JP2016016743A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自車両の側面に他車両が衝突する際の被衝突形態の最適化を図ること。
【解決手段】自車両の周辺の他車両を検出する周辺監視部を周辺監視ECU1に設けると共に、他車両が検出されたときに、他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定する衝突判定部と、自車両に対して他車両が衝突する場合、自車両の被衝突部位を推定する衝突部位推定部と、自車両に対する他車両の衝突が避けられない場合、自車両の被衝突部位が側面であると推定されたならば、キャビンを構成する車体骨格における側面の高強度部位に他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御する被衝突形態制御部と、を運転支援ECU2に設けること。
【選択図】図1
【解決手段】自車両の周辺の他車両を検出する周辺監視部を周辺監視ECU1に設けると共に、他車両が検出されたときに、他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定する衝突判定部と、自車両に対して他車両が衝突する場合、自車両の被衝突部位を推定する衝突部位推定部と、自車両に対する他車両の衝突が避けられない場合、自車両の被衝突部位が側面であると推定されたならば、キャビンを構成する車体骨格における側面の高強度部位に他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御する被衝突形態制御部と、を運転支援ECU2に設けること。
【選択図】図1
Description
本発明は、他車両の自車両の側面への衝突が回避できないときの自車両の被衝突形態の最適化を図る車両制御装置に関する。
従来、この種の自車両の被衝突形態の最適化に関する技術が知られている。例えば、下記の特許文献1には、自車両の車両側面中央部のキャビンに対する他車両の衝突を回避することによって、自車両の乗員の被害を軽減させる、という技術が開示されている。この技術では、そのような他車両の衝突を回避するために、自車両に対する他車両の衝突部位が車両側面後部であると推定された場合、自車両の減速を禁止する。また、この技術では、自車両に対する他車両の衝突部位が車両側面中央部を含めこれよりも前方であると推定された場合、少なくとも車両側面中央部への衝突を回避するように、自車両の減速制御を行う。
しかしながら、自車両は、如何に制御を行ったとしても、自車両に対する他車両の衝突を避けられない場合がある。そして、そのような場合には、その衝突部位次第で、自車両のキャビンが内方に向けて変形したり、自車両のキャビン内に他車両の一部が進入したりする可能性がある。例えば、自車両の乗員の被害を軽減するためには、自車両の側面に対して他車両が衝突する際の自車両の被衝突形態に関して改善の余地がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、自車両の側面に他車両が衝突する際の自車両における被衝突形態の最適化を図ることが可能な車両制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、自車両の周辺の他車両を検出する周辺監視部と、前記他車両が検出されたときに、該他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定する衝突判定部と、自車両に対して前記他車両が衝突する場合、自車両の被衝突部位を推定する衝突部位推定部と、自車両に対する前記他車両の衝突が避けられない場合、自車両の前記被衝突部位が側面であると推定されたならば、キャビンを構成する車体骨格における側面の高強度部位に前記他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御する被衝突形態制御部と、を備えることを特徴としている。
ここで、前記車体骨格における側面の高強度部位は当該車体骨格における屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐピラーであることが望ましい。
また、自車両の前記被衝突部位が前記キャビンの後部における側面であると推定された場合、前記被衝突形態制御部は、自車両の制動制御を行うことによって前記自車両の走行状態の制御を行うことが望ましい。
また、自車両の前記被衝突部位が前記車体骨格における側面の高強度部位であると推定された場合、前記被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御を行うことによって前記自車両の走行状態の制御を行うことが望ましい。
また、自車両の制動制御を実施することで自車両の前記被衝突部位が前記キャビンの後部における側面から前記車体骨格における側面の高強度部位に変更される場合、前記キャビンの後部に乗員が存在していなければ、前記被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御を行うことによって、前記キャビンの後部に前記他車両を衝突させることが望ましい。
本発明に係る車両制御装置は、自車両の側面に対する他車両の衝突が避けられない状況下であっても、自車両の走行状態を制御することによって、自車両のキャビンを成す車体骨格における側面の高強度部位に他車両を衝突させる。このため、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
以下に、本発明に係る車両制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る車両制御装置の実施例を図1から図8に基づいて説明する。
本発明に係る車両制御装置の実施例を図1から図8に基づいて説明する。
本実施例の車両制御装置は、自車両の周辺に存在している他車両等の物体を検出する周辺監視制御を行うものである。また、この車両制御装置は、自車両に対する他車両の衝突を回避すると共に、その衝突が回避できなければ、衝突に伴う乗員の被害を軽減させる運転支援制御を行うものである。
この車両制御装置には、図1に示すように、周辺監視制御の演算処理を行う電子制御装置(以下、「周辺監視ECU」という。)1と、運転支援制御の演算処理を行う電子制御装置(以下、「運転支援ECU」という。)2と、が設けられている。尚、この車両制御装置においては、周辺監視ECU1の演算処理機能を運転支援ECU2に持たせてもよく、この場合、必ずしも周辺監視ECU1を設ける必要はない。
更に、この車両制御装置には、自車両の周辺の物体を検出する物体検出装置10が設けられている。例えば、その物体検出装置10としては、自車両の周辺に電波ビームや超音波等を照射して物体の検出を行うレーダ装置、自車両の周辺を撮影して物体の検出を行う撮像装置などが考えられる。この例示では、レーダ装置と撮像装置の双方を物体検出装置10として用意している。本実施例の物体検出装置10は、監視対象となる物体を少なくとも検出できるものである。監視対象となる物体とは、自車両との距離が時間の経過と共に近づいてくる物体のことである。この例示の物体検出装置10は、自車両の側方に存在している物体と、自車両の進行と共に自車両の側方に近づいてくると推定される物体と、を少なくとも検出する。
周辺監視ECU1には、周辺監視部を設ける。その周辺監視部は、物体検出装置10の検出結果に基づいて、自車両の周辺に存在している物体を検出し、その物体が監視対象となる物体であるのか否かを判定するものである。この周辺監視部は、後述する他車両情報推定部の推定結果と自車両挙動推定部の推定結果とに基づいて、検出された物体が監視対象となるのか否かを判定することができる。また、この周辺監視部は、他車両であるのか否かを判定することもできる。その検出や判定は、この技術分野における周知の方法で行う。
また、周辺監視ECU1には、他車両情報推定部を設ける。その他車両情報推定部は、周辺監視部が他車両の存在を検出した場合に、物体検出装置10の検出結果を利用して、その他車両に関する情報(以下、「他車両情報」という。)を推定するものである。この他車両情報推定部は、その他車両の自車両に対する位置と、この他車両の移動速度と、この他車両の自車両に対する移動方向と、を他車両情報として推定することができる。また、この他車両情報推定部は、その位置と移動速度と移動方向とに基づいて、経過時間毎(例えば数ミリ秒毎)の自車両に対する他車両の位置を他車両情報として推定することができる。これらの推定は、この技術分野における周知の方法で行う。その経過時間の起算点は、例えば、その他車両を初めて検出したときに決めればよい。
運転支援ECU2には、自車両情報取得部を設ける。その自車両情報取得部は、自車両の車速と、自車両の前後加速度と、自車両のステアリングホイールの操舵角度と、自車両のヨーレートと、を自車両情報として少なくとも取得する。自車両の車速については、車速センサや車輪速度センサ等の車速検出装置21の検出信号に基づいて得ることができる。自車両の前後加速度については、前後加速度センサ22の検出信号に基づいて得ることができる。自車両のステアリングホイールの操舵角度については、操舵角度センサ23の検出信号に基づいて得ることができる。自車両のヨーレートについては、ヨーレートセンサ24の検出信号に基づいて得ることができる。尚、自車両情報取得部は、操舵角度に替えて、転舵角度センサ(図示略)で検出された転舵輪の転舵角度を取得してもよい。
また、運転支援ECU2には、自車両挙動推定部を設ける。その自車両挙動推定部は、自車両の移動方向と、経過時間毎(例えば数ミリ秒毎であり、前述した経過時間の間隔と同じ長さにする)の自車両の位置と、を自車両挙動情報として推定する。自車両の移動方向については、自車両における操舵角度とヨーレートに基づいて推定する。経過時間毎の自車両の位置は、その移動方向と自車両の車速と自車両の前後加速度に基づいて推定する。その経過時間の起算点は、経過時間毎の自車両に対する物体の位置の推定時に合わせる。
また、運転支援ECU2には、衝突判定部を設ける。その衝突判定部は、自車両の周辺に他車両(特に監視対象となる他車両)が検出されたときに、その他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定するものである。この衝突判定部は、少なくとも自車両の側面に対しての他車両の衝突の有無を判定する。その衝突判定は、この技術分野における周知の方法で行う。例えば、衝突判定部は、推定された他車両の他車両情報と、推定された自車両挙動情報と、を用いて行う。具体的には、経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と、経過時間毎の自車両の位置と、に基づいて、時間の経過と共に自車両と他車両とが衝突するのか否かを判定する。
また、運転支援ECU2には、衝突形態判定部を設ける。その衝突形態判定部は、自車両と他車両とが衝突すると判定された場合に、自車両が他車両に対して衝突するのか、それとも他車両が自車両に対して衝突するのかを判定するものである。その判定は、経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と経過時間毎の自車両の位置とに基づいて行うことができる。例えば、前進中に自車両の前面で衝突が起こると推定された場合には、自車両が他車両に対して衝突することになる。一方、前進中に自車両の前面以外の部分で衝突が起こると推定された場合には、概ね他車両が自車両に対して衝突することになる。よって、運転支援ECU2には、自車両と他車両との衝突が自車両のどの位置で起こるのか(つまり衝突時における自車両の衝突部位)を推定する衝突部位推定部を設けている。例えば、その衝突部位推定部は、自車両に対して他車両が衝突する場合、経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と経過時間毎の自車両の位置とに基づいて、その他車両が自車両のどの位置に衝突するのか(つまり自車両の被衝突部位)を推定することができる。衝突形態判定部は、その推定結果に基づいて衝突形態の判定を行う。
また、運転支援ECU2には、衝突回避判定部を設ける。その衝突回避判定部は、自車両と他車両とが衝突すると判定された場合に、自車両の走行状態の制御によって衝突の回避が可能であるのか否かを判定するものである。その自車両の走行状態の制御とは、自車両における旋回状態の制御と加速状態の制御と減速状態の制御の内の少なくとも1つのことである。この自車両の走行状態の制御は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御(走行状態維持制御)と、自車両の走行状態を現状に対して変更する制御(走行状態変更制御)と、に大別される。自車両の走行状態の変更とは、自車両における旋回状態の変更と加速状態の変更と減速状態の変更の内の少なくとも1つのことである。
また、運転支援ECU2には、衝突回避制御部を設ける。その衝突回避制御部は、自車両の走行状態を制御する(走行状態維持制御又は走行状態変更制御を行う)ことによって自車両と他車両との衝突が避けられる場合に、自車両の走行状態を衝突の回避が可能な走行状態に制御するものである。この衝突回避制御部は、その場合、衝突の回避に必要な自車両の走行状態の目標制御値を転舵ECU3と動力源ECU4と制動ECU5の内の少なくとも1つに送る。転舵ECU3は、運転者のステアリングホイールに対する操舵操作の有無に拘わらず転舵輪の転舵角度を制御することのできる電子制御装置である。動力源ECU4は、運転者のアクセル操作の有無に拘わらず動力源(エンジン等の機関やモータ等の回転機など)の出力制御を行うことのできる電子制御装置である。制動ECU5は、運転者の制動操作の有無に拘わらず車両制動力を制御することのできる電子制御装置である。転舵ECU3に送られる目標制御値は、例えば、衝突の回避が可能な旋回状態となる現状の又は新たな転舵輪の目標転舵方向と目標転舵角度である。動力源ECU4に送られる目標制御値は、衝突の回避が可能な加速状態や減速状態に応じた現状の又は新たな動力源の目標出力トルクである。制動ECU5に送られる目標制御値は、衝突の回避が可能な減速状態に応じた現状の又は新たな制動装置の目標車両制動力である。尚、自車両の加減速度を制御する場合には、変速機の変速比を変更することによって、加速度や減速度を調整してもよい。
また、運転支援ECU2には、被衝突形態制御部を設ける。その被衝突形態制御部は、自車両に対する他車両の衝突が避けられない場合、自車両のキャビン内(車室内)にいる乗員の被害の軽減が可能な位置に他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御するものである。乗員の被害の軽減が可能な位置とは、キャビンを構成する車体骨格の高強度部位のことである。
例えば、この被衝突形態制御部には、自車両に対する他車両の衝突が避けられない場合、自車両の被衝突部位が側面であると推定されたならば、車体骨格における側面の高強度部位に他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御する。
車体骨格における側面の高強度部位とは、車体骨格における車両の側面の構造物(いわゆるピラー)の内、その車体骨格における屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐものである。車両には、複数本のピラーが設けられている。例えば、セダンタイプ等の乗用車では、Aピラー(フロントピラー)とBピラー(センタピラー)とCピラー(リヤピラー)とが存在しており、例えばAピラーとBピラーが屋根とフロアパネルとを上下に繋いでいる。また、1BOXタイプ等の乗用車では、そのような上下に繋ぐピラーが更に多く設けられている場合もある。上記の例示では、屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐピラーに他車両を衝突させることで、自車両のキャビン内にいる乗員の被害を軽減させることができる。ここで、そのような屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐピラーの中でも、側面衝突時にキャビン内の乗員を守るためのものとしては、前席と前席よりも後方の座席(後部座席)との境界部分に配置されているBピラーが重要な構造物になる。その重要性は、側面衝突試験において、他車両の前面に見立てた台車を試験車におけるBピラー部分も含めた前席部分に衝突させることからも明らかである。よって、上記の例示では、車両形態に拘わらず、Bピラー(センタピラー)に他車両を衝突させることで、自車両のキャビン内にいる乗員の被害の軽減効果を更に高めることができる。従って、以下においては、そのBピラー(センタピラー)を被衝突形態制御部の制御で用いる車体骨格の高強度部位として説明する。ここでは、Bピラー(センタピラー)よりも前方を自車両の前部と称し、そのBピラー(センタピラー)よりも後方を自車両の後部と称する。
具体的に、この被衝突形態制御部には、自車両の被衝突部位が車体骨格の高強度部位の場合(例えば自車両の被衝突部位が車体骨格における側面の高強度部位であると推定された場合)、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御(走行状態維持制御)を実施させる。この被衝突形態制御部には、そのようにして被衝突部位に他車両を衝突させることで、自車両のキャビン内にいる乗員の被害を軽減させる。その際に維持される自車両の走行状態とは、少なくとも自車両における旋回状態と加速状態と減速状態のことである。
また、この被衝突形態制御部には、自車両の被衝突部位が車体骨格の高強度部位ではない場合、自車両の走行状態を変更することによって、自車両の被衝突部位を車体骨格の高強度部位に変更させる。その際に変更される自車両の走行状態とは、自車両における旋回状態又は加速状態のことである。車体骨格の高強度部位ではない部位とは、車体骨格における屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐ構造物が配置されていない部位のことである。例えば、この部位としては、キャビンの後部における側面(キャビンにおけるBピラー(センタピラー)よりも後方の側面)が該当する。この例示において、被衝突形態制御部は、自車両の被衝突部位がキャビンの後部における側面であると推定された場合、自車両の制動制御を行うことによって自車両の走行状態を制御して、車体骨格における側面の高強度部位(Bピラー)に他車両を衝突させる。この被衝突形態制御部には、自車両の被衝突部位が車体骨格の高強度部位ではない場合、そのようにして自車両のキャビン内にいる乗員の被害を軽減させる。
以下に、この車両制御装置における演算処理について図2及び図3のフローチャートに基づき説明する。尚、この例示で被衝突形態制御部が行う走行状態変更制御は、制動制御のみとする。また、この例示では、走行状態変更制御の実施前に制動制御が実施されていないものとする。
周辺監視部は、物体検出装置10の検出結果に基づいて自車両の周辺に他車両が存在しているのか否かを判定する(ステップST1)。
自車両の周辺に他車両が存在していない場合には、この演算処理を一旦終わらせる。
一方、自車両の周辺に他車両が存在している場合、他車両情報推定部は、他車両情報を推定する(ステップST2)。推定される他車両情報は、少なくとも前述した他車両の自車両に対する位置と他車両の移動速度と他車両の自車両に対する移動方向である。
また、自車両の周辺に他車両が存在している場合には、自車両情報取得部が自車両情報を取得し(ステップST3)、かつ、自車両挙動推定部が自車両挙動情報を推定する(ステップST4)。取得される自車両情報は、少なくとも前述した自車両の車速と自車両の前後加速度と自車両のステアリングホイールの操舵角度と自車両のヨーレートと自車両の乗員の位置である。推定される自車両挙動情報は、少なくとも前述した自車両の移動方向である。
衝突判定部は、その他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定する(ステップST5)。例えば、他車両情報推定部は、ステップST2で経過時間毎の自車両に対する他車両の位置を推定し、その推定結果を衝突判定部に渡してもよい。また、自車両挙動推定部は、ステップST4で経過時間毎の自車両の位置を推定し、その推定結果を衝突判定部に渡してもよい。この場合、衝突判定部は、その経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と経過時間毎の自車両の位置とに基づいて、自車両と他車両とが衝突するのか否かを判定する。尚、その経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と経過時間毎の自車両の位置は、衝突判定部が推定してもよい。ここで、その経過時間毎の自車両に対する他車両の位置と経過時間毎の自車両の位置からは、衝突時の自車両の衝突部位を推定することができる。このため、衝突判定部は、衝突部位推定部の推定結果を利用して衝突の有無を判定してもよい。
衝突しないと判定された場合には、その他車両は監視対象ではないので、この演算処理を一旦終わらせる。
一方、衝突すると判定された場合、衝突回避判定部は、自車両の走行状態を変更することによって衝突の回避が可能であるのか否かを判定する(ステップST6)。
衝突の回避が可能な場合、衝突回避制御部は、自車両の走行状態の変更によって衝突回避制御を行い、他車両との衝突を回避する(ステップST7)。
一方、衝突を回避できない場合、運転支援ECU2は、衝突時における制御(衝突時制御)を行う(ステップST8)。その衝突時制御について図3のフローチャートに基づき説明する。
衝突形態判定部は、衝突を回避できない場合、その衝突が自車両の側面への衝突であるのか否かを判定する(ステップST11)。例えば、この衝突形態判定部は、衝突部位推定部により衝突時の自車両の衝突部位が自車両の側面であると推定された場合に、その衝突が自車両の側面への衝突であるとの判定を行う。衝突部位推定部は、このステップST11の判定に際して自車両の衝突部位の推定を行う。但し、ステップST5で自車両の衝突部位が既に推定されている場合、衝突形態判定部は、このステップST5の推定結果を利用してもよい。
自車両の側面への衝突ではないと判定された場合には、この演算処理を一旦終わらせる。
一方、自車両の側面への衝突であると判定された場合、衝突形態判定部は、衝突部位推定部の推定結果に基づいて、自車両の被衝突部位が車体骨格における側面の高強度部位であるのか否かを判定する(ステップST12)。
自車両の被衝突部位が車体骨格における側面の高強度部位の場合、被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御(走行状態維持制御)を実施する(ステップST13)。これにより、この被衝突形態制御部は、自車両100の車体骨格における側面の高強度部位(Bピラー101)に他車両110を衝突させることができる(図4)。よって、この車両制御装置は、その高強度部位で他車両の荷重を受け止めることができるので、キャビンの変形やキャビンへの他車両の進入の抑制が可能になり、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
一方、自車両の被衝突部位が車体骨格における側面の高強度部位ではない場合、被衝突形態制御部は、自車両の制動制御(走行状態変更制御)の実施によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できるのか否かを判定する(ステップST14)。その際、衝突部位推定部は、自車両の制動装置が出力可能な最大車両制動力を上限にして制動制御を実施したときの自車両の被衝突部位を推定する。被衝突形態制御部は、その推定結果に基づいて、その判定を行う。
自車両の制動制御の実施によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できると判定した場合、被衝突形態制御部は、ステップST5又はステップST8における衝突部位推定部の最初の推定結果に基づいて、自車両の制動制御(走行状態変更制御)を実施しないときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方であるのか否かを判定する(ステップST15)。
制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方の場合、被衝突形態制御部は、ステップST13に進み、走行状態維持制御を実施する。これにより、この被衝突形態制御部は、自車両100のキャビン102よりも後方に他車両110を衝突させることができる(図5)。つまり、この車両制御装置は、自車両の制動制御(走行状態変更制御)の実施によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できるが、キャビンの一部である高強度部位に衝突させるよりも、キャビンよりも後方(即ち乗員の存在していない場所)に衝突させた方が自車両の乗員の被害を軽減できる可能性が高いので、そのような場合、制動制御を実施せずに、キャビンよりも後方に他車両を衝突させる。よって、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
一方、制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方ではない場合、被衝突形態制御部は、ステップST14における被衝突部位の推定結果を得た際の車両制動力を目標車両制動力に設定し、他車両を自車両の車体骨格における側面の高強度部位に衝突させるように、その目標車両制動力での制動制御を制動ECU5に実施させる(ステップST16)。これにより、この被衝突形態制御部は、自車両100の車体骨格における側面の高強度部位(Bピラー101)に他車両110を衝突させることができる(図4)。よって、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
また、例えば、ステップST5又はステップST8における衝突部位推定部の最初の推定結果が自車両のキャビンの前部の場合には、自車両の制動制御の実施によって自車両の被衝突部位をキャビンよりも前方に変更できる可能性がある。また、その最初の推定結果が自車両のキャビンよりも前方の場合、衝突が回避できないのであれば、自車両の被衝突部位は、自車両の制動制御を実施したとしてもキャビンよりも前方のままで変わらない。このため、ステップST14で制動制御を行っても自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できないと判定した場合、被衝突形態制御部は、ステップST14における衝突部位推定部の推定結果に基づいて、自車両の制動制御の実施による自車両の被衝突部位がキャビンよりも前方であるのか否かを判定する(ステップST17)。ここでは、衝突部位推定部の最初の推定結果が自車両のキャビンの前部であり、衝突が回避できない場合、自車両の制動制御の実施によって、自車両の被衝突部位がキャビンよりも前方に変更されるものとする。
制動制御の実施による自車両の被衝突部位がキャビンよりも前方の場合、被衝突形態制御部は、ステップST14における被衝突部位の推定結果を得た際の車両制動力を目標車両制動力に設定し、他車両をキャビンよりも前方に衝突させるように、その目標車両制動力での制動制御を制動ECU5に実施させる(ステップST18)。これにより、この被衝突形態制御部は、自車両100のキャビン102よりも前方に他車両110を衝突させることができる(図6)。つまり、この車両制御装置は、自車両の制動制御(走行状態変更制御)を実施したとしても自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できない場合、キャビンよりも前方(即ち乗員の存在していない場所)に他車両を衝突させることによって、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
また、衝突部位推定部の最初の推定結果が自車両の前部の場合には、自車両の制動制御を実施しても、自車両の被衝突部位が自車両の後部に変更されない。また、その最初の推定結果が自車両におけるキャビンよりも後方の場合には、自車両の制動制御の実施によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できなければ、その制動制御の実施によって自車両の被衝突部位がキャビンの後部に変更されてしまう可能性がある。一方、その最初の推定結果が自車両におけるキャビンの後部の場合には、自車両の制動制御によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できる可能性が高い。ここでは、最初の推定結果がキャビンの後部の場合、その高強度部位に自車両の制動制御によって変更できるものとするので、ステップST17の判定に至る前にステップST14で肯定判定されている。このため、ステップST17では、制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方で、かつ、自車両の制動制御の実施によって自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できない場合に、制動制御の実施による自車両の被衝突部位がキャビンよりも前方ではないと判定される。よって、そのようなキャビンよりも前方ではないとの判定を行った場合、被衝突形態制御部は、ステップST13に進み、走行状態維持制御を実施して、制動制御(走行状態変更制御)を実施させない。これにより、この被衝突形態制御部は、自車両100のキャビン102よりも後方に他車両を衝突させることができる(図5)。つまり、この車両制御装置は、自車両の制動制御(走行状態変更制御)を実施したとしても自車両の被衝突部位を車体骨格における側面の高強度部位に変更できない場合、キャビンよりも後方に他車両を衝突させることによって、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
以上示したように、本実施例の車両制御装置は、自車両の側面に対する他車両の衝突が避けられない状況下であっても、自車両の制動制御形態の維持又は変更によって、自車両の車体骨格における側面の高強度部位に他車両を衝突させる。このため、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。また、この車両制御装置は、その高強度部位に対して自車両の制動制御形態の変更によって他車両を衝突させることができなくても、適宜自車両のキャビンよりも前方又は後方に他車両を衝突させる。このため、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。また、この車両制御装置は、その高強度部位に対して自車両の制動制御形態の変更によって他車両を衝突させることができるとしても、その制動制御形態を現状のまま維持することで他車両を自車両のキャビンよりも後方に衝突させることができる場合、制動制御形態を変更せずに自車両のキャビンよりも後方に他車両を衝突させる。このため、この車両制御装置は、自車両の乗員の被害を軽減することができる。
ところで、走行中のキャビン内においては、前席に少なくとも運転者は存在しているが、後席に乗員が存在していないことは多々ある。そして、乗員が前席のみの場合には、自車両の制動制御形態の変更によって高強度部位に他車両を衝突させることができるとしても、その制動制御形態を現状のまま維持することで他車両を自車両のキャビンよりも後方に衝突させることができるならば、高強度部位への衝突と比較して、キャビンよりも後方に衝突させる方が前席の乗員の被害の軽減に繋がる。一方、前席と後席に乗員が存在している場合には、自車両の制動制御形態を現状のまま維持することで他車両を自車両のキャビンよりも後方に衝突させることができるとしても、高強度部位に衝突させる方がそれぞれの乗員の被害の軽減に繋がる。このため、この車両制御装置においては、後席の乗員の有無が考慮された制御を行うことが望ましい。
よって、この車両制御装置の自車両情報取得部は、自車両の乗員の位置についても自車両情報として取得する。その自車両の乗員の位置については、例えば図1に示す座席毎の着座センサ25の検出信号に基づいて得ることができる。着座センサ25とは、例えば荷重センサ等である。この例示では、少なくとも前席よりも後方に配置されている座席(後席)に着座センサ25を設ける。
図7は、後席の乗員の有無を考慮した制御に関するフローチャートである。この図7のフローチャートは、図3のフローチャートにおいて、ステップST15の否定判定の後に後席の乗員の有無の判定(ステップST19の判定)を新たに設けたものである。
ステップST15で制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方ではないと判定された場合、その被衝突部位は、キャビンの後部になる。このため、被衝突形態制御部は、そのような判定が為された場合、後席の乗員の有無を判定する(ステップST19)。
後席に乗員200が存在している場合、被衝突形態制御部は、ステップST16に進み、自車両100の制動制御によって自車両100の車体骨格における側面の高強度部位(Bピラー101)に他車両110を衝突させる(図4)。このため、この車両制御装置は、自車両の前席と後席の乗員の被害を軽減することができる。
後席に乗員が存在していない場合、被衝突形態制御部は、ステップST13に進み、走行状態維持制御を実施して、制動制御(走行状態変更制御)を実施させない。これにより、この被衝突形態制御部は、乗員200のいない自車両100のキャビン102の後部に他車両110を衝突させることができる(図8)。つまり、自車両の制動制御を実施することで自車両の被衝突部位がキャビンの後部から車体骨格における側面の高強度部位に変更される場合、キャビンの後部に乗員が存在していなければ、被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御を行うことによって、キャビンの後部に他車両を衝突させる。このため、キャビンにおいては、高強度部位(Bピラー)に衝突させるよりも前部の変形が軽減される。よって、この車両制御装置は、キャビンの前部に存在している前席の乗員の被害をより軽減することができる。
ここで、これまでの例示では、自車両の被衝突部位を変えるための自車両の走行状態の変更に制動制御を用いている。しかしながら、その走行状態の変更には、加速制御を用いてもよい。例えば、最初の推定結果がキャビンの後部の場合には、自車両の制動制御を行ったとしても、自車両の被衝突部位がキャビンの後部のまま変わらないこともある。そこで、ステップST17で制動制御の実施による自車両の被衝突部位がキャビンよりも前方ではないと判定した場合、被衝突形態制御部は、ステップST15と同様の判定を行う。この判定においては、制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方ではないと判定された場合、キャビンの後部が制動制御の実施による自車両の被衝突部位になる。このため、被衝突形態制御部は、制動制御不実施のときの自車両の被衝突部位がキャビンよりも後方ではないと判定した場合、自車両の前方に障害物が存在していなければ、自車両を加速制御させ、その被衝突部位をキャビンよりも後方に変更することによって、自車両の乗員の被害を軽減してもよい。
尚、自車両の乗員の被害の軽減効果が薄いので、この車両制御装置で対象とする他車両からは、自動二輪車を除外することが望ましい。
1 周辺監視ECU
2 運転支援ECU
5 制動ECU
10 物体検出装置
21 車速検出装置
22 前後加速度センサ
23 操舵角度センサ
24 ヨーレートセンサ
25 着座センサ
2 運転支援ECU
5 制動ECU
10 物体検出装置
21 車速検出装置
22 前後加速度センサ
23 操舵角度センサ
24 ヨーレートセンサ
25 着座センサ
Claims (5)
- 自車両の周辺の他車両を検出する周辺監視部と、
前記他車両が検出されたときに、該他車両と自車両とが衝突するのか否かを判定する衝突判定部と、
自車両に対して前記他車両が衝突する場合、自車両の被衝突部位を推定する衝突部位推定部と、
自車両に対する前記他車両の衝突が避けられない場合、自車両の前記被衝突部位が側面であると推定されたならば、キャビンを構成する車体骨格における側面の高強度部位に前記他車両を衝突させるように自車両の走行状態を制御する被衝突形態制御部と、
を備えることを特徴とした車両制御装置。 - 前記車体骨格における側面の高強度部位は当該車体骨格における屋根とフロアパネルとを上下に繋ぐピラーであることを特徴とした請求項1に記載の車両制御装置。
- 自車両の前記被衝突部位が前記キャビンの後部における側面であると推定された場合、前記被衝突形態制御部は、自車両の制動制御を行うことによって前記自車両の走行状態の制御を行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の車両制御装置。
- 自車両の前記被衝突部位が前記車体骨格における側面の高強度部位であると推定された場合、前記被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御を行うことによって前記自車両の走行状態の制御を行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の車両制御装置。
- 自車両の制動制御を実施することで自車両の前記被衝突部位が前記キャビンの後部における側面から前記車体骨格における側面の高強度部位に変更される場合、前記キャビンの後部に乗員が存在していなければ、前記被衝突形態制御部は、自車両の走行状態を現状のまま維持する制御を行うことによって、前記キャビンの後部に前記他車両を衝突させることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の車両制御装置。
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