JP2016019012A - 超音波プローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動時に振動板が効率よく変形することが可能な超音波プローブを提供する。【解決手段】素子チップ17と、素子チップ17を支持する筐体と、を備え、素子チップ17は、可撓膜46と、可撓膜46上に設けられた下部電極24と、下部電極24上に形成された圧電体膜26と、圧電体膜26の表面に形成された上部電極25と、を備え、可撓膜46が、圧電体膜26に向かって凸に弾性変形している。【選択図】図15

Description

本発明は、超音波プローブに関するものである。
超音波プローブに設置された超音波トランスデューサー素子チップから生体に超音波を照射し反射波を解析する超音波診断装置が広く活用されている。超音波トランスデューサー素子チップには圧電素子であるPZT素子が用いられることが多い。PZT素子は、一般に、多結晶体からなる圧電体層と、この圧電体層を間に挟んで配置される上電極及び下電極と、を備えた構造を有している。
このような層構造の圧電素子は駆動対象となる設置面に設置される。例えば、超音波プローブであれば超音波を出力するために変形可能に構成された振動板上に圧電素子が設置される。
圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で弾性膜に圧電素子を作り付けることができる。しかし、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
圧電素子を高密度配列する製造方法が特許文献1に開示されている。弾性膜の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により空洞に対応する形状に切り分けて空洞毎に独立するように圧電素子を形成していた。
この方法によれば圧電素子を弾性膜に貼付ける作業が不要となる。リソグラフィ法という精密かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができる。さらに、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
特開平5−286131号公報
しかしながら、上述した薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、薄膜のパターニング後に開口を形成する。その際、上電極及び圧電体層の内部応力緩和の影響により、振動板が開口側に撓んでしまい、この撓みが振動板の初期変形として残留してしまうという問題がある。特に、下電極をオーバーエッチングした構造の場合には、撓み量が大きく、圧電素子の駆動による振動板の変形量が計算上の値よりも小さくなってしまう。これは、上電極及び圧電体層(及び下電極)の引張方向の内部応力緩和の影響で振動板が撓むことにより弾性域を越え、塑性変形領域に達しているためであると考えられる。そこで、振動板が駆動時に効率よく変形することが可能な超音波プローブが望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる超音波プローブであって、超音波トランスデューサー素子チップと、前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体と、を備え、前記超音波トランスデューサー素子チップは、弾性膜と、前記弾性膜上に設けられた下電極と、前記下電極上に形成された圧電体層と、前記圧電体層の表面に形成された上電極と、を備え、前記弾性膜が、前記圧電体層に向かって凸に弾性変形していることを特徴とする。
本適用例によれば、超音波プローブでは筐体が超音波トランスデューサー素子チップを支持している。超音波トランスデューサー素子チップは弾性膜を備え、弾性膜上には下電極、圧電体層及び上電極がこの順に重ねて設置されている。そして、下電極と上電極との間に所定の間隔でパルス状の電圧を印加することにより圧電体層が伸縮する。これにより弾性膜が振動して超音波が出力される。
そして、弾性膜は初期状態で圧電体層に向かって凸に弾性変形している。圧電体層に印加する電圧を調整することにより弾性膜が圧電体層に向かって凹に弾性変形させることができる。このとき、弾性膜が初期状態で圧電体層と反対側に向かって凸に弾性変形しているとき弾性膜は塑性変形領域まで達するので振幅が小さくなる。このときに比べて本適用例では駆動時に効率よく弾性膜を変形させることができる。
実施形態1にかかわる超音波診断装置の構成を示す概略斜視図。 超音波プローブの構成を示す組織側面図。 素子チップの構成を示す模式平面図。 素子チップの構成を示す模式側断面図。 補強板を示す模式平面図。 補強板を示す要部模式拡大図。 装置端末及び超音波プローブの回路図。 超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図。 超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図。 超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図。 超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図。 超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図。 圧電素子の製造方法を説明するための模式図。 圧電素子の製造方法を説明するための模式図。 エッチングによる開口の形成前後の各層が受ける応力の状態を説明するための模式図。 比較例としてエッチングによる開口の形成前後の各層が受ける応力の状態を説明するための模式図。 圧電体能動部の駆動時の振動板に加わる力と弾性変形量との関係を示す図。 実施形態2にかかわり添加物を上部電極に添加する方法を説明するための模式図。 添加物を上部電極に添加する方法を説明するための模式図。 実施形態3にかかわる圧電素子の構造を示す要部模式断面図。 圧電素子の構造を示す要部模式断面図。 実施形態4にかかわる圧電素子の構造を示す要部模式断面図。 圧電素子の製造方法を説明するための模式側断面図。 圧電素子の製造方法を説明するための模式側断面図。 実施形態5にかかわる圧電素子の製造方法を説明するための模式側断面図。 実施形態6にかかわる素子チップの構造を示す要部模式断面図。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。尚、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の総てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(実施形態1)
本実施形態では、超音波診断装置の特徴的な例について図1〜図17に従って説明する。
(1)超音波診断装置の全体構成
図1は超音波診断装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、超音波診断装置11は装置端末12と超音波プローブ13(プローブ)とを備える。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14で相互に接続される。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14を通じて電気信号をやりとりする。装置端末12にはディスプレイパネル15(表示装置)が組み込まれる。ディスプレイパネル15の画面は装置端末12の表面で露出する。装置端末12では、後述されるように、超音波プローブ13で検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果がディスプレイパネル15の画面に表示される。
図2は超音波プローブの構成を示す組織側面図である。図2に示すように、超音波プローブ13は筐体16を有する。筐体16内には超音波トランスデューサー素子チップとしての素子チップ17が収容される。素子チップ17の表面は筐体16の表面で露出することができる。素子チップ17は表面から超音波を出力するとともに超音波の反射波を受信する。その他、超音波プローブ13は、プローブ本体13aに着脱可能に連結されるプローブヘッド13bを備えることができる。このとき、素子チップ17はプローブヘッド13bの筐体16内に組み込まれることができる。
図3は素子チップの構成を示す模式平面図である。図3に示すように、素子チップ17は基板21を備える。基板21には素子アレイ22が形成される。素子アレイ22は超音波トランスデューサー素子としての圧電素子23の配列で構成される。配列は複数行複数列のマトリックスで形成される。個々の圧電素子23は圧電素子部を備える。圧電素子部は下電極としての下部電極24、上電極としての上部電極25及び圧電体層としての圧電体膜26で構成される。個々の圧電素子23ごとに下部電極24及び上部電極25の間に圧電体膜26が挟み込まれる。
下部電極24は複数本の第1導電体24aを有する。第1導電体24aは配列の行方向に相互に平行に延びる。1行の圧電素子23ごとに1本の第1導電体24aが割り当てられる。1本の第1導電体24aは配列の行方向に並ぶ圧電素子23の圧電体膜26に共通に配置される。第1導電体24aの両端は一対の引き出し配線27にそれぞれ接続される。引き出し配線27は配列の列方向に相互に平行に延びる。したがって、総ての第1導電体24aは同一長さを有する。こうしてマトリックス全体の圧電素子23に共通に下部電極24は接続される。
上部電極25は複数本の第2導電体25aを有する。第2導電体25aは配列の列方向に相互に平行に延びる。1列の圧電素子23ごとに1本の第2導電体25aが割り当てられる。1本の第2導電体25aは配列の列方向に並ぶ圧電素子23の圧電体膜26に共通に配置される。列ごとに圧電素子23の通電は切り替えられる。こうした通電の切り替えに応じてラインスキャンやセクタースキャンは実現される。1列の圧電素子23は同時に超音波を出力することから、1列の個数すなわち配列の行数は超音波の出力レベルに応じて決定されることができる。行数は例えば10〜15行程度に設定されればよい。図中では省略されて5行が描かれる。配列の列数はスキャンの範囲の広がりに応じて決定されることができる。列数は例えば128列や256列に設定されればよい。図中では省略されて8列が描かれる。その他、配列では千鳥配置が確立されてもよい。千鳥配置では偶数列の圧電素子23群は奇数列の圧電素子23群に対して行ピッチの2分の1でずらされればよい。奇数列及び偶数列の一方の素子数は他方の素子数に比べて1つ少なくてもよい。さらにまた、下部電極24及び上部電極25の役割は入れ替えられてもよい。すなわち、マトリックス全体の圧電素子23に共通に上部電極が接続される一方で、配列の列ごとに共通に圧電素子23に下部電極が接続されてもよい。
基板21の輪郭は、相互に平行な一対の直線29で仕切られて対向する第1辺21a及び第2辺21bを有する。素子アレイ22の輪郭と基板21の外縁との間に広がる周縁領域31には、第1辺21aと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第1端子アレイ32aが配置され、第2辺21bと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第2端子アレイ32bが配置される。第1端子アレイ32aは第1辺21aに平行に1ラインを形成することができる。第2端子アレイ32bは第2辺21bに平行に1ラインを形成することができる。第1端子アレイ32aは一対の下部電極端子33及び複数の上部電極端子34で構成される。同様に、第2端子アレイ32bは一対の下部電極端子35及び複数の上部電極端子36で構成される。1本の引き出し配線27の両端にそれぞれ下部電極端子33、35は接続される。引き出し配線27及び下部電極端子33、35は素子アレイ22を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。1本の第2導電体25aの両端にそれぞれ上部電極端子34、36は接続される。第2導電体25a及び上部電極端子34、36は素子アレイ22を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。ここでは、基板21の輪郭は矩形に形成される。基板21の輪郭は正方形であってもよく台形であってもよい。
基板21には第1フレキシブルプリント基板としての第1フレキ37が連結される。第1フレキ37は第1端子アレイ32aに覆い被さる。第1フレキ37の一端には下部電極端子33及び上部電極端子34に個別に対応して導電線すなわち第1信号線38が形成される。第1信号線38は下部電極端子33及び上部電極端子34に個別に向き合わせられ個別に接合される。同様に、基板21には第2フレキシブルプリント基板としての第2フレキ41が覆い被さる。第2フレキ41は第2端子アレイ32bに覆い被さる。第2フレキ41の一端には下部電極端子35及び上部電極端子36に個別に対応して導電線すなわち第2信号線42が形成される。第2信号線42は下部電極端子35及び上部電極端子36に個別に向き合わせられ個別に接合される。
図4は素子チップの構成を示す模式側断面図である。図4に示すように、個々の圧電素子23は振動膜43を有する。振動膜43の構築にあたって基板21の基体44には個々の圧電素子23ごとに開口45が形成される。開口45は基体44に対してアレイ状に配置される。基体44の表面には弾性膜としての可撓膜46が一面に形成される。可撓膜46は酸化シリコン(SiO2)であり、基体44の表面に設置される。可撓膜46は開口45に接する。こうして開口45の輪郭に対応して可撓膜46の一部が振動膜43として機能する。可撓膜46の膜厚は共振周波数に基づき決定される。
振動膜43の表面に下部電極24、圧電体膜26及び上部電極25が順番に積層される。下部電極24には例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及びチタン(Ti)の積層膜やプラチナの膜を用いられることができる。圧電体膜26は例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)で形成されることができる。上部電極25は例えばイリジウム(Ir)や白金(Pt)で形成されることができる。下部電極24及び上部電極25にはその他の導電材が利用されてもよく、圧電体膜26にはその他の圧電材料が用いられてもよい。ここでは、上部電極25の下で圧電体膜26は完全に下部電極24を覆う。圧電体膜26の働きで上部電極25と下部電極24との間で短絡は回避されることができる。
下部電極24の厚さは、例えば、約0.5μmであり、圧電体膜26の厚さは、例えば、約1μmである。上部電極25の厚さは、例えば、約0.1μmである。下部電極24、圧電体膜26、上部電極25とが積層形成されて、圧電素子23を構成している。ここで、圧電素子23は、下部電極24、圧電体膜26、及び上部電極25を含む部分をいう。一般的には、圧電素子23の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜26を開口45毎にパターニングして構成する。
基板21の表面には保護膜49が積層される。保護膜49は例えば全面にわたって基板21の表面に覆い被さる。その結果、素子アレイ22や第1端子アレイ32a及び第2端子アレイ32b、第1フレキ37及び第2フレキ41は保護膜49で覆われる。保護膜49には例えばシリコーン樹脂膜が用いられることができる。保護膜49は、素子アレイ22の構造や、第1端子アレイ32a及び第1フレキ37の接合、第2端子アレイ32b及び第2フレキ41の接合を保護する。
隣接する開口45同士の間には仕切り壁51が区画される。開口45同士は仕切り壁51で仕切られる。仕切り壁51の壁厚みtは開口45の空間同士の間隔に相当する。仕切り壁51は相互に平行に広がる平面内に2つの壁面を規定する。壁厚みtは壁面同士の距離に相当する。すなわち、壁厚みtは壁面に直交して壁面同士の間に挟まれる垂線の長さで規定されることができる。仕切り壁51の壁高さHは開口45の深さに相当する。開口45の深さは基体44の厚みに相当する。したがって、仕切り壁51の壁高さHは基体44の厚み方向に規定される壁面の長さで規定されることができる。基体44は均一な厚みを有することから、仕切り壁51は全長にわたって一定の壁高さHを有することができる。仕切り壁51の壁厚みtが縮小されれば、振動膜43の配置密度は高められ、素子チップ17の小型化に寄与することができる。壁厚みtに比べて仕切り壁51の壁高さHが大きければ、素子チップ17の曲げ剛性は高められることができる。こうして開口45同士の間隔は開口45の深さよりも小さく設定される。
基体44の裏面には補強板52(補強部材)が固定される。補強板52の表面に基体44の裏面が重ねられる。補強板52は素子チップ17の裏面で開口45を閉じる。補強板52はリジッドな基材を備えることができる。補強板52は例えばシリコン基板から形成されることができる。基体44の板厚は例えば100μm程度に設定され、補強板52の板厚は例えば100〜150μm程度に設定される。ここでは、仕切り壁51は補強板52に結合される。補強板52は個々の仕切り壁51に少なくとも1カ所の接合域で接合される。接合には接着剤を用いてもよい。
補強板52の表面には直線状の溝53(直線状溝部)が形成される。溝53は補強板52の表面を複数の平面54に分割する。複数の平面54は1つの仮想平面HP内で広がる。その仮想平面HP内で基体44の裏面は広がる。仕切り壁51は平面54に接合される。溝53は仮想平面HPから窪む。溝53の断面形状は四角形であってもよく三角形であってもよく半円形その他の形状であってもよい。
図5は補強板を示す模式平面図である。図5に示すように、開口45は第1方向D1に列を形成する。開口45の輪郭形状の図心45bは第1方向D1の1直線56上で等ピッチに配置される。開口45の輪郭45aは1つの形状の複写で象られることから、同一形状の開口45が一定のピッチで繰り返し配置される。開口45の輪郭45aは例えば四角形に規定される。具体的には矩形に形成される。矩形の長辺は第1方向D1に合わせ込まれる。こうして開口45は矩形の輪郭45aを有することから、仕切り壁51は全長にわたって一定の壁厚みtを有することができる。このとき、仕切り壁51の接合域は長辺の中央位置を含む領域であればよい。特に、仕切り壁51の接合域は長辺の全長を含む領域であればよい。仕切り壁51は長辺の全長にわたって開口45同士の間の全面で補強板52に面接合されることができる。さらに、仕切り壁51の接合域は四角形の各辺に少なくとも1カ所ずつ配置されることができる。仕切り壁51の接合域は四角形を途切れなく囲むことができる。仕切り壁51は四角形の全周にわたって開口45同士の間の全面で補強板52に面接合されることができる。
溝53は一定の間隔Lで相互に平行に第1方向D1に並べられる。溝53は第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる。溝53の両端は補強板52の端面57a及び端面57bで開口する。1本の溝53は1列(ここでは1行)の開口45の輪郭45aを順番に横切る。個々の開口45には少なくとも1本の溝53が接続される。ここでは、第2方向D2は第1方向D1に直交する。したがって、溝53は矩形の短辺方向に開口45の輪郭45aを横切る。
図6は補強板を示す要部模式拡大図である。図6に示すように、平面54同士の間で溝53は基体44と補強板52との間に通路58a及び通路58bを形成する。こうして溝53内の空間は開口45の内部空間に連通する。通路58a及び通路58bは開口45の内部空間と基板21の外部空間との間で通気を確保する。基板21の表面に直交する方向すなわち基板21の厚み方向から見た平面視で、1本の溝53は1列(ここでは1行)の開口45の輪郭45aを順番に横切ることから、次々に開口45同士は通路58aで接続される。溝53の両端は補強板52の端面57a及び端面57bで開口する。こうして列端の開口45から基板21の輪郭の外側に通路58bは開放される。
溝53の間隔Lは開口45の開口幅Sよりも小さく設定される。開口幅Sは、溝53の並び方向すなわち第1方向D1に開口45を横切る線分のうち最大の長さのもので規定される。言い換えると、開口幅Sは、開口45の輪郭45aに外接する平行線59同士の間隔に相当する。開口45ごとに開口45の輪郭45aに外接する平行線59は特定される。平行線59は第2方向D2に延びる。仮に開口45ごとに開口幅Sが相互に相違する場合には、開口幅Sの最小値よりも小さい間隔Lで溝53は並べられればよい。ここでは、溝53の間隔Lは、開口45の開口幅Sの3分の1以上であって2分の1よりも小さく設定される。
(2)超音波診断装置の回路構成
図7は装置端末及び超音波プローブの回路図である。図7に示されるように、超音波プローブ13には素子チップ17と接続する集積回路チップ55が設置されている。集積回路チップ55はマルチプレクサー61及び送受信回路62を備える。マルチプレクサー61は素子チップ17側のポート群61aと送受信回路62側のポート群61bとを備える。素子チップ17側のポート群61aには第1配線60経由で第1信号線38及び第2信号線42が接続される。こうしてポート群61aは素子アレイ22に繋がる。ここでは、送受信回路62側のポート群61bには集積回路チップ55内の規定数の信号線63が接続される。規定数はスキャンにあたって同時に出力される圧電素子23の列数に相当する。マルチプレクサー61はケーブル14側のポートと素子チップ17側のポートとの間で相互接続を管理する。
送受信回路62は規定数の切り替えスイッチ64を備える。個々の切り替えスイッチ64はそれぞれ信号線63に接続される。送受信回路62は個々の切り替えスイッチ64ごとに送信経路65及び受信経路66を備える。切り替えスイッチ64には送信経路65と受信経路66とが並列に接続される。切り替えスイッチ64はマルチプレクサー61に選択的に送信経路65または受信経路66を接続する。送信経路65にはパルサー67が組み込まれる。パルサー67は振動膜43の共振周波数に応じた周波数でパルス信号を出力する。受信経路66にはアンプ68、ローパスフィルター69(LPF)及びアナログデジタル変換器71(ADC)が組み込まれる。個々の圧電素子23の検出信号は増幅されてデジタル信号に変換される。
送受信回路62は駆動/受信回路72を備える。送信経路65及び受信経路66は駆動/受信回路72に接続される。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて同時にパルサー67を制御する。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて検出信号のデジタル信号を受信する。駆動/受信回路72は制御線73によりマルチプレクサー61に接続される。マルチプレクサー61は駆動/受信回路72から供給される制御信号に基づき相互接続の管理を実施する。
装置端末12には処理回路74が組み込まれる。処理回路74は例えば中央演算処理装置(CPU)やメモリーを備えることができる。超音波診断装置11の全体動作は処理回路74の処理に従って制御される。ユーザーから入力される指示に応じて処理回路74は駆動/受信回路72を制御する。処理回路74は圧電素子23の検出信号に応じて画像を生成する。画像は描画データで特定される。
装置端末12には描画回路75が組み込まれる。描画回路75は処理回路74に接続される。描画回路75にはディスプレイパネル15が接続される。描画回路75は処理回路74で生成された描画データに応じて駆動信号を生成する。駆動信号はディスプレイパネル15に送り込まれる。その結果、ディスプレイパネル15に画像が映し出される。
(3)超音波診断装置の動作
次に超音波診断装置11の動作を簡単に説明する。処理回路74は駆動/受信回路72に超音波の送信及び受信を指示する。駆動/受信回路72はマルチプレクサー61に制御信号を供給するとともに個々のパルサー67に駆動信号を供給する。パルサー67は駆動信号の供給に応じてパルス信号を出力する。マルチプレクサー61は制御信号の指示に従ってポート群61bのポートにポート群61aのポートを接続する。ポートの選択に応じて下部電極端子33、下部電極端子35、上部電極端子34及び上部電極端子36を通じて列ごとにパルス信号が圧電素子23に供給される。パルス信号の供給に応じて振動膜43は振動する。その結果、対象物(例えば人体の内部)に向けて所望の超音波が発せられる。
超音波の送信後、切り替えスイッチ64が切り替えられる。マルチプレクサー61はポートの接続関係を維持する。切り替えスイッチ64は送信経路65及び信号線63の接続に代えて受信経路66及び信号線63の接続を確立する。超音波の反射波は振動膜43を振動させる。その結果、圧電素子23から検出信号が出力される。検出信号はデジタル信号に変換されて駆動/受信回路72に送り込まれる。
超音波の送信及び受信は繰り返される。繰り返しにあたってマルチプレクサー61はポートの接続関係を変更する。その結果、ラインスキャンやセクタースキャンが実現される。スキャンが完了すると、処理回路74は検出信号のデジタル信号に基づき画像を形成する。形成された画像はディスプレイパネル15の画面に表示される。
(4)超音波トランスデューサー素子チップの製造方法
図8〜図12は超音波トランスデューサー素子チップの製造方法を説明するための模式図である。図8に示されるように、シリコンウエハー78(基板)の表面には酸化シリコン膜79が形成される。酸化シリコン膜79の表面には導電膜が形成される。導電膜はチタン、イリジウム、白金及びチタンの積層膜で構成される。フォトリソグラフィー技術に基づき導電膜から下部電極24、引き出し配線27、図示しない下部電極端子33及び下部電極端子35が形成される。下部電極24、引き出し配線27、下部電極端子33及び下部電極端子35は個々の素子チップ17ごとに形成される。
図9に示されるように、下部電極24の表面で個々の圧電素子23ごとに圧電体膜26及び上部電極25が形成される。圧電体膜26及び上部電極25の形成にあたってシリコンウエハー78の表面に圧電材料膜及び導電膜が成膜される。圧電材料膜はPZT膜から構成される。導電膜はイリジウム膜から構成される。フォトリソグラフィー技術に基づき個々の圧電素子23ごとに圧電材料膜及び導電膜から圧電体膜26及び上部電極25が形成される。
続いて、図10に示されるように、シリコンウエハー78の表面に導電膜82が成膜される。導電膜82は個々の素子チップ17内で列ごとに上部電極25を相互に接続する。そして、フォトリソグラフィー技術に基づき導電膜82から上部電極25、上部電極端子34及び上部電極端子36が成形される。
その後、図11に示されるように、シリコンウエハー78の裏面からアレイ状の開口45が形成される。開口45の形成にあたってエッチング処理が施される。酸化シリコン膜79はエッチングストップ層として機能する。酸化シリコン膜79からなる振動膜43は開口45により区画される。
補強板用のウエハー83の表面には直線状の溝84が形成される。溝84は相互に平行に等間隔で延びる。溝84の少なくとも一端はウエハー83の端面で開放される。溝84は、開口45の開口幅Sよりも小さい間隔Lで並べられる。こうして溝84の間隔Lが設定されると、シリコンウエハー78と補強板用のウエハー83との間で相対的に位置ずれが生じても、少なくとも1本の溝84は開口45の輪郭45aを横切ることができる。例えば図12に示されるように、シリコンウエハー78に対して補強板用のウエハー83が第1方向D1にずれて溝84aが隣り合う開口45の間に位置しても、2つの開口45にはそれぞれ少なくとも1本の溝84bが配置されることができる。シリコンウエハー78から個々の素子チップ17が切り出された際に、溝84は補強板52の溝53を提供する。
こうして溝84が形成されると、シリコンウエハー78及びウエハー83が大気中またはその他の気体雰囲気下で相互に重ね合わせられる場合でも、比較的に簡単に重ね合わせは実現されることができる。その一方で、シリコンウエハー78の裏面が均一な平面に重ね合わせられると、個々の開口45内に補強板用のウエハーの平面で気体が押し詰められる。大気圧では開口45内の空間の体積よりも大きい体積の気体が開口45内に留まろうとする。開口45の封鎖と同時に、シリコンウエハー78及び補強板用のウエハーの隙間から余分な気体が逃げないと、シリコンウエハー78及び補強板用のウエハーの貼り合わせは実現されることができない。
図11に戻って、シリコンウエハー78の裏面に補強板用のウエハー83(補強部材)の表面が重ね合わせられる。重ね合わせに先立ってウエハー83はハンドリング機構やステージ上に保持される。ウエハー83には例えばリジッドな絶縁性基板が用いられることができる。絶縁性基板にはシリコンウエハーが用いられることができる。接合にあたって例えば接着剤を用いても良い。接合後、シリコンウエハー78から個々の素子チップ17が切り出されて素子チップ17が完成する。
(5)圧電体膜の製造方法と構造
図13及び図14は、圧電素子の製造方法を説明するための模式図である。次に、シリコン単結晶基板からなる基体44上に、圧電体膜26等を形成するプロセスを図13及び図14を参照しながら説明する。
図13(a)に示すように、まず、基体44となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる可撓膜46を形成する。
次に、図13(b)に示すように、スパッタリングで下部電極24を形成する。下部電極24の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜26は、成膜後に大気雰囲気下または酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下部電極24の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜26としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。次に、公知のフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて下部電極24を所定の形状にパターニングする。
次に、図13(c)に示すように、圧電体膜26を成膜する。この圧電体膜26の成膜にはスパッタリング法を用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜26を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成した。圧電体膜26の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料が超音波プローブ13に使用する場合には好適である。
次に、図13(d)に示すように、下部電極24及び圧電体膜26を所定の形状にパターニングする。パターニングは公知のフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて行うことができる。
次に、図14に示すように、上部電極25を成膜する。その際、本実施形態では、上部電極25を圧縮応力とし、下部電極24及び圧電体膜26の引張応力より大きくなるように形成している。そのため、この上部電極25は、圧縮応力を有し導電性の高い材料で形成するのが好ましく、例えば、Pt,Pd,Ir,Os,Ru及びReの何れかの金属が好適である。さらに、本実施形態では、上部電極25を所定のガス中、例えば、ガス圧1Pa以下でスパッタリング法によって成膜することにより、上部電極25中にそのガスを取り込んでいる。これにより、上部電極25には、より大きい圧縮応力が付与される。この上部電極25中に取り込むガスとしては、不活性ガスであることが好ましく、例えば、He,Ne,Ar,Kr,XeまたはRnが好適である。尚、スパッタリングの際のガス圧等の諸条件は、スパッタ装置及び材料等によって、適宜調整すればよい。
次に、図14に示すように、上部電極25をパターニングする。パターニングは公知のフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて行うことができる。パターニングされた下部電極24、圧電体膜26及び上部電極25を合わせて圧電体能動部87と称する。
本実施形態では、続いて、開口45をエッチングにより形成する。このときの圧電体能動部87が受ける応力の状態を以下に説明する。尚、図15は、エッチングによる開口の形成前後の各層が受ける応力の状態を説明するための模式図である。
図15(a)に示すように、圧電体膜26及び上部電極25の各層を成膜した状態では、圧電体膜26及び下部電極24は、それぞれ基体44から引張応力σ1,σ2を受け、可撓膜46及び上部電極25は、それぞれ圧縮応力σ3,σ4を受けている。この上部電極25の圧縮応力σ4の大きさは、引張応力σ1,σ2の大きさより大きくなっている。
そして、図15(b)に示すように、圧電体能動部87をパターニングすると、圧電体膜26及び上部電極25の応力σ1,σ4の一部が開放される。次に、図15(c)に示すように、圧電体能動部87の下方に開口45を形成しても、圧電体膜26と上部電極25とが基体44から受ける応力の向きは逆であり、圧電体膜26の引張応力σ1が開放される力よりも上部電極25の圧縮応力σ4が開放される力の方が大きい。このため、可撓膜46は力fを受けて図中上側に凸に変形する。
図16は比較例としてエッチングによる開口の形成前後の各層が受ける応力の状態を説明するための模式図である。尚、上部電極25の内部応力を圧縮応力としない場合には、図16(a)に示すように、開口45形成前に、圧電体膜26及び上部電極25にはそれぞれ引張応力σ1,σ4が残留しているので、開口45を形成すると、図16(b)に示すように、引張応力σ1,σ4は開放されて収縮しようとする力となり、結果的に、下部電極24及び可撓膜46からなる振動板は、下に凸に変形され、これが初期変形として残留する。
本実施形態では、上部電極25に、所定の大きさの圧縮応力を付与している。これにより、圧電体能動部87をパターニングして開口45を形成した後では、上部電極25が引張方向の応力を受けて圧縮応力が開放される。このため、圧電体膜26の圧縮方向の応力を相殺し、さらに、可撓膜46を図中上側に凸となるように変形させることができる。このときの可撓膜46は塑性域から離れた弾性域の状態であり、圧電体能動部87の駆動による振動板の変形量を向上することができる。
また、以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングはシリコンウエハー78上で行われる。一枚のシリコンウエハー78上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後に1つのチップサイズの基体44毎に分割する。また、分割した基体44を、補強板52と順次接着して一体化し、素子チップ17とする。
図17は、圧電体能動部の駆動時の振動板に加わる力と弾性変形量との関係を示す図である。図17(a)に示すように、本実施形態では、可撓膜46が上部電極25の圧縮応力によって力fを受けて、圧電体膜26側に突出する変形tが生じている。したがって、圧電体能動部87の駆動による力Fによって変形Tを生じる。また、この変形Tは弾性領域で生じているため、総ての変形を超音波の出力に利用することができる。
一方、比較例のように上部電極25を圧縮応力にしない場合には、図17(b)に示すように、圧電体膜26等の引張応力によって力f’を受けて、初期段階に超音波出力のための変形方向に変形t’が生じており、圧電体能動部87の駆動時に力Fが加わると、振動板が塑性変形領域に入ってしまうため、変形Tは得られずに変形T’が生じることになり、T−T’が変形の損失となる。
このように、本実施形態では、上部電極25に圧縮応力を付与することにより、超音波を出力する際に、可撓膜46が開口45とは反対方向、すなわち図中上側に凸に変形する。このため、可撓膜46の弾性変形領域内で、圧電体能動部87の駆動による変形量を増加させることができ、良好な超音波の出力を行うことができる。
尚、本実施形態では、上部電極25中に不活性ガスを取り込むことにより、上部電極25にさらに大きな圧縮応力を付与するようにしたが、これに限定されるわけではない。上部電極25は、基本的には圧縮応力であり、この圧縮応力が、所望の強さ以上となっていれば、不活性ガスを取り込まなくてもよいことは言うまでもない。
(実施形態2)
本実施形態は、上部電極25に、不活性ガスの代わりに、上部電極25の金属とは異なる成分の金属、半金属、半導体または絶縁体等の添加物を添加することによって、上部電極25を圧縮応力とした以外は実施形態1と同様である。
図18及び図19は、添加物を上部電極に添加する方法を説明するための模式図である。これらの添加物の添加方法としては、例えば、図18(a)に示すように、上部電極25を形成後、上部電極25の上方からのイオン打ち込みによって、添加物を上部電極25に添加することができる。
また、例えば、図19(a)に示すように、上部電極25上に、上部電極25に添加される添加物層88を形成し、次いで、不活性ガスまたは真空中で加熱処理することにより添加物層88の成分元素を上部電極25に固相拡散させることにより、上部電極25に添加物を添加することができる。
このように、イオン打ち込みまたは固相拡散によって上部電極25に添加した場合には、図18(b)または図19(b)に示すように、上部電極25の上層部25bに添加物が多く添加されるため、上部電極25の上層部25bが特に大きい圧縮応力となる。
このように、上部電極25に、上部電極25の金属とは異なる金属等の添加物を添加することにより、上部電極25は体積が膨張することによって圧縮応力となる。したがって、実施形態1と同様に、振動板を上に凸に変形させることができ、圧電体能動部87の駆動による振動板の変形量を向上することができる。また、本実施形態では、上部電極25の上層部が特に大きい圧縮応力となっているため、開口45を形成した場合には、振動板をより確実に図中上側に凸に変形させることができる。
(実施形態3)
図20は、圧電素子の構造を示す要部模式断面図である。本実施形態が実施形態1と異なる点は、図20に示すように上部電極89を圧電体膜26に接する第1の電極膜90とその上に積層される第2の電極膜91とで構成したことにある。これ以外は実施形態1と同様である。
本実施形態の上部電極89を構成する第1の電極膜90は、実施形態1と同様、Pt,Pd,Ir,Rh,Os,Ru及びReの何れかの金属で形成され、圧縮応力を有している。また、第2の電極膜91は、第1の電極膜90よりも大きい圧縮応力を有することが好ましい。第2の電極膜91は例えば、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムまたは酸化モリブデン等の導電性の酸化膜、あるいは、例えば、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロムまたは窒化バナジウム等の導電性の窒化膜で形成されている。
このような本実施形態の上部電極89の形成方法は、特に限定されないが、本実施形態では、以下の方法で形成した。
実施形態1の薄膜製造工程と同様に、基体44上に、下部電極24及び圧電体膜26をそれぞれ成膜してパターニングする。その後、まず上部電極89を構成する第1の電極膜90を成膜する。次いで、第1の電極膜90上に、第1の電極膜90とは異なる主成分を有する第2の電極膜91を形成する。ここで、第2の電極膜91は、好ましくは導電性酸化膜または導電性窒化膜からなるが、これらは、直接、酸化膜または窒化膜を形成してもよいが、成膜した後、酸化または窒化して形成してもよい。その後、上述の製造工程と同様に開口45を形成する。
上部電極89をこのような構成としても上記の実施形態と同様に可撓膜46が図中上側に凸に変形される。そして、圧電体能動部87の駆動による振動板の変形量を向上することができる。また、上部電極89を圧縮応力を有する二層で構成し、第2の電極膜91を導電性の酸化膜または窒化膜等で構成することにより、第1の電極膜90よりも大きい圧縮応力としたので、実施形態2と同様に、開口45を形成した場合には、可撓膜46を効果的に上に凸に変形させることができる。
尚、本実施形態では、上部電極89を二層で構成しているが、例えば、第1の電極膜90を設けず、導電性酸化膜または導電性窒化膜で形成される第2の電極膜91のみで構成するようにしてもよい。このような構成においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、各実施形態を説明したが、振動板を上に凸に変形させる手段は、上述したものに限定されない。例えば、開口45を形成後、振動板の開口45とは反対側に、物理的に引張り力を付与するようにして凸に変形させるようにしてもよいし、基体44を上に凸に変形させて振動板に張力を付与して凸に変形させてもよい。
図21は、圧電素子の構造を示す要部模式断面図である。他にも、例えば、図21に示すように、開口45の幅方向両側に対向した領域である圧電体能動部87の両側のいわゆる振動板腕部に相当する部分に、下部電極24を除去した下電極膜除去部92を設け、圧電体能動部87への電圧印加による変位量の向上を図ってもよい。この下電極膜除去部92は、下部電極24を完全に除去せずに、厚さ方向の一部をハーフエッチング等により除去することにより形成してもよく、また、可撓膜46の厚さ方向の一部まで除去することにより形成してもよい。
このように、下電極膜除去部92を設けた場合にも、上述の実施形態と同様に、可撓膜46、下部電極24及び圧電体膜26の各膜の内部応力を加算した引張応力よりも大きい圧縮方向の応力を上部電極25に付与することにより、振動板を上に凸に変形させることができ、圧電体能動部87の駆動による振動板の変形量を向上することができる。
また、例えば、上述した補強板52をガラスセラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由である。
(実施形態1〜3の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、上部電極25、上部電極89を下部電極24及び圧電体膜26の引張応力よりも大きい圧縮応力とすることにより、可撓膜46は、圧電体能動部87のパターニング及び開口45形成後に、引張方向の力の影響を受ける。しがって、可撓膜46は圧電体膜26側に凸に変形し、圧電体能動部87の駆動による変形量を向上することができ、良好な超音波の出力を行うことができるという効果を奏する。
(実施形態4)
図22は、圧電素子の構造を示す要部模式断面図である。本実施形態が実施形態1と異なる点は、可撓膜46に凹部が設置されたことにある。これ以外は実施形態1と同様である。
図22に示すように、圧電素子23は、下部電極24上に圧電体膜26と上部電極25とを積層して構成されている。圧電体膜26は、例えば、PZT等の強誘電体セラミックスであって、電気機械変換作用を生ずるペロブスカイト結晶構造を備えている。尚、圧電体膜26は一層のみならず複数の圧電体薄膜層を積層するものでも、異なる種類の圧電体薄膜層を積層するものでもよい。
基体44の補強板52側の面には、エッチングマスク95が設けられている。このエッチングマスク95は、開口45をエッチングする際にマスクとして作用する膜であって、シリコンの熱酸化膜(SiO2)で形成される。補強板52は、基体44に貼り合わせられて構成されている。
特に、本実施形態の開口45には、振動板93を構成する可撓膜96に凹部96aが形成されている。また、振動板93と基体44との開口45側の境界には、ひさし部分96bが形成されている。これら形状はひさし除去工程において形成されるものである。
(製造方法の説明)
次に、圧電素子の製造方法を、図23〜図24を参照して説明する。図23〜図24は圧電素子の製造方法を説明するための模式側断面図である。
絶縁膜形成工程(図23(a)): まず、シリコンウエハー78の一方の面に可撓膜96(SiO2)を、他方の面にエッチングマスク95を形成する。シリコンウエハー78の直径は数インチの大きさであり、シリコンウエハー78の厚みは例えば200μm程度となる。可撓膜96は、振動板として機能し得る程度の強度が得られるように、例えば1μm程度の厚みに形成する。エッチングマスク95も同様の工程で一時に形成される。エッチングマスク95及び可撓膜96の製造には公知の熱酸化法等が用いられる。
尚、本実施形態では、圧電素子23が設けられる振動板93が、ひさし除去工程におけるエッチングにより薄くなるので、この薄膜化されることを考慮した厚みに可撓膜96を形成する必要がある。
圧電素子積層工程(図23(b)): 次いで可撓膜96に下部電極24を形成する。下部電極24は、導電性を有する材料、例えば白金を0.5μm程度積層して形成する。また、複数の層を積層することは好ましい。例えば、チタン層、白金層、チタン層を0.005μm、0.5μm、0.02μmの厚みで積層することにより、上下の層との密着性を増すことができる。これら層の形成は、公知の直流スパッタ法等を用いる。続いてフォトリソグラフィー技術に基づき導電膜から下部電極24、引き出し配線27、図示しない下部電極端子33及び下部電極端子35が形成される。
次に、下部電極24に重ねて圧電体膜26を設置する。圧電体膜26には圧電特性を有する強誘電体セラミックスが用いられる。強誘電性セラミックスとしては、例えば、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O3:PZT)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコニウム酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr、Ti)O3):PLZT)またはマグネシウムニオブ酸ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/30.1(Zr、Ti)0.93)等を用いることができる。
圧電体膜26の形成には、ゾル−ゲル(sol−gel)法を用いる。まず、所定の強電界セラミックスで溶解液を調合する。その溶解液を一定の厚みに塗布しセラミックス層を複数層形成する。例えば、公知のスピンコート法を用いる場合には、毎分500回転で30秒、毎分1500回転で30秒、最後に毎分500回転で10秒間塗布する。塗布後、一定温度(例えば180度)で一定時間(例えば10分程度)乾燥させる。乾燥後、さらに有機溶媒を蒸発させるべく、大気雰囲気下において、所定の高温(例えば400度)で一定時間(30分間)脱脂する。この塗布、乾燥及び脱脂を8回繰り返して8層のセラミックス層を積層する。
セラミックス層を4層重ねた後と8層重ねた後には、さらに、セラミックス層の結晶化を促進し、圧電体としての特性を向上させるために、所定の雰囲気下で熱処理する。例えば、4層積層後、酸素雰囲気下において、高速熱処理(RTA)にて600度で5分間、さらに725度で1分間加熱する。8層積層後、酸素雰囲気下において、RTAにて650度で5分間、さらに900度で1分間加熱する。
圧電体層全体の厚みは、あまりに厚くすると、製造工程が多くなり妥当なコストで製造できなくなったり、高い駆動電圧が必要となる。あまりに薄くすると、厚みを均一に形成できずエッチング後に分離された各圧電素子の特性がばらついたりする。したがって、圧電体層の厚みは、450nm〜2000nm程度が好ましい。フォトリソグラフィー技術に基づき個々の圧電素子23ごとに圧電材料膜及び導電膜から圧電体膜26が形成される。
上部電極25は、圧電体膜26に電圧を印加するための電極である。上部電極25は、導電性を有する材料、例えば白金(Pt)を0.1μm程度の厚みで形成される。
圧電素子成形工程(図23(c)): 圧電素子成形工程では、上部電極25を各開口45の形状に合わせた形状になるようマスクし、その周囲をエッチングして圧電素子23の形状にする工程である。すなわち、スピンナー法、スプレー法等の方法を用いて均一な厚さのレジストを塗布し、露光・現像して、レジストを上部電極25上に形成する。これに、通常用いるイオンミリング、あるいはドライエッチング法等を適用して、不要な部分を除去する。
マスクエッチング工程(図24(a)): マスクエッチング工程では、エッチングマスク95を開口45の形状に合わせて除去し、シリコンウエハー78の露出部分95aを形成する。すなわち、スピンナー法、スプレー法等の方法を用いて均一な厚さのレジストを塗布し、露光・現像して、レジストを開口45形成部分のみを除く。次いでドライエッチング等の方法を使用して、エッチングマスク95を取り除く。ドライエッチングの他、イオントリミング法や、酸化ケイ素に対するエッチングレートの高いエッチング液を用いたウェットエッチングを使用できる。
基板エッチング工程(図24(b)): 基板エッチング工程では、シリコンウエハー78の露出部分95aをエッチングして、開口45を形成する。エッチング方法としては、例えば、湿式の異方性エッチング、平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を用いた異方性エッチングを用いて、開口45のエッチングを行う。このエッチングは、選択比が高く、シリコン原盤のみを選択的にエッチングする。異方性エッチングといっても、原盤の面方向にも一定のエッチングレートで侵食が進む。このため、開口45の端部にはエッチングマスク95にひさし部分95bが生ずる。特に、KOHを用いたシリコンウエハー78の異方性エッチングでは、面方位によってエッチング速度差が大きく、ひさし部分95bが大きく形成されるところもある。
ひさし除去工程(図24(c)): ひさし除去工程では開口45の開口端部に形成されたエッチングマスク95のひさし部分95bを、ウェットエッチングにより取り除く。このエッチングに用いるエッチング液は、エッチングマスク95をシリコンウエハー78より高いエッチングレートでエッチングする選択比の高いものを用いる。例えば、エッチング液としては、フッ化アンモニウム等の緩衝剤がフッ化水素酸に混合されたものが好ましい。緩衝剤としてフッ化アンモニウムを用いる場合は、フッ化水素酸:フッ化アンモニウムを1:6の比で混合したエッチング液を用いる。このエッチング液によりウェットエッチングすると、酸化ケイ素が選択的にエッチングされる。可撓膜96の開口45側の内面も同時にエッチングされるが、ひさし部分95bは、開口部の内側からもエッチングされるため、可撓膜96に比べ2倍の速度でエッチングされる。このため開口45ではひさし部分95bがきれいに除去される。
上述のように、開口45の内面で露出している可撓膜96も、酸化ケイ素により構成されているためエッチングされる。このことから開口45の底面部分の可撓膜96は、同図のような台形上の凹部96aが形成されることになる。また、ウェットエッチングでは、ある程度等方性をもってエッチングされるため、凹部96aの面方向にもエッチングによる侵食が進み、エッチングされずに残されたシリコン原盤が相対的に突出することとなる。このため可撓膜96とシリコンウエハー78との境界に、ひさし部分96bが形成される。これら凹部96aとひさし部分96bが、本実施形態の製造方法を用いたことの形跡となる。
補強板貼り合わせ工程(図22): 補強板貼り合わせ工程では、エッチング後のシリコンウエハー78に補強板52を貼り合わせる。貼り合わせのための接着剤としては、例えばエポキシ樹脂等を用いる。シリコンウエハー78に補強板52を貼り合わせた後、シリコンウエハー78をダイシング装置で溝をつけチップに分割する。これにより、シリコンウエハー78が基体44になり、素子チップ17が完成する。
上記したように、本実施形態4によれば、開口45の形成過程で生ずるエッチングマスク95のひさし部分95bを補強板52の貼り合わせ前に除去したので、ひさし部分95bの破片が残されることによる超音波の出力不良を防止することができる。したがって、本実施形態の製造方法を用いることにより、製品の歩留まりを良くして、超音波プローブ13を生産性良く製造することができる。
(実施形態5)
図25は、圧電素子の製造方法を説明するための模式側断面図である。本実施形態が実施形態4と異なる点は、凹部96a及びひさし部分96bが設置されないことにある。これ以外は実施形態4と同様である。本実施形態における素子チップ17の構成は上記実施形態4と同様なので、同一部分の説明を省略する。
本実施形態における素子チップ17の製造方法を説明する。本実施形態は、上記実施形態4における製造方法の変形例である。基板エッチング工程(図24(b))までは上記実施形態4と同様なので説明を省略する。
レジスト層形成工程(図25(a)): レジスト層形成工程では、開口45を形成後、開口45の底部(圧電素子23が設けられている可撓膜96上)にレジスト層97を設ける。このレジスト層97は、上記エッチングマスク95をエッチングするエッチング液の侵食から可撓膜96を保護する役割を果たす。レジスト層97の形成方法としては、レジストを開口45の底部に設けなければならない。例えば、ポジレジストをスピンナー法、スプレー法等の方法を用いて塗布し、開口45内に厚く溜まり、エッチングマスク上に薄くレジストを形成する。そして、エッチングマスク上のレジストのみ完全に露光可能で、レジストが厚く溜まっている開口45内では十分露光されないような条件下で露光をする。最後に露光部分のみを現像で取り除き、露光されなかった部分をレジスト層97として残す。
ひさし除去工程(図25(b)): ひさし除去工程は、上記実施形態4におけるひさし除去工程(図24(c))と同様の方法で行う。エッチング液によって、ひさし部分95bは除去されるが、開口45の底部の可撓膜96はレジスト層97によって保護されているのでエッチングされない。
レジスト除去工程(図25(c)): レジスト除去工程では、レジスト層97を除去する。ひさし部分95bを除去した後には、レジスト層97が不要となるので、レジスト層97を十分露光させて現像して除去するか、プラズマアッシング装置等を用いてレジスト層97を除去する。レジスト層を除去したら、上記実施形態4と同様に、貼り合わせ工程により補強板52を貼り合わせる(図22参照)。
上記したように本実施形態5によれば、ひさし部分の除去に先立って開口45にレジスト層97を設けるので、振動板の厚みを一定に保つことができる。したがって、本実施形態の製造方法を用いることにより、製品の歩留まりを良くして、超音波プローブ13を生産性良く製造することができる。
<その他の変形例>
上記実施形態によらず種々に変形して適応することが可能である。例えば、上記実施形態では、圧電素子23を形成後にシリコンウエハー78をエッチングしたが、圧電素子23を設ける工程は開口45形成後に行ってもよい。圧電素子の層構造は上記実施形態に限らず、他の層構造を備えていてもよい。
また、本実施形態に記載した方法は、超音波プローブ13の製造のみならず、シリコンウエハー78のエッチングにおいて、エッチングマスク95のひさし部分95bが問題となるあらゆる産業分野に適用することが可能である。すなわち、ひさし除去工程を適用することにより、シリコンウエハー78の表面に残されたエッチングマスク95の破片が生ずるのを防止し、その破片により生じていた障害を防止することができる。
(実施形態4及び実施形態5の効果)
本実施形態によれば、開口45の形成過程で生ずるエッチングマスク95のひさし部分95bを補強板52の貼り合わせ前に除去したので、補強板52の接着不良を防止し製品の歩留まりを良くすることができる。
本実施形態によれば、エッチングマスク95のひさし部分95bを除去すると共に、可撓膜96の凹部96aの有無を選択可能にした。これにより、可撓膜96のコンプライアンスを調整可能にした。
(実施形態6)
次に、素子チップの一実施形態について図26を用いて説明する。図26は、素子チップの構造を示す要部模式断面図である。本実施形態が実施形態1と異なるところは、開口45の内面に保護膜が設置されている点にある。尚、実施形態1と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図26に示すように、開口45を向く可撓膜46及び仕切り壁51に保護膜100が設置されている。例えば、本実施形態では、五酸化タンタル(Ta25)からなる保護膜100が、開口45の総ての表面に設けられている。このような保護膜100の厚さは、特に限定されないが、本実施形態では、開口45の大きさ及び可撓膜46の変位量等を考慮して50nm程度とした。
このような酸化タンタルからなる保護膜100は、特に、アルカリ性の液体に対する耐エッチング性を有する。具体的には、pH8.0以上の液体によるエッチングレートが25℃、0.05nm/day以下であることが好ましい。このように、酸化タンタルからなる保護膜100は、比較的アルカリ性が強い液体に対して非常に優れた耐エッチング性を有している。例えば、本実施形態の五酸化タンタルからなる保護膜100は、pH9.1の液体によるエッチングレートが25℃で、0.03nm/dayであった。
このように開口45の少なくとも内壁表面に五酸化タンタルからなる保護膜100を設けるようにしたので、可撓膜46及び基体44が液体に溶解されることを防止することができる。これにより、開口45の形状を実質的に安定、すなわち、製造時と略同一形状に維持することができる。
これらのことから、保護膜100を設けることにより、超音波の出力特性を長期間一定に維持することができる。尚、このような保護膜100の材料としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ニッケル(Ni)、二酸化シリコン及びクロム(Cr)等を用いることもできるが、酸化タンタルを用いることにより、pH値の高い液体と接触する場合でも、極めて優れた耐エッチング性を発揮する。
次に、保護膜100の設置方法について説明する。基体44の開口45の内壁表面上に、150℃以下温度条件下で保護膜100を形成する。例えば、本実施形態では、イオンアシスト蒸着によって100℃以下の温度条件下で五酸化タンタル(Ta25)からなる保護膜100を形成した。
このように150℃以下の温度条件、本実施形態では、100℃以下の温度条件下で保護膜100を形成するようにしたので、熱によって圧電素子23等に悪影響を及ぼすことなく、保護膜100を比較的容易且つ良好に形成することができる。
また、保護膜100の材料として、五酸化タンタルを用いることにより、非常に優れた耐エッチング性を有する保護膜100とすることができる。したがって、開口45が液体に溶解されることがなく、超音波の出力出特性を長期間に亘って一定に維持することができる。
そして、基体44の可撓膜46とは反対側の面に補強板52を接合する。また、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のシリコンウエハー78上に多数の素子チップ17を同時に形成し、プロセス終了後、素子チップ17毎に分割する。
また、本実施形態では、イオンアシスト蒸着法により保護膜100を形成するようにしたが、保護膜100を形成する方法はこれに限定されず、例えば、対向ターゲット式スパッタ法により保護膜100を形成するようにしてもよい。この対向ターゲット式スパッタ法を用いても、イオンアシスト蒸着と同様に100℃以下の温度条件で緻密な保護膜を良好に形成することができる。また、成膜レートが非常に速いため、製造効率が向上し製造コストの低減を図ることもできる。さらに、保護膜100を形成する際にチャンバ内の圧力を比較的低くすることで、より緻密な保護膜とすることができる。
また、イオンアシスト蒸着法の代わりに、プラズマCVD(化学的気相成長)法によって保護膜100を形成するようにしてもよい。この方法によっても、150℃以下の温度条件で緻密な膜を形成することができる。特に、プラズマCVD法によって保護膜100を形成する場合、所定の条件を選択することで、開口45の側面と底面とで形成される角部や、開口45の周縁部等にも保護膜100を連続的に良好に形成することができる。したがって、耐久性及び信頼性を著しく向上した超音波プローブ13を実現することができる。
尚、これらイオンアシスト蒸着、対向ターゲット式スパッタ法、プラズマCVD法等の他に、例えば、ECR(電子サイクロトロン共鳴)スパッタ法等の他の物理的気相成長法(PVD)等によっても、比較的低温で緻密な保護膜を形成することができる。
13…超音波プローブ、16…筐体、17…超音波トランスデューサー素子チップとしての素子チップ、24…下電極としての下部電極、25…上電極としての上部電極、26…圧電体層としての圧電体膜、46…弾性膜としての可撓膜。

Claims (1)

  1. 超音波トランスデューサー素子チップと、
    前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体と、を備え、
    前記超音波トランスデューサー素子チップは、
    弾性膜と、
    前記弾性膜上に設けられた下電極と、
    前記下電極上に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の表面に形成された上電極と、を備え、
    前記弾性膜が、前記圧電体層に向かって凸に弾性変形していることを特徴とする超音波プローブ。
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