JP2008156313A - アミロイド疾患の治療およびモニタリングのための薬剤 - Google Patents

アミロイド疾患の治療およびモニタリングのための薬剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩がアミロイド蛋白質の凝集または繊維化に及ぼす影響を検討することにより、アミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状のモニタリングができる薬剤を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】本発明にかかるベンゼン誘導体は、アミロイド蛋白質の凝集または繊維化を抑制する作用を有していた。本発明にかかるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩はアミロイド疾患に伴うアミロイド蛋白質構造変化を阻害するために、アミロイド疾患の治療に有効である。更にそれに加えてアミロイド蛋白質に親和性を有するために、アミロイド蛋白質の検出にも有効である。よって該化合物を用いて、アミロイド疾患の治療とモニタリングの両方を行なうことが可能である。
【選択図】なし

Description

アミロイド疾患治療および当該疾患の病状をモニタリングするのに有用なベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩に関する。更に本発明は、ベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を用いて、アミロイド疾患治療および当該疾患の病状をモニタリングする方法に関する。
アミロイド蛋白質が関連している疾患には、アルツハイマー型痴呆、ダウン症候群、FTDP-17、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、ピック病、免疫細胞性アミロイドーシス、反応性AAアミロイドーシス、家族性アミロイドーシス、透析アミロイドーシス、老人性TTRアミロイドーシス、脳血管アミロイドーシス、遺伝性アミロイド性脳出血、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー症候群、狂牛病、甲状腺髄様癌、II型糖尿病・インスリノーマ、限局性心房性アミロイド、皮膚アミロイドーシス、限局性結節性アミロイドーシス、パーキンソン病、レヴィー小体型痴呆症、多系統萎縮症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ニューロセルピン封入体を伴う家族性痴呆症および慢性閉塞性肺疾患などが含まれる。これらの疾患は、蛋白質の誤った折りたたみ構造に起因する疾患である。アルツハイマー病のようなアミロイド疾患に対して一時的に進行を遅らせる薬剤はあるが、これらの疾患は一般に難治性である。なお本願明細書では、アミロイド蛋白質が関連している上記に例示される疾患をアミロイド疾患と称する。
現在までに、アミロイドβ蛋白質、タウ蛋白質、免疫グロブリン軽鎖蛋白質、アミロイドA蛋白質、トランスサイレチン蛋白質、リソザイム、BriL蛋白質、シスタチンC蛋白質、スクレイピー蛋白質、β2ミクログロブリン、アポリポプロテインA1、ゲルゾリン、ランゲルハンス島アミロイド蛋白質、フィブリノーゲン、プロラクチン、インシュリン、カルシトニン、心房性ナトリウムペプチド、α-シヌクレイン、プリオン蛋白質、ハンチンチン蛋白質、ハンチンチン蛋白質を含むポリグルタミン、スーパーオキサイドジスムターゼ、ニューロセルピン、α1-アンチキモトリプシンなどの蛋白質、あるいはそれらを前駆体として生成された蛋白質が、誤った折りたたみ構造からアミロイド線維を形成することが知られている。そのようにして形成された個々の線維は、数千の非共有結合で結合した蛋白質あるいはペプチドから構成される層状のβシート構造を有している。
なお異常蛋白質と神経変性疾患の関連については種々の知見が得られており、アミロイドβ蛋白質の蓄積がアルツハイマー型痴呆、ダウン症候群などの疾患と関連していること;α-シヌクレインの蓄積がパーキンソン病、レヴィー小体型痴呆症、多系統萎縮症などの疾患と関連していること;プリオン蛋白質の蓄積がクロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー症候群、狂牛病などの疾患と関連していること;ポリグルタミンの蓄積がハンチントン病、脊髄小脳失調症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などの疾患と関連していること;スーパーオキサイドジスムターゼの蓄積が筋萎縮性側索硬化症などの疾患と関連していること;タウ蛋白質の蓄積がアルツハイマー型痴呆、FTDP-17、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、ピック病などの疾患と関連していること;ニューロセルピンの蓄積がニューロセルピン封入体を伴う家族性痴呆症などの疾患と関連していること等が知られている。
蓄積されたアミロイド線維や、そこに至るまでのオリゴマーやプロトフィブリルなどの中間分子が、細胞死など有害な事象を引き起こす原因の有力な候補であると考えられている(R. Kayedら、Science, 2003, 300, 486およびTsaiら、Nature Neuroscience, 2004, 7, 1181など)。そこでこのアミロイド性の構造変化を阻害することで、アミロイド蛋白質の不安定性を増加させることにより、それらのアミロイドタンパク質が関与している疾患を抑制する可能性が示唆されている(P. Hammarstromら、Science, 2001, 293, 2459)。従って、アミロイド蛋白質の構造変化を検出し、且つその構造変化を抑制できる薬剤は、アミロイド疾患の治療薬および予防薬として有用であることが期待される。
その一方で、近年アミロイド疾患の早期診断、早期治療の必要性が高まり、その診断基準とともに検査法の感度や特異性が課題となっている。例えば、アルツハイマー病の場合、アミロイドの蓄積は発症の10〜20年前から始まるので、脳内のアミロイド蛋白質を生体内で検出できれば、発症前診断を実現できる可能性がある。このことから近年、生体内(in vivo)のアミロイドをシングルフォトン断層撮影(SPECT), ポジトロン断層撮影(PET) (P. Nestorら、Nature Rev. Neurosci., 2004, July, S34)、核磁気共鳴イメージング(MRI)(M. Higuchiら、Nature Neurosci., 2005, 8, 527)、近赤外蛍光画像(NIRF) (M. Hintersteinerら、Nature Biotech., 2005, 23, 577)などで画像化し、アルツハイマー病の早期診断を可能にしようとする試みがなされている。
既にアミロイド凝集を抑制する化合物として、クリオキノール(R. Chernyら、Neuron, 2001, 30,665)、クルクミン(K. Onoら、J. Neurosci. Res., 2004, 75, 742)、テニルセタム、カルノシン(G. Munchら、Biochim. Biophys. Acta, 1997, 1360, 17)、4−アミノフェノール、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−ヒドロキシ−3−エトキシベンズアルデヒド(F. Feliceら、FASEB J., 2004, 18, 1366)、タンニン酸(K. Onoら、Biochim. Biophys. Acta, 2004, 1690, 193)、ヘミン(D. Howlettら、FEBS Lett., 1997, 417, 249)、メラトニン(M. Pappollaら、J. Biol. Chem., 1998, 273, 7185)、アミロイドβ部分ペプチド(L. Tjernbergら、J. Biol. Chem., 1996, 271, 8545 など)、4,5−ジアニリノフタルイミド(B. Blanchardら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2004, 101, 14326)、ドパミン、L-ドーパ(J. Liら、FASEB J., 2004, 18, 962)、ヘキサデシル−N−メチルピペリジニウム(S. Woodら、J. Biol. Chem., 1996, 271, 4086)などが報告されている。また蛍光染色剤であるコンゴーレッドがアミロイド凝集の抑制作用を有することも報告されている(A. Lorenzoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2004, 91, 12243)。
一方スチリルベンゼン誘導体はアミロイドに対し親和性を有し、スチリルベンゼン誘導体をアミロイドの蛍光染色剤として、アミロイドが関連する疾病の病理検査などへ利用することや、アミロイドに特異性を有するMRI造影剤へ利用することが報告されている(国際公開公報WO2005/042461号公報)。
なお、13Cで標識され、更にハロゲンで置換されたスチリルベンゼンなど、スチリルベンゼン誘導体を合成してアミロイドプラークの検出を試みたことも報告されている(K.Satoら、Eur. J. Med. Chem., 2004, 39, 573)。
国際公開公報WO2005/042461号公報 R. Kayedら、Science, 2003, 300, 486 Tsaiら、Nature Neuroscience, 2004, 7, 1181 P. Hammarstromら、Science, 2001, 293, 2459 P. Nestorら、Nature Rev. Neurosci., 2004, July, S34 M. Higuchiら、Nature Neurosci., 2005, 8, 527 M. Hintersteinerら、Nature Biotech., 2005, 23, 577 R. Chernyら、Neuron, 2001, 30,665 K. Onoら、J. Neurosci. Res., 2004, 75, 742 G. Munchら、Biochim. Biophys. Acta, 1997, 1360, 17 F. Feliceら、FASEB J., 2004, 18, 1366 K. Onoら、Biochim. Biophys. Acta, 2004, 1690, 193 M. Pappollaら、J. Biol. Chem., 1998, 273, 7185 D. Howlettら、FEBS Lett., 1997, 417, 249 L. Tjernbergら、J. Biol. Chem., 1996, 271, 8545 B. Blanchardら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2004, 101, 14326 J. Liら、FASEB J., 2004, 18, 962 S. Woodら、J. Biol. Chem., 1996, 271, 4086 A. Lorenzoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2004, 91, 12243 K.Satoら、Eur. J. Med. Chem., 2004, 39, 573
現在アミロイド関連疾患の治療法として、例えばアルツハイマー病におけるコリンエステラーゼ阻害剤や、パーキンソン病におけるL-ドーパやドパミンアゴニストなどの薬剤を用いた治療法が広く使われているが、いずれも対症療法であり、病気の進行を抑えたり、予防したりすることのできる方法は開発されていない。またこれらの疾患は進行性であるため、早期に診断し早期に治療することが必要であり、更に病気の進行をモニターしながら適切な治療を施せるようになることが望まれている。
上記において述べたように国際公開公報WO2005/042461号公報においては、スチリルベンゼン誘導体がアミロイド親和性を有し、アミロイド関連疾病の診断に利用できることが報告されている。しかしながら、これらの化合物の中で、例えば1-フルオロ-2,5-ビス(3-カルボキシ-4-ヒドロキシ)スリチルベンゼン(FSB)は20mg/kg用量での明らかな急性毒性は認められていないが、実際にイメージング薬剤や治療剤としてヒトで安全に使用すると考えた場合には、より高感度、より高活性な薬剤が求められている[Dojin News No.115 P1(2005)]。よってスチリルベンゼン誘導体、更にはその二重結合が飽和しているフェネチルベンゼン誘導体などのベンゼン誘導体がアミロイド蛋白質の構造変化に影響するかを検討し、よってアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などのアミロイド疾患の早期治療や予防に資することが本発明の課題である。
上記課題を解決するために本発明者らは、国際公開公報WO2005/042461号公報におけるスチリルベンゼン誘導体の知見を基にして、アミロイド疾患のモニタリングや治療の目的に実際に使用できる薬剤を提供するという上記の目的を達成すべく化合物をデザインし、それらの化合物の合成を行なってアミロイド蛋白質におよぼす影響を評価した結果、本発明を達成するに至った。なお本発明を行なうにあたり、より高感度、高活性の化合物を得る手段として、(1)薬剤一分子に含まれるフッ素原子数を増やす(Eur. J. Med. Chem., 2004, 39, 573、Nat. Neurosci., 2005, 8, 527)、(2)脳内移行性を高める(V. A. Levinら、J. Med. Chem., 1980, 23, 682、D. D. Dishinoら、J. Nucl. Med., 1983, 24, 1030、Wuら、Cur. Topics in Developmental Biology, 2005, 70 , 171)、(3)脳内アミロイドへの選択性や親和性を高める(E. D. Agdeppaら、J. Neuroscience, 2001, 21, 189、Nature Biotech., 2005,23, 577、Wuら、Cur. Topics in Developmental Biology, 2005, 70,171)、などの手法を用いた。
よって本発明は、次の化学式1で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状をモニタリングするための薬剤を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
更に本発明は、次の化学式2で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状をモニタリングする方法を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
更に本発明は、次の化学式3で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療剤または予防剤を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
更に本発明は、次の化学式4で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド蛋白質の凝集または繊維化の抑制剤を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
更に本発明は、次の化学式5で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として用いることを特徴とするアミロイド疾患を治療または予防する方法を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
更に本発明は、次の化学式6で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として用いることを特徴とするアミロイド蛋白質の凝集または繊維化を抑制する方法を提供する。
Figure 2008156313
<式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{(R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
なお下記の実施例において、1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼンと1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼンを合成し、それらの化合物がアミロイドβ(1−42)の凝集によるアミロイドβ膜の張力の増加を抑制することを示している。これらの化合物は新規物質であり、1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼンおよび1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼンも、本発明の範囲内である。
下記の実施例に示されるように、本発明にかかるベンゼン誘導体が、アミロイド蛋白質の凝集または繊維化を抑制することが明らかとなった。該化合物はアミロイド疾患に伴うアミロイド性の構造変化を阻害するためにアミロイド疾患の治療に有効であり、それに加えてアミロイド蛋白質に親和性を有するために、アミロイド蛋白質の検出にも有効である。よって該化合物を用いて、アミロイド疾患の治療とモニタリングの両方を行うことが可能である。
上記で述べたように本発明者らは検討を重ねた結果、本発明にかかるベンゼン誘導体が、アミロイドタンパク質の構造変化を阻害する活性を有することを見出した。
なお本発明で使用されるベンゼン誘導体は、下記の化学式7で表される化合物である。
Figure 2008156313
上記の化学式7において、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7、ニトロ基、−SO、−CO11、および−CONR1213からなる群から選択された基を表す。
上記のハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子を意味する。
なお、上記−OR7において、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す。
上記の低級アルキルは置換されていても置換されていなくてもよい。その例としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基があげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどがあげられる。
また上記の低級アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。その例としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数3〜10のアルケニル基があげられ、具体的にはアリル、1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなどがあげられる。
また上記の低級アルキニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。その例としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数3〜10のアルキニル基、具体的にはプロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなどがあげられる。
また上記のシクロアルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。その例としては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキル基、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。
上記の置換された低級アルキル、置換された低級アルケニル、置換された低級アルキニル、置換されたシクロアルキルにおける置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシがあげられる。該置換シクロアルキルにおける置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、シアノがあげられる。また、該置換低級アルコキシにおける置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、シアノ、低級アルコキシがあげられる。これらの置換基により置換される数は特に限定されるものではなく、置換数1から置換可能な最大の数までを置換することが可能であり、好ましい置換数は1〜3である。そして複数の置換基を有する場合、それらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
また上記のアリール基は置換されていても置換されていなくてもよい。その例としては、例えばフェニル、ナフチルなどがあげられる。
更に上記−SOにおいて、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10からなる群から選択された基を表す。なおこの−NR10において、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する。ここで低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
上記の−NR10における隣接する窒素原子と共同して形成される置換複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基などがあげられる。ここで上記の複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。該少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基は、酸素原子を含んでいてもよく、その具体例としては、例えば1−ピロリル、モルホリノ、ピペリジノ、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、イソインドリル、などがあげられる。
更に上記−CO11において、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す。ここで上記の低級アルキル基およびシクロアルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基とシクロアルキル基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
更に上記−CONR1213において、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す。ここで上記の低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルケニル基と低級アルキニル基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
上記の−CONR1213が前記のRおよびR10と同義である場合において、−CONR1213における隣接する窒素原子と共同して形成される複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基などがあげられる。該少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基は、酸素原子、硫黄原子または他の窒素原子を含んでいてもよく、例えば1−ピロリル、ピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピラゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、アゾリジニル、ペルヒドロアゼピニル、ペルヒドロアゾシニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、イソインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル、ピロリドニル、スクシンイミジル、グルタルイミジル、ピペリドニルなどがあげられる。
上記の−CONR1213における脂肪族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂肪族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂肪族複素環基などがあげられ、具体的にはアゼチジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、ジオキソラニル、ピペリジノ、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニルなどがあげられる。
上記の−CONR1213における芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾジアゼピニル、フェノチアジニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、ピラニルなどがあげられる。
更に上記の化学式7において、−X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−、または−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−を表す。すなわち上記のXとYはその位置を交代することができる。上記の−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−は、シスでもトランスでもよい。
上記−X−Y−の−CHR14−CHR15−において、R14は、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表す。ここで上記の低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
更に上記−CHR14−CHR15−において、R15はシアノ基、ニトロ基、−SOR16、−SO19、−CO20、および−CONR2122からなる群から選択された基を表す。
なお上記−SOR16において、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718からなる群から選択された基を表す。上記−NR1718のR17およびR18は、前記のRおよびR10と同義である。ここで上記の低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基および複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
更に上記−SO19において、R19は前記のR16と同義である。
更に上記−CO20において、R20は前記のR11と同義である。
更に上記−CONR2122において、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である。
なお−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−において、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である。
更に上式において、RおよびRはそれぞれ独立に、−CO25、−CONR2627、およびOR28からなる群から選択された基を表す。なお上記−CO25においてR25は前記のR11と同義であり、上記−CONR2627においてR26およびR27は前記のR12およびR13と同義であり、上記OR28においてR28は前記のR7と同義である。
ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。
本発明の好適な態様において、上記の化学式7のR、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子である。既に記載したように、アミロイド蛋白質の検出試薬に用いる化合物をデザインするにあたり、蛍光活性を増加させるためには該化合物中に含まれるフッ素の数を多く導入することが有効であるという知見がある。
また本発明の好適な態様において、−X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−である。下記の実施例において、アミロイドβ膜の張力変化に対する本発明の化合物が及ぼす影響を−X−Y−に含まれる炭素−炭素結合が単結合である場合(実施例2)と二重結合である場合(実施例1)において測定したところ、−X−Y−が二重結合である場合の方が高い活性を示すという知見が得られた。上記シスまたはトランスの−CR23=CR24−において、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16、および−SO19からなる群から選択された基を表す。上記−SOR16において、R16は低級アルキル基または−NR1718を表し、上記−NR1718においてR17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する。上記−SO19において、R19は前記のR16と同義である。ここで上記の低級アルキル基とシクロアルキル基および複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基とシクロアルキル基および複素環基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
また本発明の好適な態様において、Rはヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627を表し、上記−CONR2627において、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す。更にRは−OR28を表し、上記−OR28において、R28は水素原子または低級アルキル基を表す。ここで上記の低級アルキル基とシクロアルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。低級アルキル基とシクロアルキル基の具体例は、上記で述べたのと同様である。なお本発明を行なうにあたり、Rがヒドロキシカルボニル基である化合物である場合とメトキシカルボニル基である化合物である場合において、アミロイドβ膜の張力変化に対するそれらの化合物の活性を比較したところ、Rがヒドロキシカルボニル基である場合の方が活性が高いという結果が得られている。
本発明の更に好適な態様において、上記の化学式7のR、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、−X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−である。上記トランスの−CR23=CR24−において、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19からなる群から選択された基を表し、上式−SO19において、R19は低級アルキル基あるいは−NR1718を表し、上記R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する。更にRはヒドロキシカルボニル基を表し、Rは−OR28を表し、上式−OR28においてR28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す。ここで上記の低級アルキル基および複素環基は置換されていても置換されていなくてもよく、低級アルキル基および複素環基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
本発明の更に好適な態様において、上記の化学式7のR、R,R,Rはフッ素原子を表し、−X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−を表す。上式の−CR23=CR24−において、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19からなる群から選択された基を表し、上式−SO19において、R19は低級アルキル基を表す。更にRはヒドロキシカルボニル基を表し、Rはヒドロキシ基を表す。ここで上記の低級アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよく、低級アルキル基の具体例は、上記で述べたのと同様である。
本発明の更に好適な態様において、上記の化学式7のRがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である。
本発明の更に好適な態様において、上記の化学式7のRがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である。
本願明細書における「薬理学的に許容される塩」は特に限定されるものではないが、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。本発明に係るベンゼン誘導体の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などがあげられ;薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ;薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ;薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
本発明に係るベンゼン誘導体の製造方法は特に限定されないが、例えば、次の反応工程により製造することができる。以下に示す製造法において、原料として用いられる化合物または生成物の1または2以上の官能基が反応条件で変化するか、または工程を実施するために不適切な場合には、有機合成化学で常用される保護基の導入及び脱離を行なうことにより、目的化合物を得ることができる(例えば、プロテクティブ・グループ・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Group in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)参照)。また、必要に応じて置換基導入工程の順序を適宜変更することもできる。なお、下記のスキーム中に示された式(V)で表される化合物を化合物(V)という場合があり、他の化合物についても同様に表現する場合がある。また、スキーム中の化合物におけるR等の定義は、特に言及しない場合には前記と同義である。
本発明に係るベンゼン誘導体の製造法について説明する。
製造方法1
本発明に係るベンゼン誘導体(以下、化合物(I)と記載する)において−X−Y−が−CR23=CR24−の化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)は次の反応工程に従い、得ることができる。
Figure 2008156313
(式中、R、R,R,R、R,R、R16、R19、およびR23は前記と同義である。)
化合物(Ia)は、化合物(IIa)あるいは化合物(IIb)あるいは化合物(IIc)あるいは化合物(IId)と化合物(III)とをメタノール、エタノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエンまたはキシレンなどの溶媒中、2当量〜過剰量のナトリウムメトキシドあるいは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、0℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜72時間反応させることにより得られる。
製造方法2
化合物(I)において−X−Y−が−CR23=CH−の化合物(Ie)は次の反応工程に従い、得ることができる。
Figure 2008156313
(式中、R、R,R,R、R,R、およびR23は前記と同義である)
化合物(Ie)は、化合物(IIe)と化合物(III)とをメタノール、エタノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエンまたはキシレンなどの溶媒中、2当量〜過剰量のナトリウムメトキシドあるいは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、0℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜72時間反応させることにより得られる。
製造方法3
化合物(Ie)においてRがカルボキシル基である化合物(Ie−1)はエステル化合物(Ie−2)やアミド化合物(Ie−3)より次の反応工程に従っても、得ることができる。
Figure 2008156313
(式中、R、R,R,R、R,R、R23、R25,R26、R27およびR28 は前記と同義である。)
エステル化合物(Ie−2)やアミド化合物(Ie−3)を適当な加水分解法、例えばメタノール、エタノール等低級アルコール単独または水との混合溶媒中、当量〜過剰量の水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ存在下、室温〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜48時間反応させることにより化合物(Ie−1)が得られる。
製造方法4
化合物(I)において−X−Y−が−CHR14−CH−の化合物(If)は次の反応工程に従い、得ることができる。
Figure 2008156313
(式中、R、R,R,R、R,R、R14、およびR23は前記と同義である。)
化合物(Ie)を適当な還元法、例えばパラジウム−炭素、二酸化白金などの触媒の存在下、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、常圧〜加圧の水素雰囲気下、0℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間かけて還元することにより得られる。
一方、原料化合物のうち(II)型化合物は、市販品のキシレン誘導体(IV)あるいは市販品のハロゲン誘導体(V)より得ることができる。(II)型化合物の製造法について説明する。
製造方法5
Figure 2008156313
(式中、R、R,R,R、R16、およびR19は前記と同義である。Zは塩素あるいは臭素あるいはヨウ素原子を表す。)
キシレン誘導体(IV) を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の不活性溶媒中、2当量〜過剰量のハロゲン化剤たとえばN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドと、触媒量〜過剰量のラジカル開始剤、例えばアゾイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルとを室温〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜24時間反応させることによりハロゲン誘導体 (V)が得られる。
ハロゲン誘導体(V)は、シアン化ナトリウムなどのシアノ化剤を作用させることにより化合物(IIa)を、アンモニアなどを作用させて合成した一級アミン化合物を酸化反応に付すことにより化合物(IIb)を、ナトリウムチオメトキシドなどを作用させ目的とするスルフィド化合物を合成した後、これを酸化反応に付すことにより化合物(IIc)を、メチルスルフィン酸ナトリウムなどの目的とするスルフィン酸ナトリウム誘導体と反応させることにより化合物(IId)を得ることができる。
化合物(IIe)は、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Eur. J. Med. Chem.)、第39巻、第573頁、2004年や国際公開WO05/042461等に記載の方法あるいはこれに準じ得ることができる。
ハロゲン誘導体(V)を、トリエチルフォスファイトと適当な不活性溶媒中、あるいは無溶媒にて室温〜試薬の沸点の間の温度で 1〜24時間反応させることにより化合物(IIe)を得ることができる。
原料化合物のうち化合物(III)は、市販品の5−ホルミルサリチル酸(VI)より、得ることができる。原料化合物(III) の製造法について説明する。
製造方法6
Figure 2008156313
(式中、R,R、R21、R22、R23、R28、およびZは前記と同義である。)
5−ホルミルサリチル酸(VI)を、アセトンやテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、2当量〜過剰量の炭酸カリウムなどの塩基存在下に例えば2当量〜過剰量のヨウ化メチルにて室温〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜24時間反応させることにより化合物(IIIa)が得られる。
化合物(IIIa)を適当な加水分解法、例えばメタノール、エタノール等低級アルコール単独または水との混合溶媒中、当量〜過剰量の水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ存在下、室温〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜48時間反応させることによりカルボン酸(IIIb)が得られる。このカルボン酸と当量〜過剰量のアンモニア、一級アミンあるいは二級アミンとを、当量〜過剰量のジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤存在下、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒中、室温〜用いた溶媒の沸点の間の温度で、1〜24時間反応させることによりアミド化合物(IIIc)を得ることができる。
フェノール化合物(IIId)は、化合物(IIIa)を塩化メチレン、クロロホルム等の不活性溶媒中、当量〜過剰量の三臭化ホウ素と−80℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で 1〜24時間反応させることにより得られる。
一方、化合物(IIId)とR28Z(R28およびZは前記と同義である)とを、当量〜過剰量の水素化ナトリウム、カリウム第三ブトキシド等の塩基存在下、メタノール、エタノール等の低級アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の溶媒中、0℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で、0.5〜24時間反応させることにより、エーテル化合物(IIIe)を得ることができる。
また、化合物(IIIa)を乾燥不活性ガス、例えば窒素ガス、ヘリウムガス等の雰囲気下に、不活性溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒中、−78℃〜室温で 1当量〜1.5当量の例えばR23のリチウム塩 あるいはR23のマグネシウムブロミドなどのグリニャール試薬 と反応後、塩化メチレン、クロロホルム等の不活性溶媒中、当量〜過剰量の二酸化マンガンなどの酸化剤で処理することによりケト化合物(IIIf) が得られる。以上、上記の反応を組み合わせることにより必要な化合物(III)を得ることができる。
上述した製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付して単離精製することが出来る。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。化合物(I)には、位置異性体、幾何異性体または光学異性体のような異性体が存在し得るが、可能な異性体および該異性体のいかなる比率における混合物も本発明に包含される。
化合物(I)の塩を取得したいときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁させて、適当な酸または塩基を加えることにより塩を形成させて単離すればよい。また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。
なお現在種々のアミロイド疾患が知られているが、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症のモニタリングや治療に用いることは、本発明の好適な態様である。
本発明にかかるベンゼン誘導体はアミロイド蛋白質に親和性を有するために、アミロイドを検出する診断薬として用いることもできる。よって該化合物は、アミロイド疾患の治療とモニタリングの両方を行うための手段を提供するものである。そして本発明により、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などのアミロイド疾患において、疾患の症状が現れる前の段階でも早期診断が可能となり、疾患の効果的な予防や早期治療に資するものである。また本発明により、疾患の進行のモニタリングをしながら治療をすることも可能である。
本発明にかかるベンゼン誘導体をアミロイド疾患の治療剤または予防剤として投与する際の投与経路は特に限定されるものではない。本発明にかかるベンゼン誘導体は通常、薬学的に許容される製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。そのような担体として使用されるのは、製剤分野において常用され且つ本発明にかかるベンゼン誘導体と反応しない物質である。本発明にかかるベンゼン誘導体を投与する方法は特に限定されるものではなく経口的、あるいは非経口的に投与することができ、鼻腔内吸引、舌下投与、口腔内投与なども可能である。また注射剤として非経口的に投与する場合には、脳室内注射、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、皮内注射など種々の手段により投与することも可能である。
上記の化学式7のベンゼン誘導体を薬学的に許容される塩として投与することもでき、その様な薬学的に許容される塩の例として具体的には、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機塩;酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩;モルホリン、ピペラジンなどが添加された有機アミン添加塩;リジン、グリシン、フェニルアラニンなどが添加されたアミノ酸添加塩を挙げることができる。
また製剤にあたって本発明にかかるベンゼン誘導体は通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明で用いるベンゼン誘導体と反応しない物質が用いられる。具体的にはその様な物質の例として、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
本発明にかかるベンゼン誘導体は通常、これらの製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。これらの製剤は、該ベンゼン誘導体を0.01〜100重量%、好ましくは1〜90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
また投与する剤型は特に限定されるものではなく、可能な剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明で用いるベンゼン誘導体を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
有効成分である本発明にかかるベンゼン誘導体の投与量は、化合物の種類や投与方法等により異なる。投与量の決定においては投与される者の要因も考慮され、そのような要因としては投与される者の健康状態、年齢、体重、性別、病状の進行度および重症度などが挙げられる。場合に応じて治療に有効な効果を得ることができる投与量を決定することは、当業者の経験および能力の範囲内である。有効成分である本発明にかかるベンゼン誘導体の投与量は特に限定されるものではないが、好ましい投与量は投与される者の体重1キログラムあたり0.001mgから100mg、より好ましい投与量は体重1キログラムあたり0.01mgから20mgである。血流により最終的には有効成分である本発明にかかるベンゼン誘導体は除去されるので、該化合物を繰り返して投与することが好ましい。この繰り返し投与を行なう回数は特に限定されるものではなく、投与される者の状態などを考慮して適宜決定することができる。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分、例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ぶどう糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。
下記の実施例や図面を用いて本発明を更に詳しく説明するが、その記載は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼン(実施例1)と1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼン(実施例2)を合成し、それらの化合物がアミロイドβ膜における張力変化にもたらす影響を測定した。更に中間体として参考例1と参考例2の化合物、および参考例3、参考例4、参考例5の化合物を合成した。本実施例および本参考例で合成した化合物の化学式(化学式14)とNMRスペクトルのデータを以下に示す。
Figure 2008156313
参考例1
2−フルオロ−2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼンの調製
2−フルオロ-p-キシレン(10.0g、80.5mmol)、N-ブロモスクシンイミド(30.1g、0.169mol)および2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、110mg、0.670mmol)をlLのクロロホルム中で30分間加熱撹拌した(内温60〜61℃)。反応の進行が認められなかったため、反応液を29℃まで冷却してAIBNを110mg加え、さらに1.5時間加熱撹拌した(内温60〜61℃)。反応液を室温付近まで冷却した後、分液ロートに移し、水400mLで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾換して溶媒を減圧留去し、微黄色結晶24.7gを得た。
さらに上記の操作をもう一度実施し(2−フルオロ-p-キシレンを10.6g使用)、合わせて51.1gの微黄色結晶を得た。この結晶を冷n−ヘキサン70mL中で破砕した後、結晶を濾取して、n−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して白色結晶25.3gを得た。この結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=30/1→20/1)により精製し、白色結晶の参考例1の化合物[2−フルオロ−2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼン]を得た。(19.5g、69.2mmol、収率42%)
参考例2
2−フルオロ−2,5−ビス(ジエチルフォスフォネート)キシレンの調製
亜燐酸トリエチル(23g、138mmol)を120℃まで加熱し、上記の参考例1の化合物(19.5g、69.2mmol)を少量ずつ約2時間かけて投入した。20分間同温度で撹拌したが、反応液中に参考例1の化合物が残存していることが認められたため、該化合物が完全に消失するまで亜燐酸トリエチルを少量ずつ加えた(追加分の合計3.51g、21.1mmol)。反応液を室温まで冷却し、得られた無色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロルム/酢酸エチル=5/1→クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、無色油状の参考例2の化合物[2−フルオロ−2,5−ビス(ジエチルフォスフォネート)キシレン]を得た(19.8g、50.0mmol、収率72%)。
参考例3
(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−メトキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼンの調製
3−メトキシカルボニル−4−メトキシベンズアルデヒド(19.4g,100mmol)および上記の参考例2の化合物(19.8g,50.0mmol)を脱水メタノール82mL中、内温0℃で撹拌し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を滴下した。滴下終了後、徐々に昇温すると内温60℃付近で黄色の結晶が析出した。内温を62℃付近に保ち、約20時間撹拌した後、室温まで冷却した反応液を水1.2Lに分散し、4M塩酸にてpH約3に調整した。この懸濁液をクロロホルム400mLで3回抽出し、合わせたクロロホルム層を水400mLで洗浄した。この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた黄色固体12.0gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=20/1)で精製し、明黄色固体の参考例3の化合物[(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−メトキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼン](10.8g、22.7mmol,収率45%)を得た。
参考例3の化合物のスペクトルデータ 1H NMR(CDCl3, δppm):3.93(s, 6H), 3.94(s, 6H), 6.95-7.26(m, 8H), 7.57(t, J=7.9Hz, 1H), 7.61(dd, J=9.1, 2.2Hz, 1H), 7.64(dd, J=9.3, 2.2Hz, 1H), 7.98(d, J=2.2Hz, 1H), 7.99(d, J=2.2Hz, 1H).
参考例4
(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシ)スチリルベンゼンの調製
参考例3の化合物(5.00g、10.5mmol)を脱水塩化メチレン500mLに溶解させ、内温-67℃まで冷却した後、1.0mol/L 三臭化ホウ酸ジクロロメタン溶液(31.5mL,31.5mmol)を撹拌下に45分かけて滴下した。滴下終了後、3時間かけて-30℃まで昇温し、内温を-25℃程度に保ちつつ、飽和重曹水30mL,メタノール65mLを滴下した。この微黄色の懸濁液を飽和重曹水500mLに分散して分液ロートに移し、下層を採取した。上層を濾過し、黄色不溶物を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥し、黄緑色固体3.36gを得た。濾液および洗浄液を合わせてクロロホルム100mLで2回抽出し、得られたクロロホルム層を前述の下層と合わせて水200mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、淡緑色固体1.36gを得た。
上記の黄緑色固体3.36gおよび淡緑色固体1.36gをTHF760mLに懸濁させ、66℃で加熱撹拌して溶解した。室温まで冷却後、5℃で終夜放置し、生じた黄緑色針状結晶を濾取し、メタノールで洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、参考例4の化合物[(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシ)スチリルベンゼン](3.49g、7.78mol、収率74%)を得た。
参考例4の化合物のスペクトルデータ 1H NMR(DMSO-d6, δppm):7.04(d, J=8.5Hz, 1H), 7.05(d, J=8.5Hz, 1H), 7.16(d, J=16.5Hz, 1H), 7.19(d, J=16.5Hz, 1H), 7.36(d, J=16.5Hz, 1H), 7.40(d, J=16.5Hz, 1H), 7.44-7.50(m, 2H), 7.79(t, J=8.0Hz, 1H), 7.84(d, J=2.5, 8.5Hz, 1H), 7.88(dd, J=2.5, 8.5Hz, 1H), 7.98(d, J=2.5Hz, 1H), 7.99(d, J=2.5Hz, 1H).
参考例5
(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)スチリルベンゼンの調製
参考例4の化合物(3.00g、6.69mmol)を0.06Mの水酸化カリウム水溶液1Lに懸濁させ、内温95℃で6時間撹拌した。反応終了後、内温70〜80℃のまま2M塩酸を用いてpHを2付近に調整した。室温まで冷却後、生じた黄色結晶を濾取し、水で洗浄した後、減圧乾燥し、黄色固体の参考例5の化合物[(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)スチリルベンゼン](2.79g、6.64mmol、収率99%)を得た。
参考例5の化合物のスペクトルデータ 1H NMR(DMSO-d6, δppm):7.00(d, J=8.5Hz, 1H), 7.01(d, J=8.5Hz, 1H), 7.15(d, J=16.5Hz, 1H), 7.16(d, J=16.5Hz, 1H), 7.35(d, J=16.5Hz, 1H), 7.36(d, J=16.5Hz, 1H), 7.43-7.49(m, 2H), 7.77(t, J=7.9Hz, 1H), 7.82(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.86(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.99(d, J=2.2Hz, 1H), 8.01(d, J=2.2Hz, 1H).
実施例1
(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼンの調製
参考例3の化合物(0.5g、1.05mmol)および水酸化カリウム(0.295g、5.25mmol)を20mLのエタノール中で約24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、水1Lを加え、4M塩酸でpHを2付近に調整し、0.5時間撹拌した後、黄色不溶解物を濾取し、減圧乾燥した。得られた黄色固体を破砕し、クロロホルムで洗浄後、減圧乾燥し、実施例1の化合物[(E、E)−1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼン](0.281g、0.627mmol、収率60%)を得た。
実施例1の化合物のスペクトルデータ 1H NMR(DMSO-d6, δppm):3.83(s, 6H), 7.16(d, J=8.5Hz, 1H), 7.17(d, J=8.5Hz, 1H), 7.18(d, J=16.5Hz, 2H), 7.35(d, J=16.5Hz, 1H), 7.36(d, J=16.5Hz, 1H), 7.46-7.50(m, 2H), 7.74-7.80(m, 3H), 7.87(d, J=2.2Hz, 1H), 7.89(d, J=2.2Hz, 1H), 12.77(s, 2H).
実施例2
1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼンの調製
参考例5の化合物(200mg、0.476mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド25mLに溶解させ、反応容器内をアルゴンで置換した後、10%パラジウムカーボン(50Wt%含水)50mgを加え、水素雰囲気下で7時間撹拌した。反応液を渡過し、濾液を濃縮した後、得られた白色固体を再びN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して濾過し、残留していたパラジウムカーボンを除いた。ろ液の濃縮物を破砕して酢酸エチルでスラリー洗浄した後、減圧乾燥し、再びN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた。さらに残留していたパラジウムカーボンを遠沈して除き、上清を減圧により濃縮乾固し、白色固体の実施例2の化合物[1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼン](107mg、0.252mmol、収率53%)を得た。
実施例2の化合物のスペクトルデータ 1H NMR(DMSO-d6, δppm):2.80(s, 8H), 6.85(d, J=8.5Hz, 1H), 6.86(d, J=8.5Hz, 1H), 6.94-7.03(m, 2H), 7.16(t, J=8.0Hz, 1H), 7.32(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.35(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.59(d, J=2.2Hz, 1H), 7.63(d, J=2.2Hz, 1H).
アミロイドβの膜を作製し、これらの化合物がアミロイドβ膜の張力変化に及ぼす影響を検討した。アミロイドβ(1−42)(Bachem AG, Bubendorf, Switzerland)を0.1%アンモニア水に1mg/mLの濃度で溶解させ、その溶液を特表2002-511792号公報に記載された静電噴霧を行なう装置、あるいは特開2003-136005号公報に記載された固定化装置を用いて乾燥空気中で噴霧し、縦400μm横800μmの孔をもつマスクを透過させ、1.2%ポリビニルピロリドン上に膜を作成した。
この膜をグルタールアルデヒドで架橋し、メカノケミカルセンサーを有する特表2002-503332号公報あるいは米国特許US6033913号公報に記載されている装置上のアームに配置し、0.15 M NaClを含む10 mM Hepes pH6.6の緩衝液(以下、緩衝液と略す)中に浸した。緩衝液を、検出装置上に存在する膜上に0.1 mL/minの流速で流し、張力を安定させた。
その後、緩衝液中に溶解したZnCl2、あるいはZnCl2および実施例1の化合物を緩衝液中に溶解した溶液を流し、張力および弾性の変化を検出した(図1)。Zn2+により引き起こされるアミロイドβ(1−42)の凝集が本法により検出できることは、特願2004-289282に記載されている。30μMのZnCl2により引き起こされる張力の増加に対して、10μMの実施例1の化合物と30μMの実施例1の化合物が及ぼす影響を検討したところ、特に30μMの実施例1の化合物の存在下において張力の増加は著しく抑制された。なお図1において、最初の矢印はZnCl2を添加した時点を、2番目の矢印はZnCl2と10μMの実施例1の化合物を添加した時点を、3番目の矢印はZnCl2と30μMの実施例1の化合物を添加した時点を、それぞれ示す。以上の結果から実施例1の化合物はアミロイドβ(1−42)の凝集を抑制する作用を有することが判った。
更に、緩衝液中に溶解したZnCl2、あるいはZnCl2および実施例2の化合物を緩衝液中に溶解した溶液を流し、張力および弾性の変化を検出した(図2)。30μMのZnCl2により引き起こされる張力の増加に対して、1mMの実施例2の化合物が及ぼす影響を検討したところ、1mMの実施例2の化合物の存在下において張力の増加は著しく抑制された。なお図2において、最初の矢印はZnCl2を添加した時点を、2番目の矢印はZnCl2と1mMの実施例2の化合物を添加した時点を、それぞれ示す。以上の結果から実施例2の化合物もアミロイドβ(1−42)の凝集を抑制する作用を有することが判った。
本発明により、アミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状をモニタリングするための薬剤が提供された。本発明のベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩は、アミロイド蛋白質の凝集または繊維化の抑制作用を有する。該化合物はアミロイド疾患に伴うアミロイド性の構造変化を阻害するためにアミロイド疾患の治療に有効であり、それに加えてアミロイド蛋白質に親和性を有するために、アミロイド蛋白質の検出にも有効である。よって該化合物を用いて、アミロイド疾患の治療とモニタリングの両方を行なうことが可能である。
図1は、実施例1の化合物により、ZnCl2によるアミロイドβ(1−42)膜の張力の増加が抑制されることを示すグラフである。 図2は、実施例2の化合物により、ZnCl2によるアミロイドβ(1−42)膜の張力の増加が抑制されることを示すグラフである。

Claims (44)

  1. 次の化学式1で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状をモニタリングするための薬剤。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  2. 前記化学式1において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項1記載の薬剤。
  3. 前記化学式1において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項1または請求項2記載の薬剤。
  4. 前記化学式1において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項1から請求項3のいずれか1項記載の薬剤。
  5. 前記化学式1において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項1記載の薬剤。
  6. 前記化学式1において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項1記載の薬剤。
  7. 前記アミロイド疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患である、請求項1から請求項6のいずれか1つの請求項記載の薬剤。
  8. 次の化学式2で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療と共に該疾患の病状をモニタリングする方法。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  9. 前記化学式2において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項8記載の薬剤。
  10. 前記化学式2において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項8または請求項9記載の方法。
  11. 前記化学式2において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項8から請求項10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記化学式2において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項8記載の方法。
  13. 前記化学式2において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項8記載の方法。
  14. 前記アミロイド疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患である、請求項8から請求項13のいずれか1つの請求項記載の薬剤。
  15. 次の化学式3で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド疾患の治療剤または予防剤。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  16. 前記化学式3において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキルからなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項15記載の薬剤。
  17. 前記化学式3において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項15または請求項16記載の治療剤または予防剤。
  18. 前記化学式3において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項15から請求項17のいずれか1項記載の治療剤または予防剤。
  19. 前記化学式3において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項15記載の治療剤または予防剤。
  20. 前記化学式3において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項15記載の治療剤または予防剤。
  21. 前記アミロイド疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患である、請求項15から請求項20のいずれか1つの請求項記載の治療剤または予防剤。
  22. 次の化学式4で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするアミロイド蛋白質の凝集または繊維化の抑制剤。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  23. 前記化学式4において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項22記載の薬剤。
  24. 前記化学式4において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項22または請求項23記載の抑制剤。
  25. 前記化学式4において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項22から請求項24のいずれか1項記載の抑制剤。
  26. 前記化学式4において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項22記載の抑制剤。
  27. 前記化学式4において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項22記載の抑制剤。
  28. 前記アミロイド蛋白質がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患の原因蛋白質である、請求項22から請求項27のいずれか1つの請求項記載の抑制剤。
  29. 次の化学式5で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として用いることを特徴とするアミロイド疾患を治療または予防する方法。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  30. 前記化学式5において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項29記載の薬剤。
  31. 前記化学式5において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項29または請求項30記載の方法。
  32. 前記化学式5において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項29から請求項31のいずれか1項記載の方法。
  33. 前記化学式5において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項29記載の方法。
  34. 前記化学式5において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項29記載の方法。
  35. 前記アミロイド疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患である、請求項29から請求項34のいずれか1つの請求項記載の方法。
  36. 次の化学式6で表されるベンゼン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として用いることを特徴とするアミロイド蛋白質の凝集または繊維化を抑制する方法。
    Figure 2008156313
    <式中、R、R,R,Rは、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表す)、ニトロ基、−SO[式中、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR10(式中、RおよびR10は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基からなる群から選択された基を表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)からなる群から選択された基を表す]、−CO11(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)、および−CONR1213(式中、R12およびR13は前記のRおよびR10と同義であるか、またはそれぞれ独立に、低級アルケニル基、低級アルキニル基、脂肪族複素環基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基をも表す)からなる群から選択された基を表し、
    −X−Y−は、−CHR14−CHR15−あるいは−CHR15−CHR14−{R14は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、および芳香族複素環基からなる群から選択された基を表し、R15は水素原子、シアノ基、ニトロ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および−NR1718(式中、R17およびR18は前記のRおよびR10と同義である)からなる群から選択された基を表す]、−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)、−CO20(式中、R20は前記のR11と同義である)、および−CONR2122(式中、R21およびR22は前記のR12およびR13と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、またはシスもしくはトランスの−CR23=CR24−あるいは−CR24=CR23−(式中、R23およびR24は前記のR14およびR15と同義である)を表し、
    およびRは、それぞれ独立に−CO25(式中、R25は前記のR11と同義である)、−CONR2627(式中、R26およびR27は前記のR12およびR13と同義である)、およびOR28(式中、R28は前記のR7と同義である)からなる群から選択された基を表し、
    ただし、−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがヒドロキシカルボニル基あるいはメトキシカルボニル基、Rがヒドロキシ基であるとき、および−X−Y−がトランスの−CH=CH−、Rがフッ素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子、Rがメトキシカルボニル基、Rがメトキシ基であるとき、R,R,Rのうちどれか一つは水素原子ではない。>
  37. 前記化学式6において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、シスまたはトランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、−SOR16[式中、R16は低級アルキル基、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]、および−SO19(式中、R19は前記のR16と同義である)からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基あるいは−CONR2627(式中、R26およびR27は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群から選択された基を表す)を表し、
    が−OR28(式中、R28は水素原子、または低級アルキル基を表す)である、請求項36記載の薬剤。
  38. 前記化学式6において、R、R,R,Rのうち2つ以上がフッ素原子であり、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−{式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19[式中、R19は低級アルキル基を表すか、または−NR1718(式中、R17およびR18は、同一または異なっており、それぞれ独立に、水素原子あるいは低級アルキル基を表すか、またはR17とR18が隣接する窒素原子と共同して複素環基を形成する)を表す]からなる群から選択された基を表す}を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    は−OR28(式中、R28は水素原子あるいは低級アルキル基を表す)である、請求項36または請求項37記載の方法。
  39. 前記化学式6において、R、R,R,Rはフッ素原子を表し、
    −X−Y−は、トランスの−CR23=CR24−[式中、R23は水素原子を表し、R24は水素原子、シアノ基、および−SO19(式中、R19は低級アルキル基を表す)からなる群から選択された基を表す]を表し、
    はヒドロキシカルボニル基を表し、
    はヒドロキシ基を表す、請求項36から請求項38のいずれか1項記載の方法。
  40. 前記化学式6において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがメトキシ基であり、かつ−X−Y−がトランスの−CH=CH−である、請求項36記載の方法。
  41. 前記化学式6において、Rがフッ素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシカルボニル基であり、Rがヒドロキシ基であり、かつ−X−Y−が−CH−CH−である、請求項36記載の方法。
  42. 前記アミロイド蛋白質がアルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択された疾患の原因蛋白質である、請求項36から請求項41のいずれか1つの請求項記載の方法。
  43. 1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−メトキシ)スチリルベンゼン。
  44. 1−フルオロ−2,5−ビス(3−ヒドロキシカルボニル−4−ヒドロキシ)フェネチルベンゼン。
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