JP2016016430A - 二重ノズルを備えた溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】MAG溶接の溶接トーチ1は、溶接用ワイヤ3と、第一シールドガスを整流するセラミック製のオリフィス5と、オリフィス5の周囲に配設して第一シールドガスを噴出するインナーノズル7と、インナーノズル7の外側に配設して第二シールドガスを噴出するアウターノズル8とを備えた。溶接用ワイヤ3を挿通させて通電するコンタクトチップ4をインナーノズル7の開口7aより突出させた。アウターノズル8の内部に第二シールドガスを整流させるガスレンズ12を備えた。アウターノズル8の開口8aをインナーノズル7の開口7aより基端側に配設し、開口8a側を縮径させた縮径部8bを形成し、ガスレンズ12の下流側に溶接時のスパッタを捕捉する通気性の高い耐熱繊維体13を充填させた。
【選択図】図1
Description
本発明によれば、溶接用ワイヤによる母材の溶接時にオリフィスを介してインナーノズルから第一シールドガスを噴出させると共に、アウターノズルからガスレンズを通して第二シールドガスを整流化して噴出させることで、第一シールドガスの整流性能に関わらずその外周側を流れる第二シールドガスの整流作用によって第一シールドガスの拡散を規制して二層の層流を形成することができて直線的に噴出させる。そのため、ノズルと母材との距離が長くても第一及び第二シールドガスによってアークを包み込んでシールド性能を高くして安定した溶接品質を得られる。
溶接に際しアークによってスパッタが発生してもアウターノズル内に侵入するスパッタは通気性の捕捉体で捕捉してガスレンズに付着することを防止するから、第二シールドガスの整流化を妨げることがなく、しかも捕捉体の隙間から整流化した第二シールドガスを通過させてアークに噴出させることができる。
アウターノズルの開口がインナーノズルの開口よりも基端側に後退していると、開口を通してスパッタがアウターノズル内に侵入することを低減することができる。
アウターノズルにおけるガスレンズの開口側に縮径部を形成したから、スパッタがアウターノズル内に侵入することを低減できると共にガスレンズを通過した第二シールドガスの流速を高めて直進性を向上できる。
通気性の高い耐熱繊維体をアウターノズル内に設置することで、第二シールドガスの通気を許容してスパッタを捕捉できる。
インナーノズル内に設けたオリフィスがセラミック製であると、スパッタがインナーノズル内に侵入したとしてもオリフィスに付着し難く、また整流作用は比較的小さいが第二シールドガスの強い整流作用によって第一シールドガスの拡散を抑制して二層の層流を維持できて直進性が高くなるためアークのシールド性能が高い。
図1に示すMAG溶接用溶接トーチ1は、例えば母材としての鋼管同士を円周溶接するための溶接トーチであり、溶接トーチ本体2内の中央孔部を溶接ワイヤ3が挿通され、先端に溶接ワイヤ3を挿通させて通電するためのコンタクトチップ4が設けられている。溶接ワイヤ3の基端側部分はドラムに巻回されて繰り出し可能とされている。
コンタクトチップ4の基端側にはシールドガスを整流化させるためのオリフィス5が配設されており、MAG溶接では、溶接時にスパッタが常時発生するためにスパッタが付着しにくいセラミック製のオリフィス5が用いられる。MAG溶接で用いるシールドガスは、通常、アルゴン(Ar)等の不活性ガスと炭酸ガス(CO2)との混合ガスである。
ここで、便宜的にインナーノズル7から噴出されるシールドガスを第一シールドガスといい、アウターノズル8から噴出されるシールドガスを第二シールドガスというものとする。
アウターノズル8は、縮径部8bを形成すると共に開口8aをインナーノズル7の開口7aより後退させたことで溶接時に発生するスパッタが内部に侵入しにくい。しかも、アウターノズル8に縮径部8bを設けることで第二シールドガスの流速と直進性を高めている。
図2において、被溶接体は互いにつき合わされた一対の母材16である一対の鋼管の開先17が例えばV字状になっており、この開先17内に溶接トーチ1を対向させてMAG溶接によって全姿勢溶接する。図2に示す溶接段階は初層状態であり、つき合わされた母材16間の開先17が深い。
初層状態のMAG溶接において、溶接トーチ1のインナーノズル7は開先17の外側に位置し、インナーノズル7からコンタクトチップ4を外側に突出させて開先17内に挿入している。溶接電源から送られてきた電流がコンタクトチップ4を介して突き出された溶接ワイヤ3に供給され、溶接ワイヤ3が母材16に接触するとアークを発生し、その熱で母材16の開先17に溶融池ができる。
そして、開先17の溶接が進んで開先17に複数段の溶接金属Mが形成され、図3に示すように母材16の表面に至る最終層のMAG溶接を行う際、コンタクトチップ4から突出する溶接ワイヤ3が母材16に接触してアークを発生する位置では、溶接トーチ1のインナーノズル7は母材16から大きく離間した状態になる。この場合でも、アウターノズル8内から噴出する整流化した直線状の第二シールドガスによって第一シールドガスの拡散が規制され、二層の層流として直進するため、この場合でもシールドガスでアークを包み込んでMAG溶接するためシールド性が高く安定した溶接品質を得られる。
上述した実施形態では、MAG溶接用溶接トーチ1において、アウターノズル8の外径を絞って縮径部8bを形成したが、本発明は必ずしもアウターノズル8に縮径部8bを形成しなくてもよい。この場合でも、アウターノズル8の内側に耐熱繊維体13を収納すれば、スパッタがアウターノズル8内に侵入してガスレンズ12に付着することを防止できる。
また、上述した実施形態において、インナーノズル7内に設置したオリフィスとしてセラミック製のものを採用したが、これに代えてインナーノズル7内にもガスレンズ12をオリフィスとして採用し、その開口7a側に耐熱繊維体13を充填してスパッタがガスノズルに付着することを防止するようにしてもよい。この場合には、インナーノズル7内とアウターノズル8内のシールドガスの整流化を一層高めて、シールド性と溶接品質を更に向上させることができる。
2 溶接トーチ本体
3 溶接ワイヤ
4 コンタクトチップ
5 オリフィス
7 インナーノズル
7a、8a 開口
8 アウターノズル
8b 縮径部
9 インナーガス供給管
10 アウターガス供給管
12 ガスレンズ
13 耐熱繊維体
16 母材
17 開先
Claims (6)
- 溶接用ワイヤと、
第一シールドガスを整流させるオリフィスと、
前記オリフィスの周囲に配設して第一シールドガスを噴出するインナーノズルと、
前記インナーノズルの外側に配設して第二シールドガスを噴出するアウターノズルと、
前記アウターノズルの内部に設けられていて通過する前記第二シールドガスを整流させるガスレンズと、
を備えたことを特徴とする二重ノズルを備えた溶接装置。 - 前記アウターノズルの内部には、前記ガスレンズの下流側に溶接時のスパッタを捕捉する通気性の捕捉体を備えている請求項1に記載された二重ノズルを備えた溶接装置。
- 前記アウターノズルの開口はインナーノズルの開口よりも後退している請求項1または2に記載された二重ノズルを備えた溶接装置。
- 前記アウターノズルは前記ガスレンズの開口側が縮径された縮径部を形成している請求項1から3のいずれか1項に記載された二重ノズルを備えた溶接装置。
- 前記捕捉体はメッシュ状の耐熱繊維体である請求項4に二重ノズルを備えた溶接装置。
- 前記インナーノズル内に設けた前記オリフィスはセラミック製である請求項1から5のいずれか1項に記載された二重ノズルを備えた溶接装置。
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