JP2023046596A - 車両制御装置 - Google Patents

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和也 香園
Kazuya Kozono
愛美 細川
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Abstract

【課題】車両の運転支援制御について安全性の向上を図る。【解決手段】本発明に係る車両制御装置は、車両を制動するブレーキ部と車両を旋回自在とする操舵部とを備えると共に車外環境の認識機能を有した車両における車両制御装置であって、車両の進行方向側に認識された対象物体との衝突をブレーキ及び操舵により回避可能か否かを判定する回避性判定処理と、回避性判定処理により対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に、車両の所定部分に対象物体が衝突するように操舵制御を行う操舵制御処理と、を実行するものである。【選択図】図2

Description

本発明は、車両を制動するブレーキ部と車両を旋回自在とする操舵部とを備えると共に車外環境の認識機能を有した車両における車両制御装置に係るものであり、特には、ブレーキ部と操舵部とを用いた運転支援制御の技術に関する。
下記特許文献1には、衝突事故が発生した場合の歩行者の被害を低減することが可能な被害低減装置の技術として、歩行者と衝突した場合に、ボンネットから歩行者が落下しないように車両の動作を制御する技術が開示されている。
特開2017-65293号公報
ここで、車両の衝突回避技術として、AES(Automatic Emergency Steering:自動操舵回避)の技術が知られている。AESにおいては、歩行者等の対象物体との衝突リスクを表す評価値(リスク評価値)を計算し、リスク評価値を基に、衝突リスクが所定以上に増大したと判定された場合に操舵介入を行い、対象物体との衝突回避を図るようにしている。
しかしながら、AESの技術によっても対象物体との衝突を避けきれないケースもあり得る。そのような場合、対象物体を避けようとしたことで却って車両の危険箇所に歩行者等が衝突して被害が大きくなってしまう虞がある。
本発明は上記の事情に鑑み為されたものであり、車両の運転支援制御について、安全性の向上を図ることを目的とする。
本発明に係る車両制御装置は、車両を制動するブレーキ部と車両を旋回自在とする操舵部とを備えると共に車外環境の認識機能を有した車両における車両制御装置であって、一又は複数のプロセッサと、前記一又は複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体と、を備え、前記プログラムは、一又は複数の命令を含み、前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、前記車両の進行方向側に認識された対象物体との衝突をブレーキ及び操舵により回避可能か否かを判定する回避性判定処理と、前記回避性判定処理により前記対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に、前記車両の所定部分に前記対象物体が衝突するように操舵制御を行う操舵制御処理と、を実行させるものである。
上記のように対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に車両の所定部分に対象物体が衝突するように操舵制御を行うことで、衝突回避の行動をとった場合よりも対象物体への衝撃が小さくなる部分に対象物体を衝突させることが可能となる。
本発明によれば、車両の運転支援制御について、安全性の向上を図ることができる。
実施形態としての車両制御装置を備える車両の構成概要を示す図である。 実施形態としての車両制御装置を含む車両制御システムの要部の構成例の説明図である。 操舵による回避が不能な場合の例を示した図である。 実施形態としての操舵制御手法の説明図である。 実施形態としての操舵制御手法を実現するための具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
<1.装置構成>
以下、本発明に係る実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、実施形態としての車両制御装置を備える車両100の構成概要を示す図であり、図2は、実施形態としての車両制御装置を含む車両制御システム1の要部の構成例の説明図である。なお、図2では車両制御システム1の構成例と共に、車両100が有するステアリング機構30の構成例も併せて示している。
本実施形態において車両100は、例えば四輪自動車として構成され、車輪の駆動源としてエンジン、走行用モータの少なくとも何れかを有している。つまり車両100としては、車輪の駆動源としてエンジン及び走行用モータのうち走行用モータのみを有するEV(Electric Vehicle)車、エンジンと走行用モータの双方を有するHEV(Hybrid Electric Vehicle)車、或いはエンジンのみを有するエンジン車としての構成を採り得る。
車両100は、車両100を制動するブレーキ部(不図示)と、車両を旋回自在とする操舵部(後述するステアリング機構30)とを備えている。
ここで言うブレーキ部は、例えばディスクブレーキやドラムブレーキ等によるブレーキ機構のみでなく、EV車やHEV車として構成された場合における走行用モータによる回生ブレーキにより車両制動を行う構成を広く意味する。
また、操舵部としては、ステアリング機構30等、左右方向への車両旋回を自在とするための構成を広く意味する。
また、車両100は、車外環境の認識機能を有する。具体的に本例における車両100は、後述する撮像ユニット10を備えることで車外環境の認識機能を有する。
図1に示すように車両100は、車両制御システム1とステアリング機構(操舵機構)30とを備えている。車両制御システム1は、本発明に係る車両制御装置の一実施形態としての運転支援制御部13を備えている。
図2において、車両制御システム1には、衝突回避制御に係るセンサ類として、車速センサ15、ヨーレートセンサ16、衝突センサ17、実舵角センサ18、及び操舵トルクセンサ19が設けられる。さらに、衝突回避制御の関連部位として表示部23、発音部24が設けられる。
車速センサ15は、車両100の速度を自車速vとして検出するセンサであり、ヨーレートセンサ16は車両100のヨーレートを検出するセンサである。
衝突センサ17は、車両100への物体の衝突を検出するセンサであり、例えば圧力センサ等で構成される。本例において衝突センサ17は、例えば車両100のフロントバンパー内側に設けられ、車両100の前端部に対する物体の衝突を検出可能とされている。
実舵角センサ18は、操舵輪40(後述する左右の操舵輪40L、40R)の実際の切れ角(例えば、車両100の前後方向軸とのなす角度)を実舵角として検出する。
操舵トルクセンサ19は、例えば、ステアリング軸32に対する入力トルクを検出することで、ステアリングホイール34を介して運転者が入力した操舵力(操舵入力トルク)を検出する。
撮像ユニット10は、車両100において進行方向(前方)を撮像可能に設置された撮像部11L、撮像部11Rと、画像処理部12と、運転支援制御部13とを備えている。
撮像ユニット10には、車速センサ15、ヨーレートセンサ16、衝突センサ17、及び実舵角センサ18が接続され、画像処理部12や運転支援制御部13はこれらセンサによる検出信号を入力可能とされている。また、撮像ユニット10には、運転者等の乗員からの操作入力情報である操作情報SDが入力され、画像処理部12や運転支援制御部13は操作情報SDに応じた処理を実行可能とされている。
撮像部11L、11Rは、いわゆるステレオ法による測距が可能となるように、例えば車両100のフロントガラスの上部付近において車幅方向に所定間隔を空けて配置されている。撮像部11L、11Rの光軸は平行とされ、焦点距離はそれぞれ同値とされる。また、フレーム周期は同期し、フレームレートも一致している。
撮像部11L、11Rの各撮像素子で得られた電気信号(撮像画像信号)はそれぞれA/D(Analog to Digital)変換され、画素単位で所定階調による輝度値を表すデジタル画像信号(撮像画像データ)とされる。撮像画像データは例えばカラー画像データとされる。
画像処理部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、CPUがROMに格納されたプログラムに従った各種の処理を実行する。
画像処理部12は、撮像部11L、11Rが車両100の前方を撮像して得た撮像画像データとしての各フレーム画像データを内部メモリに格納していく。そして、各フレームとしての二つの撮像画像データに基づき、車外環境を認識するための処理、具体的には、車両100前方に存在する物体を認識するための各種処理を実行する。例えば、道路上に形成された規制線(例えば白線やオレンジ線等)の認識や、先行車両、歩行者、障害物などの各種立体物の認識を行う。
ここで、規制線は、車両の走行車線(走行レーン)を仕切る線を意味する。画像処理部12は、認識した規制線の情報に基づき、車両100の走行車線(自車走行車線)を認識する。
画像処理部12は、車両100前方の立体物の認識にあたり、撮像部11L、11Rにより得られた一対の撮像画像データ(ステレオ画像)に対し、画像内の対応する位置同士のずれ量(つまり視差)から三角測量の原理によって距離情報を求める処理を行い、この距離情報に基づいて三次元の距離分布を表すデータ(距離画像)を生成する。そして、この距離画像を基に、公知のグルーピング処理等を行うことで、上述した規制線や道路に沿って存在するガードレール・縁石等の側壁物、歩行者や車両等の立体物の認識を行う。
また、画像処理部12は、認識した立体物の位置を、車両100前後方向をz軸、車両100左右方向(横方向)をx軸としたx-z座標系の座標位置として表した立体物位置の情報として記憶する。具体的に、本例における画像処理部12は、立体物の後面の左端点と右端点の位置の情報を記憶する。さらに、この後面における左端点と右端点との中心位置を立体物の中心位置の情報として記憶する。
さらに、画像処理部12は、認識した立体物について、立体物縦距離(立体物とのz軸方向における離間距離:以下「立体物縦距離dz」と表記)、立体物縦相対速度(立体物縦距離dzの単位時間あたりの変化量:以下「縦相対速度vrz」と表記)、立体物縦速度(「縦相対速度vrz」+「自車速v」:以下「縦速度vz」と表記)、立体物縦加速度(縦速度vzの微分値:以下「縦加速度az」と表記)の情報も計算し、記憶する。
また、画像処理部12は、認識した立体物について、立体物横距離(立体物とのx軸方向における離間距離:以下「立体物横距離dx」と表記)、立体物横相対速度(立体物横距離dxの単位時間あたりの変化量:以下「横相対速度vrx」と表記)、立体物横速度(「横相対速度vrx」+「車両100の横方向移動速度」:以下「横速度vx」と表記)、立体物横加速度(横速度vxの微分値:以下「横加速度ax」と表記)の情報も計算し、記憶する。
画像処理部12は、認識した車両としての立体物のうち、特に自車走行車線上にある最も近い車両で、車両100と略同方向を向くものを先行車両として認識する。なお、先行車両の中で走行速度が略0km/hである車両は停止した先行車両として認識される。
画像処理部12により得られる上記のような立体物の位置や速度、加速度の情報、自車走行車線の情報等の画像認識結果情報は、各種の運転支援制御に用いられる。
運転支援制御部13は、画像処理部12による画像認識結果情報に基づき、各種運転支援のための制御を行う。
運転支援制御部13は、衝突回避制御ユニット14を備えている。衝突回避制御ユニット14は、例えばCPU、ROM及びRAM等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、ROMに格納されたプログラムに従った各種の処理を実行する。
具体的に、衝突回避制御ユニット14は、AEB(Autonomous Emergency Braking:衝突被害軽減ブレーキ)やAES(Automatic Emergency Steering:自動操舵回避)に係る処理を行う。
ここで、AEBやAESとしての衝突回避制御においては、車外環境の認識結果に基づき、物体との衝突リスクの大きさを表すリスク評価値を計算し、該リスク評価値が示すリスクの大きさに基づいて制動や操舵の介入タイミングを判定する。
具体的に、本例の衝突回避制御ユニット14は、画像処理部12で認識された立体物ごとに、上述した立体物縦距離dz及び縦相対速度vrzの情報に基づきTTC(Time To Collision:衝突余裕時間)としてのリスク評価値を計算する。ここで、TTCは、現在の縦相対速度vrzが維持された場合にあと何秒で衝突するかを表わす指標であり、具体的には、例えば下記式により計算される。

TTC=dz/vrz

このようなTTCは、その値が小さいほど衝突リスクが大きいことを表すリスク評価値となる。
衝突回避制御ユニット14は、上記のようなTTCの値に基づき、画像処理部12で認識されている立体物のうち特定種類の立体物である対象物体について、衝突予測物体が存在するか否かの判定を行う。ここで、衝突予測物体とは、車両100との衝突が予測される物体を意味する。
本例において、上記「特定種類の対象物体」とは、人物や動物等の動く生物(以下「動生物」と表記する)を含む立体物を意味する。具体的に本例では、動生物を含む立体物のうち、先行車両(二輪車を除く)として認識されている立体物を除く立体物を意味する。より具体的に、本例では、「特定種類の対象物体」とは、人物(歩行者)、動物、動物体として認識されている二輪車(自転車を含む)であるとする。
なお、本発明において、「特定種類の対象物体」は、上記のような人物、動物、二輪車に限定されるものではない。例えば、「特定種類の対象物体」に先行車両(二輪車を除く)として認識されている立体物を含めるようにすることも可能である。
衝突予測物体の有無の判定は、TTCに基づいて、例えば以下のようにして行う。
すなわち、「特定種類の対象物体」に該当する立体物のうち、車両100との横位置のずれ量(x軸方向の中心位置のずれ量)が所定量以内の立体物であって且つTTCが所定閾値以下の立体物が存在するか否かを判定する。該当する立体物が存在しなければ、衝突回避制御ユニットは、衝突予測物体がないとの判定結果を得る。
また、上記の判定により、該当する立体物が一つのみであった場合は、その立体物を衝突予測物体として決定する。該当する立体物が複数あった場合は、それら立体物のうちTTCの値が最小の立体物を衝突予測物体として決定する。
衝突予測物体が存在する場合、衝突回避制御ユニット14は、衝突予測物体についてAEBを実行し、また必要に応じてAESを実行する。具体的には、先ずはAEBのみを開始し、AEBのみで衝突を回避できないと判定される場合には、AEBによる制動を継続させつつ、AESによる衝突回避のための操舵介入を行う。
車両制御システム1には、車両100の制動制御を実現するための構成として、ブレーキ制御ユニット20及びブレーキ関連アクチュエータ21が設けられている。
ブレーキ制御ユニット20は、マイクロコンピュータを有して構成され、運転支援制御部13(衝突回避制御ユニット14を含む)からの指示に基づき、ブレーキ関連アクチュエータ21として設けられた各種のアクチュエータを制御する。ブレーキ関連アクチュエータ21としては、例えば、ブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ等、ブレーキ関連の各種のアクチュエータが設けられる。ブレーキ制御ユニット20は、運転支援制御部13からの指示に基づき、上記の液圧制御アクチュエータを制御して車両100の制動制御を行う。
衝突回避制御ユニット14は、AEBの作動時には、ブレーキ制御ユニット20に制動指示を行うことで車両100を制動させる。
また、衝突回避制御ユニット14は、AESの作動時においては、画像処理部12による画像認識結果に基づいて、目標とする操舵角(目標舵角)を求める。そして、この目標舵角に応じたステアリング指示電流値を、後述するEPS(Electric Power Steering:電動パワーステアリング)制御ユニット22に出力する。
ここで、本実施形態における衝突回避制御ユニット14は、AESによっても衝突回避ができないと判定した場合に、衝突回避のための操舵介入を行わず、実施形態としての操舵介入を行うものとなるが、この点については後に改めて説明する。
本例における運転支援制御部13は、運転者に対し運転支援に関する各種通知も行う。具体的に、運転支援制御部13は、表示部23や発音部24に対して表示情報や発音指示情報を供給する。
表示部23は、例えばマイクロコンピュータによる表示制御ユニットと表示デバイスを包括的に示している。表示デバイスとは、例えば運転者の前方に設置されたメータパネル内に設けられるスピードメータやタコメータ等の各種メータやMFD(Multi Function Display)、その他運転者に情報提示を行うためのデバイスである。表示部23では、衝突回避制御に関しては、物体衝突の危険性に係る警告表示や、AEB、AESの作動/停止を運転者に知覚させるための表示が行われる。
発音部24は、例えばマイクロコンピュータによる発音制御ユニットと、アンプ/スピーカ等の発音デバイスとを包括的に示している。発音部24では、衝突回避制御に関しては、警告音出力やAEB、AESの作動/停止を運転者に知覚させるための通知音等の出力が行われる。
EPS制御ユニット22は、例えばマイクロコンピュータを有して構成され、運転支援制御部13(衝突回避制御ユニット14)からのステアリング指示電流値や操舵トルクセンサ19による検出信号に基づき、ステアリング機構30におけるEPSモータ42を制御する。
EPS制御ユニット22は、操舵トルクセンサ19の検出信号から取得される運転者による操舵入力トルクの情報に基づき、該操舵入力トルクに応じた操舵のアシストトルクが得られるようにするためのステアリング指示電流値を求め、該指示電流値に基づきEPSモータ42を駆動する。これにより、運転者による操舵をアシストするパワーステアリング制御が実現される。
なお、運転者は、衝突回避制御ユニット14による操舵制御の実行時においても操舵操作を行うことが可能とされているが、このように操舵制御中に手動操舵が行われた際には、EPS制御ユニット22において衝突回避制御ユニット14からのステアリング指示電流値と上記のように求められたパワーステアリング制御のためのステアリング指示電流値とが合算され、合算された電流値に基づいてEPSモータ42が駆動される。
操舵制御の対象となるステアリング機構30は、例えば次のように構成される。
ステアリング機構30は、ステアリング軸32が、図示しない車体フレームにステアリングコラム33を介して回動自在に支持されている。ステアリング軸32の一端は運転席側に延出され、このステアリング軸32の一端部には、ステアリングホイール34が取り付けられている。ステアリング軸32の他端部にはピニオン軸35が連結されている。
このピニオン軸35におけるピニオン(図示せず)が、ステアリングギヤボックス36に往復移動自在に挿通支持されているラック軸37に設けられたラックに噛合している。これにより、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤ機構が構成されている。
また、ラック軸37の左右両端はステアリングギヤボックス36から各々突出されており、該左右両端には、それぞれタイロッド38が連接されている。各タイロッド38は、それぞれラック軸37と連接される側とは逆側の端部にフロントナックル39が接続されている。それぞれのフロントナックル39は、操舵輪40L,40Rのうち対応する操舵輪40を支持すると共に、キングピン(図示せず)を介して車体フレームに支持されている。各フロントナックル39は、それぞれキングピンを中心に回動自在となるように対応するタイロッド38の端部に接続されている。
従って、ステアリングホイール34を操作し、ステアリング軸32、ピニオン軸35を回動させると、このピニオン軸35の回転によりラック軸37が左右方向へ移動し、その移動によりフロントナックル39がキングピンを中心に回動して、操舵輪40L、40Rが左右方向へ転舵される。
また、ピニオン軸35には、アシスト伝達機構41を介してEPSモータ42が連設されており、このEPSモータ42により、ステアリングホイール34に加える操舵トルクのアシストや、目標舵角θsとなるような操舵トルクの付加が行われる。
<2.実施形態としての操舵制御手法>
ここで、上述のように本実施形態の車両制御システム1では、衝突予測物体が検出された場合は、AEBの制御が行われ、AEBによる車両100の制動のみでは衝突を回避できないと判定された場合は、AESによる操舵介入が行われる。
しかしながら、AESの技術によっても衝突予測物体との衝突を避けきれないケースもあり得る。そのような場合、衝突予測物体を避けようとしたことで却って車両100の危険箇所に衝突予測物体が衝突してしまい、被害が大きくなってしまう虞がある。
具体的には、例えば図3に示すように、人物Hm等の衝突予測物体が車両100の自車走行車線内に飛び出してくるケースを想定した場合において、AESによる衝突回避を行っても衝突予測物体との衝突を避けきれず、衝突予測物体が車両100の前端における左右何れかの端部に衝突してしまう場合が考えられる。
左右端部に車輪が配置された一般的な車両においては、車両の前端中央部は、いわゆるクラッシャブルゾーンとして前端左右端部よりも剛性が低くされていることが通常であり、これに背反して、車両の前端左右端部は比較的剛性が高められている。
また、車両には歩行者等の物体との衝突時にボンネット上にエアバック等の衝撃吸収体が展開されるものもあるが、その場合に歩行者等の物体が車両の前端の左右何れかの端部に衝突してしまうと、物体がボンネット上に跳ね上げられず衝撃吸収体が機能を果たさなくなる虞がある。また、衝撃吸収体の展開契機となる衝突を検知するための衝突センサ(例えば衝突センサ17)は、通常は車両の前端中央部に配置されており、そもそも物体が車両の前端の左右何れかの端部に衝突した場合には衝撃吸収体が展開しない虞もある。
これらの点より、一般的に衝突予測物体が車両100の前端における左右何れかの端部に衝突した場合には、衝突予測物体の被る被害が大きくなってしまう虞がある。
そこで、本実施形態において衝突回避制御ユニット14は、車両100の進行方向側に認識された対象物体との衝突をブレーキ及び操舵により回避可能か否かを判定する回避性判定処理と、回避性判定処理により対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に、車両の所定部分に対象物体が衝突するように操舵制御を行う操舵制御処理と、を実行する。
具体的に、上記回避性判定処理としては、衝突予測物体について、AEBとAESの双方を行うことで車両100との衝突を回避できるか否かを判定する。
ここで、本例において衝突回避制御ユニット14は、衝突予測物体があると判定した場合には、先ずはAEBによる車両100の制動を開始させ、その後、AEBのみで衝突予測物体との衝突が回避可能か否かの判定を行う。そして、AEBのみで衝突予測物体との衝突が回避不能であると判定した場合に、AESにより衝突予測物体との衝突が回避可能か否かを判定(これは、AEBによる制動が継続されていることを前提とした判定となる)し、該判定により衝突回避可能と判定した場合に、AESの制御を実行する。
このことから、本例における回避性判定処理は、上記のようにAEBのみでは衝突が回避不能と判定された場合に実行される、AESによる衝突回避可否の判定処理が該当するものである。
また、上記操舵制御処理においては、車両100の所定部分として、車両100の前端中央部に衝突予測物体が衝突するように操舵制御を行う。
具体的に、衝突回避制御ユニット14は、衝突予測物体との衝突をAESによっても回避不能であると判定した場合は、図4に示すように、AESによる衝突回避を行うのではなく(図中、破線矢印を参照)、衝突予測物体を車両100の所定部分(本例では前端中央部)に衝突させるための操舵制御を行う。
ここで、衝突予測物体を車両100の所定部分に衝突させる、とは、少なくとも衝突予測物体の何れかの位置を車両100の所定部分に衝突させることを意味する。具体的に本例では、衝突予測物体の中心位置(横方向の中心位置)を車両100の所定部分に衝突させることを意味するものであるとする。
また、車両100の前端中央部とは、車両100の前端の左右端部を除く部分と換言できる。該前端中央部は、車両100の前端中心から左右αcm(センチメートル)以内の範囲(例えば、α=50cm等)と定義することができる。或いは、該前端中央部は、車両100の全幅をWとしたときに、車両100の前端中心から左右「(W/2)×a」cm以内の範囲(ただし、aは所定の係数で1未満の値)と定義することもできる。
車両100の前端中央部とは、少なくとも車両100の前端中央位置を含む所定の範囲の部分であればよい。
ここで、以下説明上、衝突予測物体としての対象物体を車両100の所定部分に衝突させる操舵制御のことを「衝突操舵制御」と表記する。
上記のように回避性判定処理により衝突予測物体との衝突を回避不能と判定した場合に衝突操舵制御を行うようにすることで、AESにより衝突予測物体を避けようとしたことで却って車両100の危険箇所に衝突予測物体が衝突してしまうことの防止を図ることができ、安全性の向上を図ることができる。
ここで、本実施形態において衝突回避制御ユニット14は、回避性判定処理により衝突予測物体との衝突を回避不能と判定したことのみを条件として衝突操舵制御を行うのではく、所定の例外条件が満足される場合には、衝突操舵制御を行わない。
具体的に、衝突回避制御ユニット14は、衝突操舵制御を行った場合に衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定し、当該衝突危険事象の発生が予測される場合は、衝突操舵制御を行わない。
車外物体への衝突危険事象とは、車外物体への衝突の危険性を生じさせる事象を意味する。
例えば、走行中の車両100がスリップしたり自車走行車線から逸脱したりする場合には、他車両等の車外物体との衝突危険性が生じ、多重事故等の甚大な被害を生じさせる虞がある。そのような甚大な被害が生じることの防止を図るため、衝突操舵制御を行った場合に衝突予測物体以外の車外物体との衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定し、該衝突危険事象の発生が予測される場合には、衝突操舵制御を行わないようにする。
衝突予測物体以外の車外物体との衝突危険事象の発生が予測されるか否かの判定として、本例では、車両100がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定と、車両100の自車走行車線からの逸脱が予測されるか否かの判定の少なくとも何れかを行う。
或いは、これら二つの判定を行った結果、車両100がスリップ状態となることが予測されず、且つ車両100の自車走行車線からの逸脱が予測されないと判定された場合にのみ、衝突操舵制御を行うようにすることもできる。
ここで、上述のように本実施形態において回避性判定処理が実行されるのは、AEBによる車両100の制動が開始された後である。このため、上記のような車外物体との衝突危険事象についての判定処理は、AEBによる制動が行われている状態で実行されるものとなる。
このことから、車外物体との衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定し、該衝突危険事象の発生が予測される場合に衝突操舵制御を行わないようにすることによっては、AESとしての衝突回避のための操舵制御及び衝突操舵制御の双方が行われず、AEBによる制動が継続される状態となる。
このとき、本例では、上記のように車外物体との衝突危険事象の発生が予測されると判定したことに応じ衝突操舵制御を行わないようにした場合において、衝突回避制御ユニット14は、再度、前述した回避性判定処理を行う。
一度、ブレーキ及び操舵による衝突回避が不能と判定されたとしても、その後の衝突予測物体の動き方によっては、ブレーキや操舵による衝突回避が可能な状態に転じる可能性もある。例えば、衝突予測物体としての歩行者等が車両100の接近に気がつき車両100を避ける動きをとった場合等である。
上記のように車外物体との衝突危険事象の発生が予測されると判定したことに応じ衝突操舵制御を行わないようにした場合において、再度、回避性判定処理を行うようにすることで、このように衝突回避が可能な状態に転じた場合に衝突予測物体への衝突を回避する行動をとることが可能となる。従って、安全性の向上を図ることができる。
<3.処理手順>
図5のフローチャートを参照し、上記により説明した実施形態としての操舵制御手法を実現するための具体的な処理手順の例を説明する。
図5に示す処理は、衝突回避制御ユニット14のCPUが、例えば衝突回避制御ユニット14が備えるROM等に格納されたプログラムに従って実行する。
先ず、衝突回避制御ユニット14はステップS101で、前方に衝突予測物体が検出されるまで待機する処理を行う。すなわち、先に説明した手法により、画像処理部12で認識されている立体物のうち、TTCに係る条件を満たす立体物の有無を判定し、該条件を満たす立体物がある場合には衝突予測物体が検出されたとの判定結果を得る。なお、先の説明のように、該条件を満たす立体物が複数ある場合には、TTCの値に基づいて一つの立体物を衝突予測物体として決定する。
ステップS101に続くステップS102で衝突回避制御ユニット14は、AEB開始処理を行う。すなわち、ブレーキ制御ユニット20に対する指示を行って、AEBによる車両100の制動を開始させる。
ステップS102に続くステップS103で衝突回避制御ユニット14は、ブレーキでの衝突回避可能か否かを判定する。この判定処理は、例えば、公知の手法により実現可能である。一例としては、衝突予測物体についての現在の縦相対速度vrzと、縦相対速度vrzごとに衝突回避可能なTTCの値を示すマップ情報とに基づき行うことができる。
ステップS103において、ブレーキでの衝突回避可能と判定した場合、衝突回避制御ユニット14は、ステップS112に処理を進める。
ステップS112で衝突回避制御ユニット14は、衝突を検出したか否かを判定する。すなわち、衝突センサ17により車両100に対する物体の衝突が検出されたか否かを判定する。
衝突が検出されなければ、衝突回避制御ユニット14はステップS113に進み、車両100が停車したか否かを判定する。車両100が停車してないと判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS103に戻る。
ここで、上記説明のようにステップS103からS112を経てステップS113で停車していないと判定されたことに応じてステップS103に処理が戻ることによっては、一旦、AEBでの衝突回避が可能と判定された以降でも、衝突又は停車と判定されるまでの間は、AEBによる衝突回避が可能か否かの判定が逐次行われることになる。
AEBによる衝突回避が可能と判定された以降であっても、衝突予測物体の動き方によっては、AEBによる衝突回避が不能となることもあり得る。上記の処理の流れによれば、そのような場合であっても、AEBによる衝突回避が可能か否かを判定でき、仮に、衝突回避不能と判定された場合には、以降で説明する操舵での衝突回避が可能か否かの判定処理(S104)に遷移することができる。すなわち、一度AEBで衝突回避可能と判定された場合であっても、その後にAEBでの衝突回避が不能と判定された場合には、AESでの衝突回避が可能か否かが判定され、AESでの衝突回避が可能であれば、AESでの衝突回避を実行可能とされているものである。
従って、安全性の向上を図ることができる
また、衝突回避制御ユニット14は、ステップS113で車両100が停車したと判定した場合には、図5に示す一連の処理を終える。
上記により説明したステップS103からS112を経てステップS113で車両100が停車したと判定される場合は、AEBのみで衝突予測物体への衝突を回避できた場合である。このため、衝突回避制御ユニット14は上記のように図5に示す一連の処理を終える。
また、ステップS112で衝突を検出したと判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS114で停車まで減速を継続させる、すなわち、AEBによる車両100の制動(減速)を継続させた上で、図5に示す一連の処理を終える。
これにより、停車前に物体との衝突が生じた場合において、車両100を確実に停車させることができ、安全性を高めることができる。
一方、先のステップS103において、ブレーキでの衝突回避が不能であると判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS104に進み、操舵による衝突回避は可能か否かを判定する。先の説明から理解されるように、この判定処理は、AEBの開始後に行われる処理であることから、AEBによる車両100の制動が行われていることを前提とした判定処理として行われる。
操舵による衝突回避が可能か否かの判定手法については公知の手法を採ることができ、特定の手法に限定されるものではない。下記に一例を挙げておく。
先ずは、衝突予測物体の横方向における進行方向とは逆方向に舵を切る場合から検討する。具体的には、先ず、衝突予測物体の現在における縦速度vz及び縦加速度と、車両100の現在における自車速v及び縦方向加速度とに基づき、縦方向における衝突予測物体への到達予測位置を求める。
そして、衝突予測物体の現在における横速度vx及び横加速度axと、車両100の現在における横方向の移動速度及び横方向の移動加速度(何れも上記の逆方向に舵を切った場合の値)とに基づき、車両100が上記縦方向の到達予測位置に達する際の、衝突予測物体との横方向における離間距離(以下「予測横離間距離」と表記)を求める。
この予測横離間距離が所定の閾値(例えば、50cm等)以上であれば、操舵による衝突回避が可能であると判定する。
一方、上記の予測横離間距離が上記閾値未満であった場合には、舵を順方向(上記逆方向とは反対の方向)に切る場合を検討する。具体的には、上記の予測横離間距離として、舵を順方向に切った場合の値を算出し、その値が上記閾値以上か否かを判定する。
この順方向に舵を切った場合の予測横離間距離が上記閾値以上である場合には操舵による衝突回避が可能であると判定し、該予測横離間距離が上記閾値未満である場合には操舵による衝突回避が不能であると判定する。
なお、操舵による衝突回避が可能か否かの判定は、横方向のTCC(横TCC)を計算して行うことも可能である。具体的には、例えば横TCCを右に舵を切った場合と左に舵を切った場合の双方について計算し、何れか一方の横TCCが閾値以上か否かの判定として行うことが考えられる。
ステップS104において、操舵による衝突回避が可能であると判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS105に進み、AES開始処理を行う。すなわち、衝突回避のための目標舵角をEPS制御ユニット22に指示して、衝突回避のための操舵介入を開始させる。
ステップS105のAES開始処理を実行したことに応じ、衝突回避制御ユニット14はステップS109に処理を進める。
ステップS109で衝突回避制御ユニット14は、衝突を検出したか否かを判定する。すなわち、衝突センサ17により車両100に対する物体の衝突が検出されたか否かを判定する。
衝突が検出されなければ、衝突回避制御ユニット14はステップS110に進み、衝突予測物体が認識されなくなったか否かを判定する。すなわち、先のステップS101で検出した衝突予測物体としての物体が画像処理部12で認識されない状態となったか否かを判定する。衝突予測物体が認識されなくなってはない(継続して認識されている)と判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS111に進み、車両100が停車したか否かを判定する。車両100が停車してないと判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS109に戻る。
上記したステップS109、S110、及びS111の処理によっては、衝突検出、衝突予測物体のロスト、停車の何れかを待機するループ処理が形成される。
ステップS111で車両100が停車したと判定した場合、衝突回避制御ユニット14は図5に示す一連の処理を終える。
ステップS105からS109及びS110を経てステップS111で車両100が停車したと判定される場合は、操舵制御(及びAEB)により衝突予測物体への衝突を回避できた場合である。このため、衝突回避制御ユニット14は上記のように図5に示す一連の処理を終える。
また、ステップS109で衝突を検出したと判定した場合、衝突回避制御ユニット14は先に説明したステップS114に進み、停車まで減速を継続させる、すなわち、AEBによる車両100の制動(減速)を継続させた上で、図5に示す一連の処理を終える。
また、ステップS110において、衝突予測物体が認識されなくなったと判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS101に戻る。すなわち、この場合は停車前に衝突を回避できたことが推定されるケースとなるので、新たな衝突予測物体の発生に備えて、ステップS101に処理を戻す。
一方、先のステップS104において、操舵による衝突回避が不能と判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS106に処理を進める。
ステップS106で衝突回避制御ユニット14は、衝突予測物体を車両100の所定部分に衝突させるための目標横移動量を計算する。具体的に本例では、衝突予測物体を車両100の前端中央部に衝突させるための目標横移動量を計算する。例えば、先に例示したように、車両100の横方向中心位置から左右αcmの範囲内等、横方向中心位置を含む所定範囲内に衝突予測物体を衝突させるための目標横移動量を計算する。
ステップS106に続くステップS107で衝突回避制御ユニット14は、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定する。具体的には、車両100がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定と、車両100の自車走行車線からの逸脱が予測されるか否かの判定の少なくとも何れかを行う。本例では、これら二つの判定のうち双方を行い、少なくとも何れか一方の判定で肯定結果が得られた場合は衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるとの判定結果を得、何れの判定においても否定結果が得られた場合には、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されないとの判定結果を得る。
車両100がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定は、ステップS106で算出した目標横移動量の値に基づいて行う。具体的には、目標横移動量に従った操舵制御を行った場合における車両100の横加速度の予測値(以下「横加速度予測値」とする)を計算し、横加速度予測値が所定の閾値以上であるか否かの判定を、車両100がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定として行う。
また、車両100の自車走行車線からの逸脱が予測されるか否かの判定については、目標横移動量に従った操舵制御を行った場合における車両100の移動軌跡(以下「予測移動軌跡」と表記)を計算し、この予測移動軌跡の情報と、画像処理部12が認識している自車走行車線の情報とに基づいて行うことができる。
ステップS107において、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されないと判定した場合、衝突回避制御ユニット14はステップS108に進み、目標横移動量に基づく操舵制御を開始する。すなわち、ステップS106で算出した目標横移動量を実現するための目標舵角をEPS制御ユニット22に指示して操舵介入を開始させる。
これにより、衝突予測物体を車両100の所定部分(ここでは前端中央部)に衝突させるための操舵制御が開始される。
ステップS108の処理を実行したことに応じ、衝突回避制御ユニット14は上述したステップS109に処理を進める。
すなわち、衝突予測物体を車両100の所定部分に衝突させる操舵制御が開始された以降、衝突回避制御ユニット14は、衝突検出と停車の何れかを待機するループ処理(S109、S111)を経て、停車と判定した場合には図5に示す一連の処理を終え、衝突が検出された場合は停車まで減速を継続する処理(S114)を行った上で図5に示す一連の処理を終える。
また、ステップS107において、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されると判定した場合、衝突回避制御ユニット14は、前述したステップS112に処理を進める。
上記処理の流れにより、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されると判定された場合には、衝突操舵制御(S108参照)が行われないものとなる。
この場合は、AES及び衝突操舵制御としての操舵制御は行われず、ステップS102で開始されたAEBによる車両100の制動が継続される状態となる。
また、上記処理の流れによると、衝突予測物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されると判定されたことに応じて衝突操舵制御を行わないようにした場合においては、衝突が検出されない限り、停車までの間、処理がステップS103に戻される。これにより、車外物体への衝突危険事象の発生が予測されると判定されたことに応じて衝突操舵制御を行わないようにした場合において、衝突回避制御ユニット14は、再度、回避性判定処理を行うことが可能とされる。
前述したように、車外物体への衝突危険事象の発生が予測されると判定したことに応じ衝突操舵制御を行わないようにした場合において、再度、回避性判定処理を行うようにすれば、一度、衝突回避が不能と判定された場合であっても、その後の衝突予測物体の動きにより衝突回避が可能な状態に転じた場合に、衝突予測物体への衝突を回避する行動をとることが可能となる。従って、安全性の向上を図ることができる。
なお、図5では、衝突を検出した場合(S109やS112でYesとなった場合)は、停車まで減速を行う(S114)ことを言及したが、このような衝突検出後における車両100の停止に関しては、車両100の停止予測位置を計算し、該停止予測位置に車両100が留まることで危険が予測される場合等には、操舵制御により車両100を路肩に寄せる等、車両100を危険が予測される場所に停止させないための制御を行うことも可能である。
<4.変形例>
なお、実施形態としては上記した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例を採り得る。
例えば、上記では、対象物体を衝突させる「所定部分」が、車両100の前端中央部である例を挙げたが、「所定部分」は、車両100の前端中央部に限定されない。車両としては、例えば三輪車のように、車両の前端中央部に車輪や該車輪を支持するスポーク部等の高剛性物が配置されるものもあり、そのような場合に対象物体を前端中央部に衝突させると被害が大きくなる虞があり、従って前端中央部以外の、対象物体への衝撃を抑えることのできる所定の部分に対象物体を衝突させることが考えられる。
また、「所定部分」の定義については、次のように考えることもできる。
例えば、歩行者エアバッグがある車両であれば歩行者エアバッグの展開契機となる衝突を検出する衝突センサが配置されている部分と定義することも考えられる。また、バンパーステービーム等、衝撃吸収を行うための部品の配置部分と定義することもできる。
何れにせよ、「所定部分」としては、衝突に伴う対象物体への衝撃を抑えることのできる部分として選定された部分であればよい。
また、「所定部分」については、車両100の前端部であって、車両100における車輪(特に前輪)の走行予定軌跡上ではない部分とすることもできる。ここで言う「車輪の走行予定軌跡」とは、例えば、図5のステップS104で操舵による衝突回避が不能と判定された場合における「車輪の走行予定軌跡」である。或いは、「車輪の走行予定軌跡」とは、数秒先の車輪の位置として予測される位置等とすることも考えられる。
また、上記説明では、衝突操舵制御を行った場合に対象物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測される場合には、衝突操舵制御を実行しないものとしたが、衝突操舵制御の実行条件として、当該衝突危険事象の発生が予測されないとの条件を課すことは必須ではない。
<5.実施形態のまとめ>
以上で説明してきたように、実施形態としての車両制御装置(運転支援制御部13(衝突回避制御ユニット14))は、車両を制動するブレーキ部と車両を旋回自在とする操舵部とを備えると共に車外環境の認識機能を有した車両における車両制御装置であって、一又は複数のプロセッサ(衝突回避制御ユニット14のCPU)と、一又は複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体(衝突回避制御ユニット14のROM)と、を備える。
そして、プログラムは、一又は複数の命令を含み、命令は、一又は複数のプロセッサに、車両の進行方向側に認識された対象物体との衝突をブレーキ及び操舵により回避可能か否かを判定する回避性判定処理(S104)と、回避性判定処理により対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に、車両の所定部分に対象物体が衝突するように操舵制御を行う操舵制御処理(S108)と、を実行させるものである。
上記のように対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に車両の所定部分に対象物体が衝突するように操舵制御を行うことで、衝突回避の行動をとった場合よりも対象物体への衝撃が小さくなる部分に対象物体を衝突させることが可能となる。
従って、車両の運転支援制御について、安全性の向上を図ることができる。
また、実施形態としての車両制御装置においては、所定部分は、車両の前端部であって、車両における車輪の走行予定軌跡上ではない部分である。
左右端部に車輪が配置された一般的な車両においては、車両の前端部であって車輪の走行予定軌跡上ではない部分は、いわゆるクラッシャブルゾーンとして、該車輪の走行予定軌跡上にはない部分よりも剛性が低くされていることが通常であり、衝突により対象物体に与える衝撃が比較的小さい部分と言える。また、車両には歩行者等の対象物体との衝突時にボンネット上にエアバック等の衝撃吸収体が展開されるものもあり、その場合には、車両の前端部であって車輪の走行予定軌跡上となる部分よりも、該車輪の走行予定軌跡上ではない部分に対象物体が衝突した方が、安全性が高いと言える。これは、衝撃吸収体の展開契機となる衝突を検知するための衝突センサが、通常は車両の前端部であって車輪の走行予定軌跡上ではない部分に配置されていることにもよる。
これらの点より、所定部分が、車両の前端部であって車輪の走行予定軌跡上ではない部分とされることで、安全性の向上を図ることができる。
また、実施形態としての車両制御装置においては、所定部分は車両の前端中央部である。
左右端部に車輪が配置された一般的な車両においては、車両の前端中央部は、いわゆるクラッシャブルゾーンとして前端左右端部よりも剛性が低くされていることが通常であり、衝突により対象物体に与える衝撃が比較的小さい部分と言える。また、車両には歩行者等の対象物体との衝突時にボンネット上にエアバック等の衝撃吸収体が展開されるものもあり、その場合には車両の前端左右端部よりも前端中央部に対象物体が衝突した方が安全性が高いと言える。これは、衝撃吸収体の展開契機となる衝突を検知するための衝突センサが通常は車両の前端中央部に配置されていることにもよる。
これらの点より、所定部分が車両の前端中央部とされることで、安全性の向上を図ることができる。
さらに、実施形態としての車両制御装置において、操舵制御処理においては、操舵制御を行った場合に対象物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定し、衝突危険事象の発生が予測される場合は、操舵制御を行わないようにしている。
上記構成によれば、対象物体との衝突が回避不能と判定された場合であっても、対象物体以外の車外物体への衝突危険性を生じさせる事象の発生が予測される場合、つまりは、多重事故等の甚大な被害を生じさせる虞がある場合には、車両の所定部分に対象物体を衝突させるための操舵制御が行われない。
従って、対象物体と衝突する場合よりも被害が甚大となってしまうことの防止を図ることができ、安全性向上を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての車両制御装置において、操舵制御処理においては、車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かの判定として、車両がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定を行っている。
車両がスリップしてしまうと他車等の車外物体への衝突が発生する虞があり、多重事故等の甚大な被害を生じさせる虞がある。
従って上記構成によれば、対象物体と衝突する場合よりも被害が甚大となってしまうことの防止を図ることができ、安全性向上を図ることができる。
また、実施形態としての車両制御装置において、操舵制御処理においては、車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かの判定として、車両の自車走行車線からの逸脱が予測されるか否かの判定を行っている。
車両が自車走行車線から逸脱してしまうと他車等の車外物体への衝突が発生する虞があり、多重事故等の甚大な被害を生じさせる虞がある。
従って上記構成によれば、対象物体と衝突する場合よりも被害が甚大となってしまうことの防止を図ることができ、安全性向上を図ることができる。
100 車両
1 車両制御システム
10 撮像ユニット
11L、11R 撮像部
12 画像処理部
13 運転支援制御部
14 衝突回避制御ユニット
15 車速センサ
16 ヨーレートセンサ
17 衝突センサ
18 実舵角センサ
19 操舵トルクセンサ
20 ブレーキ制御ユニット
21 ブレーキ関連アクチュエータ
22 EPS制御ユニット
23 表示部
24 発音部
SD 操作情報
30 ステアリング機構
32 ステアリング軸
33 ステアリングコラム
34 ステアリングホイール
35 ピニオン軸
36 ステアリングギヤボックス
37 ラック軸
38 タイロッド
39 フロントナックル
40L、40R 操舵輪
41 アシスト伝達機構
42 EPSモータ
Hm 人物

Claims (6)

  1. 車両を制動するブレーキ部と車両を旋回自在とする操舵部とを備えると共に車外環境の認識機能を有した車両における車両制御装置であって、
    一又は複数のプロセッサと、
    前記一又は複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体と、を備え、
    前記プログラムは、一又は複数の命令を含み、
    前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
    前記車両の進行方向側に認識された対象物体との衝突をブレーキ及び操舵により回避可能か否かを判定する回避性判定処理と、
    前記回避性判定処理により前記対象物体との衝突を回避不能と判定した場合に、前記車両の所定部分に前記対象物体が衝突するように操舵制御を行う操舵制御処理と、を実行させる
    車両制御装置。
  2. 前記所定部分は、前記車両の前端部であって、前記車両における車輪の走行予定軌跡上ではない部分である
    請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記所定部分は前記車両の前端中央部である
    請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記操舵制御処理においては、
    前記操舵制御を行った場合に前記対象物体以外の車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かを判定し、前記衝突危険事象の発生が予測される場合は、前記操舵制御を行わない
    請求項1から請求項3の何れかに記載の車両制御装置。
  5. 前記操舵制御処理においては、
    前記車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かの判定として、前記車両がスリップ状態となることが予測されるか否かの判定を行う
    請求項4に記載の車両制御装置。
  6. 前記操舵制御処理においては、
    前記車外物体への衝突危険事象の発生が予測されるか否かの判定として、前記車両の自車走行車線からの逸脱が予測されるか否かの判定を行う
    請求項4又は請求項5に記載の車両制御装置。
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