JP2016017009A - 不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】融着が抑制され、かつ酸素量が高く、焼成して難黒鉛化性炭素材料としたときに優れた放電容量を示す不融化処理品が得られる、不融化処理方法を提供する。【解決手段】難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法。【選択図】なし
Description
本発明は、不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池に関する。
近年、地球環境保護に対する意識の高まりから、化石燃料の使用量低減およびCO2排出量削減を実現できるハイブリッド車や電気自動車が注目されている。
車載用電池の負極材料としては、高い入出力特性とサイクル特性とを併有する難黒鉛化性炭素材料が注目を集めている。特にハイブリッド車用電池では、車の発進や回生エネルギーの充電を繰り返すことから、高い入出力特性と長期間の繰り返し充放電が可能な寿命特性とが求められるため、難黒鉛化性炭素材料が適している。
車載用電池の負極材料としては、高い入出力特性とサイクル特性とを併有する難黒鉛化性炭素材料が注目を集めている。特にハイブリッド車用電池では、車の発進や回生エネルギーの充電を繰り返すことから、高い入出力特性と長期間の繰り返し充放電が可能な寿命特性とが求められるため、難黒鉛化性炭素材料が適している。
リチウムイオン二次電池の負極材料としての難黒鉛化性炭素材料については、石油系ピッチまたは石炭系ピッチを原料としたものが報告されており、また、これらを原料に用いた製造方法に関しても種々の報告がなされている(例えば、特許文献1〜2を参照)。
原料であるピッチから難黒鉛化性炭素材料を得る際には、原料に架橋処理を施して架橋処理品を得た後、得られた架橋処理品に対して不融化処理を施す必要がある(特許文献1〜2を参照)。
本発明者らは、不融化処理の雰囲気によっては、得られる不融化処理品について、融着が発生したり酸素量が充分に増えなかったりする場合があることを明らかにした。このような不融化処理品から得られた難黒鉛化性炭素材料は、放電容量が劣る場合がある。
本発明者らは、不融化処理の雰囲気によっては、得られる不融化処理品について、融着が発生したり酸素量が充分に増えなかったりする場合があることを明らかにした。このような不融化処理品から得られた難黒鉛化性炭素材料は、放電容量が劣る場合がある。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、融着が抑制され、かつ酸素量が高く、焼成して難黒鉛化性炭素材料としたときに優れた放電容量を示す不融化処理品が得られる、不融化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、不融化処理に際して特定成分を特定量添加することにより、上記目的を達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法。
(2)難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して架橋処理品を得る工程と、上記架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る工程と、上記不融化処理品を焼成して難黒鉛化性炭素材料を得る工程と、を備え、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、難黒鉛化性炭素材料の製造方法。
(3)さらに、上記架橋処理品に対して粉砕処理を施す工程を備え、上記粉砕処理が施された上記架橋処理品に上記不融化処理を施して上記不融化処理品を得る、上記(2)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法。
(4)上記(2)または(3)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
(5)上記(2)または(3)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池。
(1)難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法。
(2)難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して架橋処理品を得る工程と、上記架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る工程と、上記不融化処理品を焼成して難黒鉛化性炭素材料を得る工程と、を備え、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、難黒鉛化性炭素材料の製造方法。
(3)さらに、上記架橋処理品に対して粉砕処理を施す工程を備え、上記粉砕処理が施された上記架橋処理品に上記不融化処理を施して上記不融化処理品を得る、上記(2)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法。
(4)上記(2)または(3)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
(5)上記(2)または(3)に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、融着が抑制され、かつ酸素量が高く、焼成して難黒鉛化性炭素材料としたときに優れた放電容量を示す不融化処理品が得られる、不融化処理方法を提供することができる。
[不融化処理方法および難黒鉛化性炭素材料の製造方法]
本発明の不融化処理方法は、難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法である。
本発明の不融化処理方法は、難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法である。
また、本発明の難黒鉛化性炭素材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して架橋処理品を得る工程と、上記架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る工程と、上記不融化処理品を焼成して難黒鉛化性炭素材料を得る工程と、を備え、上記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、上記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、難黒鉛化性炭素材料の製造方法である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明し、その過程で、本発明の不融化処理方法についても説明を行なう。
〔架橋処理〕
まず、難黒鉛化性炭素材料の原料(以下、単に「原料」ともいう。)に架橋処理を施して架橋処理品を得る。
まず、難黒鉛化性炭素材料の原料(以下、単に「原料」ともいう。)に架橋処理を施して架橋処理品を得る。
ここで、本発明の製造方法に用いられる原料としては、特に限定されず、従来公知の原料を用いることができ、例えば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチ;フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂;ピッチと樹脂との混合物;等が挙げられ、なかでも、経済性等の観点から、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチが好ましい。
上述した原料に架橋処理を施す方法としては、例えば、エアーブローイング反応による方法;酸化性ガス(空気、酸素、オゾン)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、エアーブローイング反応による方法が好ましい。
エアーブローイング反応は、上述した原料を加熱し、酸化性ガス(例えば、空気、酸素、オゾン、これらの混合物)を吹き込むことにより、軟化点を上昇させる反応である。エアーブローイング反応によれば、例えば200℃以上の高軟化点を有する架橋処理品(例えば、エアーブロンピッチ)を得ることができる。
なお、エアーブローイング反応は、液相状態での反応であり、固相状態での架橋処理と比較して炭素材料中への酸素原子の取り込みが殆どないことが知られている。
エアーブローイング反応においては、酸化的脱水反応を主体とする反応が進行し、ビフェニル型の架橋結合により重合が進む。そして、その後の不融化、焼成(後述)によって、この架橋部分が支配的になった配向性のない三次元構造を有し、リチウムが吸蔵される空隙を数多く残存させた難黒鉛化性炭素材料が得られる、と考えられる。
エアーブローイング反応においては、酸化的脱水反応を主体とする反応が進行し、ビフェニル型の架橋結合により重合が進む。そして、その後の不融化、焼成(後述)によって、この架橋部分が支配的になった配向性のない三次元構造を有し、リチウムが吸蔵される空隙を数多く残存させた難黒鉛化性炭素材料が得られる、と考えられる。
エアーブローイング反応の条件は、特に限定されないが、温度が高すぎるとメソフェーズが発生し、低いと反応速度が遅くなるという理由から、反応温度としては、280〜420℃が好ましく、320〜380℃がより好ましい。また、酸化性ガスの吹き込み量としては、圧縮空気としてピッチ1000gあたり0.5〜15L/分が好ましく、1.0〜10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
このような架橋処理によって得られるエアーブロンピッチ等の架橋処理品の軟化点としては、不融化処理のしやすさから、200〜400℃が好ましく、250〜350℃がより好ましい。
〔粉砕処理〕
本発明においては、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して、粉砕処理を施して、粒度調整を行なうのが好ましい。
本発明においては、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して、粉砕処理を施して、粒度調整を行なうのが好ましい。
このとき、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が、3〜30μmとなるように粉砕するのが好ましく、5〜25μmとなるように粉砕するのがより好ましい。
粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が大きすぎると、後述する不融化処理において、融着が発生しやすくなったり酸素量が高まりにくくなったりする場合がある。一方、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が小さすぎると、後述する不融化処理において、粒子が微細なために過度に酸化性雰囲気と反応しやすくなり、やはり融着が発生しやすくなったり酸素量が高まりにくくなったりする場合がある。
これに対して、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が上記範囲内であれば、不融化処理品における融着の発生や酸素量の増加抑制を、より防止できる。
粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が大きすぎると、後述する不融化処理において、融着が発生しやすくなったり酸素量が高まりにくくなったりする場合がある。一方、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が小さすぎると、後述する不融化処理において、粒子が微細なために過度に酸化性雰囲気と反応しやすくなり、やはり融着が発生しやすくなったり酸素量が高まりにくくなったりする場合がある。
これに対して、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が上記範囲内であれば、不融化処理品における融着の発生や酸素量の増加抑制を、より防止できる。
なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)であり、より詳細には、粒度分布測定器LMS2000e(セイシン企業社製)を用い、溶媒に水を用いて測定したものである。
粉砕処理に用いる粉砕機としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ジェットミル、ピンミル、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミル、振動ミル等が挙げられる。
これらの粉砕機を用いる場合、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が上記範囲となるように、その粉砕条件を設定する。
これらの粉砕機を用いる場合、粉砕処理後の架橋処理品の平均粒子径が上記範囲となるように、その粉砕条件を設定する。
〔不融化処理(不融化処理方法)〕
次に、粉砕処理が施されていてもよい、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して不融化処理を施して、不融化処理品(例えば、不融化ピッチ)を得る。不融化処理は、固相状態で行なわれる一種の架橋処理(酸化処理)であり、これにより、架橋処理品の構造の中に酸素が取り込まれ、さらに架橋が進行することにより高温で溶融し難くなる。
次に、粉砕処理が施されていてもよい、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して不融化処理を施して、不融化処理品(例えば、不融化ピッチ)を得る。不融化処理は、固相状態で行なわれる一種の架橋処理(酸化処理)であり、これにより、架橋処理品の構造の中に酸素が取り込まれ、さらに架橋が進行することにより高温で溶融し難くなる。
不融化処理の方法としては、一般的には、例えば、酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられるが、本発明においては、酸化性ガスによる乾式法を用いる。
このとき用いる酸化性ガスとしては、酸素やオゾン等の酸化性物質を含有していれば特に限定されず、例えば、酸化性物質が不活性ガス(例えば窒素やヘリウム等)で希釈されていてもよい。酸化性ガス中の酸化性物質の含有量は例えば1〜100体積%であり、好ましくは5〜80体積%の範囲内である。
このとき用いる酸化性ガスとしては、酸素やオゾン等の酸化性物質を含有していれば特に限定されず、例えば、酸化性物質が不活性ガス(例えば窒素やヘリウム等)で希釈されていてもよい。酸化性ガス中の酸化性物質の含有量は例えば1〜100体積%であり、好ましくは5〜80体積%の範囲内である。
不融化処理を施す際に、その昇温速度は、50〜200℃/時間が好ましく、75〜175℃/時間がより好ましい。
処理温度(最高温度)としては、架橋処理品の軟化点以下を選択する必要があり、例えば、架橋処理品の軟化点が250℃以上320℃未満である場合に、軟化点の温度をA℃とすると、処理温度は(A−40)℃〜(A−10)℃の範囲が好ましく、(A−30)℃〜(A−15)℃の範囲内がより好ましい。
処理温度(最高温度)としては、架橋処理品の軟化点以下を選択する必要があり、例えば、架橋処理品の軟化点が250℃以上320℃未満である場合に、軟化点の温度をA℃とすると、処理温度は(A−40)℃〜(A−10)℃の範囲が好ましく、(A−30)℃〜(A−15)℃の範囲内がより好ましい。
不融化処理におけるその他の処理条件としては、例えば、酸化性ガスの吹き込み量は、架橋処理品1000gあたりの圧縮空気として1.0〜20L/分が好ましく、2.0〜10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
そして、本発明においては、不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加する。
このような不融化処理を施すことにより、融着が抑制され、かつ、高い酸素量(例えば、5.0質量%以上)の不融化処理品が得られる。
このような不融化処理を施すことにより、融着が抑制され、かつ、高い酸素量(例えば、5.0質量%以上)の不融化処理品が得られる。
なお、本発明において、不融化処理品についての融着の有無は、不融化処理品を1mmの篩を通すことにより判断できる。すなわち、1mm篩の篩上質量が全質量のうち10質量%以上である場合には融着が発生しているものと判断し、篩上質量が10質量%未満である場合には融着が発生していないものと判断する。
また、本発明において、不融化処理品の酸素量は、元素分析装置(アムコ社製FLASH2000)を用いた定量分析により測定できる。
また、本発明において、不融化処理品の酸素量は、元素分析装置(アムコ社製FLASH2000)を用いた定量分析により測定できる。
上記効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように考えられる。
まず、不融化処理中の架橋処理品(エアーブロンピッチ等)は、昇温過程で大きな熱を発して融着しやすくなる。これは、酸素との結合が加速度的に進むためと考えられる。激しく融着した場合、架橋処理品の内部は、酸素と接することができなくなり、その結果、酸素の取り込みが阻害され、酸素量が低くなってしまうと考えられる。
これに対して、Zn、Bi、SeおよびSbの少なくともいずれかを、規定量の範囲内で添加することにより、発生する熱を抑制し、融着の発生を抑制できる。
この理由は明らかではないが、おそらく、架橋処理品よりも酸素と反応しやすい成分を適量添加することにより、選択的に添加成分の方が酸化されるので、架橋処理品の酸素取り込み速度が適度に抑えられて発生する熱が低下し、その結果、融着を抑制しつつ不融化処理を完了できるためと考えられる。
まず、不融化処理中の架橋処理品(エアーブロンピッチ等)は、昇温過程で大きな熱を発して融着しやすくなる。これは、酸素との結合が加速度的に進むためと考えられる。激しく融着した場合、架橋処理品の内部は、酸素と接することができなくなり、その結果、酸素の取り込みが阻害され、酸素量が低くなってしまうと考えられる。
これに対して、Zn、Bi、SeおよびSbの少なくともいずれかを、規定量の範囲内で添加することにより、発生する熱を抑制し、融着の発生を抑制できる。
この理由は明らかではないが、おそらく、架橋処理品よりも酸素と反応しやすい成分を適量添加することにより、選択的に添加成分の方が酸化されるので、架橋処理品の酸素取り込み速度が適度に抑えられて発生する熱が低下し、その結果、融着を抑制しつつ不融化処理を完了できるためと考えられる。
なお、上記添加成分(Zn、Bi、SeおよびSb)は、添加する際の形態としては、単体であり、具体的には、金属粉末または半金属粉末の形態が好ましく挙げられる。
また、上記添加成分は、添加量が上述した規定範囲内であれば、1種単独で用いても、2種以上を併用しても、所望の効果が得られる。
また、上記添加成分は、添加量が上述した規定範囲内であれば、1種単独で用いても、2種以上を併用しても、所望の効果が得られる。
〔焼成〕
次に、不融化処理によって得られた不融化ピッチ等の不融化処理品を、減圧または窒素等の不活性ガス雰囲気中において焼成することにより、難黒鉛化性炭素材料を得る。焼成における到達温度(焼成温度)は、900〜1300℃が好ましく、1000〜1200℃がより好ましい。このとき、昇温速度としては、50〜150℃/時間が好ましく、80〜120℃/時間がより好ましい。
次に、不融化処理によって得られた不融化ピッチ等の不融化処理品を、減圧または窒素等の不活性ガス雰囲気中において焼成することにより、難黒鉛化性炭素材料を得る。焼成における到達温度(焼成温度)は、900〜1300℃が好ましく、1000〜1200℃がより好ましい。このとき、昇温速度としては、50〜150℃/時間が好ましく、80〜120℃/時間がより好ましい。
ところで、不融化処理時に添加した成分(Zn、Bi、SeおよびSb)は、不融化処理によって酸化物となるが、これらの酸化物は、飽和蒸気圧が高いことから、焼成時の熱により蒸発し、焼成後に得られる難黒鉛化性炭素材料からは、相当量が除去される。
このため、本発明における難黒鉛化性炭素材料は、不純物である添加成分が多く残存することによって電池特性が劣化することが抑制され、優れた電池特性(例えば放電容量)を示す。
このため、本発明における難黒鉛化性炭素材料は、不純物である添加成分が多く残存することによって電池特性が劣化することが抑制され、優れた電池特性(例えば放電容量)を示す。
[難黒鉛化性炭素材料]
以上説明したような本発明の製造方法によって得られる難黒鉛化性炭素材料(以下、「本発明の難黒鉛化性炭素材料」ともいう。)は、リチウムイオン二次電池用負極材料として好適に使用できる。
本発明の難黒鉛化性炭素材料の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1〜100μm以下が挙げられる。なお、本発明の難黒鉛化性炭素材料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。
本発明の難黒鉛化性炭素材料において、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)は、例えば15m2/g以下が挙げられ、8m2/g以下が好ましい。
これらの粉体特性を実現するためには、不融化処理の後であって焼成の前に、再度粉砕処理を施してもよいものとする。
以上説明したような本発明の製造方法によって得られる難黒鉛化性炭素材料(以下、「本発明の難黒鉛化性炭素材料」ともいう。)は、リチウムイオン二次電池用負極材料として好適に使用できる。
本発明の難黒鉛化性炭素材料の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1〜100μm以下が挙げられる。なお、本発明の難黒鉛化性炭素材料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。
本発明の難黒鉛化性炭素材料において、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)は、例えば15m2/g以下が挙げられ、8m2/g以下が好ましい。
これらの粉体特性を実現するためには、不融化処理の後であって焼成の前に、再度粉砕処理を施してもよいものとする。
次に、本発明の難黒鉛化性炭素材料を用いた負極材料として用いたリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう。)について説明する。
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解液を主たる電池構成要素とし、正・負極はそれぞれリチウムイオンの吸蔵可能な物質(層状化合物として)または化合物やクラスターからなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行なわれる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の難黒鉛化性炭素材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解液を主たる電池構成要素とし、正・負極はそれぞれリチウムイオンの吸蔵可能な物質(層状化合物として)または化合物やクラスターからなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行なわれる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の難黒鉛化性炭素材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
〔負極〕
本発明の難黒鉛化性炭素材料から負極を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法に準じて行なうことができる。負極製造時には、本発明の難黒鉛化性炭素材料に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが好ましく、通常、負極合剤全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。結合剤としてポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等を用いることができる。また、活物質として、本発明の難黒鉛化性炭素材料以外の炭素材料、黒鉛材料を添加してもよい。導電剤として、例えば、カーボンブラック、炭素繊維なども添加してよい。
本発明の難黒鉛化性炭素材料から負極を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法に準じて行なうことができる。負極製造時には、本発明の難黒鉛化性炭素材料に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが好ましく、通常、負極合剤全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。結合剤としてポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等を用いることができる。また、活物質として、本発明の難黒鉛化性炭素材料以外の炭素材料、黒鉛材料を添加してもよい。導電剤として、例えば、カーボンブラック、炭素繊維なども添加してよい。
本発明の難黒鉛化性炭素材料を、結合剤と混合することによってペースト状の負極合剤塗料を調製し、この負極合剤塗料を、通常、集電体の片面または両面に塗布することで負極合剤層を形成する。この際、塗料調製には、通常の溶媒を用いることができる。負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状;メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状;等が挙げられる。集電体としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
〔正極〕
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムイオンをドープ/脱ドープし得るものを選択するのが好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそれらのリチウム含有化合物、一般式MXMo6S8−Y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、リン酸鉄リチウム、活性炭、活性炭素繊維などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭酸塩を添加することもできる。
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムイオンをドープ/脱ドープし得るものを選択するのが好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそれらのリチウム含有化合物、一般式MXMo6S8−Y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、リン酸鉄リチウム、活性炭、活性炭素繊維などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭酸塩を添加することもできる。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1−PM(2)PO2(式中Pは0≦P≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)、または、LiM(1)2−QM(2)QO4(式中Qは0≦Q≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)で示される。ここで、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、Co、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが好ましい。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
このような正極材料を用いて正極を形成する方法としては、例えば、正極材料、結合剤および導電剤からなるペースト状の正極合剤塗料を集電体の片面または両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で例示したものを使用できる。導電剤としては、例えば、微粒の炭素材料、繊維状の炭素材料、黒鉛、カーボンブラック、VGCF(気相成長炭素繊維)を使用できる。集電体の形状は特に限定されず、負極と同様の形状のものが用いられる。集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ニッケル、ステンレス箔などを使用することができる。
上述した負極および正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を、適宜使用することができる。
〔電解質〕
電解質としては、LiPF6、LiBF4などのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。
非水電解質は、液系の非水電解液であってもよいし、固体電解質やゲル電解質などの高分子電解質であってもよい。
電解質としては、LiPF6、LiBF4などのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。
非水電解質は、液系の非水電解液であってもよいし、固体電解質やゲル電解質などの高分子電解質であってもよい。
液系の非水電解質液とする場合には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒を使用できる。
高分子電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子を含む。このマトリクス高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子などを単独または混合して用いることができ、なかでも、酸化還元安定性等の観点から、フッ素系高分子が好ましい。
高分子電解質に含有される可塑剤(非水電解液)を構成する電解質塩や非水溶媒としては、液系の電解液に使用できるものを使用できる。
高分子電解質に含有される可塑剤(非水電解液)を構成する電解質塩や非水溶媒としては、液系の電解液に使用できるものを使用できる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンの微多孔体またはそれらを層構造としたもの;不織布;などのセパレータを使用する。ゲル電解質を用いることも可能である。この場合、例えば、本発明の難黒鉛化性炭素材料を含有する負極、ゲル電解質、正極をこの順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜6および比較例1〜6>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、石炭系QIレスピッチ(QI:0.1〜0.5質量%、軟化点:82.5℃)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で加熱することにより(加熱時間は各例で異ならせた)、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却し、内容物(エアーブロンピッチ)を取り出した。得られたエアーブロンピッチの軟化点を、下記第1表に示す。
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、石炭系QIレスピッチ(QI:0.1〜0.5質量%、軟化点:82.5℃)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で加熱することにより(加熱時間は各例で異ならせた)、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却し、内容物(エアーブロンピッチ)を取り出した。得られたエアーブロンピッチの軟化点を、下記第1表に示す。
次に、取り出したエアーブロンピッチに対して、ジェットミル(FS−4、セイシン企業社製)を用いて、粉砕物の平均粒子径が14μmとなるような条件で粉砕処理を施した。
粉砕処理を施したエアーブロンピッチを、回転式の炉に入れ、さらに、下記第1表に示す添加成分を、下記第1表に示す添加量(単位:エアーブロンピッチに対する質量ppm)で添加し、圧縮空気を2L/分で流通させながら150℃/時間で昇温させ、下記第1表に示す処理温度(最高温度(単位:℃))で3時間保持して不融化処理を施すことにより、不融化ピッチを得た。なお、添加成分としては、いずれも、下記第1表に示す単体の粉末を用いた。
得られた不融化ピッチについて、上述した方法により、酸素量(単位:質量%)の測定、および、融着発生の有無の判断を行なった。結果を下記第1表に示す。
なお、酸素量が5質量%以上(15質量%以下)であった場合には下記第1表に「○」を記載し、酸素量が5質量%未満であった場合には下記第1表に「×」を記載した。
また、融着が確認されなかった場合には下記第1表に「無し」と記載し、融着が確認された場合には下記第1表に「有り」と記載した。
なお、酸素量が5質量%以上(15質量%以下)であった場合には下記第1表に「○」を記載し、酸素量が5質量%未満であった場合には下記第1表に「×」を記載した。
また、融着が確認されなかった場合には下記第1表に「無し」と記載し、融着が確認された場合には下記第1表に「有り」と記載した。
次に、実施例1〜6および比較例1〜6で得られた不融化ピッチを焼成した。具体的には、まず、不融化ピッチ100gを黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で1150℃まで昇温させ、1150℃で3時間の焼成を行ない、炭素粉末を得た。
得られた炭素粉末について、添加成分の残量をICP発行分析により定量評価した。残量の単位は、得られた炭素粉末全体(炭素粉末+添加成分)に対する質量ppmである。結果を下記第1表に示す。
得られた炭素粉末について、添加成分の残量をICP発行分析により定量評価した。残量の単位は、得られた炭素粉末全体(炭素粉末+添加成分)に対する質量ppmである。結果を下記第1表に示す。
<評価>
次に、得られた炭素粉末を負極材料として用いて評価用のコイン型二次電池(図1参照)を作製し、後述する評価を行なった。
次に、得られた炭素粉末を負極材料として用いて評価用のコイン型二次電池(図1参照)を作製し、後述する評価を行なった。
(負極合剤ペーストの調製)
まず、得られた炭素粉末を負極材料として、負極合剤ペーストを調製した。具体的には、プラネタリーミキサーに、炭素粉末(95質量部)と、ポリビニリデンジフルオライドの12%N−メチルピロリジノン溶液(固形分で5質量部)とを入れ、100rpmで15分間攪拌し、さらに、N−メチルピロリジノンを追加して固形分比60%となるように調整して引き続き15分間攪拌を行ない、負極合剤ペーストを調製した。
まず、得られた炭素粉末を負極材料として、負極合剤ペーストを調製した。具体的には、プラネタリーミキサーに、炭素粉末(95質量部)と、ポリビニリデンジフルオライドの12%N−メチルピロリジノン溶液(固形分で5質量部)とを入れ、100rpmで15分間攪拌し、さらに、N−メチルピロリジノンを追加して固形分比60%となるように調整して引き続き15分間攪拌を行ない、負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極(負極)の作製)
調製した負極合剤ペーストを、15μm厚の銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに送風乾燥機内に入れて100℃で溶媒を揮発させ、負極合剤層を形成した。次に、負極合剤層を、直径15.5mmの円形状に打ち抜き、ハンドプレス機を用いて250MPaの圧力を20秒かけて加圧した後、真空中100℃で8時間の乾燥を行なうことで、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。
調製した負極合剤ペーストを、15μm厚の銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに送風乾燥機内に入れて100℃で溶媒を揮発させ、負極合剤層を形成した。次に、負極合剤層を、直径15.5mmの円形状に打ち抜き、ハンドプレス機を用いて250MPaの圧力を20秒かけて加圧した後、真空中100℃で8時間の乾燥を行なうことで、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
(評価電池の作製)
次に、作製した作用電極(負極)を用いて、図1に示す評価用のコイン型二次電池(単に「評価電池」ともいう。)を作製した。図1は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
まず、リチウム金属箔をニッケルネットに押し付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、ニッケルネットからなる集電体7aに密着した、リチウム箔からなる円盤状の対極4を作製した。
次に、電解質溶液が含浸されたセパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極(負極)2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、作用電極2を外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、外装カップ1と外装缶3との周縁部を、絶縁ガスケット6を介してかしめ、密閉することにより、評価電池を作製した。
作製された評価電池においては、外装カップ1と外装缶3との周縁部が絶縁ガスケット6を介してかしめられ、密閉構造が形成されている。密閉構造の内部には、図1に示すように、外装缶3の内面から外装カップ1の内面に向けて順に、集電体7a、対極4、セパレータ5、作用電極(負極)2、および、集電体7bが積層されている。
次に、作製した作用電極(負極)を用いて、図1に示す評価用のコイン型二次電池(単に「評価電池」ともいう。)を作製した。図1は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
まず、リチウム金属箔をニッケルネットに押し付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、ニッケルネットからなる集電体7aに密着した、リチウム箔からなる円盤状の対極4を作製した。
次に、電解質溶液が含浸されたセパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極(負極)2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、作用電極2を外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、外装カップ1と外装缶3との周縁部を、絶縁ガスケット6を介してかしめ、密閉することにより、評価電池を作製した。
作製された評価電池においては、外装カップ1と外装缶3との周縁部が絶縁ガスケット6を介してかしめられ、密閉構造が形成されている。密閉構造の内部には、図1に示すように、外装缶3の内面から外装カップ1の内面に向けて順に、集電体7a、対極4、セパレータ5、作用電極(負極)2、および、集電体7bが積層されている。
(充放電試験)
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行なった。なお、本試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を「充電」、炭素粉末から脱ドープする過程を「放電」とした。
まず、0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行ない、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から1回目の充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行ない、この間の通電量から1回目の放電容量(単位:mAh/g)を求めた。
1回目の放電容量を、下記第1表に示す。
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行なった。なお、本試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を「充電」、炭素粉末から脱ドープする過程を「放電」とした。
まず、0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行ない、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から1回目の充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行ない、この間の通電量から1回目の放電容量(単位:mAh/g)を求めた。
1回目の放電容量を、下記第1表に示す。
上記第1表に示す結果から明らかなように、不融化処理に際して添加した成分の種類および添加量が規定範囲内である実施例1〜6では、不融化ピッチ(不融化処理品)に融着は見られず、また、酸素量も5.0質量%以上と高い数値が得られた。
また、実施例1〜6では、1回目の放電容量は、いずれも380mAh/g以上と高い値が得られた。なお、実施例1〜6では、焼成後の不融化ピッチ(つまり、炭素粉末)における添加成分の残量が、いずれも合計で10質量ppm未満であった。
また、実施例1〜6では、1回目の放電容量は、いずれも380mAh/g以上と高い値が得られた。なお、実施例1〜6では、焼成後の不融化ピッチ(つまり、炭素粉末)における添加成分の残量が、いずれも合計で10質量ppm未満であった。
一方、添加成分の添加量が規定範囲よりも少ない比較例1〜2では、融着が発生し、酸素量が低い値にとどまっていた。また、放電容量も最大でも360mAh/gにとどまっており、良好な電池特性が得られなかった。
ところで、添加成分の添加量が規定範囲よりも多い比較例3〜4では、融着は発生せず、酸素量も高かった。また、添加成分の種類が規定のものとは異なる比較例5〜6も、融着は発生せず、酸素量も高かった。
しかし、比較例3〜6は、添加成分の残量が10質量ppm以上と多く、不純物による電池特性が劣化し、放電容量が低い値であった。
しかし、比較例3〜6は、添加成分の残量が10質量ppm以上と多く、不純物による電池特性が劣化し、放電容量が低い値であった。
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a 集電体
7b 集電体
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a 集電体
7b 集電体
Claims (5)
- 難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して得られる架橋処理品に不融化処理を施す、不融化処理方法であって、
前記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、前記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、不融化処理方法。 - 難黒鉛化性炭素材料の原料に架橋処理を施して架橋処理品を得る工程と、
前記架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る工程と、
前記不融化処理品を焼成して難黒鉛化性炭素材料を得る工程と、
を備え、
前記不融化処理に際して、Zn、Bi、SeおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種を、前記架橋処理品に対して100〜1000質量ppm添加することを特徴とする、難黒鉛化性炭素材料の製造方法。 - さらに、前記架橋処理品に対して粉砕処理を施す工程を備え、
前記粉砕処理が施された前記架橋処理品に前記不融化処理を施して前記不融化処理品を得る、請求項2に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法。 - 請求項2または3に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 請求項2または3に記載の難黒鉛化性炭素材料の製造方法によって製造された難黒鉛化性炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014140324A JP2016017009A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014140324A JP2016017009A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016017009A true JP2016017009A (ja) | 2016-02-01 |
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ID=55232498
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JP2014140324A Pending JP2016017009A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 不融化処理方法、難黒鉛化性炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 |
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-
2014
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