JP2016017596A - 噛合式係合装置 - Google Patents

噛合式係合装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016017596A
JP2016017596A JP2014141611A JP2014141611A JP2016017596A JP 2016017596 A JP2016017596 A JP 2016017596A JP 2014141611 A JP2014141611 A JP 2014141611A JP 2014141611 A JP2014141611 A JP 2014141611A JP 2016017596 A JP2016017596 A JP 2016017596A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moving member
sleeve
axial direction
actuator
hub
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014141611A
Other languages
English (en)
Inventor
弘章 江渕
Hiroaki Ebuchi
弘章 江渕
雄二 岩瀬
Yuji Iwase
雄二 岩瀬
正太郎 加藤
Seitaro Kato
正太郎 加藤
秀和 永井
Hidekazu Nagai
秀和 永井
洋人 橋本
Hiroto Hashimoto
洋人 橋本
舟橋 眞
Makoto Funahashi
眞 舟橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2014141611A priority Critical patent/JP2016017596A/ja
Publication of JP2016017596A publication Critical patent/JP2016017596A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Operated Clutches (AREA)

Abstract

【課題】移動部材の回転を規制することとケースの大型化を抑制することとを両立可能な噛合式係合装置を提供する。【解決手段】第一回転軸2に接続されたハブ63と、第二回転軸4に接続されたピース62と、軸方向に相対移動自在であり、ハブおよびピースのそれぞれと噛み合うことでハブとピースとを係合するスリーブ61と、軸方向に移動自在であり、スリーブに対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続された移動部材64と、軸方向の駆動力を移動部材を介してスリーブに作用させるアクチュエータ66と、リターンスプリング65と、ケース70と、を備え、移動部材は、付勢力を受ける受け部73bを有し、ケースは、受け部よりも軸方向の一方側に位置し、リターンスプリングを支持するスプリング支持部69dと、移動部材における軸方向の他方側の端部と係合し、ケースに対する移動部材の相対回転を規制する規制部71dを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、噛合式係合装置に関する。
従来、噛合式係合装置がある。例えば、特許文献1には、係合することでクラッチホイールの回転を阻止するドグクラッチの技術が開示されている。
特開2010−7736号公報
噛合式係合装置によって2つの回転軸を係合しようとする場合、噛合式係合装置は、スリーブと、アクチュエータと、移動部材と、リターンスプリングを備えることが好ましい。スリーブは、軸方向に移動自在であり、2つの回転軸のそれぞれと噛み合うことで2つの回転軸を係合する。アクチュエータは、軸方向の駆動力を発生する。移動部材は、軸方向に移動自在であり、アクチュエータの駆動力をスリーブに伝達する。リターンスプリングは、移動部材に対してアクチュエータの駆動力の方向と反対方向の付勢力を与える。
このような噛合式係合装置では、移動部材がスリーブに連れ回らないように、移動部材の回転を規制する手段を備えることが望ましい。例えば、アクチュエータを覆うケースに移動部材の回転を規制する規制部を設けることが考えられる。この場合に、規制部の位置が適切でないとケースの大型化を招き、例えば軸長が増加してしまう可能性がある。
本発明の目的は、移動部材の回転を規制することとケースの大型化を抑制することとを両立可能な噛合式係合装置を提供することである。
本発明の噛合式係合装置は、第一回転軸に接続されたハブと、第二回転軸に接続されたピースと、前記ハブおよび前記ピースに対して軸方向に相対移動自在であり、前記ハブおよび前記ピースのそれぞれと噛み合うことで前記ハブと前記ピースとを係合するスリーブと、軸方向に移動自在であり、前記スリーブに対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続された移動部材と、軸方向の駆動力を前記移動部材を介して前記スリーブに作用させるアクチュエータと、前記移動部材に対して前記駆動力の方向と反対方向の付勢力を与えるリターンスプリングと、前記アクチュエータを覆うケースと、を備え、前記移動部材は、前記リターンスプリングの付勢力を受ける受け部を有し、前記ケースは、前記受け部よりも軸方向の一方側に位置し、前記リターンスプリングを支持するスプリング支持部と、前記移動部材における軸方向の他方側の端部と係合し、前記ケースに対する前記移動部材の相対回転を規制する規制部を有することを特徴とする。
上記噛合式係合装置において、前記アクチュエータは、前記移動部材に対して径方向の外側に位置し、前記ケースは、前記アクチュエータよりも軸方向の前記他方側に位置し、前記アクチュエータと軸方向において対向する壁部を有し、前記規制部は、前記壁部における径方向内側の端部に設けられ、前記移動部材に対して径方向外側から係合していることが好ましい。
上記噛合式係合装置において、前記移動部材は、軸方向において前記スリーブを間に挟んで対向する一対の対向部を有し、前記一対の対向部が、それぞれ軸受を介して前記スリーブを支持していることが好ましい。
上記噛合式係合装置において、前記アクチュエータは、径方向の外側から前記移動部材を支持する移動部材支持部を有し、前記移動部材は、すべり軸受を介して前記移動部材支持部によって軸方向に移動自在に支持されると共に、前記規制部によって前記ケースに対する相対回転が規制されることが好ましい。
上記噛合式係合装置において、前記スリーブは、前記ハブによって軸方向に移動自在かつ相対回転不能に支持され、前記スリーブと前記移動部材との間には、前記スリーブと前記移動部材の径方向の相対移動を許容する軸受が介在していることが好ましい。
本発明に係る噛合式係合装置は、第一回転軸に接続されたハブと、第二回転軸に接続されたピースと、ハブおよびピースに対して軸方向に相対移動自在であり、ハブおよびピースのそれぞれと噛み合うことでハブとピースとを係合するスリーブと、軸方向に移動自在であり、スリーブに対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続された移動部材と、軸方向の駆動力を移動部材を介してスリーブに作用させるアクチュエータと、移動部材に対して駆動力の方向と反対方向の付勢力を与えるリターンスプリングと、アクチュエータを覆うケースと、を備え、移動部材は、リターンスプリングの付勢力を受ける受け部を有し、ケースは、受け部よりも軸方向の一方側に位置し、リターンスプリングを支持するスプリング支持部と、移動部材における軸方向の他方側の端部と係合し、ケースに対する移動部材の相対回転を規制する規制部を有する。
本発明に係る噛合式係合装置によれば、規制部とスプリング支持部が移動部材に対して軸方向の異なる側に配置される。これにより、ケースの軸長拡大を抑制しつつ規制部を設けることが容易となる。よって、移動部材の回転を規制することとケースの大型化を抑制することとを両立可能となるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る車両の概略構成図である。 図2は、第1実施形態に係る噛合式係合装置の開放状態を示す断面図である。 図3は、第1実施形態に係る噛合式係合装置の係合状態を示す断面図である。 図4は、規制部を軸方向の一方側に設けた場合の問題を説明する図である。 図5は、第2実施形態に係る噛合式係合装置を示す断面図である。 図6は、各実施形態の第1変形例に係る車両の概略構成図である。
以下に、本発明の実施形態に係る噛合式係合装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図4を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、噛合式係合装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の概略構成図、図2は、第1実施形態に係る噛合式係合装置の開放状態を示す断面図、図3は、第1実施形態に係る噛合式係合装置の係合状態を示す断面図、図4は、規制部を軸方向の一方側に設けた場合の問題を説明する図である。
図1に示すように、車両用駆動装置100は、エンジン1と、回転機MGと、噛合式係合装置60と、変速部38を含んで構成されている。エンジン1は、燃料の燃焼エネルギーをクランク軸2の回転運動に変換する。クランク軸2は、噛合式係合装置60を介して回転機MGの回転軸4に接続されている。噛合式係合装置60は、第一回転軸であるクランク軸2と、第二回転軸である回転軸4とを係合する噛み合い式のクラッチ装置である。
回転機MGは、モータ(電動機)としての機能と、発電機としての機能とを備えている。回転機MGは、インバータを介してバッテリと接続されている。回転機MGは、バッテリから供給される電力を機械的な動力に変換して出力することができると共に、入力される動力によって駆動されて機械的な動力を電力に変換することができる。回転機MGによって発電された電力は、バッテリに蓄電可能である。回転機MGとしては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。
回転軸4は、変速部38を介して出力軸5と接続されている。出力軸5は、減速機構やデファレンシャル装置を介して駆動輪と接続されている。変速部38は、例えば、有段変速機構や無段変速機構である。ECU50は、車両用駆動装置100を制御する制御部である。本実施形態のECU50は、電子制御ユニットである。ECU50は、エンジン1、回転機MG、変速部38および噛合式係合装置60をそれぞれ制御する。
図2に示すように、噛合式係合装置60は、スリーブ61と、ピース62と、ハブ63と、移動部材64と、リターンスプリング65と、アクチュエータ66と、ケース70を含んで構成されている。ハブ63は、クランク軸2に接続されており、クランク軸2と一体回転する。つまり、本実施形態では、クランク軸2が第一回転軸となっている。ピース62は、回転機MGの回転軸4に接続されており、回転軸4と一体回転する。つまり、本実施形態では、回転軸4が第二回転軸となっている。クランク軸2と回転機MGの回転軸4は、同軸上に配置されている。本実施形態では、回転軸4は中空円筒状であり、クランク軸2に対して径方向の外側に配置されている。回転軸4は、軸受7を介してクランク軸2によって支持されており、クランク軸2に対して相対回転自在である。
本明細書において、特に記載しない場合、「軸方向」は第一回転軸(実施形態では、クランク軸2)および第二回転軸(実施形態では、回転軸4)の中心軸線Xの方向を示し、「径方向」は中心軸線Xと直交する半径方向を示し、「周方向」は中心軸線Xを回転中心とする回転方向を示すものとする。
ハブ63は、ドグ歯63aを含んで構成されている。本実施形態のハブ63は、クランク軸2の外周面から突出する大径部である。ハブ63の外周には、複数のドグ歯63aが配置されている。ドグ歯63aは、周方向に所定の間隔で配置されている。ドグ歯63aは、外歯であり、その山部および谷部は軸方向に延在している。
ピース62は、ドグ歯62aを含んで構成されている。本実施形態のピース62は、回転軸4の外周面から突出する大径部である。ピース62の外周には、複数のドグ歯62aが配置されている。ドグ歯62aは、周方向に所定の間隔で配置されている。ドグ歯62aは、外歯であり、その山部および谷部は軸方向に延在している。ハブ63とピース62とは軸方向において隣接している。ハブ63のドグ歯63aの外径とピース62のドグ歯62aの外径は等しい。
スリーブ61は、ハブ63およびピース62に対して軸方向に相対移動自在である。スリーブ61は、ハブ63およびピース62のそれぞれと噛み合うことでハブ63とピース62とを係合する。スリーブ61は、スリーブ本体61aと、ドグ歯61bと、フランジ部61cを含んで構成されている。スリーブ本体61aは、円筒形状の構成部である。フランジ部61cは、円環形状の構成部である。フランジ部61cは、スリーブ本体61aにおける軸方向の一方側の端部に配置されており、径方向外側に向けて突出している。フランジ部61cの外周面と移動部材64との間には、所定の隙間が設けられている。
スリーブ本体61aの内周面には、複数のドグ歯61bが配置されている。ドグ歯61bは、周方向に所定の間隔で配置されている。ドグ歯61bは、内歯であり、その山部および谷部は軸方向に延在している。スリーブ61のドグ歯61bは、ハブ63のドグ歯63aと噛み合っている。つまり、スリーブ61は、ハブ63に対して軸方向に相対移動自在に接続されている。また、スリーブ61は、ハブ63に対して相対回転不能に接続されている。また、スリーブ61のドグ歯61bは、ピース62のドグ歯62aと噛み合うことができる。
アクチュエータ66は、軸方向の駆動力を移動部材64を介してスリーブ61に作用させる。アクチュエータ66は、移動部材64およびスリーブ61に対して軸方向の一方側に向かう駆動力を作用させる。本実施形態のアクチュエータ66は、軸方向におけるハブ63からピース62へ向かう方向の駆動力を発生する。以下の説明では、軸方向のうちハブ63からピース62へ向かう方向を「係合方向」と称し、係合方向と逆方向を「解放方向」と称する。つまり、解放方向は、軸方向の一方側から他方側へ向かう方向であり、係合方向は、軸方向の他方側から一方側へ向かう方向である。
本実施形態のアクチュエータ66は、車体に対して回転不能に固定されている。アクチュエータ66は、コイル67と、第一ヨーク68と、第二ヨーク69を含んで構成されている。ケース70は、アクチュエータ66を覆う。ケース70は、アクチュエータ66の少なくとも一部を収容する外殻部材である。本実施形態のケース70は、第一ケース構成部71と、第二ヨーク69を含んで構成されている。つまり、本実施形態の第二ヨーク69は、アクチュエータ66の構成要素であると共に、ケース70の第二ケース構成部としても機能する。第一ケース構成部71、第一ヨーク68および第二ヨーク69は、それぞれ最外径にフランジ部71a、68a、69aを有している。第一ヨーク68のフランジ部68aおよび第二ヨーク69のフランジ部69aは、第一ケース構成部71のフランジ部71aに対してボルトによって締結されている。第一ケース構成部71は、例えば、噛合式係合装置60を収納するトランスミッションケースの一部である。
第一ヨーク68は、第一壁部68bと、第二壁部68cと、第三壁部68dを有する。第一壁部68bは、円筒形状の構成部である。第一壁部68bは、フランジ部68aの径方向内側の端部から軸方向の他方側に向けて延在している。第二壁部68cは、円環形状の構成部である。第二壁部68cの径方向外側の端部は、第一壁部68bにおける軸方向の他方側の端部と接続されている。第三壁部68dは、円筒形状の構成部である。第三壁部68dは、第二壁部68cの径方向内側の端部から軸方向の一方側に向けて延在している。
第二ヨーク69は、第一壁部69bと、第二壁部69cと、スプリング支持部69dを含んで構成されている。第一壁部69bは、円環形状の構成部である。第一壁部69bは、フランジ部69aの径方向内側の端部と接続されている。第二壁部69cは、円筒形状の構成部である。第二壁部69cは、第一壁部69bにおける軸方向の他方側の面に接続されており、第一壁部69bから軸方向の他方側に向けて延在している。第二壁部69cの先端は、第一ヨーク68の第三壁部68dの先端と軸方向において対向している。
スプリング支持部69dは、第二壁部69cにおける径方向内側の端部に設けられている。スプリング支持部69dは、軸方向の他方側を向く面である。リターンスプリング65における軸方向の一方側の端部は、スプリング支持部69dに接続されている。
コイル67は、第一ヨーク68および第二ヨーク69によって囲まれた空間部に配置されている。コイル67の形状は、円筒形状である。コイル67の外周面は、径方向において第一ヨーク68の第一壁部68bと対向している。また、コイル67における軸方向の他方側の端面は、軸方向において第一ヨーク68の第二壁部68cと対向している。コイル67における軸方向の一方側の端面は、第二ヨーク69の第一壁部69bと軸方向において対向している。コイル67の内周面は、第一ヨーク68の第三壁部68dおよび第二ヨーク69の第二壁部69cのそれぞれと径方向において対向している。
第一ケース構成部71は、第一ヨーク68を覆うカバー部材である。第一ケース構成部71は、非磁性体で構成されており、フランジ部71aと、第一壁部71bと、第二壁部71cを有する。第一壁部71bは、円筒形状の構成部である。第一壁部71bは、フランジ部71aの径方向内側の端部に接続されており、フランジ部71aから軸方向の他方側に向けて延在している。第一壁部71bは、第一ヨーク68の第一壁部68bの外周面を覆っている。第二壁部71cは、円環形状の構成部である。第二壁部71cの径方向外側の端部は、第一壁部71bにおける軸方向の他方側の端部に接続されている。第二壁部71cは、第一ヨーク68の第二壁部68cにおける軸方向の他方側の面を覆っている。第二壁部71cは、アクチュエータ66よりも軸方向の他方側に位置し、アクチュエータ66と軸方向において対向する壁部である。
移動部材64は、軸方向に移動自在であり、スリーブ61に対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続されている。本実施形態の移動部材64は、アーマチュア72とプランジャ73を含んで構成されている。アーマチュア72とプランジャ73は、圧入等によって互いに固定されており、一体となって軸方向に移動する。
アーマチュア72は、第一円筒部72aと、第二円筒部72bと、外側フランジ部72cと、内側フランジ部72dと、溝部72eを含んで構成されている。第一円筒部72aおよび第二円筒部72bは、それぞれ円筒形状の構成部である。第二円筒部72bは、第一円筒部72aよりも軸方向の一方側に位置している。第二円筒部72bは、第一円筒部72aよりも大径である。外側フランジ部72cおよび内側フランジ部72dは、それぞれ円環形状の構成部である。外側フランジ部72cは、第一円筒部72aと第二円筒部72bを径方向に接続している。外側フランジ部72cにおける径方向内側の端部は、第一円筒部72aにおける軸方向の一方側の端部に接続されている。外側フランジ部72cにおける径方向外側の端部は、第二円筒部72bにおける軸方向の他方側の端部に接続されている。
内側フランジ部72dは、第一円筒部72aから径方向の内側に向けて突出している。内側フランジ部72dは、第一円筒部72aにおける軸方向の中間部に接続されている。内側フランジ部72dは、スリーブ61のフランジ部61cよりも軸方向の他方側に位置しており、軸方向においてフランジ部61cと対向している。第一円筒部72aは、第一ヨーク68の第三壁部68dによって径方向の外側から支持されている。第一円筒部72aと第三壁部68dの内周面との間には、すべり軸受としてのブッシュ74が介在している。つまり、第一円筒部72aは、ブッシュ74を介して第三壁部68dによって軸方向に移動自在に支持されている。
プランジャ73は、アーマチュア72における軸方向の一方側の端部に接続されている。プランジャ73は、円筒部73aと、フランジ部73bを含んで構成されている。円筒部73aは、円筒形状の構成部である。円筒部73aにおける軸方向の他方側の端部は、アーマチュア72の第一円筒部72aにおける軸方向の一方側の端部と嵌合している。円筒部73aと第二ヨーク69の第二壁部69cの内周面との間には、すべり軸受としてのブッシュ78が介在している。つまり、プランジャ73は、ブッシュ78を介して第二壁部69cによって軸方向に移動自在に支持されている。
フランジ部73bは、円環形状の構成部である。フランジ部73bの径方向外側の端部は、円筒部73aの内周面に接続されている。フランジ部73bは、スリーブ61のフランジ部61cよりも軸方向の一方側に位置しており、軸方向においてフランジ部61cと対向している。つまり、アーマチュア72の内側フランジ部72dとプランジャ73のフランジ部73bは、軸方向においてスリーブ61のフランジ部61cを間に挟んで対向する一対の対向部となっている。
アーマチュア72の内側フランジ部72dは、伝達スプリング75および軸受76を介してスリーブ61のフランジ部61cを軸方向において支持している。軸受76は、少なくとも軸方向の荷重を支持可能な軸受であり、例えばスラストころ軸受である。軸受76の一方側の軌道盤76aは、スリーブ61のフランジ部61cに接続されており、他方側の軌道盤76bは、伝達スプリング75における軸方向の一方側の端部に接続されている。一対の軌道盤76a,76bの間には、転動体76cが配置されている。伝達スプリング75における軸方向の他方側の端部は、アーマチュア72の内側フランジ部72dに接続されている。伝達スプリング75は、移動部材64と軸受76との間に介在し、アクチュエータ66の推力を移動部材64からスリーブ61に伝達する。本実施形態の伝達スプリング75は、コイルスプリングであり、与圧を与えられた状態、言い換えると押し縮められた状態で内側フランジ部72dと軸受76との間に配置されている。
プランジャ73のフランジ部73bとスリーブ61のフランジ部61cとの間には、軸受77が介在している。つまり、フランジ部73bは、軸方向において、軸受77を介してスリーブ61を支持している。軸受77は、少なくとも軸方向の荷重を支持可能な軸受であり、例えばスラストころ軸受である。軸受77の他方側の軌道盤77aは、スリーブ61のフランジ部61cに接続されている。軸受77の一方側の軌道盤77bは、プランジャ73の円筒部73aに対して摺動可能に嵌合している。一対の軌道盤77a,77bの間には、転動体77cが配置されている。軌道盤77bは、円筒部73aの内周面と接触しながら円筒部73aおよびフランジ部73bに対して軸方向に相対移動することができる。
第二ヨーク69には、ストッパ69eが設けられている。ストッパ69eは、第二ヨーク69の第一壁部69bにおける軸方向の他方側の壁面、すなわち解放方向を向いた面に設けられている。第二ヨーク69の第一壁部69bには、プランジャ73の円筒部73aと対向する位置に円環形状の溝が形成されている。ストッパ69eは、当該溝の底面である。ストッパ69eは、プランジャ73の係合方向への移動量(ストローク量)の最大値を規定する。言い換えると、ストッパ69eは、移動部材64(アーマチュア72およびプランジャ73)の最大ストローク位置に設けられており、移動部材64の最大ストローク位置を規定する。
リターンスプリング65は、移動部材64に対してアクチュエータ66による駆動力の方向と反対方向の付勢力を与える。リターンスプリング65は、プランジャ73のフランジ部73bと第二ヨーク69のスプリング支持部69dとの間に配置されている。本実施形態のリターンスプリング65は、コイルスプリングである。リターンスプリング65は、与圧を与えられた状態、言い換えると押し縮められた状態でフランジ部73bとスプリング支持部69dとの間に配置されている。リターンスプリング65の軸方向の一方側の端部はスプリング支持部69dに固定されており、軸方向の他方側の端部はフランジ部73bに固定されている。フランジ部73bは、リターンスプリング65の付勢力を受ける受け部である。アクチュエータ66が推力を発生させていない場合、移動部材64は、リターンスプリング65による解放方向の付勢力によって、図2に示す初期位置まで移動する。移動部材64の初期位置は、アーマチュア72の外側フランジ部72cが第一ヨーク68の第三壁部68dと軸方向において当接する位置である。
ストロークセンサ6は、スリーブ61のストローク量を検出する。スリーブ61のストローク量は、スリーブ61の初期位置からの軸方向の一方側へ向けての移動量である。ストロークセンサ6の検出結果を示す信号は、ECU50へ出力される。
ECU50は、アクチュエータ66を制御する。本実施形態のアクチュエータ66は、電磁力によって移動部材64を吸引する電磁ソレノイド方式のアクチュエータである。ECU50は、アクチュエータ66のコイル67に通電する電流値を制御する。コイル67が通電されると、コイル67の周囲に磁界が発生する。発生する磁界により、第一ヨーク68、第二ヨーク69およびアーマチュア72が磁化され、アーマチュア72を係合方向(軸方向の一方側)に向けて吸引する推力が発生する。アクチュエータ66の推力の方向は、スリーブ61をピース62に係合させる方向である。つまり、アクチュエータ66は、移動部材64に対してスリーブ61をピース62に係合させる方向の推力を付与する。
アクチュエータ66の推力の大きさは、コイル67に通電される電流値に応じて変化する。アクチュエータ66の推力の大きさは、電流値が大きくなるに従って大きくなる。また、アクチュエータ66の推力の大きさは、移動部材64のストローク量、言い換えるとアーマチュア72と第二ヨーク69の第二壁部69cとの軸方向の隙間の大きさに応じて変化する。アクチュエータ66の推力の大きさは、移動部材64のストローク量が大きくなるに従って大きくなる。
アクチュエータ66は、コイル67に通電されると、移動部材64を軸方向の一方側に向けて吸引し、リターンスプリング65の付勢力に抗して移動部材64を係合方向に移動させる。アクチュエータ66の駆動力は、伝達スプリング75および軸受76を介してスリーブ61に伝達され、スリーブ61を軸方向の一方側に向けて移動させる。スリーブ61が軸方向の一方側に向けて移動することで、ドグ歯61bがピース62のドグ歯62aと噛み合う。これにより、スリーブ61のドグ歯61bがハブ63のドグ歯63aおよびピース62のドグ歯62aとそれぞれ噛み合った状態となり、クランク軸2と回転軸4が連結される。ドグ歯61bがドグ歯63aおよびドグ歯62aと同時に噛み合っている係合状態では、クランク軸2と回転軸4とが噛合式係合装置60を介してトルクを伝達可能となる。図3に示すように、プランジャ73の先端面73cがストッパ69eに当接すると、軸方向の一方側へ向かう移動部材64の移動が規制される。図3に示す状態は、移動部材64が最大ストローク位置にある状態であり、噛合式係合装置60の係合状態である。
本実施形態の噛合式係合装置60は、移動部材64とスリーブ61とが伝達スプリング75を介して接続されており、移動部材64とスリーブ61とが軸方向に相対移動可能である。これにより、以下に説明するようにスリーブ61をピース62に係合するときの応答性等が向上する。
噛合式係合装置60では、スリーブ61のドグ歯61bとピース62のドグ歯62aとの接触により、スリーブ61の軸方向の移動が規制された中途停止状態となる場合がある。中途停止状態は、スリーブ61のストローク量が予め定められた完全係合ストローク量に達しないままスリーブ61の軸方向の移動が規制された状態である。
本実施形態の噛合式係合装置60では、スリーブ61が移動部材64によって、伝達スプリング75を介して弾性支持されている。中途停止状態となると、伝達スプリング75が押し縮められ、プランジャ73のフランジ部73bと軸受77とが離間する。スリーブ61の運動エネルギーは、伝達スプリング75のポテンシャルエネルギーに変換される。この状態から、中途停止状態が解消され、スリーブ61がピース62に対して軸方向に相対移動可能となると、スリーブ61は、伝達スプリング75の付勢力により軸方向の一方側に押し出される。伝達スプリング75のポテンシャルエネルギーは、スリーブ61の運動エネルギーに変換され、スリーブ61のストローク速度を増加させる。よって、噛合式係合装置60は、中途停止状態が解消された後で速やかにスリーブ61のストローク量を増加させて、スリーブ61とピース62を完全係合させることができる。
ここで、本実施形態の噛合式係合装置60は、第一回転軸としてのクランク軸2と、第二回転軸としての回転軸4とを係合するクラッチ装置である。スリーブ61は、ハブ63と一体回転する回転部材である。一方、スリーブ61に対してアクチュエータ66の推力を伝達する移動部材64は、アクチュエータ66と共に回転を停止していることが望ましい部材である。本実施形態の噛合式係合装置60では、移動部材64が軸受76,77を介してスリーブ61を支持している。言い換えると、移動部材64は、スリーブ61に対して軸方向の力を伝達可能かつスリーブ61に対して相対回転可能なようにスリーブ61に対して接続されている。これにより、スリーブ61と移動部材64との間のトルクの伝達がある程度遮断されているものの、完全には遮断されておらず、移動部材64がスリーブ61に連れ回る可能性がある。従って、アクチュエータ66に対する移動部材64の相対回転を規制する規制機構が必要となる。
移動部材64の回転を規制する規制機構として、例えば、移動部材64に対して軸方向におけるリターンスプリング65と同じ側に規制部を設けることが考えられる。例えば、図4に示すように、第二ヨーク69に規制部を設けることも可能である。しかしながら、このような配置では、噛合式係合装置60の軸長が長くなってしまうという問題がある。図4に示す構成例では、第二ヨーク69の第二壁部69cに規制部169fが設けられている。規制部169fは、第二壁部69cの内周面から径方向内側に向けて突出する突起部である。また、プランジャ73には、溝部173が設けられている。溝部173は、プランジャ73の円筒部73aの外周面に形成されており、軸方向に延在している。規制部169fは、溝部173に係合しており、第二ヨーク69に対するプランジャ73の相対回転を規制し、かつプランジャ73の軸方向の相対移動を許容する。プランジャ73の相対回転を規制する規制機構を設けようとする場合、移動部材64の必要なストローク量を確保しつつ規制部169fおよび溝部173を設けようとすると、プランジャ73の軸長が長くなりやすい。これにより、例えば、図4に示すように第二ヨーク69においてストッパ169eの部分だけ軸方向に突出する形状となったり、噛合式係合装置60の全体の軸長が大きくなったりしてしまう。
これに対して、本実施形態に係る噛合式係合装置60では、図2に示すように、ケース70において、スプリング支持部69d側とは軸方向で反対側に規制部71dが設けられている。規制部71dは、第一ケース構成部71の第二壁部71cにおける径方向内側の端部に設けられている。規制部71dは、径方向の内側に向けて突出する突出形状となっている。本実施形態では、規制部71dが複数設けられている。複数の規制部71dは、第二壁部71cの内周面に周方向に沿って所定の間隔で配置されている。
アーマチュア72には、規制部71dと係合する複数の溝部72eが設けられている。溝部72eは、第一円筒部72aの外周面に形成されている。溝部72eは、第一円筒部72aにおける軸方向の他方側の端部、すなわちスプリング支持部69d側とは反対側の端部に配置されている。溝部72eは、軸方向に延在している。複数の溝部72eは、周方向に沿って所定の間隔で配置されている。各規制部71dは、径方向の外側から各溝部72eに係合している。つまり、本実施形態では、第一ケース構成部71とアーマチュア72とがスプライン係合している。溝部72eに規制部71dが係合していることで、ケース70に対するアーマチュア72を含む移動部材64の相対回転が規制される。本実施形態では、ケース70が車体側に固定され、回転不能である。よって、移動部材64は、ケース70によって回転不能に支持されている。
ケース70における軸方向の他方側の壁部である第二壁部71cは、軸方向の一方側の壁部である第一壁部69bとは異なり、プランジャ73の円筒部73aよりも径方向内側まで伸ばす必要がない。第二ヨーク69の第一壁部69bは、リターンスプリング65を支持するスプリング支持部69dを備える必要がある。スプリング支持部69dは、ストッパ69eよりも径方向の内側に設ける必要がある。従って、図4に示すように、プランジャ73の軸長が長くなった場合に、スプリング支持部69dを設けるためには、プランジャ73の可動範囲を迂回するように第二ヨーク69を突出させる必要がある。
これに対して、第一ケース構成部71は、アーマチュア72の第一円筒部72aよりも径方向の内側まで伸ばすことが求められない。よって、第一ケース構成部71の形状として、アーマチュア72の可動範囲を迂回させるような形状や、ケース70全体の軸長を拡大した形状を採用する必要がない。従って、本実施形態によれば、噛合式係合装置60の軸長を低減することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る噛合式係合装置60では、ケース70は、受け部としてのフランジ部73bよりも軸方向の一方側に位置し、リターンスプリング65を支持するスプリング支持部69dと、移動部材64における軸方向の他方側の端部と係合し、ケース70に対する移動部材64の相対回転を規制する規制部71dを有する。規制部71dが移動部材64における他方側の端部と係合するように配置されることで、ケース70の軸長低減が可能となる。よって、噛合式係合装置60は、移動部材64の回転を規制することとケース70の大型化を抑制することとを両立できる。
また、本実施形態の噛合式係合装置60では、規制部71dは、第一ケース構成部71の第二壁部71cにおける径方向内側の端部に設けられ、移動部材64に対して径方向外側から係合している。第二壁部71cは、アクチュエータ66よりも軸方向の他方側に位置し、アクチュエータ66と軸方向において対向する壁部である。規制部71dを第二壁部71cの径方向内側の端部に設けた突起部として、この突起部を移動部材64の溝部72eに径方向外側から係合させることで、ケース70の軸長を増加させることなく移動部材64の回転を規制する規制部71dを実現することが可能となる。
本実施形態の噛合式係合装置60では、図2に示す初期位置において、アーマチュア72の端部が第二壁部71cから軸方向の他方側に突出している。このように移動部材64における軸方向の他方側の端部をケース70から軸方向に突出可能としておくことで、ケース70の軸長の短縮が可能である。例えば、移動部材64が初期位置にある場合にも移動部材64がケース70から突出させないようにすると、ケース70の軸長を拡大したり、第一ケース構成部71に突出部を設けたりする必要が生じる。これに対して、移動部材64の少なくとも一部がケース70から突出可能であれば、ケース70の軸長の拡大が抑制される。本実施形態の噛合式係合装置60では、ケース70における軸方向の他方側に規制部71dを配置している。これにより、ケース70から移動部材64が突出することを許容しつつ移動部材64の回転を規制する回転規制機構が実現される。
また、本実施形態の噛合式係合装置60では、移動部材64は、軸方向においてスリーブ61を間に挟んで対向する一対の対向部を有している。アーマチュア72の内側フランジ部72dは、スリーブ61のフランジ部61cに対して軸方向の他方側に位置する対向部として機能する。また、プランジャ73のフランジ部73bは、スリーブ61のフランジ部61cに対して軸方向の一方側に位置する対向部として機能する。アーマチュア72の内側フランジ部72dとプランジャ73のフランジ部73bは、スリーブ61のフランジ部61cを間に挟んで対向している。
アーマチュア72の内側フランジ部72dは、伝達スプリング75および軸受76を介してスリーブ61のフランジ部61cを支持している。従って、移動部材64は、軸受76を介して、アクチュエータ66の推力をスリーブ61に伝達可能である。プランジャ73のフランジ部73bは、軸受77を介してスリーブ61のフランジ部61cを支持している。従って、移動部材64は、軸受77を介して、リターンスプリング65の付勢力をスリーブ61に伝達可能である。また、移動部材64とスリーブ61との間に軸受76,77が介在していることで、移動部材64とスリーブ61との間のトルクの伝達が遮断されている。本実施形態の噛合式係合装置60では、スリーブ61のフランジ部61cと軸受76,77が手動変速機(MT)のシフトフォークのごとく機能する。これにより、移動部材64とスリーブ61の間に独立したシフトフォークを介在させる場合よりも部品点数を少なくすることができる。
本実施形態の噛合式係合装置60では、アクチュエータ66は、径方向の外側から移動部材64を支持する移動部材支持部を有している。第一ヨーク68の第三壁部68dは、ブッシュ74を介して移動部材64のアーマチュア72を径方向の外側から支持している。また、第二ヨーク69の第二壁部69cは、ブッシュ78を介して移動部材64のプランジャ73を径方向の外側から支持している。つまり、本実施形態では、第一ヨーク68の第三壁部68dおよび第二ヨーク69の第二壁部69cが移動部材支持部として機能する。移動部材64は、すべり軸受であるブッシュ74,78を介して移動部材支持部(第三壁部68dおよび第二壁部69c)によって軸方向に移動自在に支持されている。従って、径方向における移動部材64に対する支持は、移動部材支持部によってなされる。
一方、移動部材64の回転は、規制部71dによって規制されている。規制部71dは、ケース70に対する移動部材64の相対回転を規制している。第一ケース構成部71は、径方向において移動部材64を支持する必要はなく、移動部材64の回転を規制することができる剛性を有していればよい。従って、第一ケース構成部71の軽量化や小型化が可能である。
また、本実施形態の噛合式係合装置60では、スリーブ61はハブ63によって軸方向に移動自在かつ相対回転不能に支持されている。また、軸受76,77には、径方向のガタが設けられている。すなわち、軸受76は、スリーブ61から移動部材64への径方向の力が伝達されないようにガタが設けられている。例えば、軌道盤76aと転動体76cとの間や、軌道盤76bと転動体76cとの間に径方向のガタが設けられている。また、軸受77は、スリーブ61から移動部材64へ径方向の力が伝達されないようにガタが設けられている。例えば、軌道盤77aと転動体77cとの間や、軌道盤77bと転動体77cとの間に径方向のガタが設けられている。つまり、本実施形態の噛合式係合装置60では、スリーブ61と移動部材64との間には、スリーブ61と移動部材64の径方向の相対移動を許容する軸受76,77が介在している。これにより、クランク軸2から移動部材64へ径方向の力が入力されることが抑制される。
[第2実施形態]
図5を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図5は、第2実施形態に係る噛合式係合装置を示す断面図である。本実施形態の噛合式係合装置80において、上記第1実施形態の噛合式係合装置60と異なる点は、伝達スプリング75を有しておらず、アーマチュア72と軸受76が軸方向において相対移動不能な点である。
図5に示すように、アーマチュア72は、軸受76に直接的に接続されている。アーマチュア72の第一円筒部72aには、上記第1実施形態の内側フランジ部72dに代えて、内側突起部72fが設けられている。内側突起部72fは、第一円筒部72aの内周面から径方向の内側に向けて突出している。内側突起部72fは、径方向の内側へ向かうに従って軸方向の幅が狭くなるテーパ形状となっている。内側突起部72fにおける軸方向の一方側の面72gは、軸方向と直交している。上記一方側の面72gには、軸受76の軌道盤76bが接続されている。軸受76の軌道盤76aは、上記第1実施形態と同様にスリーブ61のフランジ部61cに接続されている。内側突起部72fにおける軸方向の他方側の面72hは、径方向の内側を向く傾斜面であり、径方向においてスリーブ61と対向している。
本実施形態に係る噛合式係合装置80においても、移動部材64は、軸方向に移動自在であり、スリーブ61に対して軸方向の力を伝達可能かつスリーブ61に対して相対回転自在なようにスリーブ61に対して接続されている。すなわち、移動部材64は、アクチュエータ66から与えられる推力を、軸受76を介してスリーブ61に伝達する。また、移動部材64は、リターンスプリング65から与えられる付勢力を、軸受77を介してスリーブ61に伝達する。また、軸受76,77は、スリーブ61に対して移動部材64を相対回転自在に接続する。
噛合式係合装置80において、軸受76,77に径方向のガタが設けられていることが好ましい。軸受76,77にガタが設けられることで、スリーブ61から移動部材64への径方向の力の伝達を遮断可能となる。
[各実施形態の第1変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第1変形例について説明する。図6は、各実施形態の第1変形例に係る車両の概略構成図である。第1変形例の車両用駆動装置101において、上記第1実施形態および第2実施形態と異なる点は、第二遊星歯車機構20において、ロー側変速比とハイ側変速比の切り替えがなされる点である。
車両用駆動装置101は、第一遊星歯車機構10と、第二遊星歯車機構20と、第一回転機MG1と、第二回転機MG2と、変速部34と、噛合式係合装置90を含んで構成されている。第一遊星歯車機構10は、シングルピニオン式であり、第一サンギヤ11、第一ピニオンギヤ12、第一リングギヤ13および第一キャリア14を含んで構成されている。
第二遊星歯車機構20は、ダブルピニオン式であり、第二サンギヤ21、第二ピニオンギヤ22、第二リングギヤ23および第二キャリア24を含んで構成されている。第二ピニオンギヤ22は、一対のギヤ22a,22bで構成されている。内側ピニオンギヤ22aは、第二サンギヤ21および外側ピニオンギヤ22bと噛み合っている。外側ピニオンギヤ22bは、内側ピニオンギヤ22aおよび第二リングギヤ23と噛み合っている。エンジン1のクランク軸2は、第一キャリア14に接続されている。第一サンギヤ11には、第一回転機MG1のロータRt1が接続されている。第一リングギヤ13は、第二リングギヤ23と接続されており、第二リングギヤ23と一体回転する。第二キャリア24は、出力軸33と接続されている。
第一回転機MG1および第二回転機MG2は、上記各実施形態の回転機MGと同様に、モータ(電動機)としての機能と、発電機としての機能とを備えている。出力軸33は、減速機構やデファレンシャル装置を介して駆動輪と接続されている。出力軸33には、変速部34を介して第二回転機MG2のロータRt2が接続されている。
噛合式係合装置90は、スリーブ91と、ハブ92と、第一ピース93と、第二ピース94と、移動部材95と、アクチュエータ96を含んで構成されている。ハブ92は、第二サンギヤ21と接続されており、第二サンギヤ21と一体回転する。第一ピース93は、車体側に固定されており、回転不能である。第二ピース94は、出力軸33と接続されており、出力軸33と一体回転する。本変形例の噛合式係合装置90は、第一回転軸としての第二サンギヤ21と、第二回転軸としての出力軸33とを係合するクラッチ機能を有するだけでなく、第二サンギヤ21の回転を規制するブレーキ機能も有する。
スリーブ91は、ハブ92によって支持されている。スリーブ91は、ハブ92および各ピース93,94に対して軸方向に相対移動自在であり、ハブ92および第一ピース93のそれぞれと噛み合うことでハブ92と第一ピース93とを係合する。また、スリーブ91は、ハブ92および第二ピース94のそれぞれと噛み合うことでハブ92と第二ピース94とを係合する。移動部材95は、軸方向に移動自在であり、スリーブ91に対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続されている。アクチュエータ96は、軸方向の駆動力を移動部材95を介してスリーブ91に作用させる。アクチュエータ96は、例えば、上記第1実施形態のアクチュエータ66と同様に、電磁力によって移動部材95に対して軸方向の推力(駆動力)を与える。本変形例のアクチュエータ96は、移動部材95に対して第一方向D1の駆動力を付与する。第一方向D1は、軸方向のうちハブ92から第二ピース94へ向かう方向である。
リターンスプリング97は、移動部材95に対してアクチュエータ96による駆動力の方向と反対方向の付勢力を与える。リターンスプリング97は、第二方向D2の付勢力を移動部材95に付与する。第二方向D2は、第一方向D1と逆方向である。アクチュエータ96が移動部材95に対する軸方向の駆動力を発生させていない場合、移動部材95は、リターンスプリング97の付勢力によって第二方向D2に移動する。スリーブ91は、移動部材95を介して伝達される付勢力によって第二方向D2に移動し、第一ピース93と噛み合う。この場合、スリーブ91は、ハブ92と第一ピース93のそれぞれと噛み合い、ハブ92と第一ピース93を係合する。この第一係合状態では、第一サンギヤ11の回転が規制される。第二遊星歯車機構20の入力側回転要素である第二リングギヤ23の回転数に対して、出力側回転要素である第二キャリア24の回転数が高回転となる。つまり、第二遊星歯車機構20において、エンジン1から入力される回転数が増速されて出力軸33に出力される。
ハブ92と第二ピース94とを係合させる場合、ECU50は、アクチュエータ96に対して駆動力の発生を指示する。アクチュエータ96が発生させる駆動力は、リターンスプリング97の付勢力に抗して移動部材95を第一方向D1に移動させる。スリーブ91は、移動部材95を介して伝達される駆動力によって第一方向D1に移動し、第二ピース94と噛み合う。これにより、スリーブ91は、ハブ92と第二ピース94のそれぞれと噛み合い、ハブ92と第二ピース94を係合する。この第二係合状態では、第二サンギヤ21と第二キャリア24とが連結され、第二遊星歯車機構20の差動回転が規制される。これにより、第二遊星歯車機構20において、エンジン1から入力される回転数が減速も増速もされずに等速で出力軸33に出力される。このように、噛合式係合装置90において、第二係合状態では、第一係合状態よりも第二遊星歯車機構20の変速比が低速側の値となる。
また、第二サンギヤ21と出力軸33との間には、ワンウェイクラッチ37が設けられている。ワンウェイクラッチ37は、第二サンギヤ21の回転数が出力軸33の回転数よりも高回転となることを規制する。
噛合式係合装置90において、移動部材95がスリーブ91の回転によって連れ回りしてしまうことを抑制する必要がある。移動部材95の回転を規制する規制部は、上記第1実施形態や第2実施形態の規制部71dと同様に、ケース70に設けられることが好ましい。規制部は、移動部材95におけるリターンスプリング97側とは反対側の端部と係合し、ケース70に対する移動部材95の相対回転を規制するものであることが好ましい。
また、ケース70は、上記各実施形態の第二壁部71cのごとく、アクチュエータ96よりも軸方向の他方側に位置し、アクチュエータ96と軸方向において対向する壁部を有することが好ましく、規制部は、当該壁部における径方向内側の端部に設けられ、移動部材95に対して径方向外側から係合していることが好ましい。
また、移動部材95は、上記第1実施形態の内側フランジ部72dおよびフランジ部73bや、上記第2実施形態の内側突起部72fおよびフランジ部73bのごとく、軸方向においてスリーブ91を間に挟んで対向する一対の対向部を有することが好ましく、一対の対向部が、それぞれ軸受を介してスリーブ91を支持していることが好ましい。
アクチュエータ96は、上記各実施形態の第三壁部68dおよび第二壁部69cのごとく、径方向の外側から移動部材95を支持する移動部材支持部を有することが好ましく、移動部材95は、すべり軸受を介して移動部材支持部によって軸方向に移動自在に支持されると共に、規制部によってケース70に対する相対回転が規制されることが好ましい。
[各実施形態の第2変形例]
上記各実施形態では、アクチュエータ66,96が電磁アクチュエータであったが、これには限定されない。アクチュエータ66,96は、電磁力によって推力を発生させることに代えて、油圧等によって推力を発生させるものであってもよい。上記各実施形態では、ケース70に設けられる規制部71dが凸部であったが、これに代えて規制部71dが凹部とされてもよい。この場合、移動部材64,95に規制部71dに係合する凸部が設けられることが好ましい。あるいは、ケース70および移動部材64,95にそれぞれ凹部を設けておき、両者の凹部に係合部材を係合させて回転止めとしてもよい。また、規制部71dは複数でなくても、キーのごとく単数であってもよい。
軸受76,77は、転がり軸受に代えて、すべり軸受とされてもよい。ブッシュ74,78による軸受に代えて、メッキによる軸受がなされてもよい。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 エンジン
2 クランク軸
4 回転軸
33 出力軸
60,80,90 噛合式係合装置
61,91 スリーブ
62 ピース
63,92 ハブ
64,95 移動部材
65,97 リターンスプリング
66,96 アクチュエータ
68 第一ヨーク
69 第二ヨーク
69d スプリング支持部
70 ケース
71d 規制部
72 アーマチュア
72e 溝部
73 プランジャ
73a 円筒部
73b フランジ部
74,78 ブッシュ
75 伝達スプリング
76,77 軸受
93 第一ピース
94 第二ピース

Claims (5)

  1. 第一回転軸に接続されたハブと、
    第二回転軸に接続されたピースと、
    前記ハブおよび前記ピースに対して軸方向に相対移動自在であり、前記ハブおよび前記ピースのそれぞれと噛み合うことで前記ハブと前記ピースとを係合するスリーブと、
    軸方向に移動自在であり、前記スリーブに対して軸方向の力を伝達可能かつ相対回転自在に接続された移動部材と、
    軸方向の駆動力を前記移動部材を介して前記スリーブに作用させるアクチュエータと、
    前記移動部材に対して前記駆動力の方向と反対方向の付勢力を与えるリターンスプリングと、
    前記アクチュエータを覆うケースと、
    を備え、
    前記移動部材は、前記リターンスプリングの付勢力を受ける受け部を有し、
    前記ケースは、前記受け部よりも軸方向の一方側に位置し、前記リターンスプリングを支持するスプリング支持部と、前記移動部材における軸方向の他方側の端部と係合し、前記ケースに対する前記移動部材の相対回転を規制する規制部を有する
    ことを特徴とする噛合式係合装置。
  2. 前記アクチュエータは、前記移動部材に対して径方向の外側に位置し、
    前記ケースは、前記アクチュエータよりも軸方向の前記他方側に位置し、前記アクチュエータと軸方向において対向する壁部を有し、
    前記規制部は、前記壁部における径方向内側の端部に設けられ、前記移動部材に対して径方向外側から係合している
    請求項1に記載の噛合式係合装置。
  3. 前記移動部材は、軸方向において前記スリーブを間に挟んで対向する一対の対向部を有し、
    前記一対の対向部が、それぞれ軸受を介して前記スリーブを支持している
    請求項1または2に記載の噛合式係合装置。
  4. 前記アクチュエータは、径方向の外側から前記移動部材を支持する移動部材支持部を有し、
    前記移動部材は、すべり軸受を介して前記移動部材支持部によって軸方向に移動自在に支持されると共に、前記規制部によって前記ケースに対する相対回転が規制される
    請求項1から3のいずれか1項に記載の噛合式係合装置。
  5. 前記スリーブは、前記ハブによって軸方向に移動自在かつ相対回転不能に支持され、
    前記スリーブと前記移動部材との間には、前記スリーブと前記移動部材の径方向の相対移動を許容する軸受が介在している
    請求項1から4のいずれか1項に記載の噛合式係合装置。
JP2014141611A 2014-07-09 2014-07-09 噛合式係合装置 Pending JP2016017596A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014141611A JP2016017596A (ja) 2014-07-09 2014-07-09 噛合式係合装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014141611A JP2016017596A (ja) 2014-07-09 2014-07-09 噛合式係合装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016017596A true JP2016017596A (ja) 2016-02-01

Family

ID=55232962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014141611A Pending JP2016017596A (ja) 2014-07-09 2014-07-09 噛合式係合装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016017596A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109826879A (zh) * 2017-11-16 2019-05-31 株式会社捷太格特 电磁促动器及离合装置
JP2019116910A (ja) * 2017-12-26 2019-07-18 アイシン精機株式会社 連結装置、及びそれを用いた駆動力伝達装置
JP2021011906A (ja) * 2019-07-05 2021-02-04 トヨタ自動車株式会社 クラッチ

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109826879A (zh) * 2017-11-16 2019-05-31 株式会社捷太格特 电磁促动器及离合装置
JP2019090512A (ja) * 2017-11-16 2019-06-13 株式会社ジェイテクト 電磁アクチュエータ及び断続装置
US11049634B2 (en) 2017-11-16 2021-06-29 Jtekt Corporation Electromagnetic actuator and connection/disconnection apparatus
JP2019116910A (ja) * 2017-12-26 2019-07-18 アイシン精機株式会社 連結装置、及びそれを用いた駆動力伝達装置
JP7003645B2 (ja) 2017-12-26 2022-01-20 株式会社アイシン 連結装置、及びそれを用いた駆動力伝達装置
JP2021011906A (ja) * 2019-07-05 2021-02-04 トヨタ自動車株式会社 クラッチ
JP7156189B2 (ja) 2019-07-05 2022-10-19 トヨタ自動車株式会社 クラッチ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5880516B2 (ja) 動力伝達装置
JP6316515B2 (ja) 電気駆動装置
US9130412B2 (en) Motor drive assembly for a vehicle
JP6028507B2 (ja) 電気自動車用駆動装置
US8469848B2 (en) Vehicular drive apparatus
JP5842998B2 (ja) 車両用変速機
JP5855843B2 (ja) 駆動装置
US10704617B2 (en) Power transmission apparatus
JP2013108619A5 (ja)
JP5439935B2 (ja) 駆動力伝達装置
US10197134B2 (en) Hybrid transmission having electro-magnetically actuated pawl clutch
KR102471296B1 (ko) 듀얼 습식 클러치 메카니즘용 입력 디스크 캐리어, 듀얼 습식 클러치 메카니즘, 듀얼 습식 클러치 시스템, 및 하이브리드 파워트레인
JP2013044406A (ja) 電動式変速機及び電気自動車用駆動装置
JP2016017596A (ja) 噛合式係合装置
US20110197692A1 (en) Interlocking gearbox
JP6128076B2 (ja) 車両用駆動装置
JP2010052518A (ja) ハイブリッド車両の駆動装置
JPWO2020161996A1 (ja) 動力伝達装置
JPWO2014147844A1 (ja) 係合装置及び動力伝達装置
CN109923331A (zh) 电动致动器
JP2013200011A (ja) 動力伝達装置及び駆動装置
JP2013200012A (ja) ブレーキ装置及び動力伝達装置
JP2020143780A (ja) 動力伝達装置
JP2021014198A (ja) インホイールモータ型駆動ユニット
WO2013021755A1 (ja) 動力伝達装置