と記し、接触部112が被駆動部材12との接触を開始した点をP2と記す。接触部112が被駆動部材12との接触を終えた点をP3と記す。また、接触部112が点P1、P2、P3に位置する時刻をそれぞれ、t1、t2、t3で表し、各時刻での送り速度をv1、v2、v3で表す。図4(B−1)に示す軌跡においては、図3(B−1)に示す軌跡に比べて、点P2と点P3が送り振動の中心cに近い位置にある。この時、図4(B−4)に示すように点P2、点P3における各送り速度v2、v3は、点P1における送り速度v1とほぼ等しい。つまり、点P1、点P2、点P3の近傍はいずれも、接触部112の軌跡のうちで送り速度が速い範囲である。この場合、摩擦力はほぼ被駆動部材12に対する駆動力として働くので、結果として被駆動部材12を速度v1で駆動させることができる。このように、接触部112の軌跡において、送り速度が速い範囲のみで接触部112が被駆動部材12に接触すると、被駆動部材12の駆動速度を速くすることができる。また、本実施形態に示すように接触部112の軌跡は図4(B−1)で示した形状であり、図3(B−1)で示した楕円形状の軌跡に比べて、接触時間Taは短いが、反力Fによる力積は等しい。超音波モータの駆動力は摩擦力に比例し、摩擦力は反力Fに比例する。よって、駆動速度を大きくした場合、接触時間Taは短くなるが駆動力が低下することはない。
なお、超音波モータ1では、第2突き上げ振動の励振周波数(第2周波数)を第1突き上げ振動の励振周波数(第1周波数)の3倍にした例を説明した。前記の効果を得るには、第2周波数が第1周波数の整数倍であればよい。図5は第2周波数を第1周波数の整数倍として変化させた場合の接触部112の軌跡を例示する。第2周波数を第1周波数の2倍に設定した場合を図5(A)に示し、3倍に設定した場合を図5(B)に示し、4倍に設定した場合を図6(A)に示し、5倍に設定した場合を図6(B)に示す。各図に示す接触部112の軌跡において、接触部112が送り振動の中心cに位置する点のうち、突き上げ方向の負方向の点をP1とする。接触部112の送り速度は点P1で最速となる。図5(A−1)と(B−1)、図6(A−1)と(B−1)は接触部112の各軌跡を示す。接触部112には、点P1(最速点)にて突き上げ方向の負方向に突出した形状の運動が発生する。これらの軌跡において、突き上げ方向の負方向に被駆動部材12を配置すれば、接触部112の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部112と被接触部材12とを接触させることができる。
本実施形態では、超音波モータ1に対し、送り振動と第1突き上げ振動と第2突き上げ振動とを同時に励振する。第2突き上げ振動の励振周波数は第1突き上げ振動の励振周波数の整数倍であり、接触部112の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部112が被駆動部材12に接触する。これにより、駆動速度が速い振動型アクチュエータを実現できる。
本発明に係る振動型アクチュエータは、例えば振動子の構造や形状、圧電素子上の電極形状、電極群に印加する電圧を仕様に応じて設計可能である。また、送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動に用いる振動モードについても各種の設定が可能である。例えば、第1突き上げ振動と第2突き上げ振動とを重ね合わせる場合、これらの振動の位相設定によって効果が変化する。図3(B)に示した接触部112の振動において、第2突き上げ振動の位相を90度早めた上で第1突き上げ振動と重ね合わせた時の接触部112の軌跡を図7(A)に示す。
図7(A−1)は接触部112の軌跡を示し、図7(A−2)は突き上げ方向の変位の時間的変化を示す。第1突き上げ振動において、接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大となる時刻をTp1に示す。時刻Tp1は、第2突き上げ振動において接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大となる時刻Tp2と一致しない。すなわち、第1突き上げ振動において接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大となる時点では、第2突き上げ振動において接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大とならない。この場合、図7(A−1)の点P4で示すように、接触部112が送り振動の中心cの近傍ではない位置で、突き上げ方向の負方向に突出した形状の運動が発生する。この時、図7(A−1)に3点P5、P6、P7で示すように、送り振動の中心cから遠い位置でも接触部112と被駆動部材12とが接触してしまう。図7(A−4)に示すように、接触部112が各点P5、P6、P7に位置する時の、それぞれの送り速度v5、v6、v7は速度v1に比べて小さい。つまり、各点P5、P6、P7の近傍は接触部112の軌跡のうちで送り速度が相対的に小さい範囲である。結果として、接触部112の軌跡のうち、送り速度が速い範囲のみで接触部112が被駆動部材12に接触できないので、前記した効果が十分得られず、駆動速度が低下する。よって、第1突き上げ振動において接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大となる時に、第2突き上げ振動において接触部112の変位が被駆動部材12の方向に最大となる設計が最善である。
前記実施形態では、送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動の各振動において、使用する振動モードの共振周波数と励振周波数が精確に一致しており、印加電圧に対し位相が90度遅れて振動が発生するものとして説明した。しかし、実際に振動モードの共振周波数と励振周波数とを一致させることが困難な場合もある。図7(B)は、第1突き上げ振動と第2突き上げ振動における各印加電圧の周波数と、励振により生じる振動の位相差との関係を表す。横軸は印加電圧の周波数を示し、縦軸は振動の位相差を示す。
図7(B)にて、第2突き上げ振動の励振周波数をfd2と記し、第1突き上げ振動の励振周波数をfd1と記す。fd2はfd1の整数倍である。第1突き上げ振動の共振周波数をfr1と記し、第2突き上げ振動の共振周波数をfr2と記す。この時、各振動の共振周波数fr1、fr2は、それぞれに対応する励振周波数と略一致するように設計される。しかし、実際には僅かな誤差が発生し得る。このため、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動において、各印加電圧に対して励振される振動の位相遅れは90度とは限らず、それぞれ異なる値となる。図7(B)のΔθ1は励振周波数fd1における位相差を示し、Δθ2は励振周波数fd2における位相差を示す。
図7(A)に示した通り、各振動を適切なタイミングで重ね合わせることができなければ、前記の効果が十分に得られない。換言すれば、印加電圧に対する位相遅れの違いを補正する必要がある。具体的には、第1突き上げ振動を励振する電圧に対し、第2突き上げ振動を励振する電圧を、位相差「Δθ1―Δθ2」に相当する時間分だけ早いタイミングで重ね合わせて各電極群に印加する制御が行われる。超音波モータ1の位相差制御部は、第1突き上げ振動と第2突き上げ振動との位相差を制御し、各振動を励振する交流電圧を適切なタイミングで重ね合わせる役割を果たす。図8に示すように、位相差制御部101の制御信号は駆動部100に出力され、超音波モータ1への印加電圧の位相制御が行われる。
共振周波数の高い振動モードでは、その振幅が小さくなる傾向があり、第1突き上げ振動の振幅に対して第2突き上げ振動の振幅は小さくなる。この場合、接触部112の軌跡が楕円形状に近づくので、本発明の効果が小さくなる。そこで、図9を参照して、第1突き上げ振動の振幅に対する第2突き上げ振動の振幅の割合を大きくする方法を、以下に説明する。図9は、第1突き上げ振動と第2突き上げ振動における印加電圧の周波数を横軸にとり、振動振幅を縦軸にとって両者の関係をグラフに表した図である。
図9(A)は、第2突き上げ振動の励振周波数fd2を、第1突き上げ振動の励振周波数fd1の3倍にした場合を表す。図9(B)は、第2突き上げ振動の励振周波数fd2を、第1突き上げ振動の励振周波数fd1の2倍にした場合を表す。図9(A)及び(B)にて、fd1での振幅をA1と記し、fd2での振幅をA2と記す。前述の通り、第1突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr1は、第1突き上げ振動の励振周波数fd1の近傍になるように設計される。また、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr2は第2突き上げ振動の励振周波数fd2の近傍になるように設計される。
図9(A)では、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr2が高いため、突き上げ振動の振幅A2は小さい。これに対し、図9(B)では、共振周波数fr2が図9(A)の場合に比べて低いため、振動振幅A2が大きい。つまり、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr2は低いほど好ましい。一方で、fd2はfd1の整数倍とする必要がある。このことから、第2突き上げ振動の励振周波数を第1突き上げ振動の励振周波数の2倍に設定することが最善である。
次に、図10を参照して、第1突き上げ振動の振幅に対して第2突き上げ振動の振幅が十分に大きく得られるようにするための励振方法について説明する。図10は、第1突き上げ振動と第2突き上げ振動の印加電圧の周波数を横軸にとり、振動振幅を縦軸にとって両者の関係をグラフに表した図である。図10(A)及び(B)において、第1突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr1と、第1突き上げ振動の励振周波数fd1との差fd1−fr1を、Δf1と記す。また、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数fr2と、第2突き上げ振動の励振周波数fd2との差fd2−fr2を、Δf2と記す。
図10(A)は、Δf1に対し、Δf2の方が大きい例を示す。また図10(B)は、Δf1に対し、Δf2の方が小さい例を示す。図10(A)に示すように、Δf1<Δf2の場合、第1突き上げ振動の振幅A1に対する第2突き上げ振動の振幅A2の割合が小さくなる。この時、接触部の軌道は楕円形状に近くなり、本発明の効果が小さくなる。一方、図10(B)に示すように、Δf1>Δf2の場合には、第1突き上げ振動の振幅A1に対する第2突き上げ振動の振幅A2の割合が大きくなる。この場合に本発明の効果がより大きい。つまり、第1突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数と第1突き上げ振動の励振周波数との差Δf1に対し、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数と第2突き上げ振動の励振周波数との差Δf2を小さくする設定が行われる。
以上に説明した励振方法については、後述する実施形態にも同様に適用され、各超音波モータを構成する振動子の励振制御が実行される。
[適用例]
次に図11を参照して、超音波モータ1を用いたモータユニット51の構成例について説明する。図11(A)はモータユニット51を、振動子11と被駆動部材12との相対移動方向から見た場合の図である。図11(A)にて紙面に垂直な方向をd1方向(手前側を正方向)とし、d1方向に直交する上下方向(下側を正方向)をd2方向と定義する。図11(B)は、図11(A)に示した超音波モータ1のA−A断面図である。図11(B)にて左右方向をd1方向(左側を正方向)とし、d1方向に直交する上下方向(下側を正方向)をd2方向と定義する。
モータユニット51は振動子11と被駆動部材12、及び振動子11を保持する第1保持部材52を備える。第2保持部材53は被駆動部材12を保持し、d1方向に移動可能である。加圧部材54は被駆動部材12に対し振動子11を加圧する役目をもち、例えば、コイルバネ等の弾性部材を用いる。これらの部材を内部に収容するベース部材55は、モータユニット51の外筐を構成しており、例えば樹脂材料で形成される。第2保持部材53とベース部材55との間には、複数の転動部材56が配置されている。転動部材56はボールまたはコロであり、ベース部材55に対して第2保持部材53を転動支持する。
前記した構成の振動子11は、接触部112が被駆動部材12に対向して当接した配置である。被駆動部材12は第2保持部材53に固定され、両部材は振動子11に対して相対的に移動する。第2保持部材53は、例えば樹脂材料で形成され、被駆動部材12に対して接着やネジ締結等で固定される。また、第2保持部材53には、駆動力の取り出し部53bとしての突出部が設けられており、図示しない駆動対象と連結される。駆動対象は撮像装置のレンズ鏡筒内の可動部材であり、レンズ等の可動光学部材やカム筒等である。
第2保持部材53とベース部材55には、それぞれ対向する位置に溝部53a、55aが設けられている。溝部53a、55aには転動部材56が配置される。これにより、被駆動部材12及び第2保持部材53は、ベース部材55に対し、駆動方向(図11のd1方向)にのみ移動可能に支持される。
振動子11は第1保持部材52によってベース部材55の内側面部と連結されており、被駆動部材12との当接方向(図11のd2方向)に変位可能に保持されている。第1保持部材52は、例えば薄い板金により形成され、板金の屈曲方向にのみ剛性が低く、変位が可能である。ベース部材55と振動子11の間に配置された加圧部材54の圧縮力(図11のf参照)により、振動子11に設けられた接触部112が被駆動部材12に対して圧接される。圧電素子111に対して電圧を印加すると振動子11が振動し、前述の駆動原理により被駆動部材12が駆動方向(図11のd1方向)に移動する。
本実施形態によれば、超音波モータを適用した、駆動速度が速い振動型アクチュエータを提供できる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。図12は、第2実施形態に係る超音波モータ2を示す。図12(A)は超音波モータ2の側面図であり、超音波モータ2は振動子21と被駆動部材22によって構成される。図12(A)の左右方向をd1方向(右側を正方向)とし、d1方向に直交する上下方向(下側を正方向)をd2方向と定義する。d1方向は振動子21と被駆動部材22との相対移動方向と平行な方向であり、d2方向は振動子21の接触部212が被駆動部材22に当接する方向と平行な方向である。
図12(B)は振動子21の斜視図である。振動子21は、例えば平板形状の圧電素子211を平板部材213に貼り付けた構造である。圧電素子211や平板部材213の材質は第1実施形態の場合と同様である。また、被駆動部材22の材質や表面加工についても第1実施形態と同様である。平板部材213には被駆動部材22と接触する1つの接触部212が設けられている。接触部212の形成方法は第1実施形態の場合と同様であり、接触部212は被駆動部材22に圧接されている。
圧電素子211は、例えば1枚の圧電素子層で構成され、図12(A)に示す第1の面Aと、その反対側の第2の面Bには、電圧を印加するための電極がそれぞれ形成されている。図12(C)は、第1の面Aの電極形状を表し、図12(D)は第2の面Bの電極形状を表している。図12(C)に示すように、圧電素子211の第1の面Aには長辺方向にて6分割された電極が配置されている。長辺方向にて図12(C)の左端から数えて1つ目と3つ目の電極を第1の電極群211aとし、2つ目の電極を第2の電極群211bとする。また長辺方向にて左端から数えて4つ目と6つ目の電極を第3の電極群211cとし、5つ目の電極を第4の電極群211dとする。同じ電極群に属する各電極は振動子21の外部で導通される。各電極群には駆動部200(図12(A)参照)からの電圧がそれぞれ印加される。
図12(D)に示すように、圧電素子211の第2の面Bには全面に亘って1つの電極211eが形成されている。電極211eに対して電圧を印加するための配線取り出し部211fが形成されている。圧電素子211には、面Bに形成した電極211eを接地電極として、面Aに形成した各電極群に駆動部200が同一の高電圧を印加することで、予め全電極群において同一方向に分極している。
前記の構成の超音波モータ2において、圧電素子211上の電極群211a、211b、211c、211dに交流電圧をそれぞれ印加すると振動子21が振動し、被駆動部材22が振動子21に対して、図12(A)のd1方向に相対的に移動する。以下、超音波モータ2の駆動原理について説明する。
超音波モータ2にて振動子21に対し、送り振動、第1突き上げ振動、そして第2突き上げ振動を励振させることで、被駆動部材22を相対移動させることができる。図13は、各電極群211a〜211dへの印加電圧と、励振される振動を表す。各電極群には、電極211eを接地電極とした電圧を印加するものとする。
図13(A)は、送り振動を励振させるための各電極群211a〜211dへの印加電圧と、励振される振動を表す。送り振動を発生させるために、第1の電極群211a及び第2の電極群211bには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第3の電極群211c及び第4の電極群211dには電極211a及び211bに印加した電圧とは逆位相の交流電圧が印加される。この時、振動子21には長辺方向において3つの節(図13(A)の破線N参照)を持つ、長辺方向の曲げ2次屈曲振動が励振される。接触部212は振動の節となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子21の長辺方向と平行な方向(図中x方向)に接触部212が振動する。
図13(B)は、第1突き上げ振動を励振させるための各電極群211a〜211dへの印加電圧と、励振される振動を表す。第1突き上げ振動を発生させるために、電極群211a、211b、211c、211dには同一(同位相)の交流電圧が印加される。印加電圧の周波数は、送り振動を励振する場合の交流電圧の周波数と同じである。この時、振動子21には短辺方向において2つ節(図13(B)の破線N参照)を持つ、短辺方向の曲げ1次屈曲振動が励振される。接触部212は振動の腹となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子21の長辺と短辺がなす面に対して垂直な方向(図中z方向)に接触部212が振動する。
図13(C)は、第2突き上げ振動を励振させるための各電極群211a〜211dへの印加電圧と、励振される振動を表す。第2突き上げ振動を発生させるために、第1の電極群211a及び第3の電極群211cには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第2の電極群211b及び第4の電極群211dには電極群211a及び211cに印加した電圧とは逆位相の交流電圧が印加される。第1実施形態の場合と同様に、第2突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数(第2周波数)は、第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数(第1周波数)の整数倍である。本実施形態では、第2周波数を第1周波数の3倍とした例を示す。この時、振動子21には、図13(C)の破線Nに示すように、長辺方向において4つ節を持つ、長辺方向の3次屈曲振動が励振される。接触部212は振動の腹となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子21の長辺と短辺がなす面に対して垂直な方向(図中z方向)に接触部212が振動する。
第1実施形態と同様に、振動子21の寸法は、送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数が、各振動を励振するために印加する交流電圧の周波数に近い値となるように設計される。接触部の軌跡に関しては第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
超音波モータ2では、図13に示すように、各電極群への電圧に適切な位相差を持たせて重ね合わせることで、第1実施形態の場合と同様の運動が接触部に発生する。これにより、接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部を被駆動部材と接触させることができる。
本実施形態では、超音波モータ2において、送り振動と第1突き上げ振動と第2突き上げ振動を同時に励振する際、第2突き上げ振動の励振周波数が第1突き上げ振動の整数倍に設定される。接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部が被駆動部材に接触するため、駆動速度が速い振動型アクチュエータを実現できる。なお、超音波モータ2を用いたモータユニットへの適用例に関しては、第1実施形態の場合と同様の構成が挙げられるため、その説明を省略する。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図14(A)は本実施形態に係る超音波モータ3の側面図である。超音波モータ3は振動子31と被駆動部材32によって構成される。図14(A)の左右方向をd1方向(右側を正方向)とし、上下方向をd2方向(下側を正方向)と定義する。
図14(B)は振動子31の斜視図である。振動子31は、矩形状の圧電素子311と、その端面に設けた1つの接触部312を備える。接触部312は被駆動部材32と接触する。圧電素子311の材質は第1実施形態の場合と同様である。接触部312は、例えばステンレス鋼で形成され、接着により圧電素子311に貼り付けて形成される。被駆動部材32の材質や表面加工については第1実施形態の場合と同様である。
圧電素子311は、例えば複数の圧電素子層で構成され、各層の両面には図14(C)及び(D)に示すように、電圧を印加するための電極が交互に形成されている。図14(C)に示す電極層には、振動子31の長辺方向において2分割され、かつ短辺方向において2分割された電極が形成されている。4つの電極はそれぞれが異なる電極群311a、311b、311c、311dに属している。外部から電極に電圧を印加するために、各電極群には配線取り出し部311f、311g、311h、311iがそれぞれ形成されている。各電極群には駆動部300(図14(A)参照)からの電圧がそれぞれ印加される。
図14(D)に示す電極層には、全面に亘って電極311eが形成されている。外部から電極に電圧を印加するために、電極311eには配線取り出し部311jが形成されている。圧電素子311には、電極311eを接地電極として、各電極群311a〜311dに同一の高電圧を駆動部300が印加する。これにより圧電素子311は、1つの層の全電極群においては同一方向であって、隣接する層ごとに逆方向となる向きに予め分極している。
前記の構成の超音波モータ3において、圧電素子311上の電極群311a〜311dに交流電圧をそれぞれ印加すると振動子31が振動し、被駆動部材32が振動子31に対して図14(A)のd1方向へ相対的に移動する。
次に、図15を参照して、超音波モータ3の駆動原理を説明する。前記実施形態と同様に、超音波モータ3にて、振動子31に送り振動、第1突き上げ振動、そして第2突き上げ振動を励振させる。図15は各電極群311a〜311dへの印加電圧と、励振される振動を表す。なお、各電極群311a〜311dには、電極311eを接地電極とした電圧を印加するものとする。
図15(A)は、送り振動を励振させるための各電極群311a〜311dへの印加電圧と、励振される振動を表す。送り振動を発生させるために、第1の電極群311a及び第4の電極群311dには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第2の電極群311b及び第3の電極群311cには、電極群311a及び311dに印加した電圧との逆位相の交流電圧が印加される。この時、振動子31には長辺方向において3つの節(図15(A)の破線N参照)を持つ、長辺方向の曲げ2次屈曲振動が励振される。接触部312は振動の腹となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子31の短辺と平行な方向(図中x方向)に接触部312が振動する。
図15(B)は、第1突き上げ振動を励振させるための各電極群311a〜311dに印加する電圧と、励振される振動を表す。第1突き上げ振動を発生させるために、電極群311a、311b、311c、311dには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数は、送り振動を励振するための印加電圧の周波数と同じである。この時、振動子31には短辺方向において1つ平面状の節(図15(B)の破線枠N参照)を持つ、長辺方向の1次伸縮振動が励振される。接触部312は振動の腹となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子31の長辺と平行な方向(図中z方向)に接触部312が振動する。
図15(C)は、第2突き上げ振動を励振させるための各電極群311a〜311dに印加する電圧と、励振される振動を表す。第2突き上げ振動を発生させるために、第1の電極群311a及び第3の電極群311cには同一(同位相)の交流電圧が印加される。第2の電極群311b及び第4の電極群311dには電極311a及び311cに印加した電圧とは逆位相の交流電圧が印加さる。第1実施形態の場合と同様に、第2突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数は、送り振動及び第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数の整数倍である。超音波モータ3では、第2突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数を、送り振動及び第1突き上げ振動を励振するための印加電圧の周波数の2倍に設定している。この時、振動子31には長辺方向において2つ平面状の節(図15(C)の破線枠N参照)を持つ、長辺方向の2次伸縮振動が励振される。接触部312は振動の腹となる位置の近傍に配置されている。この振動により振動子31の長辺と平行な方向(図中z方向)に接触部312が振動する。
本実施形態においても、前記実施形態と同様に振動子の寸法は、送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動に用いる振動モードの共振周波数が各振動を励振するために印加する交流電圧の周波数に近い値となるように設計される。接触部の軌跡に関しては前記実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。
超音波モータ3では、図15に示すように、各電極への電圧に適切な位相差を持たせて重ね合わせることで、接触部には第1実施形態の場合と同様の運動が発生する。これにより接触部の軌跡のうちの送り速度が速い範囲のみで接触部を被駆動部材と接触させることができる。なお、本実施形態においても、第2突き上げ振動の励振周波数は第1突き上げ振動の励振周波数の整数倍である。本実施形態によれば、駆動速度が速い振動型アクチュエータを提供できる。
超音波モータ3では、第1突き上げ振動として振動子31の伸縮モードを用いた。伸縮モードでは高次の振動になると共振周波数が次数倍になるため、第2突き上げ振動として第1突き上げ振動で用いた伸縮モードの高次振動モードを用いることができる。第2突き上げ振動モードとして第1突き上げ振動モードとは異なる振動モードを用いる場合、送り振動、第1突き上げ振動、第2突き上げ振動の3つの振動モードの共振周波数を個別に調整する必要がある。この場合、振動子に許容される寸法の自由度は低くなる。超音波モータ3のように第1突き上げ振動に伸縮モードを用いると、自動的に整数倍の周波数の位置が高次の伸縮モードの周波数となる。このため、実質的に2つの振動モードの共振周波数を調整すればよいので、振動子に許容される寸法の自由度が向上する。また、第1突き上げ振動に振動子のねじり振動を用いた場合も同様に、第1突き上げ振動に用いた振動モードの高次の振動モードを第2突き上げ振動として用いることができるので、振動子に許容される寸法の自由度が向上する。
以上により、下記の実施形態がある。
・第1突き上げ振動に振動子の伸縮振動モードを採用し、第2突き上げ振動には第1突き上げ振動に用いる振動モードの高次振動モードを採用した実施形態。
・第1突き上げ振動に振動子のねじり振動モードを採用し、第2突き上げ振動には第1突き上げ振動に用いる振動モードの高次振動モードを採用した実施形態。
なお、超音波モータ3を用いたモータユニットへの適用例に関しては、第1実施形態の場合と同様の構成が挙げられるため、その説明を省略する。
1,2,3 超音波モータ
11,21,31 振動子
12,22,32 被駆動部材
100,200,300 駆動部
101 位相差制御部
111,211,311 圧電素子
112,212,312 接触部

Claims (15)

  1. 圧電素子を有する振動子と、
    前記振動子に設けられた接触部と、
    前記接触部と圧接して、前記振動子に対して相対的に移動する被駆動部材と、
    前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記振動子に対して複数の振動を励振する駆動手段と、を備え、
    前記駆動手段は、前記振動子に対して、前記接触部が第1の方向に振動する第1の振動と、前記接触部が前記第1の方向と異なる第2の方向に振動する第2の振動と、前記第2の振動の励振周波数に対して整数倍の励振周波数で前記接触部が前記第2の方向に振動する第3の振動とを同時に励振することを特徴とする振動型アクチュエータ。
  2. 前記第1の方向は、前記接触部に対する前記被駆動部材の相対的な移動方向と平行な方向であり、前記第2の方向は、前記接触部が前記被駆動部材と当接する方向と平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記第2の振動において前記接触部の変位が前記被駆動部材の方向に最大となる時に、前記第3の振動において前記接触部の変位が前記被駆動部材の方向に最大となることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 前記第2の振動と前記第3の振動との位相差を制御する位相差制御手段を備え、
    前記位相差制御手段は、前記第2の振動を励振する電圧に対し、前記第3の振動を励振する電圧の位相を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  5. 前記位相差制御手段は、前記第2の振動の励振周波数における位相と、前記第3の振動の励振周波数における位相との差に相当する時間だけタイミングを早めて、前記第2の振動を励振する電圧と前記第3の振動を励振する電圧とを重ね合わせる制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 前記第3の振動の励振周波数は、前記第2の振動の励振周波数の2倍であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  7. 前記第2の振動に係る振動モードの共振周波数と前記第2の振動の励振周波数との差に対し、前記第3の振動に係る振動モードの共振周波数と前記第3の振動の励振周波数との差が小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  8. 前記第2の振動には前記振動子の伸縮振動モードまたはねじり振動モードを用い、前記第3の振動には前記第2の振動に係る振動モードの高次振動モードを用いることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  9. 前記圧電素子において、前記接触部とは反対側の第1の面には複数の電極群が形成され、前記接触部の側の第2の面には接地電極が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  10. 前記圧電素子は、前記第1の面にて長辺方向及び短辺方向にそれぞれ分割された第1ないし第4の電極群を有しており、
    前記駆動手段は、
    第1及び第2の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第3及び第4の電極群には、第1及び第2の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第1の振動を励振し、
    第1ないし第4の電極群に同位相の交流電圧を印加することにより前記第2の振動を励振し、
    第1及び第3の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第2及び第4の電極群には、第1及び第3の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第3の振動を励振することを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータ。
  11. 前記圧電素子は、前記第1の面にて長辺方向に分割された第1ないし第4の電極群を有しており、
    前記駆動手段は、
    第1及び第2の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第3及び第4の電極群には、第1及び第2の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第1の振動を励振し、
    第1ないし第4の電極群に同位相の交流電圧を印加することにより前記第2の振動を励振し、
    第1及び第3の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第2及び第4の電極群には、第1及び第3の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第3の振動を励振することを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータ。
  12. 前記圧電素子は複数の圧電素子層から構成され、各層の第1の面には複数の電極群が形成され、前記第1の面とは反対側の第2の面には接地電極が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  13. 前記圧電素子は、前記第1の面にて長辺方向及び短辺方向にそれぞれ分割された第1ないし第4の電極群を有しており、
    前記駆動手段は、
    第1及び第4の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第2及び第3の電極群には、第1及び第4の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第1の振動を励振し、
    第1ないし第4の電極群に同位相の交流電圧を印加することにより前記第2の振動を励振し、
    第1及び第3の電極群に同位相の交流電圧を印加し、第2及び第4の電極群には、第1及び第3の電極群に印加する交流電圧とは逆位相の交流電圧を印加することにより前記第3の振動を励振することを特徴とする請求項12に記載の振動型アクチュエータ。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータを備え、
    前記振動型アクチュエータにより、鏡筒の可動部材を駆動することを特徴とする撮像装置。
  15. 圧電素子を有する振動子と、
    前記振動子に設けられた接触部と、
    前記接触部と圧接して、前記振動子に対し相対的に移動する被駆動部材と、
    前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記振動子に対して複数の振動を励振する駆動手段と、を備える振動型アクチュエータにて実行される制御方法であって、
    前記駆動手段により、前記振動子に対して、前記接触部が第1の方向に振動する第1の振動と、前記接触部が前記第1の方向と異なる第2の方向に振動する第2の振動と、前記第2の振動の励振周波数に対して整数倍の励振周波数で前記接触部が前記第2の方向に振動する第3の振動とを同時に励振することを特徴とする制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023149041A1 (ja) * 2022-02-03 2023-08-10 株式会社村田製作所 振動構造体、搬送装置および触覚提示装置

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