JP2016017049A - 新規ベンズオキサジン誘導体及びこれを含有する医薬 - Google Patents

新規ベンズオキサジン誘導体及びこれを含有する医薬 Download PDF

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Katsuhiko Yanagisawa
勝彦 柳澤
昭好 河合
Akiyoshi Kawai
昭好 河合
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Toshio Furuya
利夫 古谷
喜好 高山
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喜好 高山
朋子 清水
Tomoko Shimizu
朋子 清水
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Abstract

【課題】GM1結合型Aβ(GAβ)に特異的に結合し、Aβの重合を特異的に阻害し、アミロイド線維の形成を抑制できる化合物、当該化合物を含むアミロイド線維形成抑制剤及び神経変性疾患の治療薬又は予防薬の提供。
【解決手段】式(I)で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤。
Figure 2016017049

[XはO又はC;Yは−CH−又は−C(O)−;Zは−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−等;Arはアリール基又はヘテロアリール基;R及びRは各々独立にH、アルキル基、アルコキシアルキル基等;ここで、R及びRは共同して環を形成してもよい;RはH、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等;RはH、アルキル基、ヒドロキシアルキル基等]
【選択図】なし

Description

本発明は、アミロイド線維形成抑制剤に関する。本発明は、特には、アミロイド線維形成抑制剤を含有する神経変性疾患の治療薬または予防薬に関する。
現在、日本はかつて無いスピードで人口の高齢化が進展しており、それと共にアルツハイマー病を中心とする認知症患者の数も増えつつある。現時点での認知症患者数は約200万人と推定され、今後高齢化とともに患者数は増加すると見積もられている。これらの認知症の患者の介護は、経済的にも大きな負担となることから、一日も早い有効な治療法の確立が急務である。
アルツハイマー病患者に共通してみられる病理学的特徴としては、(1)脳の萎縮、(2)斑状のアミロイド蓄積物(老人斑)の形成、(3)神経細胞内における繊維状の塊(神経原繊維変化)の蓄積の3つがあり、これらがアルツハイマー病の臨床症状である認知障害(アルツハイマー型認知症)を引き起こす。アルツハイマー型認知症の治療としては、コリンエステラーゼ阻害薬やNMDA阻害薬などを用いて、一時的に認知症の症状を改善する対症療法が行われている。しかし、その効果は極めて限定的であり、アルツハイマー病の発症および進行を抑制する根本療法の確立が強く望まれている。
アルツハイマー病の根本療法が確立されるためには、アルツハイマー病の発症機序が解明されることが必要である。アルツハイマー病には、遺伝的要因によって引き起こされる家族性(遺伝性)アルツハイマー病と、遺伝的背景を持たない孤発性アルツハイマー病が知られており、現在、家族性アルツハイマー病については、その原因遺伝子や危険因子が明らかにされつつある。家族性アルツハイマー病と孤発性アルツハイマー病は、その臨床症状が共通していることから、その発症過程においても共通のメカニズムが存在することが予測されており、家族性アルツハイマー病の発症機序の研究が、孤発性アルツハイマー病の発症メカニズムの解明につながることが期待されている。
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の一つに、アミロイド前駆体タンパク質(Amyloid Precursor Protein:APP)をコードする遺伝子がある。APP遺伝子に突然変異があると、必ずアルツハイマー病が引き起こされることが知られている。APPは、βセクレターゼおよびγセクレターゼによって切断され、アミロイドβ(Aβ)を生成する。Aβには、APPにおける切断点の違いにより、40アミノ酸からなるAβ40と、Aβ40のC末端に2アミノ酸が付加されたAβ42とが存在するが、正常な脳ではAβ40が優位であるのに対し、老人斑にはAβ42が多く含まれる。さらに、変異APPはAβ42の発現比率を増大させることや、Aβ42はAβ40に比べて凝集しやすいことが明らかになっている。これらの事実から、Aβ42が最初に凝集し、それを核としてAβ40が凝集・蓄積していくことにより、アミロイド線維の形成が進行し、アルツハイマー病が発症するという説が提唱されている。
Aβの凝集は、神経細胞膜を構成するGM1ガングリオシド(GM1)に対してAβが結合して複合体(GM1結合型Aβ:GAβ)が形成されることから開始されるとの知見が得られている(非特許文献1、2)。また、GM1は神経細胞膜中のコレステロール濃度依存的に集合してクラスターを形成すること、および、AβはこのGM1クラスターに対して特異的に結合することによりGAβを形成することが、人工脂質膜小胞を用いた解析により確認されている(非特許文献3)。さらに、GAβを特異的に認識する抗体を用いた解析により、GAβは可溶性Aβとは異なる構造を有するものであることが確認されている(非特許文献4)。これらの知見から、AβがGM1クラスターに結合すると、異なる構造を有するGAβへと変化し、このGAβが「種(シード)」となってAβの凝集が促進されるとする仮説が提唱されており、その後、この仮説を支持する複数の研究結果が得られている(非特許文献5〜9)。
これまで、上記のAβ凝集メカニズムについての仮説に基づき、アルツハイマー病の根本的治療・予防方法の開発を目的として、種々の化合物が開発され、臨床試験に供されてきた。従来よく知られたものでは、例えば、Aβを生成する際にAPPのN末端側を切断するβセクレターゼに対する阻害剤、および、APPのC末端側を切断するγセクレターゼに対する阻害剤が挙げられる(特許文献1、非特許文献10)。これらの阻害剤は、Aβの産生を阻害することによってアミロイド線維の形成を抑制できることが期待された。しかし、βセクレターゼとγセクレターゼは、いずれもAPPのみを特異的な基質とする酵素ではなく、その結果、特にγセクレターゼは、発生・分化に深く関与するNotchシグナルを阻害してしまうことにより、重篤な副作用が生じることが問題となる。また、Aβの重合を阻害する低分子化合物も、多数開発されている(特許文献2〜6)。これらの化合物は、Aβの重合を阻害することにより、アミロイド線維の伸長を阻止または線維を分断する。しかし、化合物の投与を停止すれば、Aβの重合が再開されることが示唆されており、アミロイド線維の形成に対し、十分な抑制効果を得るには至っていない。
近年、GAβに対して特異的に結合する抗体(4396C抗体)を用いたアミロイド線維形成抑制剤が開発された(特許文献7)。4396C抗体は、GAβを特異的に認識して結合し、GAβに対するAβの重合を阻害することにより、アミロイド線維の形成を根本的に抑制する。しかし、抗体の作製には多大な時間的・経済的コストがかかるという問題があり、また、抗体を用いた薬剤は、その投与方法が限定されるため、臨床における使用が困難であるという問題がある。
米国特許出願公開第20100233156号 国際公開第2009/103652号 国際公開第2003/045923号 米国特許第7687512号 米国特許出願公開第20100063077号 米国特許出願公開第20060223812号 特許第4102850号公報
Yanagisawa,K. et al., Nat.Med., Vol.1, pp.1062−1066 (1995) Yanagisawa,K. et al., Neurobiol.Aging, Vol.19, pp.S65−67 (1998) Kakio,A. et al., J.Biol.Chem., Vol.276, pp.24985−24990 (2001) Yanagisawa,K. et al., FEBS Lett., Vol.420, pp.43−46 (1997) McLaurin,J., and Chakrabartty,A., J.Biol.Chem., Vol.271, pp.26482−26489 (1996) Choo−Smith,L.P., and Surewicz,W.K., FEBS Lett., Vol.402, pp.95−98 (1997) Choo−Smith,L.P. et al., J.Biol.Chem., Vol.272, pp.22987−22990 (1997) Matsuzaki、K. et al., Biochemistry, Vol.38, pp.4137−4142 (1999) Koppaka,V. and Axelsen,P.H., Biochemistry, Vol.39, pp.10011−10016 (2000) Shuto,D. et al., Bioorg.Med.Chem.Lett., Vol.13, pp.4273−4276 (2003)
本発明は、従来技術の諸問題を解消し、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の根本的な予防・治療方法を提供することを目的としてなされたものであり、Aβの重合を特異的に阻害でき、かつ、臨床応用に優れたアミロイド線維形成抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、GAβに対して特異的に結合することによりAβの重合を阻害する低分子化合物を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、一実施形態によれば、一般式(I):
Figure 2016017049
[式中、
Xは、酸素原子または炭素原子であり、
Yは、−C(O)−または−CH−であり、
Zは、−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−O−、−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−O−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、−(CH−C≡C−C(O)−(CH−、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−、または、−(CH−C(O)−C≡C−(CH
(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜5の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
であり、
Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基または水酸基であり、
は、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基である]
で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤を提供するものである。
前記一般式(I)において、
Xは、酸素原子であり、
Yは、−CH−であり、
Zは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH
(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
であり、
Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基または水酸基であり、
は、水素原子またはC1−20アルキル基である
ことが好ましい。
前記一般式(I)において、
Xは、酸素原子であり、
Yは、−CH−であり、
Zは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH
(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
であり、
Arは、置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、インドリル基、チエノ基、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基またはオキサゾリル基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基またはC1−20アルコキシアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基または水酸基であり、
は、水素原子である
ことが好ましい。
また、本発明は、一実施形態によれば、表1A〜表1Eに記載の化合物番号1〜122の化合物からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤を提供するものである。
前記化合物は、化合物番号1、3〜6、8、10〜15、17〜23、26、32〜42、44〜46、48、57、59〜61、64〜66、69〜76、79、89、92〜94、97〜99、102、105、106、110〜115および119の化合物からなる群から選択されることが好ましい。
または、前記化合物は、化合物番号3、4、8、10、11、13、14、17、18、20、23、26、32〜34、36、37、41、42、44、45、57、60、66、69、70、72〜76、79、93、97、105および111の化合物からなる群から選択されることが好ましい。
また、本発明は、一実施形態によれば、上記アミロイド線維形成抑制剤を含有する神経変性疾患の治療薬または予防薬を提供するものである。
前記神経変性疾患は、アルツハイマー病であることが好ましい。
また、本発明は、一実施形態によれば、化合物番号1〜122からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を提供するものである。
前記化合物は、化合物番号47〜56、59〜93および118〜122からなる群から選択されることが好ましい。
本発明に係るアミロイド線維形成抑制剤は、既存の抗GAβ抗体(4396C抗体)と同様に、GAβに特異的に結合し、アミロイド線維の重合開始を遮断することにより、アミロイド線維の形成を確実に抑制することができる。また、本発明に係るアミロイド線維形成抑制剤の有効成分は低分子化合物であることから、(1)合成が容易であり、安価に大量に調製することができる、(2)抗原性を示さないため、安全性が高い、(3)分子の安定性が高く、種々の剤型において安定したGAβ結合能を確保できる、といった点で抗体よりも優れている。
また、本発明に係るアミロイド線維形成抑制剤を用いることにより、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の根本的な予防・治療方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
本発明は、第一の実施形態によれば、一般式(I):
Figure 2016017049
[式中、
Xは、酸素原子または炭素原子であり、
Yは、−C(O)−または−CH−であり、
Zは、−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−O−、−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−O−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、−(CH−C≡C−C(O)−(CH−、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−、または、−(CH−C(O)−C≡C−(CH
(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜5の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
であり、
Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基または水酸基であり、
は、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリールである]
で表される化合物(以降、本明細書では、「化合物(I)」と記載する)もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤である。
「アミロイド線維」とは、アミロイドβ(以降、本明細書では「Aβ」と記載する)が繊維状に凝集して形成される不溶性物質である。アミロイド線維は、最初に神経細胞膜を構成するGM1ガングリオシド(以降、本明細書では「GM1」と記載する)に対してAβが結合して複合体(GM1結合型Aβ:GAβ)が形成され、GAβを「種(シード)」としてAβが凝集することにより形成される。本実施形態によるアミロイド線維形成抑制剤は、GAβに対するAβの凝集を阻害することにより、アミロイド線維の形成を抑制するものである。
「Aβ」とは、アミロイド前駆体タンパク質(以降、本明細書では「APP」と記載する)がβセクレターゼおよびγセクレターゼによって切断されて生成されるペプチドであり、APPにおける切断点の相違により、アミノ酸数の異なるAβ40やAβ42などが含まれる。
「APP」には、NCBIのRefSeqデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/RefSeq/)において、RefSeqアクセッション番号NP_001129601.1、NP_001129602.1、NP_001191232.2、NP_958817.1、NP_001191231.1、NP_958816.1、NP_001191230.1、NP_000475.1、NP_001129488.1、NP_001129603.1として登録されているアミノ酸配列からなるヒトAPPの他、βセクレターゼおよびγセクレターゼによって切断されてAβを生成するものであることを限度として、上記アミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは約95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が包含され得る。アミノ酸配列の同一性は、配列解析ソフトウェアを用いて、または、当分野で慣用のプログラム(FASTA、BLASTなど)を用いて算出することができる。
また、「APP」には、βセクレターゼおよびγセクレターゼによって切断されてAβを生成するものであることを限度として、上記アミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質が包含され得る。ここで、「1〜数個」とは、例えば「1〜30個」、好ましくは「1〜10個」、特に好ましくは「1〜5個」である。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、化合物(I)もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる。
化合物(I)において、Xは、酸素原子または炭素原子であり、好ましくは酸素原子である。
化合物(I)において、Yは、−C(O)−または−CH−であり、好ましくは−CH−である。
化合物(I)において、Zは、−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−O−、−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−O−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、−(CH−C≡C−C(O)−(CH−、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−、または、−(CH−C(O)−C≡C−(CH−であり、好ましくは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−であり、特に好ましくは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−である。ここで、式中のl、mおよびnは、それぞれ独立して0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数である。
上記式中の−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により、1以上の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群から選択される。
上記C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基およびC1−20アルキレンジオキシ基は、好ましくはC1−10であり、特に好ましくはC1−5である。また、アルキル基およびヒドロキシアルキル基には、直鎖状および文枝鎖状のいずれの形態のものも含まれる。置換基の数および置換位置は特に限定されないが、置換基の数としては、0〜3個が好ましい。
化合物(I)において、Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、好ましくは、置換もしくは非置換のC6−10アリール基または置換もしくは非置換のC4−10ヘテロアリール基である。
本実施形態において「アリール基」とは、芳香族炭化水素環基を意味する。本実施形態におけるアリール基は、2以上の芳香族炭化水素環が縮合したものであってもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基などが挙げられ、好ましくは、フェニル基またはナフチル基である。
本実施形態において「ヘテロアリール基」とは、アリール基の環上の1以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されている基を意味する。好ましいヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される。ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、インドリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チエノ基、フリル基、チエニル基などが挙げられ、好ましくは、ピリジル基、ピリジル基、キノリル基、チエノ基、フリル基またはオキサゾリル基である。
本実施形態において、上記アリール基およびヘテロアリール基は、置換されていなくてもよいし、1以上の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルキルアミノカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、C1−20ハロアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、アミノスルホニル基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群から選択される。
化合物(I)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、好ましくは、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基またはC1−20アルコキシアルキル基である。アルキル基は、置換されていなくてもよいし、1以上の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。この場合における置換基は、上で定義したものと同様である。
本実施形態において、RおよびRの各々は同じであっても異なっていてもよく、RおよびRが共同して環を形成してもよい。
化合物(I)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基または水酸基であり、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基または水酸基であり、特に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基または水酸基である。
上記置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基は、好ましくはC1−10であり、特に好ましくはC1−5である。また、アルキル基およびヒドロキシアルキル基には、直鎖状および文枝鎖状のいずれの形態のものも含まれる。アルキル基およびシクロアルキル基は、置換されていなくてもよいし、1以上の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。この場合における置換基は、上で定義したものと同様である。
化合物(I)において、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC4−14ヘテロアリール基であり、好ましくは水素原子である。
本実施形態において使用される化合物(I)には、特に断らない限り、その互変異性体、幾何異性体(例えば、E体、Z体など)、鏡像異性体などの立体異性体も含まれる。
本実施形態において使用される化合物(I)は、以下の実施例において記載する化学合成方法およびそれに準ずる化学合成方法に、適宜従来公知の種々の方法を組み合わせて行うことにより合成することができる。
または、本実施形態において使用される化合物(I)が市販化合物から選択される場合には、市販化合物を購入してもよい。市販化合物は、例えば、国内では、ナミキ商事株式会社もしくはキシダ化学株式会社を通して、Ambinter社、Enamine社、Aurora Fine Chemicals LLC社、UORSY社、Vitas−M Laboratory社、Interbioscreen社、Interchim社、Ryan Scientific社、ChemDiv社などから購入することができる。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤には、上記化合物(I)を含んでなるものの他、上記化合物(I)の薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなるものが包含される。
本実施形態において、「薬学的に許容される」とは、薬剤の使用に際して有害ではないことを意味する。本実施形態における薬学的に許容される塩とは、例えば、化合物(I)に酸性基が存在する場合には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、L−グルカミンなどのアミン付加塩;またはリジン、δ−ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸付加塩などが挙げられる。また、例えば、化合物(I)に塩基性基が存在する場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸などの有機酸塩;アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸付加塩などが挙げられる。
本実施形態における薬学的に許容される「溶媒和物」とは、例えば、水和物、アルコール和物の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタンおよびシクロヘキサンからなる群より選択される薬学的に許容される溶媒との溶媒和物などが挙げられ、好ましくは水和物である。
化合物(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物は、これらから選ばれる単独または2以上の混合物を、アミロイド線維形成抑制剤の有効成分とすることができる。本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、有効成分のみから構成されてもよいが、一般的には、さらに任意の成分として、薬学的に許容される公知の希釈液、担体、賦形剤などを含んでもよい。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤を製造するには、定法に従って、化合物(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を、必要に応じて上記公知の担体と組み合わせて製剤化すればよい。アミロイド線維形成抑制剤において、化合物(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物は、有効成分として、各形態に応じた範囲で適切な摂取量となるように含有されればよい。アミロイド線維形成抑制剤において、化合物(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物は、その投与量が、通常成人1日当たり0.001mg/kg(体重)以上、好ましくは0.01mg/kg(体重)以上となるように、薬剤中の含有量が決定されることが好ましいが、かかる範囲には限定されず、患者の症状、年齢、性別などにより適宜調整されることが可能である。投与量の上限は、1日当たり、100mg/kg(体重)以下が好ましく、10mg/kg(体重)以下がより好ましい。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、種々の剤型に製剤化することができ、剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤などが挙げられる。したがって、本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、経口投与、腹腔内投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、脳内投与など、種々の方法により投与することができる。
アミロイド線維形成抑制剤を経口用製剤とする場合は、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤などの固形剤とすることができる。この場合には、適切な添加物、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などの添加剤や、さらに所望により結合剤、崩壊剤、潤沢剤、着色剤、香料などを配合することができる。固形剤を錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。または、アミロイド線維形成抑制剤の経口用製剤は、例えばシロップ剤などの液剤とすることができ、この場合には、滅菌水、生理食塩水、エタノールなどを担体として使用し得る。さらに所望により、懸濁剤などの補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤などを添加してもよい。
アミロイド線維形成抑制剤を非経口用製剤とする場合は、例えば、注射剤や直腸投与剤などの液剤とすることができる。この場合には、常法により、有効成分を注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの希釈剤に溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製することができる。また、固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
また、アミロイド線維形成抑制剤の非経口用製剤は、例えば、マイクロカプセルなどの徐放性製剤することができ、脳内に直接投与することもできる。徐放性製剤は、体内から即時に除去されることを防ぎ得る担体を用いて調製することができる。好ましい担体としては、例えば、エチレンビニル酢酸塩、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの、生物分解性/生物適合性ポリマーを用いることができる。また、担体としてリポソームを用いることもできる。好ましいリポソームは、特に限定されないが、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって精製され調製されたものであってよい。
さらに、本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤には、所望により、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などの薬学的に許容される添加物や他の治療薬を含有させることができる。
また、アミロイド線維形成抑制剤の製剤化に際しては、安定化剤を配合することが好ましい。安定化剤としては、例えば、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコールなどが挙げられる。
製剤中に含有される有効成分の量は、種々の条件、例えば抽出溶媒の種類、使用した溶媒の使用量等によっても変動する。そのため、有効成分の量は、上記好ましい摂取量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、アミロイド線維の形成を根本的かつ確実に抑制することができる。そのため、アミロイド線維形成と関連する疾患の治療や予防などの用途に有用である。
本発明は、第二の実施形態によれば、化合物番号1〜122の化合物からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤である。以下に示す化合物番号1〜122の化合物は、GAβに対するAβの重合を阻害し、アミロイド線維の形成を抑制することができる。
Figure 2016017049
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[1]N−(3−クロロフェネチル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号1)、
[2]4−(2−オキソ−2−((2−(チオフェン−2−イル)エチル)アミノ)エチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号2)、
[3]4−(2−(ベンジルアミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号3)、
[4]N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号4)、
[5]2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)−N−(4−スルファモイルフェネチル)アセトアミド(化合物番号5)、
[6]N−(ナフタレン−1−イル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号6)、
[7]N−(4−モルホリノフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号7)、
[8]N−(2−フルオロフェネチル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号8)、
[9]4−(2−オキソ−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)エチル)−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オン(化合物番号9)、
[10]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号10)、
[11]4−(2−((2−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号11)、
[12]N−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号12)、
[13]N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号13)、
[14]N−(4−アセトアミドフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号14)、
[15]N−(3−ニトロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号15)、
[16]N−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号16)、
[17]N−(4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号17)、
[18]N−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号18)、
[19]N−(3−メトキシフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号19)、
[20]N−(2−アセチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号20)、
[21]N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号21)、
[22]2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)−N−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物番号22)、
[23]N−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号23)、
[24]4−(2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド)安息香酸イソプロピル(化合物番号24)、
[25]N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号25)、
[26]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号26)、
[27]N−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号27)、
[28]4−(2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド)ベンズアミド(化合物番号28)、
[29]N−(4−アセチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号29)、
[30]2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)−N−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド(化合物番号30)、
[31]N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号31)、
[32]N−(2−ブロモ−4−メチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号32)、
[33]N−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号33)、
[34]N−(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号34)、
[35]N−メチル−N−(4−ニトロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号35)、
[36]2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物番号36)、
[37]N−(2−クロロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号37)、
[38]N−(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号38)、
[39]N−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号39)、
[40]2−(4−クロロフェニル)−1−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)エタン−1−オン(化合物番号40)、
[41]N−(4−フルオロフェネチル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号41)、
[42]N−(3−クロロフェネチル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号42)、
[43]1−(2−メチルモルホリノ)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)エタン−1−オン(化合物番号43)、
[44]4−(2−((2−(4−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号44)、
[45]N−メチル−4−(2−オキソ−2−((3−フェニルプロピル)アミノ)エチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号45)、
[46]4−(2−((3−クロロフェネチル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号46)、
[47]4−(2−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号47)、
[48]4−(2−((3−フルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号48)、
[49]4−(2−オキソ−2−(ピリジン−2−イルアミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号49)、
[50]4−(2−オキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号50)、
[51]4−(2−オキソ−2−(ピリジン−3−イルアミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号51)、
[52]4−(2−((2−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号52)、
[53]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号53)、
[54]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−シクロプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号54)、
[55]4−(2−オキソ−2−(m−トリルアミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号55)、
[56]4−(2−((3−メトキシフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号56)、
[57]N−(3−クロロフェネチル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号57)、
[58]4−(2−オキソ−2−((2−(チオフェン−2−イル)エチル)アミノ)エチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号58)、
[59]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−3−オキソ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号59)、
[60]4−(3−(4−クロロフェニル)−2−オキソプロピル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号60)、
[61]4−(2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号61)、
[62]4−(3−クロロフェニルアミノカルボニル)−N−プロピル−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号62)、
[63]4−ベンジルアミノカルボニル−N−プロピル−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号63)、
[64]N−ブチル−4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号64)、
[65]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−(3−フルオロプロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号65)、
[66]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−7−フルオロ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号66)、
[67]7−フルオロ−4−(2−オキソ−2−(m−トリルアミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号67)、
[68]7−フルオロ−4−(2−((3−メトキシフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号68)、
[69]N−(3−クロロフェニル)−2−(2−(ピロリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号69)、
[70](E)−4−(3−(3−クロロフェニル)アクリロイル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号70)、
[71]4−(2−((3−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号71)、
[72](E)−4−(3−(3−クロロフェニル)アリル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号72)、
[73]4−(2−((3,5−ジフルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号73)、
[74]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号74)、
[75]4−(2−オキソ−2−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号75)、
[76]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−6−フルオロ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号76)、
[77]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−8−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号77)、
[78]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−7−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号78)、
[79]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−6−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号79)、
[80]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−5−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号80)、
[81]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−8−フルオロ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号81)、
[82]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−5−フルオロ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号82)、
[83]4−((3−クロロベンジル)グリシル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド塩酸塩(化合物番号83)、
[84]4−((3−クロロフェネチル)グリシル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド塩酸塩(化合物番号84)、
[85]4−(2−((3−クロロ−5−フルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号85)、
[86]4−(2−((5−フルオロピリジン−3−イル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド塩酸塩(化合物番号86)、
[87]4−(2−((5−クロロピリジン−3−イル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド塩酸塩(化合物番号87)、
[88]6−フルオロ−4−(2−オキソ−2−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号88)、
[89]4−((3−クロロベンジル)スルホニル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号89)、
[90](E)−4−(3−(3,5−ジクロロフェニル)アクリロイル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号90)、
[91]7−フルオロ−4−(2−オキソ−2−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)エチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号91)、
[92]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号92)、
[93]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−6−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号93)、
[94]N−(3−クロロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号94)、
[95]N−(3−ブロモフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号95)、
[96]N−(3−フルオロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号96)、
[97]1−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)エタン−1−オン(化合物番号97)、
[98]N−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−2−イル)メチル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号98)、
[99]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号99)、
[100]4−(2−((2−(4−クロロフェノキシ)エチル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号100)、
[101]N−(3−クロロフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号101)、
[102]N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号102)、
[103]N−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号103)、
[104]N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号104)、
[105]N−(3−フルオロフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号105)、
[106]N−(3−クロロフェネチル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号106)、
[107]N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号107)、
[108]N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(2−(モルホリン−4−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−イル)アセトアミド(化合物番号108)、
[109]4−(2−((3−クロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号109)、
[110]4−(2−((5−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号110)、
[111]4−(2−((5−クロロ−2−メチルフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号111)、
[112]4−(2−((3−ブロモフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号112)、
[113]4−(2−((2,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号113)、
[114]4−(2−((2,6−ジフルオロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号114)、
[115]4−(2−((2,3−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号115)、
[116]4−(2−((2,6−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号116)、
[117]4−(2−(シクロヘキシルアミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号117)、および、
[118]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−3−オキソ−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号118)
[119]4−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−2−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号119)
[120]4−((3−クロロベンジル)スルホニル)−2−メチル−N−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−2−カルボキサミド(化合物番号120)
[121]1−(2−((3,5−ジクロロフェニル)アミノ)−2−オキソエチル)−N−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物番号121)
[122]N−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(3−(モルホリン−4−カルボニル)−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)アセトアミド(化合物番号122)
本実施形態において使用される化合物は、より好ましくは、化合物番号1、3〜6、8、10〜15、17〜23、26、32〜42、44〜46、48、57、59〜61、64〜66、69〜76、79、89、92〜94、97〜99、102、105、106、110〜115および119の化合物からなる群から選択される。上記化合物は、アミロイド線維形成に対して強い抑制効果を有する。
本実施形態において使用される化合物は、特に好ましくは、化合物番号3、4、8、10、11、13、14、17、18、20、23、26、32〜34、36、37、41、42、44、45、57、60、66、69、70、72〜76、79、93、97、105および111の化合物からなる群から選択される。上記化合物は、アミロイド線維形成に対して特に強い抑制効果を有する。
化合物番号1〜122の化合物は、第一の実施形態における化合物(I)と同様に、以下の実施例において記載する化学合成方法およびそれに準ずる化学合成方法に、適宜従来公知の種々の方法を組み合わせて行うことにより合成することができる。または、市販化合物から選択される場合には、市販化合物を購入してもよい。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤には、上記特定の化合物を含んでなるものの他、上記化合物の薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなるものが包含される。本実施形態における「薬学的に許容される塩」および「溶媒和物」は、第一の実施形態において定義したものと同様である。
本実施形態のアミロイド線維形成抑制剤は、第一の実施形態における化合物(I)として、または、化合物(I)に代えて、上記特定の化合物を用いる以外は、第一の実施形態のアミロイド線維形成抑制剤と同様にして調製されてよい。なお、化合物1〜42、44〜96、98〜116および118〜122は、一般式(I)で表される構造を有する化合物である。化合物43、97および117は、一般式(I)で表される構造と類似の構造を有する化合物であり、化合物(I)に代えて用いることができる。
本発明は、第三の実施形態によれば、上記アミロイド線維形成抑制剤を含有する神経変性疾患の治療薬または予防薬である。本実施形態による神経変性疾患の治療薬または予防薬は、化合物(I)で表される化合物もしくは化合物番号1〜122から選択される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物から選ばれる、単独または2以上の混合物を含んでなるアミロイド線維形成抑制剤と、任意の成分とを含有する。ここでいう任意の成分は、通常の医薬品成分であってよく、通常用いられている各種形態、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤などとして調製される。また、本実施形態による神経変性疾患の治療薬または予防薬は、任意の成分として、神経変性疾患の治療または予防のための他の有効成分をさらに含有してもよい。
本実施形態において、「治療」とは、神経変性疾患に罹患した動物において、その疾患の病態の進行および悪化を阻止または緩和することを意味し、その疾患を完全に治癒することのみならず、その疾患の諸症状を緩和することをも含む。また、「予防」とは、神経変性疾患に罹患するおそれのある動物において、その疾患の罹患を未然に防ぐことを意味する。
本実施形態において、「神経変性疾患」とは、Aβの凝集およびアミロイド線維の形成と関連する(もしくはそれに起因する)神経組織の変性を伴う疾患全般を意味する。神経変性疾患としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症、脳アミロイド血管症、ハンチントン病などが挙げられる。
本実施形態の治療薬または予防薬の対象となる神経変性疾患は、好ましくはアルツハイマー病である。「アルツハイマー病」には、いわゆるアルツハイマー病(孤発性アルツハイマー病)の他、家族性(遺伝性)アルツハイマー病も包含される。
本実施形態の治療薬または予防薬の対象となる動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、非ヒト霊長類、ヒトなどの哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
本実施形態による神経変性疾患の治療薬または予防薬は、アミロイド線維の形成と関連する神経変性疾患の根本的な治療または予防のために有用である。
本発明は、第四の実施形態によれば、化合物番号1〜122の化合物からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
本実施形態の化合物は、好ましくは、化合物番号47〜56、59〜93および118〜122の化合物からなる群から選択される。
本実施形態の化合物は、以下の実施例において記載する化学合成方法およびそれに準ずる化学合成方法に、適宜従来公知の種々の方法を組み合わせて行うことにより合成することができる。
本実施形態における「薬学的に許容される塩」および「溶媒和物」は、第一の実施形態において定義したものと同様である。
本実施形態による化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物は、GAβに対するAβの重合を阻害し、アミロイド線維の形成を抑制することができる。そのため、アミロイド線維形成と関連する疾患の治療や予防などの用途に有用である。
以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
<1.アミロイド線維の形成を抑制する化合物のスクリーニング>
GAβを特異的に認識し、アミロイド線維の形成を抑制する化合物を見出すために、分子ドッキングシミュレーションプログラムDOCK4(http://dock.compbio.ucsf.edu/)によるバーチャルスクリーニングを行った。バーチャルスクリーニングを行うにあたり、最初に分子動力学シミュレーションによるGAβ複合体モデルの構築を行った。GM1分子の中で、Aβとの結合に関与すると考えられる糖鎖領域について分子軌道計算に基づいた構造最適化を施し、各原子に対して部分電荷を割り当てた。これらの最適化構造の各原子の3次元座標データおよび部分電荷の値を、AMBERで用いられる経験的力場のff99パラメータセットの中に取り込み、水分子を配置した分子系の中で5nsの分子動力学計算を実施した。GM1の糖鎖領域についての分子動力学計算を行い、トラジェクトリポーズをサンプリングした。得られたトラジェクトリポーズを用いて、Protein Data Bankに登録されたAβ40の立体構造(PDB ID:1AML)とのドッキングを行った。ドッキングの結果、200万個のドッキングポーズが得られた。この中から、構造的に歪みが少なく最もエネルギー的に安定なドッキングポーズを抽出し、GAβの原子モデルとした。このGAβの原子モデルを初期構造として、20nsの分子動力学計算を実施し、Aβの主鎖Cα原子の位置情報に基づいて構造クラスタリングを実施し、得られた代表構造の中から化合物の結合するポケットに有望なものを抽出した。一方、分子量や物性などの面で好ましくない化合物や、反応性の高い置換基を有するなどの条件に当てはまる化合物については除外するものとして、化合物40万種からなるデータベースを作成した。このデータベースに対し、上で得られたGAβの立体構造を用いてドッキング手法によるバーチャルスクリーニングを実施した。その結果、321個の仮想ヒット化合物が得られた。
上記により市販化合物から絞り込まれた化合物について、後述するインビトロの再現系において、GAβ依存性アミロイド線維形成に対する阻害活性を評価した。その結果、一連のヒット化合物群に含まれるものの中で最も優先度の高いヒット化合物として、下記の一般式(I):
Figure 2016017049
で表される化合物が、GAβ依存性アミロイド線維形成に対して阻害活性を有することが示唆された。その後、阻害活性を有した化合物の類似(similarity)検索を行い、GAβ依存性アミロイド線維形成に対する阻害活性を評価した結果、上記一般式(I)で表される化合物が、GAβ依存性アミロイド線維形成に対して阻害活性を有することが明らかになった。
<2.市販化合物の選択(化合物1〜46、57、58および94〜117)>
一般式(I)で表される構造を有する市販化合物、または、一般式(I)で表される構造と類似の構造を有する市販化合物は、主にEnamine社、UORSY社、Ambinter社などより購入した。
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
上記化合物のうち、化合物1〜42、44〜46、57、58、94〜96および98〜116は、一般式(I)で表される構造を有する化合物であり、化合物43、97および117は、一般式(I)で表される構造と類似の構造を有する化合物である。
<3.新規化合物の合成(化合物47〜56、59〜93および118〜122>
次いで、上記一般式(I)で表される構造を有する新規化合物の合成を行った。使用機器および測定条件などは下記のものを採用した。
H NMRスペクトルは、Bruker AvanceまたはBruker Varian(400MHzまたは500MHz)を使用して測定した。TMS(テトラメチルシラン)を内部標準として使用した。
LC/MS分析は、四重極型質量分析計LCMS−2010(島津製作所)(カラム:Shim−pack XR−ODS(3.0×30mm,2.2μm))を用いて、ESI(+)イオンモードまたはAPCI(+)イオンモードにて行った。流速条件:0.3〜0.8mL/分、取得時間:3〜5分、検出波長:220nm、オーブン温度:40〜50℃。
Prep−HPLCは以下の条件にて行った。シリカゲルカラム:Fuji C18(300×25)、YMC 250×20;波長:220nm;移動層A:アセトニトリル(0.1%HCl);移動層B:水;流速条件:25mL/分、注入量:2mL、ランタイム:20分;平衡化時間:3分。
以下の実施例において用いられる略語は以下の通りである。
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
HATU:2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
≪実施例1:化合物10、26、47〜52の合成≫
スキーム1−1:
Figure 2016017049
Figure 2016017049
スキーム1−2:
[化合物10の合成]
(1)化合物10−bの合成
Figure 2016017049
化合物10−a(5g、45.9mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(13.2g、50.5mmol)/アセトン溶液(60mL)に炭酸カリウム(19g、137.7mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を水(60mL×3)および飽和食塩水(60mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物10−b(8g、38.6mmol、84.1%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (ESI) [M+H] 208.1
(2)化合物10−cの合成
Figure 2016017049
化合物10−bの溶液(1.5g、91.8mmol)とメチルアミン−エタノール(10mL)を室温で8時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を水(12mL×3)および飽和食塩水(12mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)にて精製することにより、化合物10−c(1g、5.18mmol、71.8%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (ESI) [M+H] 193.1
(3)化合物10−dの合成
Figure 2016017049
化合物10−cの溶液(500mg、2.59mmol)および2−ブロモ酢酸エチル(475.9mg、2.85mmol) /アセトン溶液(10mL)に炭酸カリウム(1072.3mg、7.77mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(40mL)を加え、有機層を水(20mL×3)および飽和食塩水(20mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)にて精製することにより、化合物10−d(150mg、0.54mmol、20.1%)を黄色油状物として得た。
(4)化合物10−eの合成
Figure 2016017049
テトラヒドロフラン/水混合液(v/v=2:1、4mL)中に溶解させた化合物10−d(150mg、0. 54mmol)に水酸化ナトリウム(86.02mg、2.15mmol)を加え、室温で30分撹拌した。反応液について酢酸エチルにより水層を抽出し(10mL×2)、水層に塩酸(2mol/L)を加えてpH=3〜4とし、酢酸エチルで抽出した(10mL×3)。有機層を水(10mL×3)および飽和食塩水(10mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して、化合物10−e(100mg、0.48mmol、89.5%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (ESI) [M+H] 251.1
(5)化合物10の合成
Figure 2016017049
化合物10−e(100mg、0.4mmol)および3−クロロアニリン(76.56mg、0.6mmol)/ジクロロメタン溶液(2mL)にHATU(228.9mg、0.6mmol)およびDIEA(155.2mg、1.2mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(40mL)で希釈し、水で洗浄した(12mL×2)。有機層を飽和食塩水(12mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、prep−HPLCにて精製することにより、化合物10(28.76mg、0.017mmol、15.3%)を白色固体として得た。
NMR(CDCl3)δ 2.82(d,J=5.2Hz,3H),3.53(dd,J =2.8,8.8Hz,1H),3.76(d,J=17.6Hz,1H),3.85(dd,J=3.2,14.4Hz,1H),3.91(d,J=17.6Hz,1H), 4.85(s,1H),6.45(br s,1H),6.56(d,J=7.6Hz,1H),6.71−6.73(m,1H),6.84(t,J=7.6Hz,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.55(d,J=8.0Hz,1H),7.76−7.77(m,1H),8.87(s,1 H).
Ms m/z (ESI) [M+H]+ = 360
[化合物26の合成]
(1)化合物26−aの合成
Figure 2016017049
化合物10−b(8g、38.6mmol)/エタノール溶液(20mL)にプロパン−1−アミン(11.59g、193.2mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(30mL)を加え、有機層を水(30mL×3)および飽和食塩水(30mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)にて精製することにより、化合物26−a(7g、31.8mmol、82.3%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (ESI) [M+H] 221.1
(2)化合物26−bの合成
Figure 2016017049
化合物26−a(6500mg、29.55mmol)/ジクロロメタン溶液(50mL)に2−ブロモ酢酸エチル(5427mg、32.50mmol)および炭酸カリウム(12231mg、88.64mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(50mL)を加え、有機層を水(25mL×3)および飽和食塩水(25mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物26−b(6500mg、21.17 mmol、71.4%)を黄色油状物として得た。
(3)化合物26−cの合成
Figure 2016017049
テトラヒドロフラン/水混合液(v/v=2:1、20mL)中に溶解させた化合物26−b(6.5g、21.2mmol)に水酸化ナトリウム(1.7g、42.4mmol)を加え、室温で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水層に塩酸(2mol/L)を加えてpH=3とした。析出した固体を濾取し、水で洗浄し(15mL×3)、乾燥させて化合物26−c(4g、16mmol、67.8%)を得た。
(4)化合物26の合成
Figure 2016017049
化合物26−c(100mg、0.36mmol)および3−クロロアニリン(69.1mg、0.54mmol)/ジクロロメタン溶液(2mL)にHATU(205.2mg、0.54mmol)およびDIEA(70.2mg、1.08mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液をジクロロメタン(40mL)で希釈し、水で洗浄した(10mL×2)。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して、prep−HPLCにて精製することにより、化合物26(87.25mg、0.225mmol、62.5%)を白色固体として得た。
NMR(CDCl3)δ 0.68(t,J−Hz,3H),1.32−1.40(m,2H),3.19−3.25(m,1H),3.30−3.40(m,1H),3.60(dd,J=Hz,Hz,1H), 3.82(d,J=Hz,1H),3.92(dd,J=Hz,Hz,1H),3.97(d,J=Hz,1H),4.91(t,J=Hz,1H),6.59(s,1H),6.61(d,J=Hz,1H),6,76(t,J Hz,1H),6.80−6.91(m,2H),7.06(d,J=Hz,1H),7.20(dd,J=Hz,Hz,1H),7.64(d,J=Hz,1H),7.83(s,1H),9.00(s,1H).
Ms m/z (ESI) [M+H]+ = 388.0
[化合物47の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物47(収率60%)を合成した。
[化合物48の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物48(収率49%)を合成した。
[化合物49の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物49(収率31%)を合成した。
[化合物50の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物50(収率27%)を合成した。
[化合物51の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物51(収率51%)を合成した。
[化合物52の合成]
Figure 2016017049
化合物26の合成と同様、化合物26−cと対応するアミンとの縮合反応により化合物52(収率24%)を合成した。
≪実施例2:化合物59〜61の合成≫
スキーム2−1:
Figure 2016017049
スキーム2−2:
Figure 2016017049
スキーム2−3:
Figure 2016017049
[化合物59の合成]
(1)化合物59−bの合成
Figure 2016017049
フッ化カリウム(5.22g、89.8mmol)/ジメチルホルムアミド懸濁液(24mL)に2−ブロモマロン酸ジエチル(8.59g、35.9mmol)を加え、室温で15分撹拌後、化合物59−a(5g、35.9mmol)を加え、60℃で10時間撹拌した。反応液を室温に冷却後、冷水を加え、エーテル(60mL)で抽出した。有機層を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(20mL×3)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、減圧下で濃縮することにより、化合物59−b(4g、13.4mmol、37.4%)を褐色油状物として得た。
(2)化合物59−cの合成
Figure 2016017049
化合物59−b(3g、10.1mmol)/メタノール溶液(20mL)に、10%パラジウム炭素触媒を加え、常圧下、60℃で16時間の水素化反応を行った。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して化合物59−c(2g、9.0mmol、89.6%)を黄色固体として得た。
MS m/z (ESI) [M+H]+ = 222.1
(3)化合物59−dの合成
Figure 2016017049
化合物59−c(1g、4.52mmol)/アセトニトリル溶液(30mL)に、2−クロロ酢酸tert−ブチル(817mg、5.42mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(520mg、2.26mmol)および炭酸カリウム(1.56g、11.3mmol)を加え、60℃で6時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液を酢酸エチル(60mL)で希釈し、水で洗浄した(30mL×2)。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して化合物59−d(1.1g、3.2mmol、72.5%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (ESI) [M+H]+ = 336.1
(4)化合物59−eの合成
Figure 2016017049
化合物59−d(600mg、1.79mmol)およびトリフルオロ酢酸(4.3mL)/ジクロロメタン溶液(7.5mL)を室温で3時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して化合物59−e(370mg、1.32mmol、74.1%)を黄色固体として得た。
(5)化合物59−fの合成
Figure 2016017049
化合物59−e(370mg、1.32mmol)および3−クロロアニリン(253mg、1.99mmol)/ジクロロメタン溶液(10mL)にHATU(756mg、1.99mmol)およびDIEA(0.7mL、3.97mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(30mL)で希釈し、水で洗浄した(15mL×2)。有機層を飽和食塩水(15mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して化合物59−f(370mg、0.95mmol、71.8%)を黄色固体として得た。
NMR(CDCl3)δ 1.25(t,J=7.6Hz,3H),4.09(d,J=16.8Hz,1H),4.26(q,J=7.6Hz,2H),5.37(s,1H),5.419(d,J=16.8Hz,1H),7.04−7.48(m,7H),7.74(br.s,1H),7.8.56(br.s,1H).
MS m/z (ESI) [M+H]+ = 389.1
(6)化合物59−gの合成
Figure 2016017049
化合物59−f(370mg、0.95mmol)および水酸化リチウム1水和物(79mg、1.9mmol)/テトラヒドロフラン溶液(4mL)に水(2mL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液を1N塩酸によりpH=1〜2に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して化合物59−g(270mg、0.74mmol、78.6%)を白色固体として得た。
(7)化合物59の合成
Figure 2016017049
化合物59−g(120gm、332mmol)およびプロパン−1−アミン(60mg、996μmol)/ジメチルホルムアミド溶液(6mL)に、4−メチルモルホリン(200mg、1.99mmol)、EDCI(180mg、996μmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(156mg、996μmol)を加え、50℃で30分撹拌した。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去し、prep−HPLCにて精製することにより、化合物59(60mg、149mmol、44.8%)を白色固体として得た。
[化合物60の合成]
(1)化合物60−bの合成
Figure 2016017049
化合物60−a(2.5g、14.8mmol)/酢酸溶液(4mL)に48%臭化水素水溶液(19.mL、16.8mmol)を加えた。臭素(1.63mL、31.6mmol)の酢酸溶液(6mL)を10分間にわたり添加し、室温で4時間撹拌した。反応液にアセトン(19mL)を加え、室温で一晩撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液を濃縮し、クロマトグラフィーですることにより、化合物60−b(1.8g、精製度81%、収率41%)を暗褐色液体として得た。
(2)化合物60の合成
Figure 2016017049
化合物26−a(180mg、0.82mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(3mL)に化合物60−a(603mg、2.46mmol)を加え、さらに炭酸カリウム(340mg、2.46mmol)を加え、100℃で1時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液をメチルtert−ブチルエーテル(50mL)で希釈した。有機層を水(15mL×2)および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより一晩脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去し、prep−HPLCにて精製することにより、化合物60(30mg、9.5%)をオフホワイト固体として得た。
[化合物61の合成]
Figure 2016017049
化合物26−a(200mg、0.91mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(3mL)に化合物61−a(632mg、2.73mmol)を加え、さらに炭酸カリウム(377mg、2.73mmol)を加え、100℃で1時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液をメチルtert−ブチルエーテル(50mL)で希釈した。有機層を水(15mL×2)および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより一晩脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去し、prep−HPLCにて精製することにより、化合物61(50mg、14.2%)を黄色固体として得た。
≪実施例3:化合物77〜82の合成≫
スキーム3−1:
Figure 2016017049
スキーム3−2:
Figure 2016017049
スキーム3−3:
Figure 2016017049
スキーム3−4:
Figure 2016017049
スキーム3−5:
Figure 2016017049
[化合物77の合成]
(1)化合物77−bの合成
Figure 2016017049
化合物77−a(6.1g、50mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(14.29g、55mmol)/アセトン溶液(60mL)に炭酸カリウム(20.7g、150mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で一晩撹拌した。反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(100mL×3)および飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)にて精製することにより、化合物77−b(1.7g、15.3%)を褐色油状物として得た。
H NMR (400MHz,CDCl3)δ 1.28(t,J=7.28Hz,3 H),2.26(s,3H),3.61(q,J=7.28 Hz,2H),4.22− 4.29(m,2H),4.81−4.84(m,1H),6.46−6.72(m,3H).
(2)化合物77−cの合成
Figure 2016017049
化合物77−b(1.3g、5.87mmol)/エタノール溶液(15mL)にプロパン−1−アミン(1.73g、29.2mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で40時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mL×3)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物77−c(0.98g、71.5%)を褐色油状物として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.91(t,J=7.36Hz,3H),1.50−1.57(m,2H),2.23(s,3H),3.26−3.31(m,2H),3.40−3.42(m,1H),3.67−3.70(m,1H),3.81(s,1H),4.63−4.66(m,1H),6.48−6.73(m,4H).
(3)化合物77−dの合成
Figure 2016017049
化合物77−c(0.98g、4.18mmol)および2−ブロモ酢酸エチル(2.1g、12.5mmol)/アセトン溶液(15mL)に炭酸カリウム(2.9g、21.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で一晩撹拌した。LC−MSの結果、多量の化合物77−cが残存していることが確認された。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(40mL×3)および飽和食塩水(40mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物77−d(180mg、13.4%)を褐色油状物として得た。
(4)化合物77−eの合成
Figure 2016017049
テトラヒドロフラン/水混合液(v/v=2:1、6mL)中に溶解させた化合物77−d(180mg、0.56mmol)に水酸化ナトリウム(110mg、2.8mmol)を加え、30℃で3時間撹拌した。反応液について酢酸エチルにより水層を抽出し(10mL×2)、水層に塩酸(2mol/L)を加えてpH=3〜4とし、酢酸エチルで抽出した(10mL×3)。有機層を水(10mL×3)および飽和食塩水(10mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去して、化合物77−e(110mg、067.4%)を褐色油状物として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34Hz,3H),1.53−1.55(m,2H),1.87(br.s,1H),2.26(s,3H),3.29−3.31(m,2H),3.60−3.77(m,3H),3.96−4.13(m,2H),4.78−4.80(m,1H),6.44−6.81(m,3H).
(5)化合物77の合成
Figure 2016017049
化合物77−e(100mg、0.34mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(2mL)にHATU(195mg、0.51mmol)およびDIEA(132mg、102mmol)を加え、窒素雰囲気下、30℃で30分撹拌した。次いで、3−クロロアニリン(65mg、0.51mmol)を加え、窒素雰囲気下、30℃で3.5時間撹拌した。反応液を水(20mL×3)および飽和食塩水(20mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、prep−HPLCにて精製し、凍結乾燥することにより、化合物77(45.7mg、33.4%)を褐色固体として得た。
[化合物78の合成]
(1)化合物78−bの合成
化合物78−a(10g、81.3mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(20.3g、78.7mmol)/アセトン溶液(120mL)に炭酸カリウム(29.2g、211.8mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、水(120mL×3)および飽和食塩水(120mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1〜5:1)にて精製することにより、化合物78−b(6.8g、粗精製)を得た。得られた固体を石油エーテル/ジクロロメタン(75mL、20:1)を用いて摩砕し、4.45gの化合物78−b(24.7%)を赤色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.27(t,J=7.28Hz,3H),2.20(s,3H),3.54(q,J=7.28Hz,2H),4.22−4.28(m,2H),4.77−4.79(m,1H),6.52−6.74(m,3H).
(2)化合物78−cの合成
Figure 2016017049
化合物78−b(4.45g、20.1mmol)およびプロパン−1−アミン(20mL)を60℃で一晩撹拌した。反応液からプロパン−1−アミンを除去し、化合物78−cの粗生成物を得た(4.7g)。得られた固体を石油エーテル/酢酸エチル(50mL、20:1)を用いて摩砕し、4.45gの化合物78−c(2.25g、48%)を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34Hz,3H),1.51−1.56(m,2H),2.23(s,3H),3.24−3.28(m,2H),3.38−3.43(m,1H),3.63−3.67(m,1H),4.59−4.61(m,1H),6.53−6.70(m,4H).
(3)化合物78−dの合成
Figure 2016017049
臭化ブロモアセチル(2.50g、12.4mmol)および3−クロロアニリン(2.05g、16.1mmol)/ジクロロメタン溶液(18mL)に水酸化ナトリウム水溶液(2N、37.2mmol)を室温にて滴下して加え、室温で30分撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で反応を確認した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(50mL×3)。有機層を1N塩酸(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去し、化合物78−d(2.10g、68%)を黄色固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 4.03(s,2H),7.13−7.17(m,1H),7.31−7.44(m,2H),7.78(s,1H),10.58(s,1H).
(4)化合物78の合成
Figure 2016017049
化合物78−c(600mg、2.56mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(5mL)に化合物78−d(696mg、2.82mmol)および炭酸カリウム(1.06g、7.68mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で12時間撹拌した。TLCで反応を確認した。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(10mL×3)および飽和食塩水(10mL×3)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物を酢酸エチル(50mL)を用いて摩砕して、化合物78(237mg、23%)を白色固体として得た。
[化合物79の合成]
(1)化合物79−bの合成
Figure 2016017049
化合物79−a(51.7g、42mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(11.19g、46.2mmol)/アセトン溶液(60mL)に炭酸カリウム(17.39g、126mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を水(40mL×3)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%石油エーテル〜石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物79−b(4.1g、粗精製)を黄色油状物として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.27(t,J=7.28Hz,3H),2.20(s,3H),3.50−3.58(m,2H),3.71(br.s,1H),4.20−4.28(m,2H),4.74−4.76(m,1H),6.41(s,1H),6.49−6.52(m,1H),6.80−6.87(m,1H).
(2)化合物79−cの合成
Figure 2016017049
化合物79−b(3.38g、15.3mmol)およびn−プロピルアミン(4.51g、76.5mmol)/エタノール溶液(5mL)を70℃で24時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を水(50mL×2)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1〜5:1)にて精製することにより、化合物79−c(1.88g、52.5%)を淡褐色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34 Hz,3H),1.51−1.56(m,2H),2.20(s,3H),3.21−3.28(m,2H),3.38−3.43(m,1H),3.63−3.67(m,1H),3.81(br.s,1H),4.57−4.59(m,1H),6.44−6.50(m,2H),6.62(br.s,1H),6.74−6.76(m,1H).
(3)化合物79−dの合成
Figure 2016017049
化合物79−c(1.87g、8mmol)およびブロモ酢酸エチル(1.47g、8.8mmol)/アセトン溶液(60mL)に炭酸カリウム(3.31g、24mmol)を加え、窒素雰囲気下、70℃で8時間撹拌した。TLCの結果、ほとんどの化合物79−cが残っていることが確認された。さらにブロモ酢酸エチル(2.0g、12mmol)75℃で4時間撹拌した。TLCで、反応を確認し、反応液を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチル(80mL)に溶解し、水(40mL×2)および飽和食塩水(40mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1〜5:1)にて精製することにより、化合物79−d(500mg、1.6mmol、20%)を淡褐色固体として得た。
(4)化合物79−eの合成
Figure 2016017049
化合物79−d(500gm、1.56mmol)/テトラヒドロフラン(8mL)および水(4mL)の混合溶液に水酸化ナトリウム(250mg、6.25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液を水(15mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で洗浄した。水層を2N塩酸によりpH=3〜4に調整した。沈殿物を回収し乾燥させて化合物79−e(160mg、35%)を淡赤色粉末として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.82(t,J=7.34Hz,3H),1.41−1.47(m,2H),2.24(s,3H),3.21−3.30(m,2H),3.57−3.68(m,2H),3.92−4.10(m,2H),4.71−4.73(m,1H),6.37(s,1H),6.51−6.54(m,1H),6.63(br.s.,1H),6.77−6.79(m,1H).
(5)化合物79の合成
Figure 2016017049
化合物79−e(160mg、0.548mmol)および3−クロロアニリン(104.9mg、0.822mmol)/ジクロロメタン溶液(8mL)にHATU(626mg、1.64mmol)およびDIEA(212mg、1.64mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。LC−MSで、反応の終了を確認した。反応液を濾過し、濾液をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水で洗浄した(20mL×3)。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、濃縮物をprep−HPLCにて精製し、凍結乾燥することにより、化合物79(108.6mg、49.6%)を白色粉末として得た。
[化合物80の合成]
(1)化合物80−bの合成
Figure 2016017049
化合物80−a(10g)/メタノール溶液(120mL)にパラジウム炭素(1g)を加え、28〜31℃で18時間撹拌した。反応液をセライトにより濾過し、濾液を減圧濃縮し、化合物80−b(7.81g、97%)を褐色固体として得た。
(2)化合物80−cの合成
Figure 2016017049
化合物80−b(7.77g、63.7mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(18.1g、69.5mmol)/アセトン溶液(80mL)に炭酸カリウム(26.4g、191.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、18時間還流した。反応液に酢酸エチル(150mL)を加え、有機層を水(100mL×3)および飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物80−c(7.67g、54.8%)を淡褐色粉末として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.27(t,J=7.28Hz,3H),2.11(s,3H),3.58−3.67(m,2H),4.21−4.29(m,2H),4.75−4.77(m,1H),6.62−6.70(m,2H),6.81−6.84(m,1H).
(3)化合物80−dの合成
Figure 2016017049
化合物80−c(7.67g、34.7mmol)/エタノール溶液(20mL)にプロパン−1−アミン(5.11g、86.7mmol)を加え、窒素雰囲気下、18時間還流した。反応液に酢酸エチル(50mL)を加え、有機層を水(30mL×3)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物80−d(4.29g、60.6%)を黄色油状物として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34Hz,3H),1.51−1.56(m,2H),2.11(s,3H),3.24−3.29(m,2H),3.43−3.48(m,1H),3.73−3.77(m,1H),4.57−4.60(m,1H),6.61−6.78(m,4H).
(4)化合物80−eの合成
Figure 2016017049
化合物80−d(1.73g、7.38mmol)およびブロモ酢酸エチル(1.36g、8.12mol)/ジメチルホルムアミド溶液(30mL)に炭酸カリウム(3.05g、22.1mmol)およびヨウ化カリウム(123mg、0.74mmol)を加え、18時間還流した。反応液を水(200mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(100mL×3)。有機層を飽和食塩水(200mL×2)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)にて精製することにより、化合物80−e(931mg、39.4%)を黄色油状物として得た。
(5)化合物80−fの合成
Figure 2016017049
化合物80−e(931mg、2.9mmol)/テトラヒドロフランおよび水の混合溶液(21mL、v/v=2:1)に水酸化ナトリウム(464mg、11.6mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を水(20mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(50mL×3)。水層を2N塩酸によりpH=3に調整し、酢酸エチルで抽出し(20mL×2)、飽和食塩水(30mL×2)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、化合物80−f(629mg、2.15mmol、74.1%)をオフホワイト固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 0.83(t,J=7.34Hz,3H),1.41−1.50(m,2H),2.17(s,3H),2.79−2.85(m,1H),3.07−3.12(m,2H),3.62(s,2H),4.49−4.53(m,1H),6.73−6.86(m,3H),8.11(br.s,1H),12.66(br.s,1H).
MS m/z (APCI) [M+H]+ = 292.9
(6)化合物80の合成
Figure 2016017049
化合物80−f(300mg、1.03mmol)/ジクロロメタン溶液(5mL)にHATU(1.19g、3.09mmol)およびDIEA(399mg、3.09mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で30分撹拌した。3−クロロアニリン(197mg、1.54mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水で洗浄した(15mL×3)。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をprep−HPLCにて精製し、白色粉末(吸湿性、塩酸塩の可能性、約150mg)を得た。これを炭酸水素ナトリウム飽和水溶液にpH=9になるまで添加し、反応液をジクロロメタンで抽出した(15mL×3)。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を水に溶解し、凍結乾燥させて化合物80(64.3mg、15.6%)をオフホワイト粉末として得た。
[化合物81の合成]
(1)化合物81−bの合成
Figure 2016017049
化合物81−a(5.00g、39.4mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(12.3g、47.2mmol)/アセトン溶液(120mL)に炭酸カリウム(16.3g、118mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で10時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(300mL)を加え、有機層を水(50mL×3)および飽和食塩水(150mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物81−b(4.00g、17.8mmol、45%)を黄色油状物として得た。
MS m/z (APCI) [M+H]+ = 225.9
(2)化合物81−cの合成
Figure 2016017049
化合物81−b(4.00g、17.8mmol)/エタノール溶液(20mL)にn−プロピルアミン(5.30g、89.8mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機層を水(100mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)にて精製することにより、化合物81−c(3.60g、15.1mmol、86%)を黄色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34Hz,3H),1.51−1.54(m,2H),3.25−3.30(m,2H),3.40−3.47(m,1H),3.70−3.74(m,1H),3.98(s,1H),4.62−4.65(m,1H),6.37−6.72(m,4H).
(3)化合物81−dの合成
Figure 2016017049
化合物81−c(3.60g、15.1mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(40mL)に2−ブロモ酢酸エチル(6.30g、37.8mmol)および炭酸カリウム(6.30g、45.3mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。反応液を水(400mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水(100mL×3)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物81−d(2.00g、6.17mmol、41%)を黄色固体として得た。
MS m/z (APCI) [M+H]+ = 324.9
(4)化合物81−eの合成
Figure 2016017049
化合物81−d(1.00g、3.09mmol)/テトラヒドロフランおよび水の混合溶液(21mL、v/v=2:1)に水酸化ナトリウム(0.400g、10.0mmol)を加え、25℃で8時間撹拌した。反応液をメチルtert−ブチルエーテルで抽出し(30mL×3)、水層を2N塩酸によりpH=3に調整した。沈殿物を濾取し、水で洗浄し(20mL×3)、減圧乾燥させて化合物81−e(600mg、2.02mmol、66%)を黄色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.88(t,J=7.34Hz,3H),1.51−1.56(m,2H),3.26−3.30(m,2H),3.579−3.62(m,2H),3.99−4.14(m,2H), .75−4.78(m,1 H),6.33−6.36(m,1H),6.537−6.79(m,3H).
(5)化合物81の合成
Figure 2016017049
化合物81−e(200mg、0.676mmol)および3−クロロアニリン(201mg、1.75mmol)/ジクロロメタン溶液(6mL)にHATU(665mg、1.75mmol)およびDIEA(361mg、2.80mmol)を加え、窒素雰囲気下、25℃で2時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(50mL×2)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をprep−HPLCにて精製し、凍結乾燥することにより、化合物81(102mg、0.252mmol、37%)を白色固体として得た。
[化合物82の合成]
(1)化合物82−bの合成
Figure 2016017049
化合物82−a(10.0g、78.7mmol)および2,3−ジブロモプロパン酸エチル(24.6g、94.4mmol)/アセトン溶液(120mL)に炭酸カリウム(32.6g、236mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で10時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(450mL)を加え、有機層を水(70mL×3)および飽和食塩水(150mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物82−b(11.7g、52.0mmol、65%)を黄色油状物として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.27(t,J=7.28Hz,3H),3.61(q,J=7.28Hz,2H),3.91(s,1H),4.22−4.29(m,2H),4.81−4.84(m,1H),6.60−6.74(m,3H).
(2)化合物82−cの合成
Figure 2016017049
化合物82−b(11.7g、52.0mmol)/エタノール溶液(30mL)にn−プロピルアミン(15.4g、260mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。反応液に酢酸エチル(300mL)で抽出し、有機層を水(150mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)にて精製することにより、化合物82−c(11.0g、46.2mmol、89%)を黄色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.89(t,J=7.34Hz,3H),1.51−1.54(m,2H),3.25−3.30(m,2H),3.42−3.45(m,1H),3.72−3.76(m,1H),4.00(s,1H),4.62−4.65(m,1H),6.58−6.68(m,4H).
(3)化合物82−dの合成
Figure 2016017049
化合物82−c(5.00g、21.0mmol)/ジメチルホルムアミド溶液(40mL)に2−ブロモ酢酸エチル(3.86g、23.1mmol)および炭酸カリウム(8.69g、63.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。反応液を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水(150mL×3)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより、化合物82−d(6.00g、精製度43%)を黄色固体として得た。
MS m/z (APCI) [M+H]+ = 325.5
(4)化合物82−eの合成
Figure 2016017049
化合物82−d(3.00g、精製度43%)/テトラヒドロフランおよび水の混合溶液(21mL、v/v=2:1)に水酸化ナトリウム(0.700g、17.5mmol)を加え、25℃で8時間撹拌した。反応液をメチルtert−ブチルエーテルで抽出し(50mL×3)、水層を2N塩酸によりpH=3〜4に調整した。沈殿物を濾取し、水で洗浄し(30mL×3)、減圧乾燥させて化合物82−e(800mg、2.70mmol、2段階収率29%)を黄色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.82(t,J=7.34Hz,3H),1.41−1.47(m,2H),3.07−3.10(m,2H),3.19−3.25(m,2H),4.01−4.06(m,2H),4.59−4.62(m,1H),6.67−6.77(m,3H),8.11(br.s.,1H).
(5)化合物82の合成
Figure 2016017049
化合物82−e(200mg、0.676mmol)および3−クロロアニリン(201mg、1.75mmol)/ジクロロメタン溶液(6mL)にHATU(665mg、1.75mmol)およびDIEA(361mg、2.80mmol)を加え、窒素雰囲気下、25℃で2時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(50mL×2)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、得られた粗生成物をprep−HPLCにて精製し、凍結乾燥することにより、化合物82(56mg、0.14mmol、20%)を白色固体として得た。
≪実施例4:化合物119〜122の合成≫
[化合物119の合成]
(1)化合物119−aの合成
Figure 2016017049
2−アミノフェノール(5g)/ジメチルホルムアミド溶液(50mL)に炭酸カリウム(19g)および2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジエチル(7.1mL)室温でを加え、100℃で8時間撹拌した。TLCで、反応の終了を確認した。10mLの水を加え、反応液を室温まで冷却し、反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(60mL×2)および飽和食塩水(60mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物119−a(7.5g、70%)を黄色固体として得た。
(2)化合物119−bの合成
Figure 2016017049
化合物119−a(4.5g)/テトラヒドロフラン溶液(50mL)にボラン−テトラヒドロフランコンプレックス(0.9mol/L、8.9mL)を室温で加え、100℃で16時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、10mLの水を加え、反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(60mL×2)および飽和食塩水(60mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物119−b(2.4g、57%)を淡黄色固体として得た。
(3)化合物119−cの合成
Figure 2016017049
化合物119−b(1g)/エタノール溶液(10mL)にn−プロピルアミン(1mL)を室温で加え、60℃で8時間撹拌した。反応液をエタノール(60mL)で希釈し、水(60mL×2)および飽和食塩水(60mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物119−c(300mg、28%)を黄色油状物として得た。
Ms m/z (APCI) [M+H]+ = 235.
(4)化合物119の合成
Figure 2016017049
化合物119−cから化合物119への変換は、実施例26の方法にしたがって行った。
[化合物120の合成]
Figure 2016017049
化合物120は、化合物119−cと(3−クロロフェニル)メタンスルホニルクロリドとの反応により合成した。
[化合物121の合成]
(1)化合物121−bの合成
Figure 2016017049
化合物121−a(0.5g)およびn−プロピルアミン(0.8mL)/エタノール溶液(20mL)に4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(1.2g)を室温で加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧下に濃縮し、ジクロロメタンに溶解させた(50mL)。有機層を水(50mL×2)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、溶媒を減圧下留去し、粗生成物を暗褐色油状物として得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製することにより(ジクロロメタン:エタノール=10:1)、化合物121−b(530mg、86%)を褐色油状物として得た。
Ms m/z (APCI) [M+H] = 219.
(2)化合物121の合成
Figure 2016017049
化合物121−bから化合物121への変換は、化合物26の合成方法にしたがって行った。
[化合物122の合成]
Figure 2016017049
化合物121の合成法にしたがって、化合物121−aから化合物122−aへと変換し、その後、化合物26の合成方法にしたがって化合物122の合成を行った。
上記の方法またはそれと同様の方法により、以下の化合物を合成した。
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049
<4.試験例1:チオフラビンT(ThT)アッセイによるアミロイド線維形成阻害活性の評価>
上記化合物1〜122のGAβ依存性アミロイド線維形成に対する阻害活性を、ThTアッセイにより評価した。
(1)Aβ溶液の調製
ヒトAβ1−40(cat.# 4307−v、ペプチド研究所製)を0.02%のアンモニア溶液に溶解し(400μM)、100,000rpmで3時間遠心分離した(S110ATローター、日立社製)。上清の上層約3分の2を回収し、タンパク質濃度を計測した。Aβ溶液は小分けして、使用時まで−80℃に保存した。使用直前に融解し、リン酸緩衝液(PBS:cat.# 10010、ライフテクノロジーズ社製)を用いて75μMに希釈した。
(2)GM1含有リポソームの調製
クロロホルム/メタノール混合液(1:1)を溶媒として、各100mMのコレステロールおよびスフィンゴミエリン(ともにシグマアルドリッチ社製)の混合溶液を調製した。この混合溶液に、GM1(cat.♯ 1061、マトレヤ社製)を50mM濃度になるように溶解した。この脂質混合溶液をガラス試験管に小分け分注し、使用時まで−20 ℃に保存した。使用前に融解し、クロロホルム/メタノール混合液(1:1)を加えて混合した後、懸濁液に窒素ガスを当てることで溶媒を除去した。乾燥した脂質混合物を、GM1濃度が2.5mMになるようにPBSに再懸濁し、液体窒素を用いて5回凍結融解を行った。この脂質懸濁液を15,000rpmで10分間遠心分離し、沈殿物をGM1が2.5mMになるようにPBSに再懸濁した。マイクロチップを備えた超音波破砕機(XL−2000、MISONIX社製)を用いて、この懸濁液が透明になるまで氷上で10秒間の超音波処理を繰り返し、GM1含有リポソームを調整した。使用直前にPBSを加え、GM1濃度が750μMになるように希釈した。
(3)化合物溶液の調製
化合物1〜122は、DMSOで10mM、2mM溶液をそれぞれ作製した。使用直前にPBSで75μM、 15μMに希釈した。
(4)GAβ依存性アミロイド線維形成
96ウェルマイクロプレートに、上記(1)で調製された75μMのAβ溶液と、(3)で調製された化合物溶液もしくは0.75%DMSOを5μlずつ混合し、室温で10分間インキュベートした。次いで、(2)で調製された750μMのGM1含有リポソームを各ウェルに5μlずつ加え、37℃で18時間インキュベートした。
(5)ThTアッセイ
ThT(シグマアルドリッチ社製)を50mMのグリシン−NaOH緩衝液(pH8.5)を用いて5μMに調製した。測定直前に(4)の各ウェルから10μlを96ウェルブラックプレートに移した。マルチプレートリーダー(ARVO−HTS、パーキンエルマー社製)を用い、インジェクターから5μMのThT溶液を50μlずつ、各ウェルに加えた後、アミロイド線維に結合したThTの至適蛍光(励起波長430nm、蛍光波長490nm)を測定した。
ThTの蛍光強度が、アミロイド線維の形成度合いを示す。化合物を添加しない場合のThT蛍光強度に対する、化合物添加時のThT蛍光強度の比を求めることにより、当該化合物による阻害率を算出した。阻害率が40%未満のものをC、40%以上80%未満のものをB、80%以上のものをAと評価した。
表4に、代表的な化合物のGAβ依存性アミロイド線維形成阻害率(%)と、化合物1〜122のアミロイド線維形成阻害活性についてのABC評価を示す。化合物1〜122はいずれもアミロイド線維形成に対する阻害活性を有することが確認された。
Figure 2016017049
Figure 2016017049
Figure 2016017049

Claims (9)

  1. 一般式(I):
    Figure 2016017049
    [式中、
    Xは、酸素原子または炭素原子であり、
    Yは、−C(O)−または−CH−であり、
    Zは、−(CH−、−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−O−、−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−N(CH)−(CH−O−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、−(CH−C≡C−C(O)−(CH−、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH−、または、−(CH−C(O)−C≡C−(CH
    (式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜5の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
    であり、
    Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基または水酸基であり、
    は、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基である]
    で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤。
  2. 前記一般式(I)において、
    Xは、酸素原子であり、
    Yは、−CH−であり、
    Zは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH
    (式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
    であり、
    Arは、置換もしくは非置換のC5−14アリール基または置換もしくは非置換のC1−14ヘテロアリール基であり、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基またはC1−20アシルアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシアルキル基または水酸基であり、
    は、水素原子、C1−20アルキル基である、
    請求項1に記載のアミロイド線維形成抑制剤。
  3. 前記一般式(I)において、
    Xは、酸素原子であり、
    Yは、−CH−であり、
    Zは、−(CH−C(O)−(CH−NH−(CH−、−(CH−C(O)−(CH−、−(CH−SO−(CH−、−(CH−CH=CH−C(O)−(CH−、または、−(CH−C(O)−CH=CH−(CH
    (式中、l、mおよびnは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、−(CH−、−(CH−および−(CH−は、場合により置換されていてよく、この場合における置換基は、C1−20アルキル基、C1−20アルコキシ基、C1−20アルコキシアルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20アミノアルキル基、C1−20アルキルアミノアルキル基、C1−20アルコキシカルボニル基、C1−20アルコキシカルボニルアルキル基、C1−20アシル基、C1−20アシルアルキル基、C1−20アルキルチオ基、C1−20アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基および水酸基からなる群より独立して選択される)
    であり、
    Arは、置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、インドリル基、チエノ基、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、またはオキサゾリル基であり、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基またはC1−20アルコキシアルキル基であり、ここで、RおよびRは、共同して環を形成してもよく、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1−20アルキル基、置換もしくは非置換のC3−20シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基または水酸基であり、
    は、水素原子である、
    請求項1に記載のアミロイド線維形成抑制剤。
  4. 表1A〜表1Eに記載の化合物番号1〜122の化合物からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含んでなる、アミロイド線維形成抑制剤。
  5. 前記化合物が、化合物番号1、3〜6、8、10〜15、17〜23、26、32〜42、44〜46、48、57、59〜61、64〜66、69〜76、79、89、92〜94、97〜99、102、105、106、110〜115および119の化合物からなる群から選択される、請求項4に記載のアミロイド線維形成抑制剤。
  6. 前記化合物が、化合物番号3、4、8、10、11、13、14、17、18、20、23、26、32〜34、36、37、41、42、44、45、57、60、66、69、70、72〜76、79、93、97、105および111の化合物からなる群から選択される、請求項4に記載のアミロイド線維形成抑制剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアミロイド線維形成抑制剤を含有する神経変性疾患の治療薬または予防薬。
  8. 前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項7に記載の治療薬または予防薬。
  9. 表1A〜表1Eに記載の化合物番号1〜122の化合物からなる群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物。
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